JPH07216895A - 鉄道路盤拡幅工事用土留壁材、及び鉄道路盤拡幅工法 - Google Patents

鉄道路盤拡幅工事用土留壁材、及び鉄道路盤拡幅工法

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JPH07216895A
JPH07216895A JP2597094A JP2597094A JPH07216895A JP H07216895 A JPH07216895 A JP H07216895A JP 2597094 A JP2597094 A JP 2597094A JP 2597094 A JP2597094 A JP 2597094A JP H07216895 A JPH07216895 A JP H07216895A
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retaining wall
wall material
earth retaining
concrete
water
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JP2597094A
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Keiichi Saito
啓一 斉藤
Seiichi Kouyachi
誠一 向谷地
Akio Yoneuchi
昭夫 米内
Yoshiharu Kondo
義春 近藤
Hiroshi Ishimaru
寛 石丸
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East Japan Railway Co
Original Assignee
OZAWA CONCRETE KOGYO KK
East Japan Railway Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄道の道床である路盤の拡幅工事に用いられ
る土留壁材、及びこれを利用した拡幅工法を提案する。 【構成】 透水性を有するコンクリート板2の一面側
に、その一部若しくは全部が土中に埋設されるアンカー
部1を一体に設けてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道の道床である路盤
の拡幅工事に用いられる土留壁材、及びそれを利用した
拡幅工法に関する。
【0002】
【従来の技術】新幹線と在来線とを結んだ直通運転方式
では、線路の幅(軌間)を1067mmから1435m
mに広げるため、軌道構造の関係より盛土の施工基面を
拡幅する必要がある。従来より上記施工基面の拡幅に
は、一定間隔を隔てて複数のH型鋼材を親杭として打込
んだ後にそのH型鋼材の打込み間隔に横矢板(RC板)
を配設させる簡易な土留方式が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法では盛土へH型鋼材を打込む場合に土中の埋設
ケーブルを切断する虞があるため、人力による坪掘確
認、或いは探知機による確認等を行なう必要があった。
また、高重量のH型鋼材及びRC板を用いるので、搬送
性及び作業性が悪く、特にH型鋼材の打込みはその作業
条件から人力に頼らざるを得ないので、極めて作業性が
悪いものであった。さらに、RC板は打込んだH型鋼材
により支持される構造であるから、この方法で施工され
る拡幅端面はH型鋼材の立設強度に依存することにな
り、長期間の使用に耐え得る強度とするにはH型鋼材を
土中深くまで打込まなければならなかった。
【0004】また、この方法では、H型鋼材自体及びR
C板自体には透水機能がなく、施工基面に浸透した雨水
等はH型鋼材とRC板との配設隙間から施工基面外へ排
出されるに過ぎない。したがって、施工基面に浸透した
雨水等が長期間滞留してしまい、施工基面が脆弱化、崩
壊してしまうという問題もあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑み提案
