JPH07207772A - 鋼管の接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 中実の鋼棒に鋼管のスリツト付き接合端部を
嵌合し、筒形の締付金具の嵌着とモルタルの圧入、膨脹
により、その接合端部を全面的に均等、強力に締め付け
一体化して、施工性とともに接合部の剛性及び引張・圧
縮耐力を高めて接合性能、信頼性を向上している。 【構成】 構築物における骨組構造材の鋼管１と鋼棒２
の接合又は鋼管１相互の接合構造において、この鋼管１
の接合端部１ａを軸方向のスリツト３で複数に分割し
て、その鋼管１の接合端部１ａを骨組構造材又は連結用
の鋼棒２，１２の端部あるいは両側に嵌合し、その鋼管
１の接合端部１ａあるいは両接合端部１ａ間に筒形の締
付金具５，１５を嵌着して、この締付金具５，１５の内
周面に凹設した中空孔部５ａ，１５ａに膨脹性のモルタ
ルＭを圧入して鋼管１の接合端部１ａを締め付け、鋼管
１の接合端部１ａを鋼棒２，１２の端部に全周面にわた
る均等かつ強力な締付力で密着して摩擦接合したことに
特徴を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種の構築物における
骨組構造材の鋼管と鋼棒との接合、又はその鋼管相互の
接合に適用される鋼管の接合構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、各種の構築物において、その現場
建方に際し骨組構造材となる鋼管を接合する場合、溶接
による接合は手数を要する面倒な作業となり、各種の簡
易構造物や仮設建物等では、図５に示すような継手によ
り連結して組立、構築する場合が多い。即ち、図５
（Ａ）に示すように鋼管ａの端部に設けたフランジｂを
相互に複数のボルト・ナツトｃで連結する引張ボルト継
手（フランジ継手）や、図５（Ｂ）に示すように鋼管ａ
の両接合端部間に１対のパイプ半割ｄを嵌装して、この
１対のパイプ半割ｄ及び鋼管ａを複数のボルト・ナツト
ｅで締め付けて連結する剪断ボルト継手等により接合さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の鋼管の接合構造
において、前記の引張ボルト継手は、鋼管の接合位置が
端部のフランジ部に限られて選択できず、複数のボルト
で引張荷重を受けるためその引張耐力には限界がある。
また、前記の剪断ボルト継手は、複数のボルト穴とボル
ト間に隙間ができてガタが生じるなど接合精度の点で問
題があり、接合部の剛性や締付力に限界があり信頼性に
欠けるなどの課題がある。

【０００４】本発明は、上記のような課題に対処するた
めに開発されたものであつて、その目的とする処は、中
実の鋼棒に鋼管のスリツト付き接合端部を嵌合し、筒形
の締付金具の嵌着とモルタルの圧入、膨脹により、その
接合端部を全面的に均等、強力に締め付け一体化して、
施工性とともに接合部の剛性及び引張・圧縮耐力を高め
て接合性能、信頼性を向上した鋼管の接合構造を提供す
るにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、構築物におけ
る骨組構造材の鋼管と鋼棒の接合又は鋼管相互の接合構
造において、この鋼管の接合端部を軸方向のスリツトで
複数に分割して、鋼管の接合端部を骨組構造材又は連結
用の鋼棒の端部あるいは両側に嵌合し、鋼管の接合端部
あるいは両接合端部間に筒形の締付金具を嵌着して、締
付金具の内周面に凹設した中空孔部に膨脹性のモルタル
を圧入し鋼管の接合端部を締め付け、鋼管の接合端部を
鋼棒の端部に全周面にわたる均等かつ強力な締付力で密
着して摩擦接合することにより、施工現場でも容易に精
度良く接合可能とし、その筒形の締付金具を嵌着とモル
タルの圧入、膨脹及び付着により、中実の鋼棒に鋼管の
スリツト付き接合端部を全面的に均等、強力に締め付け
一体化し、接合の剛性、引張・圧縮耐力及び信頼性を効
果的に高めている。

【０００６】

【作用】建築物における骨組構造材の鋼管の接合端部を
軸方向のスリツトで複数に分割して、この鋼管の接合端
部を骨組構造材又は連結用の鋼棒の端部あるいは両側に
嵌合し、その鋼管の接合端部あるいは両接合端部間に筒
形の締付金具を嵌着し、この締付金具の内周面の中空孔
部にモルタルを圧入し膨脹せしめて鋼管の接合端部を締
め付け、鋼管の接合端部を鋼棒の端部に全周面にわたる
均等かつ強力な締付力で密着して摩擦接合するととも
に、そのモルタルの膨脹、充填により中実の鋼棒に鋼管
の接合端部及び締付金具を付着して一体化し、優れた接
合の剛性及び引張・圧縮耐力を有する摩擦継手として容
易に接合される。

