JPH07191226A - 光ブランチングデバイスおよび光学部品 - Google Patents

光ブランチングデバイスおよび光学部品

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JPH07191226A
JPH07191226A JP6269163A JP26916394A JPH07191226A JP H07191226 A JPH07191226 A JP H07191226A JP 6269163 A JP6269163 A JP 6269163A JP 26916394 A JP26916394 A JP 26916394A JP H07191226 A JPH07191226 A JP H07191226A
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branching device
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Yuji Matsuura
祐司 松浦
Hideyori Sasaoka
英資 笹岡
Hiroo Kanamori
弘雄 金森
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた加工安定性を有するとともに、損失を
低減することができる光ブランチングデバイスを提供す
る。 【構成】 本発明の光ブランチングデバイスは、基板1
と、テーパ導波路11と、第2導波路20、第3導波路
21を備えており、テーパ導波路11の末端幅は、第2
および第3導波路20,21の末端の幅よりも広い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信、光信号処理等
の分野で用いられる光学部品に関するもので、特に、分
岐導波路や方向性結合器などの光ブランチングデバイス
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1つの路を伝達してきた光を8つの路に
分岐させる光分岐素子が知られている。この1×8の構
造を有する導波路型光分岐素子は、光通信、光信号処理
等の分野で頻繁に用いられており、この光導波路型光分
岐素子は、特開平5−11130号公報に記載されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】導波路型光分岐素子の
基本的構成要素は、Y型分岐素子である。本願発明者ら
によって考えられた1つのY型分岐素子は、図9に示さ
れる。光通信分野においては、分岐素子の分岐部をシャ
ープに製造することができず、その分岐過剰損失を低減
することができなかった。
【0004】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであり、分岐過剰損失を低減させ、光導波路型分
岐素子の光結合効率を増加させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の光ブランチング
デバイスおよび光導波路型分岐素子は、従来の素子と比
較して結合効率を著しく改良した素子である。
【0006】本発明は、光ブランチングデバイスにおい
て、クラッド部材および第1ないし第3もコア部材とを
備える。
【0007】第1コア部材は、クラッド部材内に埋設さ
れている。第2コア部材は、クラッド部材内に埋設さ
れ、第1コア部材の第1端面に対して第1の間隔を隔て
て対向する第2端面を有している。第3コア部材は、ク
ラッド部材内に埋設され、第1コア部材の第1端面に対
して第2の間隔を隔てて対向する第3端面を有する。
【0008】クラッド部材は、第1表面を有している。
第1コア部材は、第1表面に対して垂直な第1面と交差
することにより規定される第1垂直断面、第1表面に対
して垂直な第2面であって第1端面と第1面との間に位
置する第2面と交差することにより規定される第2垂直
断面、および第1表面に対して平行な第3面と交差する
ことにより規定される第1水平断面を有している。第2
コア部材は、第1表面に対して垂直な第4面と交差する
ことにより規定される第3垂直断面、および第3面と交
差することにより規定される第2水平断面を有してい
る。
【0009】第3コア部材は、第4面と交差することに
より規定される第4垂直断面、および第3面と交差する
ことにより規定される第3水平断面を有している。第1
コア部材は、第1コア部材に入力された光が、第1垂直
断面および第2垂直断面を横切って第1水平断面に沿っ
た方向に伝搬して第1端面から出力されるように配置さ
れている。第2コア部材は、第1端面から出力された光
が、第2端面を通って第2コア部材に入力され、第3垂
直断面を横切って第2水平断面に沿った方向に伝搬して
第2コア部材から出力されるように配置されている。第
3コア部材は、第1端面から出力された光が、第3端面
を通って第3コア部材に入力され、第4垂直断面を横切
って第3水平断面に沿った方向に伝搬して第3コア部材
から出力されるように配置されている。
【0010】ここで、第1端面の面積は、第1垂直断面
の面積よりも大きい。すなわち、第1コア部材は、第2
および第3コア部材方向に向かって広がったテーパー形
状の部分を有している。これにより、第1コア部材の第
1垂直断面側から入力された光のエネルギーは、この光
が第1端面から出射される際に減少する。光ブランチン
グデバイスにおける光の結合効率をさらに向上させるた
めに、第2垂直断面の面積が、第1端面の面積と等しい
こととした。なお、以下の説明において、面積が等しい
とは、実質的にそれらの面積が等しいことであって、一
方の面積が他方の面積の100±3%以内であれば、こ
れらの面積はほぼ等しいこととする。
【0011】
【作用】すなわち、第1コア部材に入力された光は、第
1垂直断面から第1端面に進行するにしたがって、光の
パワー密度(エネルギー密度)が減少すると同時に、こ
の光の波面(wave front)が第1水平断面内において扇型
に変形する。この第2垂直断面の面積が、第1端面の面
積と等しいこととすれば、この光が、第2垂直断面から
第1端面へ伝搬する間にその波面が、第1端面にほぼ平
行になる。したがって、第1端面から出力された光の指
向性は高くなり、第2コア部材および第3コア部材に結
合する光の結合効率は高くなる。波面と第1端面のなす
角度が±3度以内であれば、これらはほぼ平行であるこ
ととする。
【0012】本発明の光ブランチングデバイスにおい
て、第2端面および第3端面は、第1端面から出射され
る光の波面にほぼ平行であるので、光の結合効率は高く
なる。
【0013】すなわち、本発明の光ブランチングデバイ
スにおいて、第1コア部材は、第1端面を有し、入力さ
れた光のエネルギー密度を低下させるとともに、光の波
面を第1端面に対して平行にして光を第1端面から出射
する形状を有しており、第2コア部材は、第1端面に対
して所定の間隔をあけて対向する第2端面を有してお
り、第3コア部材は、第1端面に対して所定の間隔をあ
けて対向する第3端面を有している。
【0014】この光は、一定の幅(コアサイズ)を有す
る光伝送路(コア)内を通過する。光伝送路波は、第1
コア部材の一部分であり、第1垂直断面に連続し、第1
垂直断面の面積と等しい断面積を有している。
【0015】前記光の結合効率を増加させるために、本
発明光ブランチングデバイスにおいては、第1水平断面
と第1端面との交線の長さL1を、第2水平断面と第2
端面との交線の長さL2と、第3水平断面と第3端面と
の交線の長さL3と、第2端面と第3端面との間の距離
L4との和よりも大きくすることにした。すなわち、L
1は、L2+L3+L4よりも大きい。
【0016】第1コア部材は、第4端面を有している。
光ブランチングデバイスは、クラッド部材内に埋設さ
れ、第1コア部材の第4端面に対して所定の間隔を隔て
て対向する第5端面を有する第4コア部材と、クラッド
部材内に埋設され、第1コア部材の第4端面に対して所
定の間隔を隔てて対向する第6端面を有する第5コア部
材とを備えている。したがって、第4コア部材および第
5コア部材を介して第1コア部材(光ミキサー)に入力
された光は、第2コア部材および第3コア部材に出力さ
れる。それぞれの第4コア部材および第5コア部材に
は、異なる波長の光信号を入力することにしてもよく、
この場合は、本光ブランチングデバイスは、オプテクィ
カルマルチプレクサ(またはディマルチプレクサ)とし
て機能することができる。また、第4コア部材および第
5コア部材には、同じ波長の光信号を入力することにし
てもよく、この場合は、この光ブランチングデバイス
は、光カプラー(オプティカルデバイダーを含む)とし
て機能することができる。
【0017】第2コア部材と第3コア部材とを近接させ
ると、それぞれの部材内を伝搬する光が干渉する。した
がって、この干渉を防止するためには、第2コア部材と
第3コア部材とは、エバネセントフィールド結合しない
程度に離れていることが望ましい。また、第2コア部材
と第3コア部材とが離れすぎると、前記結合効率が低下
するので、本発明の光ブランチングデバイスにおいて、
第2コア部材は、第1コア部材に近づくにしたがって細
くなっている。
【0018】第3コア部材は、第1コア部材に近づくに
したがって細くなっていることとした。これにより、こ
れらのコア部材を細くしないものと比較して結合効率を
高くすることができる。すなわち、第2端面の面積は、
第3垂直断面の面積よりも小さく、第3端面の面積は、
第4垂直断面の面積よりも小さい。
【0019】第2コア部材と第3コア部材とは、所定の
スペースを有しているので、第1コア部材からこれらの
第2および第3コア部材に入力された光がこのスペース
からが洩れる。洩れた光は、他の光学部材に影響を与え
ることがあるので、本発明の光ブランチングデバイス
は、第2コア部材と第3コア部材との間に介在する遮光
部材を備えることとした。これにより、洩れた光が他の
素子への影響を与えるのを防止するとともに、この遮光
部材を用いることにした。これらの第2コア部材と第3
コア部材とは、第2および第3コア部材内を伝搬する光
が干渉しない程度(エバネセントフィールド結合しない
程度)にこれらの第2および第3コア部材を離すことが
望ましい。これにより、結合効率を向上させることがで
きる。
【0020】第1コア部材は、第1コア部材に入力され
た光の波面を第1端面から平行に出射する形状を有して
いることを特徴とする光ブランチングデバイス。
【0021】以上のように、本発明に係る光ブランチン
グデバイス(オプティカルコンポーネント)は、このデ
バイスに入力された光をミキシングして出力する。本デ
バイスに入射された入射光と本デバイスから出力される
出力光との比率は、図9に示したY分岐素子よりも高く
なる。
【0022】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら本発明の実施
例を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の
要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】まず、本願発明者が考えた光分岐素子(光
ブランチングデバイス)について、図9を用いて説明す
る。
【0024】図9は、1つの非分岐側導波路10から直
線導波路12に付加されたテーパ導波路11を介して連
続的に分岐側導波路20、21へ分岐する形状の光ブラ
ンチングデバイスを示す断面図である。
【0025】この導波路型光分岐素子には、導波路を形
成する際に、分岐部にある鋭角形状のくさび部30の先
端が丸くなることが避けられず、その結果、光分岐素子
全体の損失が増加しやい。十分に損失を抑えた光分岐素
子を大量生産する場合、歩留りをさらに向上させること
が必要である。
【0026】これを解決する導波路型光分岐素子(光ブ
ランチングデバイス)として、図11に示すような、非
分岐側導波路10と分岐側導波路20、21とを分離し
た分岐部構造を有する導波路型光分岐素子が考えられ
る。ここで、直線導波路12に付加されたテーパ導波路
(tapered waveguide) 11の末端幅(Wt)は、分岐側
導波路20、21の幅(図11の例では、ともにWであ
る。)の和(2W)と、分岐側導波路20、21の分岐
部における間隔(A)との総和(2W+A)に等しい。
【0027】図11に示した導波路型光分岐素子は、図
9に示した導波路型光分岐素子におけるくさび部30の
ような、作製上なまりやすい部分を有していない。した
がって、図11の導波路型光分岐素子は、分岐部の加工
が比較的容易である。したがって、図11の素子は、図
9に示した素子よりも優れた加工安定性のもとに再現性
よく作製することができる。それゆえ、この導波路型光
分岐素子は、図9の素子と比べ歩留りよく大量生産する
ことが可能である。
【0028】一方、図11に示される比較例の導波路型
光分岐素子は、加工安定性を高めようとして分岐側導波
路20と21の間隔を大きくすると、図11に示される
ような分岐側導波路20と21の間からの導波光の放射
が増加し、光分岐における損失が急激に上昇する。
【0029】逆に、光分岐における放射を抑えるために
分岐側導波路20と21との間隔を小さくすると、加工
安定性が低下し、歩留りをさらに向上させることができ
ず、量産に向かないものとなってしまう。この様に、図
11の導波路型光分岐素子には、十分な加工安定性を保
持する必要から、損失の低減化において改良すべき点が
ある。
【0030】図1は、本発明の1つの実施例に係る光ブ
ランチングデバイスを示す斜視図である。図2Aは、こ
のデバイスを図の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイ
スの断面図である。図2Bは、図2Aに示したデバイス
を図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図
である。図2Cは、図2Aに示したデバイスを図の矢印
C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図
2Dは、図2Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通
る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Eは、図
2Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切
ったデバイスの断面図である。図2Fは、図2Aに示し
たデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイ
スの断面図である。図3は、図2Aに示したデバイスの
断面図である。
【0031】この光ブランチングデバイスは、図11に
示したデバイスをさらに改良した素子である。光ブラン
チングデバイスの特性を改良するために、この導波路光
分岐素子は、端部11がテーパ導波路11となっている
非分岐側導波路10と、テーパ導波路11の端面11c
と所定の間隔をあけて対向し、互いに分離した2つの分
岐側導波路20,21とを備えている。
【0032】テーパ導波路10の末端11cの幅(W
t)は、2つの分岐側導波路20,21の分岐部側の末
端20c,21cの各幅(W)の和(2W)と、2つの
分岐側導波路20,21の分岐部における間隔(A)と
の総和(2W+A)よりも大きい。
【0033】ここで、テーパ導波路は、後述するよう
に、テーパ部115と、テーパ部115の先端に付加さ
れ、テーパ部115の末端とほぼ同一幅の直線部116
とを有しており、テーパ導波路の直線部116の末端の
幅が、2つの分岐側導波路120,121の分岐部側の
末端120c,121cの各幅の和と、2つの分岐側導
波路120,121の分岐部における間隔との総和より
大きい。
【0034】上記の導波路型光分岐素子において、テー
パ導波路の末端の幅(Wt)が、2つの分岐側導波路2
0,21の分岐部側の末端の各幅(W)の和(2W)
と、2つの分岐側導波路20,21の分岐部における間
隔(A)との総和よりも、約10μm以下の長さだけ大
きい。また、後述するテーパ導波路の直線部が約300
μm以下の長さであってもよい。さらに、後述するよう
に、本発明に係る導波路光分岐素子は、上記の導波路型
光分岐素子を複数備え、一つの前記導波路型光分岐素子
の前記分岐側導波路の末端を、他の前記導波路型光分岐
素子の前記非分岐側導波路としてもよい。
【0035】本実施例に係る導波路型光分岐素子は、非
分岐側導波路10と分岐側導波路20,21とが分離し
ているので、加工困難なくさび部(図9の符号30)を
設けることなく、端面12cから第1コア部材10に入
力された導波光を分岐させることができる。また、非分
岐側導波路10の端部11にあるテーパ導波路11の末
端11cの幅(Wt)が、2つの分岐側導波路20,2
1の分岐部側の末端20c,21cの各幅(W)の和
(2W)と、2つの分岐側導波路20,21の分岐部に
おける間隔(A)との総和(2W+A)よりも大きいの
で、テーパ導波路11の末端11cにおける前記導波光
の電界分布が幅方向に拡大して、光分岐の前後における
電界分布の重なりを大きくしながら導波光を分岐させる
ことができる。これにより、光分岐前後の電磁界分布の
結合効率が向上するので、2つの分岐側導波路20,2
1間からの導波光放射(放射損失)を大幅に減少させ、
光分岐における損失を低減しつつ導波光を分岐させるこ
とができる。
【0036】また、後述するように、導波路型光分岐素
子のうち、テーパ導波路がテーパ部と、テーパ部の先端
に付加され、テーパ部の末端とほぼ同一幅の直線部とを
有するものは、上記の作用に加え、テーパ部116にて
放射状に広がった波面を平面状に戻してから導波光を分
岐側導波路に入射させることができる。これにより、テ
ーパ導波路の端面のうち、2つの分岐側導波路の分岐部
側の末端の各幅と、2つの分岐側導波路の分岐部におけ
る間隔との総和よりも幅を大きくした部分からの導波光
放射を抑えて、光分岐における損失をさらに低減しつつ
導波光を分岐させることができる。
【0037】また、後述するように、上記の導波路型光
分岐素子を複数備える導波路型光分岐素子は、上記の作
用が複数回繰り返され、光分岐における損失を格段に低
減しつつ導波光を分岐して出力することができる。
【0038】図1の導波路型光分岐素子は、例えばシリ
コンを含む材料から作られる基板1と、その上面に形成
された、例えばSiO2 (ガラス、シリカガラス)から
なる透明材料層(クラッド部材2およびコア部材10,
20,21)と備えている。すなわち、この透明材料層
は、クラッド2よりも高屈折率のコア10,20,21
を備えている。透明材料層は、非分岐側導波路10およ
び互いに分離した分岐側導波路20,21と、このコア
10が埋め込まれたコア10のそれよりも低屈折率のク
ラッド2からなっている。なお、導波路10,20およ
び21は、いずれも光が伝搬する方向に沿って形成され
ている。
【0039】ここで、非分岐側導波路10は、直線導波
路12の端部に、平面形状が末広がりのテーパ状である
テーパ導波路11が付加されたものである。また、分岐
側導波路20、21は、ともに一定の幅と曲率半径を有
する曲り導波路20,21であり、テーパ導波路11の
端面11cと所定の間隔をあけて対向している。
【0040】図1に示される構造をより詳しく説明する
と、図2Aおよび図3に示すように、分岐側導波路2
0,21は一定の幅(W)および曲率半径(R)を有す
る曲り導波路となっており、分岐部側の端部で間隔
(A)をあけて近接している。また、これらはテーパ導
波路11の端面と所定の間隔(B)をあけて対向してお
り、非分岐側光導波路10の中央線(図3の一点鎖線で
示す)に関して対称に、なおかつ、光の伝搬する方向に
向かって徐々に互いの間隔が大きくなるように配置され
ている。
【0041】図1ないし3に示される導波路型光分岐素
子の1つの特徴的な点は、テーパ導波路11の末端幅
(Wt)が、分岐側導波路20、21の分岐部側の末端
の幅の和(2W)と、分岐側導波路20、21の分岐部
における間隔(A)との総和(2W+A)よりも大きい
ことである。すなわち、Wt>2W+Aである。この点
において、この導波路型光分岐素子は、図11に示した
導波路型光分岐素子と異なる。
【0042】図2Aの導波路型光分岐素子は、非分岐側
導波路10と分岐側導波路20,21とを分離した分岐
部構造を採用しているので、図9に示した鋭角形状の
「くさび部」が不要となって、分岐部の加工が容易にな
り、優れた加工安定性を有する。これに加えて、上記の
ようにテーパ導波路11の末端幅が拡大されているの
で、導波光の電界分布をテーパ導波路11の幅方向、す
なわち光の伝搬方向に対して垂直な方向に拡大して、光
分岐の前後における電界分布をより合致させることがで
きる。
【0043】さらに詳しく説明すると、非分岐側導波路
10と分岐側導波路20、21とが分離した導波路型光
分岐素子においては、非分岐側導波路10の分岐部側の
末端における導波光の電磁界と、分岐側導波路20、2
1の分岐部側の末端における導波光の電磁界との間の結
合効率が大きいほど、光分岐における損失を低減するこ
とができる。
【0044】本実施例に係る導波路型光分岐素子では、
上述したように、導波路を対向して分離させた分岐部構
造を採用し、しかもテーパ導波路11の末端幅を拡大し
ているので、テーパ導波路11の末端における電界分布
がテーパ導波路11の幅方向に広がる。この結果、光分
岐前後の電界の重なり部分の面積が大きくなり、図11
に示したデバイスよりも結合効率を高めることができ
る。
【0045】以下、上述したデバイスをさらに詳しく説
明する。
【0046】本実施例の導波路型光分岐素子(光ブラン
チングデバイス)は、シリコン基板1と、保持基板1上
に形成されたクラッド部材2と、第1コア部材(第1テ
ーパ導波路)10と、第2コア部材(第2導波路)20
と、第3コア部材(第3導波路)21とを備える。
【0047】第1コア部材10は、クラッド部材2内に
埋設されている。第2コア部材20は、クラッド部材2
内に埋設されている。第2コア部材20は、第1コア部
材10の第1端面11cに対して第1の間隔Bを隔てて
対向する第2端面20cを有している。第3コア部材2
1も、クラッド部材2内に埋設されている。第3コア部
材21は、第1コア部材10の第1端面11cに対して
第2の間隔Bを隔てて対向する第3端面21cを有して
いる。ここで、第1の間隔Bと第2の間隔Bとは等しく
してある。
【0048】クラッド部材2(クラッド2,クラッド層
2)は、第1表面2aを有している。第1表面2aは、
基板1の主表面1aに平行である。この第1表面2aに
垂直な方向と光の伝搬する方向の双方に垂直な方向を幅
方向とする。また、第1表面2aに垂直な方向を厚み方
向とする。第1コア部材10は、一定の幅および厚みを
有する光伝送路12、一定の厚みを有し、光伝送路12
に連続してこの光伝送路12から離れるほど広い幅を有
するテーパー型のコア部分11とを有している。光伝送
路12の幅12は、図2Aの面12aと面12bとの間
の距離により規定される。
【0049】第1コア部材10は、第1表面2aに対し
て垂直な第1面(図2Aの矢印B−Bを通る平面)と交
差することにより規定される第1垂直断面12dを有し
ている。第1コア部材10は、第1表面2aに対して垂
直な第2面(図2Aの矢印C−Cを通る平面)であって
第1端面11cと第1面(B−B面)との間に位置する
第2面(C−C面)と交差することにより規定される第
2垂直断面12eを有している。第1コア部材10は、
第1表面2aに対して平行な第3面(図1の矢印H−H
を通る平面)と交差することにより規定される第1水平
断面(図2Aの符号10aで示される)を有している。
【0050】第2コア部材20は、第1表面2aに対し
て垂直な第4面(図2Aの矢印E−Eを通る平面)と交
差することにより規定される第3垂直断面20eを有し
ている。第2コア部材20は、第3面(H−H面)と交
差することにより規定される第2水平断面(図2Aの符
号20fで示される)を有している。第3コア部材21
は、第4面(E−E面)と交差することにより規定され
る第4垂直断面21eを有している。第3コア部材21
は、第3面(H−H面)と交差することにより規定され
る第3水平断面21fを有している。
【0051】換言すれば、図1ないし図3に示された分
岐導波路は、基板1、第1テーパ導波路10、第2導波
路20および第3導波路21を有している。
【0052】基板1は、基板表面1aを有している。
【0053】第1テーパ導波路10は、基板表面1a上
に形成されており、第1端面11cを有している。
【0054】第2導波路20は、基板表面1a上に形成
されている。第2導波路20は、第1端面11cに対し
て所定の間隔をあけて対向する第2端面20c、基板表
面1aと交差する面を含む第1側面20a、第1側面2
0aに対向する第2側面20bを有している。
【0055】第3導波路21は、基板表面1a上に形成
されている。第1端面11cに対して所定の間隔をあけ
て対向する第3端面21c、基板表面1aと交差する面
を含む第3側面21a、第3側面21aに対向する第4
側面21bを有している。第4側面21bは、第1側面
20aと第3側面21aとの間に配置されている。第1
側面20aは、第2側面20bと第4側面21bとの間
に配置されている。
【0056】第1端面1aの幅は、基板表面1aの法線
方向(厚み方向)および第1端面11cの法線方向(光
軸方向)の双方に垂直な方向(幅方向)に沿った第1端
面1aの長さである。第1端面11cの幅(Wt)は、
第2端面20cと第3端面21cとの間の距離よりも大
きい。すなわち、側面20a、20b、21a、21b
と第1端面11cとの交線をそれぞれ、交線20i、2
0j、21j、21iとし、第1端面11cと端面11
bとの間の交線を11iとし、第1端面11cと側面1
1aとの交線を11jとすれば、第1端面11cの幅は
Wtは、交線11iと交線11jとの間の距離で規定さ
れる。また、第2端面20cの幅(W)は、交線20i
と20jとの間の距離によって規定され、第3端面21
cの幅(W)は、交線21iと21jとの間の距離によ
って規定される。第3端面21cと第2端面20cとの
間の距離(A)は、交線20jと21jとの間の距離に
よって規定される。つまり、交線11iと交線11jと
の間の距離(Wt)は、交線20iと21iとの間の距
離(W+W+A)よりも大きい。
【0057】第1コア部材10は、端面12cを介して
第1コア部材10に入力された光が、第1垂直断面12
dおよび第2垂直断面12eを横切って第1水平断面1
0aに沿った方向に伝搬して第1端面11cから出力さ
れるように配置されている。
【0058】第2コア部材は、第1端面11cから出力
された光が、第2端面20cを通って第2コア部材20
に入力され、第3垂直断面20eを横切って第2水平断
面20fに沿った方向に伝搬して第2コア部材20の端
面20dを通って出力されるように配置されている。第
3コア部材21は、第1端面から出力された光が、第3
端面を通って第3コア部材に入力され、第4垂直断面を
横切って第3水平断面に沿った方向に伝搬して第3コア
部材から出力されるように配置されている。
【0059】ここで、第1端面11cの面積は、第1垂
直断面12dの面積よりも大きい。すなわち、第1コア
部材10は、第2および第3コア部材方向に向かって広
がったテーパー形状の部分11を有している。テーパー
形状の部分11は、第1コア部材10の光軸OP(中心
線)に対して所定の角度を有する面11aおよび11b
を有している。換言すれば、テーパー形状の部分11
は、部分11の第1表面2aに垂直な2つの表面と、第
3表面(H−H面)との交線11a,11bは、第3表
面第1コア部材10の光軸OP(中心線)に対して所定
の角度を有している。第1コア部材10がテーパー部分
11を含んでいることにより、第1コア部材10の端面
12cに入力された光信号のエネルギー(パワー)密度
は、この光が第1垂直断面12dを通過して第1端面1
1cに向かうにしたがって減少する。
【0060】第1コア部材10の端面11cから出力さ
れた光は、第2端面20cから第2コア部材20に入力
され、第3端面21cから第3コア部材21に入力され
る。本願発明者らは、これまでの研究から、2つの光部
品間を伝搬する光の結合効率を増加されるためには、そ
れぞれの光部品の対向する端面を光の伝搬する方向に対
して垂直にすることが有効であることに気付いた。本実
施例の光ブランチングデバイスの第1端面11cは、こ
の第1端面を通過する光の進行方向に対して垂直であ
る。また、第2端面20cは、この第2端面20cに入
射される光の進行方向に対して垂直である。第3端面2
1cは、この第3端面21cに入射される光の進行方向
