JPH08188642A - ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法

Info

Publication number
JPH08188642A
JPH08188642A JP373895A JP373895A JPH08188642A JP H08188642 A JPH08188642 A JP H08188642A JP 373895 A JP373895 A JP 373895A JP 373895 A JP373895 A JP 373895A JP H08188642 A JPH08188642 A JP H08188642A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
hydroxy
hydroxycarboxylic
polyhydroxycarboxylic
methoxypropionic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP373895A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Kougo
修 高後
Seiji Obuchi
省二 大淵
Michihiko Miyamoto
充彦 宮本
Nobusada Kikuchi
展禎 菊地
Akira Takahashi
章 高橋
Masahiro Ota
正博 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP373895A priority Critical patent/JPH08188642A/ja
Publication of JPH08188642A publication Critical patent/JPH08188642A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも乳酸を含むヒドロキシカルボン酸
類を、触媒の存在下または非存在下で、有機溶媒中で脱
水重縮合することによるポリヒドロキシカルボン酸の製
造方法において、不純物である2−メトキシプロピオン
酸が原料のヒドロキシカルボン酸に対して0.3モル%
以下含まれるヒドロキシカルボン酸を原料として使用す
る、対数粘度が0.3dl/g以上であるポリヒドロキ
シカルボン酸の製造方法。 【効果】 直接脱水重縮合により高分子量のポリヒドロ
キシカルボン酸を工業的に容易、且つ安価に得る事が出
来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用材料や汎用樹脂
代替の生分解性ポリマーとして有用なポリヒドロキシカ
ルボン酸の製造方法およびその原料であるヒドロキシカ
ルボン酸に関する。
【0002】ポリヒドロキシカルボン酸は、機械的性質
や物理的性質、化学的性質が優れているばかりでなく、
他に害を与えることなく自然環境下で分解され、最終的
には微生物によって水と炭酸ガスになるという生分解性
の機能を有しており、最近医療用材料や汎用樹脂代替
等、様々な分野で注目されているプラスチックである。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法としては、ヒ
ドロキシカルボン酸、例えば、乳酸、グリコール酸の場
合は、脱水二量化し一旦環状二量体を得た後、触媒(S
n系触媒)の存在下開環溶融重合し高分子ポリマーを得
る方法が知られている。しかし、この方法では反応の操
作が複雑であり、得られたポリマーは高価であるばかり
でなく、該製造法が溶融重合後そのままペレットとして
製品を得る方法であるため、得られる該ポリマーの形態
はペレット状に限定される。又、ヒドロキシカルボン酸
の種類によっては、環状二量体を形成しないものがあ
り、この場合にはこの方法は使用できない。
【0004】一方、ヒドロキシカルボン酸及びそのオリ
ゴマーから直接脱水縮合法によって、ポリヒドロキシカ
ルボン酸を得る方法が幾つか開示されている(特開昭
59−096123号、特開昭61−028521
号)。しかしながら、これらの方法では、得られる該ポ
リマーの対数粘度は約0.3dl/g程度が限界で十分
な機械物性を有さず、その用途、目的によっては使用で
きない。
【0005】このように、十分な機械物性を有するポリ
ヒドロキシカルボン酸においては、その重合法は溶融重
合法に制限され、またそのポリマー組成も限られている
のが現状である。
【0006】本発明の目的は、高分子量のポリヒドロキ
シカルボン酸を工業的に効率良く、容易に、しかも安価
に製造し得る製法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒドロキ
シカルボン酸の直接脱水重縮合により高分子量のポリヒ
ドロキシカルボン酸を得ることを目的に鋭意検討した結
果、特定の不純物を特定量以下含有するヒドロキシカル
ボン酸を原料に用いることにより高分子量のポリヒドロ
キシカルボン酸を得る事ができることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0008】本発明は乳酸又は少なくとも乳酸を含むヒ
ドロキシカルボン酸を触媒の存在下、あるいは非存在
下、有機溶媒中で脱水重縮合するポリヒドロキシカルボ
ン酸の製造方法において、原料のヒドロキシカルボン酸
として、不純物である2−メトキシプロピオン酸の含有
量がヒドロキシカルボン酸に対して0.3モル%以下で
あるヒドロキシカルボン酸を使用する、対数粘度が0.
