JPH0719584Y2 - カートリッジ式塗布具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、揮発性塗料、インキ、接着剤、油等の適宜流
状塗料を塗布するカートリッジ式塗布具に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

カートリッジ式塗布具として、例えば、カートリッジ先
端の流出口に蓋付中栓を嵌合し、カートリッジ先端に係
止される前軸内に該蓋付中蓋と対向して配置されたポン
チにより蓋付中栓を開蓋して、前軸先端に設けた塗布部
材にカートリッジ内の流体塗料を含浸させて使用可能と
なしたものが、実公昭61−43580号公報に開示されてい
る。

このカートリッジ式塗布具は、塗布部材のホルダを前軸
内周に嵌合するポンチにて前軸に固定し、該前軸をカー
トリッジ先端に螺入しながらポンチにより蓋付中栓を開
蓋して、カートリッジ内の流状塗料を塗布部材に含浸せ
しめるようにしているため、ポンチが蓋付中栓を開蓋す
る前にポンチ外周面を圧接するリング状シールを蓋付中
栓の内周面に突接するとともに、ポンチに形成した鍔部
に蓋付中栓と圧接するリング状シールを突接して、カー
トリッジ先端と前軸との螺合部から液洩れすること及び
空気の侵入を防止している。

〔考案が解決しようとする課題〕

したがって、ポンチにて蓋付中栓を開蓋する迄、例え
ば、輸送、販売過程にあっては、蓋付中栓がカートリッ
ジ先端の流出口に単に嵌合されたままの状態であるた
め、輸送による振動や、カートリッジ内の圧力が上昇し
たような場合に、蓋付中栓がカートリッジの流出口から
外れて前軸とカートリッジとの間から液洩れを生ずるこ
とがある。また蓋付中栓の内周面にリング状シールを突
接形成するため、蓋付中栓の製造が面倒であり、さらに
前軸を螺入しながら蓋付中栓を開蓋するため、相当な力
で、前軸を螺入しなければならず、しかもポンチの鍔部
に形成したリング状シールが、蓋付中蓋に圧接する迄、
前軸を螺入しなければならない。

本考案は、これらの点に鑑みなされたもので、請求項１
の目的は、輸送、販売時でも蓋付中栓の外れを防止で
き、また蓋付中栓の製造が容易であって、かつ簡単な操
作で蓋付中栓を開蓋できるカートリッジ式塗布具を提供
するものであり、請求項２の目的は、前記課題を解決す
るとともに、使用における塗布部材の塗料の固化を防止
できるカートリッジ式塗布具を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の請求項１は、カートリッジ先端の流出口に蓋付
中栓を嵌合し、カートリッジ先端に係止される前軸内に
該蓋付中栓と対向して配置されたポンチにより蓋付中栓
を開蓋して、前記先端に設けた塗布部材にカートリッジ
内の流状塗料を含浸せしめるカートリッジ式塗布具にお
いて、前記蓋付中栓を、前記前軸内周に形成した段部と
カートリッジ先端の流出口周縁とにより液密的に挾持
し、前記塗布部材のホルダに、前記前軸の先端周縁に対
向する鍔部を形成し、該ホルダと前記ポンチとを連結軸
の両端に夫々取付けて心軸を形成し、該心軸を前軸内
に、該前軸の軸線方向に移動可能に配設し、前軸外周に
嵌合するキャップ口縁と前軸外周に形成した段部との間
にスペーサを着脱可能に設け、前記キャップ内に前記ホ
ルダの鍔部に当接する押動部を形成したことを特徴とす
るものである。

また、請求項２は、請求項１において、前記キャップ内
に、前記押動部に連設する液留部を形成したことを特徴
とするものである。

〔作用〕

したがって、請求項１に記載される構成によって、スペ
ーサをキャップ口縁と前軸外周に形成した段部との間か
ら取外して、カートリッジを持って、キャップ底面を机
等の当接面に突き当てると、キャップの押動部がホルダ
の鍔部を押動し、これにより連結軸を介してポンチが蓋
付中栓を開蓋し、ホルダの鍔部が、前軸の先端周縁に圧
接し、カートリッジ内の流状塗料は、前軸内を流下して
塗布部材に含浸し、塗布可能状態となる。

また、請求項２に記載される構成によって、使用時に液
留部にうすめ液等の溶剤を注入し、該液留部に塗布部材
を挿入することにより、塗布部材に含浸した流状塗料は
固化せず、直ちに使用することができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

１は流状塗料２が充填されるカートリッジで、断面円形
あるいは偏平状の適宜形状を有しており、先端1aに流出
口1bが開口している。カートリッジ１の流出口1bには、
蓋3aを有する蓋付中栓３が嵌合している。また蓋付中栓
３の鍔部3bの両面には、リング状シール3c,3dが突設し
ている。

