JPH07216548A - 燃料噴射ノズル装置の耐摩耗性摺動部材 - Google Patents
燃料噴射ノズル装置の耐摩耗性摺動部材Info
- Publication number
- JPH07216548A JPH07216548A JP3197394A JP3197394A JPH07216548A JP H07216548 A JPH07216548 A JP H07216548A JP 3197394 A JP3197394 A JP 3197394A JP 3197394 A JP3197394 A JP 3197394A JP H07216548 A JPH07216548 A JP H07216548A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】 燃料噴射ノズル装置の相手材と相対的に当接
または摺動する部位にプラズマ窒化処理により窒化皮膜
を形成させ、引続きその上にプラズマ化学蒸着によるTi
CN皮膜を形成させた燃料噴射ノズル装置の耐摩耗性摺動
部材。 【効果】 摺動部材の変形を伴わず、部材に密着性が良
好で、表面の平滑な膜が均一に部材に形成され、衝撃に
強く、超硬質な皮膜であるので耐摩耗性にすぐれる。
または摺動する部位にプラズマ窒化処理により窒化皮膜
を形成させ、引続きその上にプラズマ化学蒸着によるTi
CN皮膜を形成させた燃料噴射ノズル装置の耐摩耗性摺動
部材。 【効果】 摺動部材の変形を伴わず、部材に密着性が良
好で、表面の平滑な膜が均一に部材に形成され、衝撃に
強く、超硬質な皮膜であるので耐摩耗性にすぐれる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料噴射ノズル装置の
相手材と相手材と相対的に当接または摺動する部位に、
プラズマ窒化処理及びプラズマ化学蒸着処理(以下化学
蒸着をCVDと記す)を連続的に施すことにより、耐摩
耗性超硬質層の傾斜皮膜を形成させた燃料噴射ノズル装
置の耐摩耗性摺動部材に関するものである。
相手材と相手材と相対的に当接または摺動する部位に、
プラズマ窒化処理及びプラズマ化学蒸着処理(以下化学
蒸着をCVDと記す)を連続的に施すことにより、耐摩
耗性超硬質層の傾斜皮膜を形成させた燃料噴射ノズル装
置の耐摩耗性摺動部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルコール燃料等を使用する内燃機関に
おいて、燃料噴射ノズル装置の摺動部位であって関係部
材と当接、摺動する部位、例えば、インジェクタのニー
ドルバルブのガイド部及びノズルのシート面、は過酷な
摩耗作用を受ける。そこでこれらの部位の摩耗作用を少
なくするため、従来は高級な耐摩耗性材料を使用すると
共に摺動機能を高めることによって、その耐摩耗性の向
上を図ってきた。
おいて、燃料噴射ノズル装置の摺動部位であって関係部
材と当接、摺動する部位、例えば、インジェクタのニー
ドルバルブのガイド部及びノズルのシート面、は過酷な
摩耗作用を受ける。そこでこれらの部位の摩耗作用を少
なくするため、従来は高級な耐摩耗性材料を使用すると
共に摺動機能を高めることによって、その耐摩耗性の向
上を図ってきた。
【0003】然し乍ら、従来の耐摩耗性向上施策は、何
れも使用材料から高価になる欠点を有す。又、CVD処
理や浸炭処理の熱処理をすると熱変形を生じたり、材質
が変調したり、母材硬度が低下したりする。一方、寸法
精度が3〜5μm 程度変化したり、3〜5μm 程度摩耗
したりするとインジェクタ噴射特性精度の確保が難しく
なり、燃料供給量が制御出来なくなり燃料洩れやノッキ
ングが発生し、重大なトラブルの原因となる。
れも使用材料から高価になる欠点を有す。又、CVD処
理や浸炭処理の熱処理をすると熱変形を生じたり、材質
が変調したり、母材硬度が低下したりする。一方、寸法
精度が3〜5μm 程度変化したり、3〜5μm 程度摩耗
したりするとインジェクタ噴射特性精度の確保が難しく
なり、燃料供給量が制御出来なくなり燃料洩れやノッキ
ングが発生し、重大なトラブルの原因となる。
