JPH07216063A - ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法

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JPH07216063A
JPH07216063A JP810094A JP810094A JPH07216063A JP H07216063 A JPH07216063 A JP H07216063A JP 810094 A JP810094 A JP 810094A JP 810094 A JP810094 A JP 810094A JP H07216063 A JPH07216063 A JP H07216063A
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JP
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acid
hydroxy
organic solvent
mgo
polyhydroxycarboxylic
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JP810094A
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English (en)
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Eiji Segami
英治 瀬上
Seiji Obuchi
省二 大淵
Masahiro Ota
正博 太田
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒドロキシカルボン酸類又はそれらのオリゴ
マーを触媒の存在下、芳香族エーテル系有機溶媒中で加
熱還流しながら脱水縮合し、ポリヒドロキシカルボン酸
を得る方法において、用いる芳香族エーテル系有機溶媒
が予め無機吸着剤と接触させたものであるポリヒドロキ
シカルボン酸の製造方法。 【効果】 ヒドロキシカルボン酸またはそれらのオリゴ
マーから直接脱水重縮合により高分子量の該ポリマーを
工業的に、短時間に、且安価に得ることを可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用材料や汎用樹脂
代替の生分解性ポリマーとして有用なポリヒドロキシカ
ルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリヒドロキシカルボン酸は機械的性
質、物理的性質、化学的性質に優れている上に、他に害
を与える事なく自然環境下で分解され、最終的には微生
物によって水と炭酸ガスになるという生分解性の機能を
有しており、近年医療用材料や、環境保全の観点から汎
用樹脂代替等、様々な分野で注目されており、今後もそ
の需要が大きく伸びることが期待されている。通常、ポ
リヒドロキシカルボン酸の製造方法としては、ヒドロキ
シカルボン酸例えば、乳酸、グリコール酸の場合は、脱
水二量化し一旦環状二量体を得た後、各種触媒の存在
下、開環溶融重合する事で高分子量のポリマーが得られ
る事が知られている。この方法は、環状二量体であるラ
クチド、またはグリコリドの製造に際して多大の労力と
費用を必要とするため経済的でない。また、ヒドロキシ
カルボン酸の種類によっては、環状二量体を形成しない
ものもあり、その場合はこの方法は使用できない。
【0003】一方、ヒドロキシカルボン酸及びそのオリ
ゴマーから直接脱水法によって、対数粘度約0.3dl
/g程度のポリヒドロキシカルボン酸を得る方法が幾つ
か開示されていたが(特開昭59−096123号公
報、特開昭61−028521号公報)、近年、本発明
者等は、溶媒に特殊なエーテル系有機化合物を用いる事
で、対数粘度約1.40dl/g、重量平均分子量(ポ
リスチレン換算)約18万のポリヒドロキシカルボン酸
が得られる事を見い出し既に開示した(特願平04−3
37321号公報)。しかしながら、この方法で得られ
る高分子量のポリマーであっても、引張強度等の機械物
性面で、その使用用途及び目的によっては未だ不十分で
あり、より高分子量のポリヒドロキシカルボン酸の製造
方法が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヒドロキシ
カルボン酸及びそのオリゴマーから直接脱水法によっ
て、より高分子量のポリヒドルキシカルボン酸を安定且
つ簡便に得る製造方法を提供する事にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ポリヒド
ロキシカルボン酸を工業的に効率良く、容易に、しかも
安価に製造し得る直接脱水重合法に関し鋭意検討した結
果、使用するエーテル系有機溶媒中のプロトン性不純物
(例えば、市販のジフェニルエーテル中には、フェノー
ルやアルキルフェノール類等のプロトン性不純物がトー
タルで約300ppm程度含まれている)が重合を阻害
していることをつきとめ、更にエーテル系有機溶媒と無
機吸着剤を接触させ、これら不純物を予め除去したもの
を溶媒に用いる事によって、高分子量のポリヒドロキシ
カルボン酸を安定して得られる事を見い出だし本発明に
至った。すなわち、本発明はヒドロキシカルボン酸類又
はそれらオリゴマーを触媒の存在下、芳香族エーテル系
有機溶媒中で加熱還流しながら脱水縮合し、ポリヒドロ
キシカルボン酸を得る方法において、用いる芳香族エー
テル系有機溶媒が予め無機吸着剤と接触させたものであ
