JPH07209635A - 液晶表示装置における光錯乱防止構造並びにその製造方法 - Google Patents

液晶表示装置における光錯乱防止構造並びにその製造方法

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JPH07209635A
JPH07209635A JP6021917A JP2191794A JPH07209635A JP H07209635 A JPH07209635 A JP H07209635A JP 6021917 A JP6021917 A JP 6021917A JP 2191794 A JP2191794 A JP 2191794A JP H07209635 A JPH07209635 A JP H07209635A
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JP
Japan
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liquid crystal
display device
crystal cell
optical confusion
confusion
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JP6021917A
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English (en)
Inventor
Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
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Suzuki Sogyo Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Sogyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶セルと保護パネルとの間に形成される緩
衝層の有する緩衝特性を維持しつつ、光学特性を向上さ
せる他、製造の容易さを考慮した上で、軽量化や保護パ
ネルの耐擦傷性の向上を図る。 【構成】 本発明は、液晶セル2と、この液晶セル2の
表面側に形成される緩衝層4と、この緩衝層4によって
液晶セル2に対して一定厚みの間隙を隔てて並設される
保護パネル3とを具えて成る液晶表示装置1に関するも
のであって、前記緩衝層4は光錯乱防止素材により形成
されるとともに、緩衝層4は前記液晶セル2及び保護パ
ネル3に対して脱気状態で密着接合され、更に保護パネ
ル3は少なくともその表面を硬質層3aとした合成樹脂
製であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置に設けら
れる液晶セルと保護パネルとの間に適用できる光錯乱防
止構造並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】従来から液晶セルと、この液晶セルを保
護する保護パネルとの間には一定厚みの空気層が形成さ
れている。この空気層は液晶表示装置が何らかの衝撃を
受けた場合、その衝撃が直接液晶セルに伝わらないよう
に緩衝特性を特に持たせる目的で設けられるものであ
る。
【0003】液晶セルと保護パネルとの間に形成される
空気層では、通常0. 5mm程度の間隙が設けられてい
る。因みにこのように間隙の大きさを0. 5mm程度と
したのは、これより狭く設定した場合には充分な衝撃特
性が発揮できないものとなり、またこれより広く設定し
た場合には保護パネルの材料であるアクリル樹脂やガラ
スとの屈折率の相違等に起因して生ずる光の錯乱が著し
くなり、良好な光学特性が得られなくなるからである。
【0004】また上記説明からも明らかなように空気層
に対して保護パネルの素材の屈折率と同等の屈折率を有
する別素材を充填すれば更に光学特性が向上し、液晶画
面に現れる文字や図形がより一層明瞭になることが想起
され、更には衝撃吸収作用を有する素材であれば緩衝特
性を向上させることともなる。
【0005】しかし現実にはこのように光学特性と緩衝
特性の両方の特性に優れた材料の選択は容易なことでは
ない。また仮にそのような材料が見つかったとしても、
これを液晶セルと保護パネルとの間に介在し、密着接合
するに際してはエアの侵入が予想され、これを許容すれ
ばエアの部分で光の錯乱が起こり液晶画面に色ムラや明
暗の差を生じさせる結果となってしまい、その製作も困
難を極める。また、保護パネルの材料がガラスであると
重いと云う問題点があり、アクリル樹脂であると表面に
傷が付き易いと云う問題などもある。
【0006】
【開発を試みた技術的事項】本発明はこのような背景か
らなされたものであって、主に前記光学特性を向上させ
るにあたり障害となる種々の問題点を解決し、これを現
実の製品に適用できるようにした新規な液晶表示装置に
おける光錯乱防止構造並びにその製造方法の開発を試み
たものである。
【0007】
【発明の構成】
【目的達成の手段】すなわち本出願に係る第一の発明た
る液晶表示装置における光錯乱防止構造は、液晶セル
と、この液晶セル表面側に形成される緩衝層と、この緩
衝層によって液晶セルに対して一定厚みの間隙を隔てて
並設される保護パネルとを具えて成る液晶表示装置にお
いて、前記緩衝層は光錯乱防止素材により形成されると
ともに緩衝層は前記液晶セル及び保護パネルに対して脱
気状態で密閉接合され、更に保護パネルは少なくともそ
の表面を硬質層とした合成樹脂製であることを特徴とし
て成るものである。
【0008】また本出願に係る第二の発明たる液晶表示
装置における光錯乱防止構造は、請求項1記載の要件に
加え、前記光錯乱防止素材はシリコーンゲルであること
を特徴として成るものである。
【0009】更にまた本出願に係る第三の発明たる液晶