【０００７】

【実施例】図１（Ａ）（Ｂ）に本発明の第１実施例、図
１（Ｃ）（Ｄ）に第２実施例、図２及び図３に第１実施
例の使用態様、図４に第２実施例の使用態様を示す。図
中１は各種の構築物における骨組構造材の鋼管、２，１
２は同じく骨組構造材又は連結用の鋼棒、３は鋼管の接
合端部１ａに設けた軸方向のスリツト、５，１５は鋼管
の接合端部１ａ又は両接合端部１ａ間に嵌着した筒形の
締付金具、５ａ，１５ａは締付金具５，１５の内周面に
凹設した中空孔部、５ｂ，１５ｂは締付金具に配設した
モルタルＭの注入口と確認口、６はシール材であつて、
図１に示す実施例は、構築物における骨組構造材の鋼管
１と鋼棒２の接合又は鋼管１相互の接合構造において、
この鋼管１の接合端部１ａを軸方向のスリツト３で複数
に分割して、その鋼管１の接合端部１ａを骨組構造材又
は連結用の鋼棒２，１２の端部あるいは両側に嵌合し、
鋼管１の接合端部１ａあるいは両接合端部１ａ間に筒形
の締付金具５，１５を嵌着して、この締付金具５，１５
の内周面に凹設した中空孔部５ａ，１５ａに膨脹性のモ
ルタルＭを圧入して鋼管１の接合端部１ａを締め付け、
鋼管１の接合端部１ａを鋼棒２，１２の端部に全周面に
わたる均等かつ強力な締付力で密着して摩擦接合した鋼
管の接合構造になつている。

【０００８】さらに詳述すると、前記の鋼管１は、各種
の構築物における骨組構造材であつて、図１に示すよう
にその接合端部１ａに複数のスリツト３を周間隔を置き
軸方向に指向させて設け（図示例はスリツトを十字状に
配設）、接合端部１ａを拡縮径可能に分割して、この接
合端部１ａをその拡縮径により骨組構造材又は連結用の
鋼棒２の端部あるいは両側に容易に嵌合される構造にし
ている。また、締付金具５（第１実施例）は、鋼管１の
接合端部１ａに嵌合されるように筒状に形成して、その
内周面のほぼ全域にわたり中空孔部５ａを凹設し、モル
タルＭを圧入するための注入口と確認口５ｂを設け、接
合端部１ａのほぼ全域にわたり嵌合される筒形に形成し
ている。さらに、連結用の鋼棒１２（第２実施例）は、
鋼管１の接合端部１ａの内部空間に対応した断面形状、
及び両側に鋼管１の接合端部１ａをそれぞれ嵌合する長
さに形成している。締付金具１５（第２実施例）は、鋼
管１の両接合端部１ａ間に嵌着可能な長さに形成し、同
様な中空孔部１５ａ、注入口と確認口１５ｂを配設し
て、基本的に前記の締付金具５と同様な構造になつてい
る。

【０００９】図１（Ａ）（Ｂ）に示す第１実施例は、構
築物における骨組構造材の鋼管１と鋼棒２との接合構造
であつて、例えば、その組立、構築に際し施工現場で、
その鋼管１の接合端部１ａに複数のスリツト３を配設し
て拡縮径可能に分割加工し、このスリツト３付き接合端
部１ａを鋼棒２の端部に嵌合して、その接合端部１ａに
締付金具５を嵌着するとともに、その締付金具５の両側
と接合端部１ａの周面間を適宜の手段でシール６して、
矢示のように下側の注入口５ｂからモルタルＭを圧入し
て上側の確認口５ｂでその充填状態を確認し、そのモル
タルＭは接合端部１ａの外周面のほぼ全域にわたり配置
された中空孔部５ａ内に圧入されて膨脹し、鋼管１の接
合端部１ａを中実の鋼棒２の端部周面にほぼ全長、全面
にわたる均等かつ強力な締付力で嵌合、密着して摩擦接
合するとともに、このモルタルＭは中空孔部５ａ、スリ
ツト３内で膨脹して充満し、中実の鋼棒２の端部に鋼管
１の接合端部１ａ及び締付金具５を一体的に付着して、
優れた接合剛性及び引張・圧縮耐力を有する圧着された
摩擦継手として容易に精度良く接合される。

【００１０】例えば、図２に示すように建築物における
骨組構造材の主材（鋼管）１１に繋材（鋼管）２１を接
合する場合、その主材１１に鋼棒２２を挿通し、この鋼
棒２２の端部に繋材２１の接合端部２１ａを接合した
り、図３に示すような単層ラチスドームにおいてその骨
組構造材の主材（鋼管）３１と接合用リング金物３３を
接合する場合、主材３１の接合端部３１ａに連結用の鋼
棒３２の端部を接合するのに好適であり（図中３４は連
結用ボルト）、前記のように鋼管の接合端部にスリツト
３を配設する程度の比較的に簡単な加工により、施工現
場でも格別の施工のバラツキもなく精度良く容易に接合
されるとともに、骨組構造材として要求される接合の剛
性及び引張・圧縮耐力が確保されて、各種の簡易構造物
や仮設建物における骨組構造材の接合に好適である。

