JPH07195954A - 4輪駆動車の制御装置 - Google Patents

4輪駆動車の制御装置

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JPH07195954A
JPH07195954A JP5349900A JP34990093A JPH07195954A JP H07195954 A JPH07195954 A JP H07195954A JP 5349900 A JP5349900 A JP 5349900A JP 34990093 A JP34990093 A JP 34990093A JP H07195954 A JPH07195954 A JP H07195954A
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JP
Japan
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wheel
determination
wheels
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abnormal
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JP5349900A
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English (en)
Inventor
Tomomi Izumi
知示 和泉
Tetsuya Tatehata
哲也 立畑
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タイヤ空気圧に異常がある車輪が走行中に検
出された場合に、その検出結果に応じて各車輪に対し適
切な駆動力の配分を行う。 【構成】 各車輪のタイヤ空気圧の異常を検出する異常
車輪検出手段を備えた4輪駆動車の制御装置であって、
少なくとも前後の車輪間での駆動力の配分を可変制御す
る可変制御手段を有し、車両走行中に異常車輪が検出さ
れた際には検出結果に応じて各車輪への駆動力の配分を
変更するように制御することを特徴とし、前後輪のうち
異常車輪が存在する側への駆動力の配分を低下させ、又
は後輪側への駆動力の伝達を禁止して前輪側へのみ駆動
力を配分し、又は4輪のうち2輪について異常を検出し
た際には残りの2輪への駆動力の配分を高めるように制
御し、又は左右いずれか片側の2輪が異常である場合に
は、後輪側への駆動力の伝達を禁止して前輪側へのみ駆
動力を配分するように制御することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、4輪駆動車の制御装
置、特に、各車輪のタイヤ空気圧の異常を検出する異常
車輪検出手段を備えた4輪駆動車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジン及びトランスミッション
で構成されるパワープラントから出力される駆動力を前
輪および後輪に伝達するようにした4輪駆動車として、
前輪駆動系または後輪駆動系に該駆動系への動力伝達を
遮断するカットオフクラッチを設け、4輪を駆動する必
要が特に無いときには、駆動損失を低減するために、該
クラッチを切断して前後輪いずれか一方のみによる2輪
駆動状態とするようにしたものは、一般に良く知られて
いる。また、かかる4輪駆動車において、左右の車輪間
に伝達トルク可変のクラッチを介設し、このクラッチの
伝達トルクを制御することにより、左右の車輪に対する
トルク配分を可変制御できるようにしたものが知られて
いる。このようなクラッチを前輪側および後輪側にそれ
ぞれ設けることにより、各車輪毎にトルク配分を可変制
御することができる。
【0003】このように、前後輪間で又は各車輪毎にト
ルク配分を制御する場合、車両旋回時に所謂オーバステ
ア傾向が生じることがないように配慮することは、車両
の操安性を確保する上で重要である。尚、4輪駆動車の
操安性に関して、上記のようなトルク配分の可変制御を
特に意識したものではないが、例えば実開昭62−72
828号公報では、通常のタイヤと半径差が大きい応急
用タイヤ(所謂テンパータイヤ)を装着した場合に、差動
装置(特にセンタデフ)のロック動作を阻止して操安性を
向上するようにしたものが開示されている。
【0004】ところで、車輪のタイヤ空気圧がある程度
以上低下した状態で走行することは好ましくなく、かか
る状態が長期間に渡って気付かれないままで走行が続け
られることを防止するために、従来から種々のタイヤ空
気圧の異常検出装置が提案されている。例えば、タイヤ
空気圧が低下した場合、タイヤ角速度が増加し当該車輪
の回転数が増加することから、車輪速センサで4輪の車
輪速をそれぞれ検出し、各車輪についての車輪速を相互
に比較することにより、タイヤ空気圧が低下した車輪を
検知するようにしたものが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなタイヤ空気
圧に異常がある車輪が走行中に検出された場合、この異
常車輪に対して他の正常な車輪と同様にトルク配分を行
って走行を続けることは、当該異常車輪にとっては負担
が大きく、好ましくない。上記のような前後輪間で又は
各車輪毎にトルク配分を制御することができる4輪駆動
車では、当該異常車輪へのトルク配分を低下させるよう
に制御することも考えられるが、この場合、上述のよう
に、車両旋回時に、所謂アンダステア傾向が多少生じた
としてもオーバステア傾向が生じることがないように配
慮することが望ましい。このように、タイヤ空気圧に異
常がある車輪が走行中に検出された場合、各車輪へのト
ルク(駆動力)配分をどのように制御するかは重要であ
る。
【0006】そこで、この発明は、タイヤ空気圧に異常
がある車輪が走行中に検出された場合に、その検出結果
に応じて各車輪に対し適切な駆動力の配分を行うことが
できる4輪駆動車の制御装置を提供することを目的とし
てなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、本願の第1の
発明は、各車輪のタイヤ空気圧の異常を検出する異常車
輪検出手段を備えた4輪駆動車の制御装置であって、少
なくとも前後の車輪間での駆動力の配分を可変制御する
可変制御手段を有し、上記異常車輪検出手段が異常車輪
を検出した際には、該検出結果に応じて、少なくとも前
後の車輪間での駆動力の配分を変更するように制御する
ことを特徴としたものである。
【0008】また、本願の第2の発明は、上記第1の発
明において、上記異常車輪検出手段が異常車輪を検出し
た際には、前輪側と後輪側のうち上記異常車輪が存在す
る側への駆動力の配分を低下させるように制御すること
を特徴としたものである。
【0009】更に、本願の第3の発明は、上記第1の発
明ににおいて、上記異常車輪検出手段が異常車輪を検出
した際には、後輪側への駆動力の伝達を禁止し、前輪側
へのみ駆動力を配分するように制御することを特徴とし
たものである。
【0010】また、更に、本願の第4の発明は、上記第
1の発明において、上記異常車輪検出手段が4輪のうち
2輪について異常を検出した際には、残りの2輪への駆
動力の配分を高めるように制御することを特徴としたも
のである。
【0011】また、更に、本願の第5の発明は、上記第
1の発明ににおいて、上記異常車輪検出手段が左右いず
れか片側の2輪について異常を検出した際には、後輪側
への駆動力の伝達を禁止し、前輪側へのみ駆動力を配分
するように制御することを特徴としたものである。
【0012】
【発明の効果】本願の第1の発明によれば、上記異常車
輪検出手段が異常車輪を検出した際には、該検出結果に
応じて、少なくとも前後の車輪間での駆動力の配分を変
更するように制御されるので、異常車輪の検出結果に応
じて(例えば異常が検出された車輪の位置あるいは数な
どに応じて)、適切な駆動力の配分を行うことができ
る。
【0013】また、本願の第2の発明によれば、基本的
には、上記第1の発明と同様の効果を奏することがで
き、特に、上記異常車輪検出手段が異常車輪を検出した
際には、前輪側と後輪側のうち上記異常車輪が存在する
側への駆動力の配分を低下させるように制御されるの
で、異常車輪への負担を軽減することができる。
【0014】更に、本願の第3の発明によれば、基本的
には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができ
る。特に、上記異常車輪検出手段が異常車輪を検出した
際には、後輪側への駆動力の伝達を禁止し、前輪側への
み駆動力を配分するように制御されるので、車両の駆動
状態は前2輪の2輪駆動状態となる。この結果、車両旋
回時に、所謂アンダステア傾向が多少生じたとしてもオ
ーバステア傾向が生じることを防止でき、旋回時におけ
る操安性を確保することができる。
【0015】また、更に、本願の第4の発明によれば、
基本的には、上記第1の発明と同様の効果を奏すること
ができる。特に、上記異常車輪検出手段が4輪のうち2
輪について異常を検出した際には、残りの2輪への駆動
力の配分を高めるように制御されるので、異常車輪への
負担を相対的に軽減し、かつ、車両全体としては十分な
駆動力の確保を図ることができる。
【0016】また、更に、本願の第5の発明によれば、
基本的には、上記第1の発明と同様の効果を奏すること
ができる。特に、上記異常車輪検出手段が左右いずれか
片側の2輪について異常を検出した際には、後輪側への
駆動力の伝達を禁止し、前輪側へのみ駆動力を配分する
ように制御されるので、車両の駆動状態は前2輪の2輪
駆動状態となる。すなわち、片側2輪についてタイヤ空
気圧の異常が検出されて車両の直進性が十分に確保し難
い場合には、前2輪の2輪駆動状態とすることにより、
所謂アンダステア傾向が多少生じたとしてもオーバステ
ア傾向が生じることを防止でき、操安性の確保に寄与す
ることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を、添付図面に基いて
詳細に説明する。まず、4輪駆動車とされた本発明の第
1実施例に係る自動車の駆動系(動力伝達系)およびそ
の制御について説明する。図1は、上記自動車(4輪駆
動車)の概略の構成とその制御システムを示すもので、
この4輪駆動車は、エンジンEnと変速機Tmとでなるパ
ワープラントPTと、このパワープラントPTで発生さ
れた駆動力が伝動歯車機構5を介して入力されて、左右
の前輪1,2及び左右の後輪3,4をそれぞれ駆動する前
輪駆動系10及び後輪駆動系20とを備えている。
【0018】上記前輪駆動系10は、車体前後方向に配
置されてパワープラントPTからの駆動力により上記伝
動歯車機構5を介して駆動される前輪駆動軸11と、該
駆動軸11により傘歯車機構12を介して駆動されて動
力を左右の前輪1,2にそれぞれ伝達する左右の車軸1
3,14とで構成されている。本実施例では、この前輪
駆動系10の左右の車軸13,14に、上記前輪駆動軸
11側から左右の前輪1,2側への動力の伝達を断接
し、またその伝達トルクを変化させる左右の車輪クラッ
チ7,8がそれぞれ設けられている。この車輪クラッチ
7,8は、いずれも多板式の油圧クラッチであって、図
示しない油圧源から導かれた油圧供給路15,16が接
続されていると共に、これらの通路15,16には車輪
クラッチ7,8に対する油圧の給排を制御する油圧制御
弁17,18がそれぞれ設けられている。
【0019】また、上記後輪駆動系20は、前輪側と同
様に車体前後方向に配置されて、パワープラントPTか
らの駆動力により上記歯車機構5を介して駆動される後
輪駆動軸21と、該駆動軸21により傘歯車機構22を
介して駆動されて動力を左右の後輪3,4にそれぞれ伝
達する左右の車軸24,25とで構成されている。そし
て、この後輪駆動系20においては、上記後輪駆動軸2
1上に、左右の車軸24、25ないし後輪3,4側への
動力の伝達を遮断するカットオフクラッチ26が設けら
れていると共に、左右の車軸24、25には、上記後輪
駆動軸21側から左右の後輪3,4側への動力の伝達を
断接し、またその伝達トルクを変化させる左右の車輪ク
ラッチ27,28がそれぞれ設けられている。この車輪
クラッチ27,28は、いずれも前輪側に設けられたも
のと同様の多板式の油圧クラッチであって、図示しない
油圧源から導かれた油圧供給路31,32が接続されて
いると共に、これらの通路31,32には車輪クラッチ
27,28に対する油圧の給排を制御する油圧制御弁3
3,34がそれぞれ設けられている。
【0020】さらに、上記カットオフクラッチ26と各
油圧制御弁17,18,33,34の作動を制御するコン
トローラ35(トルクスプリットコントローラ)が備えら
れ、該コントローラ35から出力される制御信号a によ
ってカットオフクラッチ26が断接されると共に、同じ
く該コントローラ35から出力される制御信号b',c',b
, c により、上記油圧制御弁17,18,33,34が開
閉制御されて各車輪クラッチ7,8,27,28に対する
油圧の給排が制御され、これにより各車輪クラッチ7,
8,27,28の断接もしくはその伝達トルクが制御され
るようになっている。そして、このコントローラ35に
は、上記の各制御用として、前後左右の各車輪1〜4の
回転速度をそれぞれ検出する各車輪速センサ51〜54
からの信号d,e, f, g と、当該車両の運転席に設けられ
たハンドル40の操作量、つまり舵角量を検出する舵角
センサ41からの信号h と、旋回時に車体に作用する横
加速度を検出する横加速度センサ42からの信号i と、
さらに、当該車両に備えられたABS(アンチロックブ
レーキングシステム)の作動を制御するABSコントロ
ールユニット44からのABS制御中であるか否かを示
す信号j とが入力され、コントローラ35が、これらの
入力信号d 〜 j に基いて、上記カットオフクラッチ2
6と各車輪クラッチ7,8,27,28とに対する制御を
行うようになっている。
【0021】次に、上記4輪駆動車の駆動系の制御につ
いて、上記トルクスプリットコントローラ35の制御動
作を示すフローチャートに従って説明する。図2はコン
トローラ35の制御動作のメインルーチンを示すもの
で、まずステップ#1で、コントローラ35は以下の制
御で用いる各種の変数、フラグ、その他のイニシャライ
ズを行い、次いでステップ#2で、各車輪クラッチ7,
8,27,28の締結度、換言すれば各車輪1〜4に対す
るトルク配分比を決定する。そして、ステップ#3で、
各車輪クラッチ7,8,27,28の締結度がステップ#
2で決定された値となるように、図1に示す油圧制御弁
17,18,33,34に制御信号b',c',b 、c を出力
し、またカットオフクラッチ26に対しては、これを断
接する制御信号a を出力する。
【0022】以下、上記ステップ#2による各車輪クラ
ッチ7,8,27,28の締結度の決定制御について、例
えば、フロント側の左右の車輪クラッチ7,8が共に常
時締結されて左右の前輪1,2がパワープラントPTか
らの駆動力で常時駆動された状態で、リヤ側の車輪クラ
ッチ27,28の締結度を決定する場合を例にとって説
明する。図3にそのサブルーチンを示すように、この制
御では、まずステップ#11で、図1に示す各センサ4
1,42,51〜54からの信号によって、左前輪、右前
輪、左後輪、右後輪の各車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωr
r、ハンドル40の舵角量θ、その変化率θ'、車速V、
及び横加速度Gを入力すると共に、さらにABSコント
ローラ43からの信号j としてABS制御中であるか否
かを示すABS作動信号Fabs を入力する、ここで、上
記変化率θ'は舵角量θの変化に基いて算出し、また、
車速Vは、例えば、上記各車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ω
rr のうちの最も遅いものを車速として採用する。
【0023】次いで、コントローラ35は、ステップ#
12で上記ABS作動信号Fabs の値を判定し、これが
1の場合、つまりABSコントロールユニット44によ
りABS制御が現に行われている場合は、ステップ#1
3で左右の後輪3,4のトルク配分比Trl、Trr を共に
0に設定する。従って、この場合はリヤ側の左右の車輪
クラッチ27,28にはいずれも油圧が供給されず、車
軸24,25が遮断されて左右の後輪3,4に駆動力が伝
達されない状態となる。これは、左右の後輪3,4を自
由に回転し得る状態として、ABS制御を正確に行うた
めである。一方、ABS制御が行われていないときは、
Fabs =0であって、コントローラ35は上記ステップ
#12からステップ#14を実行し、舵角量θの絶対値
が所定値θ0より小さいか否かを判定する。この所定値
θ0は不感帯の幅を示す極く小さな値であって、|θ|
<θ0の場合は、ハンドル40は操作されておらず、当
該車両が直進状態にあると判断する。
【0024】そして、直進状態にある場合は、コントロ
ーラ35は、まずステップ#15で後述する旋回時の制
御で用いる旋回フラグFc 及びタイマフラグFtm を共
に0にリセットした上で、ステップ#16で次式に従っ
て前、後輪間の回転速度差△ω1を算出する。 △ω1 =(ωfl +ωfr )−(ωrl +ωrr ) さらに、コントローラ35は、ステップ#17で上記の
速度差△ω1を図5に示す予め設定されたマップに適用
し、後輪3,4の最終トルク配分比Trl ,Trrの決定に
用いられる第1後輪配分比T1を求める。その場合に、
図5のマップは、速度差△ω1が正のとき(前輪1,2の
回転速度が後輪3,4の回転速度より大きいとき)に、そ
の値が大きいほど第1後輪配分比T1が大きくなるよう
に設定されているので、例えば前輪1,2に与えられる
駆動力が過大であってスリップを生じている場合に、そ
の程度に応じて後輪3,4に対するトルク配分比が増大
されて、前輪1,2のスリップが制御されることにな
る。
【0025】また、コントローラ35は、ステップ#1
8で、次式に従って左右の車輪の回転速度差△ω2を算
出する。 △ω2 =(ωfl +ωrl )−(ωfr +ωrr ) そして、ステップ#19で、この速度差△ω2の絶対値
を図6に示すマップに適用し、同じく最終トルク配分比
Trl ,Trr の決定に用いられる第2後輪配分比T2
求める。その場合に、図6のマップは、|△ω2|が大
きいほど第2後輪配分比T2が大きくなるように設定さ
れているので、例えば左右の車輪に対する路面の摩擦係
数が異なって左右の車輪間に速度差が生じた場合に、後
輪3,4に対するトルク配分比が増大されて、このよう
な路面での走行時における車両の走行安定性が確保され
ることになる。
【0026】さらに、トルクスプリットコントローラ3
5は、ステップ#20で、車速Vを図7に示すマップに
適用し、同じく最終トルク配分比Trl ,Trr の決定に
用いられる第3後輪配分比T3を求める。その場合に、
図7のマップは、高車速域で車速Vの上昇に従って第3
トルク配分比T3が大きくなるように設定されているか
ら、高車速時に後輪3,4に対するトルク配分比が増大
されて、直進安定性が増大することになる。そして、コ
ントローラ35は、次にステップ#21を実行し、上記
のようにして求めた第1〜第3後輪配分比T1,T2,T3
のうちの最も大きなものを選択し、これを左右の後輪
3,4に対するトータルのトルク配分比Tr として設定
すると共に、ステップ#22で、このトータル後輪配分
比Tr を2分し、これらを左右の後輪3,4に対する最
終のトルク配分比Trl 、Trr とする。
【0027】このようにして、直進時における左右の後
輪3,4に対するトルク配分比Trl,Trr が決定される
が、その場合に、図5〜図7のマップから明らかなよう
に、前,後輪間及び左右の車輪間に回転速度差がなく、
且つ車速が特に高くない場合等の通常の走行時には、上
記第1〜第3後輪配分比T1,T2,T3はいずれも0とな
るから、パワープラントPTからの駆動力が前輪1,2
にのみ伝達される2輪駆動状態となり、また、上記各配
分比T1,T2,T3の少なくとも1つが0でない場合に
は、後輪3,4にも駆動力が伝達される4輪駆動状態と
なる。そして、この直進時の4輪駆動状態では、左右の
後輪3,4に対するトルク配分比は常に均等に設定され
ることになる。また、上記各後輪配分比T1,T2,T3
いずれかが最大値(0.5)となる場合は、前,後輪に駆動
力が均等に分配され、その結果、パワープラントPTの
出力がすべての車輪に1/4づつ伝達されることにな
る。
【0028】一方、ハンドル40の舵角量θが所定値θ
0以上となる旋回時には、コントローラ35は上記ステ
ップ#14からステップ#23を実行し、旋回フラグF
c の値を判定する。このフラグFc は、直進時及び旋回
初期における舵角量θが増大している間は0、旋回中に
おいて舵角量θの増大が停止した安定旋回状態では1と
なる。従って、コントローラ35は、直進状態から旋回
状態への移行時には、Fc =0であるからステップ#2
3からステップ#24を実行し、舵角量変化率θ'の絶
対値が0より大きいか否かを判定すると共に、旋回開始
時にはこの値が0より大きいから、さらにステップ#2
5を実行して、舵角量変化率θ'の現時点までの最大値
max(θ')をその時点の変化率θ'とする(旋回開始時にお
いては、現時点の変化率θ'がその時点までの最大値 ma
x(θ')となる)。
【0029】そして、ステップ#26で、図8に示すマ
ップに基いて、上記変化率θ'に対する左右の後輪3,4
のベース配分比Trlb ,Trrb を設定する。その場合
に、左側へのハンドル操作時における舵角量θの増大時
にその変化率θ'が正の値となるものとすれば、図8に
示すように、その方向へのハンドル操作時には、右後輪
4のベース配分比Trrb が左後輪3のベース配分比Trl
b より大きな値に設定され、逆に右側へのハンドル操作
時には、左後輪3のベース配分比Trlb が右後輪4のベ
ース配分比Trrb より大きな値に設定され、且つこれら
のベース配分比Trlb ,Trrb は舵角量変化率θ'が大き
いほど大きな値に設定される。そして、ステップ#27
で、このようにして設定したベース配分比Trlb ,Trrb
を左右の後輪3,4の最終トルク配分比Trl ,Trr に
そのまま置換する。
【0030】これにより、図10に示すように、旋回初
期における舵角量の変化率θ'が増大している期間(イ)
は、その増大に応じて最終トルク配分比Trl ,Trr も
増大し、この配分比Trl 、Trr で左右の後輪3,4が
