JPH07194686A - 生体用セメント - Google Patents

生体用セメント

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JPH07194686A
JPH07194686A JP6012228A JP1222894A JPH07194686A JP H07194686 A JPH07194686 A JP H07194686A JP 6012228 A JP6012228 A JP 6012228A JP 1222894 A JP1222894 A JP 1222894A JP H07194686 A JPH07194686 A JP H07194686A
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JP
Japan
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cement
powder
phosphoric acid
ammonium phosphate
biomedical
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Application number
JP6012228A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaharu Takatori
正治 高取
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pola Chemical Industries Inc
Original Assignee
Pola Chemical Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】硬化速度が速く、強度が高く且つ生体親和性の
高い生体用セメントを提供する。 【構成】CaO+P2560〜80mol%、B23
0〜30mol%、他の無機成分0〜10mol%の組
成比を有する粉末と、燐酸−燐酸アンモニウム塩水溶液
とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生体用セメントに関す
る。本発明により提供される生体用セメントは骨の欠損
部や空隙部の充填材又は補強材として使用できる。ま
た、それ自身を任意の形状に固化させた後、骨置換材或
いは細胞や細菌等の担持体として使用する事が出来る。
【0002】
【従来の技術】従来から歯科、口腔外科、整形外科、外
科等の医療分野で骨の欠損が生じた場合、これを治療す
る方法として自家骨や同種骨による骨移植が行われてき
た。しかしながら、このような骨移植には自家骨や他家
骨を大量に確保する事が困難であるという量的な問題
や、骨提供者に苦痛を強いるという精神的、肉体的な問
題があるため限界があり、人工骨及び人工骨充填材の開
発が盛んに行われるようになった。このような人工骨及
び人工骨充填材としては金属やセラミックスがあるが、
なかでも燐酸カルシウム系化合物は骨と直接結合する性
質がある素材として注目され、実用化されるようになっ
た。
【0003】しかしながら、セラミックス製の充填剤は
生体親和性には優れているが、形状の加工が容易ではな
いため、充填部の形状に整える事が難しく、例え事前に
準備可能であったとしても施術中に患部に合わせて形状
を補正する事が非常に困難である。ハイドロキシアパタ
イトや燐酸トリカルシウムのような燐酸カルシウム系の
粉末を充填することも行われているが、このような粉末
は硬化性を持たないため充填後の強度がなく、また充填
された患部から漏出する事があり、使用出来る状況には
限界がある。この点硬化性セメントならば空隙部の細部
まで緻密に充填できること、充填後セメントが固化する
ので移動、漏出する事が無く、強度も十分なものが得ら
れるという利点があり、水和硬化性の燐酸カルシウム系
組成物等の生体用セメントが開発されている。
【0004】ところが、水和硬化させるものは、混合粉
末中の成分が溶出し、水不溶性の物質に変化して再結晶
する際に、結晶が絡み合って硬化する機構を利用する
為、一般に硬化速度が遅く凝固するのに30分以上を要
してしまう。また、結晶の絡み合いが十分出来ないでき
ない場合や結晶自身の強度が低い場合には、硬化後の強
度が極めて低くなり、加重のかかる部位には適用が難し
い。
【0005】この他珪酸カルシウムや燐酸カルシウム系
結晶を析出させた生体活性結晶化ガラスの粉末に燐酸ア
ンモニウム塩やポリカルボン酸の水溶液を混和して固化
させるものも開発されているが、通常結晶化ガラス粉末
中にSiO2 が30〜70重量%含有されるので、生体
親和成分であるカルシウムや燐の量が減少してしまい、
自家骨への置換が十分行われなくなる。又、ポリカルボ
ン酸を硬化液に用いるものはガラス中の金属成分とポリ
カルボン酸のキレート結合を利用しているので、硬化時
間は早いが、ポリカルボン酸部分の経時での劣化による
セメントの剥離、脱落が懸念されるという問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は斯かる実状に
鑑みてなされたものであって、硬化速度が速く且つ強度
が長期に維持される、充填材料として優れた生体用セメ
ントを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、特定の組成
比の混合物を1000〜1300℃で溶融した後冷却す
ると、組成成分中に主としてβ−TCPを60重量%以
上生成する事を見いだしているが、更に研究を進めた結
果、該組成物を粉末とし、燐酸−燐酸アンモニウム塩水
溶液を添加混合してやると、2〜10分で硬化し、硬化
初期から相当の強度が得られる事、また最終到達強度が
長期間維持される事を見いだし、本発明に至った。
【0008】すなわち本発明は、原料の組成比が、Ca
O+P2560〜80mol%、B2310〜30mo
l%、他の無機成分0〜10mol%で且つCa/P比
が1.5〜3.0である無機組成物の粉末をセメント成
分とし、硬化液として燐酸−燐酸アンモニウム塩水溶液
を用いる事を特徴とする生体用セメントを提供する。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明では、原料の組成比が、CaO+P
2560〜80mol%、B2310〜30mol%、
他の無機成分0〜10mol%で且つCa/P比が1.