表示装置における光錯乱防止構造は、請求項2記載の要
件に加え、前記シリコーンゲルは、紫外線で硬化するタ
イプのものであることを特徴として成るものである。
【0010】更にまた本出願に係る第四の発明たる液晶
表示装置における光錯乱防止構造は、請求項1記載の要
件に加え、前記光錯乱防止素材はポリウレタンエラスト
マーまたは光硬化性樹脂であることを特徴として成るも
のである。
【0011】更にまた本出願に係る第五の発明たる液晶
表示装置における光錯乱防止構造の製造方法は、液晶セ
ルと保護パネルとの間に光錯乱防止素材により形成され
る緩衝層を介在し、これら相互間を脱気しながら密着接
合することにより液晶表示装置における光錯乱防止構造
を製造する方法において、前記方法は、皿状に成形した
合成樹脂製の保護パネル上に光錯乱防止素材の液体原料
を注入し硬化させ、あるいは硬化後の光錯乱防止素材を
ロール状に巻いたものを載置し、これを巻きほぐしなが
ら貼設することで緩衝層を保護パネルに脱気しながら密
着接合する一次密着工程と、更にこのものを液晶セル上
に又は液晶セルをこのものにその一端辺から徐々に降ろ
してゆき、液晶セルと密着接合する二次密着工程とから
成っていることを特徴とするものである。
【0012】更にまた本出願に係る第六の発明たる液晶
表示装置における光錯乱防止構造の製造方法は、液晶セ
ルと保護パネルとの間に光錯乱防止素材により形成され
る緩衝層を介在し、これら相互間を脱気しながら密着接
合することにより液晶表示装置における光錯乱防止構造
を製造する方法において、前記方法は、周囲に変形許容
域を具える枠部を有して皿状に成形した合成樹脂製の保
護パネル上面に、光錯乱防止素材の液体原料を注入し、
あるいは硬化後の光錯乱防止素材を挿入し、その後上方
から液晶セルを設置し、これを押圧することで余剰の光
錯乱防止素材を前記変形許容域に至らせて脱気を図りつ
つ、これらを密着接合するようにしたことを特徴として
成るものである。
【0013】更にまた本出願に係る第七の発明たる液晶
表示装置における光錯乱防止構造の製造方法は、液晶セ
ルと保護パネルとの間に光錯乱防止素材により形成され
る緩衝層を介在し、これら相互間を脱気しながら密着接
合することにより液晶表示装置における光錯乱防止構造
を製造する方法において、前記方法は、一部に排出路を
形成した枠部を有して皿状に成形した合成樹脂製の保護
パネル上面の枠部内に光錯乱防止素材の液体原料を注入
し、その後その上方より、前記枠部に内嵌する液晶セル
を設置し、これを押圧することで余剰の液体原料を前記
排出路から外部に排出し、脱気を図るとともに、更に光
錯乱防止素材を硬化させ、密着接合するようにしたこと
を特徴として成るものである。
【0014】更にまた本出願に係る第八の発明たる液晶
表示装置における光錯乱防止構造の製造方法は、液晶セ
ルと保護パネルとの間に光錯乱防止素材により形成され
る緩衝層を介在し、これら相互間を脱気しながら密着接
合することにより液晶表示装置における光錯乱防止構造
を製造する方法において、前記方法は、液晶セル上面
に、枠部を設けて皿状に成形するとともに注入孔と排気
孔とを穿設して成る合成樹脂製の保護パネルを覆蓋状に
設置するとともに、このうち排気孔にはサクションポン
プに接続される排気チューブを接続し、その後、前記注
入孔より光錯乱防止素材の液体原料の注入を開始し、ま
たこれと同時にサクションポンプを駆動して枠部内に流
入したエアの排気を行うとともに、前記液体原料が内部
に充分行きわたったところで液体原料の注入を停止し、
更に排気チューブを取り外した後、光錯乱防止素材を硬
化させ、密着接合するようにしたことを特徴として成る
ものである。
【0015】更にまた本出願に係る第九の発明たる液晶
表示装置における光錯乱防止構造の製造方法は、請求項
5、6、7または8記載の要件に加え、前記密着接合す
るに際して、紫外線を照射する工程を有することを特徴
として成るものである。
【0016】更にまた本出願に係る第十の発明たる液晶
表示装置における光錯乱防止構造の製造方法は、請求項
5、6、7、8または9記載の要件に加え、前記保護パ
ネルにはその表面に硬質層が形成されたものを使用する
ことを特徴として成るものである。これら発明により前
記目的を達成しようとするものである。
【0017】
【発明の作用】すなわち本発明たる液晶表示装置におけ
る光錯乱防止構造は、液晶セルと保護パネルとの間に形
成される緩衝層を光錯乱防止素材により形成している。
またこの緩衝層は液晶セルと保護パネルとの間に相互に
脱気状態で密着接合されている。従って保護パネルに入
射する光は屈折、反射することなく入射時の光量を維持
したまま液晶セルに至る。また光錯乱防止素材としてシ
リコーンゲル、紫外線硬化タイプのシリコーンゲル、ポ
リウレタンエラストマーまたは光硬化性樹脂を適用すれ
ば保護パネルの素材として使用されるアクリル樹脂等と
屈折率については殆ど差がなく前記作用を忠実に再現で
きる。また、保護パネルがその表面を硬質層とした合成
樹脂製であり、耐擦傷性改善とともに軽量化される。
【0018】また本発明たる液晶表示装置における光錯
乱防止構造の製造方法では、液晶セルと保護パネルとの
間に光錯乱防止素材から成る緩衝層を形成するにあた
り、減圧雰囲気下での密着接合、変形許容域を有する枠
部を使用しての押圧による密着接合、排出路を形成した
枠部を使用してのオーバーフローによる密着接合、ある
いは注入孔及び排気孔を穿設した保護パネルを使用して
のサクションポンプを利用した脱気作用を併用した密着
接合のいずれかの手法(なお一番最後に挙げた手法にお
いては、注入孔が枠部に刻設等される場合も含まれる
が、図6に図示したものを基本とし、このような表現と
した。この点については以下述べる実施例においてiv)
で示したタイトルについても同様である)を採用してい
る。従って液晶セルと緩衝層あるいは緩衝層と保護パネ
ルとの密着接合にあたってエアが混入することはない。
また光錯乱防止素材に紫外線や光照射で硬化するタイプ