駆動されると共に、変化率θ'が最大値θ'max となった
後、0まで低下する間、つまり、舵角量θの増大が終了
して一定舵角θ1で安定するまでの期間(ロ)は、舵角量
変化率θ'の最大値θ'max に対応する最大配分比(Trl)
max ,(Trr)max に保持されることになる。このよう
に、舵角量一定の安定旋回状態に移行するまでの間は、
後輪3,4に大きな配分比が与えられ、しかも旋回方向
に対して外側の後輪に内側の後輪より大きな配分が与え
られることにより、当該車両の旋回初期における良好な
回頭性が得られることになる。
【0031】その後、舵角量変化率θ'が0となって安
定旋回状態に移行すると、ステップ#28で上記旋回フ
ラグFc が1にセットされるから、トルクスプリットコ
ントローラ35は、次にステップ#23からステップ#
29を実行し、タイマフラグFtm の値を判定する。こ
のフラグFtm は当初は0であり、従ってコントローラ
35は、次にステップ#30で、後輪3,4に対するト
ルク配分比を減少させるための定数C0を設定する。こ
の定数C0は、図9に示すマップに基いて設定され、安
定旋回中における一定舵角量θ1の絶対値が大きいほど
小さな値に設定される。
【0032】そして、ステップ#31で上記タイマフラ
グFtm を1にセットし、且つトルク配分比の低減値C
を0にクリアすると共に、ステップ#32でこの低減値
Cを用いて、次式に従ってトルク配分比の低減係数Kを
算出する。 K=(1000−C)/1000 ここで、数値(1000)は、制御サイクル周期との関係
で決定された一例としての値であって、この場合、上記
定数C0は1000以下の値となる。上記低減係数Kは
当初は1であるが、次回以降の制御サイクルでは、上記
ステップ#29からステップ#33が実行されて(Ftm
=1)、低減値Cに定数C0が各サイクル毎に順次加算さ
れるから次第に減少すると共に、ステップ#34で0以
下に減少したことが判定されたときに、ステップ#35
で0に固定される。そして、コントローラ35は、ステ
ップ#36で、上記のようにして1から0まで変化する
低減係数Kをベース配分比Trlb (=(Trl)max )、Trr
b (=(Trr)max )に掛けて、後輪3,4の最終トルク配
分比Trl ,Trr を算出する。
【0033】このようにして、最終トルク配分比Trl
、Trr は、図10に示すように、安定旋回期間(ハ)に
おいては、期間(ロ)における最大配分比(Trl)max ,(T
rr)maxから0まで次第に減少されることになり、当該車
両が4輪駆動状態から前輪1,2のみが駆動される2輪
駆動状態に徐々に移行して、旋回中期における安定した
走行性が得られることになる。そして、特に、上記定数
0は、一定舵角量θ1が大きいほど小さな値に設定され
るので、該舵角量θ1が大きい場合には、図10におい
て2点鎖線で示すように、後輪3,4のトルク配分比Tr
l ,Trr は舵角量θ1が小さい場合より長時間を掛けて
0まで減少されることになり、2輪駆動状態への移行が
常に円滑に行われることになる。
【0034】以上のようにして、直進時及び旋回時の左
右の後輪3,4の最終トルク配分比Trl ,Trr が決定さ
れると、コントローラ35は、図2のフローチャートの
ステップ#3で、リヤ側の左右の車輪クラッチ27,2
8の締結度が、上記の配分比Trl ,Trr が得られる締
結度となるように、図1に示す油圧制御弁33,34に
制御信号b ,c を出力すると共に、制御信号a によりカ
ットオフクラッチ26の断接制御を行う。尚、以上の説
明は、左右の後輪3,4の最終トルク配分比Trl ,Trr
を決定する場合についてのものであったが、左右の前輪
1,2の最終トルク配分を決定する際にも、基本的には
同様の手法が適用される。
【0035】次に、上記カットオフクラッチ26の断接
制御について説明する。この制御は、具体的には図11
および図12に示すサブルーチンによって行われる。こ
の制御においては、コントローラ35は、まずステップ
#41で故障フラグFtrb の値を判定する。このフラグ
Ftrb は、リヤ側の左右の車輪クラッチ27,28が共
に故障である場合に1となり、この場合、コントローラ
35は、ステップ#42でカットオフクラッチ26を切
断(OFF)する。これにより、リヤ側の車輪クラッチ2
7,28の故障時にはパワープラントPTからの駆動力
は後輪3,4側へは伝達されないことになり、前輪1,2
のみが駆動される2輪駆動状態となる。ちなみに、後輪
3,4のみが駆動される2輪駆動状態とする場合には、
上記カットオフクラッチ26を接続(ON)した状態で、
フロント側の車輪クラッチ7,8を切断(OFF)すれば
良い。
【0036】一方、車輪クラッチ27,28の少なくと
も一方が正常であって、故障フラグFtrb が0のとき
は、コントローラ35はステップ#43を実行して、走
行初期フラグFini の値を判定する。このフラグFini
は、エンジンの始動後、車両が例えば300m走行する
までの走行初期の間は0であり、走行開始時からの走行
距離が300mを超えた時点で1となる。従って、当初
は該フラグFini は0であって、コントローラ35は上
記ステップ#43からステップ#44を実行し、エンジ
ンの始動を待つと共に、始動すればさらにステップ#4
5を実行して、カットオフクラッチ26を接続(ON)す
る。そして、走行開始時からの走行距離が300mを超
えた時点で、ステップ#46からステップ#47を実行
し、上記走行初期フラグFini を1にセットする。従っ
て、走行開始時から300m走行するまでは、車輪クラ
ッチ27,28の状態に拘らず、カットオフクラッチ2
6は常に接続されることになる。
【0037】次に、走行初期段階が終了して上記フラグ
Fini が1になると、コントローラ35は、ステップ#
48を実行して、前記の車輪クラッチ締結度決定ルーチ
ンで決定した左右の後輪3,4のトルク配分比Trl ,Tr
r の値を判定し、これらが共に0のとき(2輪駆動時)
は、ステップ#49でカットオフクラッチ26を切断す
る。そのため、パワープラントPTからの駆動力はカッ
トオフクラッチ26より下流側へは伝達されないことに
なる。また、上記トルク配分比Trl ,Trr の少なくと
も一方が0でない場合は、コントローラ35は、ステッ
プ#50を実行してカットオフクラッチ26が切断され
ているか否かを判定し、切断されている場合は、ステッ
プ#51で制御信号aを出力してこれを接続し、また接
続されている場合はそのまま保持する。そして、ステッ
プ#52で、車輪クラッチ27,28を接続するように
制御信号b 、cを出力する。
【0038】このようにして、後輪3,4にも駆動力を
伝達するために車輪クラッチ27,28を接続する場合
に、まずカットオフクラッチ26が接続され、その後、
予め決定された左右の後輪3,4のトルク配分比Trl ,
Trr となるように車輪クラッチ27,28が接続され、
走行状態に応じた4輪駆動状態となる。そして、トルク
スプリットコントローラ35は、その後ステップ#53
を実行して、左右の車輪クラッチ27,28が共に故障
しているか否かを判定し、故障している場合は、ステッ
プ#54,#55でカットオフクラッチ26を切断し、
且つ故障フラグFtrb を1にセットし、以下、前記のス
テップ#41,#S42による故障時の制御を行う。
【0039】以上のようにして、走行状態に応じたカッ
トオフクラッチ26と車輪クラッチ27,28の制御が
行われることになるが、本実施例では、より好ましく
は、特に左右の車輪クラッチ27,28が共に切断され
ている場合(Trl ,Trr =0)は、カットオフクラッチ
26も切断されることになるので(ステップ#49)、後
輪3,4に駆動力を伝達しない場合に、図1に示す後輪
駆動軸21の下流部、傘歯車機構22、左右の車軸2
4,25の上流部、及び車輪クラッチ27,28の駆動側
部材等が不必要に駆動されることがなく、その分だけ駆
動損失が低減されることになる。また、車輪クラッチ2
7,28の少なくとも一方を接続する場合には、これに
先立ってカットオフクラッチ26が接続されるので(ス
テップ#51)、パワープラントPTからの駆動力が、
まず車輪クラッチ27,28まで、次いで後輪3,4まで
順次段階的に伝達されることになり、駆動力を一挙に車
輪まで伝達する場合のような大きなショックの発生が防
止されることになる。
【0040】更に、上記のように、後輪3,4に駆動力
を伝達しない状態ではカットオフクラッチ26を切断す
るようにした場合、この状態が長期にわたると、上記後
輪駆動軸21の下流部、傘歯車機構22、左右の車軸2
4,25の上流部、及び車輪クラッチ27,28の駆動側
部材等が長期間回転しないことになるので、これらを支
持するベアリングやオイルシール等が潤滑油切れによっ
て錆び付いたり劣化したりする恐れがあるが、この実施
例では、より好ましくは、上記のように走行開始時から
の走行距離が300mを超えるまでの走行初期において
は、車輪クラッチ27,28が切断されている場合にも
カットオフクラッチ26が接続されることにより(ステ
ップ#45)、この間は上記後輪駆動軸21の下流部な
いし車輪クラッチ27,28の駆動側部材等が回転し
て、ベアリングやオイルシール等に潤滑油が供給される
ことになり、上記のような不具合が防止される。なお、
車輪クラッチ27,28が切断されている状態でカット
オフクラッチ26を接続する時期は、上記の走行初期に
限らず、例えば所定車速以下の低速走行時等のカットオ
フクラッチ26を接続することによるショックが比較的
小さな他の時期に設定してもよい。
【0041】次に、上記自動車(4輪駆動車)の制動系お
よびタイヤ空気圧警報装置について図面を参照しつつ説
明する。図13に示すように、各車輪1〜4には、車輪
と一体的に回転するディスク61〜64と、制動圧の供
給を受けてこれらディスク61〜64の回転を制動する
キャリパ71〜74などからなるブレーキ装置81〜8
4が夫々設けられ、これらのブレーキ装置81〜84を
作動させるブレーキ制御システムが設けられている。
【0042】このブレーキ制御システムは、運転者によ
るブレーキペダル75の踏込力を増大させる倍力装置7
6と、この倍力装置76によって増大された踏込力に応
じた制動圧を発生させるマスターシリング77とを有す
る。このマスターシリング77からの前輪用制動圧供給
ライン78が2経路に分岐され、これら前輪用分岐制動
圧ライン79,80が左右の前輪1,2のブレーキ装置8
1,82のキャリパ71,72に夫々接続され、左前輪1
のブレーキ装置81に通じる一方の前輪用分岐制動圧ラ
イン79には、第1バルブユニット76が設けられ、右
前輪2のブレーキ装置82に通じる他方の前輪用分岐制
動圧ライン80にも、第1バルブユニット86と同様の
第2バルブユニット87が設けられている。
【0043】一方、マスターシリング77からの後輪用
制動圧供給ライン90には、第1、第2バルブユニット
86,87と同様の第3バルブユニット93が設けられ
ている。この後輪用制動圧供給ライン90は、第3バル
ブユニット93の下流側で2経路に分岐されて、これら
後輪用分岐制動圧ライン91,92が左右の後輪3,4の
ブレーキ装置83,84のキャリパ73,74に夫々接続
されている。このブレーキ制御システム、第1バルブユ
ニット86を介して左前輪1のブレーキ装置81の制動
圧を可変制御する第1チャンネルと、第2バルブユニッ
ト87を介して右前輪2のブレーキ装置82の制動圧を
可変制御する第2チャンネルと、第3バルブユニット9
3を介して左右の後輪3,4の両ブレーキ装置83,84
の制動圧を可変制御する第3チャンネルとが設けられ、
これら第1〜第3チャンネルが互いに独立して制御され
るように構成してある。
【0044】このブレーキ制御システムに設けられたA
BSコントロールユニット44は、第1〜第3チャンネ
ルを制御するものであり、ブレーキペダル75のON/
OFFを検出するブレーキスイッチ46からのブレーキ
信号と、ハンドル舵角を検出する舵角センサ41からの
舵角信号と、各車輪の回転速度を夫々検出する車輪速セ
ンサ51〜54からの車輪速信号とを受けて、これらの
信号に応じた制動圧制御信号を第1〜第3バルブユニッ
ト86,87,93に夫々出力することにより、左右の前
輪1,2および後輪3,4のスリップに対する制動制御
(ABS制御)を第1〜第3チャンネル毎に並行して行
う。
【0045】次に、上記自動車に備えられたタイヤ空気
圧警報装置について説明する。このタイヤ空気圧警報装
置は、前記4つの車輪速センサ51〜54と、タイヤ空
気圧判定の初期設定を指令する為の初期設定スイッチ5
5(これは、インストルメントパネルに付設されている)
と、インストルメントパネルに付設されたワーニングラ
ンプ56及びコントロールユニット50などで構成さ
れ、該コントロールユニット50には、車輪速センサ5
1〜54および初期設定スイッチ55等からの信号が供
給され、ワーニングランプ56はコントロールユニット
50で駆動制御される。
【0046】前記各車輪速センサ51〜54は、ディス
ク61〜64に形成された又はディスク61〜64に隣
接させて設けられた図示外の検出用ディスクに形成され
た48個の検出部を電磁ピックアップで検出する構成の
ものである。前記コントロールユニット50は、具体的
には図示しなかったが、車輪速センサ51〜54からの
検出信号を濾波するフィルタ及びフィルタで濾波された
検出信号を波形整形する回路と、アナログの各種検出信
号をA/D変換するAD変換器と、入力出力インターフ
ェイスと、CPUとROMとRAMとからなるマイクロ
コンピュータ等からなり、上記ROMには、後述のタイ
ヤ空気圧判定制御の制御プログラムやマップが予め入力
格納してあり、上記RAMには、その制御に必要な種々
のメモリ類(バッファ、メモリ、フラグ、カウンタ、ソ
フトタイマ等)が設けられている。尚、上記フィルタ
は、時定数可変のものであり、高速走行時には精度低下
防止の為にその時定数が大きく設定され、低速走行時に
は精度が得られるのでその時定数が小さく設定される。
【0047】以下、前記コントロールユニット50で実
行されるタイヤ空気圧判定制御について、基本的には、
例えば、後輪3,4のみにパワープラントPT(図1参
照)からの駆動力が伝達され前輪1,2が従動輪となる2
輪駆動状態(後輪駆動状態)とされた場合を例にとって説
明するが、以下のタイヤ空気圧判定制御は、基本的に
は、前輪駆動状態あるいは4輪駆動状態においても適用
することができるものである。尚、上記後輪駆動状態
は、前述のように、カットオフクラッチ26を接続(O
N)した状態で、フロント側の車輪クラッチ7,8を切断
(OFF)することによって得られる。上記タイヤ空気圧
判定制御について、図14以降のフローチャートを参照
しながら説明する。尚、図14以降のフローチャートに
おいて、符号Si(i=1,2,・・・)は、各ステップを示
すものである。
【0048】図14と図15は、前記車輪速センサ51
〜54からのパルス状の検出信号を読み込んでメモリに
格納していく検出信号読込み処理を示すものである。こ
の検出信号読込み処理は、基本的に自動車の走行中には
常時実行されるが、この処理の概要について説明してお
くと、各車輪速センサ51〜54は、車輪1回転当り4
8個のパルス信号P1〜P4(車輪速パルス)を出力する
ことから、パルス信号P1〜P4の信号数をカウンタI
1〜I4で夫々カウントし、パルス信号P1〜P4が4
8個出力される時間(つまり、車輪が1回転する時間)
を、タイマTC1〜TC4で計時し、その計時時間を車
輪速データとしてメモリに格納していく。但し、パルス
信号P1〜P4のカウント開始後、所定時間(図23に
示す時間ts)内に4つのパルス信号P1〜P4が入力さ
れないときには、路面状態が一定でなく、車輪の回転状
態が不安定であるので、カウントと計時をリセットす
る。同様に、パルス信号P1〜P4のカウント終了時、
所定時間(図23に示す時間te)内に4つのパルス信号P
1〜P4が入力されないときには、路面状態が一定でな
く車輪の回転状態が不安定であるのでカウントと計時を
リセットする。更に、以上のカウントと計時は、自動車
の定常走行状態において実行し、車輪速データの信頼性
を高める為に、非定常走行状態に移行する前の所定時間
における車輪速データを消去し、且つ、非定常走行状態
解消後の所定時間における車輪速データを収集しないよ
うにする。
【0049】次に、前記検出信号読込み処理について図
14と図15のフローチャートに基いて説明する。制御
の開始後、4つの車輪1〜4に対応するタイマTC1と
TC4がリセットされ、且つ、フラグF1〜F4がリセ
ットされ(S1)、次に、車輪速センサ51〜54からの
パルス信号P1〜P4が読み込まれ(S2)、次に、S2
8とS32で夫々セットされるフラグFg3,Fg4が共
に0か否か判定され(S3)、その判定がYesのときに
は、S4へ移行し、また、その判定がNoのときには、
S23へ移行する。
【0050】S4においては、パルス信号Pi(但し、i
=1〜4)が入力されたか否か、つまり、パルス信号P
1〜P4の何れかが入力されたか否か判定され、Yesの
ときには、その入力されたパルス信号Piをカウントす
るカウンタIi(但し、i=1〜4)がインクリメントされ
る(S5)。一方、S4の判定がNoのときには、S12
へ移行する。S6では、前記カウンタIiに対応するフ
ラグFi(但し、i=1〜4)が0か否か(カウント開始前
か否か)判定し、フラグFiが0のときには、S7におい
て、カウンタIiに対応するタイマTCiがリセット後ス
タートされ、次に、フラグFiが1にセットされる(S
8)。尚、S6の判定でNoのときには、S12へ移行す
る。
【0051】S9においては、フラグFg1が0か否か
判定し、最初フラグFg1=0のときには、S10にお
いてタイマTM1がリセット後スタートされ、次に、フ
ラグFg1が1にセットされ(S11)、その後S12へ
移行する。こうして、何れかのパルス信号Piの入力か
らタイマTM1が計時を開始し、各パルス信号P1〜P
4が入力されると、それに対応するフラグF1〜F4が
セットされ、そのフラグに対応するタイマTC1〜TC
4がスタートし、そのフラグに対応するカウンタI1〜
I4によるカウントが実行される。
【0052】次に、S12では、タイマTM1で計時す
る極く短い所定時間(図11のts)内に4つのパルス信号
P1〜P4が入力されたか否か、フラグF1〜F4に基
いて判定され、その判定結果がYesのときには、S14
においてカウンタIiのカウント値Ii=48パルスか否
か判定し、NoのときにはS2へ移行するが、Ii=48
パルスのときには、S15において、カウンタIiに対
応するタイマTCiの計時が停止される。尚、S12の
判定結果がNoのときには、S13においてカウンタK
がインクリメントされてからS1へリターンする。
【0053】こうして、車輪1〜4の回転状態が不安定
で、パルス信号P1〜P4の48個毎のカウント開始後
所定時間内に4つのパルス信号P1〜P4が入力されな
いときには、パルス信号P1〜P4のカウントをリセッ
トし、S1以降が繰り返えし実行されるが、所定時間内
に4つのパルス信号P1〜P4が入力された場合には、
48個のパルス信号P1〜P4をカウントしたカウンタ
Iiに対応するタイマTC1〜TC4から順に、タイマ
TC1〜TC4が停止する。こうして、4つの車輪1〜
4の車輪1回転に要する時間T1〜T4が検出される。
【0054】次に、何れかのタイマTCi(但し、i=1
〜4)が停止すると、S16において、フラグFg2が0
か否か判定し、その判定結果がYesのときには、S17
において、タイマTM2がリセット後スタートされ、次
にフラグFg2が1にセットされ(S18)、つまり、何
れかのパルス信号P1〜P4が48個入力されると、タ
イマTM2がリセット後スタートされる。次に、S19
において、タイマTM2で計時する極く短い所定時間
(図11のte)内に、カウンタI1〜I4が全て48パル
ス以上になったか否か判定され、その判定結果がYesの
ときには、S20において、4つの車輪1〜4の1回転
時間T1〜T4のデータ(以下、車輪速データ(T1〜T
4)という)がメモリに格納され、次に、カウンタJがイ
ンクリメントされ(S21)、その後、S23へ移行す
る。
【0055】但し、S19の判定結果がNoのときに
は、S22においてカウンタLがインクリメントされて
S1へリターンしてS1以降が繰り返えし実行される。
こうして、車輪1〜4の回転状態が不安定で、パルス信
号P1〜P4の48個毎(各検出サイクル毎)のカウント
終了時に所定時間内に4つのパルス信号P1〜P4が入
力されないときには、車輪速データ(T1〜T4)がメモ
リに格納されず、S1以降が繰り返し実行される。
【0056】次に、S21の次に、図15のS23へ移
行し、S23において車両の走行状態が旋回状態か否か
判定し、また、S24において加速減速状態か否か判定
し、また、S25において低μ路(低摩擦状態路面)を走
行中か否か判定し、また、S25の次のS29において
悪路走行中か否か判定する。尚、S23〜S25及びS
29は、定常走行状態か否かを判定するルーチンであ
り、これらの判定ルーチンについては、図18〜図21
に基いて後述する。
【0057】旋回状態のとき、又は、加速減速状態のと
き、又は、低μ路走行状態のときには、S26へ移行
し、フラグFg3が0か否か判定され、フラグFg3=0
のときには、S27において、メモリに格納してある車
輪速データ(T1〜T4)のうちの最新の10回転分の車
輪速データT1〜T4がメモリから消去され、それに伴
って、カウンタJのカウント値Jが(J−10)に変更さ
れ、次に、S28において、フラグFg3が1にセット
されてからS1へリターンし、また、S26の判定結果
がNoのときには、そのままS1へリターンする(図24
参照)。そして、一旦フラグFg3がセットされると、次
回のS3の判定ではNoと判定されるため、S3からS
23へ移行し、旋回状態又は加速減速状態又は低μ路走
行状態が継続する限り、S26を経てS1へリターンす
る。従って、この間、車輪速データ(T1〜T4)がメモ
リに蓄積されることはない(図24参照)。
【0058】S29の判定により悪路走行中のときに
は、S30において、フラグFg4が0か否か判定さ
れ、フラグFg4=0のときには、S31において、メ
モリに格納してある車輪速データ(T1〜T4)のうちの
最新の15回転分の車輪速データ(T1〜T4)がメモリ
から消去され、それに伴って、カウンタJのカウント値
Jが(J−15)に変更され、次に、S32において、フ
ラグFg4が1にセットされてからS1へリターンし、
S30の判定がNoのときには、そのままS1へリター
