JPH07214581A - 型内被覆成形品の製造方法 - Google Patents

型内被覆成形品の製造方法

Info

Publication number
JPH07214581A
JPH07214581A JP931494A JP931494A JPH07214581A JP H07214581 A JPH07214581 A JP H07214581A JP 931494 A JP931494 A JP 931494A JP 931494 A JP931494 A JP 931494A JP H07214581 A JPH07214581 A JP H07214581A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molding
mold
coating
coated
molded article
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP931494A
Other languages
English (en)
Inventor
Natsuki Morishita
夏樹 森下
Toshimitsu Tsuji
敏充 辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP931494A priority Critical patent/JPH07214581A/ja
Publication of JPH07214581A publication Critical patent/JPH07214581A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 被覆層の成形品基材に対する密着性に優れた
被覆成形品を得ることを可能とする製造方法を提供す
る。 【構成】 熱硬化性成形材料を100℃〜180℃の型
内で加熱・加圧成形するに際し、成形材料よりなる成形
品基材が半硬化段階以降の状態で被覆材料を注入し、成
形品基材表面に被覆層を形成した後、成形品を脱型する
方法において、脱型直後の被覆成形品を、50〜120
℃の温度で10分間〜4日間保温し、あるいは5〜35
℃の温度で10分〜2週間放冷した後被覆成形品を60
〜120℃の雰囲気下に移動して1時間〜4日間保温し
て被覆成形品を得る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形型内において成形
材料上に被覆層を形成する型内被覆成形品の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、熱硬化性材料よりなる成形品が、
金属部品等の代替部材として工業部品等に非常に広く用
いられている。中でも、ガラス繊維で強化した、シート
・モールディング・コンパウンド(以下、SMCと略
す)又はバルク・モールディング・コンパウンド(以
下、BMCと略す)が汎用されている。
【0003】しかしながらSMC又はBMCを成形型内
で加熱・加圧により成形して得られた成形品では、表面
に、ピンホール、微小亀裂、ひけまたは起伏などの表面
欠陥が発生しがちであった。このような表面欠陥が存在
している場合、成形品に通常の方法による塗装を行って
も、十分な塗膜を形成することは難しい。
【0004】従って、上記のような表面欠陥を隠ぺいす
るための方法として、いわゆる型内被覆成形方法が提案
されている。例えば、特公平4−33252号には、金
型に注入機を取り付け、この注入機の先端の注入口か
ら、圧縮成形中に、成形圧力を越える注入圧で被覆材料
を注入し、硬化させることにより、成形品表面に被覆層
を形成する方法が開示されている。また、この様な従来
の成形方法においては、成形型温度はその成形サイクル
の間一定に維持され、また、成形材料及び被覆材料が硬
化した時点で被覆成形品を脱型し、そのまま常温(5℃
〜35℃)の雰囲気下にて放冷して製品としていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様
な型内被覆成形においては、被膜と、基材である成形材
料との密着性が悪いという欠点を有する。
【0006】本発明の目的は、従来の型内被覆成形方法
の上記欠点を解消し、型内被覆成形方法において、被膜
と基材との密着性に優れた被覆成形品を得ることを可能
