JPH07209293A - 活性化プロテインcの測定方法 - Google Patents

活性化プロテインcの測定方法

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JPH07209293A
JPH07209293A JP461694A JP461694A JPH07209293A JP H07209293 A JPH07209293 A JP H07209293A JP 461694 A JP461694 A JP 461694A JP 461694 A JP461694 A JP 461694A JP H07209293 A JPH07209293 A JP H07209293A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 動物血漿中のAPCの高感度検出系の提供。 【構成】 a)プロテアーゼ・フリーの抗APC抗体を
固相化抗体として用い、 b)APCに対する可逆的プロテアーゼ阻害剤存在下で
免疫反応させ、 c)バッファーで洗浄して該阻害剤を除去し、 d)蛍光基質を反応させて蛍光強度を測定する、 ことからなるAPCの測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、体液中の活性化ヒト・
プロテインCの測定方法に関する。更に詳しくは、活性
化ヒト・プロテインCに対する抗体、特にモノクローナ
ル抗体を用いて、活性化ヒト・プロテインCを含む体液
中の活性化ヒト・プロテインC濃度を高感度に測定する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び問題点】従来ヒト・プロテインCの測
定方法に関しては、グルーバーら(Gruber et al. )が
1989年に動物へのAPC投与後の血中濃度をECA
(Enzyme Captured Assay )法により、可逆的阻害剤
(reversible inhibitor):ベンザミジンを用い測定し
ている(Blood, Vol. 73,639,1989)。ヒト
血中のAPCに関しても同じくグルーバーらが血中濃度
を測定している(Blood, Vol. 79,2340,199
2)。しかしながら、これらの方法は感度が非常に悪
く、正常人血中のAPCの測定には10日以上の時間が
かかった。この従来法では正常人血中のAPCをかろう
じて測定できる程度の感度しかなく、ましてやPC欠損
症患者の血中APC濃度を測定しうるものではない。ま
たこの方法においては用いる抗体に混入したプロテアー
ゼの影響を除くために、多種類の不可逆的プロテアーゼ
阻害剤(irreversible protease inhibitor )を用いる
必要があるなどの点が実用上非常に問題であった(WO
93/01309)。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の如
き欠点のない体液中のAPCの測定法を開発すべく鋭意
研究した結果、(i) 使用する抗体中のプロテアーゼ
を極力少くすること、(ii) 固相抗体と検体(体液)
とを接触させる際に、免疫反応調節剤を共存させるこ
と、(iii )APCの検出を蛍光基質を用いて行うこ
と、により、極めて高感度に体液中のAPCを検出する
ことができることを見出し、本発明に到達した。
【0004】すなわち、本発明は、体液中のAPCを測
定する方法であって、 a)プロテアーゼが実質的に混在しない抗APC抗体を
固相担体に固定し、 b)この抗体固定化担体、APCに対する可逆的プロテ
アーゼ阻害剤、免疫反応調節剤及びAPCを含有すると
予想される体液をバッファー液中で、免疫反応を効果な
らしめる条件下に接触させ、 c)次いで、上記反応後の担体を、APCに対する可逆
的プロテアーゼ阻害剤を含有しないバッファーで洗浄し
て、APCに結合した該プロテアーゼインヒビターを離
脱・除去し、 d)次いで、上記担体に結合されたAPCに、APCに
対する蛍光基質を接触させ、その結果酵素反応により発
生する蛍光強度を測定し、標準のAPCと比較して定量
することからなるAPCの測定方法である。
【0005】本発明の抗APC抗体はプロテアーゼが実
質的に混在しないものである。かかる抗体を取得するに
は、抗血清の場合、予めプロテインCを結合させたカラ