ンする(図25参照)。
【0059】そして、一旦フラグFg4がセットされる
と、次回のS3の判定ではNoと判定されるため、S3
からS23へ移行し、悪路走行状態が継続する限り、S
30を経てS1へリターンする。従って、悪路走行状態
が継続する間は、車輪速データ(T1〜T4)がメモリに
蓄積されることはない(図25参照)。こうして、定常走
行状態において得られた車輪速データ(T1〜T4)であ
っても、非定常走行状態へ移行直前の所定数の車輪速デ
ータ(T1〜T4)が消去され、これにより、車輪速デー
タ(T1〜T4)の信頼性を高めることができる。
【0060】次に、S33〜S39は、非定常走行状態
が解消したとき、その解消時点から所定時間の間は、車
輪速データ(T1〜T4)の蓄積を禁止する為のルーチン
であり、非定常走行状態から定常走行状態に切り換わっ
たときには、S29の判定結果がNoとなるため、S3
3へ移行する。S33においては、フラグFg3=0
で、且つ、フラグFg4=0か否か判定され、S26や
S30へ移行しなかったとき(つまり、非定常走行状態
に切り換わらなかったとき)、又は、S38においてフ
ラグFg3及びフラグFg4がリセットされたとき以降に
は、S33の判定結果がYesとなるため、S33からS
1へリターンする。
【0061】一方、一旦非定常走行状態に移行し、S2
8又はS32において、フラグFg3又はフラグFg4が
1にセットされ、その後定常走行状態に切り換わったと
きには、S33の判定結果がNoとなってS34へ移行
し、S34においてフラグFg5が0か否か判定され、
その判定がYesのときには、S35においてタイマTM
3がリセット後スタートされ、次にフラグFg5が1に
セットされ(S36)、その後S37へ移行する。また、
S34の判定結果がNoのときにはS37へ移行する。
【0062】S37では、タイマTM3の計時時間TM
3が短い所定時間C(図24、図25参照)以上か否か判
定し、計時時間TM3が所定時間C未満のときには、S
37からS1へリターンするが、次回のS3における判
定はNoとなるため、S3からS23へ移行し、S23
〜S25、S29、S33〜S37を繰り返してリター
ンするので、所定時間Cの経過前には、車輪速データ
(T1〜T4)がメモリに蓄積されることはない(図2
4、図25参照)。そして、所定時間Cが経過すると、
S37の判定がYesとなって、S38へ移行し、フラグ
Fg3,Fg4が0にリセットされ(S38)、次にフラグ
Fg5が0にリセットされてから、S1へリターンす
る。次回、S3の判定がYesとなるため、S3からS4
へ移行することになる。こうして、非定常走行状態から
定常走行状態へ移行後、所定時間Cが経過するまでは、
車輪速データ(T1〜T4)が蓄積されることがないか
ら、車輪速データ(T1〜T4)の信頼性を高めることが
できる。
【0063】次に、前記S23における旋回状態を判定
する旋回判定処理について、図18により説明する。
尚、この処理は、所定短時間毎の割り込み処理にて実行
される。最初に、メモリから所定数の車輪速データ(T
1〜T4)が読み込まれ(S90)、次に、前輪1,2の車
輪速データ(T1,T2)の各平均値に基いて前輪車輪速
Vw1,Vw2が演算され、また、後輪3,4の車輪速デー
タ(T3,T4)の各平均値に基いて後輪車輪速Vw3,Vw
4が演算される(S91)。次に、S92において、前輪
の車輪速差(Vw1−Vw2)の絶対値△Vw、前輪の車輪
速差△Vwf=(Vw1−Vw2)、後輪の車輪速差△Vwr=
(Vw3−Vw4)が演算される。
【0064】次に、前輪の車輪速差の絶対値△Vwが
0.5Km/h以下か否か判定され(S93)、その判定結
果がYesのときには、S96において非旋回状態と判定
され、フラグFtが0に設定され、その後終了する。一
方、△Vwが0.5Km/h以下でないときには、S94
において、△Vwfと△Vwrとが、同符号か否か判定する
為に、△Vwf×△Vwr>0か否か判定され、Yesのとき
には、S95において、旋回状態であると判定され、フ
ラグFtが1にセットされ、その後終了する。また、S
94の判定結果がNoのときには、S96において非旋
回状態と判定され、フラグFtが0に設定され、その後
終了する。尚、S23の判定は、フラグFtに基いて実
行される。
【0065】次に、前記S24において加減速状態を判
定する加減速判定処理について、図19を参照しつつ説
明する。尚、この処理は、所定短時間毎の割り込み処理
にて実行される。最初に、メモリから所定数の前輪1,
2の車輪速データ(T1,T2)が読み込まれ(S10
0)、次に前輪1,2の車輪速データ(T1,T2)の各平
均値に基いて、前輪車輪速Vw1,Vw2が演算され、ま
た、前輪車輪速Vw1,Vw2を時間微分した前輪車輪加
速度AVw1,AVw2が演算され(S101)、次に、前
輪車輪加速度AVw1,AVw2の絶対値がどちらも所定
値a以上か否か判定され(S102)、その判定結果がYe
sのときには、S103において、加減速状態と判定さ
れ、フラグFadが1にセットされて終了し、また、S1
02の判定結果がNoのときには、S104において、
非加減速状態と判定され、フラグFadが0に設定されて
終了する。尚、S24の判定は、フラグFadに基いて実
行される。
【0066】次に、前記S25において低μ路走行状態
を判定する低μ路判定処理について、図20を参照しつ
つ説明する。尚、この処理は、所定短時間毎の割り込み
処理にて実行される。最初に、メモリから所定数の車輪
速データ(T1〜T4)が読み込まれ(S110)、次に、
S111において、前輪1,2の車輪速データ(T1,T
2)の各平均値に基いて、前輪車輪速Vw1,Vw2が演算
され、また、後輪3,4の車輪速データ(T3,T4)の各
平均値に基いて、後輪車輪速Vw3,Vw4が演算され、
車速V(車体速)が前輪車輪速Vw1,Vw2の平均値とし
て演算される。次に、S112において、後輪3のスリ
ップ率SL3=(Vw3−V)/Vと、後輪4のスリップ
率SL4=(Vw4−V)/Vとが演算される。
【0067】次に、S113において、スリップ率SL
3,SL4がどちらも所定値SL0以上か否か判定さ
れ、Yesのときには、低μ路走行と判定され、フラグF
μが1にセットされて終了し、また、S113の判定結
果がNoのときには、高μ路走行と判定され、フラグF
μが0に設定されて終了する。尚、S25の判定は、フ
ラグFμに基いて実行される。
【0068】次に、S29において悪路走行状態か否か
判定する悪路判定処理について、図21を参照しつつ説
明する。尚、この処理は、所定短時間毎の割り込み処理
にて実行される。最初に、S120,S121におい
て、前記S100,S111と同様に、前輪車輪加速度
AVw1,AVw2が演算され、次に、加減速フラグFad
が0か否か(つまり、加減速状態でないか否か)判定され
(S122)、加減速状態のときにはS120へリターン
し、また、加減速状態でないときには、S123におい
て、フラグFaが1か否か判定される。フラグFaが0の
ときには、S124において、カウンタM,Nが0にセ
ットされ、且つ、タイマTcがリセット後スタートさ
れ、次に、フラグFaが1にセットされ(S125)、S
126へ移行する。尚、S123の判定でYesのときに
は、S123からS126へ移行する。
【0069】S126においては、前輪1の車輪加速度
AVw1の絶対値が所定値Ao以上か否か判定され、その
判定がYesのときには、S127へ移行して、カウンタ
Mがインクリメントされる。S128においては、前輪
2の車輪加速度AVw2の絶対値が所定値Ao以上か否か
判定され、その判定がYesのときには、S129へ移行
して、カウンタNがインクリメントされる。次に、S1
30では、タイマTcの計時時間Tcが所定時間T0以上
になったか否か判定され、所定時間T0経過するまで
は、S130からS120へリターンするのを繰り返
し、計時時間Tcが所定時間T0以上になると、S13
0からS131へ移行し、S131においてフラグFa
が0にリセットされ、次に、S132において、カウン
タMのカウント値Mが所定値m以下で、且つ、カウンタ
Nのカウント値Nが所定値m以下か否か判定される。
【0070】S132の判定がYesのときには、S13
4において良路と判定され、フラグFakが0に設定され
て終了し、また、S132の判定がNoのときには、S
133において悪路と判定され、フラグFakが1に設定
されて終了する。つまり、悪路走行時には、従動輪1,
2の車輪速が変動しやすくなることに鑑み、左右の各前
輪1,2の車輪加速度や減速度が所定時間T0内に、異
常に大きくなる回数をカウントして、そのカウント値
M,Nから悪路走行状態を判定するようにしてある。
尚、前記S29の判定は、フラグFakに基いて実行され
る。
【0071】次に、前記図14,図15に示した検出信
号読込み処理によって収集した一群の車輪速データ(T
1〜T4)を用いて、タイヤの空気圧の低下を判定し、
空気圧の低下に対して警報を出力するタイヤ空気圧判定
処理について、図16,図17を参照しつつ説明する。
尚、この処理は、車輪速データ読込み処理に対する割り
込み処理、又は並行的な処理にて実行されるもので、基
本的に自動車の走行中には、常時実行される。
【0072】最初に、メモリに格納してある各種データ
(以下の制御に必要な車輪速データ、カウンタのデータ
等)が読み込まれ(S50)、次に、カウンタJのカウン
ト値Jが400以上か否か判定され(S51)、その判定
がNoのときにはリターンし、J≧400になると、S
52に移行して、フラグFg6が0か否か判定され、フ
ラグFg6=0のときには、S53において、前記カウ
ンタK,Lのカウント値K,Lの合計値(K+L)≦80か
否か判定される。
【0073】前記カウント値Kは、パルス信号P1〜P
4のカウント開始を中止した回数を示し、カウント値L
は、パルス信号P1〜P4のカウント終了時に、車輪速
データ(T1〜T4)の格納を中止した回数を示し、合計
値(K+L)は、車輪1〜4の回転状態の不安定状態を示
すパラメータ、つまり、車輪速データ(T1〜T4)の信
頼性を示すパラメータである(図26の×印参照)。例え
ば、路面状態が良好で、車輪1〜4の回転状態が安定し
ていて、順調にデータが蓄積された場合には、合計値
(K+L)が小さな値となり、また、悪路程ではなくとも
路面状態が良好でない場合には、合計値(K+L)が大き
な値となる。
【0074】S53の判定がYesのときには、タイヤ空
気圧判定に用いる車輪速データ(T1〜T4)のデータ数
の設定値J0が400に設定される(S54)。この場
合、4輪に関する車輪400回転分の車輪速データ(T
1〜T4)を用いて、タイヤ空気圧判定を行うことにな
る。S53の判定結果がNoのときには、S55におい
て、合計値(K+L)が120以下か否か判定され、その
判定がYesのときには、設定値J0が500に設定され
(S56)、次にフラグFg6を1にセット後リターンす
る。S55の判定結果がNoのときには、S58におい
て、合計値(K+L)が160以下か否か判定され、その
判定でYesのときには、設定値J0が600に設定され
(S59)、次にフラグFg6を1にセット後リターンす
る。
【0075】S58の判定結果がNoのときには、蓄積
された400回転分の車輪速データ(T1〜T4)の信頼
性が低過ぎることから、その車輪速データ(T1〜T4)
の適用を禁止するため、S68へ移行し、カウンタJ,
K,Lが0にリセットされ、且つ、設定値J0が400
に設定され、J=0のときからメモリに蓄積された車輪
速データ(T1〜T4)が消去され(S68)、その後リタ
ーンする。合計値(K+L)が80以下の場合には、S6
1において、カウンタJのカウント値Jが設定値J0以
上か否か判定されるが、この場合、車輪400回転分の
車輪速データ(T1〜T4)が既に蓄積済みであるため、
その判定がYesとなってS62へ移行する。S62では
フラグFg6が0にセットされる。尚、合計値(K+L)
が80以下の場合には、フラグFg6は0のままであ
る。
【0076】一方、S57からリターンした場合には、
S50〜S52、S61を繰り返えし、車輪100回転
分に相当する100組の車輪速データ(T1〜T4)が追
加されると、S61の判定がYesとなり、S62へ移行
してフラグFg6が0にリセットされる。また、S60
からリターンした場合には、S50〜S52、S61を
繰り返えし、車輪200回転分に相当する200組の車
輪速データ(T1〜T4)が追加されると、S61の判定
結果がYesとなり、S62へ移行してフラグFg6が0
にリセットされる。
【0077】こうして、タイヤ空気圧判定に用いる一群
の車輪速データ(T1〜T4)が準備されると、S63に
おいて、車輪400回転分又は500回転分又は600
回転分の車輪速データ(T1〜T4)の合計時間Tt1〜
Tt4と、1回転当りの平均時間Tm1〜Tm4が演算さ
れる。前記のように、種々の条件下に、車輪速データ
(T1〜T4)を収集しても、例えば、自動車が上り坂を
走行する場合には、駆動輪のスリップ量が大きくなっ
て、タイヤ空気圧判定の信頼性が低下するし、また、低
μ路程ではないが、路面に間欠的に存在するような水や
砂利や雪や凹凸の影響で駆動輪のスリップが発生するこ
ともあるし、また、スプリット路面においても片側の駆
動輪がスリップするし、また、乗員や積荷の影響により
車輪速データ(T1〜T4)にバラツキが発生することが
あることに鑑み、S64〜S67において、前記平均1
回転時間Tm1〜Tm4をタイヤ空気圧判定に適用可能か
否か判定する。つまり、S64〜S67は、車輪速デー
タ適否判定ルーチンである。
【0078】S64において、左側の前後輪の車輪速の
変化が同方向であり、且つ右側の前後輪の車輪速の変化
が同方向であるか否か判定するため、△Tm1×△Tm3
≧0で、且つ、△Tm2×△Tm4≧0か否か判定する。
但し、図27に示すように、△Tmi(但し、i=1〜4)
は、前回値に対する今回値の変化量である。S64の判
定結果がNoのときには、4つの車輪速の変化が異状で
あるので、S68へ移行し、S68において今回の平均
1回転時間Tm1〜Tm4をタイヤ空気圧判定に適用する
のを禁止するため、カウンタJ,K,Lが0にリセットさ
れ、設定値J0が400に設定され、J=0のときから
メモリに蓄積された車輪速データ(T1〜T4)が消去さ
れ、その後リターンする。
【0079】S64の判定結果がYesのときには、S6
5において、△Tmi(但し、i=1〜4)の絶対値が所定
値α以下か否か判定され、△Tm1〜Tm4のうちの1つ
又は複数の絶対値が所定値αよりも大きい場合には、車
輪速の変化が異状であるので、S68へ移行する。S6
5の判定がYesのときには、S66において、左側駆動
輪(後輪3)のスリップ率SL=(Tm1−Tm3)/Tm1
と、右側駆動輪(後輪4)のスリップ率SR=(Tm2−T
m4)/Tm2とが演算される。次に、S67において、
スリップ率SL,SRが0以上で、且つ、所定値β以下
か否か判定され、その判定結果がNoのときには、上り
坂等の影響により、駆動輪のスリップ量が過大であると
して、S68へ移行する。
【0080】S67の判定結果がYesのときには、今回
求めた平均1回転時間Tm1〜Tm4をタイヤ空気圧判定
に適用可能であるとして、図17のS69へ移行する。
S69においては、タイヤ空気圧判定の判定変数Dが、
図示の演算式にて演算され、その判定変数Dが今回の判
定変数D(i)としてメモリに格納される。次に、S70
において、前回の判定変数D(i−1)と今回の判定変数
D(i)との差の絶対値が所定値γ以下か否か判定され、
その判定結果がNoのときには、今回の判定変数D(i)が
前回の判定変数D(i−1)に比較して異状に変化してお
り、その判定変数D(i)を用いて直ちにタイヤ空気圧低
下と判定することは好ましくないので、S71におい
て、今回の判定変数D(i)によるタイヤ空気圧判定が禁
止され、次に、S72において、カウンタJ,K,Lが0
にリセットされ、設定値J0が400に設定され、J=
0のときからメモリに蓄積された車輪速データ(T1〜
T4)が消去され、その後リターンする(図28参照)。
【0081】次に、S70の判定がYesのときには、前
記データ数の設定値J0に応じた判定しきい値ε×△を
設定する為に、S73とS74により、設定値J0=4
00のときには、ε=1.0に設定され、また、S75
とS76により、設定値J0=500のときには、ε=
4/3に設定され、また、S77とS78により、設定
値J0=600のときには、ε=5/3に設定され、そ
の後S79へ移行する。S79においては、今回の判定
変数Dと判定変数初期値D0との差の絶対値が判定しき
い値ε×△(但し、△は所定の定数であり、0.02〜
0.05の範囲の値である)以上か否か判定される。
尚、判定変数初期値D0の演算処理のルーチンについて
は、図22に基いて後述する。S79の判定がNoのと
きには、4輪のタイヤ空気圧が正常と判定され、その後
S83へ移行し、S83については、S72と同様にカ
ウンタJ,K,Lが0にリセットされ、設定値J0が40
0に設定され、メモリの車輪速データ(T1〜T4)が消
去され、その後リターンする。
【0082】次に、S79の判定がYesのときには、S
81において、4輪の何れかのタイヤ空気圧が異状(低
下状態)であると判定され、次に、ワーニングランプ5
6が所定時間点灯され、その後S83へ移行する。ここ
で、図28に示すように、タイヤ空気圧が正常の場合に
は、(D−D0)の絶対値が判定しきい値ε×△以下とな
る。即ち、タイヤ空気圧が低下すると、空気圧が低下し
た車輪の車輪速が大きくなる。例えば、前輪2又は後輪
3の空気圧が低下した場合には、判定変数Dが初期値D
0に比較して大きくなり、また、前輪1又は後輪4の空
気圧が低下した場合には、判定変数Dが初期値D0に比
較して小さくなることから、(D−D0)の絶対値と判定
しきい値ε×△とを比較することで、タイヤ空気圧の低
下を判定することができる。
【0083】そして、タイヤ空気圧低下時、図28の黒
丸で示すように、判定変数Dが大きく変動するが、車輪
速データのバラツキや、走行状態のバラツキによって
も、一時的に、判定変数Dが大きく変化することが有り
得る。そこで、空気圧判定の信頼性を高める為に、S7
0を設け、判定変数Dが前回値から大きく変化した場合
には、空気圧判定を禁止するようにした。但し、実際に
何れかのタイヤの空気圧が低下した場合には、今回の判
定変数Dと次回の判定変数Dとの差は大きくならず、S
70の判定がYesとなり、S79において、確実に空気
圧低下を判定することができる。
【0084】以上説明したように、このタイヤ空気圧判
定制御によれば、各検出サイクル毎、つまり、車輪1回
転毎に、パルス信号のカウント開始段階と、カウント終
了段階において、車輪速データの信頼性を向上でき、ま
た、非定常走行状態の期間とその前後の期間における車
輪速データの蓄積を禁止することで、車輪速データの信
頼性を向上できる。更に、S54、S56、S59のス
テップにより、車輪速データ(T1〜T4)の信頼性が低
下するのに応じて設定値J0を大きくして、1回の空気
圧判定に用いる車輪速データの数を多くするので、車輪
速データ(T1〜T4)の信頼性の低下補償することがで
きる。
【0085】更に、S64〜S67のステップを介し
て、路面状態や走行状態のバラツキに起因してタイヤ空
気圧判定の信頼性や精度が低下するのを確実に防止でき
る。更に、S70により、判定変数Dが前回値から大き
く変化したときには、その判定変数Dによる空気圧判定
を禁止するので、タイヤ空気圧の誤判定を防止し、空気
圧判定の信頼性や精度を向上できる。更に、S73〜S
78のステップにより、車輪速データ(T1〜T4)の信
頼性が低下するのに応じて、判定しきい値ε×△を大き
く設定するので、タイヤ空気圧の誤判定を防止し、空気
圧判定の信頼性や精度を向上できる。
【0086】次に、前記判定変数初期値D0を求める初
期値設定処理について、図22を参照しつつ説明する。
この初期値設定処理は、自動車を新たに使用開始した場
合や、4輪のうちの何れかのタイヤを交換した場合な
ど、4輪のタイヤの状態が変更された場合、或いは、タ
イヤの摩耗等が進行して4輪のタイヤの状態が変化した
場合等に、初期設定スイッチ55が操作されると実行さ
れる。最初に、S140において、初期設定スイッチ5
5が操作されたか否か判定され、Noのときには、リタ
ーンし、初期設定スイッチ55が操作されると、S14
1において、図14,図15,図16のS1〜S68と同
じ処理が実行される。
【0087】次に、S142において、今回の判定変数
D(i)が、図示の演算式にて演算されてメモリに格納さ
れ、次に、S143において判定変数D(i)の絶対値が
所定値C0以下か否か判定され、その判定結果がNoの
ときには、路面状態や走行状態の影響により、不適切な
判定変数D(i)となった可能性が高いため、S149へ
移行して、その判定変数D(i)がメモリから消去され、
次に、S150においてカウンタJ,K,Lが0にリセッ
トされ、且つ、設定値J0が400に設定され、その後
リターンする。
【0088】一方、S143の判定がYesのときには、
S144において、前回の判定変数D(i−1)と今回の
判定変数D(i)の差の絶対値が所定値γ以下か否か判定
され、その判定結果がNoのときには、前回の判定変数
D(i−1)に対する今回の判定変数D(i)の変動量が大き
く信頼性に欠けるので、S149へ移行する。S144
の判定がYesのときには、カウンタKaがインクリメン
トされる。尚、カウンタKaは、制御開始時に0に初期
設定されるものとする。
【0089】次に、S146において、カウンタKaの
カウント値Kaが10以上か否か判定され、その判定結
果がNoのときには、S141(つまり、図14のS1)
へリターンして以上の処理が繰り返えされ、10個の判
定変数Dがメモリに蓄積されて、S146の判定がYes
になると、S147において、判定変数初期値D0が、
前記10個の判定変数D(i−9)、D(i−8)、・・・・
D(i)の平均値として演算されて、その判定変数初期値
D0がメモリに格納され、次に、カウンタKaが0にリ
セットされ、この初期設定処理が終了する。以上のよう
にして、判定変数初期値D0を、精選された10個の判
定変数Dの平均値から演算するため、判定変数初期値D
0の信頼性を高めることができる。
【0090】次に、本実施例に係るタイヤ空気圧警報装
置の一部を変更した種々の変形例について説明する。最
初に、図16のS64〜S67のステップに代わりに適
