JPH0721775Y2 - キーシリンダ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、シリンダに組み込まれた複数のタンブラをシ
リンダに挿入したキーにより移動させて解錠するキーシ
リンダに関する。

従来の技術 まず、第３図及び第４図に従来例を示す。１は合成樹脂
製のボデイで、このボデイ１には、シリンダ２を回転自
在に保持する嵌合孔３と、相対向してこの嵌合孔３の両
側に連通する二つの凹部4,5とが形成されている。前記
嵌合孔３の手前には円形の拡開凹部６が形成され、嵌合
孔３の奥には円形のリブ７が形成されている。前記シリ
ンダ２はその軸心と直交する方向に移動する複数のタン
ブラ８を有している。これらのタンブラ８は、第４図に
示すようにコイルスプリング９により一方向に付勢さ
れ、中央部にはキー10が挿入される開口11が形成されて
いる。この開口11はキー10の谷12の深さに対応して位置
が定められている。さらに、第３図に示すように、前記
シリンダ２にはストッパ13が保持されている。このスト
ッパ13は前記リブ７の裏面に当接して前記ボデイ１から
の前記シリンダ２の抜止めをするものであるが、シリン
ダ２に対する組立構造は前記タンブラ８と同様で、コイ
ルスプリングによりシリンダ２の外周から突出するよう
に付勢されている。さらに、前記シリンダ２の手前側の
端部には、前記拡開凹部６に嵌合されたフランジ14が形
成されている。

したがって、通常は、各タンブラ８がコイルスプリング
９の付勢力により上縁がボデイ１の上側の凹部４内に突
出するため、シリンダ２を回転させることはできない
が、第３図に示すように、開口11の位置が異なるタンブ
ラ８の組み合わせに合った番号のキー10をシリンダ３に
挿入すると、各タンブラ８が凹部４から退避してシリン
ダ２の外周面内に隠れる。これにより、キー10を把持し
てシリンダ２を時計方向に回転させることができる。

ところで、タンブラ８は金属板によりプレス加工され、
ボデイ１はコストダウンのために合成樹脂により形成さ
れているために、第４図に示すように、ボデイ１の嵌合
孔３の内周面と凹部4,5の側面とを金属板20で覆うこと
により、タンブラ８との当接によるボデイ１の摩耗を防
止している。

考案が解決しようとする課題 金属板20はプレス加工により形成されているため、嵌合
孔３の内周面と凹部4,5の側面との境界部21に曲げＲが
形成される。したがって、第４図に示すように、タンブ
ラ８がシリンダ２の外周面から凹部４に突出していて
も、シリンダ２を時計方向に強い力で回すと、タンブラ
８の上縁右側の角部が境界部21の曲げＲに押圧され、こ
の時にタンブラ８はシリンダ２の内方に向かう分力を受
けてシリンダ２の外周面内に隠れる。すなわち、異番号
のキー10を挿入した場合、或いは、合った番号のキー10
を使用しても途中までしか挿入しない場合には、タンブ
ラ８をシリンダ２の外周面内に退避させることができな
いが、このような場合であってもシリンダ２が回転する
不具合が生じることがある。

このようなことから、例えば、実開昭63-46556号公報に
見られるように、円筒状の金属板の一部を切り欠いてそ
のエッジ部分にタンブラを係合させ、その金属板に係止
片を形成してボデイの凹部に係合させて位置決めするよ
うにしているものがある。この形状のものは、タンブラ
の角部を金属板のエッジに係合させることができるた
め、シリンダを強い力で回してもタンブラがシリンダ内
に移動して誤動作するような問題を解決している。しか
しながら、ボデイ内に設置される金属板の回転方向の位
置決めは、単に係止片と凹部との係合により行っている
ため、回転方向に遊びが生じ、その回転方向への確実な
位置決めを行うことが難しいと云う問題点を有する。

課題を解決するための手段 複数のタンブラを軸心と直交する方向に付勢して移動自
在に保持するシリンダと、 このシリンダを回転自在に保持する嵌合孔及びこの嵌合
孔に連通し前記タンブラが係脱する第１の凹部が形成さ
れるとともに、複数の第２の凹部が形成された合成樹脂
製のボデイと、 前記第１の凹部の側面と前記嵌合孔の内周面との境界部
の近傍に位置するエッジを端縁に有するとともに、前記
嵌合孔の円周方向に配設され、前記複数の第２の凹部に
係合し、相互に反対方向に曲折した複数の舌片を有し、
前記嵌合孔の内周面に固定的に沿設された弧状の金属板
と よりなる。