ムで処理して精製すればよい。更に抗体としてモノクロ
ーナル抗体を用いる場合、ハイブリドーマを無血清培地
で培養して取得すれば、自ずからプロテアーゼが含有さ
れないので一層好適である。
【0006】また上記抗体は、その結合によりAPCの
活性を阻害するものであってはならない。
【0007】抗血清の場合、APCの活性部位が存在し
ないPC部分、例えばPCの軽鎖を担持したアフィニテ
ィ・クロマトで処理して、抗血清中のPC軽鎖結合性の
抗体を取得すれば、目的の抗体が得られる。一方、モノ
クローナル抗体の場合は簡単であって、クローン化され
たハイブリドーマが産生する抗体をAPCに結合せし
め、APC活性が阻害されるかどうかを例えば蛍光基質
法で測定すればよい。
【0008】本発明においてはAPCに対する可逆的プ
ロテアーゼ阻害剤が用いられる。可逆的プロテアーゼ阻
害剤とは、ある条件下ではプロテアーゼに結合してプロ
テアーゼ活性を阻害するが、別の条件下ではその結合を
解いてプロテアーゼ活性を回復させるような薬剤のこと
である。この条件は種々ありうるであろうが、簡単には
阻害剤の濃度を調節することにより制御する方法があ
る。すなわち雰囲気中の阻害剤の濃度を上げることによ
りプロテアーゼとの結合を促進させて活性を阻害し、逆
に雰囲気中の阻害剤の濃度を下げることにより、端的に
は阻害剤が存在しない雰囲気にすることにより、プロテ
アーゼとの結合を解き、活性を復活させる方法である。
【0009】かかる薬剤を例示すれば、ベンザミジン、
アプロチニン、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファ
モスタット、メシル酸カモスタット、トラネキサム酸等
である。
【0010】本発明で用いる免疫反応調節剤とは、免疫
反応の特異性を維持しつつ、非特異的反応又は非特異的
吸着を抑制させる薬剤である。
【0011】かかる薬剤は免疫反応を用いる検出技術分
野において種々知られており、本発明においてはスキム
・ミルクが好適なものとして挙げることができる。免疫
反応調節剤の濃度は反応の場における濃度(最終濃度)
として、0.2〜0.8wt%が好ましい。この薬剤は
検体中のプロテアーゼが固相担体に結合するのを防止
し、かくしてAPCの蛍光基質反応による検出におい
て、偽陽性(false positive)を防止する作用もある。
【0012】“免疫反応を効果ならしめる条件”とは、
抗APC抗体とAPCの特異的結合を達成させる条件の
ことであり、通常は4〜5℃かつ30分〜5時間であ
る。好ましくは15〜37℃かつ60分〜3時間であ
る。この条件には場合によっては、検体が稀釈されると
いう条件も付加される。これは検体中に含有される阻害
物質すなわち抗APC抗体とAPCとの結合を妨害する
物質の影響を除く、あるいは軽減するために必要であ
る。反応の場において検体が何倍に稀釈されているかと
いう値を最終稀釈倍率と定義すると、この最終稀釈倍率
は80倍以上、好ましくは100〜1000倍が好まし
い。
【0013】上記免疫反応はバッファー液中で実施され
る。バッファー液とは、pHを所定の値に制御すること
ができる酸、アルカリ及び/又は塩の水溶液である。か
かるバッファー液としては、トリスバッファー、酢酸バ
ッファー、リン酸バッファー、クエン酸バッファー、ヘ
ペスバッファー、Goodバッファーが例示される。p
Hは5.5〜9.0、好ましくは6.5〜8.5であ
る。
【0014】このバッファー液は、可逆的プロテアーゼ
阻害剤及び/又は免疫反応調節剤を溶液状態で利用する
場合、その溶媒として用いることもできる。可逆的プロ
テアーゼ阻害剤及び/又は免疫反応調節剤を溶液状態で
利用する場合、前記“最終稀釈倍率”はこれらの溶液も
加味して算出されるべきことは言うまでもない。
【0015】かかる免疫反応が実施されると、抗APC
抗体を担持した固相単体上には、抗APC抗体―APC
―可逆的プロテアーゼ阻害剤の複合体が結合しているこ
とになる。本発明においては、この複合体から可逆的プ
ロテアーゼ阻害剤を離脱・除去せしめてAPCの活性が
発現できるようにし、次いでAPCに対する蛍光基質を
反応せしめる。
【0016】可逆的プロテアーゼ阻害剤の離脱・除去は
いかなる方法であってもよいのであるが、簡単には可逆
的プロテアーゼ阻害剤を含有しないバッファー液で洗浄
することにより達成できる。可逆的阻害剤であるために
