JPH0722205A - ダイヤモンドサーミスタ及びその製造方法 - Google Patents

ダイヤモンドサーミスタ及びその製造方法

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JPH0722205A
JPH0722205A JP16486593A JP16486593A JPH0722205A JP H0722205 A JPH0722205 A JP H0722205A JP 16486593 A JP16486593 A JP 16486593A JP 16486593 A JP16486593 A JP 16486593A JP H0722205 A JPH0722205 A JP H0722205A
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JP
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diamond
thermistor
film
substrate
temperature
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Koichi Miyata
浩一 宮田
Kimitsugu Saitou
公続 斉藤
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特性が均一なサーミスタを容易に且つ大量に
製造することができて、製品コストを低減できるダイヤ
モンドサーミスタ及びその製造方法を提供する。 【構成】 Si基板1上に、気相合成法によりダイヤモ
ンド膜2を例えば300μmの厚さに形成する。その
後、Si基板1の中央部を選択的にエッチングし、Si
基板1の周面部のみを円筒状に残存させて、ダイヤモン
ド膜2の下面を露出させる。その後、ダイヤモンド膜2
の上面及び露出面に導電膜3を形成し、レーザー等によ
り所望のサイズに切り出す。このようにして、感温部が
バルク状のダイヤモンドにより構成され、そのダイヤモ
ンド成長方向の両側に電極が設けられたダイヤモンドサ
ーミスタを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、室温から800℃とい
う高温まで利用可能なダイヤモンドサーミスタ及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サーミスタは温度により材料の抵抗値が
変化することを利用して温度を検出する電子素子であ
る。このサーミスタは、検知対象が極めて広く、温度だ
けでなく、湿度、風速、流速、真空度、ガス濃度、ガス
分析及び赤外線に至るまで計測が可能であり、種々の分
野への応用が期待されているセンサである。即ち、サー
ミスタは、基本的には、熱を感知するセンサであるが、
温度だけでなく、エネルギの授受を感知することができ
る。このため、例えば、風速及び流速等は、2個のサー
ミスタを利用して測定することができる。一方のサーミ
スタは強制的に加熱し、このサーミスタから出た発熱を
流風によって他方のサーミスタに伝え、この他方のサー
ミスタにおける温度変化により、両者間の風速及び流速
等を測定することができる。サーミスタの用途として
は、家電から産業用、理化学研究用、医療、通信及び宇
宙開発に至るまで範囲が広く、更に応用範囲が広がる可
能性がある。
【0003】サーミスタが今日広く電子回路部品として
用いられているのには次のような理由がある。サーミス
タと同じような温度範囲を計測するセンサとして、白金
抵抗測温体と熱電対とがあるが、白金抵抗測温体は高価
なことに加えて、その抵抗値が低く、温度係数が小さい
(変化率:0.4%/K、1〜2mV/K)ので、配線
材の抵抗の影響を低減するために太い導線を使用してそ
の引き回しをしなければならないことと、精度を上げる
ためには3線式の白金抵抗測温体による測定が必要とな
り、計装の費用が高くなるという欠点がある。一方、熱
電対は起電力の変化率が小さく(通常、約40μV/
K)、基準接点の自動補償回路が必要なことなどの問題
点がある。これに対し、サーミスタは小型で加工性が優
れていること、しかも素子の抵抗が高く、温度係数が大
きいので(変化率:4%/K、10mV/K)、細い配
線でセンサ出力の引き回しができ、分解能が優れている
等の有利な点が多い。
【0004】通常、使用されているサーミスタの構成材
