JPH07216536A - 全方向同時蒸着重合装置 - Google Patents

全方向同時蒸着重合装置

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JPH07216536A
JPH07216536A JP2341494A JP2341494A JPH07216536A JP H07216536 A JPH07216536 A JP H07216536A JP 2341494 A JP2341494 A JP 2341494A JP 2341494 A JP2341494 A JP 2341494A JP H07216536 A JPH07216536 A JP H07216536A
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Abstract

(57)【要約】 [目的] 蒸着速度が大きく、膜厚の大きい高分子膜が
得られる全方向同時蒸着重合装置を提供すること。 [構成] 二対のモノマ容器5a、5a’、5b、5
b’を、それぞれのバルブと導入管とを介して、蒸着重
合室1に取り付ける。蒸着重合を行なうに当たっては、
被蒸着物を収容し、真空排気し、加熱した蒸着重合室1
へ全モノマ容器から2種のモノマ蒸気を同時に導入す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蒸着重合装置に関するも
のであり、更に詳しくは、被蒸着材の全面に同時に高分
子膜を形成させる全方向同時蒸着重合装置に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】従来、半導体素子の絶縁
膜、パッシベーション膜、ソフトエラー防止膜、及びコ
ンデンサ誘電体膜等に用いられる各種高分子膜の形成方
法としては、湿式法、ポリマ蒸着法、及びプラズマ重合
法などが知られている。
【0003】湿式法は原料モノマを適当な溶媒中で重合
させた高分子を基板上に塗布する方法であり、ポリマ蒸
着法は高分子そのものを基板上に蒸着させる方法であ
り、プラズマ重合法はモノマ蒸気をプラズマ状にして重
合させ、基板上に折出させる方法である。然しながら、
これらの方法にはそれぞれ不都合があり、湿式法では極
薄膜が得られず、密着性が不十分で、不純物も混入し易
い。ポリマ蒸着法では蒸着時に高分子が分解して低分子
量のものしか得られず、プラズマ重合法においても重合
時に分解が生起して、高分子量のものは得難い。
【0004】これら従来法の不都合を解消する高分子膜
の形成方法として、本出願人は、特開昭61−7846
3号、特開昭63−166961号の各公報において、
真空中で各種のモノマを蒸発させ、基板上で重合させる
蒸着重合法の技術を開示し、特開平4−173963
号、特開平5−132763号、特開平5−13276
4号の各公報においては、上述の蒸着重合法を実施する
装置としての全方向同時蒸着重合装置を開示している。
【0005】以下、従来例として、図5、図6、図7
に、これら全方向同時蒸着重合装置の一例を示す。すな
わち、図5は従来例による全方向同時蒸着重合装置の破
断側面図であり、図6は図5における[6]−[6]線
方向の矢視図であり、図7は図5における[7]−
[7]線方向の断面図である。
【0006】図5、図6、図7において、全方向同時蒸
着重合装置20の蒸着重合室1’はバルブ17を備えた
排気管2’によって図示しない真空排気系と接続されて
いる。また、この蒸着重合室1’に開口している導入管
6a’、6b’にはそれぞれバルブ18a、18bを介
してモノマ容器5a、5bが取り付けられている。モノ
マ容器5aには高分子膜の原料としてのモノマ3が、又
モノマ容器5bにはモノマ4が貯留され、このモノマ容
器5a、5bの周囲にはそれぞれ加熱用のヒータ12
a、12bが巻装されている。
【0007】蒸着重合室1’の内部には、外部に設けた
モータ11で駆動される回転軸7を中心にして放射状に
延びた4本の支持柱8の先端部9にそれぞれ断面形状が
六角形のバレル10が支持されており、4本のバレル1
0は円周上にある。そして、バレル10には図示しない
が、モノマ3、4の蒸気の通路としての細孔が全面に設
けられている。
【0008】従来例の全方向同時蒸着重合装置20は以