5〜3.0である無機組成物の粉末をセメント成分とし
て用いる。このような無機組成物の粉末は特願平4−1
71181号公報に開示された方法で得る事が出来、例
えばカルシウム塩、燐酸塩、燐酸カルシウム塩、ほう
酸、ほう酸塩、酸化ほう素等を最終的に上記組成範囲及
び組成比を満足するように混合し、プラチナ坩堝等で1
000〜1300℃まで加温して溶融させた後、冷却す
る事により得られた固体をボールミル等の粉砕機で粉末
化する事により得られる。
【0011】硬化液の濃度は燐酸が20〜50重量%、
燐酸アンモニウム塩が10〜30重量%の範囲が好まし
い。燐酸が20重量%未満だと強度が不足し硬化時間も
長くなりすぎ、50重量%を越えると、硬化時間が早く
なりすぎ、実用的ではない。燐酸アンモニウム塩の量が
10%未満だと硬化反応が早く、発熱現象が見られるの
で余り好ましくなく、30重量%を越えると溶解しがた
い上、硬化反応の遅延が目立つようになる。
【0012】硬化液の原料としては、オルト燐酸、燐酸
二水素アンモニウム、燐酸水素二アンモニウム等が好適
に使用できる。
【0013】上記組成の無機組成物は燐酸−燐酸アンモ
ニウム塩水溶液と混和する事により2分〜10分の短時
間で硬化し、しかも硬化1時間後の圧縮強度が300K
gf/cm2前後に達し、硬化初期より圧縮強度の高い
セメントを与える。更にはこのセメントは8時間後には
700〜800Kg/cm2前後にまで圧縮強度が増加
し、この数値は疑似生体溶液に一ヶ月浸漬しても低下し
ない。
【0014】このセメント粉末は200メッシュ以下の
粒径に粉砕する事が好ましい。200メッシュより粒径
が大きいと、粒子間の結合が弱くなり、強度の低下を招
くので避けた方がよい。
【0015】セメント粉末と硬化液との混合比率はセメ
ント粉末1gに対し硬化液を0.2〜0.6ml混合す
る事が好ましい。0.2ml以下ではセメント粉末と十
分混和する事が難しく、又0.6mlを越えると硬化液
が多すぎて粉末粒子間の接触が十分でなくなり、硬化後
の強度が低下する。
【0016】(生体用セメント粉末の製造例)表1の組
成となるように、炭酸カルシウム、オルト燐酸、ほう酸
を混合し、エタノールを加えてよく攪拌したものを、過
剰のエタノールをウォーターバス上で蒸散させた後アル
ミナ坩堝に入れ、10℃/minの速度で電気炉で13
00℃まで加温した。この温度で4時間溶融した後、炉
内で自然放冷し、白色固形物を得た。この白色組成物を
アルミナ製乳鉢とアルミナ製乳棒を用いて1mm角程度
に粉砕した後、更にフリッチュ社製遊星ボールミルで2
0分粉砕して200メッシュ以下の微粉末とし、製造例
1〜4のセメント粉末を得た。
【0017】
【表1】
【0018】(硬化液の製造例)表2の組成となるよう
に、オルト燐酸、燐酸2水素ナトリウムを水溶液とし、
製造例5〜8の硬化液を得た。
【0019】
【表2】
【0020】
【実施例】以下本発明を実施例により詳細に説明する。
【0021】実施例1.製造例1のセメント粉末20g
と製造例5の硬化液5mlを混合し、1×1×2cmの
真鍮製金型に充填した。
【0022】実施例2.製造例2のセメント粉末20g
と製造例6の硬化液5mlを混合し、1×1×2cmの
真鍮製金型に充填した。
【0023】実施例3.製造例3のセメント粉末20g
と製造例7の硬化液7.5mlを混合し、1×1×2c
mの真鍮製金型に充填した。
【0024】実施例4.製造例4のセメント粉末20g
と製造例8の硬化液10mlを混合し、1×1×2cm
の真鍮製金型に充填した。
【0025】硬化時間は金型に充填した混練物に、重さ
300g、断面積1mm2の針を落とし針痕がつかなく
なった時間を硬化時間とした。
【0026】圧縮強度は金型充填2時間後、8時間後に
硬化した充填物を取り出し、オリエンテック社製圧縮試
験機で測定した。また8時間後に取り出した充填物を、
199液体培地に3ヶ月浸漬し、同様に圧縮強度を測定
した。
【0027】硬化液と混合する前の粉末及び硬化したセ
メントを粉砕したものの結晶相の同定及び結晶の定量は
日本電子社製X線回折計により測定した。以上の結果を
表3に示した。
【0028】
【表3】
【0029】表3の結果に示された如く、本発明の生体
用セメントは早期に自己凝結硬化し且つ硬化初期から圧
縮強度が高い。又疑似生体液に3ヶ月浸漬した後も圧縮
強度の低下は認められず安定な圧縮強度を保持してい
る。又、生体に対する親和性の高いβ−TCPの結晶量
も硬化反応後もほとんど変化しないことなどが実証され
た。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、硬化速度が速く、強度
が高く且つ生体親和性の高い生体用セメントが提供でき
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)CaO+P2560〜80mol
    %、B2310〜30mol%、他の無機成分0〜10
    mol%の組成比を有する無機成分を、1000℃〜1
    300℃まで加温して溶融させた後、冷却して得られる
    固体を粉砕して得られる粉末と、(B)燐酸−燐酸アン
    モニウム塩水溶液からなる硬化液を特徴とする生体用セ
    メント。
  2. 【請求項2】 (A)の粉末のCa/P比が1.5〜
    3.0である請求項1に記載の生体用セメント。
  3. 【請求項3】 (B)の硬化液が燐酸20〜50重量
    %、燐酸アンモニウム塩10〜30重量%を含む請求項
    1又は2に記載の生体用セメント。
JP6012228A 1994-01-10 1994-01-10 生体用セメント Pending JPH07194686A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000140089A (ja) * 1998-07-31 2000-05-23 Merck Patent Gmbh りん酸カルシウムセメントを混合する方法
JP2005537832A (ja) * 2002-06-20 2005-12-15 ドクサ アクティボラグ 歯の充填材料またはインプラント材料のシステム、および粉末材料、水和水、インプラント材料ならびにボンディングを達成する方法
KR101294315B1 (ko) * 2011-09-09 2013-08-07 한국기계연구원 골시멘트 조성물 및 이의 제조방법

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