に対して垂直である。したがって、第1端面11cは、
第2端面20cに対して対向しており、第1端面11c
は第2端面20cに平行である。第1端面11cは、第
3端面21cに対して対向しており、第1端面11cは
第3端面21cに平行である。
【0061】第2コア部材20は、第1表面2aに対し
て垂直な面20aおよび20bを有している。面20a
および面20bは、第2コア部材20内を伝搬する光の
進行方向に対して平行である。また、面20aと面20
bとは互いに対向しており、面20aおよび面20bは
平行である。したがって、面20aと面20bは、第1
表面2aと第2端面20cの双方に垂直である。
【0062】同様に、第3コア部材21は、第1表面2
aに対して垂直な面21aおよび21bを有している。
面21aおよび面21bは、第3コア部材21内を伝搬
する光の進行方向に対して平行である。また、面21a
と面21bとは互いに対向しており、面21aおよび面
21bは平行である。したがって、面21aと面21b
は、第1表面2aと第3端面21cの双方に垂直であ
る。
【0063】第2コア部材20と第3コア部材21との
間隔は、第1コア部材10から離れるにしたがって広く
なる。すなわち、第2コア部材20は、第3コア部材2
1から離れる方向に曲った曲面30aおよび30bを有
している。曲面30aは、平面20aに連続しており、
曲面30bは、平面20bに連続している。曲面30a
の曲率半径はRであり、曲面30bの曲率半径もほぼR
である。第3コア部材21は、第2コア部材20から離
れる方向に曲った曲面31aおよび31bを有してい
る。曲面31aは、平面21aに連続しており、曲面3
1bは、平面21bに連続している。曲面30aの曲率
半径はRであり、曲面30bの曲率半径もほぼRであ
る。第2コア部材20および第3コア部材21は、S字
形導波路である。
【0064】第2端面20cから第2コア部材20に入
力された光は、第2コア部材20の端面20dから出力
される。第3端面21cから第3コア部材21に入力さ
れた光は、第3コア部材21の端面21dから出力され
る。ここで、第2コア部材20の入力端面20cから出
力端面20dまでの光路長は、第3コア部材21の入力
端面21cから出力端面21dまでの光路長に等しい。
したがって、第1コア部材10からこれらのコア部材2
0,21に入力された光がコア部材20,21から出力
される場合において、コア部材20,21によって分岐
されたそれぞれの光ビームの出力端面20d,21dに
おける位相は揃っている。それぞれの端面20d,21
dから出力された光ビームの位相は、お互いに揃ってい
るので、これらの出力光を再び合成する場合などにおい
ても、それぞれのビームの位相は容易に整合する。
【0065】図4は、図2Aに示した光ブランチングデ
バイスの第2コア部材20および第3コア部材21の端
面20d,21dを改良したデバイスである。図2Aに
示した光ブランチングデバイスの端面20d,21d
は、露出している。露出した端面20dの法線方向は、
第3コア部材21の内を伝搬する光の進行方向(光軸方
向)に対して所定の角度を有している。また、露出した
端面21dの法線方向は、第3コア部材21内を伝搬す
る光の進行方向に対して所定の角度を有している。前述
のように、本願発明者らは、これまでの研究から、2つ
の光部品間を伝搬する光の結合効率を増加されるために
は、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝搬する方
向(光軸)に対して垂直にすることが有効であることに
気付いた。そこで、本実施例の光ブランチングデバイス
は、図4に示すように、第2コア部材20の出力端面2
0dが、第2コア部材20の光軸OP2(一点鎖線で示
す)に対して垂直になるように第2コア部材20を配置
する。第2コア部材20の端面20dに対向する位置に
レンズL2を介して光ファイバF2を配置する。また、
第3コア部材21の出力端面21dが、第3コア部材2
1の光軸OP3(一点鎖線で示す)に対して垂直になる
ように第3コア部材21を配置する。第3コア部材21
の端面21dに対向する位置にレンズL3を介して光フ
ァイバF3を配置する。また、第1コア部材10の入力
端面12cが、第1コア部材10の光軸OP1(一点鎖
線で示す)に対して垂直になるように第1コア部材10
を配置する。第1コア部材10の端面12cに対向する
位置にレンズL1を介して光ファイバF1を配置する。
【0066】図5は、図4に示した光ブランチングデバ
イスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスB
R1,BR2,BR3を接続した1x4構造を有する光
ブランチングデバイスである。この光ブランチングデバ
イスは、第1の光ブランチングデバイスBR1と、第1
の光ブランチングデバイスBR1の出力端面20dに、
第2の光ブランチングデバイスBR2の入力端面12c
が接続された第2の光ブランチングデバイスBR2と、
第1の光ブランチングデバイスBR1の出力端面21d
に、第3の光ブランチングデバイスBR3の入力端面1
2cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR3
とを備える。
【0067】端面P1から第1の光ブランチングデバイ
スBR1に入力された光信号(図の実線矢印で示す)
は、この光ブランチングデバイスによって、分離され
て、第2の光ブランチングデバイスBR2の端面P2,
P3、および第3の光ブランチングデバイスBR3の端
面P4,P5から出力される。一方、端面P2〜P5か
ら入力されたそれぞれの光信号(図の一点鎖線矢印で示
す)は、この光ブランチングデバイスによって、合成さ
れて、端面P1から出力される。
【0068】図6は、図4に示した光ブランチングデバ
イスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスB
R1,BR2,BR3,BR4,BR5,BR6,BR
7を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイ
スである。この光ブランチングデバイスは、入力端面
(入力ポート)を有する第1の光ブランチングデバイス
BR1と、第1の光ブランチングデバイスBR1の出力
端面20dに、第2の光ブランチングデバイスBR2の
入力端面12cが接続された第2の光ブランチングデバ
イスBR2と、第1の光ブランチングデバイスBR1の
出力端面21dに、第3の光ブランチングデバイスBR
3の入力端面12cが接続された第3の光ブランチング
デバイスBR3とを有している。
【0069】さらに、この光ブランチングデバイスは、
第2の光ブランチングデバイスBR2の出力端面20d
に、第4の光ブランチングデバイスBR4の入力端面1
2cが接続された第4の光ブランチングデバイスBR4
と、第2の光ブランチングデバイスBR2の出力端面2
1dに、第5のブランチングデバイスBR5の入力端面
12cが接続された第5の光ブランチングデバイスBR
5と、第3の光ブランチングデバイスBR3の出力端面
20dに、第6の光ブランチングデバイスBR6の入力
端面12cが接続された第6の光ブランチングデバイス
BR6と、第3の光ブランチングデバイスBR3の出力
端面21dに、第7の光ブランチングデバイスBR7の
入力端面12cが接続された第7の光ブランチングデバ
イスBR7とを備える。
【0070】したがって、この光ブランチングデバイス
は、このデバイスに入力された1つの光ビームを8つの
ビームに分岐することができ、このデバイスに入力され
た8つのビームを1つのビームに合成することができ
る。なお、これらの光ブランチングデバイスBR1,B
R2,BR3,BR4,BR5,BR6,BR7は同一
基板1上に形成されている。
【0071】次に、図1ないし図3を用いて説明した光
ブランチングデバイスの形状の最適化について説明す
る。
【0072】図7Bは、図1ないし図3に示した光ブラ
ンチングデバイスの第1コア部材10,第2コア部材2
0,第3コア部材21を図1ないし図3から抜出して示
す図である。図7Bには、座標軸が示してある。図7A
は、図7Bに示した第1コア部材10の末端、すなわ
ち、座標Y1、における導波光の電界分布(コア部材固
有の界分布であって、導波してきた光の電界分布との一
致度が高いほど結合効率が高くなる。以下この分布につ
いては同様である。)、および、第2および第3コア部
材20,21の末端、すなわち、座標Y2における導波
光の電界分布を示すグラフである。図7Aにおいて、座
標Y1における導波光の電界分布は、実線で示し、座標
Y2における導波光の電界分布は、点線で示す。図7A
に示された座標X1,X2は、図7Bの位置座標X1,
X2にそれぞれ対応している。導波光とは、本光ブラン
チングデバイスのコア部材10,20,21内を伝搬す
る光である。図7A内の各分布は、各導波モードが運ぶ
光パワーが1になるように正規化(nomalization for po
wer)して示してある。なお、ここでは、非分岐側導波路
10および分岐側導波路20,21のいずれにおいても
最低次モードのみが励振されると仮定している。
【0073】本実施例の光ブランチングデバイスは、第
1水平断面10aと第1端面11cとの交線の長さ(W
t)を、第2水平断面20aと第2端面20cとの交線
の長さ(W1)と、第3水平断面21aと第3端面21
cとの交線の長さ(W2)と、第2端面(20c)と第
3端面(21c)との間の距離(A)との和よりも大き
い。Wtは、W1+W2+Aよりも大きい。すなわち、
Wt>W1+W2+Aである。なお、本実施例におい
て、W1=W2=Wである。
【0074】一方、図11に示した比較例の光ブランチ
ングデバイスの電界分布は、図10に示される。図11
に示した光ブランチングデバイスは、直線導波路12に
付加されたテーパ導波路11の末端幅(Wt)は、分岐
側導波路20、21の幅(図11の例では、ともにWで
ある。)の和(2W)と、分岐側導波路20、21の分
岐部における間隔(A)との総和(2W+A)に等し
い。
【0075】図10Bは、図11に示した光ブランチン
グデバイスの第1コア部材10,第2コア部材20,第
3コア部材21を図10から抜出して示す図である。図
10Bには、座標軸が示してある。
【0076】図10Aは、図10Bに示した第1コア部
材10の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の
電界分布、および、第2および第3コア部材20,21
の末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布
を示すグラフである。図10Aにおいて、座標Y1にお
ける導波光の電界分布は、実線で示し、座標Y2におけ
る導波光の電界分布は、点線で示す。図10Aに示され
た座標X1,X2は、図10Bの位置座標X1,X2に
それぞれ対応している。導波光とは、本光ブランチング
デバイスのコア部材10,20,21内を伝搬する光で
ある。図10A内の各分布は光パワーが1になるように
正規化して示してある。なお、ここでは、非分岐側導波
路10および分岐側導波路20,21のいずれにおいて
も最低次モードのみが励振されると仮定している。
【0077】このように、図7A、図7Bに示した光ブ
ランチングデバイスは、テーパー部11の第1端面11
cの幅(Wt)を、図10A、図10Bに示した光ブラ
ンチングデバイスのそれよりも広げたデバイスである。
【0078】図7Aから、テーパ導波路11の末端幅
(Wt)を拡大することによりテーパ導波路11の末端
における電界分布がテーパ導波路11の幅方向に広が
り、光分岐前後の電界の重なり部分の面積が大きくな
る。したがって、光分岐前後の電磁界分布の重畳積分
(overlap integral) で与えられる結合効率が向上す
る。このため、分岐側導波路20と21の間からの導波
光放射が抑えられ、比較例の導波路型光分岐素子に比べ
て光分岐の際の損失が低くなる。
【0079】以上で説明したように、図7A,7Bに示
した、Wt>W1+W2+Aの関係を有する光ブランチ
ングデバイスは、図10A,10Bに示した、Wt=W
1+W2+Aの関係を有する光ブランチングデバイスよ
りも光結合効率を上昇させることができることが判明し
た。
【0080】次に、光結合効率を増加させるためには、
さらに、光ブランチングデバイスの改良が必要である。
【0081】図8は、テーパ導波路11の末端幅11c
(Wt)と図1ないし図3に示した光ブランチングデバ
イスの分岐過剰損(exess loss (dB))との関係を示すグ
ラフである。すなわち、図8は、導波光の波長が1.5
5μmの場合における分岐過剰損を、テーパ導波路11
の末端幅11c(Wt)を変化させつつ計算した結果を
示したグラフである。なお、分岐過剰損の計算はビーム
伝搬法により行った。この計算にあたっては、図2Aお
よび図3に示される導波路型光分岐素子の各部の寸法
を、A=4μm、B=4μm、W=8μm、Lt=12
00μm、R=50mmとし、コアとクラッドの比屈折
率差を0.3%とした。Bは、第2コア部材20の第2
端面20cと第1コア部材10の第1端面11cとの距
離である。なお、Bは、第3コア部材21の第3端面2
1cと第1コア部材10の第1端面11cとの間隔に等
しい。Ltは、図3に示した、テーパー部11の端面1
1cと、テーパー部11と直線部12との界面11dと
の間の距離である。
【0082】良好な加工安定性を保持しつつ損失を十分
に抑えるためには、分岐側導波路間20、21の分岐部
における間隔(A)は、約2〜4μmであることが好ま
しく、非分岐側導波路10と分岐側導波路20、21の
対向間隔(B)は、約2〜8μmであることが好まし
い。
【0083】図8に示されるグラフによれば、テーパ導
波路11の末端幅11c(Wt)が、分岐側導波路2
0、21の末端20c,21cの幅(W)の和(W+
W)と、分岐側導波路20、21の間隔(A)との総和
(2W+A)である20μmより、6μm大きいとき、
すなわち、Wt=26μmの値のときにおいて最低損失
値0.27dBが得られる。Wt=20μmのスケール
を持つ光ブランチングデバイスの分岐過剰損は、0.4
2dBであり、Wt=26μmのスケールを持つ光ブラ
ンチングデバイスの分岐過剰損は、0.27dBであ
る。したがって、図7A,7Bに示した光ブランチング