とする製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の製造方
法は、100℃〜180℃の成形型内において、熱硬化
性成形材料上に、熱硬化性被覆材料を注入し、これを被
覆展延させ、そのまま硬化させて被覆層を形成し、脱型
して得られた被覆成形品を50℃〜120℃の雰囲気下
で10分〜4日間保つことを骨子とし、そのことにより
上記課題が解決される。
【0008】また、請求項2の発明の製造方法は、10
0℃〜180℃の成形型内において、成形材料上に、熱
硬化性被覆材料を注入し、これを被覆展延させ、そのま
ま硬化させて被覆層を形成し、脱型して得られた被覆成
形品を速やかに5℃〜35℃の雰囲気下にて10分〜2
週間放冷した後、被覆成形品を60℃〜120℃の雰囲
気下に1時間〜4日間保つことを骨子とし、そのことに
より上記課題が解決される。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いる成形機としては、従来公知の型内被覆成形を行い
得る射出成形機、プレス成形機等が使用可能である。
【0010】本発明に用いる成形型としては、従来公知
の型内被覆成形を行える金型、鋳物型、FRP型等が使
用可能である。これらの型には、蒸気配管、或は電気ヒ
ーター等の加熱、温度調節手段が内蔵され、蒸気圧の調
整、電気ヒーター通電のオンオフまたは電圧調整等の方
法により、容易に型の温度が調節される。
【0011】ここで、通常、型の温度については、型に
埋め込まれた熱電対によって測定される。熱電対の埋め
込まれる位置としては通常型表面近くであり、一般的に
は型表面から5mm〜50mmの深さである。
【0012】また、型の形式としては左右型(横型)で
も上下型(縦型)でも構わないが、一般的には上下型が
好ましく用いられる。この場合、通常は上型を可動型、
下型を固定型として用いる。
【0013】本発明の被覆成形方法において、成形材料
の成形開始から被覆材料硬化までの間の型温度として
は、100℃〜180℃であることが必要であり、好ま
しくは110℃〜160℃である。型温度が高すぎる
と、成形材料及び被覆材料が充分に型内を流動しきらな
いうちに硬化してしまってショートショットになってし
まう等の欠点を有し、また、低すぎる場合には、成形材
料及び被覆材料の硬化が著しく遅くなり、成形サイクル
タイムが非常に長くなってしまうという欠点を有する。
【0014】なお、上型と下型との温度を相違させた状
態で成形を行うような場合には、上記型温度とは、その
両者の型温度の平均を意味する。本発明の被覆成形方法
において、被覆材料を注入するタイミングとしては、型
内において熱硬化性成形材料が半硬化以降の状態である
ことが必要である。即ち、成形材料が半硬化に達してい
ない未硬化状態のときに、被覆材料を注入してしまう
と、未硬化即ち液体状の成形材料と被覆材料が混ざって
しまい、うまく、成形材料表面に被膜を形成することが
できない。逆に、成形材料が半硬化状態になった以降で
あれば、いつでも被覆材料を注入することはできるが、
あまり遅いタイミングでの注入は、成形サイクル時間に
おいて不利なので、半硬化状態に達した時点で速やかに
注入するのが好ましい。
【0015】上記「成形材料が半硬化状態に達した時
点」は、成形時の型及び材料の状態を計測することによ
って検出できる。例えば、金型表面に圧力センサーを
取り付けておいて、成形材料が硬化収縮を起こすことに
よる圧力低下を検知する方法、金型表面に温度センサ
ーを取り付けておいて成形材料の硬化発熱による温度上
昇を検知する方法、及び金型に位置センサーを取り付
けて型開き量を測定し、成形材料の硬化収縮による型開
き量の減少を検知する方法等の各種の計測技術が応用可
能である。
【0016】本発明の被覆成形方法において、被覆材料
を注入する方法としては、従来公知の各方法を採用し得
る。例えば、成形材料が半硬化に達した後に、型を僅か
に開けて被覆材料を注入した後、再び型を締めて再加圧
加熱して被覆成形品を得る方法や、特公平4−3325
2に開示されているような、成形材料が半硬化に達した
後に、型を締めたまま型に取り付けられた注入機から、
成形圧力を超える圧力で被覆材料を注入する方法等が可
能である。
【0017】本発明において、被覆面側の型を外すタイ
ミングとしては、被覆材料が型内において半硬化以降の
状態であることが必要である。即ち、被覆材料が半硬化