【0004】イオンプレーテイング処理は、CVDのよ
うに処理温度が高温ではないが、ノズルのシート面のよ
うな形状には皮膜の均一な形成が難かしく、又ニードル
のガイド部形状への皮膜形成も膜厚のバラツキが大きく
なり、つきまわり性の面で不具合を生じる。一方ノズル
のシート面とニードルとの摺接部は、ポンプ圧とスプリ
ング圧とによる力でニードルが上下に往復動し、摺接部
位に着座したとき大きな面圧をうける。このためつきま
わり性や耐食性の良い無電解メッキ処理によるそれらの
面への皮膜形成では、皮膜が容易に摩耗してしまう。従
って、比較的低温で行え、且つ、つきまわり性が良く、
膜厚の成膜速度制御が容易で超硬質皮膜を形成する方法
の技術的解決が望まれていた。
うに処理温度が高温ではないが、ノズルのシート面のよ
うな形状には皮膜の均一な形成が難かしく、又ニードル
のガイド部形状への皮膜形成も膜厚のバラツキが大きく
なり、つきまわり性の面で不具合を生じる。一方ノズル
のシート面とニードルとの摺接部は、ポンプ圧とスプリ
ング圧とによる力でニードルが上下に往復動し、摺接部
位に着座したとき大きな面圧をうける。このためつきま
わり性や耐食性の良い無電解メッキ処理によるそれらの
面への皮膜形成では、皮膜が容易に摩耗してしまう。従
って、比較的低温で行え、且つ、つきまわり性が良く、
膜厚の成膜速度制御が容易で超硬質皮膜を形成する方法
の技術的解決が望まれていた。
【0005】最近、プラズマCVDによるTiN やTiC 皮
膜が実用化され一部の摺動部材に使用されているが、Ti
N は密着性が良いが硬さが不十分で過酷な条件下では耐
摩耗性が劣るという問題があった。又、TiC は硬度が十
分に硬く、耐摩耗性はあるものの衝撃に弱く、クラック
発生し易く剥離や欠けを生じ好ましくない。又、TiNとT
iC の欠点を補なったTiCN膜が注目され一部の摺動部材
に実用化されているがTiCN膜のみでは長寿命化を図るた
め膜厚を厚くする必要がある。しかし膜厚が厚くなると
皮膜の応力が大きくなり密着性が低下してしまう、その
ため母材との密着性を強くする為に、ショットブラスト
や酸によるエッチング等で表面を活性化させる必要があ
り、この前処理をすることにより密着性は向上するが母
材の表面が粗くなり、その結果、表面が粗い超硬質なTi
CN皮膜が形成される。この表面の粗い超硬質なTiCN膜は
相手材を摩耗させたり、噴射燃料のシール性や高圧噴射
量の制御が悪化する原因にもなる。又、TiCN膜自身が粗
いため、強い摺動着座作用を受けることにより砕けて相
手材にキズを付けたり、剥離を起こす等好ましくない。
そこで硬度が高く、衝撃に強く、成膜速度が正確に制御
され、且つ母材との密着性に優れ、表面が平滑であり、
耐摩耗性がある皮膜が望まれていた。
膜が実用化され一部の摺動部材に使用されているが、Ti
N は密着性が良いが硬さが不十分で過酷な条件下では耐
摩耗性が劣るという問題があった。又、TiC は硬度が十
分に硬く、耐摩耗性はあるものの衝撃に弱く、クラック
発生し易く剥離や欠けを生じ好ましくない。又、TiNとT
iC の欠点を補なったTiCN膜が注目され一部の摺動部材
に実用化されているがTiCN膜のみでは長寿命化を図るた
め膜厚を厚くする必要がある。しかし膜厚が厚くなると
皮膜の応力が大きくなり密着性が低下してしまう、その
ため母材との密着性を強くする為に、ショットブラスト
や酸によるエッチング等で表面を活性化させる必要があ
り、この前処理をすることにより密着性は向上するが母
材の表面が粗くなり、その結果、表面が粗い超硬質なTi
CN皮膜が形成される。この表面の粗い超硬質なTiCN膜は
相手材を摩耗させたり、噴射燃料のシール性や高圧噴射
量の制御が悪化する原因にもなる。又、TiCN膜自身が粗
いため、強い摺動着座作用を受けることにより砕けて相
手材にキズを付けたり、剥離を起こす等好ましくない。
そこで硬度が高く、衝撃に強く、成膜速度が正確に制御
され、且つ母材との密着性に優れ、表面が平滑であり、
耐摩耗性がある皮膜が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の欠