料は、Ni,Mn又はCoを主体とした遷移金属酸化物
が主流であり、0℃〜350℃の範囲で温度計測が行わ
れている。これに対し、より高温でも使用可能なサーミ
スタを開発したいという要望に応じて、0℃〜500℃
で使用可能なSiC(炭化珪素)からなるサーミスタが
提案されており、更に500℃以上の高温でも使用可能
なサーミスタとして、高温で化学的に安定なダイヤモン
ドを使用したサーミスタが開発されている。ダイヤモン
ドは、その熱伝導率が種々の物質中で最も大きく、また
比熱も小さいことから、応答速度が速いという長所もあ
る。
【0005】ところで、サーミスタに使用するダイヤモ
ンドは半導電性であることが必要である。天然に産出す
るダイヤモンド結晶には半導電性を示すものもあるが、
このような半導電性ダイヤモンドが産出することは極め
て希であり、また、その抵抗値のばらつきが大きいた
め、天然のダイヤモンドをサーミスタに使用することは
困難であった。その後、超高圧下で人工的にダイヤモン
ドを合成する技術が開発され、この技術を使用して合成
した半導電性ダイヤモンド結晶を用いてサーミスタを製
造することが提案された。しかし、この方法は、ダイヤ
モンド結晶の合成に高価な製造装置が必要であること
と、合成したダイヤモンド結晶を所望の形状に加工する
ことが困難であることとにより、製品コストが極めて高
くなるという欠点があった。
【0006】そこで、近年、気相合成法を使用して基板
上に成長させたダイヤモンド薄膜を用いたサーミスタの
製造方法が提案されている(特開昭63-184304 号、特開
平2-270304号及び特開平3-131003号)。この方法におい
ては、プラズマCVD(化学気相成長)装置等を使用し
て基板上に半導電性ダイヤモンド薄膜を例えば5μm以
下の厚さに形成し、このダイヤモンド薄膜上に1対の電
極を相互に離隔して形成することによりサーミスタを製
造する。この方法によれば、比較的簡単な装置でダイヤ
モンドを薄膜状に形成することができて、ダイヤモンド
サーミスタの製造コストを低減することができる。ま
た、この方法により製造されたダイヤモンドサーミスタ
は、約800℃までの高温度の計測が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、気相合
成法を使用した従来のダイヤモンドサーミスタの製造方
法には、以下に示す問題点がある。
【0008】(1)気相合成法によりダイヤモンド薄膜
を形成する場合に、ダイヤモンド薄膜の膜厚及び膜質を
均一化することが困難であり、同一条件で製造したサー
ミスタであっても抵抗値にばらつきが発生しやすい。特
に、ダイヤモンド薄膜の膜厚が薄いほど、より一層抵抗
値のばらつきが大きくなる。従って、従来の方法におい
ては、特性が均一のサーミスタを製造することが困難で
ある。
【0009】(2)従来のダイヤモンドサーミスタの製
造方法においては、感温部である半導電性ダイヤモンド
薄膜の合成に選択成長技術を使用し、更に電極の形成に
フォトリソグラフィー技術を用いるので、製造工程が複
雑であり、生産性が低い。
【0010】(3)生産性を向上させるために、1枚の
基板上に複数個のサーミスタを同時に形成する方法もあ
るが、各サーミスタ毎に2つの電極が必要であり、サー
ミスタの1辺の大きさが数mm以上となる。このため、
1枚の基板で製造できるサーミスタ数が少なく、生産性
を向上させる効果を十分に得ることができない。従っ
て、従来の方法により製造されたダイヤモンドサーミス
タは、白金抵抗体及び熱電対等の温度センサに比して製
品コストが高くなる。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、高温度まで測定が可能であると共に特性が
均一なサーミスタを容易に且つ大量に製造することがで
きて、製品コストを低減できるダイヤモンドサーミスタ
及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るダイヤモン
ドサーミスタは、気相合成法により形成されたバルク状
の半導電性ダイヤモンドを備えた感温部を有することを
特徴とする。
【0013】本発明に係るダイヤモンドサーミスタの製
造方法は、基板の一方の面上に気相合成法によりダイヤ
モンド膜を形成する工程と、前記基板の少なくとも一部
分を除去して前記ダイヤモンド膜の基板側の面の少なく
とも一部分を露出させる工程と、前記ダイヤモンド膜の
表面及び裏面に導電膜を被着する工程と、この導電膜が