に達していない未硬化状態のときに、被覆面側の型を外
してしまうと、その後被膜の硬化は進まず、充分な硬化
塗膜が得られない。
【0018】なお、被覆材料が半硬化状態に達した時点
は、上述の、成形材料の半硬化状態の検出方法と同様の
方法で検出することができる。本発明において、脱型し
て得られた被覆成形品を保温する設備としては、従来公
知の加熱乾燥機、加熱乾燥ゾーンまたは加熱硬化炉等の
設備が使用可能である。
【0019】請求項1の発明において、脱型して得られ
た被覆成形品を、保温する温度としては、50℃〜12
0℃であることが必要であり、好適には70℃〜105
℃である。温度が低すぎる場合には被膜の密着性が改良
されないという欠点を有し、また、温度が高すぎる場合
には、その熱のため被膜樹脂が酸化劣化して変色しやす
いという欠点を有する。また、この保温温度は、通常、
成形温度よりも30℃〜85℃程度低い温度とされる。
【0020】請求項1の発明において、脱型して得られ
た被覆成形品を保温する時間としては、10分間〜4日
間であることが必要であり、好適には30分間〜3時間
である。保温時間が短すぎる場合には被膜の密着性が充
分に改良されないという欠点を有し、また、保温時間が
長すぎる場合には、その熱のため被膜樹脂が酸化劣化し
て変色しやすいという欠点を有する。
【0021】請求項1の発明において、脱型して得られ
た被覆成形品は、脱型した後に、好ましくは直後に、保
温を開始することが必要である。具体的には、脱型した
後5分間以内であることが好適である。脱型した後保温
開始までに時間が長くかかる場合には、充分な被膜密着
性改良効果が得にくくなりやすいという欠点がある。
【0022】なお、保温を開始するには50〜120℃
の雰囲気温度である場所(例えばオーブン)に移動する
のが好ましいが、成形品保管場所(室)の温度を昇温す
ることによってもよい。
【0023】請求項2の発明において、脱型して得られ
た直後の被覆成形品を、5℃〜35℃にて放冷する時間
としては、10分間〜2週間であることが必要であり、
好適には10分間〜1週間である。長すぎる場合には、
充分な密着性改良効果が得にくいという欠点を有する。
【0024】本来、脱型して得られた被覆成形品は、直
ちに保温するのが好ましく、即ち請求項1の発明を適用
することが好ましい。しかし、成形ライン、保温設備の
能力等の問題で、それが不可能な場合には、5℃〜35
℃にて放冷する工程を設け、従って請求項2の発明を適
用することが好ましい。
【0025】請求項2の発明において、脱型して得られ
た被覆成形品を、放冷した後に、好ましくは直後に、保
温する温度としては、60℃〜120℃であることが必
要であり、好適には80℃〜105℃である。温度が低
すぎる場合には被膜の密着性が改良されないという欠点
を有し、また、温度が高すぎる場合には、その熱のため
被膜樹脂が酸化劣化して変色しやすいという欠点を有す
る。
【0026】請求項2の発明において、脱型して得られ
た被覆成形品を保温する時間としては、1時間〜4日間
であることが必要であり、好適には2時間〜4時間であ
る。保温時間が短すぎる場合には被膜の密着性が充分に
改良されないという欠点を有し、また、保温時間が長す
ぎる場合には、その熱のため被膜樹脂が酸化劣化して変
色しやすいという欠点を有する。
【0027】なお、成形品の保温を開始する方法は請求
項1の発明と同様、放冷した位置から成形品を保温温度
雰囲気にある場所に移動してもよく、その場で昇温して
もよい。
【0028】また、本発明において、被覆成形品の保温
を終了した後の温度管理としては、室温(5℃〜35
℃)にて放冷しても良いし、徐冷しても良い。次に、本
発明の型内被覆成形品の製造方法で用いられる上記熱硬
化性成形材料及び被覆材料につき説明する。
【0029】本発明において成形材料として用いられる
熱硬化性成形材料は、下記の熱硬化性樹脂組成物を含
み、必要に応じて、下記の低収縮剤、共重合性単量体、
無機充填剤、補強材、並びに後述の重合開始剤、硬化促
進剤、重合禁止剤、顔料、染料、導電付与剤、乳化剤、
離型剤等を適当量加えることにより調製される。すなわ
ち、熱硬化性樹脂組成物に上記のような各種材料を適宜
配合し、混練することにより調製される。
【0030】本発明において成形材料として用いられる
熱硬化性樹脂組成物に用いる熱硬化性樹脂としては、熱
分解性のラジカル触媒を用いて二重結合を開裂付加反応