点を改善し、変形を併わない温度で処理でき、硬度が高
く、母材への密着性が良く、且つ表面粗さも細かく平滑
で、相手材への攻撃性もなく且つ、衝撃性に対しても強
く、皮膜の歪や座屈も発生しない超硬質な皮膜を備えた
燃料噴射ノズル装置を提供することを課題としている。
点を改善し、変形を併わない温度で処理でき、硬度が高
く、母材への密着性が良く、且つ表面粗さも細かく平滑
で、相手材への攻撃性もなく且つ、衝撃性に対しても強
く、皮膜の歪や座屈も発生しない超硬質な皮膜を備えた
燃料噴射ノズル装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】最近、プラズマ
CVDによるTiCNの硬質皮膜を使用した部材表面の耐摩
耗及び耐食性向上の技術開発がされつつある。この技術
により500〜550℃の温度の雰囲気中に、TiCN膜の
材料である四塩化チタン、水素、メタン及びアンモニア
のガスを導入し、プラズマにて加熱蒸発し、真空中でこ
れを複雑形状の面や内周面や裏面にも被着させることが
できる。
CVDによるTiCNの硬質皮膜を使用した部材表面の耐摩
耗及び耐食性向上の技術開発がされつつある。この技術
により500〜550℃の温度の雰囲気中に、TiCN膜の
材料である四塩化チタン、水素、メタン及びアンモニア
のガスを導入し、プラズマにて加熱蒸発し、真空中でこ
れを複雑形状の面や内周面や裏面にも被着させることが
できる。
【0008】そこで、部材摺動表面を、先ずアンモニア
ガスプラズマ処理することによりその表面にプラズマ窒
化処理を行って摺動表面に窒化層を生成させ、続いて仝
一反応炉内でその上に均一な厚さで超硬質なTiCN層を形
成させることを考えた。この方法により、ワーク表面の
変形を伴うことなく、その耐摩耗性及び耐食性などの特
性を、TiC 及びTiN のそれよりも高めることができるこ
とを認めた。また、TiCN膜単層よりも、下地にプラズマ
窒化による窒化層を施すことにより、表面粗さを細かく
できる。一般に膜剥離は密着不足も一つの原因と考えら
れるが、基材(母材)の硬度不足にも起因する。即ち、
同じ荷重(集中荷重)を基材(母材)に加えても基材
(母材)の硬度により基材(母材)の歪量が異なる。従
って基材上に形成された薄膜には基材と同じ歪が発生す
るため、結果として膜に発生する応力は基材(母材)硬
度に左右される。従って低硬度の基材(母材)ほど、膜
に高応力が生じ、破壊による剥離につながるため基材表
面への表面硬化が必要となる。TiCN膜等の薄膜を形成さ
せる場合、プラズマ窒化処理により窒化層を形成させて
おくことが膜剥離に良好な結果がえられる。プラズマ窒
化処理による窒化層は表面に白層やポーラスな層である
脆化層を形成せず表面も平滑であり、母材との密着性も
高まり、耐摩耗性についても、耐久性が向上するなどの
効果がある。
ガスプラズマ処理することによりその表面にプラズマ窒
化処理を行って摺動表面に窒化層を生成させ、続いて仝
一反応炉内でその上に均一な厚さで超硬質なTiCN層を形
成させることを考えた。この方法により、ワーク表面の
変形を伴うことなく、その耐摩耗性及び耐食性などの特
性を、TiC 及びTiN のそれよりも高めることができるこ
とを認めた。また、TiCN膜単層よりも、下地にプラズマ
窒化による窒化層を施すことにより、表面粗さを細かく
できる。一般に膜剥離は密着不足も一つの原因と考えら
れるが、基材(母材)の硬度不足にも起因する。即ち、
同じ荷重(集中荷重)を基材(母材)に加えても基材
(母材)の硬度により基材(母材)の歪量が異なる。従
って基材上に形成された薄膜には基材と同じ歪が発生す
るため、結果として膜に発生する応力は基材(母材)硬
度に左右される。従って低硬度の基材(母材)ほど、膜
に高応力が生じ、破壊による剥離につながるため基材表
面への表面硬化が必要となる。TiCN膜等の薄膜を形成さ
せる場合、プラズマ窒化処理により窒化層を形成させて
おくことが膜剥離に良好な結果がえられる。プラズマ窒
化処理による窒化層は表面に白層やポーラスな層である
脆化層を形成せず表面も平滑であり、母材との密着性も
