JPH07207333A - 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の熱処理方法 - Google Patents

析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の熱処理方法

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JPH07207333A
JPH07207333A JP444594A JP444594A JPH07207333A JP H07207333 A JPH07207333 A JP H07207333A JP 444594 A JP444594 A JP 444594A JP 444594 A JP444594 A JP 444594A JP H07207333 A JPH07207333 A JP H07207333A
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JP
Japan
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phase
steel
heat treatment
stainless steel
martensitic stainless
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Withdrawn
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JP444594A
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English (en)
Inventor
Yukirou Shimobatake
幸郎 下畠
Hirofumi Furukawa
洋文 古河
Shigehisa Fujimoto
茂寿 藤本
Kiyoshi Watanabe
潔 渡辺
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 精密鋳造部品などに使用される析出硬化型マ
ルテンサイト系ステンレス鋼に適用できる熱処理方法に
関する。 【構成】 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の
鋼片および鋳造品を、A C1変態点+10℃〜AC1変態点
+50℃の2相域温度に加熱した後、室温以下まで冷却
することを1回以上行い、続いて溶体化処理および時効
処理を行う析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の
熱処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は精密鋳造部品などに使用
される析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼に適用
できる熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】析出硬化型マルテンサイト系ステンレス
鋼はステンレス鋼としての優れた耐食性を有するととも
に、マルテンサイト変態による自硬性と析出硬化により
高強度であるため、航空機部品、化学機械装置部品に用
いられてきた。またJIS規格SUS630、SCS2
4に規定される17−4PH鋼とその改良鋼は熱処理に
より容易に強度調質が可能なこともあり、SUS410
等の13%Crステンレス鋼より優れた耐食性を有する
ことから船舶部品や海水用構造部品などにも用途が拡大
の傾向が見られるようになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、精密鋳
造で製造した場合、製品の大型化に伴い冷却速度が遅く
なることにより組織が粗大化し靱性が低下すること、ま
た、省エネルギー、製品の高性能化の観点から鋳造材に
おいても圧延などによる加工材並の機械的性質と靱性向
上が要求されるようになりつつあるにもかゝわらず、時
効処理条件の変更のような従来の熱処理方法では高強度
を維持したまま延性を確保することが困難であるという
問題があった。
【0004】本発明は上述のような問題を解決するもの
であって、オーステナイト相が安定であり、フェライト
変態の起こりにくいマルテンサイト系鋼種に関して加工
変形を行なうことなしに組織を微細化し、高強度を維持
したまま延性の改善をもたらす析出硬化型マルテンサイ
ト系ステンレス鋼の熱処理方法を提供しようとするもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは析出硬化型
マルテンサイト系ステンレス鋼に対し、2相域温度加熱
を施すことにより針状にオーステナイトが析出した2相
組織を意識的に作り、室温以下に焼入れすることを1回
以上行なった後、溶体化処理を行ない、溶体化処理時の
オーステナイト粒径を小さくすることにより、高強度を
維持しながら延性を確保することが可能であることを見
出した。
【0006】本発明は上記の知見に基づいて完成したも
のであり、本発明は析出硬化型マルテンサイト系ステン
レス鋼を、AC1変態点+10℃〜AC1変態点+50℃の
2相域温度に加熱した後、室温以下まで冷却することを
1回以上行い、さらに溶体化処理および時効処理を行な
う強度、延性に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステ
ンレス鋼の熱処理法である。
【0007】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。通常の
溶製工程と鋳造工程を施して、所定の成分を有する析出
硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼を各種の形状に製
造する。上記の鋼においては、鋳造し室温まで冷却した
まま、あるいはまた偏析除去のために通常の溶体化処理
の温度(均質化温度)以上に加熱して室温まで冷却する
ことによって、マルテンサイト組織が得られる。続い
て、この析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼をA
C1変態点+10℃〜AC1変態点+50℃の2相域温度に
加熱する。ここでAC1変態点とは、全面マルテンサイト
組織とした上記の鋼を室温から一定速度で昇温した際
に、マルテンサイトからオーステナイトへの変態が初め
て起こる温度をいう。また、2相域温度の2相とは、体
心立方構造であるマルテンサイトあるいはフェライト組
織と、面心立方構造であるオーステナイト組織が混在す
る状態をいう。この2相域加熱の目的は新しいオーステ