されたもので、透水性を有するコンクリート板の一面側
に、その一部若しくは全部が土中に埋設されるアンカー
部を一体に設けてなる鉄道路盤拡幅工事用土留壁材、及
び鉄道路盤拡幅工法に関するものである。
【0006】本発明における透水性を有するコンクリー
ト板は、土留壁を構成するものである。このコンクリー
ト板は、透水性を有するものであれば特にその構成を限
定するものではなく、例えば通常の(不透水性)コンク
リート板に孔を設けて透水可能としたものでも良いし、
骨材に少量の結合材を混合して作製される所謂『多孔質
コンクリート板』でも良い。
【0007】尚、上記透水性を有するコンクリート板の
一態様である通常の(不透水性)コンクリート板に孔を
設けて透水可能としたものは、土砂の流出を防止する不
織布等の透水シートを孔に取付けるようにすることが好
ましい。或いは土砂が流出しない程度の大きさの孔とす
ることが好ましい。そして、このコンクリート板は孔の
分だけ通常の(不透水性)コンクリート板よりも軽量で
ある。
【0008】また、上記透水性を有するコンクリート板
の一態様である所謂『多孔質コンクリート板』は、例え
ば骨材として粒度が1.2〜15mmの天然骨材、高炉
スラグ造粒セラミックス骨材を用い、結合材としてセメ
ントペースト等を用いた場合には骨材4〜8重量部に対
して結合材0.5〜2重量部を配合して作製することが
できるが、この配合割合は特に限定するものではない。
或いは強度を向上させるために、棒状或いは板状の高強
度材料、例えば溶接金網等を内在させるようにしても良
い。そして、このコンクリート板(『多孔質コンクリー
ト板』)は、形成される連続空隙の分だけ同一材料を用
いて同一寸法に成型した通常の(不透水性)コンクリー
ト板よりも軽量であるし、さらには表面に多数の凹凸が
形成されているため、土留壁とした場合に接する土砂と
の密着が良く、摩擦抵抗が高いので滑りにくい。
【0009】一方、本発明におけるアンカー部は、上記
コンクリート板(土留壁)が横滑りも傾倒、転倒もせず
に立設状態を保持することができるように、その一部若
しくは全部が土中に埋設されるものであり、特にその材
料、形状、数を限定するものではなく、コンクリート板
と一体に設けられる。このアンカー部は上記コンクリー
ト板の透水性を阻害しないように設けられるべきである
が、施工基面の掘削量を少なくするためにはコンクリー
ト板の上端から内側方向へ延在するように設けることが
好ましい。
【0010】例えば、アンカー部を、横滑り抵抗部を有
する高強度の繊維補強コンクリートとしても良い。上記
横滑り抵抗部としては横滑り方向に対して直交する方向
に設けられた片状部分などをあげることができるが、特
にこれに限定するものではない。さらに、アンカー部
を、前記コンクリート板(土留壁)に直交する面状に成
形するよりも、内側部分が欠除された略額縁状、言い換
えれば一辺を横滑り抵抗部とする中空枠体状に成形する
ことが好ましい。この構成のアンカー部を設けた土留壁
材は、例えば予め打設成型したコンクリート板を型枠内
に配した状態で繊維補強コンクリート(組成物)を打設
して適宜形状のアンカー部を形成し、その後養生等して
作製することができる。また、特に前記のようにアンカ
ー部を内側部分が欠除された略額縁状に成形した土留壁
材では、その設置作業に際して欠除された内側部分が上
方から供給される盛土を通過させるので、略片擂り鉢状
に掘削した施工基面に対しても安定に土留壁(コンクリ
ート板)を設置することができる。尚、繊維補強コンク
リートに代えて普通コンクリート等を用いても良いが、
前記のようにアンカー部を略額縁状に成形する場合には
形状的に強度が低くなるので、繊維補強コンクリートを
用いることが好ましい。
【0011】また、アンカー部を、普通コンクリート等
で形成した横滑り抵抗部を棒鋼で連絡したものとしても
良い。上記棒鋼と横滑り抵抗部との接続は、例えば横滑
り抵抗部の打設時に棒鋼の一端部を埋設させて成型、養