高まり、耐摩耗性についても、耐久性が向上するなどの
効果がある。
【0009】従って、本発明は燃料噴射ノズル装置のノ
ズル摺接部のシート部やニードルの摺接部に、プラズマ
窒化処理による窒化皮膜を形成させ、その上にプラズマ
CVDによるTiCN皮膜を形成させることを技術的解決の
手段としている。
ズル摺接部のシート部やニードルの摺接部に、プラズマ
窒化処理による窒化皮膜を形成させ、その上にプラズマ
CVDによるTiCN皮膜を形成させることを技術的解決の
手段としている。
【0010】真空炉でのプラズマ窒化処理条件の例を表
1に、またプラズマCVDによるTiCN膜の成膜条件例を
表2に示す。
1に、またプラズマCVDによるTiCN膜の成膜条件例を
表2に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】プラズマ窒化処理による窒化層の膜厚は5
〜20μm の厚みを形成させ、次いで、プラズマCVD
によるTiCN皮膜を2〜10μm の厚みで、ノズルのシー
ト部やニードルの摺接摺動する部位に必要な厚みを成膜
させる。成膜した状態での硬さはマイクロビッカース硬
度で2500以上、最高3000である。また耐摩耗性
や耐食性に悪影響を及ぼす皮膜中に含有される塩素元素
は、TiCNの皮膜形成後、同一容器内で真空中530℃で
1時間処理することで膜内から放出され、皮膜の耐摩耗
性が更に高められる。また、本発明によるプラズマCV
D皮膜はつきまわり性が良く、且つ、均一につくため、
全ての面で均一になり、複雑な形状や円周面にも均一に
つき、密着性も良好で、表面粗さも細かく平滑な皮膜が
形成される。
〜20μm の厚みを形成させ、次いで、プラズマCVD
によるTiCN皮膜を2〜10μm の厚みで、ノズルのシー
ト部やニードルの摺接摺動する部位に必要な厚みを成膜
させる。成膜した状態での硬さはマイクロビッカース硬
度で2500以上、最高3000である。また耐摩耗性
や耐食性に悪影響を及ぼす皮膜中に含有される塩素元素
は、TiCNの皮膜形成後、同一容器内で真空中530℃で
1時間処理することで膜内から放出され、皮膜の耐摩耗
性が更に高められる。また、本発明によるプラズマCV
D皮膜はつきまわり性が良く、且つ、均一につくため、
全ての面で均一になり、複雑な形状や円周面にも均一に
つき、密着性も良好で、表面粗さも細かく平滑な皮膜が
形成される。
【0014】本発明で流すガス流量や組成構成比を変え
ることにより、膜に傾斜機能を持たせることも可能で、
これにより耐摩耗性や耐食性、耐焼付き性に対して、更
に効果が期待できる。従ってプラズマ窒化皮膜上にガス
流量や組成比を変えて傾斜機能を持つ皮膜を形成させる
ことも可能で、高温や衝撃の加わる条件下で、TiN の皮
膜を数μm 形成させ、ついでTiCN皮膜を形成させ多層構
造をとることもできる。然しTiCNは硬度が高いが、欠け
やクラックを発生しないので、多層構造をとる必要性は
あまり存在しない。
ることにより、膜に傾斜機能を持たせることも可能で、
これにより耐摩耗性や耐食性、耐焼付き性に対して、更
に効果が期待できる。従ってプラズマ窒化皮膜上にガス
流量や組成比を変えて傾斜機能を持つ皮膜を形成させる
ことも可能で、高温や衝撃の加わる条件下で、TiN の皮
膜を数μm 形成させ、ついでTiCN皮膜を形成させ多層構
造をとることもできる。然しTiCNは硬度が高いが、欠け
やクラックを発生しないので、多層構造をとる必要性は
あまり存在しない。
【0015】
【実施例】以下に本発明を具体的に説明する。図1の実
施例において、プラズマ窒化処理による窒化層とTiCNプ
ラズマCVD皮膜が連続処理により形成が行われ、燃料
噴射ノズル装置のノズル1の少なくともシート面3、ニ
ードル部2のそれに当接する部分4に太線で示すように
形成される。プラズマ窒化処理による窒化層の厚さは5
〜20μm が好ましく、またTiCNのプラズマCVD膜層
に含まれる塩素元素量が3重量%をこえると膜の耐食性
や耐摩耗性が悪くなるので、それ以下にする必要があ
る。また皮膜の硬さがビッカース硬度で2500未満で