両面に被着した部分の前記ダイヤモンド膜をバルク状に
切り出して電極が設けられた感温部を得る工程と、を有
することを特徴とする。
【0014】また、本発明に係る他のダイヤモンドサー
ミスタの製造方法は、基板の一方の面上に気相合成法に
よりダイヤモンド膜を形成する工程と、前記ダイヤモン
ド膜の表面及び前記基板の他方の面に導電膜を被着する
工程と、この導電膜が被着した前記ダイヤモンド膜を前
記基板と共にバルク状に切り出して電極が設けられた感
温部を得る工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明に係るダイヤモンドサーミスタは、気相
合成法により形成され成長方向の厚さが例えば100μ
m乃至3mmのバルク状の半導電性ダイヤモンドが感温
部に使用されている。本発明においては、このように比
較的厚く形成されたダイヤモンドを感温部に使用するの
で、感温部の抵抗値のばらつき等を抑制することができ
る。なお、前記感温部のダイヤモンド成長方向の厚さが
100μm未満の場合は、多結晶ダイヤモンドの表面粗
さが数μm程度あるので膜厚が場所によってばらつき、
抵抗値のばらつきを抑制する効果を十分に得ることがで
きないと共に、チップサイズが小さくなるため、パッケ
ージングの際のハンドリングが困難になる。一方、前記
感温部のダイヤモンド成長方向の厚さが3mmを超える
と、ダイヤモンドの成長に長時間かかり、製造コストが
著しく増大する。このため、感温部のダイヤモンド成長
方向の厚さは100μm乃至3mmであることが好まし
い。
【0016】また、本発明においては、感温部を酸化シ
リコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミ
ニウム、窒化ホウ素及び酸化ジルコニウムからなる群か
ら選択された少なくとも1種の物質からなる保護膜で被
覆することにより、高温で使用した場合の感温部表面の
ダイヤモンドの酸化を防止でき、サーミスタの耐熱性を
向上させることができる。また、前記保護膜を、絶縁性
ダイヤモンド層と、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化
アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及び酸化
ジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1種
の物質からなる層との積層構造とすることにより、サー
ミスタの耐熱性をより一層向上させることができる。
【0017】一方、本発明方法においては、先ず、気相
合成法を使用して、基板の一方の面上にダイヤモンド膜
を形成する。そして、この基板の少なくとも一部分を除
去して、前記ダイヤモンド膜の基板側の面の少なくとも
一部分を露出させる。次に、前記ダイヤモンド膜の表面
及び裏面側の露出面に導電膜を被着した後、この導電膜
が両面に被着した部分のダイヤモンド膜をバルク状に切
り出す。これにより、バルク状のダイヤモンドを感温部
とし、この感温部の表面及び裏面に被着した導電膜を電
極とするダイヤモンドサーミスタを得ることができる。
【0018】なお、基板として例えば低抵抗のものを使
用する場合は、基板の一方の面上にダイヤモンド膜を形
成した後、前記ダイヤモンド膜の表面及び前記基板の他
方の面に導電膜を被着し、前記ダイヤモンド膜を前記基
板と共にバルク状に切り出してもよい。このようにして
も、バルク状のダイヤモンドを感温部とし、この感温部
の表面及び裏面に被着した導電膜を電極とするダイヤモ
ンドサーミスタを得ることができる。
【0019】本発明方法においては、ダイヤモンド膜を
厚く形成するための工程に比較的時間がかかるが、従来
方法において電極を形成するために必要であったフォト
リソグラフィー工程が不要となるため、工程を簡略化す
ることができ、サーミスタの製造に要する時間を短縮す
ることができる。また、本発明方法により製造されたダ
イヤモンドサーミスタは、感温部のダイヤモンド成長方
向の両側に電極が設けられているため、素子サイズを数
百μmと小型化することができ、1枚の基板を使用して
大量のサーミスタを同時に製造することができる。従っ
て、本発明方法によれば、ダイヤモンドサーミスタの製
品コストを低減することができる。
【0020】
【実施例】次に、本発明の実施例について添付の図面を
参照して説明する。
【0021】図1乃至図5は、本発明の実施例に係るダ
