JPH0721881B2 - Edraw型光記憶媒体の作製方法 - Google Patents

Edraw型光記憶媒体の作製方法

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JPH0721881B2
JPH0721881B2 JP62297477A JP29747787A JPH0721881B2 JP H0721881 B2 JPH0721881 B2 JP H0721881B2 JP 62297477 A JP62297477 A JP 62297477A JP 29747787 A JP29747787 A JP 29747787A JP H0721881 B2 JPH0721881 B2 JP H0721881B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光デイスクに代表される光記憶において、記
録及び消去の可能な、いわゆるEDRAW型光デイスクの作
製方法に関する。
〔従来の技術〕
コンパクト・デイスク(CD)等に代表される光デイスク
は、大容量の外部記録媒体として注目を集めている。し
かしながら、現在市販されている光デイスクは、CDの様
な読み出し専用のものや、ユーザーが自分で一度だけ書
き込みが出来るが、記録の消去は出来ない追記型だけで
ある。
CS2−Te系光デイスクに代表される追記型光記憶方法
は、レーザー光を記録媒体に照射し物理的に孔を開ける
ことで読み出しレザー光の反射率を変化させて記録を行
う孔開け光記憶方式であるため、追記型光記憶方法で
は、記録すなわち孔を消消去することが出来ず、したが
つて同じ場所に別の記録を再書き込みすることも出来な
かつた。また、記録孔を開けるときに発生するガスを逃
がすために光デイスク内に空隙層を設けたエアーサンド
イツチ構造にしなければならず、しかも、この発生した
ガスを光デイスク内から放出するための穴を設けねばな
らないなど、光デイスクそのものの構成が複雑になつて
いた。更に、このガスを放出する穴を通じて外界の空気
と記録媒体とが直接接触するため、外界の温度や湿度、
ゴミ等によつて光デイスク媒体上の記録安定性が損なわ
れる危険性があつた。
また、この孔開け光記憶方式では、レーザー光により孔
の開く大きさが決まつているため、記録ピツト間(孔と
孔の間隔)を詰めることが出来ず、記録密度は原理的に
孔の大きさにより限定されていた。
更に、レーザーで記録媒体に孔を開けるときに生じる飛
散物や記録ピツト周辺部の盛り上がり、孔の形状によつ
て読み出し時の信号の劣化(SN比の低下)が起こつてい
た。
追記型光記憶方法の外に、EDRAW型光記憶・消去方法す
なわち記録の消去・再書き込みの出来る光デイスク媒体
は、現在、研究開発中のカー効果を利用する光磁気記録
方法があるが、光磁気記録では読み出し信号となる旋光
角度の変化(カー効果による旋光角度の変化)は非常に
小さく、0.5〜1度程度しかない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このため、EDRAW型光記憶媒体に書き込まれた記録信号
を検出するための光磁気ヘツドの設計・開発は非常に困
難なものである。また、光磁気記録媒体で使用する材料
はTbやCo、Fe等の高価な金属でありコスト高となる。し
かも量産体制となつた場合には材料が金属であるため廃
棄処理問題が深刻になる恐れがあつた。
更に、これらの記録方式は光を一度熱に変換してその熱
で記録するサーマルモードであるため、光デイスク媒体
上での熱拡散を抑制することが出来ず、このため、記録
密度を向上することは原理的限界に阻まれていた。
本発明の目的は、大容量の光記憶媒体において、記録の
消去・再書き込みが出来、光デイスクの構成及び作製が
簡単で、しかも記録原理がサーマルモードではなくフオ
トンモードのEDRAW型光記憶媒体の作製方法を提供する
ことにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明はEDRAW型光記憶媒体の作
製方法に関する発明であつて、励起光によつて構造や
色、電子状態、結合を可逆的に変化させる化合物に、励
起光を照射して色、電子状態、結合を変化させた状態に
しておき、この変化した状態のまま光デイスク基板上に
薄膜を形成させることを特徴とする。
本発明によるEDRAW型光記憶媒体の作製は、操作性や量
産性に優れたスピンコート法や、デイツピング法、ソル
ベント・キヤスト法により行える長所を持つている。
すなわち、前記薄膜の形成方法の例としては、暗所でス
ピンコートする法、励起光を照射しながらスピンコート
する法、デイツピング法、及びソルベント・キヤスト法
などが挙げられる。
また、本発明により作製した光デイスクでは、光記憶媒
体に孔を開けずに記録することが出来るため、記録ピツ
ト作製に伴うガスや飛散物の発生等が全くなく、光デイ
スク内にガス放出用の穴を設ける必要がなく光デイスク
の構造が簡単になる。しかもガス放出用の穴がないた
め、光記憶媒体を完全に外界と隔絶することが出来、記
録安定性を向上させることが出来る。また、孔開け記録
方式と違つて孔の大きさによる記録密度の限界がなく飛
躍的に記録密度を向上することが出来る。
本発明は、記録の消去・再書き込みの可能なEDRAW型光
記憶・消去方式であるため、従来の孔開け光記憶では不
可能であつた記録の消去・再書き込みが可能となつた。
更に、記録方式としては、光磁気媒体のような光を熱に
変換して記録するサーマルモードではなく、直接、光を
分子変化に用いて記録するフオトンモード記録を使用し
ているため、熱拡散等の問題はなく、しかも光強度によ
る階調記録が可能であるため、飛躍的な記録密度の向上