3dl/g以上であるポリヒドロキシカルボン酸の製造
方法および上記不純物を上記の割合で含む対数粘度が
0.3dl/g以上であるポリヒドロキシカルボン酸製
造用の少なくとも乳酸を含むヒドロキシカルボン酸に関
する。
【0009】本発明により、少なくとも乳酸を含むヒド
ロキシカルボン酸類から直接脱水重縮合により高分子量
のポリヒドロキシカルボン酸を工業的に安価に得ること
ができるようになった。
【0010】本発明で使用されるヒドロキシカルボン酸
類の具体例としては、2−ヒドロキシエタノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシプロパノイックアシッド、2−ヒ
ドロキシブタノイックアシッド、2−ヒドロキシペンタ
ノイックアシッド、2−ヒドロキシヘキサノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、2−ヒ
ドロキシオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2
−メチルプロパノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2
−メチルブタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−
エチルブタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−メ
チルペンタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−エ
チルペンタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−プ
ロピルペンタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−
ブチルペンタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−
メチルヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−
エチルヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−
プロピルヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2
−ブチルヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2
−ペンチルヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシ−
2−メチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−
2−メチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−
2−エチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−
2−プロピルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ
−2−ブチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ
−2−ペンチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキ
シ−2−ヘキシルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロ
キシ−2−メチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロ
キシ−2−エチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロ
キシ−2−プロピルオクタノイックアシッド、2−ヒド
ロキシ−2−ブチルオクタノイックアシッド、2−ヒド
ロキシ−2−ペンチルオクタノイックアシッド、2−ヒ
ドロキシ−2−ヘキシルオクタノイックアシッド、2−
ヒドロキシ−2−ヘプチルオクタノイックアシッド、3
−ヒドロキシプロパノイックアシッド、3−ヒドロキシ
ブタノイックアシッド、3−ヒドロキシペンタノイック
アシッド、3−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、3
−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ
オクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチル
ブタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルペ
ンタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルペ
ンタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルヘ
キサノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルヘ
キサノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−プロピル
ヘキサノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチル
ヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチル
ヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−プロピ
ルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−ブチ
ルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチ
ルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチ
ルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−プロ
ピルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−ブ
チルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−ペ
ンチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシブタノ
イックアシッド、4−ヒドロキシペンタノイックアシッ
ド、4−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、4−ヒド
ロキシヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシオクタ
ノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルペンタ
ノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサ
ノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−エチルヘキサ
ノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルヘプタ
ノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−エチルヘプタ
ノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−プロピルヘプ
タノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルオク
タノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−エチルオク
タノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−プロピルオ
クタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−ブチルオ
クタノイックアシッド、5−ヒドロキシペンタノイック
アシッド、5−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、5
−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、5−ヒドロキシ
オクタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−メチル
ヘキサノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−メチル
ヘプタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−エチル
ヘプタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−メチル
オクタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−エチル
オクタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−プロピ
ルオクタノイックアシッド、6−ヒドロキシヘキサノイ
ックアシッド、6−ヒドロキシヘプタノイックアシッ
ド、6−ヒドロキシオクタノイックアシッド、6−ヒド
ロキシ−6−メチルヘプタノイックアシッド、6−ヒド
ロキシ−6−メチルオクタノイックアシッド、6−ヒド
ロキシ−6−エチルオクタノイックアシッド、7−ヒド
ロキシヘプタノイックアシッド、7−ヒドロキシオクタ
ノイックアシッド、7−ヒドロキシ−7−メチルオクタ
ノイックアシッド、8−ヒドロキシオクタノイックアシ
ッド等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸であり、一種又は
二種以上の混合物を用いても良い。その混合比は、乳酸
に対して上記した他のヒドロキシカルボン酸の99重量
%以下の範囲である。
【0011】これらヒドロキシカルボン酸の中には、不
斉炭素を有しているために各々D体、L体、D/L体の
形態をとるものがあるが、本発明においては、その形態
には何ら制限はない。
【0012】本発明でいうポリヒドロキシカルボン酸
は、少なくとも乳酸を含み、前記の不純物の含有量がヒ
ドロキシカルボン酸に対して0.3モル%以下であるヒ
ドロキシカルボン酸を原料として得られる乳酸のホモポ
リマーまたは乳酸−ヒドロキシカルボン酸のコポリマー
であり、ランダムポリマーおよびブロックポリマーを含
む。
【0013】一般に、乳酸はデンプンを醗酵後、精製す
ることにより高純度のものが製造され、市販されている
が、この方法で得られる乳酸中には2−メトキシプロピ
オン酸が不純物として含まれている。
【0014】本発明方法においては、この不純物の量は
ヒドロキシカルボン酸に対して0.3モル%以下、好ま
しくは0.1モル%以下、特に好ましくは0.05モル
%以下である。
【0015】本発明は、上記ヒドロキシカルボン酸より
プレポリマーを製造し、これを使用してポリヒドロキシ
カルボン酸を製造する態様も含む。
【0016】本発明では、反応時間(反応速度)の関係
上触媒を用いる方が好ましい。本発明で用いる触媒とし
ては、元素周期律表 I、II、III、IV、V族の
金属、あるいはそれらの塩又は水酸化物、酸化物が挙げ
られる。例えば亜鉛、錫、アルミニウム、マグネシウム
等の金属、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化ア
ルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸
化物、塩化亜鉛、塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一
錫、臭化第二錫、フッ化アンチモン、塩化亜鉛、塩化マ
グネシウム、塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化
亜鉛、水酸化鉄、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水
酸化銅、水酸化セシウム、水酸化ストロンチウム、水酸
化バリウム、水酸化リチウム、水酸化ジルコニウム等の
金属水酸化物、硫酸錫、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等
の硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウ
ム等の炭酸塩、酢酸錫、ピルビン酸錫、オクタン酸錫、
乳酸錫、酢酸亜鉛、ピルビン酸亜鉛、酢酸アルミニウ