イヤモンドサーミスタの製造方法を工程順に示す模式的
断面図及び模式的斜視図である。
【0022】先ず、図1に示すように、例えば直径が約
76.2mm(3インチ)のSi基板1を用意する。そ
して、気相合成法を使用して、このSi基板1上に数百
μmの厚さでp型ダイヤモンド膜2を形成する。
【0023】次に、図2に示すように、Si基板1の円
周部を筒状に残存させるようにしてエッチングを施し、
ダイヤモンド膜2の下面中央部を露出させる。具体的に
は、例えば図6に示すように、ダイヤモンド膜2並びに
Si基板1の側部及び下面周縁部をアピエゾンワックス
8で被覆した後、Si基板1をフッ硝酸でエッチングす
る。これにより、図2に示すように、Si基板1の中央
部をエッチング除去し、円周部のみを筒状に残存させる
ことができる。
【0024】次に、図3に示すように、ダイヤモンド膜
2の上面側及び下面側に、例えばチタン、タングステン
及び金を順次スパッタリングして、オーミック電極膜3
を形成する。
【0025】次に、図4に示すように、レーザー光線9
(又は、ダイシングソー)により、数百μmのピッチで
ダイヤモンド膜2を切断し、複数個のサーミスタチップ
を切り出す。図7は、ダイヤモンド膜2から切り出した
サーミスタチップ10を示す斜視図である。このサーミ
スタチップ10は、バルク状のダイヤモンドを備えた感
温部2aと、この感温部2aのダイヤモンド成長方向の
両側に設けられたオーミック電極3aとにより構成され
ている。
【0026】次いで、図5に示すように、サーミスタチ
ップ10の電極3aに、例えば白金からなるリード線5
を圧着した後、セラミックスからなる支持台7及び耐熱
ガラスからなるキャップ6により構成されるパッケージ
内にサーミスタチップ10を封止する。これにより、ダ
イヤモンドサーミスタが完成する。
【0027】本実施例においては、比較的安価なSi基
板を使用しこの基板上に半導電性ダイヤモンドを比較的
厚く気相成長させるため、各サーミスタチップの感温部
のダイヤモンド成長方向の厚さが略均一になり、感温部
の抵抗値のばらつきを抑制できる。
【0028】また、本実施例においては、ダイヤモンド
を比較的厚く形成するために時間がかかるが、従来方法
において必要とされていた薄膜の選択成長工程及び電極
形成のためのフォトリソグラフィー工程等の複雑な工程
が不要であるので、ダイヤモンドサーミスタの製造に要
する時間を短縮することができる。また、感温部のダイ
ヤモンド成長方向の両側に電極が設けられているので、
サーミスタのサイズを小さくすることができる。このた
め、1枚の基板を使用して数千個のサーミスタを同時に
製造することができ、ダイヤモンドサーミスタの製品コ
ストを低減することができる。
【0029】なお、本実施例においては、ダイヤモンド
膜を切断するときのピッチを調整することにより、所望
の抵抗値のダイヤモンドサーミスタを得ることができ
る。サーミスタの抵抗値Rは、図7に示すように、電極
3a間の距離(膜厚)をL、感温部2aの比抵抗をρ、
電極3aの面積をSとすると、R=ρL/Sで表され
る。感温部2aの厚さはダイヤモンド膜の合成時間に比
例する。本実施例においては、電極3aの面積Sを変化
させるだけで、換言すればダイヤモンド膜を切断すると
きのピッチを調整するだけで、所望の抵抗値を持つサー
ミスタを製造することができる。
【0030】次に、本実施例方法により実際にダイヤモ
ンドサーミスタを製造し、その特性を調べた結果につい
て説明する。
【0031】先ず、基板として、直径が約76.2mm
(3インチ)の低抵抗Si基板を用意した。このSi基
板の表面結晶方位は(111)であり、比抵抗は0.1
Ωcm以下である。そして、このSi基板の表面を、平
均粒径が0.25μmのダイヤモンドペーストで約1時
間機械研磨した。
【0032】次に、マイクロ波プラズマCVD法を使用
して、このSi基板上に、ホウ素(B)ドープp型ダイ
ヤモンド膜を約300μmの厚さに形成した。このとき
の成膜条件は、メタン濃度が5体積%、水素濃度が95
体積%、ジボラン濃度が1ppm、ガス圧が35Tor
r、基板温度が800℃、マイクロ波出力が1.8k
W、成膜時間が150時間である。
【0033】次に、基板上に形成したダイヤモンドの半
導体としての特性を安定させるために、真空中で850
℃の温度で約30分間熱処理を実施し、その後、クロム
酸洗浄、王水洗浄及びRCA洗浄を行った。
【0034】次に、図6に示すように、基板下面の中央