るポリヒドロキシカルボン酸の製造方法である。
【0006】本発明は、ヒドロキシカルボン酸の直接脱
水縮合反応により高分子量のポリヒドロキシカルボン酸
を製造する方法を提供するものである。
【0007】本発明で使用されるヒドロキシカルボン酸
の具体例としては、以下のものが挙げられる。グリコー
ル酸、乳酸、2−ヒドロキシブタノイックアシッド、2
−ヒドロキシペンタノイックアシッド、2−ヒドロキシ
ヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシヘプタノイッ
クアシッド、2−ヒドロキシオクタノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−メチルブタノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−エチルブタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−メチルペンタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−エチルペンタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−プロピルペンタノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−ブチルペンタノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−メチルヘキサノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−エチルヘキサノイックアシッド、2
−ヒドロキシ−2−プロピルヘキサノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−ブチルヘキサノイックアシッド、
2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘキサノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタニックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘプタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘプタノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルヘプタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−エチルオクタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−プロピルオクタノイック
アシッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルオクタノイック
アシッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルオクタノイッ
クアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルオクタノイ
ックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘプチルオクタノ
イックアシッド、3−ヒドロキシプロパノイックアシッ
ド、3−ヒドロキシブタノイックアシッド、3−ヒドロ
キシペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシヘキサノ
イックアシッド、3−ヒドロキシヘプタノイックアシッ
ド、3−ヒドロキシオクタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−メチルブタノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−メチルペンタノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−エチルペンタノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−メチルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−エチルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロ
キシ−3−プロピルヘキサノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−メチルヘプタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−エチルヘプタノイックアシッド、3−ヒド
ロキシ−3−プロピルヘプタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−ブチルヘプタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−メチルオクタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−エチルオクタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−プロピルオクタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−ブチルオクタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−ペンチルオクタノイックアシッド、4