デバイスは、図10A、図10Bに示した末端幅11c
の拡大を行わない光ブランチングデバイス(Wt=20
μm)の0.42dBに比べて大幅な損失値の低下が認
めらる。
【0084】また、テーパ導波路11の末端11cの幅
(Wt)を拡大しすぎた場合、末端幅11cの拡大した
部分からの導波光の放射(後述する。)が増加し、損失
が増加する。したがって、図7に示されるグラフから、
テーパ導波路11の末端11cの幅(Wt)の拡大値は
約10μm以下であることが好ましい。長距離光通信を
行うためには、分岐過剰損は、0.3dB以下であるこ
とが望ましい。したがって、末端11cの幅(Wt)
は、23マイクロメーターより大きく、29マイクロメ
ーターより小さいことが望ましい。特に、テーパ導波路
11の末端幅(Wt)が約25μm〜27μm(末端幅
の拡大値が、約5μm〜7μm)のときに分岐過剰損
は、一定値0.27dBに収束する。したがって、最も
損失が減らすためには、末端11cの幅(Wt)が、2
5マイクロメーターより大きく、27マイクロメーター
より小さいことが望ましい。
【0085】次に、本発明の1つの実施例に係る光ブラ
ンチングデバイスについて説明する。
【0086】図12は、本発明の1つの実施例に係る光
ブランチングデバイスを示す斜視図である。図13A
は、このデバイスを図12の矢印H−Hを通る平面で切
ったデバイスの断面図である。図12Bは、図13Aに
示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデ
バイスの断面図である。図13Cは、図13Aに示した
デバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイス
の断面図である。図13Dは、図13Aに示したデバイ
スを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面
図である。図13Eは、図13Aに示したデバイスを図
の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図であ
る。図13Fは、図13Aに示したデバイスを図の矢印
F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図
13Gは、図13Aに示したデバイスを図の矢印G−G
を通る平面で切ったデバイスの断面図である。図14
は、図13Aに示したデバイスの断面図である。
【0087】この導波路型光分岐素子は、図1に示した
導波路光分岐素子のテーパ導波路11の末端11cに、
このテーパ部11の末端11cとほぼ同一幅の直線部1
6が付加された構造のテーパー導波路115を有してい
る。
【0088】このため、テーパ部115にて放射状に広
がった波面を直線部116にて平面状に戻してから、導
波光を分岐側導波路120,121に入射させることが
できる。
【0089】この波面が進行する様子を、図15に示
す。これにより、テーパ導波路111の分岐部側の端面
のうち、末端幅を拡大するために設けられた部分(分岐
側導波路120、121の末端幅と、分岐側導波路12
0、121の間隔との総和よりも幅を大きくした部分)
にて生じる導波光の放射(反射、回折)を抑え、分岐部
での放射損失(radiation loss) をさらに低減すること
ができる。
【0090】本実施例の光ブランチングデバイスについ
てさらに詳しく説明する。
【0091】図12に示すように、本実施例の導波路型
光分岐素子(光ブランチングデバイス)は、シリコン基
板101と、保持基板101上に形成されたクラッド部
材102と、第1コア部材110と、第2コア部材12
0と、第3コア部材121とを備える。
【0092】第1コア部材110は、クラッド部材10
2内に埋設されている。第2コア部材120は、クラッ
ド部材102内に埋設されている。第2コア部材120
は、第1コア部材110の第1端面111cに対して第
1の間隔Bを隔てて対向する第2端面120cを有して
いる。第3コア部材121も、クラッド部材102内に
埋設されている。第3コア部材121は、第1コア部材
110の第1端面111cに対して第2の間隔Bを隔て
て対向する第3端面21cを有している。ここで、第1
の間隔Bと第2の間隔Bとは等しくしてある。
【0093】クラッド部材102(クラッド102,ク
ラッド層102)は、第1表面102aを有している。
第1表面102aは、基板101の主表面101aに平
行である。主表面101aは、クラッド部材102と基
板101との界面で規定される。この第1表面102a
に垂直な方向と光の伝搬する方向の双方に垂直な方向を
幅方向とする。また、第1表面102aに垂直な方向を
厚み方向とする。第1コア部材110は、一定の幅およ
び厚みを有する光伝送路112、一定の厚みを有し、光
伝送路112に連続してこの光伝送路112から離れる
ほど広い幅を有するテーパー型の第1コア部分115
と、一定の厚みおよび幅を有し、コア部分115に連続
した第2コア部分116とを有する。
【0094】光伝送路112の幅112は、図113A
の面112aと面112bとの間の距離により規定され
る。
【0095】第1コア部材110は、第1表面102a
に対して垂直な面(図13Aの矢印B−Bを通る平面)
と交差することにより規定される第5垂直断面112d
を有している。
【0096】第1コア部材110は、第1表面102a
に対して垂直な第1面(図13Aの矢印C−Cを通る平
面)と交差することにより規定される第1垂直断面11
2eを有している。
【0097】第1コア部材110は、第1表面102a
に対して垂直な第2面(図13Aの矢印G−Gを通る平
面)であって第1端面111cと第1面(B−B面)と
の間に位置する第2面(G−G面)と交差することによ
り規定される第2垂直断面116cを有している。
【0098】第1コア部材110は、第1表面2aに対
して平行な第3面(図1の矢印H−Hを通る平面)と交
差することにより規定される第1水平断面(図13Aの
符号110aで示される)を有している。
【0099】第2コア部材120は、第1表面102a
に対して垂直な第4面(図13Aの矢印E−Eを通る平
面)と交差することにより規定される第3垂直断面12
0eを有している。第2コア部材120は、第3面(H
−H面)と交差することにより規定される第2水平断面
(図13Aの符号120fで示される)を有している。
第3コア部材121は、第4面(E−E面)と交差する
ことにより規定される第4垂直断面121eを有してい
る。第3コア部材121は、第3面(H−H面)と交差
することにより規定される第3水平断面121fを有し
ている。
【0100】第1コア部材110は、端面112cを介
して第1コア部材110に入力された光が、第1垂直断
面112eおよび第2垂直断面116cを横切って第1
水平断面110aに沿った方向に伝搬して第1端面11
1cから出力されるように配置されている。
【0101】なお、断面は、第1端面111cに平行で
あり、導波光の進行方向に垂直であるとする。
【0102】第2コア部材120は、第1端面111c
から出力された光が、第2端面120cを通って第2コ
ア部材120に入力され、第3垂直断面120eを横切
って第2水平断面1120fに沿った方向に伝搬して第
2コア部材120の端面120dを通って出力されるよ
うに配置されている。第3コア部材121は、第1端面
から出力された光が、第3端面121cを通って第3コ
ア部材121に入力され、第4垂直断面121eを横切
って第3水平断面121fに沿った方向に伝搬して第3
コア部材121から出力されるように配置されている。
【0103】ここで、第1端面111cの面積は、第1
垂直断面112eの面積よりも大きい。すなわち、第1
コア部材110は、第2および第3コア部材120,1
21方向に向かって広がったテーパー形状の部分115
を有している。テーパー形状の部分115は、第1コア
部材110の光軸OP(中心線)に対して所定の角度を
有する面115aおよび115bを有している。換言す
れば、部分115における第1表面102aに垂直な2
つの表面115a,115bと、第3表面(H−H面)
との交線115a,115bは、第3表面内において第
1コア部材110の光軸OP(中心線)に対して所定の
角度を有している。また、第1端面101aの幅は、基
板表面101aの法線方向(厚み方向)および第1端面
111cの法線方向(光軸方向)の双方に垂直な方向
(幅方向)に沿った第1端面101aの長さである。第
1端面111cの幅(Wt)は、第2端面120cと第
3端面121cとの間の距離よりも大きい。すなわち、
側面120a、120b、121a、121bと第1端
面111cとの交線をそれぞれ、交線120i、120
j、121j、121iとし、第1端面111cと端面
116との間の交線を111iとし、第1端面111c
と端面116との交線を111jとすれば、第1端面1
11cの幅はWtは、交線111iと交線111jとの
間の距離で規定される。また、第2端面120cの幅
(W)は、交線120iと120jとの間の距離によっ
て規定され、第3端面121cの幅(W)は、交線12
1iと121jとの間の距離によって規定される。第3
端面121cと第2端面120cとの間の距離(A)
は、交線120jと121jとの間の距離によって規定
される。つまり、交線111iと交線111jとの間の
距離(Wt)は、交線120iと121iとの間の距離
(W+W+A)よりも大きい。
【0104】換言すれば、この光ブランチングデバイス
は、基板表面101aを有する基板101、第1テーパ
導波路110、第2導波路120および第3導波路12
1を有している。
【0105】1テーパ導波路110は、第4導波路11
6とこの第4導波路116に連続した第2テーパ導波路
115を有している。第1テーパ導波路110は、基板
表面1a上に形成されている。
【0106】第4導波路116は、基板表面101aと
交差する面を含む第1端面111c、基板表面1aと交
差する面を含む第5側面116a、第5側面116aに
ほぼ平行な第6側面116bを有している。したがっ
て、第5側面116aと第6側面116bとのなす角度
は3度以下である。
【0107】第2テーパ導波路115は、第4導波路1
16(まっすぐな導波路)に連続している。第2テーパ
導波路115は、第4導波路116に近付く方向に広が
っている。第2導波路120は、基板表面101a上に
形成されている。第2導波路120は、第1端面111
cに対して所定の間隔をあけて対向する第2端面120
cを有している。
【0108】第3導波路121は、基板表面1a上に形
成されている。第3導波路121は、第1端面111c
に対して所定の間隔をあけて対向する第3端面121c
を有している。第1コア部材がテーパー部分115を含
んでいることにより、第1コア部材110の端面112
cに入力された光信号のエネルギー(パワー)密度は、
この光が第1垂直断面112dを通過して第1端面11
1cに向かうにしたがって減少する。
【0109】第1コア部材110の端面111cから出
力された光は、第2端面120cから第2コア部材12
0に入力され、第3端面121cから第3コア部材12
1に入力される。本願発明者らは、これまでの研究か
ら、2つの光部品間を伝搬する光の結合効率を増加され
るためには、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝
搬する方向に対して垂直にすることが有効であることに
気付いた。本実施例の光ブランチングデバイスの第1端
面111cは、この第1端面111cを通過する光の進
行方向に対して垂直である。また、第2端面120c
は、この第2端面120cに入射される光の進行方向に
対して垂直である。第3端面121cは、この第3端面
121cに入射される光の進行方向に対して垂直であ
る。
【0110】したがって、第1端面111cは、第2端
面120cに対して対向しており、第1端面111cは
第2端面120cに平行である。第1端面111cは、
第3端面121cに対して対向しており、第1端面11
1cは第3端面121cに平行である。
【0111】光ブランチングデバイスにおける光の結合
効率をさらに向上させるために、本実施例の光ブランチ
ングデバイスでは、第2垂直断面116cの面積が、第
1端面111cの面積と等しいこととした。換言すれ
ば、第2垂直断面116cの幅は、第1端面111cの
幅(Wt)とほぼ等しく、これらの面積の違いは3%以
下である。
【0112】すなわち、図15に示すように、第1コア
部材110に入力された光は、第1垂直断面112eか
ら第1端面111cに進行するにしたがって、光のパワ
ー密度(エネルギー密度)が減少すると同時に、この光
の波面WA1が第1水平断面110a内において扇型に
変形する。この第2垂直断面116cの面積が、第1端
面111cの面積と等しいこととすれば、この光が、第
2垂直断面116cから第1端面111cへ伝搬する間
にその波面が、第1端面111cに平行になる。同図か
ら明らかなように、本実施例に係る光学部品は、端面1
12cに取り付けられた光入力手段IMを有している。
光入力手段IMは、レーザダイオードIM1と、レーザ
ダイオードIM1から出力された光IM2が入力される
ように配置されたレンズIM3と、レンズIM3から出
力された光が入力されるように配置されたファイバIM
4とファイバIM5から出力された光が入力されるレン
ズIM5と、レンズIM5で集光された光がその端面に
入力されるファイバIM6とを備えている。ファイバI
M6の端面は、直接、第1導波路110の端面112c
に接続されている。ファイバIM6内を通過した光IM
7は、第1導波路110内を伝搬して、第2および第3
導波路120,121の第1端面111cに対向する一
端からこれらの導波路120,121に入力される。第
2導波路120に入力された光IM8は、第2導波路1
20の他端120dから出力され、この出力された光I
M10は、ファイバF102に入力される。ファイバF
102は、光検出器OM1に接続されている。一方、第
3導波路121に入力された光IM9は、第3導波路1
21の他端121dから出力され、この出力された光I
M11は、ファイバF103に入力される。ファイバF
103は、光検出器IM2に接続されている。
【0113】したがって、第1端面111cから出力さ
れた光の指向性は高くなり、第2コア部材120および
第3コア部材121に結合する光の結合効率は高くな