させ3次元網目構造を形成することのできる、分子内に
反応性二重結合を持つ不飽和ポリエステル樹脂、エポキ
シアクリレート(ビニルエステル)樹脂、ウレタンアク
リレート樹脂などが用いられる。これらの樹脂はそれぞ
れ単独で用いても良いし、複数種を混合して用いても構
わない。
【0031】また、上記成形材料用熱硬化性樹脂組成物
には、低収縮剤として、ポリ酢酸ビニル、ポリメチル
(メタ)アクリレート、ポリエチレン、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体、酢酸ビニルースチレン共重合体、ポリブ
タジエン、飽和ポリエステル類、飽和ポリエーテル類な
どのような熱可塑性樹脂を必要に応じて適当量用いるこ
とができる。
【0032】また、上記成形材料用熱硬化性樹脂組成物
には、スチレン、アルファメチルスチレン、ジビニルベ
ンゼン、ビニルトルエン、ジアリルフタレート、各種ア
クリレートモノマー、各種メタクリレートモノマーなど
の共重合性単量体を必要に応じて適当量用いることがで
きる。
【0033】さらに、上記成形材料用熱硬化性樹脂組成
物には、目的及び用途に応じて、適当量の無機充填剤、
すなわち、炭酸カルシウム、重晶石(硫酸バリウム)、
石膏(硫酸カルシウム)、雲母、タルク(滑石)、葉ろ
う石、カオリン、石英、長石、酸化チタン、鋼玉(酸化
アルミニウム)、水酸化アルミニウム、(中空)ガラス
球、ガラス粉末、などの天然または人工の鉱物またはそ
れを処理、精製あるいは加工したもの、およびそれらの
混合物が用いられる。
【0034】また、上記成形材料用熱硬化性樹脂組成物
には、補強材として、各種補強繊維、すなわちガラス繊
維、炭素繊維などを必要に応じて適当量加えることがで
きる。
【0035】さらに、上記成形材料用熱硬化性樹脂組成
物には、必要に応じて、ケトンパーオキサイド類、ジア
シルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジ
アルキルパーオキサイド類、アルキルパーエステル類、
パーカーボネート類、パーオキシケタール類などの公知
の開始剤、ジメチルアニリン、ナフテン酸コバルトなど
の公知の硬化促進剤、パラベンゾキノンなどの重合禁止
剤、カーボンブラックや酸化チタン、酸化鉄、シアニン
系顔料、アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、銀粉など
の顔料、アゾ系染料やアントラキノン系、インジゴイド
系、スチルベン系などの染料、カーボンブラックなどの
導電性付与剤、乳化剤、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸
類、脂肪族燐酸塩、レシチンなどの離型剤などを用途、
目的に応じて適当量加えることができる。
【0036】上記各種材料を配合することにより得られ
た熱硬化性樹脂組成物は、従来公知の方法により、SM
C或いはBMCの形態を持つ成形材料となる。具体的に
は例えば、不飽和ポリエステル樹脂のスチレン溶液(ス
チレン濃度40〜70重量%)60〜100重量部に対
して、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ
酢酸ビニルなどの熱可塑性樹脂のポリスチレン溶液(ス
チレン濃度30〜80重量%)0〜40重量部を加えて
100重量部とし、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム等の充填材粉末100〜300重量部、酸化マグネシ
ウム等の増粘剤0.1〜3重量部、開始剤としての有機
過酸化物0.1〜5重量部を加えてよく混練し、ガラス
繊維等の補強繊維1〜200重量部に、混練機または含
浸機によって含浸させ、固体状の成形材料としたもの
が、成形性、取扱い性、成形品物性に優れるため、好適
に用いられる。
【0037】また、本発明において被覆材料として用い
る熱硬化性樹脂組成物は、上記成形材料用熱硬化性樹脂
組成物と同様の各種材料を適宜配合して用いられる。即
ち熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、エポキ
シアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などが
用いられ、必要に応じて上述した様な各種共重合性モノ