その剤を含有しないバッファー液を接触させると可逆反
応により阻害剤はバッファー液中に解離してゆく。従っ
て十分なバッファー液で洗浄することにより前記複合体
から可逆的阻害剤が実質的に完全に除去されることとな
る。この洗浄に要する量は簡単な実験により容易に定め
ることができる。通常用いた可逆的阻害剤0.4mlに
対し、2〜20cc、好ましくは3〜10ccのバッフ
ァー液で洗浄すればよい。もちろんこの量はAPCを可
逆的阻害剤の結合定数によって増減するものであること
は当業者には容易に理解できることであろう。
【0017】かかる洗浄が終了した後で、APCに対す
る蛍光基質を用いる検出を行う。かかる蛍光基質として
はpeptidyl―4―methylcoumaryl―7―amide(peptidyl
MCA)が用いられる。例えばBoc―Leu―Ser―
Thr―Arg―MCA、Bz―Thr―Thr―Ar
g―MCA、Boc―Leu―Thr―Arg―MCA
である。この中でBoc―Leu―Ser―Thr―A
rg―MCAが好ましく用いられる。
【0018】かかる蛍光基質との反応はバッファー液中
で実施される。バッファー液としては、50mM Tr
is―HCl、100mM NaClに、CaCl2
含有されているバッファーを用いることができる。基質
は、2〜20mg/dlの濃度で用いられる。
【0019】反応温度は4〜40℃、反応時間は30分
〜24時間の範囲であり、検出方法は従来公知の方法を
採用することができる。
【0020】標準物質としては測定対象の物質と同一の
ものを用いるのが好ましい。APC自体の製造方法とし
ては、血液から精製した、又は遺伝子工学的手法で製造
したプロテインC(PC)をトロンビン又はトロンビン
―トロンボモジュリン複合体等で活性化して得る方法、
あるいは遺伝子工学的手法で直接APCを得る方法が挙
げられる。
【0021】ヒトあるいは動物にAPC製剤を投与して
その血中動態を調べる場合、標準物質としては投与製剤
中のAPCを用いるのが好ましい。
【0022】次に本発明における抗APC抗体としてモ
ノクローナル抗体を用いる場合に関し、当該モノクロー
ナル抗体の製造方法について詳しく説明する。
【0023】本発明方法に用いられるモノクローナル抗
体を産生するハイブリドーマ細胞は、ケーラーとミルシ
ュタインの方法[Kohler & Milstein, Nature;2564
95―497(1975)]として知られた方法によっ
て得られる。すなわち、ヒトプロテインCでマウスを免
疫した後、このマウスの脾細胞をマウス・ミエローマ細
胞と融合させる。得られたハイブリドーマ細胞を、それ
が産生する抗体がマイクロタイタープレートに固定され
たヒト・プロテインCと反応するかどうか調べることに
より、系統的に検査し選択される。
【0024】MCAの結合によってAPC活性を阻害し
ないMCA 培養上清中に産生される抗体がヒト・プロテインC(P
C)に結合することが確認されたクローンの無血清培養
上清、又は精製IgGを用いてこの抗体がAPC活性を
阻害しないかどうかを確認することができる。活性化ヒ
ト・プロテインC(APC)と無血清培養上清又は精製
IgGとをモル比においてIgGが過剰になるような割
合で混合し、免疫複合体を形成するのに十分な条件でイ
ンキュベーション後、この混合液に合成基質を加え一定
時間反応後の発色量からAPCの合成基質分解活性を測
定する。PCで免疫していないマウスのIgG又はミエ
ローマ細胞の培養上清を加えたAPC混合液の発色量を
対照とし、発色量の低下からAPC活性の阻害を検出す
ることができる。
【0025】また、PCと無血清培養上清又は精製Ig
Gを上記と同様にインキュベーションし、トロンビン又
はトロンビン―トロンボモジュリン複合体を用いた活性
化後に、上記と同様に合成基質分解活性を測定すればP
C活性化への影響とAPC活性への影響を会わせて検出
することができる。
【0026】立体構造を認識するMCA 抗体の認識部位がPC分子上のL鎖であるかH鎖である
か、又は両鎖にかかる立体構造であるかはイムノブロッ
ティングにより判定することができる。PCを還元条件
下で電気泳動し、ニトロセルロース膜に転写後、核クロ
ーンの無血清培養上清又は精製IgGと反応させ、次い
でHRP標識羊抗マウスIgGと反応させ抗体が結合し
