JPH0719518Y2 - 舞台迫り装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、舞台の床に形成された開口部を利用して演者
等の昇降を行う舞台迫り装置に関する。

［従来の技術］ 従来の舞台迫り装置としては、舞台の床下に常設されて
いるものが一般的である。具体的には、舞台の床に階下
と連通する所定の開口部を形成し、その開口部に位置さ
れる昇降板（迫り部）を階下に固定設置されている昇降
装置により昇降移動する構造になっている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、このような装置においては、固定式であ
るため、迫り部の位置や大きさを変更することが困難で
あった。

そこで、本考案の目的は上記課題を解決し、迫り部の位
置や大きさを容易にすることができる舞台迫り装置を提
供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案は、舞台の床に階下と
連通する開口部を形成し、該開口部にこれを覆う複数に
分割された床板を着脱自在に取付け、該床板が取外され
た部分に階下から昇降板を昇降自在に位置させるように
設けた舞台迫り装置において、上記階下に走行自在に設
けられた走行体と、該走行体に設けられ、上記昇降板を
昇降移動する昇降機構とを備えたものである。また、上
記床板を多く取外して開口部を大きくした場合には、２
台に走行体を配置して、これら走行体の昇降機構間に昇
降板を掛け渡したものである。

［作用］ 例えば、開口部の一部を迫り部とする場合には、その部
分の床板を取外して切穴と称する所定の開口部を形成
し、この切穴に昇降板を昇降自在に位置させるべく階下
に走行体を移動して位置決めする。これにより例えば階
下で昇降板上に乗った演者を上昇させて舞台上に出現さ
せることができる。大きな迫り部を形成する場合には、
開口部から床板を必要な数だけ取外して大きな切穴を形
成し、階下には二台の走行体を配置してこれら走行体の
昇降機構間に上記切穴に対応する大きさの昇降板を掛け
渡し、両昇降機構を同期させて昇降板を昇降させるよう
にすればよい。すなわち、本考案の舞台迫り装置はいわ
ゆる移動式切穴迫り装置であり、任意の位置及び大きさ
の切穴に適用することができる。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。

第１図において、１は舞台の固定床で、この固定床１に
は主舞台迫り用の大きな開口部２が形成され、この開口
部２下に形成された奈落３には主舞台迫り４が昇降自在
に配置されている。

この主舞台迫り４は四隅の支柱５に上舞台床６と下舞台
床７を取付けた二階構造になっており、支柱５が奈落３
に垂直に形成された図示しないガイドレール及び昇降装
置８により昇降自在に支持されている。この昇降装置８
は奈落３の底部に設置されたモータ９により駆動される
駆動スプロケット10とこれら駆動スプロケット10の上方
に配置された従動スプロケット11とを有し、各組の駆動
及び従動スプロケット10,11間に巻き掛けられた無端チ
ェーン12には上記支柱５が固定具13を介して支持されて
いる。

主舞台迫り４の上舞台床６には第２図に示すように迫り
部を形成するための横長の開口部14が形成され、この開
口部14にはこれを覆う長手方向に複数に分割された床板
15が着脱自在に取付けられている。上記主舞台床６の階
下16には、床板15が取外された切穴17に階下16から昇降
板18を昇降自在に位置させる移動式切穴迫り装置（舞台
迫り装置）19が移動自在に配置されている。

第３図，第４図に示すようにこの移動式切穴迫り装置19
は上記階下16に走行自在に設けられた走行体20と、この
走行体20に設けられ、上記昇降板18を昇降移動する昇降
機構21とから主に構成されている。走行体20はフレーム
22の下部にウレタンゴム等からなる走行用車輪23を有
し、フレーム22の上端部には走行体20を懸垂走行させる
ためのローラ24を両端部に有する一対の回転軸25が前後
に回転自在に取付けられている。フレーム22の下部には
車輪23を回転駆動するモータ26が取付けられている。ま
た、モータ26の回転軸には後部のローラ24の回転軸25を
回転駆動するための駆動スプロケット27が取付けれ、上
記回転軸25に取付けられた従動スプロケット28と駆動ス
プロケット27には無端チェーン28が巻き掛けられてい
る。主舞台迫り４の支柱５には主舞台の長手方向に沿っ
て上記ローラ24を支持して案内するための一対の溝形レ
ール29が架設され、走行体20は下舞台床７を傷付けない
ようレール29に支持されて床面荷重を軽減する構成にな
っており、また第１図に示すように固定床１の階下に形
成された倉庫30の床31等のは車輪23で自由に走行できる
ようになっている。上記レール29には床板15の取付ピッ
チと対応するピッチでピン孔が形成され、フレーム22の
上端部に形成されたピン孔と上記レール29のピン孔に跨
ってピン31を差し込むことにより走行体20を所望位置に
固定できるようになっている。