用可能な6例の車輪速データ適否判定ルーチンについ
て、図29〜図35に基いて説明する。 1)第1変形例(図29,図30参照) 図29,図30に示すように、S160〜S162は、
図16のS64〜S66と同様のステップであるので説
明を省略する。S163において、スリップ率SL,S
Rのなまし値SLf,SRfが、図示の演算式により演算
される。
【0091】次に、S164において、(SL−SLf)
の絶対値が所定値δ(尚、δは、約0.001の値であ
る)以下で、且つ、(SR−SRf)の絶対値が所定値δ以
下か否か判定され、その判定結果がNoのときには、S
165へ移行し、また、S164の判定結果がYesのと
きには、図17のS69へ移行する。尚、S165は、
図16のS68と同様のステップであるので説明を省略
する。つまり、図30に示すように、スリップ率SL,
SRのなまし値SLf,SRfに比較して、スリップ率S
L,SRがδ以上大きく変動した場合にのみ、その一群
(車輪400又は500又は600回転分)の車輪速デー
タ(T1〜T4)が不採用とされ、そのデータに基づくタ
イヤ空気圧判定が禁止され、その一群の車輪速データ
(T1〜T4)が消去される。
【0092】2)第2変形例(図31参照) 図31に示すように、S170において、4輪の平均1
回転時間Tmが、図示の演算式にて演算され、次に、S
171において、左右の駆動輪3,4のスリップ率SL,
SRが、図示の演算式にて演算され、次に、S172に
おいて、前回のスリップ率SL(i−1)に対する今回の
スリップ率SL(i)の変化方向と、前回のスリップ率S
R(i−1)に対する今回のスリップ率SR(i)の変化方向
とが同方向に変化しているか否かについて、図示の不等
式により判定され、その判定結果がNoのときには、前
記S68と同様のS174に移行する。
【0093】S172の判定結果がYesのときには、S
173において、前回のスリップ率SL(i−1)に対す
る今回のスリップ率SL(i)の変化率が所定値λ(尚、λ
は、約0.003である)以下で、且つ、前回のスリッ
プ率SR(i−1)に対する今回のスリップ率SR(i)の変
化率が所定値λ以下か否かについて、図示の2つの不等
式により判定され、その判定結果がNoのときには、駆
動輪のスリップ量が大きいためS174へ移行し、ま
た、その判定結果がYesのときには、図17のS69へ
移行する。
【0094】3)第3変形例(図32参照) 図32に示すように、S180において、前後輪の車輪
速比FRrが、次の演算式にて演算される。 FRr=(Tm1+Tm2)/(Tm3+Tm4) 次に、演算181において、前記車輪速比FRrのなま
し値FRrfが、次の演算式にて演算される。 FRrf=(7×FRrf+FRr)/8 次に、S182において、(FRr−FRrf)の絶対値が
所定値C1以下か否か判定され、その判定結果がNoの
ときには、駆動輪のスリップ量が大きいため、S68と
同様のS183に移行し、また、その判定結果がYesの
ときには、図5のS69へ移行する。
【0095】4)第4変形例(図33参照) 図33に示すように、S190において、前輪1,2の
1回転時間差△Fと、後輪3,4の1回転時間差△Rと
が、図示の式にて演算され、次に、S191において、
△Fの絶対値が△Rの絶対値以下か否か判定され、その
判定がNoのときには、駆動輪のスリップ量が大きいた
め、S68と同様のS192に移行し、また、その判定
がYesのときには、図17のS69へ移行する。
【0096】5)第5変形例(図34参照) 図34に示すように、左右の前輪1,2の平均1回転時
間Tmが、Tm=(Tm1+Tm2)/2の式で演算され、次
に、S201において、(Tm3−Tm)の絶対値が所定値
ν以下で、且つ、(Tm4−Tm)の絶対値が所定値ν以下
か否か判定され、その判定がNoのときには、駆動輪の
スリップ量が大きいため、S8と同様のS202に移行
し、また、その判定がYesのときには、図17のS69
へ移行する。
【0097】6)第6変形例(図35参照) 図35に示すように、演算210において、各輪につい
ての平均1回転時間Tm1〜Tm4の前回値に対する今回
値の変化量△Tm1,△Tm2,△Tm3,△Tm4が図示の
式にて演算され、次に、S211において、それらの変
化量△Tm1,△Tm2,△Tm3,△Tm4が同符号か否か
判定され、その判定結果がNoのときには、車輪の回転
が不安定であるため、S68と同様のS213へ移行
し、また、その判定結果がYesのときには、S212へ
移行する。S212においては、前記変化量△Tm1,△
Tm2,△Tm3,△Tm4の絶対値が、夫々、所定値C2
以下か否か判定され、その判定結果がNoのときには、
加減速状態か或いは駆動輪のスリップ量が大きいためS
213へ移行し、また、その判定結果がYesのときに
は、図17の69へ移行する。
【0098】7)第7変形例(図36参照) 前記図5のS69〜S78に代わりの判定変数設定ルー
チンについて説明する。図36に示すように、S22
0、S221、S222、S224、S226、S22
9は、夫々、図17のS69、S70、S73、S7
5、S77、S72と同様のステップであるので説明を
省略する。S228は、今回の判定変数D(i)が不適切
な場合であり、このS228では、今回の判定変数D
(i)に前回の判定変数D(i−1)が付与され、S229へ
移行する。
【0099】設定値J0=400の場合には、S222
からS223へ移行して、判定変数Dが、過去の2つの
判定変数の移動平均値として設定され、また、設定値J
0=500の場合には、S224からS225へ移行し
て、判定変数Dが、過去の3つの判定変数の移動平均値
として設定され、また、設定値J0=600の場合に
は、S226からS227へ移行して、判定変数Dが、
過去の4つの判定変数の移動平均値として設定され、S
223又はS225又はS227からS79へ移行す
る。このように、車輪速データの信頼性が低くなるのに
応じて、移動平均を求めるデータ数を増すことで、判定
変数Dの信頼性を高めることができる。
【0100】8)第8変形例(図37参照) 前記図17のS69〜S78の代わりの判定変数設定ル
ーチンについて説明する。図37に示すように、S24
0、S241、S242、S244、S246、S25
9は、夫々、図17のS69、S70、S73、S7
5、S77、S72と同様のステップであるので説明を
省略する。S249は、今回の判定変数S(i)が不適切
な場合であり、このS249では、今回の判定変数D
(i)に前回の判定変数D(i−1)が付与され、S250へ
移行する。
【0101】設定値J0=400の場合には、S242
からS243へ移行して、判定変数Dのなまし値Df
が、図示のような5倍なましの演算式により演算され、
また、設定値J0=500の場合には、S244からS
245へ移行して、判定変数Dのなまし値Dfが、図示
のような6倍なましの演算式により演算され、また、設
定値J0=600の場合には、S246からS247へ
移行して、判定変数Dのなまし値Dfが、図示のような
7倍なましの演算式により演算され、S243又はS2
45又はS247からS248へ移行し、S248にお
いて、判定変数Dが、今回演算されたなまし値Dfに等
しく設定され、その後S79へ移行する。このように、
設定値J0が大きくなるのに応じて、なまし度合いを大
きくするので、判定変数Dの信頼性を高めることができ
る。
【0102】9) 尚、前記実施例におけるタイマとし
ては、CPUからのクロック信号をカウントするカウン
タ、又は、ABS制御装置における所定周期(例えば、
8ms)の制御サイクルをカウントするカウンタ等を適用
してもよい。また、車輪速センサ51〜54からのパル
ス信号P1〜P4を検出する各サイクル中においても、
パルス信号P1〜P4の入力状態が不安定になった否か
常時監視しておき、入力状態が不安定になったときに
は、図14のS1へリターンしてカウントをやり直すよ
うに構成してもよい。
【0103】尚、本実施例における車輪速データ(T1
〜T4)、つまり、1回転時間は、(T1〜T4)「車輪速
相当値」に相当するものであるが、この1回転時間(T1
〜T4)の代わりに、車輪速(Vw1〜Vw4)を適用した
空気圧判定制御に構成してもよい。
【0104】I]第1別具体例 次に、前記タイヤ空気圧判定制御の第1別具体例とその
変形例について、表1と図38〜図49の図面に基づい
て説明する。但し、フローチャートの図中、符号Si(i
=310,311,・・・)は各ステップを示すものであ
る。最初に、このタイヤ空気圧判定制御の概要について
説明すると、基本的に4つの車輪速センサ51〜54で
検出される車輪速Vw1〜Vw4に基づいてタイヤ空気圧
判定を行うのであるが、自動車の使用開始時や1又は複
数のタイヤを交換したとき等に、補償係数Cxの初期設
定処理を実行して、タイヤの製作誤差や特性を補償する
為の補償係数Cxを初期設定する。その後、定期的(所定
走行距離毎、又は、所定期間毎)にタイヤ空気圧判定処
理を実行して、何れかのタイヤの空気圧異常を判定し、
タイヤ空気圧が低下している場合には、ワーニングラン
プ56を介して警報を出力する。
【0105】前記初期設定処理は、路面状態に応じて設
定される車速のときに実行し、また、タイヤ空気圧判定
処理は、路面状態に応じて別途設定される車速域のとき
に実行する。尚、このタイヤ空気圧判定制御は、初期設
定処理と、タイヤ空気圧判定処理と、悪路指数演算処理
と、路面摩擦係数演算処理(これのフローチャートは省
略)とを含む。更に、この別実施例におけるフラグやカ
ウンタやタイマは、前記実施例のフラグやカウンタに対
して独立のものである。
【0106】次に、前記補償係数Cxの初期設定処理に
ついて、図38のフローチャートを参照しつつ説明す
る。この処理は、前記初期設定スイッチ55がON操作
されると開始され、次に前記車輪速センサ51〜56や
スイッチ55や図示外の傾斜検出センサ(車体の前後方
向の傾斜を検出するセンサ)からの信号をディジタル化
した各種データが読み込まれ、車輪速センサ51〜54
からの検出信号に基づいて、車輪1〜4の車輪速Vw1
〜Vw4が演算され(S310)、次に、初期設定処理の
実行中を示す為に、ワーニングランプ56が点灯され、
且つタイヤ空気圧判定処理を禁止する為にフラグFが0
にリセットされる(S311)。
【0107】次に、係数Cxの初期設定条件が成立か否
かの判定が実行される(S312)が、自動車が加減速状
態でないこと、定常直進走行状態であって、車速Vが図
42のマップに示す路面状態に応じて設定された係数C
xの初期設定許可車速域に入っていること、が充足され
たときには、条件成立と判定されてS313へ移行し、
また、条件不成立のときはそのままリターンする。尚、
車速Vについては後述するものとし、加減速は、車速V
の変化から検知される。
【0108】ここで、図42に示した係数Cxの初期設
定許可車速域の下限値は、過度に低速でない所定値(例
えば、20Km/H)に設定され、初期設定許可車速域の
上限値は、走行路面の路面状態(路面摩擦状態、悪路度
合い、路面の勾配)に応じて40〜50Km/Hの範囲の
値に設定されている。前記下限値に関して、過度の低速
状態では、車輪速センサからのパルス信号の数が少ない
ために、車輪速Vw1〜Vw4の検出精度が低下すること
から、前記20Km/H位の所定値に設定することが望
ましい。
【0109】前記上限値に関して、低μ状態のときの4
0Km/Hから高μ状態のときの50Km/Hヘリニアに
増大するように設定され、また、悪路度合い重のときの
40Km/Hから悪路度合い軽(良路)のときの50Km/
Hヘリニアに増大するように設定され、上り勾配大のと
きの40Km/Hから上り勾配小(平地路又は下り坂)の
ときの50Km/Hヘリニアに増大するように設定さ
れ、尚、μは、路面の摩擦係数である。50Km/H超
の高速状態では、駆動輪のスリップ量が増加したり、前
輪1,2と後輪3,4の輪荷重が変化したりして、車輪速
Vw1〜Vw4の検出精度が低下するので、50Km/H
以下の車速のときに、初期設定処理を実行することが望
ましく、低μのときには駆動輪のステップ量が増加する
ので、40Km/H以下の車速のときに、初期設定処理
を実行することが望ましく、悪路の度合いが重のときに
も車輪速Vw1〜Vw4のバラツキが大きくなるので、4
0Km/H以下の車速のときに、初期設定処理を実行す
ることが望ましい。
【0110】尚、走行路面の勾配は、前記傾斜検出セン
サの検出信号から演算され、路面μの演算方法と悪路状
態を示す悪路指数(フラグFak)の演算方法については後
述する。次に、S312において条件成立と判定される
と、S313において、タイヤの製作誤差を加味してタ
イヤ交換時等における4つのタイヤの初期状態を補償す
る為の係数Cxが4輪の車輪速Vw1〜Vw4を用いて、
一方の対角線関係にある左前輪1と右後輪4の車輪速の
和(Vw1+Vw4)と、他方の対角線関係にある右前輪2
と左後輪3の車輪速の和(Vw2+Vw3)との比として、
次式で演算される。 補償係数Cx=(Vw1+Vw4)/(Vw2+Vw3) 次に、係数Cxが適正値か否か判定されるが、タイヤの
製作誤差によるタイヤ径の誤差が最大0.3%であるこ
とから、係数Cxが略1の所定範囲(例えば、0.95〜
1.05)に入っている場合に、係数Cxが適正値である
と判定される。
【0111】係数Cxが適正値であるときには、S31
5において係数Cxの書き換え処理が実行され、前回の
係数Cx(i−1)に今回のCx(i)が与えられ、次に、ワー
ニングランプ56が消灯され且つタイヤ空気圧判定処理
を許可する為にフラグFが1にセットされ、その後S3
19へ移行する。一方、S314の判定結果がNoのと
きは、S317において、係数Cxが不定か否か判定さ
れ、不定のときにはS312へ移行し、係数Cxが不定
でないときには、S318においてワーニングランプ5
6が所定時間(例えば、2秒間)点滅され、その後S31
9へ移行する。S319では、フラグFが1か否か判定
し、その判定がNoのときはリターンし、その判定がYe
sのときはこの処理を終了する。但し、1回のスイッチ
55のON操作に基づいて、複数回の初期設定処理を実
行して複数の係数Cxを求め、それら複数の係数Cxの平
均値から最終の係数Cxを決定してもよい。こうして、
タイヤ交換時等における4つのタイヤの初期状態を補償
する為の係数Cxが決定され、RAMのメモリに格納さ
れる。
【0112】ここで、走行路面の路面μを求める演算処
理について説明する。先ず、車速Vとしては車体速を適
用するものとし、この車速Vは、基本的に従動輪(前輪
1,2)の車輪速Vw1,Vw2の平均値に等しく設定さ
れ、その車速Vが、初期設定処理およびタイヤ空気圧判
定処理に適用される。路面μは、車速Vとその加速度V
gとに基づいて演算されるが、この演算には、500ms
のタイマと100msのタイマとを用い、加速開始後車体
加速度Vgが十分に大きくならない500ms経過までは
100ms毎に100ms間の車速Vの変化から、次式によ
り車体加速度Vgが演算される。
【0113】Vg=K1×[V(i)−V(i−100)] 車体加速度Vgが十分に大きくなった500ms経過後は
100ms毎に500msの間の車速Vの変化から、次式に
より車体加速度Vgが演算される。 Vg=K2×[V(i)−V(i−500)] 尚、前記の式中、V(i)は現時点の車速、V(i−100)
は100ms前の車速、V(i−500)は500ms前の車
速、K1,K2は夫々所定の定数である。前記路面μ
は、前記のように求めた車速Vと車体加速度Vgとを用
いて表1に示したμテーブルから、3次元補完により演
算され、この路面μが、初期設定処理およびタイヤ空気
圧判定処理に適用される。
【0114】
【表1】
【0115】ここで、前記走行路面の悪路状態を示す悪
路指数を求める演算処理について、図41のフローチャ
ートを参照しつつ説明する。この演算処理は、例えば、
車輪速Vw1を用いて判定する処理であり、この悪路指
数演算処理の開始後、各種データが読み込まれ(S35
0)、次にS351において、フラグFAが0か否か判
定されるが、フラグFAは初期化時に0に設定される関
係上、最初の判定結果はYesとなってS352へ移行す
る。S352では、カウンタKがクリアされ、タイマT
がリセット後スタートされ、次に、S353においてフ
ラグFAが1にセットされ、その後S354へ移行す
る。S351の判定結果がNoのときにはS352とS
353をスキップしてS354へ移行する。S354で
は、左側前輪1の車輪加速度AVw1(但し、車輪減速度
も含む)が、車輪速Vw1を時間微分することにより演算
される。
【0116】次に、S355において、車輪加速度AV
w1の絶対値が、所定の悪路判定しきい値A0以上か否
か判定され、その判定結果がYesのときは、カウンタK
がインクリメントされ(S356)、その後S357へ移
行し、前記判定結果がNoのときは、S356をスキッ
プしてS357へ移行する。S357では、タイマTの
カウント時間Tが所定時間T1(例えば、1000ms)以
上か否か判定され、所定時間T1経過しないうちは、S
357からリターンするのを繰り返して、所定時間T1
の間に、車輪加速度AVw1の絶対値が悪路判定しきい
値A0以上となる回数がカウンタKでカウントされてい
く。
【0117】前記所定時間T1経過すると、S357か
らS358へ移行し、次回の所定時間と回数のカウント
の為に、フラグFAが0にリセットされ、次に、S35
9〜S363において、カウンタKのカウント値Kに基
づいて、K≦3のときに悪路フラグFak(悪路指数)が0
に設定され、また、3<K≦7のときに悪路フラグFak
が1に設定され、また、7<Kのときに悪路フラグFak
が2に設定される。但し、前記数値3,7は、所定時間
T1との関連において設定されるものである。こうし
て、初期設定処理の間の所定時間T1毎に、左側前輪1
の車輪速Vw1に基づいた悪路フラグFakが0、1、2
のうちの何れかの値に設定される。以上と同様にして、
各車輪速Vw2〜Vw4に基づいて悪路フラグFakが0、
1、2のうちの何れかの値に設定され、これら4つの悪
路フラグFakの平均値を、四捨五入することで、初期設
定処理およびタイヤ空気圧判定処理の為の悪路指数が演
算される。
【0118】次に、タイヤ空気圧判定処理について、図
39と図40のフローチャートを参照しつつ説明する。
このタイヤ空気圧判定処理は、例えば、500Kmの走
行距離毎に実行される処理であり、この処理の開始後、
前記センサ51〜54のスイッチ55からの信号をディ
ジタル化した各種データが読み込まれ(S320)、次
に、フラグFが1か否か判定され(S321)、Yesのと
きには、S322においてタイヤ空気圧判定条件成立か
否か判定される。このタイヤ空気圧判定条件に関して、
自動車が加減速状態でないこと、定常直進走行状態であ
って、車速が図43のマップに示す路面状態に応じて設
定されたタイヤ空気圧判定許可車速域に入っているこ
と、が充足されたときには、条件成立と判定されたS3
23へ移行し、条件不成立のときはS324へ移行す
る。
【0119】ここで、図43に示したタイヤ空気圧判定
許可車速域の下限値は、過度に低速でない所定値(例え
ば、20Km/H)に設定され、また、タイヤ空気圧判定
許可車速域の上限値は、走行路面の路面状態(路面摩擦
状態、悪路度合い、路面の勾配)に応じて40Km/H〜
最高車速の範囲の値に設定されている。前記下限値に関
して、過度の低速状態では、車輪速センサ27〜30か
らのパルス信号の数が少ない(データ数が少ない)ため
に、車輪速Vw1〜Vw4の検出精度が低下することか
ら、前記20Km/H位の所定値に設定することが望ま
しい。
【0120】前記上限値に関して、低μ状態のときの4
0Km/Hから高μ状態のときの最高車速ヘリニアに増
大するように設定され、また、悪路度合いが重のときの
40Km/Hから悪路度合いが軽(良賂)のときの最高車
速ヘリニアに増大するように設定され、また、上り勾配
大のときの40Km/Hからより勾配小(平地賂又は下り
坂)のときの最高車速ヘリニアに増大するように設定さ
れている。そして、50Km/H超の高速状態では、駆
動輪のスリップ量が増加して車輪速Vw1〜Vw4の検出
精度が低下するが、多少の精度低下は生じても、50K
m/H超の高速走行状態におけるタイヤ空気圧の低下を
検出することが望ましいので、前記のように設定してあ
る。低μのときには駆動輪のスリップ量が増加するの
で、40Km/H以下の車速のときに、タイヤ空気圧判
定処理を実行することが望ましく、また、悪路度合い重
のときにも車輪速Vw1〜Vw4のバラツキが大きくなる
ので、40Km/H以下の車速のときに、タイヤ空気圧
判定処理を実行することが望ましい。
【0121】S323においては、図40のタイヤ空気
圧判定のサブルーチンが実行され、その後リターンし、
S321又はS322の判定結果がNoのときは、S3
24において、タイヤ空気圧判定のサブルーチンにおけ
るタイマTがリセットされ、フラグFa,Ftが0にリセ
ットされるとともに、カウンタI,Jが0にリセットさ
れ、その後リターンする。次に、S323のタイヤ空気
圧判定のサブルーチンについて、図40を参照しつつ説
明する。先ず、フラグFtが1か否か判定され(S33
0)、最初はNoなのでS331において、タイマTがス
タートされ且つフラグFtが1にセットされてS332
へ移行する。また、フラグFtが1にセットされている
状態では、S330からS332に移行する。次に、S
332において、空気圧判定変数Eが、図示の式、つま
り、次式により演算される。
【0122】E=2×[Cx(Vw2+Vw3)−(Vw1+V
w4)]/[Vw1+Vw2+Vw3+Vw4] 上式において、係数Cxは、予めタイヤの初期状態を補
償するように設定してあるため、タイヤ空気圧が正常で
ある場合には、空気圧判定変数Eは略0に等しい値にな
るが、右前輪2又は左後輪3のタイヤ空気圧が低下して
いる場合には、車輪速Vw2又は車輪速Vw3が大きくな
るため空気圧判定変数Eは正方向に増大し、また、左前
輪1又は右後輪4のタイヤ空気圧が低下している場合に
は、車輪速Vw1又は車輪速Vw4が大きくなるため空気
圧判定変数Eは負方向に増大する。
【0123】次に、S333において判定変数Eが所定
値△0(例えば、0.020〜0.050の範囲の所定
値)以上か否か判定され、その判定結果がYesのとき
は、フラグFaが1か否か判定され(S334)、フラグ
Faが1でないときには、判定変数Eが所定値△0以上
の回数をカウントするカウンタIが1にセットされ且つ
フラグFaが1にセットされ(S335)、その後S34