ているバンドを検出する。還元条件下のイムノブロッテ
ィングにおいてL鎖にもH鎖にも結合が認められないも
のを選択することにより立体構造を認識する抗体を得る
ことができる。
【0027】Glaドメイン認識MCA Glaドメイン認識MCAは次の2つのステップで見出
すことができる。
【0028】(1)PCとの結合におけるCa2+依存性 PCをコーティングしたマイクロタイタープレートを用
いたELISAにおいてCa2+イオン存在下でPC結合
陽性を示し、Ca2+イオン非存在下ではPC結合陽性を
示さない抗体(を産生するクローン)を選択する。
【0029】(2)Glaドメイン除去PCとの結合性 キモトリプシンを用いて酵素的にPCのGlaドメイン
を切断し、このGlaドメイン除去PCに対するイムノ
ブロッティングにおいて結合性を示さない抗体(を産生
するクローン)を選択する。
【0030】上記(1)及び(2)において選択された
クローンはGlaドメイン認識と判定することができ
る。GlaドメインはPC及びAPCで共通であるの
で、この段階で終了してもよいが、更にこれらがAPC
にも結合することを確認することによりAPCのGla
ドメイン認識MCAであると最終的に確認することもで
きる。
【0031】抗体固定法 固相への抗体の固定は、抗体を溶解するバッファーのp
Hに依存し、抗体固定用のバッファーはpHが4.0以
下が望ましい。このpHで固定すると、高い抗原結合能
を有した固相抗体が調製可能である。所要時間は通常1
時間以上あればよい。温度は常温でもよいが0〜10℃
で実施するのが好ましい。
【0032】
【発明の効果】本発明により、体液中の活性化プロテイ
ンCの濃度を、非常に簡便に、しかも高感度(0.00
25mg/ml)に測定できる。このことにより、従来
では不可能であったプロテインC欠損症患者血中のAP
C濃度が正確に測定可能であり、その結果プロテインC
欠損患者の治療に有用な情報を与えうることが明らかに
なった。また、本法は、遺伝的な欠損患者のみでなく、
後天的な欠損(ex、肝硬変)にも、有力な情報を与え
ることが判った。
【0033】また、本法は動物へAPCを投与する実験
においても有用な測定方法を与えるものである。
【0034】以下実施例を掲げ、本発明を詳細に説明す
る。しかしながら本発明は、以下の実施例に限定される
ものではない。
【0035】
【参考例】
1)抗ヒト・プロテインCモノクローナル抗体の作成 精製したヒト・PCを雌のBalb/Cマウス(4週
齢)2匹に対して14日間隔で4回免疫した。
【0036】初回の免疫はPBSに溶解した50μgの
ヒト・PCを等量のフロイントの完全アジュバントと混
合し、そのエマルジョンを、腹腔内に投与した(0.5
mg/head)。2回目、3回目は、同じく50μg
のヒト・PCをフロイントの不完全アジュバントと混合
し、同じく腹腔内に投与した。最終免疫は30μgのヒ
ト・PCをPBS溶液のまま、マウス尾静脈から投与し
た。最終免疫の3日後に免疫したマウスの脾臓細胞を取
り出し、細胞融合に用いた。
【0037】免疫したマウスの脾臓細胞と、同系マウス
の骨髄腫細胞(P3U1)を約2:1〜約15:1の割
合で混合し、50%ポリエチレングリコール1540
(和光純薬)を融合促進剤としてケーラーとミルシュタ
インの方法に従い細胞融合を行った。融合後の細胞は、
1×106 cell/mlの細胞濃度となるように10
%FCS←RPMI―1640培地に懸濁し、96ウエ
ルマイクロプレート(Coster)に1ウエル当り100μ
lずつ分注した。
【0038】融合細胞は、CO2 インキュベーター(5
%CO2 、37℃)中で培養し、ヒポキサンチン;アミ
ノブテリン;チミジンを含む培地(HAT培地)で培地
交換を行い、HAT培地中で増殖させて、脾臓細胞と、
骨髄腫細胞からなるハイブリドーマのスクリーニングを
行った。
【0039】ハイブリドーマの培養上清中の抗体は抗原
ヒト・PCをコーティングしたマイクロタイタープレー
トを用いELISA法により検出した。
【0040】2)抗APCモノクローナル抗体の選択 PCをマウスに免疫し、ミエローマ細胞と被免疫マウス
の脾臓細胞を用いて融合を行い、ハイブリドーマを得
た。固相に抗マウスIgGを10μg/mlで固定した
マイクロプレートを用い、ハイブリドーマの培養上清を
入れ、2時間、37℃でインキュベートし、その後0.
