JPH07214136A - 高温金属板の下面冷却装置 - Google Patents

高温金属板の下面冷却装置

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JPH07214136A JP942094A JP942094A JPH07214136A JP H07214136 A JPH07214136 A JP H07214136A JP 942094 A JP942094 A JP 942094A JP 942094 A JP942094 A JP 942094A JP H07214136 A JPH07214136 A JP H07214136A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高温鋼板の下面冷却装置において、高い冷却能
力を有し板厚の厚い板製品を高速で搬送しながら所望の
冷却を行うことができ、通常の冷却と強冷却に対して鋼
板への冷却水供給量を従来よりも多く数の段階で変化さ
せることができ、鋼板幅方向にも均等な流量分布を得
る。 【構成】テーブルローラ4、4’間に、複数の冷却ヘッ
ダ5、5’を並べて設け、それぞれの制御バルブ8、
8’によって冷却水の供給をオンオフ制御し、ノズル
6、6’から鋼板1の下面に向けて柱状冷却水を噴出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温金属板の下面冷却
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、熱延鋼板の冷却履歴を制御して、
製品の機械的性質や加工性等を制御する技術が開発され
ている。このような技術を一般に制御冷却という。制御
冷却を行う鉄鋼製品の中には、特定の相への変態を促進
させる等の目的で冷却中特定の温度域である程度の空冷
保持時間が要求されるものがある。熱延鋼板は、冷却装
置内を高速で搬送されるから、冷却時間はたかだか10
〜30秒程度の範囲に限られている。前記のように特定
の温度域である程度の空冷保持時間を必要とする鋼板を
製造する場合、冷却パターンは例えば図3のようにな
る。実線で示すパターンAは水冷(通常冷却または強冷
却)の後空冷するパターンを示し、破線で示すパターン
Bは水冷(強冷却)の後空冷し、その後再び水冷(強冷
却)するパターンを示している。パターンBでの冷却を
行う場合、冷却水の注水を行うことができる区域は限ら
れてくるので、高い冷却速度で冷却しなければならず、
40℃/sec以上の高い値が要求されるものもある。
【0003】ところで従来から、熱延鋼板の冷却では、
冷却水をパイプノズル等の円形噴出口から柱状にして噴
出する技術がある。この技術はスプレー等による冷却と
は違って冷却水を鋼板に大量に供給できるので、冷却能
力が大きいという特長がある。ただ従来は鋼板下面を冷
却する場合は、滞留水が存在する上面冷却の場合と同等
な冷却能力が得られなかった。これに対して特開昭62
−259610号公報に開示されているようにテーブル
ローラの間のガイド(エプロン)を兼ねたヘッダから細
い柱状冷却水を多数噴出し、鋼板下面の直接冷却される
面積を広くして冷却能力を増大させる等の技術がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】冷却中に特定の温度域
である程度の空冷保持時間を必要とする前述のような製
品を製造する場合、従来の冷却装置では、40℃/se
c以上という高い冷却速度は4〜5mm程度までの板厚
の薄い製品に対してしか実現できなかった。これ以上の
板厚に対しては冷却水供給量が少なく、冷却能力が小さ
かったからである。
【0005】これに対し、板厚の厚い製品は搬送速度を
下げて製造するという案もあるが、生産効率を下げるた
め好ましくない。また従来の装置より冷却水供給量を多
くすれば前述の問題は解決することができるが、逆に、
高い冷却速度を必要としない図3のパターンAのような
冷却パターンで通常の冷却を行う場合に温度制御がしに