生することにより一体化させるものでも良いし、横滑り
抵抗部の打設時に適宜な接続具を埋設させて成型、養生
し、該接続具と棒鋼の一端部とを螺着、係着等適宜な固
定手段により一体化させるものでも良い。また、棒鋼の
他端部と前記コンクリート板(土留壁)との接続も同様
である。この構成のアンカー部を設けた土留壁材では、
横滑り抵抗部とコンクリート板との間に間隙が形成さ
れ、この間隙が前記略額縁状のアンカー部における内側
部分と同様に、設置作業時に上方からの盛土を通過させ
て同様の効果を奏することができる。また、特に前記の
ように適宜な接続具を横滑り抵抗部及びコンクリート板
の打設時に埋設させてそれぞれ成型、養生させ、現場或
いは工場にて組み立てるようにした土留壁材では、部材
を個別に製造することができるので、生産性が高いもの
となる。さらに、現場までの運搬や保管も部材毎にまと
めた状態で行なうことができるので、破砕や変形等を生
ずる虞がないという利点もある。
【0012】さらに、アンカー部を、ジオテキスタイル
としても良い。この場合、ジオテキスタイルの一端部を
コンクリート板(土留壁)の打設時に埋設させて成型、
養生することにより、極めて容易に土留壁材を作製する
ことができる。このように作製される土留壁材は、ジオ
テキスタイルがコンクリート板に比べて厚みが薄く且つ
柔軟であるため折り曲げが可能で多数積み重ねても破砕
等を起すことがないので、運搬性や保管性に優れてい
る。また、その設置作業に際してもジオテキスタイルを
適宜に折り曲げて容易に行うことができる。さらに、複
数のジオテキスタイルを設けるようにした場合にも、上
記運搬性、保管性、施行性を低下させることがない。
【0013】上記のように作製される土留壁材は、施工
基面の端部に極めて容易に設置することができる。即
ち、まず、施工基面を略片擂り鉢状に掘削した後、内面
側にアンカー部が位置するように土留壁材を配設する。
そして、コンクリート板(土留壁)が略直立状になるよ
うに支えた状態で、アンカー部の一部若しくは全部が土
中に埋設されるように盛土を行なえば良い。また、その
後、足踏み及び表面振動機により敷き固めるようにして
も良いし、支持杭を打込むようにしても良い。
【0014】そして、土留壁材は前記のような構成のア
ンカー部を設けているので、横滑りも傾倒、転倒もせず
に立設状態を保持されるものとなる。また、施工基面に
浸透した雨水はコンクリート板(土留壁)を透過して施
工基面外へ排出されるので、施工基面が脆弱化、崩壊す
ることがない。
【0015】
【実施例】以下に、本発明を実施例を示す。
【0016】[実施例1]まず、図1に示すような型枠
を組み、接合部に剥離剤を塗布し、プラスチックスペー
サーでかぶりを調整しながら鉄筋を装着した。尚、上記
鉄筋は線径2.6mm,網目寸法100mmの溶接金網
であり、これを断面が略逆L字状で、且つ横部分が略ロ
字状になるように作製されたものを使用した。次に、表
1に示す配合で混練りした多孔質コンクリート組成物を
上記型枠内(図中aで示す部分)へ投入し、テーブル振
動機で敷き固めた。多孔質コンクリート組成物が必要な
高さまで充填された後、表2に示す配合で混練りされた
繊維補強コンクリート組成物を型枠内(図中bで示す部
分)へ投入し、テーブル振動機で敷き固めた。そして、
繊維補強コンクリート組成物が型枠頂面まで充填された
ら金ごてで表面を仕上げ、前置2hr,昇温20℃/h
r,最高温度65℃,保持4時間,自然降下の条件で蒸
気養生を行った。蒸気養生終了後、脱型を行い、脱型後
は屋外放置とし、1日1回(晴天時)散水を行って土留
壁材を得た。図2に上記土留壁材を示したが、図中、1
は土留壁材、2はコンクリート材(土留壁)、3はアン
カー部、4は横滑り抵抗部である。尚、以下の実施例に
おける原材料は、特記しない限り前記のものを用いた。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】[実施例2]前記図2に斜線で示す4本の
