JPH071938Y2 - 回収装置付刈取結束機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、植立茎稈を引き起こして刈り取る刈取部を機
体前部に横軸芯周りに揺動昇降自在に設け、この刈取部
の後方に、刈取茎稈を結束する結束装置と、結束された
茎稈束を横倒し姿勢で後上方へ搬送する持上げ搬送装置
を設け、この持上げ搬送装置の後方下方箇所に、この装
置から落下放出された茎稈束を受け止めて積載し、且
つ、後支点周りでダンプ可能な回収部を設け、前記持上
げ搬送装置を、前記刈取部の上昇揺動に伴って、持上げ
搬送装置の上部が前方揺動するようリンク機構を介して
連動連結してある回収装置付き刈取結束機に関する。

〔従来の技術〕

従来のこの種の回収装置付刈取結束機としては、先に本
出願人が出願（実願昭63−170806号）した構造のものが
ある。つまり、刈取前処理部と持上げ搬送装置とを不等
辺四連リンクを介して枢支連結する構造となっていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来構造は、前記持上げ搬送装置が、穀稈の円滑な
受継ぎを行うことができるようにし、かつ、駆動系を合
理的に構成するために、刈取部側に連結する構造であり
ながら、しかも、機体沈下が大きくなる湿田での刈取時
や雑草が繁茂している圃場で作業する際に、刈取部の刈
取高さを高く設定した場合であっても、前記リンク機構
により持上げ搬送装置が相対的に前方揺動して結果的に
その対機体姿勢があまり変更せず、回収部への落下放出
位置が変化しないよう考慮したものである。

ところで、刈取対象作物が稲の場合には、結束稈が抵抗
が少なく比較的転がり易い性状を有するので、持上げ搬
送装置から回収部上に落下させるとき、積載姿勢が乱れ
気味になって後続の結束稈が効率よく積載されないおそ
れがある。そこで、持上げ搬送装置からの落下位置を回
収部の前壁近くに落下させて前壁を頼りにして姿勢を出
来るだけ安定させながら回収する方が積載量を増加させ
やすい。

ところが対象穀稈が麦であるときは、結束稈が転がりに
くい性状を有するので、回収部上への落下放出位置をで
きるだけ前後中央位置まで近づける方が積載量を増加さ
せやすいのであるが、上記従来構造では、上記放出落下
位置が一定であるので、種類の異なる作物を共に効率よ
く積載回収するのは難しい欠点があった。

本考案は、上記不具合点を解消することを目的としてい
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴は、冒頭に記載した回収装置付刈取結束機
において、前記リンク機構に、前記刈取部に対する前記
持上げ搬送装置の相対揺動姿勢を変更操作自在な姿勢変
更部を設けてある点にある。

〔作用〕

刈取作物の差異に応じて、持上げ搬送装置の初期設定姿
勢に、任意の落下放出姿勢に設定することができ、しか
も、その対機体設定姿勢は刈取部の昇降揺動に拘らずほ
ぼ一定に維持される。

〔考案の効果〕

従って、本考案によれば、圃場の状況に応じて刈取部の
刈高さを変更調節させても持上げ搬送装置の対機体姿勢
を略一定に維持させることができる利点を有しながら、
作物の差異に伴う持上げ搬送装置の初期設定姿勢を変更
設定できるものとなり、積載回収を常に効率よく行える
ようになった。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第５図及び第６図に本考案に係る回収装置付き刈取結束
機を示している。この刈取結束機は、コンバインをベー
スとした走行機体の前部にコンバインと同種の刈取部と
しての刈取前処理部（Ａ）を連結し、その左側後方に結
束装置（Ｂ）を、右側後方に操縦部（１）を夫々配設す
ると共に、前記結束装置（Ｂ）の後方に挟持式の持上げ
搬送装置（Ｃ）を備え、機体後部に茎稈束を積載回収す
る回収部（Ｄ）を設けて構成してある。

前記刈取前処理部（Ａ）は、倒伏した植立茎稈を縦姿勢
に引起す引起し装置（２）、引起された茎稈を中央後方
に寄せ熱めながら掻き込む一対のパッカ（３）、株元を
切断するバリカン型刈取装置（４）、刈取られた縦姿勢
の茎稈を徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更しながら後方に搬
送する縦搬送装置（５）等からなり、前記縦搬送装置
（５）の終端部と前記結束装置（Ｂ）との間に補助搬送
装置（６）を配設し、茎稈の受渡しを円滑に行えるよう
構成してある。