くいという問題が生じる。従って製品製造に要求される
冷却速度に応じて冷却水供給量を変化させるということ
が重要となる。
【0006】一方、冷却ヘッダは、本来、冷却水が鋼板
幅方向に配列された各ノズルから均等な流量分布で噴出
するように設計されている。しかし、この均等な流量分
布は特定の冷却水供給量についてのみ達成されるだけで
あって、流れが変化した場合にはヘッダ内圧の分布も変
化し、鋼板幅方向に均等な流量分布は得られなくなる。
従って、流量調整弁等によってヘッダへの冷却水量を変
化させ、かつ、鋼板幅方向に均等な流量分布を確保する
という技術は、実際には大きな困難を伴なう。
【0007】熱延鋼板下面の冷却能力を増大させる特開
昭62−25610号公報の技術は、冷却水の干渉とい
う点においていくつかの問題があった。例えば、ヘッダ
とガイドとの間が狭いため、噴出した冷却水はすぐには
落下せずに、鋼板とガイドの間に滞留する。このような
場合、滞留水が細い柱状冷却水と干渉し、冷却水は鋼板
下面に直接衝突できなくなり冷却能力が低下する。ま
た、隣り合う冷却水噴出口の間隔が狭いため、鋼板下面
に衝突した後の冷却水が柱状冷却水と干渉し、冷却水が
鋼板下面に衝突する位置(以下、冷却水衝突部ともい
う)が安定しない。従って、冷却水噴出口を多数規則正
しく並べたとしても、幅方向に一様で安定した冷却能力
を得ることはそれだけでは達成できない場合がある。
【0008】本発明は上記問題点を解決した高温金属板
の下面冷却装置を開発し、これを提供するものである。
すなわち、本発明の課題は、次のとおりである。 (a)熱延金属板の下面の冷却能力を向上させること。 (b)通常の冷却と強冷却のどちらにも対応することが
できるようにすること。 (c)広範な冷却能力の範囲において金属板幅方向の冷
却の均一化を達成すること。 (d)冷却水噴射ノズルの相互干渉を回避すること。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決する技術を提供するものである。本発明は、一定間
隔に配置されたローラ群よりなるローラテーブル上を走
行する高温金属板の下面を冷却水にて冷却する系統に適
用されるものであって、ローラ間の下方に位置する冷却
装置において、冷却水を供給する冷却ヘッダを各テーブ
ルローラ間の金属板搬送方向に複数個それぞれ並べて設
け、かつ上記複数個並べて設けたヘッダにそれぞれ制御
バルブを備えたことを特徴とする高温金属板の下面冷却
装置である。この装置において、前記複数個の冷却ヘッ
ダはそれぞれ柱状冷却水を噴出する多数のノズルを頂部
に有し、隣接する冷却ヘッダのノズル同士を金属板幅方
向同一位置に整列する、いわゆる碁盤目配列とすると好
ましく、また、上記高温金属板の下面冷却装置におい
て、前記複数の冷却ヘッダはそれぞれ柱状冷却水を噴出
する多数の等間隔配列のノズルを有し、これらのノズル
は、柱状冷却水の金属板衝突位置が、隣接ヘッダノズル
に対して、金属板搬送方向に互いに40mm以上離れる
ようにノズル噴出方向を設定すると好適である。
【0010】
【作用】テーブルローラ間下方にヘッダを複数個配置す
る技術は、大量の冷却水を柱状にして鋼板(以下金属板
を代表して鋼板について説明する)に供給する場合にお
いて有効である。従来の冷却装置と比べて、冷却能力が
向上するから、板厚が厚く高い冷却速度を要求される製
品を高速で搬送しながら製造することが可能となる。
【0011】また、テーブルローラ間下方にヘッダを複
数個配置すると共に、それぞれを異なる制御バルブによ
って冷却水の供給のオンオフを行うから、鋼板への冷却
水供給量を複数の段階で変化させることができる。ヘッ
ダの冷却水供給量は変化せず、それぞれ一定であるか
ら、鋼板幅方向にも均等な流量分布を得ることができ
る。従って、冷却装置の冷却能力を複数の段階で変化さ
せても幅方向で均一な冷却を行うことができる。
【0012】テーブルローラ間の下方にヘッダをそれぞ
れ複数個配置する場合は、ノズル列も複数となる。ここ
で冷却水衝突部が接近しすぎないような配慮を施すこと
によって、隣り合うノズルから噴射された冷却水同士が