一方、上記昇降機構21は走行体20の前部に昇降自在に支
持された第１昇降部32と、この第１昇降部32に昇降自在
に支持された第２昇降部33とからなる二段式となってい
る。第１昇降部32はフレーム22の前部両側に設けられた
垂直ガイド溝34に係合して昇降移動するガイドローラ35
を備えており、第２昇降部33は第１昇降部32の両側に設
けられた垂直のガイド溝36に係合して昇降移動するガイ
ドローラ37を備えている。これら第１及び第２昇降部3
2,33を昇降操作するために、走行体20上には昇降用モー
タ38が搭載され、このモータ38には一対の駆動スプロケ
ット39を回転駆動するための減速機40が連結されてい
る。昇降用モータ38としてはインバータコントロール方
式のACモータが採用され、無段変速を可能にして演者に
ショック等がかからないように構成されている。また、
減速機40としては配置に関係上及びギヤ効率を高め、モ
ータパワーの減少を図るために直交平歯車減速機が採用
されている。そして、上記両駆動スプロケット39とこれ
らの上方に回転自在に取付けられた従動スプロケット41
とには無端チェーン42がそれぞれ巻き掛けられ、両無端
チェーン42には上記第１昇降部32が固定具43を介して固
定されている。また、フレーム22の前部に固定具44を介
して一端が固定されたチェーン45の他端は第１昇降部32
の上端部に取付けられたスプロケット46に巻き掛けられ
た後、第２昇降部33に固定具47を介して固定されてい
る。

上記第２昇降部33にはフォーク48が突設され、このフォ
ーク48上には演者の乗込み高さを低くするための油圧式
パンタグラフ機構49を介して昇降板18が取付けられ、演
者がその昇降板18上に直接或いは踏台50を介して乗るよ
うになっている。

次に実施例の作用を述べる。

例えば、開口部14の一部を迫り部とする場合には、その
部分の床板15を取外して切穴17を形成し、この切穴17に
昇降板18を昇降自在に位置させるべく階下16に移動式切
穴迫り装置19をレール29に沿って移動してピン31で位置
固定する。そして、昇降機構21のフォーク48を下降させ
てパンタグラフ機構49を縮めた昇降板18上に演者を乗せ
たら、パンタグラフ機構49を伸ばしてフォーク48を上昇
させることにより第５図に示すように演者を切穴17から
出現させることができる。また、逆の操作で演者を切穴
17から下降させることができる。

大きな迫り部を形成する場合には、開口部14から床板15
を必要な数だけ取外して大きな切穴17を形成し、第６図
に示すように階下16には二台の移動式切穴迫り装置19を
昇降機構21が対向するように配置してこれら昇降機構21
のフォーク48上のパンタグラフ機構49上に上記切穴17に
対応する大きさの昇降板18を掛け渡し、両昇降機構21を
同期して駆動することにより昇降板18を平行に昇降移動
させるようにすればよい。

このように走行体20の昇降機構21を取付けて移動式切穴
迫り装置19を構成し、この装置19を舞台床の階下に走行
自在に配置する構造であるため、迫り部の位置や大きさ
を必要に応じて容易に変更することができる。

なお、実施例では主舞台迫り４に移動式切穴迫り装置19
を取付けた構成としたが、通常の舞台に移動式切穴迫り
装置19を取付けた構成としてもよい。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば、昇降機構を有する走行体
を階下に走行自在に配置する構造であるため、迫り部の
位置や大きさを必要に応じて容易に変更することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用した主舞台迫りを示す断面図、第
２図は第１図の平面図、第３図は主舞台迫りに設置され
た舞台迫り装置の拡大側面図、第４図は同装置の概略的
正面図、第５図及び第６図は舞台迫り装置の使用状態を
示す側面図である。 図中、14は開口部、15は床板、18は昇降板、20は走行
体、21は昇降機構である。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】舞台の床に階下と連通する開口部を形成
   し、該開口部にこれを覆う複数に分割された床板を着脱
   自在に取付け、該床板が取外された部分に階下から昇降
   板を昇降自在に位置させるように設けた舞台迫り装置に
   おいて、上記階下に走行自在に設けられた走行体と、該
   走行体に設けられ、上記昇降板を昇降移動する昇降機構
   とを備えたことを特徴とする舞台迫り装置。
2. 【請求項２】上記昇降機構を有する走行体を２台配置
   し、床板の取外された開口部に対応する大きさの昇降板
   を両昇降機構間に掛け渡したことを特徴とする請求項１
   記載の舞台迫り装置。