のものを用いれば、密着接合が瞬時に行えて、一旦排除
したエアが再混入してくる危険もついては殆ど差がなく
前記作用を忠実に再現できる。また、保護パネルに合成
樹脂を成形して用いるので、変形許容域を有する枠部、
排出路を形成した枠部、注入孔及び排気孔を穿設したり
しての皿状の成形が容易であり、またそれが器となって
液状の光錯乱防止素材の注入にも確実に対応できる。
【0019】
【実施例】以下本発明の液晶表示装置における光錯乱防
止構造並びにその製造方法について図面に基づいて具体
的に説明する。なお説明にあたっては、まず本発明の光
錯乱防止構造が適用される部位を中心に液晶表示装置の
概要について説明し、次いで本発明の光錯乱防止構造に
ついて実施例を挙げ、その内容について説明する。そし
てこれに続いて本発明の液晶表示装置における光錯乱防
止構造の製造方法について四つの実施例を挙げてその内
容を詳述する。
【0020】まず本発明の光錯乱防止構造が適用される
液晶表示装置についてその概要を説明する。液晶表示装
置1は、周知のように腕時計、電卓をはじめとしてワー
ドプロセッサや小型テレビのディスプレーあるいはCD
プレーヤやビデオデッキ等の表示画面等幅広い分野で使
用されている。そしてその原理について略述すれば、結
晶の配列の相違によって分類されるスメクティック、ネ
マティック、コレステリックの各液晶がこれに電圧をか
けるとその分子配列が変化する性質を有することから、
これを利用し通過する光のON−OFFあるいは通過で
きる光の波長を制御することにより文字や図形を表示と
して画面上に浮き上がらせるというものである。
【0021】また液晶表示装置1の基本的構造は、上記
液晶を二枚の透明な電極板で挟むことによって構成され
る液晶セル2と、この液晶セル2を保護するため、その
表面側に設けられる保護パネル3と、これら液晶セル2
と保護パネル3との間に形成され、保護パネル3が受け
る外的負荷の液晶セル2への伝達を防止する緩衝層4
と、更にバックライト式の液晶表示装置1にあっては発
光板5とを具えることによって成っている。また図示は
省略するが、これら諸部材のほか、これら諸部材を保持
する保持フレームや表示動作の方式の違いによって必要
になる偏光板や反射板、更には紫外線カットや表面反射
を防止する目的で使用される各種フィルタや液晶セルの
周囲を封着するのに用いられる封着材あるいは液晶注入
孔の封止用に用いられる封止剤等も液晶表示装置1には
設けられている。
【0022】そして本発明の光錯乱防止構造10は、前
記液晶セル2と保護パネル3との間に設けられるもので
あり、以下説明する。まず本発明の光錯乱防止構造10
についての説明に入る前に、これが適用される液晶セル
2、保護パネル3及び緩衝層4について若干の説明を加
える。液晶セル2は上述したように、二枚の透明電極板
で液晶を挟持して成るわけであるが、ここではこれに用
いる透明電極板の構造について補足する。透明電極板は
ガラスやアクリル等の合成樹脂板を支持板とし、この支
持板に対して酸化インジウムや酸化錫等の透明導電膜を
電極として貼り付けて成るものである。そしてこの電極
の表面処理を調節することによって液晶分子の配列を支
持板の垂直、平行、傾斜あるいはこれらを組み合わせて
ねじれを持たせた配列とすることを可能にしているので
ある。
【0023】次に保護パネル3について説明する。保護
パネル3は上述したように上記液晶セル2を保護する役
目をするものであって、表示装置の外面となるため表面
硬度や耐擦傷性が求められ、それと同時に光の透過率が
良く、液晶セル2の表面に現れる文字、図形等を外部か
ら明瞭に認識できるものでなければならない。従ってこ
の保護パネル3の素材としては無色透明あるいは有色透
明のガラス板やアクリル板等が従来使用されてきたが、
本発明では装置の軽量化の目的もあって、少なくともそ
の表面を硬質層3aとした合成樹脂製の保護パネルを使
用する。
【0024】したがって、この保護パネル3は、樹脂自
体に機械的特性としての耐衝撃性、耐擦傷性、剛性等が
あれば、当該樹脂の無垢体として成形した保護パネルを
用いれば良いが、例えば、耐擦傷性に劣るようなとき
は、レンズ等のハードコートとして利用されている硬質
膜を蒸着等して用いる。そこで、保護パネルの原料樹脂
としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリメチルメタクリレート、ジエチレングリコール
ビスアリルカーボネート、PS樹脂、MS樹脂、AS樹
脂、ポリ4−メチルペンテン−1等が光学的特性から好
適に選ばれ、また、その硬質層としては、Al23膜、
SiO膜、MgF2膜、DLC膜等のレンズやミラーの
保護膜として普及している硬質膜が利用される他、例え
ば特開平3−14804号公報、特開平4−26692
7号公報に開示される高硬度透明樹脂他、三井東圧化学
株式会社製のGR−4、東燃株式会社製の東燃ポリシラ
ザン(ペルヒドロポリシラザン)、昭和テクノコート株
式会社製のセラミックス複合コーティング剤SILOX
IRANE等が保護パネルの原料樹脂として、あるいは
その硬質層の原料として利用することができる。なお、
これら保護パネルの原料樹脂、または硬質層の原料中に
遠赤外線又は紫外線カットの添加剤を保護パネルとして
の光学的特性を損なわない範囲内で入れるようにしても
よい。
【0025】なおこの保護パネル3には上述した液晶セ
ル2を保護する機能に加え入力パネルとしての機能を持
たせることも可能であるが、入力感知の方式がタッチ式
のものにあっては保護パネル上に更にパターンフィルム
が貼り合わされるのであまり好適とは言えず、電磁式、
静電式の入力パネルとしての保護パネルに好適である。
【0026】またこのような液晶セル2と保護パネル3
との間には一定の間隙(キャップ)が設けられており、
この間隙に上記緩衝層4が形成される。緩衝層4は上述
したように保護パネル3にかかる外的負荷の液晶セル2