−ヒドロキシブタノイックアシッド、4−ヒドロキシペ
ンタノイックアシッド、4−ヒドロキシヘキサノイック
アシッド、4−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、4
−ヒドロキシオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−メチルペンタノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−メチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−エチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−メチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−エチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ
−4−プロピルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−メチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−エチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキ
シ−4−プロピルオクタノイックアシッド、4−ヒドロ
キシ−4−ブチルオクタノイックアシッド、5−ヒドロ
キシペンタノイックアシッド、5−ヒドロキシヘキサノ
イックアシッド、5−ヒドロキシヘプタノイックアシッ
ド、5−ヒドロキシオクタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−メチルヘキサノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−メチルヘプタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−エチルヘプタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−メチルオクタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−エチルオクタノイックアシッド、5−ヒド
ロキシ−5−プロピルオクタノイックアシッド、6−ヒ
ドロキシヘキサノイックアシッド、6−ヒドロキシヘプ
タノイックアシッド、6−ヒドロキシオクタノイックア
シッド、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプタノイックア
シッド、6−ヒドロキシ−6−メチルオクタノイックア
シッド、6−ヒドロキシ−6−エチルオクタノイックア
シッド、7−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、7−
ヒドロキシオクタノイックアシッド、7−ヒドロキシ−
7−メチルオクタノイックアシッド、8−ヒドロキシオ
クタノイックアシッド等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸
が挙げられる。これらは単独でも或は二種以上混合して
用いてもよい。特に好ましく用いられるヒドロキシカル
ボン酸は、乳酸、グリコ−ル酸、3−ヒドロキシブチリ
ックアシッド、4−ヒドロキシブチリックアシッド、3
−ヒドロキシバレリックアシッド、またはそれらの混合
物である。
【0008】本発明方法では前述のヒドロキシカルボン
酸から誘導されるオリゴマーを原料として用いることも
出来る。そしてそれらは一種または二種以上の混合物と
して用いてもよい。
【0009】これらヒドロキシカルボン酸及びそれらの
オリゴマーの中には光学活性炭素を有し各々D体、L
体、D/L体の形態をとる場合があるが、本発明に於い
ては、その形態に何等制限はない。
【0010】本発明で用いる触媒としては、元素周期律
表I、II、III、IV、V族の金属、或はそれらの
塩または水酸化物、酸化物が挙げられる。
【0011】例えば亜鉛、錫、アルミニウム、マグネシ
ウム、アンチモン、チタン、ジルコニウム等の金属。酸
化錫、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物。塩化亜
鉛、塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二
錫、フッ化アンチモン、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、
塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物。水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化
鉄、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化銅、水酸
化セシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、
水酸化リチウム、水酸化ジルコニウム等の金属水酸化
物。硫酸錫、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の硫酸塩。
炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム等の炭酸
塩。酢酸錫、オクタン酸錫、乳酸錫、酢酸亜鉛、酢酸ア
ルミニウム、乳酸鉄等の有機カルボン酸塩。トリフルオ
ロメタンスルホン酸錫、p−トルエンスルホン酸錫等の
有機スルホン酸塩等が挙げられる。
【0012】その他、ジブチルチンオキサイド等の上記
金属の有機金属酸化物またはチタニウムイソプロポキサ
イド等の上記金属の金属アルコキサイドまたはジエチル
亜鉛等の上記金属のアルキル金属。およびダウエック
ス、アンバーライト等のイオン交換樹脂等が挙げられ
る。その使用量は、上記ヒドロキシカルボン酸またはそ
れらのオリゴマーの0.0001〜10重量%が用いら
れる。
【0013】本発明で用いられる芳香族エーテル系有機
溶媒としては、アルコキシベンゼン類、ジフェニルエー
テル類が挙げられる。アルコキシベンゼン類としては、
アニソール、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、
ブトキシベンゼン、ペントキシベンゼン、2,4−ジメ
チキシベンゼン、2−クロロメトキシベンゼン、2−ブ
ロモメチキシベンゼン、4−クロロメトキシベンゼン、
4−ブロモメトキシベンゼン、2,4−ジクロロメトキ
シベンゼン等が挙げられる。ジフェニルエーテル類とし
ては、ジフェニルエーテル、4,4´−ジメチルジフェ
ニルエーテル、3,3´−ジメチルジフェニルエーテ
ル、3−メチルジフェニルエーテル等のアルキル置換ジ
フェニルエーテル;4,4´−ジブロモジフェニルエー
テル、4−メチル−4´−ブロモジフェニルエーテル等
のハロゲン置換ジフェニルエーテル;4−メトキシジフ
ェニルエーテル、4,4´−ジメトキシジフェニルエー
テル、3,3´−ジメトキシジフェニルエーテル、4−
メチル−4´−メトキシジフェニルエーテル等のアルコ
キシ置換ジフェニルエーテル;ジベンゾフラン、キサン
テン等の環状ジフェニルエーテル等が挙げられる。好ま
しくはアニソール、ジフェニルエーテル等が良い。これ
らは一種又は二種以上の混合物でも良く何ら制限は無
い。
【0014】本発明における無機吸着剤は、芳香族エー
テル系有機溶媒中の不純物の吸着剤として作用する。こ
の無機吸着剤は組成成分として少なくともMgOを含む
複合塩であり、例えば、一般式lMgO・mAl23
xH2Oの組成式で表され、 2MgO・Al23・xH2O; 3MgO・Al23
・xH2O;5MgO・Al23・xH2O; MgO・
2Al23・xH2O; あるいは、一般式lMgO・mSiO2・xH2Oの組成
式で表される MgO・3SiO2・xH2O;2MgO・3SiO2
xH2O; その他、一般式lMgO・mAl23・nSiO2・x
20の組成式で表される MgO・Al23・2SiO・xH2O 等が挙げられ、その組み合わせは前期条件を満足させれ
ば任意に選択できる。
【0015】これらの複合塩は、その4重量%懸濁水溶
液のpHが7.0〜11.0を示し、その嵩比重(ml
/10g)は20から60を示し、その非表面積(m2
/g)は50〜400を有するものである。また、これ
らの複合塩は、酸吸着能を有する。
【0016】本発明方法において、芳香族エーテル系有
機溶媒と複合塩との接触方法は、容器内に両者を装入
し、一定時間放置する(静置法)でも良く、容器内を更
に掻き混ぜる(カキマゼ法)でも良く、複合塩をカラム
に詰めて、芳香族エーテル系有機溶媒を一定量通じる
(カラム法)でも良く、何らかの方法で芳香族エーテル
系有機溶媒と複合塩が接触する方法であれば良い。接
触、精製した芳香族エーテル系有機溶媒は、濾過するこ
とにより容易に分離出来る。カラム法を用いた場合は、
濾過は省略可能である。又、複合塩の使用量は芳香族エ
ーテル系有機溶媒100重量部に対して1〜50重量部
が良く、吸着能力によって、適宜増減して使用する。
【0017】芳香族エーテル系有機溶媒と無機吸着剤と
の接触処理温度は、0〜180℃が好ましく、更に好ま
しくは10〜100℃の範囲である。0℃以下では芳香
族エーテル系有機溶媒の種類によって凝固する恐れがあ
り、複合塩が吸着能力を発揮出来ず、180℃以上では
複合塩が壊れる場合がある。接触時間は、10分以上で
あれば良く、40℃で掻き混ぜる場合は30分程度で吸
着はほぼ完了する。
【0018】本発明方法においては、予め上記複合塩と
接触させた芳香族エーテル系化合物を重合溶媒として用
い、高分子量のポリマーを得るものであるが、重合時の
芳香族エーテル系有機溶媒の使用量は、ポリマー濃度が
3〜90重量%になるような範囲で行う事ができるが、
好ましくはポリマー濃度が5〜50重量%になるような
範囲が良い。90重量%より多いと該ポリマーを加熱溶
解した時の粘度が極端に高くなり、反応中の撹拌や、そ
の後の移液等の取扱や操作が困難になる場合が生じる。
逆に3重量%より低い場合は、反応及び後処理等には問
題はないが、容積効率が悪く生産性の面で不利である。
【0019】脱水重縮合条件は、常圧下、減圧下のいず
れでも良く、反応温度は使用する溶媒の還流温度までと
ることが出来、好ましくは50〜250℃、より好まし
くは100〜170℃である。50℃未満では、反応に
よって生成する水を溶媒との共沸によって反応系外へ除
去する効率が悪くなるため反応速度が著しく低下する。
又、250℃を越える温度ではポリマーの劣化を生じた
り、そのため反応液に着色を生じ、得られる製品の品質
を悪化させることがあるため好ましくない。