相互干渉するという問題は生じない。以下、その理由を
述べる。図2(a)(b)はテーブルローラ4、4の間
に2個の下面冷却ヘッダ5、5を並設したノズル配列の
平面図を示したものである。図2(a)のA部の拡大図
を図2(c)に、図2(b)のB部の拡大図を図2
(d)に示した。例として、図2(b)のように鋼板幅
方向で2列に並ぶノズル6、6が千鳥配置されている場
合について説明する。図2(d)においてノズル6a、
6bから鋼板に衝突した冷却水はその後に広がって合流
する。ここでノズル列の間隔が小さいと、合流した流れ
はノズル6cの位置に勢いよく到達し、柱状冷却水が互
いに干渉するため、ノズル6cの直上の冷却水衝突部が
安定して得られなくなる。冷却水衝突部は冷却能力が非
常に高い個所であるから、冷却水衝突部が安定して得ら
れなくなると、冷却装置のもつ全体の冷却能力が低下す
る。このような状況は避けなければならない。
【0013】このような問題に対しては、図2(a)の
ようにノズルを鋼板幅方向で同一の位置に配置し、碁盤
目配列とすればよい。図2(c)に示すように、この時
ノズル6eの位置ではノズル6dから噴出された冷却水
だけが干渉しようとするが、前記図2(d)の場合とは
違って流れ込む冷却水の流量が少ないため、安定した冷
却水衝突部を確保することができる。
【0014】また、冷却水の広がりはノズルから離れた
位置ほどその勢いが弱まるから、前記図2(d)のよう
な場合でも、鋼板搬送方向10で冷却水衝突部が40m
m以上離れていれば柱状冷却水の相互干渉の問題はなく
なる。テーブルローラ4、4の間隔が非常に狭くてノズ
ル列を40mm以上離せない場合には、それぞれのノズ
ル列から冷却水を噴出する噴出方向を若干変えることな
どによって対応すればよい。鋼板幅方向のノズル間距離
は従来から40〜60mm程度とされているので冷却水
の干渉の問題は生じない。
【0015】
【実施例】本発明の実施例を、図面に基づいて説明す
る。図4は本発明の下面冷却装置を設置した熱延鋼板の
冷却装置の冷却水供給系統図である。仕上圧延機2で仕
上げ圧延された熱延鋼板1は温度検出器9によって温度
を測定し、この測定値が所望の値になるように、制御冷
却された後、巻取機3に巻き取られる。強冷却ゾーン2
0、21においては、特に制御冷却が重要である。図4
においては、鋼板搬送方向最上流と最下流部分に冷却水
供給配管7を密に配置した強冷却ゾーン20、21を設
けている。この強冷却ゾーン20、21には、図1に示
すように、各テーブルローラ4、4’の間の下面にそれ
ぞれ2個ずつの冷却水供給ヘッダ5、5’を設け、その
他の通常冷却ゾーン22と比べて大きな冷却水供給能力
をもつようにしている。通常冷却ゾーン22は従来の冷
却装置によく見られるように、各テーブルローラ間に上
下1つずつの冷却水供給ヘッダがある。
【0016】図1は実施例の下面冷却装置の概略図であ
る。図1においてテーブルローラ4、4’間の下方に設
置された下面冷却ヘッダ5、5’は、共にボックス型で
一体構造となっている。それぞれの冷却ヘッダ5、5’
にはそれぞれ異なる制御バルブ8、8’が設けられ、そ
れぞれの制御バルブ8、8’によって冷却水の供給がオ
ンオフ制御されており、上面に取付けた短いパイプノズ
ル6、6’から鋼板1の下面に向けて柱状冷却水を噴出
している。
【0017】次に、以下の表1に示す製品a〜dを製造
する条件について、図1に示す本発明の実施例の下面冷
却装置を配備した冷却装置を用いた場合と、従来装置を
用いた場合とを比較して示す。
【0018】
【表1】
【0019】製品a、bでは図3に示す冷却パターンが
異なるが、製品板厚が3mmと比較的薄いため、どちら
の装置にも冷却能力に余裕があって製造が可能であっ
た。一方、製品cでは、板厚が比較的厚いため、従来の
装置では冷却能力が不足し、製造ができなかった。これ
に対し、本発明の実施例ではテーブルローラ間に2個あ
る冷却ヘッダのすべてから注水を行った結果、空冷保持
の前後で強冷却を行うという目標冷却パターンと目標の
巻き取り温度を得ることができ、品質のよい製品を製造