への伝達を防止するという基本的機能のほか、入射する
光の反射、吸収を防止し、また光の屈折によって生ずる
光の錯乱を防止することで表示画面上に現れる文字や図
面を明るく、明瞭に写し出すという本発明の特徴的機能
をも併せ持つ。具体的には緩衝層4を形成する素材とし
ては緩衝特性に優れるとともに、保護パネル3の素材と
均等の屈折率を有し、また光の吸収、反射を生じさせな
い素材が望ましく、更にこのような緩衝層4を前述した
液晶セル2及び保護パネル3に接合するに際しては光の
錯乱を生じさせるエアの混入を排除することが必要とな
る。
【0027】なお、ここでは最初に述べた緩衝層4の素
材についての説明にとどめ、後に述べたエア混入の排除
については、後述する本発明の液晶表示装置における光
錯乱防止構造の製造方法の項で併せて説明する。まず緩
衝層4の素材の一例としてシリコーンゲルが挙げられ
る。また本発明において使用されるシリコーンゲルとし
ては揮発性の低分子量物の含有量を低減したものが好ま
しく、更にシリコーンゲルの原液が低粘度過ぎると毛細
管現象的に細部にまで浸透してしまう危険があり、硬化
するまでの間に流れ出てしまうことも考えられ、また一
方、高粘度過ぎると充填個所全体に充分に回り込まない
危険性があり、作業性が悪くなるから、適度の低粘度で
ありチクソ性(チクソトロピーの現象を表す程度)が高
いものであることが必要である。
【0028】従ってこのようなシリコーンゲルは例えば
次式[1]で示されるシリコーンゲルの原液たるジオル
ガノポリシロキサン(以下A成分という): RR1 2SiO−(R2 2SiO)nSiR1 2R…[1] [ただし、Rはアルケニル基であり、R1 は脂肪族不飽
和結合を有しない一価の炭化水素基であり、R2 は一価
の脂肪族炭化水素基(R2 のうち少なくとも50モル%
はメチル基であり、アルケニル基を有する場合にはその
含有率は10モル%以下である)であり、nはこの成分
の25℃における粘度が100〜100000cStにな
るような数である]と、25℃における粘度が5000
cSt以下であり、1分子中に少なくとも3個のSi原子
に直接結合した水素原子を有するシリコーンゲルの原液
たるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B成分)
とから成り、且つこのB成分中のSi原子に直接結合し
ている水素原子の合計量に対するA成分中に含まれるア
ルケニル基の合計量の比(モル比)が0. 1〜2. 0に
なるように調整された混合物を硬化させることにより得
られる付加反応型シリコーンポリマーであって、JIS
K(K−2207−1980 50g荷重)で測定した
針入度が5〜250である硬化物である。
【0029】このシリコーンゲルについて更に詳しく説
明すると、上記A成分は直鎖状の分子構造を有し、分子
の両末端にあるアルケニル基RがB成分中のSi原子に
直接結合した水素原子と付加して架橋構造を形成するこ
とができる化合物である。この分子末端に存在するアル
ケニル基は、低級アルケニル基であることが好ましく、
反応性を考慮するとビニル基が特に好ましい。
【0030】また分子末端に存在するR1 は、脂肪族不
飽和結合を有しない一価の炭化水素基であり、このよう
な基の具体例としてはメチル基、プロピル基及びヘキシ
ル基等のようなアルキル基、フェニル基並びにフロロア
ルキル基を挙げることができる。
【0031】上記[1]式においてR2 は一価の脂肪族
炭化水素であり、このような基の具体的な例としては、
メチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなアルキ
ル基並びにビニル基のような低級アルケニル基を挙げる
ことができる。ただし、R2のうち少なくとも50モル
%はメチル基であり、R2 がアルケニル基である場合に
は、アルケニル基は10モル%以下の量であることが好
ましい。アルケニル基の量が10モル%を超えると架橋
密度が高くなり過ぎて高粘度になりやすい。またnは、
このA成分の25℃における粘度が通常は100〜10
0,000cSt、好ましくは200〜20000cStの範
囲内になるように設定される。
【0032】上記のB成分は、A成分の架橋剤でありS
i原子に直接結合した水素原子がA成分中のアルケニル
基と付加してA成分を硬化させる。B成分は上記のよう
な作用を有していればよく、B成分としては直鎖状、分
岐した鎖状、環状あるいは網目状などの種々の分子構造
のものが使用できる。
【0033】また、B成分中のSi原子には水素原子の
他、有機基が結合しており、この有機基は通常メチル基
のような低級アルキル基である。更にB成分の25℃に
おける粘度は通常は5000cSt 以下、好ましくは50
0cSt 以下である。このようなB成分の例としては、分
子両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたオルガ
ノハイドロジェンポリシロキサン、ジオルガノシロキサ
ンとオルガノハイドロジェンシロキサンとの共重合体、
テトラオルガノテトラハイドロジェンシクロテトラシロ
キサン、HR1 2SiO 1/2単位とSiO 4/2単位とから
なる共重合シロキサン、及びHR1 2SiO 1/2単位とR
1 3SiO 1/2単位とSiO 4/2単位とからなる共重合体
ポリシロキサンを挙げることができる。ただし上記式に
おいてR1 は前記と同じ意味である。
【0034】そして上記のB成分中のSiに直接結合し
ている水素原子の合計モル量に対するA成分中のアルケ
ニル基の合計モル量との比率が通常は0.1〜2.0、好
ましくは0. 1〜1. 0の範囲内になるようにA成分と
B成分とを混合して硬化させることにより製造される。
【0035】この場合の硬化反応は、通常は触媒を用い
て行われる。ここで使用される触媒としては、白金系触
媒が好適であり、この例としては微粉砕元素状白金、塩
化白金酸、酸化白金、白金とオレフィンとの錯塩、白金