ナイト相の形成に伴い、溶体化処理後の組織を微細化す
ることにある。この鋼に2相域加熱処理を施すと、旧オ
ーステナイト粒内のマルテンサイト相からは新しい針状
オーステナイトが生成し、フェライトと共に共存する。
このとき、各相の基本粒径サイズはマルテンサイト相の
ブロックが基本となり組織は著しく微細化する。
【0008】このように微細化した2相組織を室温以下
に冷却すると、新しく形成したオーステナイト相は2相
域加熱前と比べてマルテンサイト相のブロックが非常に
微細化したマルテンサイト相に変態し、フェライトとマ
ルテンサイト相からなる微細な2相組織を呈する。さら
にこのAC1変態点+10℃〜AC1変態点+50℃の2相
域温度に加熱と、室温以下への冷却を1回以上繰り返す
と、新しく形成したマルテンサイト相はフェライトと針
状のオーステナイトの2相組織を経て、フェライトとマ
ルテンサイト相の2相組織に変化し、析出硬化型マルテ
ンサイト系ステンレス鋼の組織全体はさらに著しく微細
化する。
【0009】この2相域加熱の加熱温度としては、AC1
変態点+10℃以下の温度に加熱した場合には微細な2
相組織となる程の分率のオーステナイト相を形成し得な
いために、その下限をAC1変態点+10℃とした。また
C1変態点+50℃以上に加熱した場合には、新しいオ
ーステナイト相の分率が過剰となるために、オーステナ
イト粒のサイズが通常の溶体化処理後と同程度となり、
組織の微細化に寄与しないことから、その上限をAC1
態点+50℃とした。
【0010】引き続き、上記の2相域を利用した熱処理
を施しフェライトとマルテンサイト相の微細な2相組織
からなる析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼に通
常の条件にて溶体化処理を続いて行なう。ここで溶体化
処理の通常の条件とは、析出硬化型マルテンサイト系ス
テンレス鋼を1020〜1080℃に加熱し、その後急
冷するのがよい。この目的は、2相域を利用した熱処理
を施した場合、析出硬化型マルテンサイト系ステンレス
鋼の組織が微細化し延性が向上する半面、2相域の加熱
により析出硬化相が粗大に析出し、強度及び硬度が低下
するためである。そこでこの鋼に溶体化処理を施すと、
加熱によりマルテンサイト相とフェライトの境界面から
は新しいオーステナイトが生成する。このとき新しく形
成されたオーステナイトの粒は鋳造のままあるいは偏析
除去のために通常の溶体化処理の温度以上に加熱して室
温まで冷却したままと比較すると、細粒化している。溶
体化処理後、析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼
を室温以下に冷却を行なうと、オーステナイトの粒が細
粒化しているため、マルテンサイト相のパッケットサイ
ズが小さくなったマルテンサイト組織が得られる。
【0011】次に、溶体化処理後に冷却の行なわれた鋼
は時効処理する。この処理により析出硬化化合物を析出
させ、所定の強度を得る。なお、時効条件は要求される
強度により異なるが、日本工業規格などにより規定され
ており、470〜630℃の間で1時間から4時間加
熱、保持された後、空冷するのが一般的である。このよ
うな製造工程を経て得られた析出硬化型マルテンサイト
系ステンレス鋼は高強度を維持しつつ、延性が改善され
る。
【0012】
【実施例】本発明の実施例について以下に説明する。表
1に示す成分の析出硬化型マルテンサイト系ステンレス
鋼(A鋼、B鋼ともAC1=684℃、JIS規格SCS
24の17−4PH鋼)を用い、本発明による熱処理法
を用いた場合とそうでない場合について、引張特性(Y
S:降伏応力、TS:引張強さ:kgf/mm2 、E:
伸び:%)を調べた結果を表2に示す。また、表2のY
SとEの関係を示したものが図1である。図1より、本
発明の熱処理による鋼は比較法による鋼と比べて同一の
均質化処理、溶体的処理、時効処理を施した場合、鋼の
成分に関係なく強度を維持したまま、延性(本発明法:
破線、比較例:実線)が向上している。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【発明の効果】以上のように本発明は析出硬化型マルテ
ンサイト系ステンレス鋼成分の鋼を鋳込み後2相域温度
から室温以下に冷却を1回以上行ない、溶体化処理、時
効処理を行なうことで、高強度を維持したまま、延性の
向上した析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼を製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A鋼及びB鋼における強度、延性バランスを示
す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 潔 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス
    鋼の鋼片および鋳造品を、AC1変態点+10℃〜AC1
    態点+50℃の2相域温度に加熱した後、室温以下まで
    冷却することを1回以上行い、続いて溶体化処理および
    時効処理を行うことを特徴とする析出硬化型マルテンサ
    イト系ステンレス鋼の熱処理方法。
JP444594A 1994-01-20 1994-01-20 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の熱処理方法 Withdrawn JPH07207333A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007177683A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Usui Kokusai Sangyo Kaisha Ltd 燃料噴射管及びその製造方法
CN110628997A (zh) * 2019-10-25 2019-12-31 贵州航天新力铸锻有限责任公司 一种提高低碳马氏体沉淀硬化不锈钢屈强比的热处理方法

Cited By (3)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007177683A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Usui Kokusai Sangyo Kaisha Ltd 燃料噴射管及びその製造方法
JP4619286B2 (ja) * 2005-12-27 2011-01-26 臼井国際産業株式会社 燃料噴射管及びその製造方法
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