ができる。
また、光記録膜に使用する媒体材料は有機物であるた
め、コストが安くなり、しかも廃棄処理問題は発生しな
いという長所を合せ持つている。
本発明における、励起光によつて色、電子状態、結合が
変化した状態になり、この変化した状態のままスピンコ
ート法や、デイツピング法、ソルベント・キヤスト法に
より基板上にEDRAW型光記憶媒体を形成できる化合物と
しては、H.G.ヘラー(H.G.Heller)の開発したフルギド
化合物〔H.G.ヘラー、ケミカル インダストリー(Che
m.Ind.)、第18巻、第945頁(1975)〕、入江らが開発
した1,2−ジアリル・エテン誘導体、1,2−ジチエニル・
エテン誘導体、1,2−ジインドール・エテン誘導体〔日
本化学会第54春季年会講演予稿集II,1525−1526(198
7)〕等がある。これらの化合物は、励起光によつて
色、電子状態、結合の変化した状態が熱的に非常に安定
であり、色、電子状態、結合が励起光によつて変化する
その他の化合物、例えばスピロピラン化合物等と比較す
ると、スピロピラン化合物では変化した状態が室温付近
の温度により元の状態に戻つてしまうに対し、上記のヘ
ラーや入江らが開発した化合物では、室温では元の状態
には戻らない性質を持つている。
これらの変化を以下に構造式で例示する。
しかして、上記各式において、1−aはフルギド化合
物、1−bは1,2−ジアリル・エテン誘導体、1−cは
1,2−ジチエニル・エテン誘導体、1−dは1,2−ジイン
ドール・エテン誘導体の代表的化合物の構造式である。
〔発明の効果〕
この性質を利用し、スピロピラン化合物では作製不可能
であつた変化した状態のままの光デイスク基板上へのED
RAW型光記憶媒体の作製が、これらの化合物を利用する
ことにより可能となつた。本発明によつて作製したEDRA
W型光記憶媒体は、励起光照射により色、電子状態、結
合が変化した状態であるので透明なアモルフアス膜とな
るが、励起光を照射せずに元の状態のままEDRAW型光記
憶媒体を作製すると、微結晶膜となつてしまいレーザー
光によ光デイスク上の記録ピツトの読み出しが不可能と
なる記録媒体であつた。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例によつて更に具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されない。
なお、第1図は本発明の実施例1〜3で使用した1,2−
ジチエニル・エテン誘導体の吸収スペクトル変化を波長
(nm、横軸)と吸光度(縦軸)との関係で示したグラフ
である。第1図において実線は光を当てていない場合、
破線は光が当たつた場合を示す。
実施例1 2,3−ジ(2,3,5−トリメチルチエニル)−マレイン酸無
水物(1,2−ジチエニル・エテン誘導体、1−c)10gを
10mlのベンゼンに約50℃で加熱溶解し、この溶液をかく
はんしながら、360nmの紫外光を色の変化が飽和するま
で約1時間以上照射した(第1図参照)。色変化の飽和
はこの溶液をサンプリングし、ベンゼンで100倍に希釈
して分光器により測定し求めた。光源には500Wの超高圧
水銀灯(ウシオ電気社製、UI−501C型)に東芝色ガラス
フイルター(UV−D35)を装着して用いた。紫外光照射
終了後、色変化の飽和したこの溶液を暗所でスピンコー
ト(3000〜4000rpm)し、EDRAW型光記憶媒体を作製し
た。この膜にHe−Neレーザーを照射すると色は消色し、
紫外光を照射すると元に戻る可逆な変化を繰返すことを
確認した。
実施例2 実施例1で準備した色変化の飽和したベンゼン溶液をソ
ルベント・キヤスト法により製膜し、EDRAW型光記憶媒
体を作製した。この膜にもHe−Neレーザーを照射し色の
変化を観察したところ、He−Neレーザーにより消色し、
紫外光照射により元に戻る可逆な変化を繰返すことを確
認した。
実施例3 実施例1で準備した色変化の飽和したベンゼン溶液をデ
イツピング法により製膜し、EDRAW型光記憶媒体を作製
した。この膜にもHe−Neレーザーを照射し色の変化を観
察したところ、He−Neレーザーにより消色し、紫外光照
射により元に戻る可逆な変化を繰返すことを確認した。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1〜3で使用した1,2−ジチエ
ニル・エテン誘導体の吸収スペクトル変化を波長と吸光
度との関係で示したグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】励起光によつて構造や色、電子状態、結合
    を可逆的に変化させる化合物に、励起光を照射して色、
    電子状態、結合を変化させた状態にしておき、この変化
    した状態のまま光デイスク基板上に薄膜を形成させるこ
    とを特徴とするEDRAW型光記憶媒体の作製方法。
  2. 【請求項2】該薄膜の形成を、暗所でスピンコートして
    行う特許請求の範囲第1項記載のEDRAW型光記憶媒体の
    作製方法。
  3. 【請求項3】該薄膜の形成を、励起光を照射しながらス
    ピンコートして行う特許請求の範囲第1項記載のEDRAW
    型光記憶媒体の作製方法。
  4. 【請求項4】該薄膜の形成を、デイツピング法によつて
    行う特許請求の範囲第1項記載のEDRAW型光記憶媒体の
    作製方法。
  5. 【請求項5】該薄膜の作成を、ソルベント・キヤスト法
    によつて行う特許請求の範囲第1項記載のEDRAW型光記
    憶媒体の作製方法。
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