1へ移行する。フラグFaが1にセットされている状態
では、S334からS336に移行してカウンタIがイ
ンクリメントされ、その後S341に移行する。
【0124】一方、S333の判定結果がNoのとき
は、S337へ移行して判定変数Eが所定値−△0以下
か否か判定され、YesのときはフラグFaが2か否か判
定され(S338)、フラグFaが2でないときには、判
定変数Eが所定値−△0以下の回数をカウントするカウ
ンタJが1にセットされ且つフラグFaが2にセットさ
れ(S339)、その後S341へ移行する。また、フラ
グFaが2にセットされている状態では、S338から
S340に移行してカウンタJがインクリメントされ、
その後S341へ移行する。
【0125】次に、S341において、タイマTのカウ
ント値Tが所定時間T0(例えば、2秒)経過したか否か
判定されるが、最初のうちは、その判定結果がNoであ
るため、S341からリターンするのを繰り返していっ
て、S320〜S322、S330〜S341が繰り返
して実行され、タイマTのカウント値TとカウンタIの
カウント値I又はカウンタJのカウント値Jが増加して
いく。尚、図44には、タイヤ空気圧正常時の空気圧判
定変数Eの挙動を図示し、図45には、右側前輪2又は
左側後輪3のタイヤ空気圧異常時の空気圧判定変数Eの
挙動を図示してある。
【0126】そして、所定時間T0経過すると、S34
1の判定結果がYesとなるため、S342へ移行し、カ
ウンタIのカウント値Iが所定値K0以上か又はカウン
タJのカウント値Jが所定値K0以上か否かの判定が実
行され、その判定結果がNoのときには、S343にお
いてタイヤ空気圧が正常と判定されてS346へ移行
し、また、S342の判定結果がYesのときには、S3
44においてタイヤ空気圧異常(低下)と判定され、S3
45において、ドライバーにタイヤ空気圧低下を警報す
る為に、ワーニングランプ56が所定時間(例えば、2
秒間)点灯され、S346へ移行する。S346におい
ては、次回のタイヤ空気圧判定処理に備えて、タイマ
T、フラグFa、フラグFt、カウンタI、カウンタJ
が、夫々0にリセットされ、今回のタイヤ空気圧判定処
理が終了する。
【0127】次に、以上説明したタイヤ空気圧判定制御
の作用について説明する。インストルメントパネルに初
期設定スイッチ55を設け、そのスイッチ55を操作す
ることにより、タイヤ交換時等の必要な時に係数Cxを
初期設定する初期設定処理を実行するので、交換後の4
輪のタイヤの製作誤差を補償した係数Cxを設定するこ
とができる。そして、初期設定処理は、走行路面の路面
状態に応じて設定される車速域のときに実行するので、
低μ路における駆動輪のスリップ、悪路における車輪速
のバラツキ、上り坂における駆動輪のスリップ、輪荷重
の変動、等に起因する誤差要因を極力排除し、係数Cx
を高輝度に初期設定できる。
【0128】その初期設定処理後には、自動車の走行中
には常時、補償係数Cxを用いてタイヤ空気圧判定処理
を実行する。このタイヤ空気圧判定処理は、定常直進走
行時であって走行路面の路面状態に応じて設定される車
速域のときに実行するので、初期設定処理の場合と同様
に、低μ路における駆動輪のスリップ、悪路における車
輪速のバラツキ、上り坂における駆動輪のスリップ、輪
荷重の変動、等に起因する誤差要因を極力排除して、タ
イヤ空気圧判定の精度や信頼性を高めることができる。
そして、このタイヤ空気圧判定処理では、タイマT、カ
ウンタI、カウンタJを用いて、所定時間T0における
E≧△0となるカウント値Iや、E≦−△0となるカウ
ント値Jをカウントし、それらのカウント値I,Jが所
定値K0以上のときに、タイヤ空気圧異常と判定するの
で、多くのサンプリングデータに基づいて精度良くタイ
ヤ空気圧判定を行うことができる。
【0129】次に、この別実施例の一部を変更した3例
の変形例について説明する。 1)第1変形例(図46、図47参照) 図46は、図38に相当する初期値設定処理のフローチ
ャートであり、図26と同一のステップには、同一符号
を付して説明を省略する。この変形例では、補償係数C
xの代わりに、タイヤの製作誤差や特性等の補償するた
めの初期値E0が適用され、S312Aにおいて、S3
12と同様に初期値E0初期設定条件が成立か否かの判
定が実行され、条件成立のときは、S313Aにおい
て、図示の式にて初期値E0が演算される。S314A
では、初期値E0が適正値か否か判定されるが、例え
ば、−0.05〜0.05の範囲のときに適正値である
と判定され、S315Aにおいて初期値E0の書換え処
理が実行される。また、初期値E0が適正値でないとき
には、S317Aにおいて、初期値E0が不定か否かの
判定が、S317と同様に実行される。
【0130】次に、前記図39のタイヤ空気圧判定処理
のうちのタイヤ空気圧判定サブルーチンについて図47
により説明するが、図47は、図40に相当する図であ
り、図40と同一のステップには、同一符号を付して説
明を省略する。本変形例におけるタイヤ空気圧判定変数
Eは、S332Aに示す式で演算され、S333Aで
は、(E−E0)が所定値△0以上か否か判定され、ま
た、S337Aでは、(E−E0)が所定値−△0以下か
否か判定される。本変形例のように、初期値E0を用い
ると、演算処理が簡単化する。
【0131】2)第2変形例(図48、図49参照) この第2変形例のタイヤ空気圧判定制御では、車輪速セ
ンサ51〜54から供給されるパルス信号P1〜P4の
パルス数を所定時間以上の期間にわたってカウントし、
各車輪毎のパルス数の合計値を比較することで、タイヤ
空気圧の異常を判定するようになっている。このタイヤ
空気圧判定制御は、図48のパルス信号読込み処理と、
図49のタイヤ空気圧判定処理とからなる。前記車輪速
センサ51〜54は、夫々、車輪が1回転する毎に、4
8個のパルス信号を出力するが、前記RAMには、車輪
速センサ51〜54から出力されるパルス信号を一次記
憶する4つのバッファ(B1〜B4)が設けられている。
【0132】図48のフローチャートにおいて、所定走
行距離毎に、ルーチンが開始されると、前記同様に各種
データが読み込まれ(S370)、次にS322と同様
に、タイヤ空気圧判定条件成立か否かの判定が実行され
(S371)、その判定結果がYesのときは、S372に
おいて、例えば8msの間、パルス信号P1〜P4が読込
まれて、そのデータがバッファ(B1〜B4)に一次記憶
され、その後リターンして繰り返し実行され、また、S
371の判定結果がNoのときはそのままリターンして
繰り返し実行される。このようにして、タイヤ空気圧判
定条件成立しているときには、バッファ(B1〜B4)に
8ms間のパルス信号P1〜P4が更新しつつ記憶され
る。
【0133】次に、前記パルス信号読込み処理と逆行的
に、図49のタイヤ空気圧判定処理が実行される。図4
9のルーチンが開始されると、バッファ(B1〜B4)の
データが読み込まれ(S380)、次に読込み回数をカウ
ントするカウンタIがインクリメントされて読込み回数
がカウントされ(S381)、次に、S382においてパ
ルス信号P1〜P4のパルス数Nw1〜Nw4が演算され
る。このパルス数Nw1〜Nw4の演算は、前回までの合
計パルス数Nw1〜Nw4の今回のパルス数△w1〜△w4
を夫々加算することで実行される。
【0134】次に、カウンタIが所定値I0(例えば、1
00)以上か否かの判定が実行され(S383)、その判
定結果がNoのときはS380へ戻ってS380以降が
実行され、S383の判定結果がYesになると、S38
4において、パルス数Nw1〜Nw4の最大値Nwmaxと、
パルス数Nw1〜Nw4の平均値Nwmとが演算される。次
に、(Nwmax−Nwm)が所定値C以上か否か判定され、そ
の判定結果がNoのときはS386へ移行し、判定結果
がYesのときはS387においてタイヤ空気圧異常(低
下)と判定され、次にワーニングランプ56が所定時間
点灯され(S388)、次にパルス数Nw1〜Nw4を記憶
するメモリ及びカウンタIが夫々クリアされる(S38
8)。
【0135】タイヤ空気圧が低下した車輪の回転数が大
きくなることから、タイヤ空気圧が低下した車輪の車輪
速センサからのパルス数が最大になるので、前記のよう
に、(Nwmax−Nwm)が所定値以上か判定することで、タ
イヤ空気圧異常を検知することができる。この変形例で
は、タイヤ交換後における初期設定処理を実行していな
いが、タイヤ交換後に図48、図49と同様の初期設定
処理を実行して、合計初期パルス数INw1〜INw4を
求めておき、タイヤ空気圧判定処理において求めたパル
ス数Nw1〜Nw4と合計初期パルス数INw1〜INw4
との比(Nw1/INw1)〜(Nw4/INw4)をパラメー
タとして、タイヤ空気圧異常を検知するように構成して
もよい。この場合、比(Nw1/INw1)〜(Nw4/IN
w4)が所定値以上となるものを、タイヤ空気圧異常と判
定するものとする。尚、初期設定処理時の車速Vと、タ
イヤ空気圧判定処理時の車速Vとが同じとは限らないの
で、前記の比(Nw1〜INw1)〜(Nw4/INw4)を用
いることが必要である。
【0136】尚、この実施例においては、パルス数Nw
1〜Nw4を求めるようにしたが、このパルス数Nw1〜
Nw4と、車輪1回転当りのパルス数48個と、カウン
ト値I0および1回当りの車輪速読込み時間8msとのデ
ータに基づいて、4つの車輪1〜4についての車輪1回
転当りの時間Tw1〜Tw4を演算し、この時間Tw1〜
Tw4をパラメータとしてタイヤ空気圧異常を判定する
ように構成してもよい。そして、この場合にも、前記同
様に、初期設定処理を実行し、その初期設定処理時にお
ける車輪1回転当りの時間ITw1〜ITw4を予め求め
ておき、時間Tw1〜Tw4と時間ITw1〜ITw4との
比(Tw1/ITw1)〜(Tw4/ITw4)をパラメータと
してタイヤ空気圧異常を判定するように構成してもよ
い。
【0137】3)第3変形例(図50、図51参照) 前記S312における初期設定条件又はS322におけ
るタイヤ空気圧判定条件の成立の有無を判定は、図5
0、図51に示す判定サブルーチンにより実行してもよ
い。但し、この処理の実行の為に、ブレーキスイッチか
らのブレーキ信号BSs、舵角センサからの舵角信号θ
h、走行距離計からの走行距離信号DD、車体の前後方
向の傾斜を検出する傾斜検出センサからの傾斜信号θ
k、車体に作用する横加速度を検出する横加速度センサ
からの横加速度信号Gh、ヨーレイトセンサからのヨウ
レイト信号ψv、アクティブサスペンション装置におけ
る4輪の車高調整用油圧作動室の油圧を検出する油圧セ
ンサからの油圧信号Hp1〜Hp4、パーキングブレーキ
スイッチからのパーキングブレーキ信号PBs、アンチ
スキッド制御とより好ましくはトラクション制御(TR
C制御)を行うコントロールユニット44からのABS
作動信号及びTRC作動信号、等の種々の信号もコント
ロールユニット50に供給されているものとする。
【0138】先ず、S400においてパーキングブレー
キ(Pブレーキ)がONか否か判定され、パーキングブレ
ーキがONのとき(誤操作によりパーキングブレーキO
Nの状態で走行しているとき)は、制動状態に相当し、
前輪と後輪の輪荷重が不均一となり、車輪速検出精度が
低下するためS418において条件不成立と判定され
る。
【0139】次に、S401において加減速中か否かの
判定が実行されるが、車速Vとして車体速を適用するも
のとし、車速Vは、左右の従動輪(前輪1,2)の車輪速
Vw1,Vw2の平均値に等しく設定され、その車速Vの
変化から加減速中か否か判定され、加減速中であるとき
には、前輪と後輪の輪荷重が不均一となったり、駆動輪
のスリップ量が大きくなったりして車輪速検出精度が低
下するため、S418において条件不成立と判定され
る。
【0140】次に、S402において、舵角信号θhに
基づいて、旋回中か否か判定され、旋回中のときは、内
輪と外輪の車輪速の差が大きくなりタイヤ空気圧判定を
実行するのが望ましくないため、S418において条件
不成立と判定される。次に、S403において、ABS
作動信号に基づいてABS作動中か否か判定され、AB
S作動中のときには、制動状態となることが多く、車輪
速検出精度が低下するため、S418において条件不成
立と判定される。次に、S404において、TRC作動
信号に基づいてTRC作動中か否か判定され、TRC作
動中のときには、制動状態となることが多く、車輪速検
出精度が低下するため、S418において条件不成立と
判定される。
【0141】次に、S405において、傾斜検出センサ
からの路面の傾斜信号θkに基づいて、走行中の路面が
上り坂道か判定され、上り坂道のときには加速状態と同
様に車輪速検出精度が低下するのでS418において条
件不成立と判定される。次に、S406において、前述
の悪路フラグFakと同様に4輪について夫々演算される
悪路フラグFakの平均値に基づいて、走行中の路面が悪
路か否か判定され、悪路のときには、4つの車輪速のバ
ラツキが大きくなるので、S418において条件不成立
と判定される。
【0142】次に、S407においてカント路面か否か
判定されるが、カント路面を走行中のときには、ヨーレ
イトが発生していないのに左側前後輪1,3と左側前後
輪2,4の車輪速に差が発生したり、横加速度が発生し
たりするので、ヨーレイト信号ψv、車輪速Vw1〜Vw
4、横加速度信号Ghに基づいて、カント路面か否かに
判定され、カント路面を走行中のときには、低レベル側
の前後輪の輪荷重が大きくなり、車輪速検出精度が低下
するので、S418にて条件不成立と判定される。
【0143】次に、S408において雪道等を走行中に
両駆動輪3,4がスピン状態となるスタック中か否か判
定されるが、車輪速Vw1〜Vw4と車速Vとに基づいて
スタック中か否か判定され、スタック中のときには、異
常な車輪速が検出されてタイヤ空気圧判定が困難になる
ので、S418において条件不成立と判定される。次
に、S409において後輪3,4がスリップ中か否か判
定されるが、後輪の車輪速Vw3,Vw4と、車速Vに基
づいて、後輪3,4がスリップ中か否か判定され、後輪
がスリップ中のときには、異常な車輪速が検出されてタ
イヤ空気圧判定が不可能になるので、S418において
条件不成立と判定される。
【0144】次に、S410において両後輪のみ悪路判
定か否か判定されるが、左側後輪3に対応する悪路判定
と右側後輪4に対応する悪路判定のみが悪路と判定した
場合には、両後輪3,4にチェーンを装着している可能
性が高く、この場合車輪速の検出精度が低下するため、
S418において条件不成立と判定される。次に、S4
11において両前輪のみ悪路判定か否か判定されるが、
左側前輪1に対応する悪路判定と右側前輪2に対応する
悪路判定のみが悪路と判定した場合には、両前輪1,2
に誤ってチェーンを装着している可能性が高く、この場
合車輪速の検出精度が低下するため、S418において
条件不成立と判定される。
【0145】次に、S412において両後輪の車輪速が
両前輪の車輪速に比較して低速か否か判定されるが、両
後輪3,4にチェーンを装着している可能性が高く、こ
の場合車輪速の検出精度が低下するためS418におい
て条件不成立と判定される。次に、S413において両
前輪の車輪速が両後輪の車輪速に比較して低速か否か判
定されるが、両前輪1,2にチェーンを装着している可
能性が高く、この場合車輪速の検出精度が低下するため
S418において条件不成立と判定される。次に、S4
14において、車高調整用油圧作動室の油圧Hp1〜Hp
4の全部が、設定値以上か否か判定され、車室やトラン
ク内に大重量の荷物を積載して輪荷重が過大になると、
車輪速の検出精度が低下するため、S418において条
件不成立と判定される。
【0146】次に、S415において前期油圧Hp1〜
Hp4のうち、両後輪に対応する油圧Hp3,Hp4だけ
が、両前輪に対応する油圧Hp1,Hp2に比較して高い
か否か判定され、トランクに大重量の荷物を積載した状
態で油圧Hp3,Hp4だけが高いときには、後輪の輪荷
重が大きく、車輪速検出精度が低下するため、S418
において条件不成立と判定される。次に、S416にお
いて車速Vが許可車速域に入っているか否か判定され
る。この許可車速域とは、図42に示す係数Cxの初期
設定許可車速域、又は、図43に示すタイヤ空気圧判定
許可車速域のことであり、その判定結果がNoのとき
は、S418において条件不成立と判定される。そし
て、S400〜S415の判定結果が全てNoで、かつ
S416の判定結果がYesのときには、車輪速Vw1〜
Vw4を高精度で検出できるため、S417において条
件成立と判定される。
【0147】II]第2別具体例 以下、前記コントロールユニット50で実行されるタイ
ヤ空気圧判定制御の第2別具体例について、図52〜図
58を参照しつつ説明する。但し、フローチャートの図
中、符号Si(i=501,502,・・・)は、各ステップ
を示すものである。尚、この第2別具体例は、前記第1
別具体例を部分的に変更したものに相当するので、第1
別具体例において既に説明した事項については、簡単に
説明する。
【0148】最初に、このタイヤ空気圧判定制御の概要
について説明すると、前記補償係数Cxを設定する初期
設定処理は、初期設定用の第1車速域(例えば、10〜
55Km/H)のときに実行し、タイヤ空気圧判定処理
は、空気圧判定用の第2車速域(例えば、10Km/H〜
最高車速)のときに実行する。尚、このタイヤ空気圧判
定制御は、前記初期設定処理と、タイヤ空気圧判定処理
とを含む。
【0149】次に、前記係数Cxの初期設定処理につい
て、図52のフローチャートを参照しつつ説明する。こ
の係数Cxの初期設定処理は、タイヤを交換した場合等
に初期設定スイッチ55がON操作されると開始され、
次に前記車輪速センサ51〜54やスイッチ55からの
信号をディジタル化した各種データが読み込まれ、車輪
速センサ51〜54からの検出信号に基づいて4輪1〜
4の車輪速Vw1〜Vw4が演算され(S501)、次に、
初期設定処理の実行中を示す為に、ワーニングランプ5
6が点灯され、タイヤ空気圧判定処理を禁止する為にフ
ラグFが0にリセットされる(S502)。
【0150】次に、係数Cxの初期設定条件が成立か否
かの判定が実行される(S503)が、自動車が加減速状
態でないこと、定常直進走行状態であって、前記初期設
定用の車速域に入っていること、が充足されたときに
は、条件成立と判定されてS504移行し、また、条件
不成立のときはそのままリターンする。尚、車速Vにつ
いては、前記と同様である。S503の判定がYesのと
きには、S504〜S509において、タイヤ空気圧判
定の判定しきい値(図54のS533及びS537のα
β△0)を補正する為の補正係数αが、次のように設定
される。
【0151】車速Vが10Km/H以上で25Km/H未
満の車速帯のときには、S504、S505により補正
係数αが1.10に設定され、また、車速Vが25Km
/H以上で40Km/H未満の車速帯のときには、S5
06、S507により補正係数αが1.05に設定さ
れ、また、車速Vが40Km/H以上で55Km/H未満
の車速帯のときには、S508、S509により補正係
数αが1.00に設定される(図55参照)。即ち、車速
Vが40Km/H以上で55Km/H未満のときに、車輪
速Vw1〜Vw4の検出精度が最も高くなり、車速Vが低
下するのに応じて車輪速Vw1〜Vw4の検出精度が低下
することから、車速Vが低下するのに応じてαを大きく
して、タイヤ空気圧判定の判定しきい値を大きく補正す
るようになっている。尚、前記数値1.10、1.05
は、一例を示すもので、これらの数値に限定されるもの
ではない。
【0152】前記S505、S507又はS509か
ら、S510へ移行し、S510において、タイヤの製
作誤差や特性を加味してタイヤ交換時等における4つの
タイヤの初期状態を補償する為の係数Cxが、4輪の車
輪速Vw1〜Vw4を用いて、図示の演算式により演算さ
れる。次に、S511において、係数Cxが適正値か否
か判定されるが、タイヤの製作誤差によるタイヤ径の誤
差が最大0.3%であることから、係数Cxが略1の所
定範囲(例えば、0.95〜1.05)に入っている場合
に、係数Cxが適正値であると判定される。
【0153】係数Cxが適正値であるときには、S51
2において係数Cxの書き換え処理が実行され、前回の
係数Cx(i−1)が今回のCx(i)で書き換えられ、次に、
S513においてワーニングランプ56が消灯され且つ
タイヤ空気圧判定処理を許可する為にフラグFが1にセ
ットされ、その後S516へ移行する。一方、S511
の判定結果がNoのときは、S514において係数Cx
が、不定か否か判定され、不定のときにはS503へ移
行してS503以降が再実行され、また、不定でないと
きには、S515においてワーニングランプ56が所定
時間(例えば、2秒間)点滅され、その後S516へ移行
する。S516では、フラグFが1か否か判定され、そ
の判定がNoのときはリターンし、また、その判定がYe
sのときはこの処理が終了する。
【0154】但し、1回のスイッチ55のON操作に基
づいて、同一の車速帯において、複数回の初期設定処理
を実行して複数の係数Cxを求め、それら複数の係数Cx
の平均値から最終の係数Cxを決定するように構成する
ことも可能である。こうして、タイヤ交換時等における
4つのタイヤの初期状態を補償する為の係数Cxが決定
され、RAMのメモリに格納される。尚、低μ路走行時
や、悪路走行時や、坂道走行時には、初期設定処理を禁
止するように構成してもよい。
【0155】次に、タイヤ空気圧判定処理について、図
53、図54のフローチャートを参照しつつ説明する。
このタイヤ空気圧判定処理は、自動車の走行中には常時
実行される処理であり、この処理の開始後、各種データ
が読み込まれ、車輪速センサ51〜54からの検出信号
に基づいて車輪速Vw1〜Vw4が演算され(S520)、
次に、前記フラグFが1か否か判定され(S521)、Y
esのときには、S522においてタイヤ空気圧判定条件
成立か否か判定される。このタイヤ空気圧判定条件に関
して、自動車が加減速状態でないこと、定常直進走行状
態であって、タイヤ空気圧判定用の車速域に入っている
こと、が充足されたときには、条件成立と判定されてS
523へ移行し、条件不成立のときはS529へ移行す
る。
【0156】次に、条件成立の場合には、S523〜S
527において、タイヤ空気圧判定時の車速Vに応じて
判定しきい値を補正する為の補正係数βが設定される。
車速Vが10Km/H以上で50Km/H未満の車速帯の
ときには、S523、S524により補正係数βが1.