カートリッジ１の先端1bに螺合等の適宜手段にて係止さ
れる前軸４は、内周に段部4aを形成し、該段部4aとカー
トリッジ１の先端1aの流出口周縁1cとにより、前記蓋付
中栓３の鍔部3bを挾持し、これにより該鍔部3bのリング
状シール3cが流出口周縁1cに、リング状シール3dが前記
段部4aに夫々圧接し、カートリッジ1,蓋付中栓3,前軸４
は液密的に設けられる。また、前軸４の外周には、段部
4bが形成されている。

前軸４内には、心軸５が前軸４の軸線方向に移動可能に
配設されている。該心軸５は、前軸４の先端に設けられ
る塗布部材６を挿着したホルダ７と、蓋付中栓３の蓋3a
に対向して配置されるポンチ８とを連結軸９の両端に夫
々取付けて形成されている。

前記塗布部材６は、刷子，フェルトチップ等の流状塗料
を含浸する材料からなるもので、ホルダ７に挿着支持さ
れる。該ホルダ７は、第３図に詳細を示す如く、前軸４
の内周と略同径の外径を有する胴部7aと、前軸４の先端
周縁4cに対向する鍔部7bとで形成されている。胴部7a
は、塗布部材６が挿入される挿通孔7cと、該挿通孔7cに
連続して、連結軸９の一端が挿入される係止孔7dと、前
記挿通孔7cと該係止孔7dとの連設部に形成された、連結
軸９の一端部が当接する段部7eと、連結軸９の挿入を容
易にするための割溝7fと、該割溝7fに連続して、流状塗
料２を塗布部材６に導くためのスリット7gとを有してい
る。

したがって、ホルダ７の挿通孔7cに塗布部材６を挿入
し、連結軸９の一端を係止孔7dに挿入して、その端部を
段部7eに当接させると、塗布部材６の基端が、連結軸９
の中空孔9a内に挿入されて、塗布部材６及びホルダ７
は、連結軸９の一端に取付けられる。

前記ポンチ８は、第３図に詳細を示すように、蓋付中栓
３の蓋3aを開蓋する突刺部8aと、該突刺部8aに連続し
て、連結軸９の中空孔9a内に挿入される挿着部8bとで形
成され、突刺部8aは、蓋付中栓３の蓋3aを突破って開蓋
し易いように一対の刀部8cと、カートリッジ１内の流状
塗料２を導く凹溝8dとを有している。前記突刺部8aの外
径は、蓋付中栓３の内径より小径に形成し、蓋付中栓３
の内周に形成したガイドリブ3eに沿って案内される。

尚、このポンチ８は、第１図乃至第３図に示す実施例と
は別に、例えば第４図に示す如く、突刺部8aの下部に、
リブ8eを形成し、リブ8eの下端に蓋付中栓３の内径と略
同径のガイド凸起8fを形成してもよい。この場合は、蓋
付中栓３の内周にガイドリブを必要とせず、また蓋付中
栓３が開蓋されると、カートリッジ１内の流状塗料２
は、リブ8e,8e間の空隙から前軸４内に導かれる。

このように形成されたポンチ８の挿着部8bを連結軸９の
他端から中空孔9a内に挿入すると、ポンチ８が連結軸９
に取付けられる。

上述のように形成された心軸５を、ポンチ８を蓋付中栓
３の蓋3aに対向させて前軸４内に該軸４の軸線方向に配
設すると、ポンチ８が蓋付中栓３内に、ホルダ７の胴部
7aが前軸４の先端内に夫々挿入され、ホルダ７の鍔部7b
が前軸４の先端周縁4cとの間に所定の間隙を存して配置
される。

前軸４の外周には、キャップ10が嵌合され、キャップ10
の口縁と前軸４の外周に形成した段部4bとの間には、ス
ペーサ11が着脱可能に設けられている。

キャップ10は、内部にリブ10aを介して設けられてホル
ダ７の鍔部7bに当接する押動部10bと、該押動部10bに連
続して、前記塗布部材６が挿入される液留部10cと、底
部にカートリッジ式塗布具起立用の鍔状の脚部10dとが
形成されている。

また、キャップ10の内周には、前軸４の外周に形成され
た周溝4dに係合する第１リング状凸起10e及び第２リン
グ状凸起10fが形成されるとともに、押動部10bの上部外
周に形成された周壁10gには、前軸４の先端外周に形成
されたリング状凸起4eに係合するリング状凸起10hが形
成されている。

前記スペーサ11は、例えば、着脱を容易にするために、
その一部を軸線方向に切り欠かいた略Ｃ形を呈してい
る。また、このスペーサ11の軸線方向の厚みは、第１図
における前軸４の先端4cとホルダ７の鍔部7bとの所定の
間隙と略同一又は若干大きく設定されている。