アルコラート及び塩化白金酸とビニルシロキ酸との錯塩
を挙げることができる。このような錯塩はA成分とB成
分との合計重量0に対して通常は0. 1ppm(白金換
算量、以下同様)以上、好ましくは0. 5ppm以上の
量で使用される。このような触媒の量の上限については
特に制限はないが、例えば触媒が液状である場合、ある
いは溶液として使用することができる場合には200p
pm以下の量で十分である。
【0036】上記のようなA成分、B成分及び触媒を混
合し、室温に放置するか、あるいは加熱することにより
硬化して本発明で使用されるシリコーンゲルが生成す
る。このようにして得られたシリコーンゲルは、JIS
K(K−2207−198050g 荷重)で測定した
針入度が通常5〜250を有する。なおこのようなシリ
コーンゲルの硬度は、上記A成分とB成分とにより形成
された架橋構造によって変動する。
【0037】またシリコーンゲルの硬化前の粘度及び硬
化後の針入度は両末端がメチル基であるシリコーンオイ
ルを、得られるシリコーンゲルに対して5〜75重量%
の範囲内の量であらかじめ添加することにより調整する
ことができる。このようにシリコーンゲルは上記のよう
にして調整することもできるし、また市販されているも
のを使用することもできる。
【0038】本発明で使用することができる市販品の例
としては、CF5027、TOUGH−3、TOUGH
−4、TOUGH−5、TOUGH−6、TOUGH−
7(トーレ・ダウコーニングシリコーン社製)やX32
−902/cat 1300(信越化学工業株式会社製)、
F250−121(日本ユニカ株式会社製)等を挙げる
ことができる。
【0039】そして更に好適なシリコーンゲルとして
は、シリコーンゲルの原液たるジオルガノポリシロキサ
ンとして低分子量物を低減したものを使用して製造され
たシリコーンゲルがある。すなわち前記A成分として一
分子中に二個以上のケイ素原子結合アルケニル基を含有
し、25℃における粘度が50〜100000センチポ
アズであり、且つ4重量体から20重量体までの環状ジ
オルガノポリシロキサンの含有量が、0. 5重量%以下
であるジオルガノポリシロキサンを適用したものがそれ
である。上記シリコーンゲルのほか、例えばすでにフィ
ルムないしシート状とされたものや紫外線で硬化するタ
イプのシリコーンゲル、ゴム等も用いることができる。
その市販品の例としては、SOTEFA70、SOTE
FA50(トーレ・ダウコーニングシリコーン社製)や
X−31−7006(信越化学工業社製)等が挙げら
れ、前者は、シリコーンフィルム状接着剤としてすでに
フィルム状に半硬化されたものであって、加熱硬化によ
りガラス、アクリル、ポリカーボネート等に強く接着す
るとされているものであり、また後者は、一液性のシリ
コーンゲルで、紫外線の照射により数秒で硬化し、接着
性に優れるものとされているものである。そしてこれら
を用いれば、直接シート状態から使用でき、また硬化に
は制御しやすくて短時間で硬化させることのできる紫外
線を用いることができる。
【0040】また緩衝層4の素材としては、このような
シリコーン系のほか、ポリウレタンエラストマーや熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂が適用できる。なおポリウレタ
ンエラストマーは、プレポリマーとポリイソシアネート
との反応により架橋して硬化するが、これらは混合液と
して流し込み供給するほか、噴霧状態でノズル先端で混
合しながら吹き付け供給するようにしてもよい。
【0041】また光硬化性樹脂としては、スチリルピリ
ジウム基を感光基としてポリ酢酸ビニル・ポリビニルア
ルコールエマルジョンに導入した感光性樹脂や、このほ
かカラギナン、ゼラチン等の天然水溶性ポリマー、カル
ボキシメチルセルロース、アルギン酸アンモン、でんぷ
ん、メチルアミノプロピルエーテル等の半合成水溶性ポ
リマー及びベンゾフェノン、チオキサントン、ベンゾイ
ンエーテル等の光重合開始剤、そしてモノマーとから成
る光重合型のものや、重クロム酸塩、ジアゾ樹脂、ビス
アジド化合物等の光架橋剤とから成る混合型などがあ
る。光硬化性樹脂として紫外線硬化樹脂を用いれば、制
御のしやすい紫外線の照射により短時間で硬化させるこ
とができるので至便である。
【0042】これらポリウレタンエラストマーや紫外線
硬化樹脂などは、液晶セル2の表示画面上の文字や図形
が透けて見えるように、硬化前及び硬化後において透明
度の高いものを適用する。しかも本発明では緩衝特性も
必須の要件とされるから、硬化したものが適当な弾力を
有し、その他この種の装置に要求される物性面での要求
に応えられるものを適用する。
【0043】なお光硬化性樹脂の「光硬化」とは、可視
光、紫外線、X線、電子線などのエネルギーの高い電磁
並の照射を受けると、エネルギーを吸収して架橋、硬
化、不溶化を起こして固化する物質全般を指すものであ
り、同様に「光」とはこれらエネルギーの高い電磁波を
総称するものである。また、前記シリコーンゲルはJI
S K(K−2207−1980 50g 荷重)で測定
した針入度が通常5〜250を有するものとして説明し
たが、扱いが多少困難とはなるものの、それ以上柔らか
い針入度250以上のものであってもよい。
【0044】以下本発明の液晶表示装置における光錯乱
防止構造の製造方法について説明する。なお、以下の説
明にあたっては、i)減圧雰囲気下での密着接合による
手法、ii)変形許容域を使用しての密着接合による手
法、iii)排出路を形成した枠部を使用しての密着接合
による手法、iv)注入孔及び排気孔を穿設した保護パネ
ルを使用しての密着接合による手法の四つの手法を本発
明の製造方法の実施例として挙げており、これらについ
て以下順番に説明してゆく。
【0045】i)減圧雰囲気下での密着接合による手法 本実施例は、保護パネル3に緩衝層4を密着接合する一
次密着工程と、このものに対し更に液晶セル2を密着接