00に設定され、また、車速Vが50Km/H以上で1
00Km/H未満の車速帯のときには、S523、S5
24により補正係数βが1.10に設定され、また、車
速Vが100Km/H以上の車速帯のときには、S52
7において補正係数βが1.20に設定される(図56
参照)。
【0157】即ち、車速Vが10Km/H以上で50Km
/H未満のときには、初期設定処理の車速Vに近い車速
のときにタイヤ空気圧判定を実行するため、空気圧判定
変数Dの誤差が小さくなることから、補正係数βが1.
00に設定され、また、車速Vが増大するのに応じて、
初期設定処理の車速Vから大きくズレた車速のときにタ
イヤ空気圧判定を実行するため、空気圧判定変数Dの誤
差が大きくなることに鑑みて、車速Vの増大に応じて補
正係数βを大きく設定する。尚、前記数値1.10、
1.20は、一例を示すもので、これらの数値は限定さ
れるものではない。
【0158】次に、S528において、図54のタイヤ
空気圧判定のサブルーチンが実行されてその後リターン
し、S521又はS522の判定結果がNoのときは、
S529において、タイヤ空気圧判定のサブルーチンに
おけるタイマTがリセットされ、フラグFa,Ftが0に
リセットされるとともに、カウンタI,Jが0にリセッ
トされ、その後リターンする。次に、S528のタイヤ
空気圧判定サブルーチンについて、図54のフローチャ
ートを参照しつつ説明する。先ず、フラグFtが1か否
か判定され(S530)、最初はNoなのでS531にお
いて、タイマTがスタートされ且つフラグFtが1にセ
ットされてS532へ移行する。また、フラグFtが1
にセットされている状態では、S530からS532へ
移行する。次に、S532において、空気圧判定変数E
が、図示の式、つまり、次式により演算される。
【0159】E=2×[Cx(Vw2+Vw3)−(Vw1+V
w4)]/[Vw1+Vw2+Vw3+Vw4] 上式において、係数Cxは、予めタイヤの初期状態を補
償するように設定してあるため、タイヤ空気圧が正常で
ある場合には、空気圧判定変数Eは略0に等しい値にな
るが、右前輪2又は左後輪3のタイヤ空気圧が低下して
いる場合には、車輪速Vw2又は車輪速Vw3が大きくな
るため、空気圧判定変数Eは正方向に増大し、また、左
前輪1又は右後輪のタイヤ空気圧が低下している場合に
は、車輪速Vw1又は車輪速Vw4が大きくなるため空気
圧判定変数Eは負方向に増大する。
【0160】次に、S533において判定変数Eが、判
定しきい値αβ△0(但し、所定の基本値△0は、例え
ば、0.020〜0.050の範囲の値である)以上か
否か判定され、その判定結果がYesのときは、フラグF
aが1か否か判定され(S534)、フラグFaが1でない
ときには、判定変数Eが判定しきい値αβ△0以上の回
数をカウントするカウンタIが1にセットされ且つフラ
グFaが1にセットされ(S535)、その後S541へ
移行する。また、フラグFaが1にセットされている状
態では、S534からS536に移行してカウンタIが
インクリメントされ、その後S541へ移行する。
【0161】一方、S533の判定結果がNoのとき
は、S537へ移行して判定変数Eが、判定しきい値−
αβ△0以下か否か判定され、YesのときはフラグFa
が2か否か判定され(S538)、フラグFaが2でない
ときには、判定変数Eが判定しきい値−αβ△0以下の
回数をカウントするカウンタJが1にセットされ且つフ
ラグFaが2に設定され(S539)、その後S541へ
移行する。また、フラグFaが2にセットされている状
態では、S538からS540に移行してカウンタJが
インクリメントされ、その後S541へ移行する。
【0162】次に、S541において、タイマTのカウ
ント値Tが所定時間T0(例えば、2秒)経過したか否か
判定されるが、最初のうちは、その判定結果がNoであ
るため、S541からリターンするのを繰り返していっ
て、図53のS520〜S527、S530〜S541
が繰り返して実行され、タイマTのカウント値Tとカウ
ンタIのカウント値I又はカウンタJのカウント値Jが
増加していく。
【0163】そして、所定時間T0経過すると、S54
1の判定結果がYesとなるため、S542へ移行し、カ
ウンタIのカウント値Iが所定値K0以上か又はカウン
タJのカウント値Jが所定値K0以上か否かの判定が実
行され、その判定結果がNoのときには、S543にお
いてタイヤ空気圧が正常と判定されてS546へ移行
し、またS542の判定結果がYesのときには、S54
4においてタイヤ空気圧異常(低下)と判定され、S54
5において、ドライバーにタイヤ空気圧低下を警報する
為に、ワーニングランプ56が所定時間(例えば、2秒
間)点灯され、S546へ移行する。S546において
は、次回のタイヤ空気圧判定処理に備えて、タイマT、
フラグFa、フラグFt、カウンタI、カウンタJが、夫
々0にリセットされ、今回のタイヤ空気圧判定処理が終
了する。尚、低μ路走行時や、悪路走行時や、坂道走行
時には、タイヤ空気圧判定を禁止するように構成するこ
ともできる。
【0164】次に、以上説明したタイヤ空気圧判定制御
の作用について説明する。この初期設定処理において
は、初期設定処理を実行するときの車速Vに応じて、車
速が低いとき程補正係数αが大きくなるように、補正係
数αを設定し、この補正係数αで判定しきい値を補正す
るため、タイヤ空気圧判定における誤判定の確率を小さ
くし、タイヤ空気圧判定の精度や信頼性を高めることが
できる。
【0165】このタイヤ空気圧判定処理は、定常直進走
行時であって10Km/H〜最高車速の第2車速域のと
きに実行するが、この第2車速域を第1車速域よりも広
く第1車速域を包含するように設定してあるため、車速
の略全域においてタイヤ空気圧判定を実行できるから、
実用性に優れる。ここで、車速Vが60Km/H以上に
なると、駆動輪のスリップ等の影響で車輪速の検出精度
が低下することに鑑み、タイヤ空気圧判定を実行すると
きの車速が、第1車速域から離れる程大きくなるよう
に、補正係数βを設定し、その補正係数βで判定しきい
値を補正するため、タイヤ空気圧判定における誤判定の
確率を小さくし、タイヤ空気圧判定の精度や信頼性を高
めることができる。
【0166】このタイヤ空気圧判定処理では、タイヤ
T、カウンタI、カウンタJを用いて、所定時間T0に
おけるE≧αβ△0となるカウント値Iや、E≦−αβ
△0となるカウント値Jをカウントし、それらのカウン
ト値I,Jが所定値K0以上のときに、タイヤ空気圧異
常と判定するので、多くのサンプリングデータに基づい
て精度良くタイヤ空気圧判定を行うことができる。
【0167】次に、第2別具体例におけるタイヤ空気圧
判定処理の一部を変更した2通りの変形例について説明
する。 1)第1変形例(図57参照) 尚、図57は、図54のフローチャートのうちの変更部
分を示すものであり、この変形例では、補正係数α、β
に加えて、学習補正係数γを適用して、判定しきい値が
αβγ△0と設定され、学習補正係数γは、初期設定完
了時に1に設定される。
【0168】最初に、図57に基づいて説明すると、S
543の次に、S570において今回の判定フラグH
(i)が0にリセットされ、次にS571において前回の
判定フラグH(i−1)が1か否か判定され、前回もタイ
ヤ空気圧正常と判定されて判定フラグH(i−1)が0の
ときはS572において学習補正係数γが変更なしに保
持され、次にS579においてワーニングランプ56が
消灯され、その後S546へ移行する。
【0169】S571の判定結果がYesのときは、S5
73において前回のβ(i−1)と今回のβ(i)とが等しい
か否か(つまり、前回のタイヤ空気圧判定のときの車速
帯と今回のタイヤ空気圧判定のときの車速帯とが同じか
否か)の判定がなされ、その判定結果がYesのときは、
車速帯が同一であるにも係わらずタイヤ空気圧が前回は
異常で今回は正常と判定していることから、フェイルセ
ーフ的観点から判定しきい値が僅かに大き過ぎる可能性
があることに鑑み、この場合、S574において学習補
正係数γが所定値0.05だけ小さく変更され、その後
S579を経てS546へ移行する。
【0170】一方、S573の判定結果がNoのとき、
前回と今回とで車速帯が異なるときは、S575におい
て、前前回の判定フラグH(i−2)が1か否か判定さ
れ、その判定結果がYesのとき、つまり、タイヤ空気圧
が前前回と前回が異常で、今回は正常と判定しているこ
とから、前記同様に、判定しきい値が僅かに大き過ぎる
可能性があることに鑑み、この場合、S574において
学習補正係数γが所定値0.05だけ小さく変更され、
その後S579を経てS546へ移行する。また、S5
75の判定結果がNoのときは、タイヤ空気圧が前前回
は正常、前回は異常、今回は正常と判定していることか
ら、学習補正係数γが略適正であると考えられるので、
S578において学習補正係数γが変更なしに保持さ
れ、その後S579を経てS546へ移行する。
【0171】2)第2変形例(図58参照) 尚、図58は、図54のフローチャートのうちの変更部
分を示すものである。次に、図58に基づいて説明する
と、S542においてタイヤ空気圧異常と判定される
と、S580において今回の判定フラグH(i)が1にセ
ットされ、次に前回の判定フラグH(i−1)が1か否か
判定され、その判定結果がYesのときは、S582にお
いて、前回のβ(i−1)と今回のβ(i)とが等しくないか
否か(つまり、前回のタイヤ空気圧判定のときの車速帯
と今回のタイヤ空気圧判定のときの車速帯とが異なるか
否か)の判定がなされ、その判定結果がYesのときに
は、異なる車速帯で続けて異常判定が出たことから、S
583においてタイヤ空気圧異常と判定され且つワーニ
ングランプ56が点灯状態に保持され、次にS585に
おいて学習補正係数γが変更なしに保持され、その後S
546へ移行する。
【0172】S582の判定結果がNoのときは前回と
今回とで車速帯が同じであるため、タイヤ空気圧異常と
断定し難いので、S584においてタイヤ空気圧が準異
常と判定され且つワーニングランプ56が点滅状態に保
持され、次にS585へ移行する。一方、S581の判
定結果がNoのとき、つまり、タイヤ空気圧が前回は正
常で、今回は異常のときには、S586において前回の
β(i−1)と今回のβ(i)とが等しいか否か判定され、そ
の判定結果がYesのときには、前回と今回とで車速帯が
同じであるのに、タイヤ空気圧が前回は正常で、今回は
異常と判定していることから、S584へ移行してタイ
ヤ空気圧が準異常と判定され且つワーニングランプ56
が点滅状態に保持される。
【0173】S586の判定結果がNoのときは、前回
と今回とで車速帯が異なるために今回の判定がタイヤ空
気圧異常となった可能性がある。そこで、S587にお
いて、前前回の判定フラグH(i−2)が1か否か判定さ
れ、その判定結果がNoで、前前回もタイヤ空気圧正常
と判定されていた場合には、タイヤ空気圧が低下した可
能性が高いことから、S584へ移行してタイヤ空気圧
が準異常と判定され且つワーニングランプ56が点滅状
態に保持される。
【0174】一方、S587の判定結果がYesのとき、
つまり、タイヤ空気圧が前前回は異常で、前回は正常、
今回は異常と判定していることから、判定しきい値が低
過ぎる可能性があることに鑑み、S588において学習
補正係数γが所定値0.05だけ大きく変更され、その
後S546へ移行する。このように、学習補正係数γを
導入し、前記のようなロジックで学習補正係数γを学習
していくことにより、タイヤ空気圧判定の誤判定の確率
を小さくすることができる。
【0175】III]第3別具体例 次に、前記第1別具体例の補償係数Cxの初期設定処理
の別具体例について、図59と図60のフローチャート
及び図61、図62を参照しつつ説明する。この係数C
xの初期設定処理は、初期設定スイッチ55がON操作
されると開始され、次に、スイッチ55のON操作の時
点からの経過時間を計時するタイマTがスタートされ、
且つ走行距離計からの信号に基づいてスイッチ55のO
N操作の時点からの走行距離をカウントする距離カウン
タDcが0にリセットされ(S601)、次に前記センサ
51〜54やスイッチ55からの信号をディジタル化し
た各種データが読み込まれ、4輪1〜4の車輪速Vw1
〜Vw4が演算され(S602)、次に、初期設定処理の
実行中を示す為に、ワーニングランプ56が点灯され、
且つタイヤ空気圧判定処理を禁止する為にフラグFが0
にリセットされる(S603)。
【0176】次に、S604において、タイマTのカウ
ントアップと距離カウンタDcのカウントアップとが実
行され、次に、係数Cxの初期設定条件が成立か否かの
判定が、S605〜S616のステップにおいて判定さ
れる。この初期設定条件としては、基本的に、自動車が
加減速状態でないこと、定常直進走行状態であって、車
速Vが前記実施例の図42に示す路面摩擦に応じて設定
された係数Cxの初期設定許可車速域に入っていること
が必要であるが、何れかの1輪にテンパータイヤを装着
した状態の時やカウト路面走行時には、初期設定処理が
円滑に実行されないので、これらの特定の場合にも、確
実に初期設定処理が実行されるようになっている。
【0177】先ず、S605において、車速Vが図42
に示す所定の車速域にあるか否かの判定が実行される
が、車速Vとしては、左右の従動輪(前輪1,2)の車輪
速Vw1,Vw2の平均値が適用される。S605の判定
の結果、YesのときはS606へ移行し、また、Noの
ときはS602へ戻る。S606では、タイマTの計時
時間Tが所定値T0以上か否か判定されるが、最初のう
ちはその判定結果がNoとなるので、次にS607で
は、距離カウンタDのカウント値Dcが所定値D0以上
か否か判定される。最初のうちはNoと判定されるた
め、S608に移行して初期設定スイッチ55が再度O
N操作された否か判定される。但し、最初は初期設定ス
イッチ55が再度ON操作されないため、最初のうちは
Noと判定されてS609へ移行する。
【0178】次に、S609では、車速Vの変化率が略
0か否か(つまり、定常走行状態か否か)判定され、Yes
のときはS610へ移行して舵角センサで検出される舵
角θhが略0か否か(つまり、直進走行状態か否か)判定
され、直進走行状態のときはS611へ移行する。S6
11では、図示の式に示すように、テンパータイヤの装
着状態を判定する為の異径輪判定変数Rが、左側の車輪
速Vw1,Vw3の合計と右側の車輪速Vw2,Vw4の合計
の差の絶対値の車速Vに対する比として演算され、その
異径輪判定変数Rが、所定のしきい値β以下か否か判定
される。
【0179】即ち、4輪共通常タイヤの場合には、定常
直進走行状態であれば、図61に示すように、異径輪判
定変数Rがしきい値β以下になるから、S611の判定
結果はYesとなる。しかし、3輪の通常タイヤに加えて
1輪のテンパータイヤを装着している状態では、左側の
車輪速Vw1,Vw3の合計と右側の車輪速Vw2,Vw4の
合計とが等しくないため、図62に示すように、異径輪
判定変数Rが所定しきい値βよりも大きくなるので、S
611の判定結果がNoとなり、S611からS614
へ移行する。
【0180】S610の判定結果がNoのときは、S6
12において舵角θhが所定値α以下か否か判定され、
その判定結果がNoのときは旋回中であるとして、S6
02へ戻る。S612の判定結果がYesのときは、カウ
ト路面を走行中か否か判定する為に、S613において
舵角θhが所定時間tα以上継続的に一定か否か判定され
る。但し、この判定は、実際には、複数回にわたる演算
処理により、タイマのスタートと、タイマスタート後の
フラグのセットと、タイマのカウントとを介して実行さ
れる。カウト路面を走行中でない場合にはS613の判
定結果はNoとなってS602へ移行するが、カウト路
面を走行中のときには、S613の判定結果がYesとな
る。そして、この場合にも、初期設定処理が可能となる
ように、S613でYesのときはS613からS611
へ移行する。
【0181】S611の判定結果がNoのときは、テン
パータイヤを装着しているか否か判定する為に、S61
4において、異径輪判定変数Rが所定時間以上継続的に
一定か否か判定される。但し、この判定は、実際には、
複数回にわたる演算処理により、タイマのスタートと、
タイマのスタート後のフラグのセットと、タイマのカウ
ントとを介して実行される。そして、テンパータイヤを
装着している場合には、定常直進走行状態であっても、
異径輪判定変数Rが所定時間以上継続的に一定となるの
で、この場合にも、初期設定処理が可能となるように、
S614でYesのときはS614から図60のS617
へ移行する。
【0182】一方、この初期設定処理開始後、所定時間
経過しても、又は、所定距離走行しても、初期設定処理
が未完了である場合、或いは、初期設定処理が完了しな
いために初期設定スイッチ55が再度ON操作された場
合には、以下のように、所定時間tαを小さく、また、
しきい値βを大きく補正することで、初期設定処理を完
了させる。
【0183】即ち、S606の判定の結果、タイマTの
計時時間Tが所定時間T0以上のときは、S616へ移
行して、所定時間tαが0.95tαに、また、しきい値
βが1.05βに書換えられてS602へ戻り、また、
S607の判定の結果、距離カウンタDcでカウントす
る走行距離Dcが所定値Dc0以上のときは、S616へ
移行して、所定時間tαが0.95tαに、また、しきい
値βが1.05βに書換えられてS602へ戻る。S6
08の判定の結果、初期設定スイッチ55が再度ON操
作された場合には、S615において、タイマTがリセ
ット後スタートされるとともに距離カウンタDcが0に
リセットされ、その後S16へ移行して、所定時間tα
が0.95tαに、また、しきい値βが1.05βに書
換えられてS602へ戻る。
【0184】次に、S611の判定結果がYesのとき、
又はS614の判定結果がYesのときは、図60のS6
17へ移行し、S617以降が実行される。S617に
おいて、タイヤの製作誤差や特性を加味してタイヤ交換
時等における4つのタイヤの初期状態を補償する為の係
数Cxが4輪の車輪速Vw1〜Vw4を用いて、一方の対
角線関係にある左前輪1と右後輪4の車輪速の和(Vw1
+Vw4)と、他方の対角線関係にある右前輪2と左後輪
3の車輪速の和(Vw2+Vw3)との比として、次式で演
算される。 係数Cx=(Vw1+Vw4)/(Vw2+Vw3) 次に、S618において、係数Cxが適正値か否か判定
されるが、タイヤの製作誤差によるタイヤ径の誤差が最
大0.3%であることから、係数Cxが略1の所定範囲
(例えば、0.95〜1.05)に入っている場合に、係
数Cxが適正値であると判定される。
【0185】係数Cxが適正値であるときには、S61
9において係数Cxの書き換え処理が実行され、前回の
係数Cx(i−1)が今回のCx(i)で書き換えられ、次に、
S620においてワーニングランプ56が消灯され且つ
タイヤ空気圧判定処理を許可する為にフラグFが1にセ
ットされ、その後S621へ移行する。一方、S618
の判定結果がNoのときは、S622において係数Cx
が、不定か否か判定され、不定のときにはS621へ移
行し、また、不定でないときには、S623においてワ
ーニングランプ56が所定時間(例えば、2秒間)点滅さ
れ、その後S621へ移行する。
【0186】S621においては、フラグFが1か否か
判定され、係数Cxの設定が完了してフラグFが1であ
るときには、この初期設定処理が終了するが、係数Cx
の設定が未完了でフラグFが0であるときには、図59
のS602へ戻る。但し、1回のスイッチ33のON操
作に基づいて、複数回の初期設定処理を実行して複数の
係数Cxを求め、それら複数の係数Cxの平均値から最終
の係数Cxを決定するように構成することも可能であ
る。以上のようにして、タイヤ交換時等における4つの
タイヤの初期状態を補償する為の係数Cxが決定され、
RAMのメモリに格納される。
【0187】尚、前記の初期設定処理において、S60
6、S607、S608における判定結果がYesのとき
には、S611に相当するステップにおいて、(R−δ)
が所定のしきい値γ以下か否か判定するように構成して
もよい。但し、δは略0.05β程度の所定値であり、
γは略βに等しいしきい値である(図62参照)。
【0188】IV]第4別具体例 次に、前記第1別具体例に適用可能なタイヤ空気圧判定
時期検知処理について、図63のフローチャートに基づ
いて説明する。前記第1別具体例では、自動車の走行中
には、常時タイヤ空気圧判定を実行するように構成した
が、この第4別具体例に係るタイヤ空気圧判定時期検知
処理からの指令に応じて、タイヤ空気圧判定を実行する
ように構成してもよい。
【0189】エンジンEnのイグニションスイッチの投
入とともにこの処理が開始されると、最初にS720に
おいて前記フラグFが1か否か判定され、フラグFが1
のときはS721においてこの処理に必要な各種データ
が読み込まれ、次に、S722においてフラグFoが1
か否か判定される。このフラグFoはS735でセット
されるものであって、最初は0なので、S723へ移行
して前記フラグFが0から1に切り換えられたか否か判
定され、初期設定処理の終了直後には、その判定結果が
Yesとなるので、S723からS724へ移行し、タイ
マTがスタートされ且つ走行距離計からの信号に基づい
て走行距離をカウントする距離カウンタDcがリセット
される。
【0190】次に、S725において、燃料タンクに燃
料を供給した回数をカウントするカウカンタFKがリセ
ットされてからS726へ移行する。一方、S723に
おける判定結果がNoのときにもS726へ移行し、S
726では、タイマTのカウントアップと距離カウンタ
Dcのカウントアップとが実行される。S727では、
燃料供給検知スイッチからの信号に基づいて、燃料供給
か否かの判定が実行され、NoのときはS729へ移行
し、YesのときはS728においてカウンタFKがイン
クリメントされてからS729へ移行する。但し、燃料
供給検知スイッチは、燃料タンクのフューエルキャップ