上のように構成されるが、被蒸着材に高分子膜を形成さ
せる場合には、バレル10内に被蒸着材を収容した後、
モータ11を駆動して回転軸7の回りに各バレル10を
回転させる。同時に、真空排気系によって蒸着重合室
1’内を所定の圧力に維持しつつ、モノマ容器5a、5
bを加熱して導入管6a’、6b’から蒸着重合室1’
内へモノマ3、4の蒸気を導入する。こうすることによ
って、被蒸着材の全表面にモノマ3、4の蒸気が蒸着さ
れると共に重合して高分子膜が形成される。
【0009】しかし、この従来例による全方向同時蒸着
重合装置20においては、蒸着速度を大にしたい場合、
高分子の膜厚を大にしたい場合に、限界がある。すなわ
ち、蒸着速度を大にするには単位時間当りのモノマ蒸気
の導入量を大にしなければならないが、この量は導入管
6a’、6b’の内径など、そのコンダクタンスで決ま
り、モノマ3、4を可能な範囲で高温に加熱しても、蒸
着速度を大きく変化させることはできない。
【0010】そのために、導入管6a’、6b’の径を
大にすると、それに伴いバルブ18a、18bも大とな
り、それらの熱容量が大となって加熱、冷却に多くの時
間を要するようになり、好ましくない。
【0011】又、生成させる高分子の膜厚を大にするに
は導入するモノマ蒸気の総量を大にしなければならない
が、モノマ容器5a、5bの容積を大にすると、熱容量
が増大し加熱、冷却に時間を要するようになるほか、モ
ノマ量の多い時と少ない時とで蒸発量が大きく異なって
くるなどの不都合がある。
【0012】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は上述の問題
に鑑みてなされ、蒸着速度を大にすることができ、又、
生成する高分子膜の膜厚を大にすることができる全方向
同時蒸着重合装置を提供することを目的とする。
【0013】
【問題点を解決するための手段】以上の目的は、真空蒸
着重合室内に原料として2種のモノマ蒸気を導入し、被
蒸着材の全面に同時に高分子膜を形成させる全方向同時
蒸着重合装置において、前記真空蒸着重合室に複数対の
モノマ容器及びその導入管が取り付けられていることを
特徴とする全方向同時蒸着重合装置、によって達成され
る。
【0014】
【作用】真空蒸着重合室に複数対のモノマ容器、及びそ
の導入管を取り付けており、それから同時にモノマ蒸気
が真空蒸着重合室へ導入されるので蒸着速度が大とな
り、生成する高分子の膜厚が大となる。又、複数対のモ
ノマ容器を順次使用すれば長時間を要するものの、膜厚
の大きい高分子膜が得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例による全方向同時蒸着
重合装置について、図面を参照して説明する。
【0016】すなわち、図1は第1実施例による全方向
同時蒸着重合装置40の側断面図であり、図2は、図1
における[2]−[2]線方向の矢視図である。なお、
図1、図2において、従来例と共通する部分には同一の
符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0017】図1において、蒸着重合室1の周壁部と左
右の側壁部、真空排気管2、導入管6a、6bには加熱
のためのヒータ13が埋設されており、図5に示した従
来例の蒸着重合室1’等とは若干異なるが、このことは
本発明とは関連していない。因みにこのヒータ13はモ
ノマ3又は4の蒸気が付着凝結することを防ぐためのも
のである(特開平5−132763号公報)。
【0018】本発明の第1実施例が従来例と異なるとこ
ろは、従来例の図6に対応する図2に見られるように、
二対のモノマ容器5a、5b、5a’、5b’が蒸着重
合室1に取り付けられていることにある。すなわち、モ
ノマ容器5a、5a’にはモノマ3が、又、モノマ容器
5b、5b’にはモノマ4が収容される。モノマ容器5
a、5bがそれぞれバルブ18a、18bを介し、導入
管6a、6bによって蒸着重合室1と接続されているよ
うに、モノマ容器5a’、5b’もバルブ18a’、1
8b’(図示されていない)を介し導入管6a’、6
b’(図示されていない)によって蒸着重合室1と接続
されている。そして、これら以外は従来例の全方向同時
蒸着重合装置20と、全く同様になっている。
【0019】第1実施例による全方向同時蒸着重合装置