作用 嵌合孔の内周面に沿設された金属板は、相互に反対方向
に曲折した複数の舌片を第２の凹部に係合させてボデイ
に取り付けられているため、シリンダと金属板との間で
摩擦が生じても、金属板は位置ずれすることがなく、こ
れにより、タンブラの動きは所期の目的通り正確であ
り、信頼性の高いキーシリンダを得ることができるもの
である。

実施例 本考案の一実施例を第１図及び第２図に基づいて説明す
る。第３図及び第４図において説明した従来例と同一部
分は同一符号を用い説明も省略する。ボデイ１の嵌合孔
３の内周面には弧状の金属板15が沿設されている。これ
らの金属板15は、第２図に示すように、単に一方向に湾
曲されているだけに過ぎず、したがって、その両端縁に
は嵌合孔３の内周面と第１の凹部となる凹部4,5の側面
との境界部の近傍に位置するエッジ16が形成されてい
る。これらの金属板15には外側に突出する舌片17が切り
起こされて形成され、これらの舌片17に係合する第２の
凹部となる溝18が嵌合孔３の軸心と平行にこの嵌合孔３
の内周面に形成されている。

このような構成において、第１図に示すように、タンブ
ラ８の上縁がシリンダ２の外周面から凹部４に僅かに突
出する状態でシリンダ２に時計方向への回転力を付与し
たとしても、タンブラ８の側縁がエッジ16の当接するた
め、タンブラ８がシリンダ２の内方に向けて押圧される
分力の発生を防止することができる。これにより、異な
る番号のキー10をシリンダ２に挿入した場合、或いは、
合った番号のキー10を使用しても途中までしか挿入しな
い場合には、タンブラ８がシリンダ２の外周面から突出
することがあるが、このような場合でもシリンダ２の回
転を確実に阻止することができる。

また、合成樹脂製のボデイ１の摩耗を金属板15により防
止することができ、この金属板15は単に一方向に湾曲す
るだけで内周側の両端縁に必然的にエッジ16を容易に形
成することができ、これらのエッジ16も金属板15の板厚
を或る程度厚くすることにより鋭くすることができる。

なお、金属板15の周方向の動きは舌片17と溝18との係合
により規制され、軸方向の動きはボデイ１のリブ７とシ
リンダ２のフランジ14とにより規制され、半径方向の動
きはシリンダ２と嵌合孔３の内周面とにより規制され
る。

考案の効果 本考案は上述のように構成したので、嵌合孔の内周面に
沿設された金属板は弧状の形に形成されて端縁にエッジ
を有しているため、シリンダの外周面からタンブラが僅
かしか突出していない状態でシリンダに回転力を付与し
ても、タンブラの側縁がエッジに当接するため、タンブ
ラがシリンダの内方に向けて押圧される分力の発生を防
止することができ、したがって、番号の異なるキーを使
用した場合、或いは、合った番号のキーを使用しても途
中までしか挿入しない場合におけるシリンダの回転を確
実に防止することができ、また、合成樹脂製のボデイの
摩耗を金属板により防止することができ、この金属板は
所定の板厚の金属板を単に一方向に湾曲するだけで鋭い
エッジ形成することができるため、製作を容易にするこ
とができ、特に、嵌合孔の内周面に沿設された金属板
は、相互に反対方向に曲折した複数の舌片を第２の凹部
に係合させてボデイに取り付けられているため、シリン
ダと金属板との間で摩擦が生じても、金属板は位置ずれ
することがなく、これにより、タンブラの動きは所期の
目的通り正確であり、信頼性の高いキーシリンダを得る
ことができる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示すもので、第
１図は縦断正面図、第２図は金属板の斜視図、第３図及
び第４図は従来例を示すもので、第３図は一部を切欠し
た側面図、第４図は縦断正面図である。 １……ボデイ、２……シリンダ、３……嵌合孔、4,5…
…第１の凹部、８……タンブラ、15……金属板、16……
エッジ、17……舌片、18……第２の凹部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のタンブラを軸心と直交する方向に付
   勢して移動自在に保持するシリンダと、 このシリンダを回転自在に保持する嵌合孔及びこの嵌合
   孔に連通し前記タンブラが係脱する第１の凹部が形成さ
   れるとともに、複数の第２の凹部が形成された合成樹脂
   製のボデイと、 前記第１の凹部の側面と前記嵌合孔の内周面との境界部
   の近傍に位置するエッジを端縁に有するとともに、前記
   嵌合孔の円周方向に配設され、前記複数の第２の凹部に
   係合し、相互に反対方向に曲折した複数の舌片を有し、
   前記嵌合孔の内周面に固定的に沿設された弧状の金属板
   と よりなることを特徴とするキーシリンダ。