ム、ピルビン酸アルミニウム、乳酸鉄等の有機カルボン
酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸錫、p−トルエン
スルホン酸錫等の有機スルホン酸塩等が挙げられる。
【0017】その他、ジブチルチンオキサイド等の上記
金属の有機金属酸化物又はチタニウムイソプロポキサイ
ド等の上記金属の金属アルコキサイド又はジエチル亜鉛
等の上記金属のアルキル金属又はダウエックス、アンバ
ーライト等のイオン交換樹脂等が挙げられる。その使用
量は、上記ヒドロキシカルボン酸又はそれらのオリゴマ
ーの0.0001〜10重量%がよい。
【0018】本発明の方法では、反応は有機溶媒中で行
うことが好ましいが、特に制限されるものではない。本
発明で用いられる有機溶媒は、例えば芳香族炭化水素
類、エーテル系芳香族炭化水素類等が挙げられる。
【0019】芳香族炭化水素類としては、トルエン、キ
シレン、ナフタレン、クロロナフタレン、ビフェニル、
クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロ
ベンゼン、p−ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0020】エーテル系芳香族炭化水素類としては、例
えばアルコキシベンゼン類、ジフェニルエーテル類が挙
げられる。
【0021】アルコキシベンゼン類としては、例えばア
ニソール、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、ブ
トキシベンゼン、ペントキシベンゼン、2,4−ジメト
キシベンゼン、2−クロロメトキシベンゼン、2−ブロ
モメトキシベンゼン、4−クロロメトキシベンゼン、4
−ブロモメトキシベンゼン、2,4−ジクロロメトキシ
ベンゼン等が挙げられる。
【0022】ジフェニルエーテル類としては、例えばジ
フェニルエーテル、4,4’−ジメチルジフェニルエー
テル、3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、3−メ
チルジフェニルエーテル等のアルキル置換ジフェニルエ
ーテル、4,4’−ジブロモジフェニルエーテル、4,
4’−ジクロロジフェニルエーテル、4−ブロモジフェ
ニルエーテル、4−メチル−4−ブロモジフェニルエー
テル等のハロゲン置換ジフェニルエーテル、4−メトキ
シジフェニルエーテル、4,4’−ジメトキシジフェニ
ルエーテル、3,3’−ジメトキシジフェニルエーテ
ル、4−メチル−4’−メトキシジフェニルエーテル等
のアルコキシ置換ジフェニルエーテル、ジベンゾフラ
ン、キサンテン等の環状ジフェニルエーテル等が挙げら
れる。好ましくはアニソール、ジフェニルエーテル等が
良い。これらは一種又は二種以上の混合物でもよく何ら
制限はない。
【0023】その使用量は、通常ポリマー濃度が3〜9
0重量%になるような範囲である。好ましくはポリマー
濃度が5〜70重量%になるような範囲が良い。90重
量%より多いと該ポリマー溶液の粘度が極端に高くな
り、反応中の撹拌や、その後の移液などの取り扱いや操
作が困難になる場合が生じる。一方、3重量%より低い
場合は、反応および後処理等には問題はないが、容積効
率が悪く生産性の面で不利である。
【0024】本発明方法での脱水重縮合の条件(温度、
圧力)は、常圧下、減圧下のいずれでも良く、反応温度
は使用する溶媒の還流温度までの範囲をとることが出
来、好ましくは50〜250℃、より好ましくは100
〜200℃が良い。50℃未満では、反応によって生成
する水を溶媒との共沸によって反応系外へ除去する効率
が悪くなるため反応速度が著しく低下する。また250
℃を越える温度ではポリマーの劣化を生じ、そのため反
応液が着色し、得られる製品の品質を悪化させることが
ある。
【0025】本発明方法では、重縮合中の熱劣化による
着色を抑えるために着色防止剤を添加して重縮合反応を
行っても良い。使用される着色防止剤としては、リン
酸、リン酸トリフェニル、ピロリン酸、亜リン酸、亜リ
ン酸トリフェニル等のリン化合物が好ましい。その添加
量は、ポリマーに対して通常0.01〜5重量%、より
好ましくは0.5〜2重量%である。0.01重量%未
満では、着色防止剤効果が小さくなり、5重量%以上で
は、着色防止効果が低下する傾向があり、重合度が上が
らなくなる場合が生じる。また、反応に使用する装置に
ついては、該反応が脱水重縮合であるため、高分子量の
ポリマーを得るためには、反応の進行と共に生成する水
を系外へ除去できるような装置にする必要がある。
【0026】生成水の除去方法としては、溶媒の還流下
に留出する含水溶媒を乾燥剤で処理した後、再び系内へ
戻すシステム、または蒸留分離能力を有する装置を備え
た反応機中で反応させ、還流する溶媒と水との混合物を
そのまま蒸留分離して水分を除去し、脱水された溶媒の
みを系内へ戻す還流システム、更には留出する含水溶媒
を一旦系外へ抜き出した後、蒸留装置に挿入し水を蒸留
分離し、脱水された溶媒のみを反応系内へ戻すシステム
のいずれの方法でも用いることができる。
【0027】この反応系へ戻す溶媒中の水分量として
は、使用する溶媒量や目的とするポリマーの対数粘度に
もよるが、通常100ppm以下、好ましくは10pp
m以下がよい。目的とするポリマーの対数粘度が高い
と、その水分量の許容値は小さくなり、逆に対数粘度が
低いと、その許容値は大きくなり、その目的の対数粘度
に応じて適宜決定される。本発明によれば、対数粘度が
0.3dl/g以上の、少なくとも0.3〜5.0dl
/gのポリヒドロキシカルボン酸が効率的かつ安価に製
造できる。
【0028】
【実施例】以下に、本発明方法における実施例を記載す
るが、本発明は以下に記載する方法および装置に限定さ
れるものではない。対数粘度(ηinh)は下記式(数
1)
【数1】 で表され、ここで t=粘度計中の溶媒の流下時間 t0=同一粘度計中の同一溶媒のポリマー稀薄溶媒の流
下時間 C=溶媒100ml中のポリマー固形分のグラム数で表
した濃度 0.1gポリマー固形分/ジクロロメタン100mlの
濃度、温度20℃で測定した。また、本明細書記載のポ
リマ−の分子量(Mw)は、ゲルパ−ミエ−ションクロ
マトグラフィ−(カラム温度40℃)により、ポリスチ
レン標準サンプルとの比較で行った。
【0029】実施例1 2−メトキシプロピオン酸含有量350ppmの90%
L−乳酸75.0g(使用原料乳酸に対する2−メトキ
シプロピオン酸の量は0.033モル%)にo−ジクロ
ロベンゼン325gを加え、140℃/常圧で3時間系