又、前記刈取前処理部（Ａ）は油圧シリンダ（７）の伸
縮駆動により横軸芯（P₁）周りで昇降揺動自在に構成
し、圃場の状況に応じて刈高さを変更調節することがで
きるよう構成してある。

第４図に示すように、前記持上げ搬送装置（Ｃ）は、後
方へやや傾いた姿勢でチェーンケース（８）を立設し、
チェーンケース（８）に軸支された下端の駆動スプロケ
ット（９）と上端の従動スプロケット（10）とに亘って
突起付チェーン（11）を巻架すると共に、前記チェーン
ケース（８）から前側に露出させた突起付チェーン（1
1）に沿って挟持レール（12）を略チェーンケース全長
に亘って付設し、もって、前記結束装置（Ｂ）によって
結束された横倒れ姿勢の茎稈束を横倒れ姿勢のまま前記
突起付チェーン（11）と前記挟持レール（12）とによっ
て茎稈束を挟持しながら持上げ搬送するよう構成してあ
る。前記持上げ搬送装置（Ｃ）の終端部後方側には、持
上げ搬送装置（Ｃ）から放出された茎稈束を横倒れ姿勢
で一旦受け止め、安定姿勢のまま回収部（Ｄ）内へ一気
に放出する受止め部材（13）を設けてある。前記受止め
部材（13）は、チェーンケース（８）の後部側に支点
（P₆）周りで上下回動自在に枢支してあり、この受止め
部材（13）を略水平姿勢の茎稈受止め位置で姿勢を保持
させるためのロック機構（Ｆ）を設け、このロック機構
（Ｆ）は茎稈束が持上げ搬送装置（Ｃ）の途中位置まで
搬送されると上記姿勢保持を解除するよう構成してあ
る。つまり、チェーンケース（８）の側板に天秤揺動す
るＬ字形リンク（19）を枢支すると共に、茎稈持上げ搬
送経路の途中部位において、搬送されてきた茎稈束に接
触して上方揺動する係止レバー（26）を枢支し、前記Ｌ
字形リンク（15）の一端と前記係止レバー（26）とをロ
ッド（27）を介して連動連結してある。一方、Ｌ字形リ
ンク（19）の他端には、前記受止め部材（13）と一体的
に揺動する揺動アーム（28）に接当係合する係合ピン
（29）を設け、これらの接当係合により、受止め部材
（23）を略水平姿勢に保持するよう構成し、搬送されて
きた茎稈束が受止め部材（13）上に載置され、後続の茎
稈束が前記係止レバー（26）に接触して、該係止レバー
（26）を上方に揺動させると、前記Ｌ字形リンク（19）
が連動揺動して前記揺動アーム（28）と前記係合ピン
（29）との係合が解除され、受止め部材（13）が茎稈束
の重量により下方揺動して、茎稈束を横倒れ姿勢のまま
一気に下方の回収部（Ｄ）内に放出するようにしてあ
る。

尚、前記受止め部材（13）が下方に放出揺動すると、該
受止め部材（13）と一体化したアーム（20）及び連係リ
ンク（31）を介して復元用レバー（32）が支点（P₇）を
中心に時計回りに揺動してその先端側が茎稈持上げ搬送
経路に突出する。そして、前記係止レバー（26）を押圧
操作した後続の茎稈束によって復元用レバー（32）が反
時計回りに係止押圧揺動されることによって受止め部材
（13）が受止め姿勢まで復元揺動され、この際、前記揺
動アーム（28）がバネ復帰しているＬ字形リンク（Ａ）
の係合ピン（29）を乗り越えてその下方に回り込み、ロ
ック機構（Ｆ）が元のロック状態となり、このようにし
て受止め状態に復元した受止め部材（13）上に前記後続
の茎稈束が受止め支持される。

前記回収部（Ｄ）は、上部を開放した箱形に設けられ、
後下部の支点（P₂）回りで上下揺動自在に機体を枢支し
てある。又、前記回収部（Ｄ）は、その底面中央部と機
体との間に枢支連結した油圧シリンダ（14）の伸縮駆動
により、機体上に安定載置した回収作用位置と後方上方
に傾動した回収放出位置とに亘り切換え揺動自在に構成
してある。