1mg/mlのAPCを100μl反応させた。洗浄
後、以下の構造式を有する基質を用いて酵素反応を行っ
た。
【0041】
【化1】
【0042】酵素反応が進行した上清を提供しうるハイ
ブリドーマを選択した。
【0043】この選択したハイブリドーマを用いて次の
実験を行った。
【0044】3)可逆的プロテアーゼ阻害剤に妨害され
ないモノクローナル抗体の選択(APC―阻害剤複合体
でも結合する抗体) 2)において用いたスクリーニング方法に準じて行っ
た。すなわち、0.1ng/mlのAPC溶液の代わり
に、50mMのベンザミジン(可逆的阻害剤)を含有す
る0.1ng/mlのAPC溶液を加え、トリス・バッ
ファー・サリーンにより洗浄後、酵素反応を行った。
【0045】本酵素反応すなわちベンザミジンの入って
いる系での反応と2)における酵素反応が同様に進行し
ているハイブリドーマの上清中に存在する抗体を、AP
C阻害剤複合体でも結合する抗体として選択した。
【0046】他の可逆的阻害剤を用いる場合でも、これ
に準じて行うことができる。
【0047】4)構造特異的モノクローナル抗体及びG
laドメイン特異的モノクローナル抗体の選択 マウス腹水から精製した各クローンの抗体を用いてサブ
クラスCa2+イオン依存性、PC活性への影響、H鎖あ
るいはL鎖への結合性を調べた。サブクラスは各クラス
特異性の抗マウス抗血清を用いてオクタロニー法により
決定した。
【0048】Ca2+イオン依存性はPCをコーティング
したマイクロタイタープレートを用いELISA法によ
り検出した。第2抗体には、アルカリホスファターゼ標
識ウサギ抗マウスIgG抗体を用い、カルシウムイオン
存在下非存在下におけるヒト・PCとの結合の違いをみ
るため、一方のサンプルには5mM CaCl2 を添加
したTBS(0.02M Tris/HCl、0.14
M NaCl、pH7.4)、またもう一方にはTBS
を加えた。更に第2抗体の稀釈液、及び洗浄液には、5
mM CaCl2 点かTBS、0.05%Tween2
0、0.02%NaN3 又はTBS、0.05%Twe
en20、0.02%NaN3 を使用した。
【0049】ヒト・PC活性への影響は、ヒト・PCに
IgGをモル比1:5で加えて4℃で一夜インキュベー
ションし、トロンビン―トロンボモジュリンコンプレッ
クスによりヒト・PCを活性化し、その活性は次の合成
基質の分解活性測定することにより測定した。この合成
基質としては、
【0050】
【化2】
【0051】[ここでValはD形の光学活性のバリ
ン、LeuはL形の光学活性のロイシン、ArgはL形
の光学活性のアルギンを示す。Kabi Vitrum AB(スウ
エーデン)社製のS―2266を用いた]を使用した。
L鎖、H鎖への結合性はヒト・PCを還元条件で電気泳
動し、ニトロセルロース膜及びHRP標識羊抗マウスI
gGを用いたイムノブロッティングを行って判定した。
【0052】各性質について得られた結果を下記表に示
した。カルシウムイオン依存性抗体はいずれもL鎖結合
性であり、ヒト・APCの活性には影響を及ぼさなかっ
た。これらの抗体として7B12、10E12、9H1
2が挙げられる。これらの抗体はいずれもキモトリプシ
ンによりGlaドメインを切断除去したPCに対するイ
ムノブロッティングにおいて結合性を示さずGlaドメ
イン認識抗体であると判定した。一方6B10―1、6
E2、6B10―2は還元条件下イムノブロッティング
においてL鎖、H鎖両者ともに反応性を示さず、構造特
異的抗体(C)であると判定された。これらの抗体はA
PC活性にほとんど影響を及ぼさなかった。そして、こ
れらは、APC―阻害剤複合体にも結合しうる抗体であ
った。今後のAPCの測定に用いる抗体としてGlaド
メイン特異抗体として7B12、立体構造を認識する抗