は耐摩耗性が悪く、3000をこえる値では皮膜が欠け
易くなるので、好ましい硬度は2500〜3000が良
い。皮膜の厚さが2μm 未満では耐摩耗性皮膜として効
果が充分でなく、10μmをこえるとTiCN皮膜の内部応
力によって密着強度が低下したり、衝撃に弱くなり欠け
や剥離を生じる。好ましくは2〜10μm が良い。この
ようにして成膜した状態での皮膜硬さはマイクロビッカ
ース硬度で2500以上、最高3000である。
施例において、プラズマ窒化処理による窒化層とTiCNプ
ラズマCVD皮膜が連続処理により形成が行われ、燃料
噴射ノズル装置のノズル1の少なくともシート面3、ニ
ードル部2のそれに当接する部分4に太線で示すように
形成される。プラズマ窒化処理による窒化層の厚さは5
〜20μm が好ましく、またTiCNのプラズマCVD膜層
に含まれる塩素元素量が3重量%をこえると膜の耐食性
や耐摩耗性が悪くなるので、それ以下にする必要があ
る。また皮膜の硬さがビッカース硬度で2500未満で
は耐摩耗性が悪く、3000をこえる値では皮膜が欠け
易くなるので、好ましい硬度は2500〜3000が良
い。皮膜の厚さが2μm 未満では耐摩耗性皮膜として効
果が充分でなく、10μmをこえるとTiCN皮膜の内部応
力によって密着強度が低下したり、衝撃に弱くなり欠け
や剥離を生じる。好ましくは2〜10μm が良い。この
ようにして成膜した状態での皮膜硬さはマイクロビッカ
ース硬度で2500以上、最高3000である。
【0016】
【発明の効果】本発明により得られた燃料噴射ノズル装
置のノズルやニードルバルブは格別高価な材料を使用す
ることもなく部位の変形を伴わない温度でプラズマ窒化
処理による窒化層とプラズマCVDによるTiCN皮膜を同
一炉内で連続的に処理して部材に均一な膜厚で形成させ
たものであり、その皮膜は部材との密着性も良好で、表
面粗さも細かく平滑であり、且つ、衝撃にも強い超硬質
な皮膜であるので、耐摩耗性の向上した燃料噴射ノズル
装置の耐摩耗性摺動部材となる。
置のノズルやニードルバルブは格別高価な材料を使用す
ることもなく部位の変形を伴わない温度でプラズマ窒化
処理による窒化層とプラズマCVDによるTiCN皮膜を同
一炉内で連続的に処理して部材に均一な膜厚で形成させ
たものであり、その皮膜は部材との密着性も良好で、表
面粗さも細かく平滑であり、且つ、衝撃にも強い超硬質
な皮膜であるので、耐摩耗性の向上した燃料噴射ノズル
装置の耐摩耗性摺動部材となる。
【図1】燃料噴射ノズル装置のノズルのシート部とニー
ドルの摺接部分の拡大断面図である。
ドルの摺接部分の拡大断面図である。
1 ノズル 2 ニードル 3 シート面
Claims (2)
- 【請求項1】 燃料噴射ノズル装置の構成部材であっ
て、相手材と相対的に当接、または摺動する部位に、プ
ラズマ窒化による窒化皮膜及びプラズマ化学蒸着による
TiCN皮膜とを連続処理で形成させたことを特徴とする燃
料噴射ノズル装置の耐摩耗性摺動部材。 - 【請求項2】 少なくともノズルシート面及びニードル
バルブ外周面のシート面に、プラズマ窒化により5〜2
0μm の厚さに窒化皮膜を形成させ、その上にプラズマ
化学蒸発によるTiCN皮膜を2〜10μm の厚さに形成さ
せたことを特徴とする請求項1記載の燃料噴射ノズル装
置の耐摩耗性摺動部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3197394A JPH07216548A (ja) | 1994-02-04 | 1994-02-04 | 燃料噴射ノズル装置の耐摩耗性摺動部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3197394A JPH07216548A (ja) | 1994-02-04 | 1994-02-04 | 燃料噴射ノズル装置の耐摩耗性摺動部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07216548A true JPH07216548A (ja) | 1995-08-15 |