る。
【0114】また、第2端面120cおよび第3端面1
21cは、第1端面111cから出射される光の波面W
A2に平行であるので、光の結合効率は高くなる。
【0115】すなわち、第1コア部材110は、第1端
面111cを有し、入力された光のエネルギー密度を低
下させるとともに、光の波面WA1を第1端面111c
に対して平行にして光を第1端面111cから出射する
形状を有している。第2コア部材120は、第1端面1
11cに対して所定の間隔をあけて対向する第2端面1
20cを有しており、第3コア部材121cは、第1端
面111cに対して所定の間隔(B)をあけて対向する
第3端面121cを有している。
【0116】この光は、一定の幅(コアサイズ)を有す
る光伝送路(コア)112内を通過する。光伝送路11
2cは、第1コア部材110の一部分であり、テーパー
導波路部115に連続し、第1垂直断面112eの断面
積の最小値と等しい断面積を有している。
【0117】第2コア部材120は、第1表面102a
に対して垂直な面120aおよび120bを有してい
る。面120aおよび面120bは、第2コア部材12
0内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。ま
た、面120aと面120bとは互いに対向しており、
面120aおよび面120bは平行である。したがっ
て、面120aと面120bは、第1表面102aと第
2端面120cの双方に垂直である。
【0118】同様に、第3コア部材121は、第1表面
102aに対して垂直な面121aおよび121bを有
している。面121aおよび面121bは、第3コア部
材121内を伝搬する光の進行方向に対して平行であ
る。また、面121aと面121bとは互いに対向して
おり、面121aおよび面121bは平行である。した
がって、面121aと面121bは、第1表面102a
と第3端面121cの双方に垂直である。
【0119】第2部材120と第3部材121との間隔
は、第1コア部材110から離れるにしたがって広くな
る。すなわち、第2コア部材120は、第3コア部材1
21から離れる方向に曲った曲面130aおよび130
bを有している。曲面130aは、平面120aに連続
しており、曲面130bは、平面120bに連続してい
る。曲面130aの曲率半径はRであり、曲面130b
の曲率半径もほぼRである。第3コア部材121は、第
2コア部材120から離れる方向に曲った曲面131a
および131bを有している。曲面131aは、平面1
21aに連続しており、曲面131bは、平面121b
に連続している。曲面130aの曲率半径はRであり、
曲面131bの曲率半径もほぼRである。
【0120】第2端面120cから第2コア部材120
に入力された光は、第2コア部材120の端面20dか
ら出力される。第3端面121cから第3コア部材12
1に入力された光は、第3コア部材121の端面121
dから出力される。ここで、第2コア部材120の入力
端面120cから出力端面120dまでの光路長は、第
3コア部材121の入力端面121cから出力端面12
1dまでの光路長に等しい。したがって、第1コア部材
110からこれらのコア部材120,121に入力され
た光がコア部材120,121から出力される場合にお
いて、コア部材120,121によって分岐されたそれ
ぞれの光ビームの出力端面120d,121dにおける
位相は揃っている。それぞれの端面120d,121d
から出力された光ビームの位相は、お互いに揃っている
ので、これらの出力光を再び合成する場合などにおいて
も、それぞれのビームの位相は容易に整合する。
【0121】図16は、図13Aに示した光ブランチン
グデバイスの第2コア部材120および第3コア部材1
21の端面120d,121dを改良したデバイスであ
る。図13Aに示した光ブランチングデバイスの端面1
20d,121dは、露出している。露出した端面12
0dの法線方向は、第3コア部材121の内を伝搬する
光の進行方向(光軸方向)に対して所定の角度を有して
いる。また、露出した端面121dの法線方向は、第3
コア部材121内を伝搬する光の進行方向に対して所定
の角度を有している。すなわち、第2コア部材120お
よび第3コア部材121は、S字形導波路(S-shaped wa
veguid) である。前述のように、本願発明者らは、これ
までの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結合効
率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向する
端面を光の伝搬する方向(光軸)に対して垂直にするこ
とが有効であることに気付いた。そこで、本実施例の光
ブランチングデバイスは、図16に示すように、第2コ
ア部材120の出力端面120dが、第2コア部材12
0の光軸OP2(一点鎖線で示す)に対して垂直になる
ように第2コア部材120を配置する。第2コア部材1
20の端面120dに対向する位置にレンズL102を
介して光ファイバF102を配置する。また、第3コア
部材121の出力端面121dが、第3コア部材21の
光軸OP3(一点鎖線で示す)に対して垂直になるよう
に第3コア部材121を配置する。第3コア部材121
の端面121dに対向する位置にレンズL102を介し
て光ファイバF103を配置する。また、第1コア部材
110の入力端面112cが、第1コア部材110の光
軸OP1(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように
第1コア部材110を配置する。第1コア部材110の
端面112cに対向する位置にレンズL101を介して
光ファイバF101を配置する。
【0122】図17は、図16に示した光ブランチング
デバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイ
スBR101,BR102,BR103を接続した1x
4構造を有する光ブランチングデバイスである。この光
ブランチングデバイスは、第1の光ブランチングデバイ
スBR101と、第1の光ブランチングデバイスBR1
01の出力端面120dに、第2の光ブランチングデバ
イスBR102の入力端面112cが接続された第2の
光ブランチングデバイスBR102と、第1の光ブラン
チングデバイスBR101の出力端面121dに、第3
の光ブランチングデバイスBR103の入力端面112
cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR10
3とを備える。端面P101から第1の光ブランチング
デバイスBR101に入力された光信号(図の実線矢印
で示す)は、この光ブランチングデバイスによって、分
離されて、第2の光ブランチングデバイスBR102の
端面P102,P103、および第3の光ブランチング
デバイスBR103の端面P104,P105から出力
される。一方、端面P102〜P105から入力された
それぞれの光信号(図の一点鎖線矢印で示す)は、この
光ブランチングデバイスによって、合成されて、端面P
101から出力される。
【0123】図20は、図16に示した光ブランチング
デバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイ
スBR101,BR102,BR103,BR104,
BR105,BR106,BR107を接続した1x8
構造を有する光ブランチングデバイスである。この光ブ
ランチングデバイスは、入力端面(入力ポート)を有す
る第1の光ブランチングデバイスBR101と、第1の
光ブランチングデバイスBR101の出力端面120d
に、第2の光ブランチングデバイスBR102の入力端
面112cが接続された第2の光ブランチングデバイス
BR102と、第1の光ブランチングデバイスBR10
1の出力端面121dに、第3の光ブランチングデバイ
スBR103の入力端面112cが接続された第3の光
ブランチングデバイスBR103とを有している。さら
に、この光ブランチングデバイスは、第2の光ブランチ
ングデバイスBR102の出力端面120dに、第4の
光ブランチングデバイスBR4の入力端面112cが接
続された第4の光ブランチングデバイスBR104と、
第2の光ブランチングデバイスBR102の出力端面1
21dに、第5のブランチングデバイスBR105の入
力端面112cが接続された第5の光ブランチングデバ
イスBR105と、第3の光ブランチングデバイスBR
103の出力端面120dに、第6の光ブランチングデ
バイスBR106の入力端面112cが接続された第6
の光ブランチングデバイスBR106と、第3の光ブラ
ンチングデバイスBR103の出力端面121dに、第
7の光ブランチングデバイスBR7の入力端面112c
が接続された第7の光ブランチングデバイスBR107
とを備える。
【0124】したがって、この光ブランチングデバイス
は、このデバイスに入力された1つの光ビームを8つの
ビームに分岐することができ、このデバイスに入力され
た8つのビームを1つのビームに合成することができ
る。なお、これらの光ブランチングデバイスBR10
1,BR102,BR103,BR104,BR10
5,BR106,BR107は同一基板101上に形成
されている。
【0125】図18は、直線部116の長さLsと分岐
過剰損との関係を示すグラフである。すなわち、図18
は、導波光の波長1.55μmにおける図12に示した
光ブランチングデバイスの分岐過剰損をビーム伝搬法に
より計算した結果を表したグラフである。計算にあたっ
て、導波路型光分岐素子の各部の寸法は、A=4μm、
B=4μm、W=8μm、Lt=1200μm、R=5
0mmとした。テーパ部15の末端幅(Wt)は、図1
の導波路型光分岐素子において最も損失低減の効果が現
れた値である26μmである(図8参照)。また、コア
とクラッドの比屈折率差は0.3%とした。Bは、第2
コア部材120の第2端面120cと第1コア部材11
0の第1端面111cとの距離である。なお、Bは、第
3コア部材121の第3端面121cと第1コア部材1
10の第1端面111cとの間隔に等しい。Lsは、図
14に示した、テーパー部111の第4導波路116の
端面111cと、第4導波路116と第2テーパ導波路
115との界面111eとの間の距離である。Ltは、
図14に示した、界面111eと、第2テーパ導波路1
15と光導波路112との界面111dとの間の距離で
ある。
【0126】図18に示されるグラフによれば、図12
の導波路型光分岐素子に関して、分岐過剰損の最低値
は、0.23dBである。この最低値は、直線部116
の長さが約300μmのときに得られる。図1の導波路
型光分岐素子の分岐過剰損の最低値は、0.27dBで
ある。したがって、図12に示した光ブランチングデバ
イスは、図1に示した光ブランチングデバイスよりも優
れている。図12に示した導波路型光分岐素子によれ
ば、さらなる損失の低減効果が得られることが確認され
る。
【0127】また、直線部(第4導波路)116が長く
なり過ぎると、高次モードの発生等により分岐部以外の
部分において損失が上昇する。したがって、直線部11
6の長さ(Ls)、すなわち、第6側面116cの長さ
は、損失が最低になる約300μm以下であるのが好ま
しい。また、分岐過剰損失は、直線部116の長さが、
400マイクロメータよりも小さく、100μmよりも
大きい場合に顕著に減少する。したがって、第4導波路
116の長さ、すなわち、第6側面116bの長さは、
400マイクロメータよりも小さく、100μmよりも
大きいことが望ましい。直線部116の長さ、すなわ
ち、第6側面116cの長さが、300マイクロメータ
以下であり、250μmよりも大きい場合に、分岐過剰
損の値は、一定値(最低値0.23dB)に収束する。
【0128】本発明者らは、実施例に係る光ブランチン
グデバイスの効果を確認するために、図1、図12、お
よび図11に示した光ブランチングデバイスを作製し
た。本願発明者らは、これらデバイスの光伝送特性を測
定した。以下、この結果を示す。
【0129】(第1実験)本願発明者らは、図1、図1
2、図11の導波路型光分岐素子を製造した。図11の
分岐導波路は、図1および図12に示した分岐導波路と
その特性を比較するために作製した。これらの分岐導波
路は、1x2構造を有している。
【0130】これらの導波路型光分岐素子は、シリコン
基板1,101上に火炎堆積法でSiO2 ガラス層
(クラッド)を形成し、次いで、ドーパントを含んだ高
屈折率のSiO2 ガラス層を堆積して、エッチングする
ことによりコアを形成し、さらに上部クラッドとしての
SiO2 ガラス層を堆積して形成することにより作製し
た。
【0131】各素子の各部の寸法は、図1、図12、図
11における符号を用いて表すと、 A=4μm B=4μm W=8μm Lt=1200μm R=50mm (以上の寸法は、図1、12、11の3タイプに共通)
であり、第1テーパ導波路11,111の末端幅(W
t)および直線部16の長さLsについては、 図1のタイプ(実施例)…Wt=26μm、Ls=0μ
m 図12のタイプ(実施例)…Wt=26μm、Ls=2
50μm 図11のタイプ(比較例)…Wt=20μm、Ls=0
μm と異ならせている。また、いずれにおいても、コアとク
ラッドの比屈折率差は0.3%、導波路の厚さは8μm
とした。
【0132】上記の導波路型光分岐素子にシングルモー
ドファイバを通じて波長1.55μmのレーザダイオー
ド光を入出力して、分岐過剰損を測定した。分岐過剰損
は、光分岐素子全体の損失から1×2分岐構造の本質的
な損失3dB、入出力ファイバとの結合損、導波路の伝
送損失を差し引いた値で定義される。
【0133】各タイプの素子について各10個づつのサ
ンプルを用意し、測定値の平均を求めた。この結果、平
均分岐過剰損は、 図1のタイプ(実施例)…0.36dB 図12のタイプ(実施例)…0.32dB 図11のタイプ(比較例)…0.55dB であった。測定誤差は±0.05dBである。したがっ
て、測定誤差を考慮しても、本実施例に係る素子と比較
例に係る素子との間には有効な差が認めらる。第1テー
パ導波路11,111の末端幅拡大により光分岐の際の
損失が低減されることが実際に確認された。
【0134】(第2実験)本願発明者らは、図6、図2
0に示した1x8構造を有する導波路型光分岐素子を製
造した。また、図11の分岐導波路を用いて1x8構造