又はフューエルキャップの外側の開閉蓋が開かれたとき
にONとなるスイッチである。次に、S729では、タ
イマTKのカウント時間Tが所定値C1(例えば、30
日)以上か否か判定され、また、S730では、距離カ
ウンタDcのカウント値Dcが所定値(例えば、50Km)
以上か否か判定され、また、S731では、燃料供給回
数FKが所定値(例えば、2回)以上か否か判定される。
【0191】最初は、S729〜S731の判定結果が
Noとなるので、S732へ移行し、フラグFoが0にリ
セットされてS721へ戻るが、その後は、S721〜
S723を経てS726へ移行し、S726〜S731
が繰り返して実行され、そのうちに、S729、S73
0、S731の何れかの判定がYesとなると、S733
へ移行し、S733において、タイヤ空気圧判定処理を
実行すべき時期であることを報知する為に、また、ドラ
イバーにタイヤ空気圧の目視チェックを促す為に、ワー
ニングランプ56が所定時間(例えば、5秒)間点滅さ
れ、次にS734においてタイヤ空気圧判定処理を開始
させる開始指令が出力され、次にS735においてフラ
グFoが1にセットされ、その後S721へ移行する。
【0192】以上のタイヤ空気圧判定時期検知処理によ
り、タイヤ空気圧判定処理を実行すべき時期が検知され
てワーニングランプ56で表示され、自動車が走行中で
あれば、S734で出力される開始指令に基づいて、タ
イヤ空気圧判定処理が開始される。但し、自動車が停止
中の場合には、走行開始後にタイヤ空気圧判定処理が開
始される。前記S735においてフラグFoが1にセッ
トされてS721へ移行すると、S722の判定結果が
Yesとなるため、S724とS725を経てS726へ
移行するので、その時点以降の時間と走行距離と燃料供
給回数とがカウントされることになり、以下前記と同様
に繰り返すことになる。但し、初期設定処理を実行中に
は、フラグFoが0にリセットされるため、このタイヤ
空気圧判定時期検知処理は実行されない。
【0193】以上、本実施例に係る自動車(4輪駆動車)
の駆動系および制動系並びに車両に搭載されたタイヤ空
気圧警報装置について説明したが、上記4輪駆動車で
は、タイヤ空気圧に異常がある車輪(異常車輪)が走行中
に検出された場合には、その検出結果に応じて各車輪に
対し適切なトルク配分が行なわれるようになっている。
尚、このトルク配分制御は、上記トルクスプリットコン
トローラ35(図1参照)によって行なわれる。次に、本
願特有の異常車輪検出時における各車輪へのトルク配分
制御について、図64のフローチャートを参照しながら
説明する。制御がスタートすると、まず、ステップS8
01で、上記タイヤ空気圧警報装置からの各車輪1〜4
についての異常の有無などに関するデータ等、各種のデ
ータがトルクスプリットコントローラ35に入力され
る。そして、ステップS802で、各車輪1〜4にタイ
ヤ空気圧の低下に関するワーニングがあるか否か、つま
り異常車輪が検出されたか否かが判定される。これがN
Oの場合には、データ入力(ステップS801)及びワー
ニング有無の判定(ステップS802)が繰り返して実行
される。
【0194】上記ワーニングが有った場合(ステップS
802:YES)には、ステップS803で4輪のうち1
輪のみが異常であるか否かが判定され、これがYESの
場合には、ステップS804でその異常車輪(タイヤ空
気圧が低下している車輪)が前輪であるか否かが判定さ
れる。そして、異常車輪が前輪である場合(ステップS
804:YES)には、ステップS805で、後輪駆動
(FR)状態に固定される。すなわち、カットオフクラッ
チ26が接続され、かつ、フロント側の車輪クラッチ
7,8が切断された状態に固定され、パワープラントP
Tからの駆動力(トルク)は後輪3,4にのみ伝達され
る。また、異常車輪が前輪でない場合(ステップS80
4:NO)には、異常車輪は後輪であるので、ステップS
806で、前輪駆動(FF)状態に固定される。すなわ
ち、カットオフクラッチ26が切断され、かつ、フロン
ト側の車輪クラッチ7,8が接続された状態に固定さ
れ、パワープラントPTからの駆動力(トルク)は前輪
1,2にのみ伝達される。このように、上記タイヤ空気
圧警報装置が異常車輪を検出した際には、前輪側と後輪
側のうち上記異常車輪が存在する側への駆動力の伝達を
停止するようにに制御することにより、異常車輪への負
担を軽減することができる。
【0195】一方、検出された異常車輪が1輪のみでな
い場合(ステップS803:NO)には、ステップS80
7で2輪が異常であるか否かが判定され、これがNOの
場合には、更に、ステップS808で3輪以上に異常が
あるか否かが判定される。そして、この判定結果がYE
Sの場合には、ステップS809で、前輪駆動(FF)状
態に固定される。このように、異常車輪が3輪以上ある
場合には、前輪駆動(FF)状態、つまり、後輪3,4側
へのトルク伝達を禁止して前2輪の2輪駆動状態に固定
することにより、所謂アンダステア傾向が多少生じたと
してもオーバステア傾向が生じることを防止でき、特
に、3輪以上に異常が生じて直進性の十分な確保が難し
い場合あるいは車両旋回時などにおいて、操安性の確保
に寄与することができるのである。尚、上記ステップS
808での判定結果がNOの場合には、ステップS80
1に戻ってそれ以降のステップを繰り返す。
【0196】また、上記ステップS807での判定結果
がYESの場合(つまり、2輪が異常である場合)には、
ステップS810で後輪側の2輪が共に異常であるか否
かが判定され、これがYESの場合には、ステップS8
06を実行して、異常車輪(後輪3,4)の負担を軽減す
べく、前輪駆動(FF)状態に固定される。一方、ステッ
プS810での判定結果がNOの場合には、ステップS
811で前輪側の2輪が共に異常であるか否かが判定さ
れ、これがYESの場合には、ステップS812で、異
常車輪(前輪1,2)の負担を軽減すべく、後輪駆動(F
R)状態に固定される。
【0197】更に、上記ステップS811での判定結果
がNOの場合、つまり、2輪が異常であるがその異常車
輪が前後に別れている場合には、ステップS813で異
常車輪が左右同側であるか否かが判定され、YESの場
合には、ステップS814で前輪駆動(FF)状態に固定
される。すなわち、この場合は、左右いずれか片側2輪
についてタイヤ空気圧の異常が検出された場合であり、
車両の直進性が十分に確保し難くなるが、前2輪の2輪
駆動状態とすることにより、所謂アンダステア傾向が多
少生じたとしてもオーバステア傾向が生じることを防止
でき、操安性の確保に寄与することができる。
【0198】一方、上記ステップS813での判定結果
がNOの場合、つまり前後に別れた2つの異常車輪が左
右同側でない場合には、ステップS815で残りの車輪
が制御され、この場合にはトルク配分が通常よりも高く
なるように制御される。つまり、残りの2輪へのトルク
配分を高めるように制御することにより、異常車輪への
負担を相対的に軽減し、かつ、車両全体としては十分な
駆動力の確保を図ることができる。以上のように、上記
タイヤ空気圧警報装置が異常車輪を検出した際には、該
検出結果に応じて、各車輪に対するトルクの配分を変更
するように制御することにより、異常車輪の検出結果に
応じて(つまり、異常が検出された車輪の位置あるいは
数などに応じて)、適切なトルク配分を行うことができ
るのである。
【0199】尚、走行中に異常車輪が検出された際に
は、その位置や数に拘わらず前輪駆動(FF)状態に固定
するようにしても良い。この場合には、図65のフロー
チャートに示すように、ステップS821で、図64の
フローチャートにおけるステップS801と同様に、上
記タイヤ空気圧警報装置からの各車輪1〜4についての
異常の有無などに関するデータ等、各種のデータがトル
クスプリットコントローラ35に入力される。そして、
ステップS822で、各車輪1〜4にタイヤ空気圧の低
下に関するワーニングがあるか否か、つまり異常車輪が
検出されたか否かが判定され、これがNOの場合には、
ステップS824で、通常どおりのトルク配分制御が行
なわれる。
【0200】一方、異常車輪が検出された場合(ステッ
プS822:YES)には、カットオフクラッチ26が切
断され、かつ、フロント側の車輪クラッチ7,8が接続
された状態に固定され、パワープラントPTからの駆動
力(トルク)は前輪1,2にのみ伝達される前輪駆動(F
F)状態に固定される。このように、異常車輪が検出さ
れた場合には、前輪駆動(FF)状態、つまり、後輪3,
4側へのトルク伝達を禁止して前2輪の2輪駆動状態に
固定することにより、所謂アンダステア傾向が多少生じ
たとしてもオーバステア傾向が生じることを防止でき、
特に、左右同側の2輪に異常が生じて直進性の十分な確
保が難しい場合あるいは車両旋回時などにおいて、操安
性の確保に寄与することができるのである。
【0201】以上の実施例(第1実施例)は、4輪全てに
対してそれぞれ独立してトルク配分制御を行うことがで
きる4輪駆動車についてのものであったが、本発明は、
前後の車輪間についてのみトルク配分を行うことができ
るタイプの4輪駆動車についても、有効に適用すること
ができる。以下、本発明の第2実施例について説明す
る。図66は、本発明の第2実施例に係る自動車(4輪
駆動車)の駆動系(動力伝達系を含む)および制動系の全
体構成を例示する説明図である。まず、この図66によ
ってEMCDを用いた車両の動力伝達について説明す
る。この図に示すように車両Cの前部にはエンジン10
2が搭載されている。このエンジン102にはトランス
ミッション121が接続され、このトランスミッション
121にはトランスファ122が接続されている。この
トランスファ122には、エンジン102からの出力を
前輪W1側に伝えるフロントプロペラシャフト123お
よびエンジン102からの出力を後輪W2側に伝えるリ
ヤプロペラシャフト124が設けられている。エンジン
102の駆動力は、センターEMCD(電磁制御差動機:
Electro Mgnetic Control Differentialの略称)
101cを介してフロントプロペラシャフト123およ
びリヤプロペラシャフト124に伝動されるように構成
されている。
【0202】また、上記フロントプロペラシャフト12
3の前端部はフロントEMCD101fを介して前輪駆
動軸125に接続しており、リヤプロペラシャフト12
4の後端部はリヤEMCD101rを介して後輪駆動軸
126に接続している。上記各EMCD101として
は、例えば、従来から良く知られているものと同様のも
のが採用されている。すなわち、例えば図67にその一
例を示すように、EMCD1は、図外の駆動軸の回転を
伝動するデフケース111と、図外の第1回転軸に上記
駆動軸の回転を伝動する遊星キャリヤ112と、図外の
第2回転軸に同駆動軸の回転を伝動するサンギヤーー1
13とから基本構成されるいわゆる遊星ギヤー機構を差
動機構として利用している。
【0203】この遊星ギヤー機構に、二種類の電磁多板
クラッチ(パイロットクラッチ114aとメインクラッチ
114b)を内在させ、これらの電磁多板クラッチを電磁
石115を励磁することによって作動させて遊星キャリ
ヤ112とサンギヤー113とが共回りするようにロッ
クすることによって、第1回転軸と第2回転軸との差動
が制限されるようになされている。つまり、電磁石11
5を励磁すると、電磁石115は左方の鉄塊117を吸
い寄せ、パイロットクラッチ114aを押圧しながらデ
フケース111を右方に移動させ、デフケース111の
右方への移動によってメインクラッチ114bをも締結
し、デフケース111と遊星キャリヤ112、およびデ
フケース111とサンギヤー113とは押圧リング11
6による押圧力も受け、互いに共回りするいわゆるデフ
ロックされた状態になる。尚、図67では、所謂、遊星
ギヤー機構のEMCD101について説明したが、この
代わりに、古くからあるピニオン・リングギヤー方式の
差動機に電磁クラッチが付設された電磁制御差動機を用
いても良い。
【0204】そして、前輪W1および後輪W2には、各
車輪を対象として回転速度検出センサが設けられており
(前輪W1には二基の前輪回転速度検出センサR1(左前
輪W11には左前輪回転速度検出センサR11、右前輪
W12には右前輪回転速度検出センサR12)が設けら
れ、後輪W2には二基の後輪回転速度検出センサR2
(左後輪W21には左後輪回転速度検出センサR21、
右後輪W22には右後輪回転速度検出センサR22)が
設けられている)、それぞれの車輪の回転速度は別個に
検出可能とされている。
【0205】また、運転席足下のブレーキペダル近傍に
は、制動操作が行われたか否かを検出するブレーキ状態
検出スイッチ131が、エンジン102の内部にはスロ
ットルの状態を検出するスロットル状態検出センサ13
2がそれぞれ設けられている。このスロットル状態検出
センサ132によりエンジン102のスロットル開度が
検出される。
【0206】このような車両の駆動力伝達機構を自動制
御するために制御装置104が搭載されている。この制
御装置104の内部には、エンジン102の駆動を制御
するエンジンコントロールユニット141と、各回転速
度検出センサRからの信号の制御装置104への入力を
中継する後述のアンチスキッドブレーキ装置用のコント
ロールユニット(以下、ABSコントロールユニットと
略称する)142と、各EMCD101に適正な差動制
御のための指示信号を発進する差動コントロールユニッ
ト143が備えられている。制御装置104には電源と
してのバッテリー145が接続されている。
【0207】上記エンジンコントロールユニット141
には、スロットル状態検出センサ132からのスロット
ル開度信号が入力され、上記ABSコントロールユニッ
ト142には各回転速度検出センサSからの車輪の回転
速度信号が入力され、これらを経由して差動コントロー
ルユニット143に上記各検出信号は入力される。上記
差動コントロールユニット143には、各EMCD10
1の各種差動制限のためにあらかじめ用意された複数の
モードの選択を行う選択スイッチ144が接続されてい
る。
【0208】このエンジンコントロールユニット141
には、スロットル状態検出センサ132からスロットル
開度信号、ブレーキ状態検出スイッチ131からブレー
キ信号、ABSコントロールユニット142からアンチ
スキッドブレーキ装置が作動しているか否かを示すAB
S信号、各車輪(前輪W1および後輪W2)の回転速度お
よび選択スイッチ144からの選択モード信号がそれぞ
れ入力される。
【0209】これらの入力信号値に基づいて、差動コン
トロールユニット143からセンターEMCD101
c、フロントEMCD101fおよびリヤEMCD101
rに向かって、図67に示す電磁石115を励磁するた
めの所定の値に設定された電流(センター電流、フロン
ト電流およびリヤ電流)が出力される。この差動コント
ロールユニット143から出力される電流値の強弱に応
じて各EMCD101は、概略アンロック状態、中間ロ
ック状態および完全ロック状態の差動状態の切り換え制
御が達成される。また、差動コントロールユニット14
3からABSコントロールユニット142にABS制御
禁止信号が発進されることもある。
【0210】図68は、図67に示す電磁石115に供
給される電流値I(A)と、駆動軸から伝動される第1回
転軸と第2回転軸との間のロック状態を表すロックトル
クF(Nm)との関係を示すグラフである。なお、センタ
ーEMCD101cを対象に考えた場合は、駆動軸はエ
ンジンのクランクシャフト、第1回転軸と第2回転軸と
はフロントプロペラシャフト123とリヤプロペラシャ
フト124とみなすことができ、フロントEMCD10
1fを対象に考えた場合は、駆動軸はフロントプロペラ
シャフト123、第1回転軸と第2回転軸とは左右の前
輪駆動軸125とみなすことができ、リヤEMCD10
1rを対象に考えた場合は、駆動軸はリヤプロペラシャ
フト124、第1回転軸と第2回転軸とは左右の後輪駆
動軸126とみなすことができる。
【0211】この図から判る通り、電磁石115に供給
される電流値IとロックトルクFとの間にはほぼ良好な
比例関係が存在するため、電磁石115に通電する電流
値を制御することによって、極めて容易に第1回転軸と
第2回転軸との差動の制限の度合いを制御することが可
能である。
【0212】つぎに、表2を参照しながら選択スイッチ
144によって選択された各モードにおける制御内容の
一例について説明する。
【0213】
【表2】
【0214】この表に示すように、選択スイッチ144
の「Aモード」においては、フロントEMCD101fが
アンロック状態、センターEMCD101cとリヤEM
CD101rとがオートモード制御とされる。「Cモー
ド」においては、フロントEMCD101fがアンロック
状態、センターEMCD101cが完全ロック状態、リ
ヤEMCD101rがオートモード制御とされる。「Rモ
ード」においては、フロントEMCD101fがアンロッ
ク状態、センターEMCD101cとリヤEMCD10
1rとが完全ロック状態とされる。「Fモード」において
は、フロントEMCD101f、センターEMCD10
1cおよびリヤEMCD101rのすべてが完全ロック状
態とされる。ここで、Ifはフロント電流、Icはセンタ
ー電流、Irはリヤ電流である。また、数値はその電流
値をそれぞれ表しており、各EMCD101に設けられ
た図67に示す電磁石115にこれらの値の電流が供給
パイロットクラッチ114aおよびメインクラッチ11
4bが作用して完全な差動制限(完全ロック状態)が実現
する。完全ロックのときの電流値がそれぞれ異なるの
は、それぞれのEMCD101の特性による。101の
特性による。
【0215】上記各モードは、運転者により任意に選択
される。「Aモード」においては、フロントEMCD10
1fがアンロック状態とされているため、駆動性に影響
が少なく、操作性が優れており、市街地などの一般道路
を走行する、いわゆるオンロード走行に適している。片
や、「Fモード」においては、フロントEMCD101
f、センターEMCD101cおよびリヤEMCD101
rのすべてが完全に差動制限が付された完全ロック状態
とされているため、操作性は低下するが駆動性に優れて
おり、悪路などを走行する、いわゆるオンロード走行に
適している。「Cモード」および「Rモード」は、これらの
間の特性を有し、運転者の好みに応じて選択される。
【0216】「Aモード」においては、通常は各EMCD
101の電磁石115には電流が供給されないアンロッ
ク状態とされている。そして、走行中は各車輪(左前輪
W11、右前輪W12、左後輪W21および右後輪W2
2)の回転速度(左前輪回転速度N11、右前輪回転速度
N12、左後輪回転速度N21および右後輪回転速度N
22)はそれぞれ専用の回転速度検出センサ(左前輪回転
速度検出センサR11、右前輪回転速度検出センサR1
2、左後輪回転速度検出センサR21および右後輪回転
速度検出センサR22)によって検出され、逐一ABS
コントロールユニット142に入力されている。上記回
転速度のうちの最低値が車体速度Vspとして定義され
る。
【0217】そして、以下の計算式によってセンターE
MCD101cの差動回転数ΔNcとΔNrとが演算され
る。 ΔNc=|(N11+N12)−(N21+N22)|/2 ΔNr=|N21−N22| 上記ΔNc値は前輪W1と後輪W2との回転数の違いを
表す値であり、上記ΔNr値は左後輪W21と右後輪W
22との回転数の違いを表す値である。これらの値が予
め設定された値よりも大きいときは、悪路を走行中にス
リップなどを起こし、車輪の回転が安定していない状態
を示しているため、このようなときに所定の計算式に基
づいてセンター電流Icおよびリヤ電流Irが決定され、
その値の電流がセンターEMCD101cおよびリヤE
MCD101rに供給されるから、この電流値に応じた
差動制限が行われる。
【0218】つぎに、表3を参照してブレーキ状態検出
スイッチ131およびABS装置が作動した場合の制御
内容について説明する。
【0219】
【表3】
【0220】ABS装置は、車体の速度と各車輪の回転
速度に基づいて各車輪のスキッド状態を検出し、このス
キッド状態に応じて制動時における車輪の作動制限状態
を打ち消すように各車輪の制動力を制御している。しか
しながら、フロントEMCD101f、センターEMC
D101cおよびリヤEMCD101rを有する車両にお
いては、これらのいずれかが完全ロック状態とされた場
合、車体の速度が推定できなくなり、そのため適切なA
BS制動を行うことが困難となる。このため、本発明に
おいては、ブレーキ状態検出スイッチ131およびAB
S装置が作動した場合、表3に示したような制御を行う
ようにしている。
【0221】まず「Aモード」においては、ブレーキが作
動した場合、すなわちブレーキ信号ONの場合、「If=
0、Ic=0、Ir=0」と設定し、フロントEMCD1
01f、センターEMCD101cおよびリヤEMCD1
01rのすべてをアンロック状態とする。また、「Fモー
ド」においては、ABS制御は行わない。「Cモード」お
よび「Rモード」においては、表3に示すような「Aモー
ド」と「Fモード」との中間的な制御が行われる。
【0222】以上、本第2実施例に係る4輪駆動車の駆
動系および制動系、更に、EMCD101が設けられた
差動制限の制御について説明したが、次に、このような
差動制限装置の一つの具体例について説明する。尚、こ
の具体例は、例えば、すでに実行されている差動制限を
解除する際、車体に横振れや振動を与えない状態でスム
ーズに実施することができるようにしたものである。上
記制御装置104の内部に形成された差動コントロール
ユニット143内には、各EMCD101(フロントE
MCD101f、センターEMCD101cおよびリヤE
MCD101r)への通電状態を漸減遮断する供給電流漸
減手段143aが設けられている。供給電流漸減手段1
43aは供給電流の遮断に際し、電流値を漸減させて最
終的に供給を遮断するように作用する。
【0223】図69はこの状態を説明するためのグラフ
である。このグラフの上側にはイグニッションスイッチ