支持杭5(45×45×450mm,再生機による再生
プラスチック製、協和産興株式会社製『角杭』)を打ち
込んだ以外は前記実施例1と同様に作製して土留壁材を
得た。
【0020】[実施例3]まず、図3に示すような型枠
(2種)を組み、接合部に剥離剤を塗布し、土留壁用及
び横滑り抵抗部用のそれぞれの型枠内に、予め所要の長
さに切断した8本の接続具(配管用炭素鋼鋼管SGP1
0A)を所定の位置に取り付けた。そして、土留壁用の
型枠内には多孔質コンクリート組成物を型枠高さの半分
位まで投入し、略平面状の鉄筋を装着した後、再度多孔
質コンクリート組成物を充填した。一方、横滑り抵抗部
用の型枠内には略逆L字状の鉄筋をプラスチックスペー
サーでかぶりを調整しながら装着し、表3に示す配合で
混練りされた普通コンクリート組成物を充填した。充填
中の締固めは多孔質コンクリート組成物及び普通コンク
リート組成物共にテーブル振動機を用いて行った。ま
た、表面の仕上げは普通コンクリートは金ごて、多孔質
コンクリート組成物は表面振動機を用いて行った。そし
て、前置2hr,昇温20℃/hr,最高温度65℃,
保持4hr,自然降下の条件で蒸気養生を行った。蒸気
養生終了後、脱型を行った。脱型後は屋外放置とし、1
日1回(晴天時)散水を行った。最後に、4本の棒鋼
(全ねじボルト,ねじの呼びM12)、16本の六角ナ
ット(ボルトM12用)、16本の平座金(並丸,呼び
径12mm)を用いて組み立てて土留壁材を得た。図4
に上記土留壁材を示したが、図中、13 は土留壁材、2
3 はコンクリート材(土留壁)、33 はアンカー部、4
3 は横滑り抵抗部、63 は接続具、73 は棒鋼である。
【0021】
【表3】
【0022】[実施例4]前記図4に斜線で示す4本の
支持杭54 を打ち込んだ以外は前記実施例3と同様に作
製して土留壁材を得た。
【0023】[実施例5]まず、コンクリートパネル
(塗装合板)と角材とを用いて土留壁用の型枠を組み、
接合部に剥離剤を塗布した。次に、多孔質コンクリート
組成物を型枠高さの半分位まで投入し、予めそれぞれ長
さが異なる3枚のジオテキスタイルを鉄筋に結束線で縛
り付けたものを装着した後、再度多孔質コンクリート組
成物を充填した。尚、上記ジオテキスタイルは二軸延伸
ポリプロピレン(PP)からなるジオグリットテンサー
SS−35(三菱油化産資株式会社製)である。充填中
の締固めはテーブル振動機を用いて行った。また、表面
の仕上げは表面振動機を用いて行った。そして、前置2
hr,昇温20℃/hr,最高温度65℃,保持4h
r,自然降下の条件で蒸気養生を行った。蒸気養生終了
後、脱型を行った。脱型後は屋外放置とし、1日1回
(晴天時)散水を行って土留壁材を得た。図5に上記土
留壁材を示したが、図中、15 は土留壁材、25 はコン
クリート材(土留壁)、35 はアンカー部である。
【0024】[実施例6]2枚の略同一の長さのジオテ
キスタイルを用いたこと以外は前記実施例5と同様に作
製して土留壁材を得た。図6に上記土留壁材を示した
が、図中、16 は土留壁材、26 はコンクリート材(土
留壁)、36 はアンカー部である。
【0025】[実施例7]前記図6に斜線で示す4本の
支持杭57 を打ち込んだ以外は前記実施例6と同様に作
製して土留壁材を得た。
【0026】[実施例8]予め型枠内にポリ塩化ビニル
製のパイプ(20φ)を5本取り付けたこと、また多孔
質コンクリート組成物に代えて表3に示す配合で混練り
された普通コンクリート組成物を用いたこと、さらに成
形後のコンクリート板(土留壁)に接着剤を用いて透水
シート(不織布)を貼着させ、上記パイプの孔(開口部
分)を透水シートで覆うようにしたこと、以外は前記実
施例1と同様に作製して土留壁材を得た。図7に上記土
留壁材を示したが、図中、18 は土留壁材、28はコン
クリート材(土留壁)、38 はアンカー部、48 は横滑
り抵抗部、88 は孔、98 は透水シートである。
【0027】[実施例9]予め型枠内にポリ塩化ビニル
製のパイプを5本取り付けたこと、また多孔質コンクリ