を有する分岐導波路(第2比較例に係る素子)を製造し
た。第2比較例に係る素子は、図6および図20に示し
た分岐導波路とその特性を比較するために作製した。本
願発明者らは、それぞれの素子について分岐過剰損の測
定を行った。この1×8素子は、実施例の1×2素子に
おける分岐側導波路20,21(120,121)の末
端を、実施例の別の1×2素子の第1テーパ導波路11
(111)に連続させるた素子である。この素子は、光
伝搬方向に沿って実施例の1×2素子を複数組み合わせ
たものである。
【0135】作製された素子は、図1の1×2素子を3
段組み合わせた1×8素子、図12の素子を3段組み合
わせた1×8素子である。また、比較例に係る図11の
素子を3段組み合わせた1×8素子も併せて作製した。
【0136】導波光波長が1.55μmの場合の平均分
岐過剰損を、1×8素子の8個の出力ポートの出力平均
を測定して求めた。この測定の結果、図6に示した1×
8素子の平均分岐過剰損は1.02dB、図20に示し
た1×8素子の平均分岐過剰損は0.89dBであっ
た。図11の素子を用いた1x8素子(第2比較例の素
子)の平均分岐過剰損は1.53dBであった。図6お
よび図20に示した素子の平均分岐過剰損は、図11に
示した素子の平均分岐過剰損よりも低い。したがって、
図6に示した分岐導波路は、第2比較例の素子よりも優
れていることが実験的にも判明した。図20に示した素
子は、図6に示した素子よりもさらに優れていることが
実験的にも判明した。改善された素子の平均分岐過剰損
の低下量は、測定誤差の値よりもはるかに大きい。これ
は、図1,図12の1×2素子を3段組み合わせたこと
により、直線部116を付加した効果が累積的に現れた
ものである。したがって、図12の導波路型光分岐素子
で、さらに効果的に光分岐における損失が低減されるこ
とが確認された。
【0137】図19は、図20の1×8素子と第2比較
例に係る1×8素子について、分岐過剰損の波長特性を
測定した結果を示したグラフである。測定にあたって
は、各素子に分光器から出射した光を入射させた。
【0138】図19に示されるグラフによれば、広範囲
にわたる導波光の波長領域において、図20の1×8素
子の方が第2比較例の素子より低損失であることが確認
できる。また、本実施例のタイプは比較例のタイプに比
べ導波光波長の変化による損失の変動が小さい。したが
って、本発明の導波路型光分岐素子は、広波長域にわた
る光を掃引するような光測定システムなどにおいて好適
な使用が可能な点でも優れている。
【0139】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、様々な変形が可能である。例えば、テーパ
導波路の末端幅が拡大されているかぎり、導波路型光分
岐素子の組成や、各部の形状、寸法等は、上記実施例の
ものに限定されない。また、導波路型光分岐素子の構造
は、本実施例の埋込み型構造に限られず、リッジ型や装
荷型といった他の構造であってもよい。また、2つの分
岐側導波路は、上記実施例のように、非分岐側導波路の
中央線に関して対称に配置されるものに限られず、非対
称の光分岐素子であっても上記実施例と同様に損失低減
の効果が得られるものと考えられる。
【0140】以上、詳細に説明した通り、本発明の導波
路型光分岐素子は、非分岐側導波路と分岐側導波路とを
分離した分岐部構造を採用しているので、加工困難なく
さび部を設けることなく導波光を分岐させることができ
る。このため、優れた加工安定性のもとに再現性よく作
製でき、とくに、大規模光通信システムの構築にあたっ
て、歩留りよく大量生産することが可能である。
【0141】また、本発明の導波路型光分岐素子はこれ
に加えて、以下の効果を有する。すなわち、テーパ導波
路の末端の幅が、2つの分岐側導波路の分岐部側の末端
の各幅と、2つの分岐側導波路の分岐部における間隔と
の総和よりも大きいので、光分岐の前後における導波光
の電界分布の重なりを大きくし、結合効率を向上させな
がら導波光を分岐させることができる。これにより、2
つの分岐側導波路間からの導波光放射を大幅に減少さ
せ、広い波長域にわたって光分岐における損失を低減し
つつ導波光を分岐させることができる。
【0142】また、本発明の導波路型光分岐素子のう
ち、テーパ導波路が、テーパ部と、テーパ部の先端に付
加され、テーパ部の末端とほぼ同一幅の直線部とを有す
るものは、末広がりのテーパ部に直線部が付加されてい
るので、テーパ部にて放射状に広がった波面を平面状に
戻してから導波光を分岐側導波路に入射させ、非分岐側
導波路の分岐部側の端面のうち、2つの分岐側導波路の
分岐部側の末端の各幅と、2つの分岐側導波路の分岐部
における間隔との総和よりも幅を大きくした部分からの
導波光放射を抑えて、広い波長域にわたって光分岐にお
ける損失をさらに低減しつつ導波光を分岐させることが
できる。
【0143】また、上記の導波路型光分岐素子を複数段
組み合わせてなる導波路型光分岐素子では、上記の効果
が累積されて、広い波長域にわたって光分岐における損
失を格段に低減しつつ導波光を分岐して出力することが
できる。
【0144】なお、第2コア部材120および第3コア
部材121内を伝搬する光ビームを完全に分離するため
には、図21に示すように、第2コア部材120と第3
コア部材121との間に遮光部材140を配置する。
【0145】次に、本発明の1つの実施例に係る光ブラ
ンチングデバイスについて説明する。
【0146】本発明の1つの実施例に係る光ブランチン
グデバイスを図22ないし図24に示す。これは単一モ
ード導波路312または320、321によって伝送さ
れる導波光を、多モードのテーパ導波路311を介して
分岐、結合させる略Y字状の分岐結合素子(Y字状素
子)である。
【0147】本発明に係る導波路型光分岐結合素子の一
つは、多モード導波路310と、2つの単一モード導波
路320,321とを備えている。単一モード導波路3
20,321は、多モード導波路310側の端部320
c,321cが互いに近接している。端面320c,3
21cは、多モード導波路310の一方の端面311c
と所定の間隔(B)をあけて対向している。
【0148】2つの単一モード導波路320,321の
うち少なくとも1つの導波路は、基端部側から多モード
導波路311側に向かって徐々にその幅が縮小されてい
る。
【0149】ここで、多モード導波路310は、所定幅
の単一モード導波路312と端部に接続されたテーパ導
波路311とからなる。このテーパ導波路311は、後
述するように、所定幅の導波路に接続され平面形状がテ
ーパ状のテーパ部と、テーパ部に接続されテーパ部の末
端とほぼ同一幅の直線部とを有するものであってもよ
い。また、後述するように、多モード導波路側の端部が
互いに近接し、多モード導波路の他方の端面と所定の間
隔をあけて対向する2つの単一モード導波路をさらに備
えてもよい。
【0150】光ブランチングデバイスは、多モード導波
路と、多モード導波路の一方の末端に接続され、多モー
ド導波路側の端部が互いに近接する2つの単一モード導
波路とを備え、2つの単一モード導波路のうち少なくと
も1つが基端部側から多モード導波路側に向かって徐々
に幅が縮小されることにより、2つの単一モード導波路
の中心間の間隔が狭められたことを特徴としている。
【0151】この導波路型光分岐結合素子は、多モード
導波路の他方の末端に接続され、多モード導波路側の端
部が互いに近接する2つの単一モード導波路をさらに備
えてもよい。以上の導波路型光分岐結合素子は、単一モ
ード導波路の多モード導波路側の末端幅が基端部の幅の
1/2〜4/5になるように縮小されていてもよい。
【0152】本発明に係る導波路型光分岐結合素子のう
ち、多モード導波路の一方の端面と2つの単一モード導
波路の端面が対向するものは、多モード導波路と2つの
単一モード導波路とが分離した分岐部構造を有するの
で、分岐部に加工困難な間隙部を設けることなく導波光
の分岐、結合が可能である。このため、分岐部の加工が
容易で優れた加工安定性を有する。
【0153】さらに、2つの単一モード導波路の幅が基
端部側から多モード導波路側に向かって徐々に縮小され
ているので、2つの単一モード導波路の中心間の間隔が
狭められる。これにより、単一モード導波路の末端にお
ける電界分布の2つのピークが接近し、分岐部での電磁
界分布の結合効率が高まる。したがって、分岐部での損
失を低減しつつ導波光を分岐、結合させて出力すること
ができる。
【0154】また、上記の導波路型光分岐素子のうち、
多モード導波路がテーパ部と直線部とを有するテーパ導
波路であるものは、上記の作用に加えて特に以下の作用
を有する。すなわち、導波光が多モード導波路から単一
モード導波路へ向かって伝送される場合、導波光は、テ
ーパ部にて放射状に広がった波面が直線部にて平面状に
戻されてから単一モード導波路に入射する。これによ
り、多モード導波路の端面のうち、単一モード導波路の
末端幅縮小により、対向する導波路端面が存在しなくな
った部分にて生じる導波光の放射を抑えながら導波光を
分岐して出力することができる。
【0155】また、本発明に係る導波路型光分岐素子の
うち、多モード導波路の一方の末端に2つの単一モード
導波路が接続されているものは、2つの単一モード導波
路の幅が基端部側から多モード導波路側に向かって徐々
に縮小されているので、2つの単一モード導波路の中心
間の間隔が狭められる。これにより、2つの単一モード
導波路の末端における電界分布の2つのピークが接近
し、分岐部での電磁界分布の結合効率が高まって、分岐
部での損失を低減しつつ導波光を分岐、結合させて出力
することができる。
【0156】図22のように、例えばシリコンからなる
基板301の上面に、例えばSiO2 からなる透明材料
層が形成されている。この透明材料層は高屈折率のコ
ア、すなわち単一モード導波路312、多モードのテー
パ導波路311および分岐側の単一モード導波路(以
下、分岐側導波路と呼ぶ。)320,321と、このコ
アが埋め込まれた低屈折率のクラッド302とからな
る。なお、導波路311,312,320および321
は、いずれもこれらの部材内を光が伝搬する方向に沿っ
て形成されている。
【0157】テーパ導波路311は単一モード導波路3
12に接続されている。また、分岐側導波路320,3
21の端面320c,321cはともに、テーパ導波路
311の端面と所定の間隔をあけて対向している。
【0158】単一モード導波路312の、基板の表面方
向に沿った平面形状は直線であり、テーパ導波路311
の平面形状は、単一モード導波路312側から分岐部側
に向かって末広がりのテーパ形状である。また、分岐側
導波路320,321は、基端部320d,321d側
からテーパ導波路312に向かって徐々に幅が縮小され
ている。
【0159】図24を用いて、図22および図23A−
23Eに示される光ブランチングデバイスの構造をより
詳しく説明する。図24のように、テーパ導波路311
は末端幅がWt、長さがLtであり、幅がW1の単一モ
ード導波路312に接続されている。分岐側の単一モー
ド導波路320,321の端面320c,321cは、
テーパ導波路311の端面と所定の間隔Bをあけて対向
している。また、分岐側導波路320、321は、分岐
部側の端部が間隔Aをあけて互いに近接しており、テー
パ導波路311の中央線に関して対称に、なおかつ、光
の伝搬する方向に向かって徐々に互いの間隔が大きくな
るように配置されている。優れた加工安定性と低損失性
を同時に実現するためには、テーパ導波路311の端面
と分岐側導波路320、321の端面との間隔Bは、2
〜8μm程度であることが好ましい。
【0160】分岐側導波路320、321は、一定幅の
基端部320x,321xに、外縁の曲率半径がRでテ
ーパ導波路311に向かって徐々に幅が縮小された単一
モード導波路320y,321yが接続されたものであ
る。ここで、基端部320x,321xは、共に、幅が
W1で曲率半径がRの曲線形状の単一モード導波路であ
る。また、分岐側導波路320、321の第1端面31
1c側の末端幅はW2である。なお、分岐側導波路32
0、321の幅は、基端部320x,321x側から導
波路の光軸中心軸に沿って1mmテーパ導波路12側に
向かうごとに3μm小さくなる。
【0161】ここで、単一モード導波路の幅について述
べると、単一モード条件の下で十分な電磁界の閉じ込め
作用を実現し、スラブの導波路からの放射を抑えながら
光を伝送するためには、導波路の正規化周波数Vが、 (3/8)π≦V≦(1/2)π…(1) の条件を満たすように導波路の幅(W)を設定すること
が好ましい。なお、 V=(π・W/λ)・(N1 2 −N2 2 1/2 ここで、W…導波路の幅 λ…導波光の波長 N1 …コアの屈折率 N2 …クラッドの屈折率 である。
【0162】本実施例に係る図24の素子では、基端部
320x,321xおよび単一モード導波路312の幅
は、式(1)の条件をみたす様に設定される。基端部3
20x,321xおよび単一モード導波路312の幅の
値は、それぞれW1である。しかし、テーパ導波路31
1と分岐側導波路320、321とが分離した分岐部構
造を有する点、および分岐側導波路320、321の末
端幅(=W2)が基端部320x,321xおよび単一
モード導波路312の幅(=W1)より縮小されている
点で図11の素子と異なっている。
【0163】本実施例の素子について、さらに詳しく説
明する。
【0164】第2コア部材320および第3コア部材3
21は、第1端面311cに近づくにしたがって、細く
なっている。
【0165】図22は、この光ブランチングデバイスを
示す斜視図である。図23Aは、このデバイスを図の矢
印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
図23Bは、図23Aに示したデバイスを図の矢印B−
Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23
Cは、図23Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通
る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Dは、
図23Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面
で切ったデバイスの断面図である。図23Eは、図23
Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切っ
たデバイスの断面図である。図23Fは、図23Aに示
したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバ
イスの断面図である。図23Gは、図23Aに示したデ
バイスを図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの
断面図である。図24は、図23Aに示した光ブランチ
ングデバイスを示す図である。
【0166】本実施例の導波路型光分岐素子(光ブラン
チングデバイス)は、シリコン基板301と、保持基板
301上に形成されたクラッド部材302と、第1コア
部材(第1テーパ導波路)310と、第2コア部材(第
2導波路)320と、第3コア部材(第3導波路)32
1とを備える。
【0167】第1コア部材310は、クラッド部材30
2内に埋設されている。第2コア部材320は、クラッ
ド部材302内に埋設されている。第2コア部材320
は、第1コア部材310の第1端面311cに第1の間
隔をあけて対向する第2の端面320cを有している。
第3コア部材321も、クラッド部材302内に埋設さ
れている。第3コア部材321は、第1コア部材10の
第1端面311cに第2の間隔を開けて対向する第3端
面321cを有している。
【0168】クラッド部材302(クラッド302,ク
ラッド層302)は、第1表面302aを有している。
第1表面302aは、基板301の主表面301aに平
行である。この第1表面302aに垂直な方向と光の伝
搬する方向の双方に垂直な方向を幅方向とする。また、
第1表面302aに垂直な方向を厚み方向とする。第1
コア部材310は、一定の幅および厚みを有する光伝送
路312、一定の厚みを有し、光伝送路312に連続し
てこの光伝送路312から離れるほど広い幅を有するテ
ーパー型のコア部分311とを有している。光伝送路3
12の幅312は、図23Aの面312aと面312b
との間の距離により規定される。
【0169】第1コア部材310は、第1表面302a
に対して垂直な第1面(図23Aの矢印B−Bを通る平
面)と交差することにより規定される第1垂直断面31
2dを有している。第1コア部材310は、第1表面3
02aに対して垂直な第2面(図23Aの矢印C−Cを
通る平面)であって第1端面311cと第1面(B−B
面)との間に位置する第2面(C−C面)と交差するこ
とにより規定される第2垂直断面312eを有してい
る。第1コア部材310は、第1表面2aに対して平行
な第3面(図22の矢印H−Hを通る平面)と交差する
ことにより規定される第1水平断面(図23Aの符号3
10aで示される)を有している。
【0170】第2コア部材320は、第1表面302a
に対して垂直な第4面(図23Aの矢印E−Eを通る平
面)と交差することにより規定される第3垂直断面32
0eを有している。第2コア部材320は、第3面(H
−H面)と交差することにより規定される第2水平断面
(図23Aの符号320fで示される)を有している。
【0171】第3コア部材321は、第4面(E−E
面)と交差することにより規定される第4垂直断面32
1eを有している。第3コア部材321は、第3面(H
−H面)と交差することにより規定される第3水平断面
321fを有している。
【0172】換言すれば、図22ないし図24に示され
た分岐導波路は、基板1、第1テーパ導波路310、第
2導波路320および第3導波路321を有している。
【0173】第2コア部材320は、第1コア部材31
0に近づくにしたがって細くなっている。第3コア部材
321も、第1コア部材310に近づくにしたがって細
くなっている。さらに、第2コア部材320と第3コア
部材321との間の間隔は、第1コア部材310に近づ
くにしたがって狭くなっている。この光ブランチングデ
バイスにおいて、第1コア部材310は、第1のマルチ
モード導波路310であり、第2コア部材320は、第
2のシングルモード導波路320であり、第3コア部材
321は、第3のシングルモード導波路321ある。第
1コア部材310はテーパ導波路311を含む。
【0174】第2コア部材320と第3コア部材321
は、共に先細りの形状を有しているので、第2コア部材
320と第3コア部材321との間のスペースを一定と
した場合において、第2端面320cにおける第2コア
部材320の光軸と、第3端面321cにおける第3コ
ア部材321の光軸との距離を近接させることができ
る。
【0175】したがって、第2コア部材320の第2端
面320cにおいて、この第2コア部材320内を伝達
する光は,コア320の径方向に電界分布を有する。電
界分布のピーク位置(第1ピーク位置)は、第2コア部
材320の光軸のある位置である。第3コア部材321
の第3端面321cにおいて、この第3コア部材321
c内を伝達する光は,コア321の径方向に電界分布を
有する。電界分布のピーク位置(第2ピーク位置)は、
第3コア部材321の光軸のある位置である。第1ピー
クと第2ピークとを近接させれば、第1コア部材310
と第2コア部材320との間を伝搬する光の結合効率お
よび第1コア部材310と第3コア部材321との間を
伝搬する光の結合効率は高めることができる。したがっ
て、本発明によれば、分岐部での損失を低減しつつ導波
光を分岐、結合させて出力することができる。
【0176】第2コア部材320は、第2端面320
c、第3垂直断面320eおよび第2水平断面320f
を有している。第2端面320cは、第1コア部材(第
1テーパ導波路)310の第1端面311cに対して対
向している。
【0177】第3垂直断面320eは、第1表面302
aに対して垂直な第4面(E−E面)と交差することに
より規定される。第2水平断面320fは、第3面(H
−H面)と交差することにより規定される。ここで、第
2コア部材320は、先細りの形状であるので、第2端
面320cの面積は、第3垂直断面320eの面積より
も小さい。また、第2コア部材320は、第4面と平行
な面(G−G面)と交差することによって規定される断
面320hを有している。第3垂直断面320eは、界
面320cと断面320hとの間に配置される。断面3
20hの面積は、第3垂直断面320eの面積よりも大
きい。
【0178】第3コア部材321は、クラッド部材30
2内に埋設されている。第3コア部材321は、第3端
面321c、第4垂直断面321e、第3水平断面32
1fを有している。第3端面)321cは、第1コア部
材310の第1端面311cに対して対向している。第
4垂直断面321eは、この第3コア部材321が、第
4面(E−E面)と交差することにより規定される。第
3水平断面321fは、第3コア部材321が、第3面
(H−H面)と交差することにより規定される。第3コ
ア部材321は、先細りの形状を有しているので、第3
端面321cの面積は、第4垂直断面321eの面積よ
りも小さい。また、第3コア部材321は、第4面(E
−E面)と平行な面(G−G面)と交差することによっ
て規定される断面321hを有している。第4垂直断面
321eは、界面321cと断面321hとの間に配置
される。断面321hの面積は、第4垂直断面321e
の面積よりも大きい。
【0179】基板301は、基板表面301aを有して
いる。第1テーパ導波路310は、基板表面301a上
に形成されており、第1端面311cを有している。第
2導波路320は、基板表面301a上に形成されてい
る。第2導波路320は、第1端面311cとの界面3
20c、基板表面301aと交差する面を含む第1側面
320a、第1側面320aに対向する第2側面320
bを有している。
【0180】第3導波路321は、基板表面301a上
に形成されている。第1端面311cとの界面321
c、基板表面301aと交差する面を含む第3側面32
1a、第3側面321aに対向する第4側面321bを
有している。第4側面321bは、第1側面320aと
第3側面321aとの間に配置されている。第1側面3
20aは、第2側面320bと第4側面321bとの間
に配置されている。
【0181】第1端面311cの幅は、基板表面301
aの法線方向(厚み方向)および第1端面311cの法
線方向(光軸方向)の双方に垂直な方向(幅方向)に沿
った第1端面311cの長さである。第1端面311c
の幅(Wt)は、第2側面320aと第3側面321b
との間の距離よりも大きい。すなわち、側面320a、
320b、321a、321bと第1端面311cとの
交線をそれぞれ、交線320i、320j、321j、
321iとし、第1端面311cと端面311bとの間
の交線を311iとし、第1端面311cと端面311
aとの交線を311jとすれば、第1端面311cの幅
はWtは、交線311iと交線311jとの間の距離で
規定される。また、第2端面320cの幅(W2)は、
交線320iと320jとの間の距離によって規定さ
れ、第3端面321cの幅(W2)は、交線321iと
321jとの間の距離によって規定される。第3端面3
21cと第2端面320cとの間の距離(A)は、交線
320jと321jとの間の距離によって規定される。
つまり、交線311iと交線311jとの間の距離(W
t)は、交線320iと321iとの間の距離(W2+
W2+A)よりも大きい。
【0182】第1コア部材310は、界面312cを介
して第1コア部材310に入力された光が、第1垂直断
面312dおよび第3垂直断面312eを横切って第1
水平断面310aに沿った方向に伝搬して第1端面31
1cから出力されるように配置されている。
【0183】第2コア部材は、第1端面311cから出
力された光が、第2界面320cを通って第2コア部材
320に入力され、第3垂直断面320eを横切って第
2水平断面320fに沿った方向に伝搬して第2コア部
材320の端面320dを通って出力されるように配置
されている。
【0184】第3コア部材321は、第1端面311c
から出力された光が、第3端面321cを通って第3コ
ア部材311に入力され、第4垂直断面321eを横切
って第3水平断面321fに沿った方向に伝搬して第3
コア部材321から出力されるように配置されている。
【0185】ここで、第1端面311cの面積は、第1
垂直断面312dの面積よりも大きい。すなわち、第1
コア部材310は、第2および第3コア部材方向32
0,321に向かって広がったテーパー形状の部分31
1を有している。テーパー形状の部分311は、第1コ
ア部材310の光軸OP310(中心線)に対して所定
の角度を有する面311aおよび311bを有してい
る。換言すれば、テーパー形状の部分(テーパ導波路)
311の第1表面302aに垂直な2つの表面と、第3
表面(H−H面)との交線311a,311bは、第3
表面の第1コア部材310の光軸OP310(中心線)
に対して所定の角度を有している。第1コア部材310
がテーパー部分311を含んでいることにより、第1コ
ア部材310の端面(第4端面)312cに入力された
光信号のエネルギー(パワー)密度は、この光が第1垂
直断面312dを通過して第1端面311cに向かうに
したがって減少する。
【0186】第1コア部材310の端面311cから出
力された光は、界面320cから第2コア部材320に
入力され、第3端面321cから第3コア部材321に
入力される。
【0187】光ブランチングデバイスの第1端面311
cは、第1端面311cを通過する光の進行方向に対し
て垂直である。したがって、第2端面320cは、この
第2端面320cに入射される光の進行方向に対して垂
直である。第3端面321cは、この第3端面321c
に入射される光の進行方向に対して垂直である。したが
って、第1端面311cは、第2端面320cに対して
対向しており、第1端面311cは第2端面320cに
平行である。第1端面311cは、第3端面321cに
対して対向しており、第1端面311cは第3端面32
1cに平行である。
【0188】第2コア部材320は、第1表面302a
に対して垂直な面320aおよび320bを有してい
る。面320aおよび面320bは、第2コア部材32
0内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。ま
た、面320aと面320bとは互いに対向しており、
面320aおよび面320bは平行である。したがっ
て、面320aと面320bは、第1表面302aと第
2端面320cの双方に垂直である。
【0189】同様に、第3コア部材321は、第1表面
302aに対して垂直な面321aおよび321bを有
している。面321aおよび面321bは、第3コア部
材321内を伝搬する光の進行方向に対して平行であ
る。また、面321aと面321bとは互いに対向して
おり、面321aおよび面321bは平行である。した
がって、面321aと面321bは、第1表面302a
と第3端面321cの双方に垂直である。
【0190】第2導波路320は、一定の幅を有する一
定幅導波路320xと、一定幅導波路320xに連続し
た傾斜幅導波路320yとを有している。傾斜幅導波路
320yは、第1端面311cに近づくにしたがって、
その幅が細くなっており、傾斜幅導波路320yの幅
は、一定幅導波路320xの幅の1/2ないし4/5で
ある。
【0191】第3導波路321は、一定の幅を有する一
定幅導波路321xと、一定幅導波路321xに連続し
た傾斜幅導波路321yとを有している。傾斜幅導波路
321yは、第1端面311cに近づくにしたがって、
その幅が細くなっており、傾斜幅導波路321yの幅
は、一定幅導波路321xの幅の1/2ないし4/5で
ある。
【0192】第2コア部材320と第3コア部材321
との間隔は、第1コア部材310から離れるにしたがっ
て広くなる。すなわち、第2コア部材320は、第3コ
ア部材321から離れる方向に曲った曲面330aおよ
び330bを有している。曲面330aは、平面320
aに連続しており、曲面330bは、平面320bに連
続している。曲面330aの曲率半径はRであり、曲面
330bの曲率半径もほぼRである。第3コア部材32
1は、第2コア部材320から離れる方向に曲った曲面
331aおよび331bを有している。曲面331a
は、平面321aに連続しており、曲面331bは、平
面321bに連続している。曲面330aの曲率半径は
Rであり、曲面330bの曲率半径もほぼRである。第
2コア部材320および第3コア部材321は、S字形