合する二次密着工程とにより構成されている。このうち
一次密着工程では図3(a)に示すように基板B上に保
護パネル3を載置し、このものに対し上方から光錯乱防
止素材の液体原料を注入し、これを硬化させるものと、
図3(a’)に示すように基板B上に載置された保護パ
ネル3の端辺部に対しすでに硬化され固形状態となった
光錯乱防止素材をロール状に巻いたものを載置し、更に
これを徐々に巻きほぐしてゆくことでエアの介在を排除
しながら貼設するものとがある。なおこの際、光錯乱防
止素材がシリコーンゲルである場合には、シリコーンゲ
ルシート作成時にその表面に保護シートが貼設されてい
るから、光錯乱防止素材を巻きほぐしてゆくに際してこ
の保護シートを同時に剥がしてゆけば、より一層、エア
の介在を排除できる。勿論、保護パネル3には前述のと
おりその表面に硬質層3aが形成してあるものを用い
る。
【0046】また二次密着工程では前記一次密着工程に
おいて保護パネル3に緩衝層4を密着接合したものを図
3(c)に示すように減圧室12内に入れる。なお減圧
室12内には液晶セル2があらかじめ収容されていて、
この液晶セル2の一端辺に前記緩衝層4が密着接合され
た保護パネル3の緩衝層4側の一端辺をあてがう。そし
て減圧室12に接続されるサクションポンプPを駆動し
て減圧室12内を減圧雰囲気下にしながら徐々に保護パ
ネル3を降ろしてゆき、液晶セル2との密着接合を図る
が、エアの排除に支障がなければ、必ずしも減圧室12
で作業する必要はない。
【0047】また前記一次密着工程において図3
(a’)に示すように固形状態の光錯乱防止素材を使用
した場合の保護パネル3と緩衝層4との接合に際して、
あるいは前記二次密着工程における緩衝層4と液晶セル
2との接合に際して保護パネル3上か緩衝層4上かのい
ずれか一方または双方に、あるいは緩衝層4上か液晶セ
ル2上かのいずれか一方または双方に密着促進液剤を塗
布して密着を図ることもできる。特に二次密着工程にお
いて、このような密着促進液剤を使用すれば、より一層
のエアの排除が期待できる。
【0048】なお密着促進液剤としては、具体的には未
硬化あるいは架橋成分を含むシリコーンゲル原液あるい
は前記紫外線硬化タイプのシリコーンゲルが好適である
が、光錯乱防止素材の種類によってはそのほかの接着剤
や水、溶剤等も使用できる。またこれに用いる接着剤と
して揮発性の接着剤も一例として使用できるが、液晶セ
ル2に与える悪影響を極力抑える必要性から、絶縁性液
体に構成されることが望ましい。もちろんこのことは溶
剤等にも当てはまり、また密着促進液剤として水を使用
する場合には液晶セル2側に別途絶縁対策等が必要とな
る(また密着後、瞬時に蒸発してしまうことを考えれ
ば、必ずしもこのような絶縁対策等は必要ないともいえ
る)。なお密着促進液剤として紫外線硬化タイプのシリ
コーンゲルを用いる場合はもちろん、光錯乱防止素材の
液体原料として紫外線硬化タイプのシリコーンゲルを用
いる場合には、当然紫外線照射の工程を別途必要とす
る。
【0049】またこのような密着促進液剤を塗布する仕
方としては、塗布面の一部にこの密着促進液剤を滴下す
るようにしてもよいし、ノズル等を用い噴霧状態の密着
促進液剤を吹き付け、塗布面全体に行き届くように散布
するようにしてもよい。更に以上述べた減圧雰囲気下で
の密着接合による手法において、先に液晶セル2と緩衝
層4とを密着接合し、これを一次密着工程とし、その
後、保護パネル3と緩衝層4とを密着接合し、これを二
次密着工程とすることも可能である。また、二次密着工
程においては、上下配置を逆に行っても当然よいもので
ある。
【0050】ii)変形許容域を使用しての密着接合によ
る手法 本実施例では図4に示すように周囲に変形許容域14を
具えた枠部15を形成して成る皿状の保護パネル3を使
用する。すなわち、以下の実施例の説明において同様で
あるが、保護パネル3は原料樹脂から成形するときに保
護パネル全体としてこのように賦形してもよく、またそ
の後に表面のみを硬質層としてもよく、要は皿状に賦形
した保護パネルを用いるのが望ましい。なお、表面のみ
を硬質層とするときは、前記した硬質層の原料等を塗布
する、あるいは、保護パネルの本体部分と同時的又は二
工程的に一体成形する。なお、変形許容域14は、枠部
15内に注入される光錯乱防止素材の液体原料の余剰分
の流れ込み部として作用するほか、枠部15内に硬化後
の固形状態の光錯乱防止素材を挿入した場合のその余剰
分の逃げ部として作用する。従ってこの変形許容域14
は、上記作用を行うことのできるものであれば図4に示
すものに限らず種々の形状のものを採用し得る。
【0051】そしてこのような変形許容域14を利用し
ての本発明の製造方法は以下の手順による。すなわち図
4(a)に示すようにまず基盤B上に保護パネル3を載
置し、その上面、枠部15内に光錯乱防止素材の液体原
料を注入し、更に上方から液晶セル2を被せる。そして
上方から液晶セル2を押圧し、表面張力により中央の盛
り上がった光錯乱防止素材の余剰分を前記変形許容域1
4内に流出させ、これによってエアの混入を排除する。
そしてこのような状態において、光錯乱防止素材を硬化
させれば本発明の光錯乱防止構造10が完成する。な
お、光錯乱防止素材を硬化させた後、上方から液晶セル
2を押圧し、表面張力により中央の盛り上がった光錯乱
防止素材の余剰分を前記変形許容域14内に変形させて
行うようにしてもよい。
【0052】また前記枠部15に対し硬化後の固形状態
の光錯乱防止素材を挿入することも可能である。すなわ
ちこの場合には、図4(b)に示すように形成する緩衝
層4よりも幾分体積の大きい光錯乱防止素材を用意し、
このものを枠部15内部に挿入し、前記実施例と同様に
液晶セル2を上方から被せ押圧する。すると光錯乱防止
素材は弾性変形し、その余剰分は変形許容域14内に浸
入するようになり、これにより所定容積の緩衝層4が形
成され、本発明の光錯乱防止構造10が完成する。