ート組成物に代えて普通コンクリート組成物を用いたこ
と、さらに成形後のコンクリート板(土留壁)に接着剤
を用いて透水シートを貼着させ、上記パイプの孔を透水
シートで覆うようにしたこと、以外は前記実施例3と同
様に作製して土留壁材を得た。図8に上記土留壁材を示
したが、図中、19 は土留壁材、29 はコンクリート材
(土留壁)、39 はアンカー部、49 は横滑り抵抗部、
9 は接続具、79 は棒鋼、89 は孔、99 は透水シー
トである。
【0028】[実施例10]予め型枠内にポリ塩化ビニ
ル製のパイプを5本取り付けたこと、また多孔質コンク
リート組成物に代えて普通コンクリート組成物を用いた
こと、さらに成形後のコンクリート板(土留壁)に接着
剤を用いて透水シートを貼着させ、上記パイプの孔を透
水シートで覆うようにしたこと、以外は前記実施例8と
同様に作製して土留壁材を得た。図9に上記土留壁材を
示したが、図中、110は土留壁材、210はコンクリート
材(土留壁)、310はアンカー部、810は孔、910は透
水シートである。
【0029】〈試験用盛土〉試験用盛土の構築断面は図
10に示す通りであり、長さは2.5mとした。下部盛
土は普通土を、上部盛土は締固め度の均一化を図るた
め、川砂をそれぞれ3層で転圧し仕上げた。尚、各盛土
の管理として予めコーン支持力と含水比を測定し、大き
なバラツキがないことを確認した。
【0030】〈拡幅工の設置〉試験用の拡幅工は、土留
壁の根入れを10cmとし、のり面に前記実施例1〜7
の土留壁材をそれぞれ5体設置した。このうち中央部の
拡幅工を載荷試験用とした。川砂の埋戻しは人力作業を
考慮して足踏み及び表面振動機により締固めた。
【0031】〈鉛直載荷試験〉載荷荷重としては、保守
巡回時や軌道作業に伴う群衆荷重、PCまくらぎ等の軌
道材料及び軌道作業用の機器具の仮置き等が想定され
る。このうち、レール交換時のレール仮置き時が最大と
なり、約600kgfが作用することになる。試験では
20×60×65cmで600kgの重りを用いて3〜
5回の繰り返し鉛直載荷を行ない、鉛直変位及び水平変
位を各4点測定した。結果は表4に示した。
【0032】
【表4】
【0033】〈水平滑動試験〉水平滑動試験は鉛直荷重
600kgfを除き、拡幅工の土留壁高さの1/3点を
水平方向に引っ張り、透水性コンクリート板の傾斜或い
は横滑りが起る直前の荷重を最大引張荷重とし、またそ
の時点の鉛直及び水平変位を各4点測定した。結果は表
4に示した。
【0034】尚、図11,12には鉛直方向の荷重−変
位曲線の関係を示し、図13,14には水平方向の荷重
−変位曲線の関係を示した。前記のように鉛直載荷試験
で600kgf/1体の繰り返し鉛直載荷を行なった
が、実施例1〜7の土留壁材は、破壊されることがな
く、盛土の脆弱化、崩壊も起さなかった。また、前記の
ように水平滑動試験で水平方向に引張り載荷を与えた
が、最大引張り荷重が50〜80kgf/1体でも実施
例1〜7の土留壁材は横滑りや傾倒、転倒を起さなかっ
た。
【0035】また、各実施例(1〜7)と最大引張荷重
との関係を図15に示した。実施例1,3の結果より、
横滑り抵抗部を設けた土留壁材(Aタイプという)の最
大引張荷重は約75kgf/0.5mであるといえる。
実施例5,6の結果より、横滑り抵抗部を設けない土留
壁材(Bタイプという)の最大引張荷重は約50kgf
/0.5mであるといえる。そして、支持杭を打ち込む
ことにより上記何れのタイプのものも耐力は向上した
が、実施例4では形状の影響から支持杭が打ち込みづら
く効果が現れなかった。
【0036】最大引張力は図16(a),(b)に示す
ように、土の剪断力と土留壁材の摩擦力とに影響される
とすると、Aタイプ及びBタイプは以下に示すように計
算される。
【0037】
【数1】
【数2】
【0038】尚、上式では土の内部摩擦角を35°と仮
定しているが、この値が40°の場合にはPmax はta
nσ40°/tan35°≒1.2(倍)となり、それ