Family
ID=12345901
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3197394A Pending JPH07216548A (ja) | 1994-02-04 | 1994-02-04 | 燃料噴射ノズル装置の耐摩耗性摺動部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07216548A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100288319B1 (ko) * | 1998-12-28 | 2001-05-02 | 김덕중 | 폼 툴의 표면처리 방법 |
US6482476B1 (en) * | 1997-10-06 | 2002-11-19 | Shengzhong Frank Liu | Low temperature plasma enhanced CVD ceramic coating process for metal, alloy and ceramic materials |
EP1310577A1 (en) * | 2001-11-12 | 2003-05-14 | Hitachi, Ltd. | Fuel pump and direct fuel injection engine |
EP0984158A3 (en) * | 1998-09-01 | 2003-12-10 | Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha | Fuel supply apparatus |
DE102010061219A1 (de) | 2010-12-14 | 2012-06-14 | Hydraulik-Ring Gmbh | Elektromagnetisches Stellglied |
-
1994
- 1994-02-04 JP JP3197394A patent/JPH07216548A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6482476B1 (en) * | 1997-10-06 | 2002-11-19 | Shengzhong Frank Liu | Low temperature plasma enhanced CVD ceramic coating process for metal, alloy and ceramic materials |
EP0984158A3 (en) * | 1998-09-01 | 2003-12-10 | Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha | Fuel supply apparatus |
KR100288319B1 (ko) * | 1998-12-28 | 2001-05-02 | 김덕중 | 폼 툴의 표면처리 방법 |
EP1310577A1 (en) * | 2001-11-12 | 2003-05-14 | Hitachi, Ltd. | Fuel pump and direct fuel injection engine |
US6860255B2 (en) | 2001-11-12 | 2005-03-01 | Hitachi, Ltd. | Fuel pump and direct fuel injection engine |
DE102010061219A1 (de) | 2010-12-14 | 2012-06-14 | Hydraulik-Ring Gmbh | Elektromagnetisches Stellglied |
DE102010061219B4 (de) * | 2010-12-14 | 2015-06-11 | Hilite Germany Gmbh | Elektromagnetisches Stellglied |
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