体として6B10―1を選択した。
【0053】
【表1】
【0054】[実施例1]活性化ヒト・プロテインC活
性の測定(ECA法) (1)モノクローナル抗体の固定 本実施例におけるモノクローナル抗体の固定は以下の方
法で行った。pH3.0のクエン酸緩衝液(0.1M)
に、10mg/mlの濃度で抗プロテインCモノクロー
ナル抗体をポリスチレンボール(セキスイ;6mmφ)
に固定し(4℃、16hr)、洗浄後1%のBSAにて
アフター・コートを行う。
【0055】(2)プロテインCの立体構造を認識する
固定担体を用いた活性化ヒト・プロテインC活性の測定 血液から精製したAPC(比活性27500/mg)
を,0、0.0025、0.005、0.01、0.0
2、0.05、0.10ng/mlになるように、免疫
反応調節剤含有緩衝液(ベンザミジン、0.05M、B
SA0.2%、スキムミルク0.3%/Tris―HC
l(pH7.2))にて稀釈した。その各400μlと
立体構造を認識する抗プロテインCモノクローナル抗体
(6B10―1)を固定したポリスチレンボールとをガ
ラスチューブに各々加え、37℃、2時間反応させた。
【0056】反応終了後、Tris―HCl(pH7.
2)により、4回洗浄後、ガラスチューブを交換し、蛍
光基質溶液(Boc―Leu―Ser―Thr―Arg
―MCA;60μg/ml;Tris―HCl(50m
M)、pH8.0、0.1MNaCl、0.01M C
aCl2 含有)を1ml加え、4℃で16時間反応させ
た。
【0057】酵素反応終了後、20%の酢酸を1ml加
え、蛍光強度(ex;380nm,em,460nm)
を測定した。その結果を図1(a)に示す。チューブ当
り0.0025ng/ml(2.5pg/ml)まで測
定が可能であった(従来法に比較して1〜2オーダー感
度が上昇した。)。
【0058】(3)プロテインCのGlaドメインを認
識する固相担体を用いた活性化ヒト・プロテインC活性
の測定 7B12を固定したポリスチレンボールと、(2)のA
PC各濃度と5mMCaCl2 を添加した免疫反応調節
剤含有緩衝液400μlを、ガラスチューブに入れ、3
7℃、2時間反応させた。(2)と同様に蛍光強度を測
定した結果、2.5pg/mlまで測定可能であった。
(図1b)
【0059】(4)先行技術との比較 グルーバーらの測定系と本発明の測定系の総合的な効率
を下式に従って求めた。
【0060】
【数1】
【0061】
【表2】
【0062】[実施例2]ヒト・血漿中のAPC測定
(条件検討) (1)免疫反応調節剤の添加剤の検討 血液由来からの非特異反応を除去する目的で、種々の添
加剤(スキムミルク、卵アルブミン、牛血清アルブミ
ン、Tween20)を検討した。基本の免疫反応調節
剤含有緩衝液(スキムミルク0.02%、牛血清アルブ
ミン(BSA)0.2%の50mM Tris―HCl
(pH7.2))に、スキムミルク0.05%、0.2
%、卵アルブミン(OA)0.05%、0.2%、BS
A0.25%、1%、Tween20 0.0125
%、0.05%にそれぞれなるように添加し、実施例1
に従い免疫反応(免疫反応調節剤含有緩衝液400μ
l、ヒト血漿5μl)を行った。その結果を図2に示
す。
【0063】図2から明らかなように、OA、BSAは
免疫反応はおとさないが、血液由来の非特異吸着は防止
できなかった。また、Tween20を添加すると免疫
反応自身を低下させてしまった。しかしながら、スキム
ミルクを加えると、免疫反応を下げることなく、血液由
来の非特異吸着をスキムミルクの濃度依存的に低下せし
めることが明らかになった。
【0064】次いで、スキムミルクの濃度を最終濃度で
0.1%、0.2%、0.3%として、実施例1に従い
ヒト血漿検体(ヘテロのPC欠損患者の血漿)を測定し