部のみが露出するようにダイヤモンド膜2並びに基板1
の側部及び下面周縁部をアピエゾンワックス8で被覆し
た。そして、この基板1をフッ硝酸でエッチングして、
図2に示すように、ダイヤモンド膜2の下面中央部を露
出させ、基板1の周縁部のみを円筒状に残存させた。
【0035】次に、スパッタリング蒸着装置を使用し
て、ダイヤモンド膜の両面に、チタン、タングステン及
び金を夫々50Å、500Å及び5000Åの厚さに順
次形成し、これらの金属膜の積層体からなるオーミック
電極膜を形成した。その後、チタンをカーバイト化させ
るために、真空中で500℃の温度で約20分間熱処理
を実施した。
【0036】次に、CO2 レーザーを用いて、ダイヤモ
ンド膜を約300μmのピッチで切断し、図7に示す形
状のダイヤモンドサーミスタチップを得た。このとき、
1枚のダイヤモンド膜から略立方体のダイヤモンドサー
ミスタチップを約5000個得ることができた。
【0037】次いで、このダイヤモンドサーミスタチッ
プの電極に、直径が約300μmの白金線を圧着し、パ
ッケージに封入して、図5に示す形状のダイヤモンドサ
ーミスタを得た。
【0038】このようにして製造したダイヤモンドサー
ミスタの抵抗−温度特性を調べた。図8は、横軸に温度
(℃及び1000/T(K-1))をとり、縦軸に抵抗値をと
って、上述の方法により製造したダイヤモンドサーミス
タの特性を示すグラフ図である。この図8から明らかな
ように、本実施例方法により製造したダイヤモンドサー
ミスタは、室温から約800℃の高温度まで測定可能で
あることが明らかである。
【0039】なお、ダイヤモンドサーミスタの感温部又
は感温部と電極との両方を、酸化シリコン、窒化シリコ
ン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素
及び酸化ジルコニウムからなる群から選択された少なく
とも1種の物質からなる保護膜によってコーティングす
ることにより、高温での感温部表面のダイヤモンドの酸
化を防止でき、ダイヤモンドサーミスタの耐熱性を向上
させることができる。また、前記保護膜を、絶縁性ダイ
ヤモンド層と、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アル
ミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及び酸化ジル
コニウムからなる群から選択された少なくとも1種の物
質からなる層との積層構造とすることにより、ダイヤモ
ンドサーミスタの耐熱性をより一層向上させることがで
きる。このため、ダイヤモンドサーミスタの感温部又は
感温部と電極との両方を、上述の物質により構成された
保護膜で被覆することが好ましい。
【0040】更に、上述の実施例においては、基板上に
ダイヤモンド膜を形成した後、基板周辺部のみを残し他
の部分を除去してダイヤモンド膜の裏面を露出させてダ
イヤモンドサーミスタを製造する方法について説明した
が、例えば基板として低抵抗のものを使用した場合は基
板を除去する工程を省略することができる。即ち、この
場合は、基板上にダイヤモンド膜を形成し、ダイヤモン
ド膜の表面側及び基板の裏面側にオーミック電極を形成
した後、ダイヤモンド膜及び基板をバルク状に切り出し
て、ダイヤモンドサーミスタを製造する。この場合も、
上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、そ
の感温部が気相合成法により形成されたバルク状の半導
電性ダイヤモンドにより構成されているから、感温部の
抵抗値のばらつきを抑制することが容易である。
【0042】また、本発明に係るダイヤモンドサーミス
タの製造方法によれば、基板の一方の面側にダイヤモン
ド膜を気相合成し、前記ダイヤモンド膜の表面及び裏面
又は前記ダイヤモンド膜の表面及び前記基板の裏面に導
電膜を形成し、その後前記ダイヤモンド膜をバルク状に
切り出すから、感温部がバルク状のダイヤモンドにより
構成されたダイヤモンドサーミスタを容易に且つ大量に
製造することができる。従って、本発明方法によれば、
ダイヤモンドサーミスタの製品コストを低減することが
できるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るダイヤモンドサーミスタ
の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。