マー、低収縮剤、各種充填剤、着色剤、開始剤、添加剤
等を加えることができる。
【0038】具体的には例えば、不飽和ポリエステル樹
脂、エポキシアクリレート樹脂或はウレタンアクリレー
ト樹脂のスチレン溶液(スチレン濃度40〜70重量
%)70〜100重量部に対して、ポリメチルメタクリ
レート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニルなどの熱可塑性
樹脂のポリスチレン溶液(スチレン濃度30〜80重量
%)0〜30重量部を加えて100重量部とし、炭酸カ
ルシウム、硫酸バリウム等の充填材粉末10〜150重
量部、酸化チタン、カーボンブラック等の着色顔料0〜
30重量部、ステアリン酸亜鉛等の内部離型剤0.1〜
3重量部、開始剤としての有機過酸化物0.1〜5重量
部を加えてよく混練したものが、成形性、取扱い性、成
形品物性に優れるため、好適に用いられる。
【0039】
【作用】通常の被覆方法においては、成形品基材の温度
が室温である状態で塗装が行われるため、密着性の良好
な被膜が得られるが、型内被覆成形方法においては、こ
の被覆工程が高温で行われる。従って、成形した被覆成
形品を、型から取り出した後、そのまま室温にて冷却し
てしまうと、型の温度と、室温との差が大きく、急激に
冷却される。よって、被膜と成形材料の界面に残留応力
が残り、被膜と成形材料との密着性が悪いものとなって
いた。
【0040】これに対して、本発明では、被覆成形品を
脱型した後、上記特定の温度に保温される。この場合、
保温工程の間に、被膜と成形品基材との間の界面におけ
る残留応力が保温により緩和され解消される。そのた
め、上記保温工程を得ることにより得られた被覆成形品
では、被膜の密着性が効果的に高められる。
【0041】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。以
下、特に断らない限り、部は重量部を意味する。
【0042】1.成形機及び金型の準備 成形機としては、川崎油工社製、800トンプレス成形
機を用いた。金型としては30cm×30cmの正方形
の平板を成形する金型を準備した。上型、下型の双方に
電気ヒーター及び冷却水配管を埋め込んだ。また、先端
の測定部位が成形材料に接触するように及び、被覆材料
注入後は被覆材料に接触するように、熱電対を下型に埋
め込んだ。
【0043】2.成形材料の調製 (1)不飽和ポリエステル樹脂液(イソフタル酸系の不
飽和ポリエステル樹脂〔数平均分子量約2000〕約6
0重量%をスチレンモノマー約40重量%に溶解したも
の)70部 (2)ポリスチレン系低収縮剤樹脂液(ポリスチレン樹
脂〔数平均分子量約10万〕約30重量%をスチレンモ
ノマー約70重量%に溶解したもの)30部 (3)炭酸カルシウム粉末(NS−100:日東粉化社
製)120部 (4)硬化剤(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエ
ート)1部
【0044】(5)増粘剤(酸化マグネシウム粉末、キ
ョーワマグ150:協和化学工業社製)1部 (6)内部離型剤(ステアリン酸亜鉛:堺化学工業社
製)5部 (7)ガラス繊維(旭ファイバーグラス製のロービン
グ:ER4630LBD166Wを長さ25mmに切断
したもの)60部 上記配合材料のうちガラス繊維以外の材料を混合、充分
に撹拌した後、SMC製造装置によりガラス繊維に含浸
させ、SMCを得た。
【0045】3.型内被覆材料の調製 (型内被覆材料) (1)不飽和ポリエステル樹脂液(イソフタル酸系の不
飽和ポリエステル樹脂〔数平均分子量約2000〕約6
0重量%をスチレンモノマー約40重量%に溶解したも
の) 100部 (2)炭酸カルシウム(NS−100:日東粉化社製)
100部 (3)白色着色顔料(酸化チタン、SR−1、堺化学工
業社製)20部 (4)硬化剤(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエ
ート)1部 を混合、充分に攪拌し、型内被覆材料を得た。
【0046】(型内被覆材料) (1)エポキシアクリレート樹脂液(ビスフェノールA
型エポキシ樹脂の両末端をメタクリル酸エステル化した
もの〔平均分子量約1200〕をスチレンに溶解したも
の、スチレン濃度約35重量%、以下、EAcと略す)
100部 (2)炭酸カルシウム(NS−100:日東粉化社製)