のON、OFF状態が示され、同グラフの下側には時間
の経過とEMCD101に供給される電流値との関係が
示されている。尚、従来、イグニッションスイッチ10
5が切られると(ONからOFFになると)、EMCD1
01に供給されていた電流は、同グラフの点線で示すよ
うに瞬時に0になっていたが、本実施例では、より好ま
しくは、傾斜した実線で示すように、EMCD101へ
供給されていた電流はイグニッションスイッチ105断
から順次漸減するようにEMCD101への通電が継続
され、所定時間経過後電流値は0になるようにされてい
る。このような通電量を漸減させる働きは供給電流漸減
手段143aが担当している。尚、この供給電流漸減手
段143aは、内部に所定容量の電気抵抗、コンデン
サ、ソレノイドあるいは各種の電子素子が組み込まれた
電子回路で形成され、時間の経過に伴って電流値が漸減
するとともに、通電が遮断されてからも残留電流がなく
なるまで徐々に減衰しながら対象物に供給されるように
構成された公知のものが適用されている。
【0224】上記各EMCD101へ流されている電流
は、大きく分類して、イグニッションスイッチ105を
切って車両のすべての電気系統の通電を遮断したとき
と、前期選択スイッチ144を操作して差動制限制御の
モードを変更したときにその供給が遮断される。上記モ
ード変更においては、例えばFモードからRモードに変
更があったときは、センターEMCD101cとリヤE
MCD101rとは差動制限は解除されないから、それ
らへの通電はそのまま継続されるが、フロントEMCD
101fは差動制限が解除されるため、フロントEMC
D101fへの通電は遮断される。どのEMCD101
の通電が遮断されるかについては、前掲の表2を基にし
て、現モードと変更後のモードとの制御内容を対比する
ことによって知ることができる。実際のモード変更操作
においては、制御装置104はどのEMCD101が電
流の通電遮断が必要かを判断し、対象となるEMCD1
01への通電を遮断するように構成されている。
【0225】従って、イグニッションスイッチ105を
切ったときには、イグニッションスイッチ断信号が制御
装置104内の供給電流漸減手段143aに入力され、
現に通電されているEMCD101を対象として供給電
流漸減手段143a経由で通電の遮断が行われる。ま
た、選択スイッチ144が操作され、差動制限制御のモ
ードの変更が行われたときは、その上方は選択スイッチ
144から制御装置104に入力され、どのEMCD1
01の通電を遮断するかの解読がなされ、対象となるE
MCD101への通電遮断が供給電流漸減手段143a
経由で実行される。
【0226】つぎに、複数のEMCD101(フロント
EMCD101f、センターEMCD101cおよびリヤ
EMCD101r)に対しては、通電遮断を時間差をもっ
て順次行うように構成されている。そのために遮断順序
制御手段が供給電流漸減手段143aの内部機構として
設けられている。そして、車軸の循環トルク(差動によ
る回転差によって生じたねじれ力)の小さいものから順
次通電の漸減を開止し、通電遮断の完了は循環トルクの
最も大きいものが最後になるように設定されている。具
体的には、通常フロントEMCD101f、センターE
MCD101cおよびリヤEMCD101rの順序で通電
の遮断が実行されることが多いが、逐一車軸の循環トル
クを検出し、それに小さい順に通電遮断するように構成
することもできる。
【0227】また、制御装置104の内部には、イグニ
ッションスイッチ105が切られ、EMCD101への
通電を漸減遮断する過程において、再度イグニッション
スイッチ105が入れられ、車両の電気系統への通電が
再開されるような場合に、通常ならば前述の選択モード
に従って各EMCD101へも通電されるが、各動力伝
達軸(フロントプロペラシャフト123,リヤプロペラシ
ャフト124,前輪駆動軸125あるいは後輪駆動軸1
26)に大きな循環トルクが形成している場合には、そ
のトルクを完全に開放させるためにEMCD101への
漸減電流の通電を、電流が減衰してしまうまで継続する
通電継続制御手段143bが設けられている。このた
め、各車軸にはその車軸の循環トルクを検出するトルク
センサ106が設けられ、このトルクセンサ106が検
出した各車軸の循環トルクの値は、制御装置104内の
通電継続制御手段143bに入力されるように構成され
ている。このトルクセンサ106の検出トルク値が予め
設定された基準設定値よりも大きい場合には、供給電流
漸減手段143a経由の通電遮断の制御が、一旦切り換
えられて通電継続制御手段143bに引き渡され、この
通電継続制御手段143b経由で再度対象となるEMC
D101に電流が減衰してしまうまで通電が行われる。
この通電は、通電継続制御手段143b内に内蔵された
図示のないタイマーに予め設定された時間だけ行われ、
その後また制御は供給電流漸減手段143aに引き渡さ
れる。このような操作の間に、車軸に溜められた循環ト
ルクは開放される。
【0228】また、制御装置104の内部には、より好
ましくは、供給電流漸減手段143aとは別に電磁クラ
ッチ114a,114bに対する電流値漸減速度を大きく
させるように制御する電流漸減速度制御手段143cが
設けられている。これは、電磁クラッチへの通電遮断
と、車両の他のユニット(例えば、ヘッドライトやエア
コンディショナー)への通電とが同時に行われる場合に
は、電力の消費が大きくなりすぎてバッテリーの消耗が
急速に起こるいわゆる「バッテリーあがり」を防止するた
めである。このため、図示せざる他ユニットへ通電した
ことを示す信号は制御装置104内の電流漸減速度制御
手段143cに伝達されるように構成されており、この
他ユニットへの通電を示す信号が電流漸減速度制御手段
143cに入力されている状態でEMCD101への通
電が遮断される場合には、EMCD1への通電遮断は電
流漸減速度制御手段143c経由で行われ、供給電流漸
減手段143a経由の場合よりも電流値の漸減速度は速
くされる。
【0229】また、制御装置104の内部には、より好
ましくは、エンスト発生時にそれを検知した場合には、
電磁クラッチへの通電を一挙に遮断するように制御する
エンスト時制御手段143dが設けられている。エンス
トが発生したときには、通常エンジン再スタートのため
にイグニッションスイッチ105を入れて図示のないセ
ルモータを駆動させることが行われるが、セルモータの
消費電力は極めて大きく、これとの同時通電は「バッテ
リーあがり」の原因になるため、これを防止する目的で
上記エンスト時制御手段143dが設けられている。ま
た、エンスト時にエンジン始動装置(セルモータ)を利用
して車両を安全領域に退避させる際に、バッテリー14
5の消耗を防止することができる。そして、上記エンス
ト時制御手段143dは、エンスト発生と同時にイグニ
ッションスイッチ105が切られた状態を検出したとき
は、電磁クラッチ114a,114bへの通電状態遮断は
供給電流漸減手段143aを介して行われるように構成
されている。これによって、上記退避時以外の場合に、
通電状態が瞬時に遮断されることによる異音の発生を防
止することができる。
【0230】以上、本発明の第2実施例に係る自動車
(4輪駆動車)の駆動系および制動系について説明した
が、本第2実施例に係る4輪駆動車にも、第1実施例で
説明したものと同様のタイヤ空気圧警報装置が搭載され
ており、タイヤ空気圧に異常がある車輪(異常車輪)が走
行中に検出された場合には、その検出結果に応じて各車
輪に対し適切なトルク配分(換言すれば差動制限制御)が
行なわれるようになっている。次に、本第2実施例にお
ける異常車輪検出時の各車輪へのトルク配分制御につい
て、図70のフローチャートを参照しながら説明する。
尚、この図70のフローチャートにおけるステップS9
51〜ステップS962までの各ステップは、前述の図
64のフローチャートにおけるステップS801〜ステ
ップS812の各ステップとそれぞれ類似したものであ
る。
【0231】制御がスタートすると、まず、ステップS
951で、タイヤ空気圧警報装置からの各車輪1〜4に
ついての異常の有無などに関するデータ等、各種のデー
タが差動コントロールユニット143に入力される。そ
して、ステップS952で、各車輪1〜4にタイヤ空気
圧の低下に関するワーニングがあるか否か、つまり異常
車輪が検出されたか否かが判定される。これがNOの場
合には、データ入力(ステップS951)及びワーニング
有無の判定(ステップS952)が繰り返して実行され
る。
【0232】上記ワーニングが有った場合(ステップS
952:YES)には、ステップS953で4輪のうち1
輪のみが異常であるか否かが判定され、これがYESの
場合には、ステップS954でその異常車輪(タイヤ空
気圧が低下している車輪)が前輪であるか否かが判定さ
れる。そして、異常車輪が前輪である場合(ステップS
954:YES)には、ステップS955で、後輪駆動
(FR)状態に固定される。すなわち、フロントEMCD
101fがアンロック状態とされ、かつ、センターEM
CD101c及びリヤEMCD101rが完全ロック状態
に固定される。また、異常車輪が前輪でない場合(ステ
ップS954:NO)には、異常車輪は後輪であるので、
ステップS956で、前輪駆動(FF)状態に固定され
る。すなわち、フロントEMCD101fが完全ロック
状態とされ、かつ、センターEMCD101c及びリヤ
EMCD101rがアンロック状態に固定される。この
ように、上記タイヤ空気圧警報装置が異常車輪を検出し
た際には、前輪側と後輪側のうち上記異常車輪が存在す
る側への駆動力の伝達を停止するように制御することに
より、異常車輪への負担を軽減することができる。
【0233】一方、検出された異常車輪が1輪のみでな
い場合(ステップS953:NO)には、ステップS95
7で2輪が異常であるか否かが判定され、これがNOの
場合には、更に、ステップS958で3輪以上に異常が
あるか否かが判定される。そして、この判定結果がYE
Sの場合には、ステップS959で、前輪駆動(FF)状
態に固定される。このように、異常車輪が3輪以上ある
場合には、前輪駆動(FF)状態、つまり、後輪3,4側
へのトルク伝達を禁止して前2輪の2輪駆動状態に固定
することにより、所謂アンダステア傾向が多少生じたと
してもオーバステア傾向が生じることを防止でき、特
に、3輪以上に異常が生じて直進性の十分な確保が難し
い場合あるいは車両旋回時などにおいて、操安性の確保
に寄与することができるのである。尚、上記ステップS
958での判定結果がNOの場合には、ステップS95
1に戻ってそれ以降のステップを繰り返す。
【0234】また、上記ステップS957での判定結果
がYESの場合(つまり、2輪が異常である場合)には、
ステップS960で後輪側の2輪が共に異常であるか否
かが判定され、これがYESの場合には、ステップS9
56を実行して、異常車輪(後輪3,4)の負担を軽減す
べく、前輪駆動(FF)状態に固定される。一方、ステッ
プS960での判定結果がNOの場合には、ステップS
961で前輪側の2輪が共に異常であるか否かが判定さ
れ、これがYESの場合には、ステップS962で、異
常車輪(前輪1,2)の負担を軽減すべく、後輪駆動(F
R)状態に固定される。
【0235】更に、上記ステップS961での判定結果
がNOの場合、つまり、2輪が異常であるがその異常車
輪が前後に別れている場合には、ステップS963で前
輪駆動(FF)状態に固定される。すなわち、この場合に
は、後輪3,4側へのトルク伝達を禁止して前2輪の2
輪駆動状態に固定することにより、所謂アンダステア傾
向が多少生じたとしてもオーバステア傾向が生じること
を防止でき、特に、左右同側の2輪に異常が生じて直進
性の十分な確保が難しい場合あるいは車両旋回時などに
おいて、操安性の確保に寄与することができる。以上の
ように、本第2実施例においても、上記タイヤ空気圧警
報装置が異常車輪を検出した際には、該検出結果に応じ
て、各車輪に対するトルクの配分を変更するように制御
することにより、異常車輪の検出結果に応じて(つま
り、異常が検出された車輪の位置あるいは数などに応じ
て)、前輪側と後輪側とに適切なトルク配分を行うこと
ができるのである。
【0236】尚、本第2実施例においても、走行中に異
常車輪が検出された際には、その位置や数に拘わらず前
輪駆動(FF)状態に固定するようにしても良い。この場
合には、図65のフローチャートに示された各ステップ
と同様のステップを順次実行することにより、異常車輪
検出時には、常に前輪駆動(FF)状態とすることができ
る。すなわち、前2輪での2輪駆動状態に固定すること
により、所謂アンダステア傾向が多少生じたとしてもオ
ーバステア傾向が生じることを防止でき、特に、左右同
側の2輪に異常が生じて直進性の十分な確保が難しい場
合あるいは車両旋回時などにおいて、操安性の確保に寄
与することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る4輪駆動車の駆動
系およびその制御システムを示す全体構成図である。
【図2】 上記4輪駆動車の駆動系の制御動作のメイン
ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】 上記駆動系のクラッチの締結度決定制御のサ
ブルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図4】 上記クラッチの締結度決定制御のサブルーチ
ンを示すフローチャートの残部である。
【図5】 上記締結度決定制御で用いられるマップを示
す説明図である。
【図6】 上記締結度決定制御で用いられるマップを示
す説明図である。
【図7】 上記締結度決定制御で用いられるマップを示
す説明図である。
【図8】 上記締結度決定制御で用いられるマップを示
す説明図である。
【図9】 上記締結度決定制御で用いられるマップを示
す説明図である。
【図10】 上記制御の具体的動作を示すタイムチャー
ト図である。
【図11】 上記駆動系のクラッチ制御のサブルーチン
を示すフローチャートの一部である。
【図12】 上記駆動系のクラッチ制御のサブルーチン
を示すフローチャートの残部である。
【図13】 上記4輪駆動車の制動系およびタイヤ空気
圧警報装置を説明するための全体構成図である。
【図14】 上記タイヤ空気圧警報装置における車輪速
センサの検出信号読込み処理のフローチャートの一部で
ある。
【図15】 上記車輪速センサの検出信号読込み処理の
フローチャートの残部である。
【図16】 タイヤ空気圧判定処理のフローチャートの
一部である。
【図17】 タイヤ空気圧判定処理のフローチャートの
残部である。
【図18】 割り込み処理による旋回判定処理のフロー
チャートである。
【図19】 割り込み処理による加減速処理のフローチ
ャートである。
【図20】 割り込み処理による低μ路判定処理のフロ
ーチャートである。
【図21】 割り込み処理による悪路判定処理のフロー
チャートである。
【図22】 初期値設定処理のフローチャートである。
【図23】 車輪速パルスのタイムチャートである。
【図24】 旋回、加減速、低μ路のときのデータ検出
タイミングのタイムチャートである。
【図25】 悪路のときのデータ検出タイミングのタイ
ムチャートである。
【図26】 車輪400回転分のデータ検出タイミング
のタイムチャートである。
【図27】 車輪1回転の平均時間(車輪速データ)のタ
イムチャートである。
【図28】 判定変数と判定変数初期値との差(D−D
0)のタイムチャートである。
【図29】 第1変形例に係る車輪速データ適否判定ル
ーチンのフローチャートである。
【図30】 スリップ率とそのなまし値とデータ採否を
示すタイムチャートである。
【図31】 第2変形例に係る車輪速データ適否判定ル
ーチンのフローチャートである。
【図32】 第3変形例に係る車輪速データ適否判定ル
ーチンのフローチャートである。
【図33】 第4変形例に係る車輪速データ適否判定ル
ーチンのフローチャートである。
【図34】 第5変形例に係る車輪速データ適否判定ル
ーチンのフローチャートである。
【図35】 第6変形例に係る車輪速データ適否判定ル
ーチンのフローチャートである。
【図36】 第7変形例に係る判定変数設定ルーチンの
フローチャートである。
【図37】 第8変形例に係る判定変数設定ルーチンの
フローチャートである。
【図38】 第1別具体例に係るタイヤ空気圧判定制御
の係数Cxの初期設定処理のフローチャートである。
【図39】 第1別具体例に係るタイヤ空気圧判定制御
のタイヤ空気圧判定処理のフローチャートである。
【図40】 図39のタイヤ空気圧判定サブルーチンの
フローチャートである。
【図41】 悪路指数演算処理のフローチャートであ
る。
【図42】 係数Cxの初期設定許可車速域のマップを
示す図である。
【図43】 タイヤ空気圧判定許可車速域のマップを示
す図である。
【図44】 タイヤ空気圧正常時の空気圧判定変数Eの
挙動を示す線図である。
【図45】 タイヤ空気圧異常時の空気圧判定変数Eの
挙動を示す線図である。
【図46】 第1変形例のタイヤ空気圧判定制御におけ
る図2相当図である。
【図47】 第1変形例のタイヤ空気圧判定処理のサブ
ルーチンのフローチャートである。
【図48】 第2変形例のタイヤ空気圧判定制御におけ
るパルス信号読込み処理のフローチャートである。
【図49】 第2変形例のタイヤ空気圧判定処理のフロ
ーチャートである。
【図50】 第3変形例の条件成立判定サブルーチンの
フローチャートの一部である。
【図51】 第3変形例の条件成立判定サブルーチンの
フローチャートの残部である。
【図52】 第2別具体例に係るタイヤ空気圧判定の係
数Cxの初期設定処理のフローチャートである。
【図53】 第2別具体例に係るタイヤ空気圧判定制御
のタイヤ空気圧判定処理のフローチャートである。
【図54】 図53のタイヤ空気圧判定サブルーチンの
フローチャートである。
【図55】 補正係数αの特性図である。
【図56】 補正係数βの特性図である。
【図57】 第1変形例のタイヤ空気圧判定サブルーチ
ンの部分のフローチャートである。
【図58】 第2変形例のタイヤ空気圧判定サブルーチ
ンの部分のフローチャートである。
【図59】 第3別具体例に係るタイヤ空気圧判定の係
数Cxの初期設定処理のフローチャートの一部である。
【図60】 第3別具体例に係るタイヤ空気圧判定の係
数Cxの初期設定処理のフローチャートの残部である。
【図61】 第3別具体例における異径輪判定変数Rの
タイムチャートである。
【図62】 第3別具体例における異径輪判定変数Rの
タイムチャートである。
【図63】 第4別具体例に係るタイヤ空気圧判定時期
検知処理のフローチャートである。
【図64】 上記4輪駆動車における各車輪へのトルク
配分制御を説明するためのフローチャートである。
【図65】 上記トルク配分制御の変形例を説明するた
めのフローチャートである。
【図66】 本発明の第2実施例に係る4輪駆動車の駆
動系および制動系を示す説明図である。
【図67】 第2実施例に係る4輪駆動車の電磁制御差
動機の一例を示す断面説明図である。
【図68】 上記電磁制御差動機に供給される電流値と
ロックトルクとの関係を示すグラフである。
【図69】 イグニッションスイッチがONからOFF
に移行したときの上記電磁制御差動機に供給される電流
の経時変化を例示するグラフである。
【図70】 上記第2実施例に係る4輪駆動車における
前後輪へのトルク配分制御を説明するためのフローチャ
ートである。
【符号の説明】
1,2,W1,W11,W12…前輪 3,4,W2,W21,W22…後輪 7,8,27,28…車輪クラッチ 26…カットオフクラッチ 35…トルクスプリットコントローラ 50…タイヤ空気圧警報装置のコントロールユニット 56…ワーニングランプ 143…差動コントロールユニット

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各車輪のタイヤ空気圧の異常を検出する
    異常車輪検出手段を備えた4輪駆動車の制御装置であっ
    て、 少なくとも前後の車輪間での駆動力の配分を可変制御す
    る可変制御手段を有し、上記異常車輪検出手段が異常車
    輪を検出した際には、該検出結果に応じて、少なくとも
    前後の車輪間での駆動力の配分を変更するように制御す
    ることを特徴とする4輪駆動車の制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された4輪駆動車の制御
    装置において、上記異常車輪検出手段が異常車輪を検出
    した際には、前輪側と後輪側のうち上記異常車輪が存在
    する側への駆動力の配分を低下させるように制御するこ
    とを特徴とする4輪駆動車の制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された4輪駆動車の制御
    装置において、上記異常車輪検出手段が異常車輪を検出
    した際には、後輪側への駆動力の伝達を禁止し、前輪側
    へのみ駆動力を配分するように制御することを特徴とす
    る4輪駆動車の制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載された4輪駆動車の制御
    装置において、上記異常車輪検出手段が4輪のうち2輪
    について異常を検出した際には、残りの2輪への駆動力
    の配分を高めるように制御することを特徴とする4輪駆
    動車の制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載された4輪駆動車の制御
    装置において、上記異常車輪検出手段が左右いずれか片
    側の2輪について異常を検出した際には、後輪側への駆
    動力の伝達を禁止し、前輪側へのみ駆動力を配分するよ
    うに制御することを特徴とする4輪駆動車の制御装置。
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