ぞれ76(kgf/0.5m),49(kgf/0.5
m)と計算され、実験値の約75(kgf/0.5
m),50(kgf/0.5m)とほぼ一致する。
【0039】鉛直変位の変位状況は表及び図に示した。
これより、砂の埋戻しから600kgfの鉛直載荷終了
までに1〜3mmの変位を生じているが、実施例4を除
いて各実施例の鉛直変位の変位状況に大きな差は見られ
ないといえる。また、実施例4については支持杭が効果
的に作用しなかったため、最大引張荷重付近で土留壁材
が水平に引っ張られると共に沈下する変位を示してい
る。
【0040】水平変位の変位状況は表及び図に示した。
これより、AタイプはBタイプと比較して変位量が小さ
く安定しているといえる。Bタイプは砂の埋戻し終了迄
に大きく変位しているが、その後の変位量はAタイプと
同様に小さく安定している。本試験においては、製品の
側壁根入れ深さが10cmの状態から変位を測定したた
めこのような結果になったが、施行の際の変位量を小さ
く抑えることにより、Bタイプの製品でも安定した構造
とすることは可能と思われる。
【0041】路盤拡幅工の構造形式としてAタイプ及び
Bタイプの二種類のものについて検討を行ったがその結
果は次のようにまとめられる。 最大引張荷重はAタイプで75(kgf/0.5
m),Bタイプで50(kgf/0.5m)となり、両
者とも滑動に対して十分に安定した構造であるといえ
る。 支持杭を打ち込んだ構造とすることにより、最大引張
荷重を100(kgf/0.5m)以上とすることがで
き、安全性を向上させることができる。 タイプは施行時、レール相当重量載荷時及び滑動試験
時において鉛直変位、水平変位ともに小さく、安定した
構造である。 Bタイプは施行時に変位量を小さくする対応が必要と
なるが、施行後の安定性はAタイプと同様である。
【0042】以上本発明を実施例を示したが、本発明は
前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲
に記載した構成を変更しない限りどのようにでも実施す
ることができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鉄道路盤
拡幅工事用土留壁材は、土中に一部若しくは全部が埋設
されるアンカー部が設けられているので、従来のように
親杭を用いなくても横滑りや傾倒、転倒を防止すること
ができるものである。
【0044】また、本発明の土留壁材は、透水性コンク
リート板が孔或いは連続空隙を有するので、従来のRC
板を用いたものに比べて軽量であり、特に連続空隙を有
する所謂『多孔質コンクリート板』とした場合には重機
による移動を必要とせず、人力作業による施工性に優れ
ている。
【0045】さらに、本発明の土留壁材は透水性を有し
ているので、施工基面に浸透した雨水を速やかに施工基
面外へ排出することができ、施工基面が脆弱化、崩壊す
ることがない。
【0046】また、透水性コンクリート板を所謂『多孔
質コンクリート板』とした場合には、その表面に多数の
凹凸が形成されているため、接する土砂との密着が良
く、摩擦抵抗が高いので滑りにくい。
【0047】特に、繊維補強コンクリートからなって横
滑り抵抗部を有するアンカー部を設けた土留壁材は、強
度が高いものとなる。
【0048】また、横滑り抵抗部を棒鋼で連絡してなる
アンカー部を設けた土留壁材は、横滑り抵抗部と棒鋼、
透水性コンクリート板と棒鋼、のそれぞれの連絡を、現
場で行うようにすることもでき、その場合には個別に製
造することができるので、生産性が高いものとなる。
【0049】さらに、ジオテキスタイルであるアンカー
部を設けた土留壁材は、柔軟なジオテキスタイルを折り
曲げ、多数の積み重ねて搬送することができるので、搬
送性に優れている。
【0050】加えて、本発明の鉄道路盤拡幅方法は、従
来のように親杭を必要とすることがないので埋設ケーブ
ルを切断する虞がない。また施工時に土工量が少ないの