た。その結果を図3に示す。図3から明らかなようにス
キムミルクが再終濃度で、0.2%以上存在すると、血
液由来の非特異的吸着を低下せしめることが明らかにな
った。
【0065】(2)ヒト血漿の稀釈倍率に関する検討 ヒト血漿の最適な稀釈倍率を検討すべく、免疫反応調節
剤含有緩衝液(スキムミルク0.3%含有)400μl
に血漿20μl、10μl、5μl、2.5μl、1.
25μlを加え、その測定値を検討した。その結果を図
4に示す。図4より明らかなように、血漿5μl以下
(稀釈倍率80倍以上)でその測定値は一定の値をと
り、それゆえに、稀釈倍率80倍以上が本免疫反応で最
適な稀釈倍率であることが判った。以上により、本測定
系で測定しうるヒト血漿中のAPC濃度は、0.4ng
/ml(稀釈倍率80倍、チューブ当りの測定感度0.
005ng、従ってに80×0.005=0.4ng/
ml)であることが明らかになった。
【0066】[実施例3]抗プロテインCモノクローナ
ル抗体をpH3.0で固定化し、実施例1に準じてPC
欠損患者の血漿中APC濃度を測定した。その結果を図
5に示す。図5から明らかなように健常人(APC)値
に比して、欠損患者APC値が低下していることが判
る。
【0067】[実施例4]プロテアーゼを含有している
と考えられるマウス腹腔液由来抗APC抗体のモデルと
して、無血清培養抗APC抗体(6B10―1)20μ
g/mlにプロテアーゼの1種トロンビンを1μg/m
l添加し(5%含有)、これに不可逆のプロテアーゼイ
ンヒビターであるPMSF 5mMを含有させたものと
PMSF不含のものとを、別々にポリスチレンボールに
固定した。一方、コントロール実験として無血清培養抗
APC抗体(6B10―1)に、PMSF 5mMの添
加、非添加溶液を固定した。
【0068】これらの4種の固定ボールを用いて、実施
例1の反応を行った。その結果プロテアーゼを含有する
抗体ではベースが非常に高くなってしまい、PMSFを
添加したボールは多少の非特異反応がおさえられた。一
方、無血清培養6B10―1固定ボールでは、非特異反
応がほとんどみられず、高感度測定が可能であった。一
方、これにPMSFを入れると非特異反応が上昇し、一
方、特異反応もおさえられる結果が得られた。(図6)
【0069】[実施例5]動物血漿成分の測定系への影
響 ウサギ、ラット、マウス及びサルの血漿を基本の免疫反
応緩衝液を用いて稀釈した試料を調製した。これらの試
料の一部に各動物種毎に一定濃度のヒトAPCを添加
し、APC無添加の試料とともに実施例1に従って免疫
反応を行った。その結果を図7に示す。図に示した通
り、ラット、マウス、サルの血漿中には交差反応を示す
成分が存在するが、その影響はラット、マウス血漿で1
00倍以上、サルの血漿で80倍以上稀釈することによ
って回避できた。ウサギの血漿では他の動物種でみられ
た血漿成分の交差反応はなく、3倍以上の稀釈で測定が
可能であった。
【0070】なお、本発明の実施態様として以下のもの
が挙げられる。 1)該体液サンプルと混合したバッファー溶液が、ベン
ザミジンと抗凝固剤を含む採血管に直接人体から体液が
導入されて形成されたものである請求項1の方法。 2)抗APC抗体が、その結合によってAPC活性を阻
害しない抗体である請求項1の方法。 3)抗APC抗体が、Glaドメイン又は立体構造認識
抗体である請求項1の方法。 4)抗APC抗体が、pH4.0以下の緩衝液で固定担
体に固定された固定担体を用いる請求項1の方法。 5)該体液サンプルと混合するバッファー溶液中の免疫
反応調節剤がスキムミルクであり、その濃度が最終濃度
0.2〜0.8wt%であるところの請求項1の方法。 6)該可逆的プロテアーゼ阻害剤がベンザミジン(benz