外へ水を除去しながら加熱撹拌した後、錫粉0.4gを
加え、更にモレキュラーシーブ3A75gが充填された
管を取り付け還流により留出する溶媒がモレキュラーシ
ーブを通って系内へ戻るようにし、反応条件を130℃
/200mmHgに設定し、30時間反応させた。反応
終了後、反応マスにクロロホルム400mlを加え溶解
した後吸引瀘過し錫粉を除去した。得られたクロロホル
ム溶液にメタノール1400mlを加え、析出した黄白
色固体のポリ乳酸を瀘別乾燥した。ポリ乳酸の収量は4
9.8g、収率は92.2%、対数粘度は1.70dl
/g、分子量(Mw)は250,000であった。
【0030】実施例2 2−メトキシプロピオン酸含有量700ppmの90%
L−乳酸(使用原料乳酸に対する2−メトキシプロピオ
ン酸の量は0.066モル%)を用いたほかは、実施例
1と同様の方法で行った結果、白色固体のポリ乳酸5
0.2gを得た。ポリ乳酸の収率は93.0%、対数粘
度は1.54dl/g、分子量は220,000であっ
た。
【0031】実施例3 2−メトキシプロピオン酸含有量1,500ppmの9
0%L−乳酸(使用原料乳酸に対する2−メトキシプロ
ピオン酸の量は0.14モル%)を用いたほかは、実施
例1と同様の方法で行った結果、白色固体のポリ乳酸5
0.0gを得た。ポリ乳酸の収率は92.6%、対数粘
度は0.94dl/g、分子量は120,000であっ
た。
【0032】実施例4 2−メトキシプロピオン酸含有量2,400ppmの9
0%L−乳酸(使用原料乳酸に対する2−メトキシプロ
ピオン酸の量は0.23モル%)を用いたほかは、実施
例1と同様の方法で行った結果、白色固体のポリ乳酸4
8.3gを得た。ポリ乳酸の収率は89.4%、対数粘
度は0.78dl/g、分子量は80,000であっ
た。
【0033】実施例5 2−メトキシプロピオン酸含有量200ppmの90%
L−乳酸(使用原料乳酸に対する2−メトキシプロピオ
ン酸の量は0.020モル%)を用いたほかは、実施例
1と同様の方法で行った結果、白色固体のポリ乳酸4
9.5gを得た。ポリ乳酸の収率は91.7%、対数粘
度は2.15dl/g、分子量は320,000であっ
た。
【0034】実施例6 2−メトキシプロピオン酸含有量1,500ppmの9
0%L−乳酸75.0gと70%グリコール酸9.6g
(使用原料ヒドロキシカルボン酸の合計に対する2−メ
トキシプロピオン酸の量は0.13モル%)を用いたほ
かは、実施例1と同様の方法で行った結果、白色固体の
L−乳酸とグリコール酸のコポリマーを得た。コポリマ
ーの収率は91.0%、対数粘度は1.24dl/g、
分子量は170,000であった。
【0035】実施例7 2−メトキシプロピオン酸含有量1,500ppmの9
0%L−乳酸60.0gと90%DL−乳酸15.0g
(使用原料ヒドロキシカルボン酸の合計に対する2−メ
トキシプロピオン酸の量は0.11モル%)を用いたほ
かは、実施例1と同様の方法で行った結果、白色固体の
L−乳酸とグリコール酸のコポリマーを得た。コポリマ
ーの収率は90.5%、対数粘度は1.42dl/g、
分子量は200,000であった。
【0036】比較例1 2−メトキシプロピオン酸含有量3,300ppmの9
0%L−乳酸(使用原料乳酸に対する2−メトキシプロ
ピオン酸の量は0.31モル%)を用いたほかは、実施
例1と同様の方法で行った結果、白色固体のポリ乳酸4
8.4gを得た。ポリ乳酸の収率は89.7%、対数粘
度は0.27dl/g、分子量は27,000であっ
た。
【0037】比較例2 2−メトキシプロピオン酸含有量3,800ppmの9
0%L−乳酸75.0gと70%グリコール酸9.6g
(使用原料ヒドロキシカルボン酸の合計に対する2−メ
トキシプロピオン酸の量は0.33モル%)を用いたほ
かは、実施例1と同様の方法で行った結果、白色固体の
L−乳酸とグリコール酸のコポリマーを得た。コポリマ
−の収率は91.3%、対数粘度は0.28dl/g、
分子量は27,000であった。
【0038】
【発明の効果】本発明方法によって、少なくとも乳酸を
含むヒドロキシカルボン酸類から直接脱水重縮合により
高分子量のポリヒドロキシカルボン酸を工業的に容易、
且つ安価に得る事が出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊地 展禎 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 高橋 章 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 太田 正博 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも乳酸を含むヒドロキシカルボ
    ン酸類を、触媒の存在下または非存在下で、有機溶媒中
    で脱水重縮合することによるポリヒドロキシカルボン酸
    の製造方法において、不純物である2−メトキシプロピ
    オン酸が原料のヒドロキシカルボン酸に対して0.3モ
    ル%以下含まれるヒドロキシカルボン酸を原料として使
    用する、対数粘度が0.3dl/g以上であるポリヒド
    ロキシカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリヒドロキシカルボン酸の対数粘度が
    0.3〜5.0dl/gである請求項1記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 脱水重縮合の温度が50〜250℃であ
    る請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 不純物である2−メトキシプロピオン酸
    が原料のヒドロキシカルボン酸に対して0.3モル%以
    下含まれることを特徴とする対数粘度が0.3dl/g
    以上であるポリヒドロキシカルボン酸製造用の少なくと
    も乳酸を含むヒドロキシカルボン酸。
JP373895A 1995-01-13 1995-01-13 ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法 Pending JPH08188642A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP373895A JPH08188642A (ja) 1995-01-13 1995-01-13 ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP373895A JPH08188642A (ja) 1995-01-13 1995-01-13 ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08188642A true JPH08188642A (ja) 1996-07-23