20部 (3)白色着色顔料(酸化チタン、SR−1、堺化学工
業社製)30部 (4)硬化剤(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエ
ート)1部 を混合、充分に攪拌し、型内被覆材料を得た。
【0047】(型内被覆材料) (1)ウレタンアクリレート樹脂液(プロピレングリコ
ールと無水フタル酸を重合させて得た両末端水酸基のポ
リエステル樹脂の両末端にトリレンジイソシアネートを
付加させ、さらにその両末端に2ヒドロキシエチルメタ
クリレートを付加させたもの〔平均分子量約2000〕
をスチレンに溶解したもの、スチレン濃度約40重量
%、以下、UAcと略す) 100部 (2)炭酸カルシウム(NS−100:日東粉化社製)
30部 (3)白色着色顔料(酸化チタン、SR−1、堺化学工
業社製)5部 (4)硬化剤(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエ
ート)1部 を混合、充分に攪拌し、型内被覆材料を得た。
【0048】4.実施例及び比較例実施例1 室温が25℃に調節された建物内で、上記金型の上型を
150℃、下型を150℃に加熱した後、金型内に上記
SMCを約700gチャージし(これは約4mmの厚み
に相当する)、70kg/cm2の圧力で120秒間加
圧成形した(以下、1次硬化時間と記す)。熱電対によ
り測定された成形材料の硬化発熱開始タイミング(この
とき被覆材料が半硬化状態に達したと推定される)は1
10秒であった。
【0049】上記120秒の加圧成形後、型を僅かに開
いて上記型内被覆材料を10ml注入した。その後型
を締めて50kg/cm2の圧力で120秒間加熱・加
圧成形する(以下、2次硬化時間と記す)ことにより被
覆成形品を得た。熱電対により測定された被覆材料の硬
化発熱開始タイミング(このとき被覆材料が半硬化状態
に達したと推定される)は被覆材料注入後40秒であっ
た。
【0050】次に、型を開いて脱型し、そのまま100
℃に加熱されているオーブンの中に入れ、1時間後に取
り出し、室温にて1日放冷した。このようにして得られ
た成形品の外観は良好であった。次に以下の要領で碁盤
目密着試験により密着性を評価した。表面にカッターナ
イフを用いて2mm間隔で11本の素地に達する直線を
平行に引き、さらにこれらの直線に直交する11本の直
線を2mm間隔で引いて形成された碁盤目状の部分に粘
着テープ(積水化学工業社製、セロテープ)を貼り付け
た後引き剥し、碁盤目のます100個あたりの残存数を
調べた。その結果は100/100であった。
【0051】実施例2〜9 下記表1〜3に示すように被覆材料種及び条件を変えた
以外は実施例1と同様に成形を行った。得られた成形品
の被膜の密着性(碁盤目密着試験結果)は100/10
0であった。
【0052】実施例10 室温が25℃に調節された建物内で、上記金型の上型を
150℃、下型を150℃に加熱した後、金型内に上記
SMCを約700gチャージし、70kg/cm2の圧
力で120秒間加圧成形した。熱電対により測定された
成形材料の硬化発熱開始タイミングは110秒であっ
た。
【0053】上記120秒間の加圧成形後、型を僅かに
開いて上記型内被覆材料を10ml注入した。その後
型を締めて50kg/cm2の圧力で120秒間加熱・
加圧成形することにより、被覆成形品を得た。熱電対に
より測定された被覆材料の硬化発熱開始タイミングは被
覆材料注入後40秒であった。
【0054】次に、型を開いて脱型して被覆成形品を取
り出し、室温(25℃)にて放冷した。2時間後、室温
(25℃)まで冷えた成形品を75℃に加熱されている
オーブンの中に入れ、2時間後に取り出し、室温(25
℃)にて1日放冷した。
【0055】このようにして得られた成形品の外観は良
好であった。また、実施例1と同様に、密着性試験を行
った。その結果は100/100であった。
【0056】実施例11〜18 下記の表4〜6に示すように被覆材料種及び条件を変え
た以外は実施例10と同様に成形を行った。得られた成
形品の被膜の密着性は100/100であった。
【0057】比較例1 室温が25℃に調節された建物内で、上記金型の上金型
を150℃、下型を150℃に加熱した後、金型内に上
記SMCを約700gチャージし、70kg/cm2
圧力で120秒間加圧成形した後、型を僅かに開いて注
入機から上記型内被覆材料を10ml注入した。その