【００１１】また、前記の第２実施例は、図１（Ｃ）
（Ｄ）に示すように構築物における骨組構造材の鋼管１
相互の接合構造であつて、例えば、その組立、構築に際
し施工現場で、鋼管１の接合端部１ａに複数のスリツト
３を配設して拡縮径可能に分割し、このスリツト３付き
接合端部１ａを連結用の鋼棒１２の両側に嵌合して連結
し、この両接合端部１ａ間に締付金具１５を嵌着すると
ともに、その締付金具１５の両側と接合端部１ａの周面
間を適宜の手段でシール６して、矢示のように下側の注
入口１５ｂからモルタルＭを圧入して上側の確認口１５
ｂでその充填状態を確認し、このモルタルＭは両接合端
部１ａの外周面のほぼ全域にわたり配置された中空孔部
５ａ内に圧入されて膨脹し、鋼管１の接合端部１ａを中
実の鋼棒１２の端部周面にほぼ全長、全面にわたる均等
かつ強力な締付力で嵌合、密着して摩擦接合するととも
に、このモルタルＭは中空孔部５ａ、各スリツト３及び
接合端部１ａ間内で膨脹して充填し、中実の鋼棒２の両
側に鋼管１の両接合端部１ａ及び締付金具５が一体的に
付着され、優れた接合の剛性及び引張・圧縮耐力を有す
る圧着された摩擦継手として容易に精度良く接合され
る。

【００１２】例えば、図４に示すように建築物における
骨組構造材のラチス梁やラチス柱の上弦材（鋼管）又は
下弦材（鋼管）４１の両接合端部を相互に接合したり、
その斜材（鋼管）５１の両接合端部を接合するのに好適
であり、前記のように鋼管の接合端部にスリツト３を配
設する程度の比較的に簡単な分割加工により、施工現場
でも格別の施工のバラツキもなく容易に精度良く接合さ
れ、その骨組構造材として要求される接合剛性及び引張
・圧縮耐力が確保されるなど、基本的に第１実施例と同
様な作用、効果が得られる。

【００１３】

【発明の効果】本発明は、前述のように建築物における
骨組構造材の鋼管の接合端部を軸方向のスリツトで複数
に分割して、この鋼管の接合端部を骨組構造材又は連結
用の鋼棒の端部あるいは両側に嵌合し、その鋼管の接合
端部あるいは両接合端部間に筒形の締付金具を嵌着し
て、この締付金具の内周面の中空孔部にモルタルを圧入
し膨脹せしめて鋼管の接合端部を締め付け、鋼管の接合
端部を鋼棒の端部に全周面にわたる均等かつ強力な締付
力で密着して摩擦接合するとともに、そのモルタルの膨
脹、充填により中実の鋼棒に鋼管の接合端部及び締付金
具を付着して一体化し、優れた接合剛性及び引張・圧縮
耐力を有する摩擦継手として容易に接合でき、施工性と
ともに接合性能、信頼性を著しく向上している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す側面図（Ａ）とＸ−
Ｘ断面図（Ｂ）及び第２実施例の側面図（Ｃ）とＹ−Ｙ
断面図（Ｄ）

【図２】第１実施例の使用態様を示す平面図

【図３】第１実施例の他の使用態様を示す平面図（Ａ）
とＺ−Ｚ断面図（Ｂ）

【図４】第２実施例の使用態様を示す側面図

【図５】従来例を示す側面図（Ａ）と他の従来例を示す
側面図（Ｂ）である。

【符号の説明】 １ 鋼管 １ａ 接合端部（鋼管） ２，１２ 鋼棒 ３ スリツト ５，１５ 締付金具 ５ａ，１５ａ 中空孔部 Ｍ モルタル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 由紀 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 小椋 克也 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大成 建設株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 構築物における骨組構造材の鋼管と鋼棒
   の接合又は鋼管相互の接合構造において、同鋼管の接合
   端部を軸方向のスリツトで複数に分割して、同鋼管の接
   合端部を骨組構造材又は連結用の鋼棒の端部あるいは両
   側に嵌合し、同鋼管の接合端部あるいは両接合端部間に
   筒形の締付金具を嵌着して、同締付金具の内周面に凹設
   した中空孔部に膨脹性のモルタルを圧入して鋼管の接合
   端部を締め付け、鋼管の接合端部を鋼棒の端部あるいは
   両側に全周面にわたる均等かつ強力な締付力で密着して
   摩擦接合したことを特徴とする鋼管の接合構造。