以上のように構成されたカートリッジ式塗布具は、第１
図に示す如く、流状塗料２が充填されたカートリッジ１
の流入口1bに蓋付中栓３が嵌合されるとともに、先端1a
に前軸４が螺着等の手段で係止され、蓋付中栓３をカー
トリッジ１の流出口周縁1cと前軸４の段部4aにて液密的
に挾持して、カートリッジ１内の流状塗料２の液洩れを
防止している。

また、前軸４内には、心軸５がポンチ８を蓋付中栓３の
蓋3aに対向するよう前軸４の軸線方向に配置され、この
時ホルダ７の鍔部7bと前軸４の先端周縁4cとは所定の間
隙を存している。さらに、前軸４に係止されるキャップ
10の口縁と前軸４の段部4bとの間には、スペーサ11が挿
着される。

そして、前軸４からスペーサ11を取外し、カートリッジ
１を持って、キャップ10の底面を机等の当接面に突き当
てると、キャップ10の押動部10bによってホルダ７の鍔
部7bが押され、連結軸９を介してポンチ８の刃部8cが蓋
付中栓３の蓋3aを開蓋し、第２図に示す如く、ホルダ７
の鍔部7bは前軸４の先端口縁4cに当接し、キャップ10の
口縁は前軸４の段部4bに当接するとともに押動部10bの
周壁10gは、前軸４の先端に係合する。

これにより、カートリッジ１内の流状塗料２は、ポンチ
８の周囲から、前軸４内に導入され、前軸４と連結軸９
との間を通って、ホルダ７のスリット7gから塗布部材６
に含浸し、塗布可能となる。

また第５図に示す如く、キャップ10の液留部10c内にう
すめ液等の溶剤12を注入し、該溶剤12内に塗布部材６を
挿入しておくと、塗布部材６に含浸された流状塗料の固
化を防止することができる。

さらに、キャップ10の底面に脚部10dを設けたから、カ
ートリッジ式塗布具を起立した状態で、載置しておくこ
とができる。

〔考案の効果〕

本考案は以上の如く、カートリッジの流入口に嵌合した
蓋付中栓を、前蓋内周に形成した段部とカートリッジ先
端の流出口周縁とにより常時液密的に挾持しているか
ら、輸送時の振動や販売時等にカートリッジ内に圧力が
加わっても、蓋付中栓が外れることがなく、液洩れする
虞がない。

また、心軸を押動してポンチにより蓋付中栓を開蓋する
から、簡単に開蓋することができ、しかも蓋付中栓の構
造が簡単で製造容易である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すもので、第１図は開蓋前のカ
ートリッジ式塗布具の断面図、第２図は同じく開蓋後の
断面図、第３図は心軸を示す斜視図、第４図はポンチの
他の実施例を示す斜視図、第５図はカートリッジ式塗布
具の一部拡大断面図である。 １…カートリッジ、２…流状塗料、３…蓋付中栓、3a…
蓋、４…前軸、4a,4b…段部、５…心軸、６…塗布部
材、７…ホルダ、８…ポンチ、９…連結軸、10…キャッ
プ、10b…押動部、10c…液留部、11…スペーサ

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ４３Ｋ 23/08 Ｂ６５Ｄ 83/00 Ｂ６５Ｄ 83/00 Ｊ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カートリッジ先端（1a）の流出口（1b）に
   蓋付中栓（３）を嵌合し、カートリッジ先端（1a）に係
   止される前軸（４）内に該蓋付中栓（３）と対向して配
   置されたポンチ（８）により蓋付中栓（３）を開蓋し
   て、前軸（４）先端に設けた塗布部材（６）にカートリ
   ッジ（１）内の流状塗料（２）を含浸せしめるカートリ
   ッジ式塗布具において、前記蓋付中栓（３）を、前記前
   軸（４）内周に形成した段部（4a）とカートリッジ先端
   （1a）の流出口周縁（1c）とにより液密的に挾持し、前
   記塗布部材（６）のホルダ（７）に、前記前軸（４）の
   先端周縁（4c）に対向する鍔部（7b）を形成し、該ホル
   ダ（７）と前記ポンチ（８）とを連結軸（９）の両端に
   夫々取付けて心軸（５）を形成し、該心軸（５）を前軸
   （４）内に、該前軸（４）の軸線方向に移動可能に配設
   し、前軸（４）外周に嵌合するキャップ（10）口縁と前
   軸（４）外周に形成した段部（4b）との間にスペーサ
   （11）を着脱可能に設け、前記キャップ（10）内に前記
   ホルダ（７）の鍔部（7b）に当接する押動部（10b）を
   形成したことを特徴とするカートリッジ式塗布具。
2. 【請求項２】前記キャップ（10）内に、前記押動部（10
   b）に連設する液留部（10c）を形成したことを特徴とす
   る請求項１に記載のカートリッジ式塗布具。