40は以上のように構成されるが、次にこの作用につい
て説明する。
【0020】バレル10内に被蒸着材としてのガラス板
を収容し、モノマ容器5a、5a’には4、4’ジアミ
ノジフェニルエーテル各30gr、モノマ容器5b、5
b’にはピロメリト酸二無水物各30gを収容した。モ
ータ11を駆動しバレル10を回転させると共に、バル
ブ17を開として、排気管2に繋がる真空排気系により
蒸着重合室1内を1×10-3Torrまで排気し、この
圧力を維持させた。又、蒸着重合室1、導入管6a、6
a’、6b、6b’、及び排気管2を埋設ヒータ13に
よって約200℃に加熱した。
【0021】一方、4、4’ジアミノジフェニルエーテ
ルを収容したモノマ容器5a、5a’は180℃に、ピ
ロメリト酸二無水物を収容したモノマ容器5b、5b’
は210℃に加熱し、温度が一定した時点において、バ
ルブ18a、18a’、18b、18b’を同時に開と
して、各モノマを蒸着重合室1へ導入した。そして60
分間経過後には、被蒸着材のガラス板の表面全体に膜厚
7.9μmのポリイミド膜が形成されていた。
【0022】比較のために、一対のモノマ容器5a、5
bからなる従来例の全方向同時蒸着重合装置20によっ
て同様な蒸着重合を行なったが、その結果を下表にまと
めて示した。 蒸着速度、 ポリイミド膜の膜厚、 成膜時間、 μm/分 μm 分 第1実施例 0.132 7.9 60 従来例 0.067 4.0 60
【0023】すなわち、第1実施例による蒸着重合で
は、従来例による場合と比較してほぼ2倍の蒸着速度が
得られており、生成されたポリイミド膜の膜厚も同一成
膜時間で、ほぼ2倍となった。
【0024】又、第1実施例による全方向同時蒸着重合
装置40を用いたが、最初の30分間はモノマ容器5
a、5bが空になるまで使用し、次いでモノマ容器5
a’、5b’に切り換える蒸着重合を行ない、成膜時間
を120分間とした時は、蒸着速度0.068μm/分
で、得られたポリイミド膜の膜厚は8.2μmであっ
た。
【0025】次に、本発明の第2実施例による全方向同
時蒸着重合装置60を説明する。図3は、第1実施例の
図2と対応する、第2実施例の図面である。なお、第2
実施例の側断面図は第1実施例の図1と全く同様となる
ので省略した。すなわち、第2実施例では、モノマ容器
5a、5a’、5a”、5b、5b’、5b”の三対が
設けられ、それぞれは、バルブ18a、18a’、18
a”、18b、18b’、18b”(図示されていな
い)を介し、導入管6a、6a’、6a”、6b、6
b’、6b”(図示されていない)によって蒸着重合室
1と接続されているが、これら以外は第1実施例と全く
同様に構成されている。モノマ容器を三対設けているこ
とにより、従来例の装置20と比較し3倍の速さの蒸着
速度、3倍の高分子膜厚が得られる。
【0026】又図4に、本発明の全方向同時蒸着重合装
置のモノマ容器に使用した場合に好ましい結果を与える
着脱容易な加熱源の一例としての加熱筒70を示した。
すなわち、図4は加熱筒70の断面図であり、何れのモ
ノマ容器にも適用され得るが、ここではモノマ容器35
aとして示している。モノマ容器35aは有底の直管部
34と開口側の挿入雄部32とからなり、その境界にO
−リング37を押圧保持するための突起33が設けられ
ている。モノマ容器35aは導入管61の拡径部62へ
挿入嵌合されるが、この時、O−リング37が突起33
と導入管61の保持部63との間に挟持されて気密に接
続される。
【0027】モノマ容器35aの加熱源としての加熱筒
70はモノマ容器35aとは間隙をあけて全体を覆うよ
うに設けられる。加熱筒70は内筒74と外筒75との
間において、内筒74に抵抗加熱電線71が巻装されて
おり、これを断熱材としてのガラスウール73が包んで
いる。又、高温になる外筒75の周囲には間隙をあけて
外被76が設けられている。なお、抵抗加熱電線71は
接続部72a、72bによって外部へ導出され、支持台
83上の導渠84を経て、図示しない電源に接続されて
いる。
【0028】そして、この加熱筒70は、外筒75の下
面の2個所において固定されたボルト77とこれに螺合
されるナット78とによって、支持台81、83に固定
されている。又、支持台81、83はそれぞれのライダ
ー81R、83Rによって、ガイドレール86上を走行