【0020】反応に使用する装置については、該反応が
脱水重縮合であり、高分子量のポリマーを得るために
は、反応の進行と共に生成する水を反応系外へ除去でき
るような装置にする必要がある。生成水の除去方法とし
ては、溶媒の還流下に留出する含水溶媒を乾燥剤で処理
した後、再び系内へ戻すシステム、又は蒸留分離能を有
する装置を備えた反応機中で反応させ、還流する溶媒と
水の混合物をそのまま蒸留分離して水分を除去し、脱水
された溶媒のみを系内へ戻す還流システム、更には留出
する含水溶媒のみを反応系内へ戻すシステムのいずれの
方法でも用いる事が出来る。
【0021】乾燥剤を使用する場合は、例えばモレキュ
ラーシーブ(3A,4A,5A等)、五酸化二リン、水
素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化リチウムア
ルミニウム等の金属水素化物、ナトリウム、リチウム等
のアルカリ金属等が挙げられる。
【0022】本発明方法では、重縮合中の熱劣化による
着色を抑えるために着色防止剤を添加して重縮合を行っ
ても良い。使用される着色防止剤としては、リン酸、リ
ン酸トリフェニル、ピロリン酸、亜リン酸、亜リン酸ト
リフェニル等のリン化合物が好ましい。その添加量は、
ポリマーに対して0.01〜5重量%、より好ましくは
0.5〜2重量%である。0.01重量%未満では着色
防止効果が小さくなり、5重量%以上では、さらなる着
色防止の効果は薄く、重合度が上がらないことがある。
【0023】
【実施例】以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発
明は以下に記載する方法及び装置に限定されるものでは
ない。
【0024】本発明に使用した複合塩、芳香族エーテル
系有機溶媒中の不純物含有量及び得られたポリマーの物
性値は以下の方法により測定した。 ・ ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(カラム温度40℃)により、ポリスチレ
ン標準サンプルとの比較で行った。
【0025】・ 対数粘度(ηinh)は下記式 ηinh=ln(t/t。)/C で表され、ここで t。=粘度計中の溶媒の流下時間 t =同一粘度計中の同一溶媒のポリマー稀薄溶液の流
下時間 C =溶媒100ml中のポリマー固形分のグラム数で
表した濃度0.1gポリマー固形分/ジクロロメタン1
00mlの濃度、温度20℃で測定した。
【0026】・ 酸吸着能 0.05Nジオクチルフタレート溶液100gに、複合
塩0.5gを加え、85℃にて70分撹拌した後、ガラ
ス濾過器にて濾過する。冷却後、その濾液40gをと
り、エチルアルコール50mlを加え、フェノールフタ
レイン指示薬5滴を加え、0.1N−KOH溶液で淡赤
色を呈するまで測定する。同様にしてブランク試験を行
う。 算出式
【式1】 B;ブランク試験に要した0.1N−KOH溶液の量
(ml) X;滴定量(ml) f;0.1N−KOH溶液のfactor
【0027】・ 非表面積 BET法による滴定値(m2/g)
【0028】・ フェノール、フェニルフェノール 高速液体クロマトグラフィーを用いて分析測定した。 分析条件 カラム ;Shim Pack CLC−ODS(M)
(島津製作所製) 温 度 ;室温 流 速 ;1ml/min 移動相 ;アセトニトリル/0.1モル−リン酸水溶液
=7/3 検出器 ;uv検出器(225nm) それぞれ検量線を作成し、絶対量を算出した。検出限界
は、1ppmである。
【0029】合成例−1 攪拌機.温度計を備えた2lの反応器中へ市販のジフェ
ニルエーテル1.5kg(フェノール、アルキルフェノ
ール類は、トータル 300ppmであった)と、無機
吸着剤 MgO・Al23・SiO2・xH2O(富田製
薬、トミックスAD−300 MgO・・13.2%、
Al23・・31.0%,SiO2・・30.5%,p
H=9.3、嵩比重・・30ml/10g,非表面積・
・300m2/g、酸吸着能・・2.3mEg/g)3
0g(DPEの2重量%)を添加し、40℃に保温しな
がら1時間撹拌した後、減圧濾過し複合塩を分離した結
果、DPE1.35kg(回収率90.0%)が得られ
た。HPLC分析の結果、フェノール、アルキルフェノ
ール類は、検出限界以下であった。図1に無機吸着剤処
理前後のHPLCチャートを示す。
【0030】合成例−2 無機吸着剤をMgO・3SiO2・xH2O(富田製薬、
トミックスAD−600 MgO・・14.1%、Si
2・・63.2%,pH=10.0、嵩比重・・30
ml/10g,非表面積・・270m2/g、酸吸着能
・・2.1mEg/g)にした以外は実施例−1と同様
な方法で行った結果、DPE 1.41kg(回収率9
4.0%)が得られた。HPLC分析の結果、フェノー
ル、アルキルフェノール類は、検出限界以下であった。
【0031】合成例−3 無機吸着剤を6MgO・Al23・CO2・xH2O(富
田製薬、トミックスAD−500 MgO・・37.4
%、Al23・・17.2%,CO2・・8.1%,p
H=8.7、嵩比重・・30ml/10g,非表面積・
・150m2/g、酸吸着能・・4.2mEg/g)に
した以外は実施例−1と同様な方法で行った結果、DP
E1.38kg(回収率92.0%)が得られた。HP
LC分析の結果、フェノール、アルキルフェノールは検
出限界以下であった。
【0032】実施例−1 温度計、撹拌翼、留出管を備えた500mlの4つ口フ
ラスコに、90%L−乳酸83gを装入し、130℃/
50mmHgで3時間系外へ水を除去しながら加熱攪拌