【0053】iii)排出路を形成した枠部を使用しての
密着接合による手法 本実施例では図5に示すように一部に排出路17を形成
した枠部18を有する皿状の保護パネル3を使用する。
なおこの排出路17の形状は図5に示すような溝状のも
ののほか、枠部18の側面に排出用の小孔を刻設する
等、他の種々の形状のものを採用でき、その数も本実施
例のように二個設けるほか、一個あるいは、更に複数個
とすることももちろん可能とする。
【0054】そしてこのような枠部18を有する保護パ
ネル3を使用して本発明の光錯乱防止構造10を製造す
るにあたっては以下の手順により行う。すなわち基盤B
上に保護パネル3を載置し、そしてこの枠部18内に光
錯乱防止素材の液体原料を注入し、いっぱいに満たす。
次に上方よりこの枠部18に内嵌する液晶セル2を設置
し、これを押圧する。すると余剰の液体原料はオーバー
フローされ、排出路17から枠部18内に存するエアと
共に外部に排出される。
【0055】そしてこのものを硬化させれば本発明の光
錯乱防止構造10が図5(c)のように得られる。なお
本実施例で使用する光錯乱防止素材の液体原料として
は、押圧をかけない状態においては排出路17から容易
に外部に流出してしまわないよう比較的粘度の大きなも
のを選択することが好ましく、仮に粘度の小さな液体原
料を使用する場合には別途排出路17の断、通を切り替
える制御弁や止栓等を取り付ける構成とすることが望ま
しい。
【0056】iv)注入孔及び排気孔を穿設した保護パネ
ルを使用しての密着接合による手法 本実施例では図6に示すように、枠部20を有して平面
部に注入孔21及び排気孔22を穿設して成る皿状の保
護パネル3を、皿を裏返して蓋のようにして使用する。
また、排気孔22には排気チューブ23を介してサクシ
ョンポンプPを接続できるものを使用する。
【0057】そして本実施例に示す本発明の製造方法
は、基盤B上に液晶セル2を載置し、その上方から保護
パネル3を設置する。次に排気孔22に対し排気チュー
ブ23を接続し、更にその系路途中にサクションポンプ
Pを設け、このような状態とした後、注入孔21から光
錯乱防止素材の液体原料を注入する。なおこの液体原料
の注入に際しては、同時にサクションポンプPを駆動
し、枠部20内のエアの排除も併せて行う。そして枠部
20内に光錯乱防止素材の液体原料がいっぱいに充填さ
れた後は、液体原料の注入を停止するとともに、排気孔
22から排気チューブ23を取り外し、注入孔21及び
排気孔22に図6(c)に示すように適宜止栓24を取
り付け封止する。そして光錯乱防止素材の硬化が完了す
れば、本発明の光錯乱防止構造10が得られる。なおこ
の場合、保護パネル3と液晶セル2とは、光錯乱防止素
材が注入される以前に接着されるのが確実であるが、単
なる密着であっても、光錯乱防止素材が硬化されてしま
えばこれが接着材代わりとなるので、密着が保持される
か、別途他の部材で挟持状態として、この間に光錯乱防
止素材の硬化を完了させればよい。
【0058】また図6においては保護パネル3の平面部
に注入孔21を設けたものを図示しているが、注入孔2
1はすでに述べたように枠部20の側面に刻設すること
も可能であり、このようにすれば注入孔21は下方に位
置し、排気孔22は上方に位置するためエアの排除をよ
り確実に行うことができる。またこの際、下方に位置す
る液晶セル2の上面をこの注入孔21と排気孔22の刻
設位置に対応するように傾斜させ、これにより排気孔2
2にエアが集まるように案内することもできる。
【0059】また前記本発明の製造方法において保護パ
ネル3に形成されている枠部15、枠部18、枠部20
は、前述のとおり保護パネル3自体を成形するときに一
体的に成形されるのが至便であるが、例えばスクリーン
印刷の手法により紫外線硬化樹脂製インク等を用い、枠
部15、枠部18、枠部20を別途工程にて形成しても
よいものである。
【0060】
【発明の効果】本発明の液晶表示装置における光錯乱防
止構造並びにその製造方法は以上述べたような構成より
成るものであって、このような構成を有することによっ
て以下のような効果が発揮される。すなわち本発明たる
液晶表示装置における光錯乱防止構造10にあっては、
液晶セル2と保護パネル3との間に形成される緩衝層4
を光錯乱防止素材により形成している。またこの緩衝層
4は、液晶セル2と保護パネル3との間に相互に脱気状
態で密着接合されている。従って緩衝層4での光の錯乱
は起こらず、またこの緩衝層4の素材としてシリコーン
ゲルを使用すればこのような効果が得られるほか、優れ
た緩衝特性も期待できる。また、保護パネルがその表面
を硬質層とした合成樹脂製であるので、耐擦傷性が付与
され、軽量化した液晶表示装置として提供することがで
きる。
【0061】また本発明たる液晶表示装置における光錯
乱防止構造の製造方法によれば、緩衝層4を液晶セル2
と保護パネル3との間に密着接合するにあたり、エアの
混入は全く生ぜず、これによる部分的な色ムラや光の明
暗等も起こらなくなる。更にまた紫外線や光照射により
密着接合を図れば、短時間のうちにこれを完遂できて、
一旦排除したエアが再混入してくる危険を防ぐことがで
きる。また、変形許容域を有する枠部、排出路を形成し
た枠部、注入孔及び排気孔を穿設したりした皿状の保護
パネルの成形にも容易に対処でき、またこれで液状の光
錯乱防止素材の注入に確実に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光錯乱防止構造を適用した液晶表示装
置を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の光錯乱防止構造の一実施例を示す縦断
側面図である。
【図3】本発明の光錯乱防止構造の製造方法を段階的に
示す縦断側面図である。
【図4】同上他の二種の実施例をそれぞれ段階的に示す
縦断側面図である。
【図5】同上更に他の実施例を段階的に示す斜視図であ
る。