するようになっており、ガイドレール86は支持柱88
に支持されたレール固定台87上に固定されている。更
には、支持台81には位置決め部材82が取り付けられ
ており、これがレール固定台87の端部に設けたストッ
パ85と当接することによって、加熱筒70が位置決め
される。
【0029】この加熱筒70はモノマ容器35とは独立
しているので、別な場所で前もって加熱しておいた加熱
筒70をガイドレール86に沿い移動させて、モノマ容
器35aに覆い被せることにより、モノマ容器35aの
加熱を開始することができ、蒸着重合の完了後は、直ち
に加熱筒70をモノマ容器35から遠ざけることによ
り、ヒータとしての余熱を無くし得る。すなわち、加熱
時間、冷却時間を短縮できる。又、加熱筒70の着脱操
作により、モノマ3(又は4)の蒸発開始、蒸発停止が
できるので、モノマ容器35aと蒸着重合室1との間の
バルブ18aを省くことができる。
【0030】以上、本発明の各実施例について説明した
が、勿論、本発明はこれらによって限定されることな
く、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能で
ある。
【0031】例えば各実施例においては、各モノマ容器
とその導入管を、蒸着重合室1の排気管2側の側壁に取
り付けたが、これらを蒸着重合室1の周壁に取り付けて
もよい。
【0032】又、各実施例においては、各モノマ容器を
閉容器としたが、各モノマ容器にモノマ補給機構を設け
てもよい。モノマ補給機構を設けることにより、例えば
第1実施例において、モノマ容器5a、5bが空になっ
た後、モノマ容器5a’、5b’に切り換えて蒸着重合
を行なうような場合に、モノマ容器5a’、5b’を使
用している間に、モノマ容器5a、5bにそれぞれモノ
マ3、4を補給しておくような連続的な蒸着重合が可能
となり、被蒸着材上に任意の厚みの高分子膜が得られる
ようになる。
【0033】又、第1実施例においては蒸着重合による
ポリイミド膜の形成を取り上げたが、他種のポリイミド
膜、ポリアミド膜、その他、2種の反応性モノマを使用
する高分子膜の蒸着重合にも、本発明の全方向同時蒸着
重合装置が適用されることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように本発明の全方向同時蒸
着重合装置によれば、蒸着速度を大にすることができ、
かつ生成する高分子膜の膜厚を大にすることができる。
又、複数対のモノマ容器を一対ずつ順に使用し、長時間
をかけて膜厚の大きい高分子膜を形成させることもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による全方向同時蒸着重合
装置の側断面図である。
【図2】図1における[2]−[2]線方向の矢視図で
ある。
【図3】本発明の第2実施例による全方向同時蒸着重合
装置についての、第1実施例の図2に対応する矢視図で
ある。
【図4】本発明の全方向同時蒸着重合装置のモノマ容器
に使用される加熱源の一例としての加熱筒の側断面図で
ある。
【図5】従来例による全方向同時蒸着重合装置の側断面
図である。
【図6】図5における[6]−[6]線方向の矢視図で
ある。
【図7】図5における[7]−[7]線方向の断面図で
ある。
【符号の説明】
1 蒸着重合室 2 排気管 3 モノマ 4 モノマ 5a モノマ容器 5a’ モノマ容器 5b モノマ容器 5b’ モノマ容器 6a 導入管 6b 導入管 10 バレル 11 モータ 17 バルブ 18a バルブ 18b バルブ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空蒸着重合室内に原料として2種のモ
    ノマ蒸気を導入し、被蒸着材の全面に同時に高分子膜を
    形成させる全方向同時蒸着重合装置において、前記真空
    蒸着重合室に複数対のモノマ容器及びその導入管が取り
    付けられていることを特徴とする全方向同時蒸着重合装
    置。
  2. 【請求項2】 前記モノマ容器が容易着脱可能な加熱源
    を備えている請求項1に記載の全方向同時蒸着重合装
    置。
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