amidine )であるところの請求項1の方法。 7)APC用蛍光基質が、ペプチド系蛍光基質である請
求項1の方法。 8)該ペプチド系蛍光基質が構造式Boc―Leu―S
er―Thr―Arg―MCAである請求項7の方法。 9)該免疫反応が、温度4〜37℃で、24〜2時間で
実施される請求項1の方法。 10)該酵素反応が4〜37℃、24〜2時間で実施さ
れる請求項1の方法。 11)該体液サンプルが、ヒト血漿で、最終稀釈倍率8
0倍以上であることを特徴とする請求項1の方法。 12)該体液サンプルが動物血漿で、最終稀釈倍率10
0倍以上であることを特徴とする請求項1の方法。 13)該動物血漿が、ラット、マウス、イヌ、サル血漿
であることを特徴とする請求項12の方法。 14)標準物質(APC)が、ヒト血漿から精製して得
られることを特徴とする請求項1の方法。 15)標準物質が、遺伝子工学的手法を用いて得られる
ことを特徴とする請求項1の方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られた測定系の感度を示す
図である。
【図2】実施例2において得られた添加剤の効果を表わ
す図である。
【図3】実施例2において得られたスキムミルクの添加
剤効果を表わす図である。
【図4】実施例2において得られた検体稀釈倍率の効果
を表わす図である。
【図5】PC欠損症患者の測定例である。
【図6】プロテアーゼ含有の影響を表わす図である。
【図7】種々の動物血漿における検体稀釈倍率の効果を
表わす図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝浦 保宏 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体液中の活性化プロテインC(以下AP
    C)を測定する方法であって、 a)プロテアーゼが実質的に混在しない抗APC抗体を
    固相担体に固定し、 b)この抗体固定化担体、APCに対する可逆的プロテ
    アーゼ阻害剤、免疫反応調節剤及びAPCを含有すると
    予想される体液を、バッファー液中で免疫反応を効果な
    らしめる条件下に接触させ、 c)次いで、上記反応後の担体を、APCに対する可逆
    的プロテアーゼ阻害剤を含有しないバッファーで洗浄し
    て、APCに結合した該プロテアーゼ阻害剤を離脱・除
    去し、 d)次いで、上記担体に結合されたAPCに、APCに
    対する蛍光基質を接触させ、その結果酵素反応により発
    生する蛍光強度を測定し、標準のAPCと比較して定量
    することからなるAPCの測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001098782A1 (fr) * 2000-06-22 2001-12-27 Mochida Pharmaceutical Co., Ltd Kit de determination du pouvoir de coagulation du sang
JP2007101362A (ja) * 2005-10-04 2007-04-19 Hamamatsu Univ School Of Medicine Eiaプレート及びその利用方法
WO2007055340A1 (ja) * 2005-11-11 2007-05-18 The University Of Tokyo Ptx3高感度測定法

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JP5137015B2 (ja) * 2005-11-11 2013-02-06 国立大学法人 東京大学 Ptx3高感度測定法

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