【図6】同上更に他の実施例を段階的に示す一部断面斜
視図である。
【符号の説明】
1 液晶表示装置 2 液晶セル 3 保護パネル 3a 硬質層 4 緩衝層 5 発光板 5a 発光源 5b 発光板本体 10 光錯乱防止構造 12 減圧室 14 変形許容域 15 枠部 17 排出路 18 枠部 20 枠部 21 注入孔 22 排気孔 23 排気チューブ 24 止栓 B 基盤 P サクションポンプ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶セルと、この液晶セル表面側に形成
    される緩衝層と、この緩衝層によって液晶セルに対して
    一定厚みの間隙を隔てて並設される保護パネルとを具え
    て成る液晶表示装置において、前記緩衝層は光錯乱防止
    素材により形成されるとともに緩衝層は前記液晶セル及
    び保護パネルに対して脱気状態で密閉接合され、更に保
    護パネルは少なくともその表面を硬質層とした合成樹脂
    製であることを特徴とする液晶表示装置における光錯乱
    防止構造。
  2. 【請求項2】 前記光錯乱防止素材はシリコーンゲルで
    あることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置にお
    ける光錯乱防止構造。
  3. 【請求項3】 前記シリコーンゲルは、紫外線で硬化す
    るタイプのものであることを特徴とする請求項2記載の
    液晶表示装置における光錯乱防止構造。
  4. 【請求項4】 前記光錯乱防止素材はポリウレタンエラ
    ストマーまたは光硬化性樹脂であることを特徴とする請
    求項1記載の液晶表示装置における光錯乱防止構造。
  5. 【請求項5】 液晶セルと保護パネルとの間に光錯乱防
    止素材により形成される緩衝層を介在し、これら相互間
    を脱気しながら密着接合することにより液晶表示装置に
    おける光錯乱防止構造を製造する方法において、前記方
    法は、皿状に成形した合成樹脂製の保護パネル上に光錯
    乱防止素材の液体原料を注入し硬化させ、あるいは硬化
    後の光錯乱防止素材をロール状に巻いたものを載置し、
    これを巻きほぐしながら貼設することで緩衝層を保護パ
    ネルに脱気しながら密着接合する一次密着工程と、更に
    このものを液晶セル上に又は液晶セルをこのものにその
    一端辺から徐々に降ろしてゆき、液晶セルと密着接合す
    る二次密着工程とから成っていることを特徴とする液晶
    表示装置における光錯乱防止構造の製造方法。
  6. 【請求項6】 液晶セルと保護パネルとの間に光錯乱防
    止素材により形成される緩衝層を介在し、これら相互間
    を脱気しながら密着接合することにより液晶表示装置に
    おける光錯乱防止構造を製造する方法において、前記方
    法は、周囲に変形許容域を具える枠部を有して皿状に成
    形した合成樹脂製の保護パネル上面に、光錯乱防止素材
    の液体原料を注入し、あるいは硬化後の光錯乱防止素材
    を挿入し、その後上方から液晶セルを設置し、これを押
    圧することで余剰の光錯乱防止素材を前記変形許容域に
    至らせて脱気を図りつつ、これらを密着接合するように
    したことを特徴とする液晶表示装置における光錯乱防止
    構造の製造方法。
  7. 【請求項7】 液晶セルと保護パネルとの間に光錯乱防
    止素材により形成される緩衝層を介在し、これら相互間
    を脱気しながら密着接合することにより液晶表示装置に
    おける光錯乱防止構造を製造する方法において、前記方
    法は、一部に排出路を形成した枠部を有して皿状に成形
    した合成樹脂製の保護パネル上面の枠部内に光錯乱防止
    素材の液体原料を注入し、その後その上方より、前記枠
    部に内嵌する液晶セルを設置し、これを押圧することで
    余剰の液体原料を前記排出路から外部に排出し、脱気を
    図るとともに、更に光錯乱防止素材を硬化させ、密着接
    合するようにしたことを特徴とする液晶表示装置におけ
    る光錯乱防止構造の製造方法。
  8. 【請求項8】 液晶セルと保護パネルとの間に光錯乱防
    止素材により形成される緩衝層を介在し、これら相互間
    を脱気しながら密着接合することにより液晶表示装置に
    おける光錯乱防止構造を製造する方法において、前記方
    法は、液晶セル上面に、枠部を設けて皿状に成形すると
    ともに注入孔と排気孔とを穿設して成る合成樹脂製の保
    護パネルを覆蓋状に設置するとともに、このうち排気孔
    にはサクションポンプに接続される排気チューブを接続
    し、その後、前記注入孔より光錯乱防止素材の液体原料
    の注入を開始し、またこれと同時にサクションポンプを
    駆動して枠部内に流入したエアの排気を行うとともに、
    前記液体原料が内部に充分行きわたったところで液体原
    料の注入を停止し、更に排気チューブを取り外した後、
    光錯乱防止素材を硬化させ、密着接合するようにしたこ
    とを特徴とする液晶表示装置における光錯乱防止構造の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記密着接合するに際して、紫外線を照
    射する工程を有することを特徴とする請求項5、6、7
    または8記載の液晶表示装置における光錯乱防止構造の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記保護パネルにはその表面に硬質層
    が形成されたものを使用することを特徴とする請求項
    5、6、7、8または9記載の液晶表示装置における光
    錯乱防止構造の製造方法。
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