で、施工期間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の土留壁材を作製するための型枠を示
す分解斜視図である。
【図2】実施例1の土留壁材の(a)正面図、(b)平
面図、(c)側面図である。
【図3】実施例3の土留壁材を作製するための型枠を示
す分解斜視図である。
【図4】実施例3の土留壁材の(a)正面図、(b)平
面図、(c)側面図である。
【図5】実施例5の土留壁材の(a)正面図、(b)平
面図、(c)側面図である。
【図6】実施例6の土留壁材の(a)正面図、(b)平
面図、(c)側面図である。
【図7】実施例8の土留壁材の(a)正面図、(b)平
面図、(c)側面図である。
【図8】実施例9の土留壁材の(a)正面図、(b)平
面図、(c)側面図である。
【図9】実施例10の土留壁材の(a)正面図、(b)
平面図、(c)側面図である。
【図10】試験用盛土の形状と試験法の概略を示す側断
面図である。
【図11】実施例1〜4における鉛直方向の荷重−変位
曲線の関係を示すグラフである。
【図12】実施例5〜7における鉛直方向の荷重−変位
曲線の関係を示すグラフである。
【図13】実施例1〜4における水平方向の荷重−変位
曲線の関係を示すグラフである。
【図14】実施例5〜7における水平方向の荷重−変位
曲線の関係を示すグラフである。
【図15】実施例1〜7の最大引張荷重を示すグラフで
ある。
【図16】土の剪断力と土留壁材の摩擦力との作用状態
を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 土留壁材 2 コンクリート材(土留壁) 3 アンカー部 4 横滑り抵抗部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米内 昭夫 東京都千代田区丸の内一丁目6番5号 東 日本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 近藤 義春 栃木県安蘇郡田沼町大字山形字中妻699 小沢コンクリート工業株式会社技術研究所 内 (72)発明者 石丸 寛 栃木県安蘇郡田沼町大字山形字中妻699 小沢コンクリート工業株式会社技術研究所 内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透水性を有するコンクリート板の一面側
    に、その一部若しくは全部が土中に埋設されるアンカー
    部を一体に設けてなる鉄道路盤拡幅工事用土留壁材。
  2. 【請求項2】 アンカー部は、繊維補強コンクリートか
    らなって横滑り抵抗部を有するものであることを特徴と
    する請求項1記載の鉄道路盤拡幅工事用土留壁材。
  3. 【請求項3】 アンカー部は、横滑り抵抗部を棒鋼で連
    絡してなるものであることを特徴とする請求項1記載の
    鉄道拡幅工事用土留壁材。
  4. 【請求項4】 アンカー部は、ジオテキスタイルである
    ことを特徴とする請求項1記載の鉄道路盤拡幅工事用土
    留壁材。
  5. 【請求項5】 施工基面を掘削した後、内面側にアンカ
    ー部が位置するように請求項1乃至4に記載の土留壁材
    を立設し、該土留壁材のアンカー部の一部若しくは全部
    に盛土をすることを特徴とする鉄道路盤拡幅工法。
JP2597094A 1994-01-31 1994-01-31 鉄道路盤拡幅工事用土留壁材、及び鉄道路盤拡幅工法 Pending JPH07216895A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018131742A (ja) * 2017-02-13 2018-08-23 大森建設株式会社 保線作業用通路
CN110761127A (zh) * 2019-12-04 2020-02-07 中铁二院工程集团有限责任公司 一种岩石地基既有高铁路堤力平衡帮宽结构及构筑方法

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