後型を締めて120秒間加熱・加圧成形することによ
り、被覆成形品を得た。
【0058】次に、型を開いて脱型し、得られた成形品
を室温(25℃)にて1日放冷した。このようにして得
られた成形品の外観は良好であった。また、実施例1と
同様に、密着性試験を行った。その結果は31/100
であった。
【0059】比較例2、3、8〜10、15〜17 表1〜3に示すように被覆材料種及び条件を変えた以外
は比較例1と同様に成形を行った。得られた成形品の被
膜の密着性は不十分であった。
【0060】比較例4〜6、11〜13、18〜20 表1〜3に示すように被覆材料種及び条件を変えた以外
は、実施例1と同様に成形、評価を行った。その結果、
得られた成形品の外観は良好であったが、被膜の密着性
は不良であった。
【0061】比較例7、14、21 表1〜3に示すように被覆材料種及び条件を変えた以外
は、実施例1と同様に成形、評価を行った。その結果、
得られた成形品の外観が不良であった。
【0062】比較例22〜24、26〜28、30〜3
表4〜6に示すように被覆材料種及び条件を変えた以外
は、実施例10と同様に成形、評価を行った。その結
果、得られた成形品の外観は良好であったが、被膜の密
着性は不良であった。
【0063】比較例25、29、33 表4〜6に示すように被覆材料種及び条件を変えた以外
は、実施例10と同様に成形、評価を行った。その結
果、被膜に黄変がみられた。
【0064】上述した各実施例及び比較例の製造方法に
おける型温度及び成形品温度の変化の代表的な例を、図
1(実施例1)、図2(実施例5)、図3(比較例
1)、図4(比較例4)、図5(比較例6)、図6(実
施例10)、図7(実施例17)、図8(比較例2
2)、図9(比較例23)及び図10(比較例25)に
示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
【発明の効果】以上のように請求項1,2に記載の発明
では、型内被覆成形法において、脱型した直後の被覆成
形品を上記特定の温度範囲で上記特定の時間保温するこ
とにより被覆成形品が得られる。従って、上記保温によ
り、被膜と成形品基材との間の界面における残留効力が
緩和されて、被膜の成形品基材に対する密着性が充分に
高められる。そのため、被膜の密着性に優れた被覆成形
品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における型温度及び成形品温度の変化
を示す図
【図2】実施例5における型温度及び成形品の温度の変
化を示す図。
【図3】比較例1における型温度及び成形品の温度の変
化を示す図。
【図4】比較例4における型温度及び成形品温度の変化
を示す図
【図5】比較例6における型温度及び成形品温度の変化
を示す図
【図6】実施例10における型温度及び成形品温度の変
化を示す図
【図7】実施例17における型温度及び成形品温度の変
化を示す図
【図8】比較例22における型温度及び成形品温度の変
化を示す図
【図9】比較例23における型温度及び成形品温度の変
化を示す図
【図10】比較例25における型温度及び成形品温度の
変化を示す図

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性成形材料を100℃〜180℃
    の型内で加熱・加圧成形するに際し、前記成形材料から
    なる成形品基材が半硬化以降の状態であるときに被覆材
    料を注入し、成形品基材表面に被覆層を形成した後、成
    形品を脱型する型内被覆成形法において、脱型した後の
    被覆成形品を50℃〜120℃の雰囲気下で10分間〜
    4日間保温して被覆成形品を得ることを特徴とする型内
    被覆成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱硬化性成形材料を100℃〜180℃
    の型内で加熱・加圧成形するに際し、前記成形材料から
    なる成形品基材が半硬化以降の状態であるときに被覆材
    料を注入し、成形品基材表面に被覆層を形成した後、成
    形品を脱型する型内被覆成形法において、脱型した直後
    の被覆成形品を5℃〜35℃の雰囲気下で10分間〜2
    週間放冷した後、被覆成形品を60℃〜120℃の雰囲
    気下にて、その状態で1時間〜4日間保温して被覆成形