又、前記回収部（Ｄ）には、第７図及び第８図に示すよ
うに、回収穀稈を圃場に放出する際に、穀稈に泥土が付
着して、後で脱穀作業時に選別効率を低下させることが
ないようにフィルムシート（15）上に穀稈を放出させる
よう構成してある。つまり、前端上部にロール状に巻回
してフィルムロール（16）を支持して、フィルムシート
（15）を底部（17）に敷き伸ばしてある。回収部（Ｄ）
のダンプ時には穀稈とともにフィルムシート（15）が圃
場に落下して繰出され、落下終了時には後端に設けた熱
線カッタ（18）により切断するよう構成してある。

そして、前記刈取前処理部（Ａ）の上昇揺動に伴って、
持上げ搬送装置（Ｃ）の上部が前方に揺動するようリン
ク機構（Ｅ）を介して連動連結してある。詳述すると、
第１図に示すように、機体に対する刈取前処理部（Ａ）
の揺動支点（P₁）と持上げ搬送装置（Ｃ）の駆動スプロ
ケット（９）の回動軸芯（P₃）とを伝動ケース（20）を
介して連結し、チェーンケース（８）から下方に固設延
出したブラケット（21）と機体フレーム（22）の前方位
置とをリンク（23）を介して枢支連結してある。そし
て、前記リンク（23）の両端の枢支点（P₄），（P₅）と
前記揺動支点（P₁）及び回動軸芯（P₃）とを結ぶ不等辺
四連リンク機構（Ｅ）を構成してある。そして、第２図
に示すように、刈取前処理部（Ａ）を上昇揺動させる
と、伝動ケース（20）が連動して下方に揺動して、持上
げ搬送装置（Ｃ）の上部が前方に揺動し、刈取前処理部
（Ａ）の上昇に拘らず持上げ搬送装置（Ｃ）の対機体姿
勢が略一定に維持されるよう構成してある。

又、前記リンク機構（Ｅ）に、刈取前処理部（Ａ）に対
する持上げ搬送装置（Ｃ）の相対揺動姿勢を変更操作自
在な姿勢変更部（24）を設けてある。つまり、前記ブラ
ケット（21）と前記リンク（23）との枢支連結部分にお
いて、リンク（23）に枢支連結用取付孔（25）をその長
手方向に沿って複数個形成してあり、その取付位置を変
更させることで、持上げ搬送装置（Ｃ）の初期設定傾斜
角度を変更することができるのである（第３図参照）。

〔別実施例〕

前記姿勢変更部（24）は、枢支点を変更するものに代え
て、前記ブラケット（21）あるいは前記リンク（23）を
長手方向に伸縮自在に構成するものでもよい。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対象を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付図
面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る回収装置付刈取結束機の実施例を示
し、第１図は刈取前処理部が下降した状態の要部側面
図、第２図及び第３図は刈取前処理部が上昇した状態の
要部側面図、第４図は持上げ搬送装置の側面図、第５図
は全体側面図、第６図は全体平面図、第７図は回収部の
縦断側面図、第８図は穀稈放出時の後端側面図である。 （Ａ）……刈取部、（Ｂ）……結束装置、（Ｃ）……持
上げ搬送装置、（Ｄ）……回収部、（Ｅ）……リンク機
構、（24）……姿勢変更部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】植立茎稈を引き起こして刈り取る刈取部
   （Ａ）を機体前部に横軸芯（P₁）周りに揺動昇降自在に
   設け、この刈取部（Ａ）の後方に、刈取茎稈を結束する
   結束装置（Ｂ）と、結束された茎稈束を横倒し姿勢で後
   上方へ搬送する持上げ搬送装置（Ｃ）を設け、この持上
   げ搬送装置（Ｃ）の後方下方箇所に、この装置（Ｃ）か
   ら落下放出された茎稈束を受け止めて積載し、且つ、後
   支点（P₂）周りでダンプ可能な回収部（Ｄ）を設け、前
   記持上げ搬送装置（Ｃ）を、前記刈取部（Ａ）の上昇揺
   動に伴って、持上げ搬送装置（Ｃ）の上部が前方揺動す
   るようリンク機構（Ｅ）を介して連動連結してある回収
   装置付き刈取結束機であって、前記リンク機構（Ｅ）
   に、前記刈取部（Ａ）に対する前記持上げ搬送装置
   （Ｃ）の相対揺動姿勢を変更操作自在な姿勢変更部（2
   4）を設けてある回収装置付刈取結束機。