することができた。一方製品dのように板厚が厚いもの
は、従来装置では板厚の増大にほぼ反比例した搬送速度
で通板しながら冷却しなければならなかった。これに対
し実施例の冷却装置を配備した冷却装置では冷却能力が
十分にあったため搬送速度を大きく低下させることなく
効率のよい生産を行うことが可能となった。
【0020】鋼種によって要求される冷却速度は、2つ
のバルブのオンオフ切り替えで冷却水量を従来よりもさ
らに多くの段階に変化させて調整することができた。そ
れぞれのヘッダ内に供給される冷却水量は固定している
から、鋼板幅方向に均等な流量分布を確保することがで
きた。これによって、幅方向に均一な冷却を行うことも
できた。
【0021】本発明の実施において、柱状冷却水を供給
するノズルの配列は、図4(a)のように各ヘッダで鋼
板幅方向に同一の配置(碁盤目配列)とすればよい。こ
の配列では、隣り合うノズルから噴出された冷却水が相
互干渉することはなく、冷却能力、冷却の幅方向均一性
のいずれの点においても問題は生じない。また別に、図
4(b)のように幅方向で同一の位置としない場合(千
鳥配列)、幅方向のノズルの間隔を等しくし、かつ柱状
冷却水が鋼板に衝突する位置が鋼板搬送方向で40mm
以上離れるようにノズルの向きを設定すればよい。この
時も同様に冷却水の相互干渉が生じない。
【0022】本発明の実施例は、冷却装置のうち鋼板搬
送方向最上流と最下流に位置した冷却装置を示したが、
本発明はこれに限られるものではなく、製品に要求され
る冷却パターン及び冷却速度に応じた別の配置にしても
よいし、又は冷却装置のすべてのゾーンに配置してもよ
い。またテーブルローラ間下方に2つの下面冷却ヘッダ
を有しそれぞれのヘッダごとにオンオフ制御バルブを有
する冷却装置について示したが、3つ以上のヘッダを有
する冷却装置であってもよい。
【0023】
【発明の効果】本発明の高温鋼板の下面冷却装置は以上
のように構成されているので、高い冷却能力を有し、板
厚の厚い板製品を高速で搬送しながら所望の冷却を行う
ことができ高能率生産することが可能となった。また、
通常の冷却と強冷却に対して鋼板への冷却水供給量を従
来よりも多くの段階で変化させることができ、鋼板幅方
向にも均等な流量分布を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の高温鋼板の下面冷却装置を示す側面図
である。
【図2】実施例の高温鋼板の下面冷却装置のノズル配列
図である。
【図3】鋼板の冷却パターンを示すグラフである。
【図4】高温鋼板の下面冷却装置の全体配置側面図であ
る。
【符号の説明】
1 鋼板 2 仕上圧延機 3 巻取機 4 テーブルロ
ーラ 5 下面冷却ヘッダ 6 ノズル 7 給水配管 8 制御バルブ 9 温度検出器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ローラテーブル上を走行する高温金属板
    の下面を冷却する冷却装置において、冷却水を供給する
    冷却ヘッダを各テーブルローラ間の金属板搬送方向に複
    数個並設し、該複数個の冷却ヘッダにそれぞれ制御バル
    ブを備えたことを特徴とする高温金属板の下面冷却装
    置。
  2. 【請求項2】 前記複数個の冷却ヘッダはそれぞれ柱状
    冷却水を噴出する多数のノズルを頂部に有し、該隣接冷
    却ヘッダのノズル同士を金属板幅方向同一位置に整列し
    たことを特徴とする請求項1記載の高温金属板の下面冷
    却装置。
  3. 【請求項3】 前記複数個の冷却ヘッダはそれぞれ柱状
    冷却水を噴出する多数の等間隔配列のノズルを有し、該
    ノズルは、柱状冷却水の金属板衝突位置が、隣接ヘッダ
    ノズルに対して、金属板搬送方向に互いに40mm以上
    離れるようにノズル噴出方向を設定したことを特徴とす
    る請求項1記載の高温金属板の下面冷却装置。
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