した。次に留出管を取り外し、代わりにディーンシュタ
ックを取り付け、更に錫粉末0.4g,合成例−1で得
られたジフェニルエーテル325gを加え、140℃/
23mmHgで4時間加熱還流させた。この時、還流す
るジフェニルエーテルと生成水との混合物を、ディーン
シュタック内で分離させ水層を逐次抜き出した。ディー
ンシュタックを取り外し代わりにモレキュラーシーブス
50gを充填した管を取り付け、還流により留出する溶
媒がモレキュラーシーブスを通って系内へ戻るようにし
た。反応条件を130℃/15〜18mmHgに設定
し、5時間毎のラップサンプルの分析を行いながら20
時間反応させた。反応終了後、反応マスにクロロホルム
400mlを加え、溶解した後吸引濾過し錫粉末を除去
した。得られたクロロホルム溶液にメタノール1400
mlを加え、析出した白色固体のポリ乳酸を濾別し、乾
燥した。収量56.9g,収率は92.2%、重量平均
分子量(Mw)340,000、対数粘度 2.25d
l/gであった。
【0033】実施例−2 90%L−乳酸83gの代わりに、90%L−乳酸75
gとD/L乳酸15gを、また市販のジフェニルエーテ
ルの代わりに、合成例−2で得られたジフェニルエーテ
ルを用いた他は、実施例−1と同様の方法で行った結
果、L−乳酸とD/L乳酸とのコポリマーを得た。収率
93.4%、重量平均分子量Mw 345,000、対
数粘度 2.29dl/gであった。
【0034】実施例−3 90%L−乳酸83gの代わりに、90%L−乳酸75
gとグリコール酸9.6gを、また市販のジフェニルエ
ーテルの代わりに、合成例−3で得られたジフェニルエ
ーテルを用いた他は用いた他は、実施例−1と同様の方
法で行った結果、白色固体のL−乳酸とグリコール酸と
のコポリマーを得た。収率90.6%、重量平均分子量
Mw 255,000、対数粘度 1.75dl/gで
あった。
【0035】実施例−4 90%L−乳酸83gの代わりに、90%L−乳酸75
gとDL−4−ヒドロキシブタノイックアシッド6.8
gを用いた他は、実施例−1と同様の方法で行った結
果、L−乳酸とDL−4−ヒドロキシブタノイックアシ
ッドとのコポリマーを得た。収率86.1%、重量平均
分子量Mw 277,000、対数粘度1.88dl/
gであった。
【0036】実施例−5 90%L−乳酸83gの代わりに、90%L−乳酸75
gとDL−3−ヒドロキシブタノイックアシッド6.8
gを用いた他は、実施例−1と同様の方法で行った結
果、L−乳酸とDL−3−ヒドロキシブタノイックアシ
ッドとのコポリマーを得た。収率83.7%、重量平均
分子量Mw 268,000、対数粘度1.84dl/
gであった。
【0037】比較例−1 市販のジフェニルエ−テルを使用した以外は実施例−1
と同様にして行った結果、得られたポリ乳酸は、収率9
3.5%、重量平均分子量(Mw)165,000、対
数粘度 1.20dl/gであった。
【0038】
【発明の効果】本発明方法は、ヒドロキシカルボン酸ま
たはそれらのオリゴマーから直接脱水重縮合により高分
子量の該ポリマーを工業的に、短時間に、且安価に得る
ことを可能とする方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】市販品のDPEとこれを本発明の無機吸着剤と
接触処理したDPEの高速液体クロマトグラフィーのチ
ャートである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシカルボン酸類又はそれらの
    オリゴマーを触媒の存在下、芳香族エーテル系有機溶媒
    中で加熱還流しながら脱水縮合し、ポリヒドロキシカル
    ボン酸を得る方法において、用いる芳香族エーテル系有
    機溶媒が予め無機吸着剤と接触させたものであるポリヒ
    ドロキシカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 芳香族エーテル系有機溶媒がジフェニ
    ルエーテル類である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 無機吸着剤が少なくともMgOを組成
    成分として含む複合塩である請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 無機吸着剤が2MgO・Al23・x
    2O;3MgO・Al23・xH2O;5MgO・Al
    23・xH2O;MgO・Al23・2SiO2・x
    2;MgO・2Al23・xH2O;MgO・3SiO
    2・xH2O;2MgO・3SiO2・xH2Oからなる群
    より選ばれた一種以上の複合塩である請求項1記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、グリ
    コール酸、3−ヒドロキシブチリックアシッド、4−ヒ
    ドロキシブチリックアシッド、3−ヒドロキシバレリッ
    クアシッド、またはそれらの混合物であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6359069B1 (en) 2000-08-10 2002-03-19 Bayer Corporation Transparent composition containing polycarbonate and a copolymer of methylmethacrylate

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