    品を得ることを特徴とする型内被覆成形品の製造方法。
JP931494A 1994-01-31 1994-01-31 型内被覆成形品の製造方法 Pending JPH07214581A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP931494A JPH07214581A (ja) 1994-01-31 1994-01-31 型内被覆成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP931494A JPH07214581A (ja) 1994-01-31 1994-01-31 型内被覆成形品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07214581A true JPH07214581A (ja) 1995-08-15

Family

ID=11717018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP931494A Pending JPH07214581A (ja) 1994-01-31 1994-01-31 型内被覆成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07214581A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101570413A (zh) 亚克力人造石及其制备方法
EP0211657B1 (en) Curable composition, method for manufacture thereof and articles made therefrom
JPH0366126B2 (ja)
JPH07223231A (ja) 型内被覆成形品の製造方法
JPH07214581A (ja) 型内被覆成形品の製造方法
KR940010217B1 (ko) 인조 대리석용 수지 조성물
KR100403508B1 (ko) 불포화 폴리에스테르계 폴리머 모르타르 경화물의 제조방법
KR100413698B1 (ko) 숙성된 불포화 폴리에스테르계 폴리머 모르타르 및 그 제조방법
JPH06246763A (ja) 型内被覆成形法
JP2001115000A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物、シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
CN114685720A (zh) 一种设有聚合物壳层的预制件及其制备方法
JP3361034B2 (ja) アクリル系樹脂組成物、アクリル系プレミックス、アクリル系smc又はbmc、及びアクリル系人工大理石の製造方法
JPH02147622A (ja) 硬化性樹脂組成物、該組成物を成形硬化してなる人工大理石およびその製造方法
JPH0114005B2 (ja)
JP3056695B2 (ja) 成形材料およびその成形方法
JP2001277270A (ja) 型内被覆された樹脂成形品の製造方法
JPS5846206B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JPH04351659A (ja) 型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物
JPH01320247A (ja) レジンコンクリート系組成物
JPH06166039A (ja) 人工大理石の製法
JP2000086878A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物、繊維強化成形材料及びシート状成形材料の製造法
JPH07156168A (ja) 熱硬化性樹脂成形材料の成形方法
JPH11148000A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物並びにこれを用いた繊維強化成形材料およびシート状成形材料
JP2000178426A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物、繊維強化成形材料及びシート状成形材料の製造法
JPH08207149A (ja) ゲルコート付きfrp製品の成形方法