【図2】同じくその製造方法の次の工程を示す模式的断
面図である。
【図3】同じくその製造方法の次の工程を示す模式的断
面図である。
【図4】同じくその製造方法の次の工程を示す模式的斜
視図である。
【図5】同じくその製造方法の次の工程を示す模式的斜
視図である。
【図6】基板のエッチング方法の一例を示す模式的断面
図である。
【図7】ダイヤモンドサーミスタチップを示す斜視図で
ある。
【図8】ダイヤモンドサーミスタの特性を示すグラフ図
である。
【符号の説明】
1;基板 2;ダイヤモンド膜 2a;感温部 3;オーミック電極膜 3a;オーミック電極 5;リード線 6;キャップ 7;セラミックス支持台 8;アピエゾンワックス 9;レーザー光線 10;サーミスタチップ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相合成法により形成されたバルク状の
    半導電性ダイヤモンドを備えた感温部を有することを特
    徴とするダイヤモンドサーミスタ。
  2. 【請求項2】 前記感温部は、ダイヤモンド成長方向の
    厚さが100μm乃至3mmであることを特徴とする請
    求項1に記載のダイヤモンドサーミスタ。
  3. 【請求項3】 前記バルク状の半導電性ダイヤモンド
    は、気相合成する際に用いられた基板が除去されている
    ことを特徴とする前記請求項1又は2に記載のダイヤモ
    ンドサーミスタ。
  4. 【請求項4】 前記感温部は、酸化シリコン、窒化シリ
    コン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ
    素及び酸化ジルコニウムからなる群から選択された少な
    くとも1種の物質からなる保護膜に被覆されていること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダ
    イヤモンドサーミスタ。
  5. 【請求項5】 前記感温部は、絶縁性ダイヤモンド層
    と、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、
    窒化アルミニウム、窒化ホウ素及び酸化ジルコニウムか
    らなる群から選択された少なくとも1種の物質からなる
    層との積層構造の保護膜に被覆されていることを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダイヤモン
    ドサーミスタ。
  6. 【請求項6】 基板の一方の面上に気相合成法によりダ
    イヤモンド膜を形成する工程と、前記基板の少なくとも
    一部分を除去して前記ダイヤモンド膜の基板側の面の少
    なくとも一部分を露出させる工程と、前記ダイヤモンド
    膜の表面及び裏面に導電膜を被着する工程と、この導電
    膜が両面に被着した部分の前記ダイヤモンド膜をバルク
    状に切り出して電極が設けられた感温部を得る工程と、
    を有することを特徴とするダイヤモンドサーミスタの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 基板の一方の面上に気相合成法によりダ
    イヤモンド膜を形成する工程と、前記ダイヤモンド膜の
    表面及び前記基板の他方の面に導電膜を被着する工程
    と、この導電膜が被着した前記ダイヤモンド膜を前記基
    板と共にバルク状に切り出して電極が設けられた感温部
    を得る工程と、を有することを特徴とするダイヤモンド
    サーミスタの製造方法。
JP16486593A 1993-07-02 1993-07-02 ダイヤモンドサーミスタ及びその製造方法 Pending JPH0722205A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107631809A (zh) * 2017-10-16 2018-01-26 山东省科学院海洋仪器仪表研究所 一种基于金刚石薄膜的全海深温度传感器及其制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107631809A (zh) * 2017-10-16 2018-01-26 山东省科学院海洋仪器仪表研究所 一种基于金刚石薄膜的全海深温度传感器及其制备方法

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