Family

ID=11565574

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP373895A Pending JPH08188642A (ja) 1995-01-13 1995-01-13 ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08188642A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1109703C (zh) * 1998-04-28 2003-05-28 三井化学株式会社 聚酯的制备方法
JP2013151696A (ja) * 2001-04-12 2013-08-08 Kureha Corp グリコリド製造用グリコール酸オリゴマーの製造方法
EP3147275A1 (en) 2008-12-26 2017-03-29 Toray Industries, Inc. Method for producing lactic acid and method for producing polylactic acid

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1109703C (zh) * 1998-04-28 2003-05-28 三井化学株式会社 聚酯的制备方法
JP2013151696A (ja) * 2001-04-12 2013-08-08 Kureha Corp グリコリド製造用グリコール酸オリゴマーの製造方法
EP3147275A1 (en) 2008-12-26 2017-03-29 Toray Industries, Inc. Method for producing lactic acid and method for producing polylactic acid
US10683254B2 (en) 2008-12-26 2020-06-16 Toray Industries, Inc. Method for producing lactic acid and method for producing polylactic acid
US11597694B2 (en) 2008-12-26 2023-03-07 Toray Industries, Inc. Method for producing lactic acid and method for producing polylactic acid

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2017202875B2 (en) Process for enhancing the molecular weight of a polyester
US5512653A (en) Lactic acid containing hydroxycarboxylic acid for the preparation of polhydroxycarboxylic acid
KR100684682B1 (ko) 글리콜산 공중합체 및 그의 제조 방법
US5440008A (en) Process for preparing polyhydroxycarboxylic acid
CN1902253B (zh) 脂肪族聚酯的制造方法
JP3644840B2 (ja) 生分解性を有する脂肪族系ポリエステルの製造方法
CN102718948B (zh) 一种制备脂肪族聚草酸酯的方法
JPH08188642A (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
EP3347401B1 (en) Process for enhancing the molecular weight of a polyester by solid state polymerization
JP3162544B2 (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
JP3504704B2 (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
JPH0931170A (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
JPH06279577A (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
JPH06306149A (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
JPH072985A (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
JP3075644B2 (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
JPH07102053A (ja) ポリヒドロキシカルボン酸およびその精製方法
JPH07216064A (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
JP3135484B2 (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
US4017463A (en) High melting N,N-terephthaloyl bis-phthalimide and its use as an ester interlinking agent for polyesters
JP4649589B2 (ja) コハク酸アンモニウムを用いるポリエステルの製造方法
JP3319884B2 (ja) 脂肪族ポリエステルの精製方法
KR20140021755A (ko) 에스테르화 반응 생성물의 제조방법 및 상기 에스테르화 반응 생성물을 이용하는 폴리에스테르의 제조방법
JPH1135662A (ja) 乳酸および乳酸オリゴマーとそれを用いたポリ乳酸の製造方法
JPH07216063A (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法