導波路である。
【0193】第2端面320cから第2コア部材320
に入力された光は、第2コア部材320の端面320d
から出力される。第3端面321cから第3コア部材3
21に入力された光は、第3コア部材321の端面32
1dから出力される。ここで、第2コア部材320の入
力端面320cから出力端面320dまでの光路長は、
第3コア部材321の入力端面321cから出力端面3
21dまでの光路長に等しい。
【0194】したがって、第1コア部材310からこれ
らのコア部材320,321に入力された光がコア部材
320,321から出力される場合において、コア部材
320,321によって分岐されたそれぞれの光ビーム
の出力端面320d,321dにおける位相は揃ってい
る。それぞれの端面320d,321dから出力された
光ビームの位相は、お互いに揃っているので、これらの
出力光を再び合成する場合などにおいても、それぞれの
ビームの位相は容易に整合する。
【0195】図25は、図23Aに示した光ブランチン
グデバイスの第2コア部材320および第3コア部材3
21の端面320d,321dを改良したデバイスであ
る。図23Aに示した光ブランチングデバイスの端面3
20d,321dは、露出している。露出した端面32
0dの法線方向は、第3コア部材321の内を伝搬する
光の進行方向(光軸方向)に対して所定の角度を有して
いる。また、露出した端面321dの法線方向は、第3
コア部材321内を伝搬する光の進行方向に対して所定
の角度を有している。前述のように、本願発明者らは、
これまでの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結
合効率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向
する端面を光の伝搬する方向(光軸)に対して垂直にす
ることが有効であることに気付いた。
【0196】そこで、本実施例の光ブランチングデバイ
スは、図25に示すように、第2コア部材320の出力
端面320dが、第2コア部材320の光軸OP302
(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第2コア
部材320を配置する。第2コア部材320の端面32
0dに対向する位置にレンズL302を介して光ファイ
バF302を配置する。また、第3コア部材321の出
力端面321dが、第3コア部材321の光軸OP30
3(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第3コ
ア部材321を配置する。第3コア部材321の端面3
21dに対向する位置にレンズL303を介して光ファ
イバF303を配置する。また、第1コア部材310の
入力端面312cが、第1コア部材310の光軸OP3
01(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第1
コア部材310を配置する。第1コア部材310の端面
312cに対向する位置にレンズL301を介して光フ
ァイバF301を配置する。
【0197】図26は、図25に示した光ブランチング
デバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイ
スBR301,BR302,BR303を接続した1x
4構造を有する光ブランチングデバイスである。この光
ブランチングデバイスは、第1の光ブランチングデバイ
スBR301と、第1の光ブランチングデバイスBR3
01の出力端面320dに、第2の光ブランチングデバ
イスBR302の入力端面312cが接続された第2の
光ブランチングデバイスBR302と、第1の光ブラン
チングデバイスBR1の出力端面321dに、第3の光
ブランチングデバイスBR303の入力端面312cが
接続された第3の光ブランチングデバイスBR303と
を備える。したがって、S字型導波路の一端部分は、テ
ーパ導波路を構成している。
【0198】端面P301から第1の光ブランチングデ
バイスBR301に入力された光信号(図の実線矢印で
示す)は、この光ブランチングデバイスによって、分離
されて、第2の光ブランチングデバイスBR302の端
面P302,P303、および第3の光ブランチングデ
バイスBR3の端面P304,P305から出力され
る。一方、端面P302〜P305から入力されたそれ
ぞれの光信号(図の一点鎖線矢印で示す)は、この光ブ
ランチングデバイスによって、合成されて、端面P30
1から出力される。
【0199】図27は、図25に示した光ブランチング
デバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイ
スBR301,BR302,BR303,BR304,
BR305,BR306,BR307を接続した1x8
構造を有する光ブランチングデバイスである。この光ブ
ランチングデバイスは、入力端面(入力ポート)を有す
る第1の光ブランチングデバイスBR301と、第1の
光ブランチングデバイスBR301の出力端面320d
に、第2の光ブランチングデバイスBR302の入力端
面312cが接続された第2の光ブランチングデバイス
BR302と、第1の光ブランチングデバイスBR30
1の出力端面321dに、第3の光ブランチングデバイ
スBR303の入力端面312cが接続された第3の光
ブランチングデバイスBR303とを有している。
【0200】さらに、この光ブランチングデバイスは、
第2の光ブランチングデバイスB30R2の出力端面3
20dに、第4の光ブランチングデバイスBR304の
入力端面312cが接続された第4の光ブランチングデ
バイスBR304と、第2の光ブランチングデバイスB
R302の出力端面321dに、第5のブランチングデ
バイスBR305の入力端面312cが接続された第5
の光ブランチングデバイスBR305と、第3の光ブラ
ンチングデバイスBR303の出力端面320dに、第
6の光ブランチングデバイスBR6の入力端面312c
が接続された第6の光ブランチングデバイスBR306
と、第3の光ブランチングデバイスBR303の出力端
面321dに、第7の光ブランチングデバイスBR30
7の入力端面312cが接続された第7の光ブランチン
グデバイスBR307とを備える。
【0201】したがって、この光ブランチングデバイス
は、このデバイスに入力された1つの光ビームを8つの
ビームに分岐することができ、このデバイスに入力され
た8つのビームを1つのビームに合成することができ
る。なお、これらの光ブランチングデバイスBR30
1,BR302,BR303,BR304,BR30
5,BR306,BR307は同一基板301上に形成
されている。
【0202】本実施例のY字状素子は、テーパ導波路3
11と分岐側導波路320,321とが分離した分岐部
構造を有している点で、図9のY字状素子と異なる。し
たがって、図9における鋭角形状の間隙部80が不要と
なって分岐部の加工が容易になる。この結果、本実施例
の光ブランチングデバイスは、大規模通信システムの構
築の際などに歩留まりよく大量生産することができる。
【0203】図11の素子の分岐側導波路20,21は
一定幅(W)であるのに対し、本実施例の素子は、その
末端幅が基端部320x,321xの幅より縮小された
分岐側導波路320,321を備えている。
【0204】したがって、本実施例の素子では、分岐部
において、分岐側導波路320,321の末端320
c,321cでの電界分布が多モード導波路311の末
端311cでの電界分布により合致する。
【0205】詳しく説明すると、本実施例の光分岐結合
素子における分岐部のような導波路の形状が急激に変化
する箇所では、多モード導波路311の末端311cお
よび320,321の末端320c,321cにおける
導波光の電磁界分布の結合効率が大きいほど、導波光の
分岐、結合の際の損失は低減される。
【0206】28B、図22なし図24した光ブランチ
ングデバイスの第1コア部材310,第2コア部材32
0,第3コア部材321を図22ないし図24から抜出
して示す図である。図28Bには、座標軸が示してあ
る。図28Aは、図28Bに示した第1コア部材310
の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の電界分
布、および、第2および第3コア部材320,321の
末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布を
示すグラフである。図28Aにおいて、座標Y1におけ
る導波光の電界分布は、実線で示し、座標Y2における
導波光の電界分布は、点線で示す。図28Aに示された
座標X1,X2は、図28Bの位置座標X1,X2にそ
れぞれ対応している。導波光とは、本光ブランチングデ
バイスのコア部材310,320,321内を伝搬する
光である。ここで、第2および第3コア部材320,3
21の末端320c,321cの幅は、それぞれ、図1
1に示した第2コア部材20,21の末端20c,21
cの幅の半分である。
【0207】図28A内の各電界分布は、各導波モード
が運ぶ光パワーが1になるように正規化(nomalization
for power)して示してある。なお、ここでは、非分岐側
導波路310および分岐側導波路320,321のいず
れにおいても最低次モードのみが励振されると仮定して
いる。光分岐後の電界分布は、分岐側導波路320、3
21における各電界分布を合成して得られる。
【0208】一方、図11に示した比較例の光ブランチ
ングデバイスの電界分布は、図10Aに示される。
【0209】図28Aから、第1端面311cに近づく
にしたがって細くなった第2コア部材320、第1端面
311cに近づくにしたがって細くなった第3コア部材
321を用いることにより、第2コア部材320および
第3コア部材321の末端320c,321cにおける
電界分布と、テーパ導波路311の末端311cにおけ
る電界分布を図11に示した光ブランチングデバイスの
それらよりも多く重ねることができる。すなわち、光分
岐前後の電界の重なり部分の面積が大きくなる。したが
って、光分岐前後の電磁界分布の重畳積分(overlap in
tegral) で与えられる結合効率が向上する。このため、
分岐側導波路320と321の間からの導波光放射が抑
えられ、比較例の導波路型光分岐素子に比べて光分岐の
際の損失が低くなる。
【0210】図28Aから明らかなように、分岐側導波
路320、321の末端320c,321cの幅を基端
320x,321xの幅よりも縮小することによって、
分岐側導波路320、321の中心間(光軸間)の間隔
が狭まるので、分岐導波路320、321側の電界分布
(点線)の2つのピーク(PE1,PE2)が接近し、
多モード導波路311側の電界分布に非常によく合致す
る。
【0211】図28Aに示した多モード導波路311の
電界分布のピーク位置PEと、第1のピークPE1との
間の距離は、1マイクロメータ以上、2マイクロメータ
以下であることが望ましい。
【0212】図28Aに示した多モード導波路311の
電界分布のピーク位置PEと、第2のピークPE2との
間の距離は、1マイクロメータ以上、2マイクロメータ
以下であることが望ましい。
【0213】これにより、電界の重なる面積が大きくな
り、分岐導波路320、321側および多モード導波路
311側の電磁界分布の重畳積分で与えられる結合効率
が向上する。その結果、導波光を分岐、結合して出力す
るにあたり、分岐部での結合損失を低減することが可能
である。
【0214】換言すれば、第2コア部材320の第2端
面320cにおいて、この第2コア部材320内を伝達
する光は,コア320の径方向に電界分布を有する。電
界分布のピーク位置(第1ピーク位置)は、第2コア部
材320の光軸OP320のある位置である。第3コア
部材321の第3端面321cにおいて、この第3コア
部材321c内を伝達する光は,コア321の径方向に
電界分布を有する。電界分布のピーク位置(第2ピーク
位置)は、第3コア部材321の光軸OP321のある
位置である。第1ピークと第2ピークとを近接させれ
ば、第1コア部材310と第2コア部材320との間を
伝搬する光の結合効率および第1コア部材310と第3
コア部材321との間を伝搬する光の結合効率は高める
ことができる。したがって、本発明によれば、分岐部で
の損失を低減しつつ導波光を分岐、結合させて出力する
ことができる。
【0215】ところが、間隔を狭め過ぎると加工安定性
が低下し、歩留まりの悪化を招いてしまう。
【0216】歩留まりの悪化を防ぎ、十分な加工安定性
と低損失性をともに実現するには、第2導波路320と
第3導波路321との間の間隔の値は2〜4μmである
ことが好ましい。
【0217】これに対し、実施例のY字状素子は、分岐
側導波路320,321の末端320c,321cの幅
が基端部320x,321xの幅より縮小された構造を
有している。したがって、分岐側導波路320と321
の間隔を狭めることなく、導波路320、321の中心
同士(素子のコアの中心同士)の間隔を狭まくすること
ができる。そして、第2導波路320と第3導波路32
1との間の間隔の値が2〜4μmであるので、その加工
が容易である。
【0218】本実施例の光ブランチングデバイスは、図
11に示した光ブランチングデバイスよりも、導波光の
分岐、結合の際の損失を低減することができる。
【0219】次に、本発明の1つの実施例に係る光ブラ
ンチングデバイスについて説明する。
【0220】図29は、本発明の1つの実施例に係る光
ブランチングデバイスを示す斜視図である。図30A
は、このデバイスを図29の矢印H−Hを通る平面で切
ったデバイスの断面図である。図30Bは、図30Aに
示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデ
バイスの断面図である。図30Cは、図30Aに示した
デバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイス
の断面図である。図30Dは、図30Aに示したデバイ
スを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面
図である。図30Eは、図30Aに示したデバイスを図
の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図であ
る。図30Fは、図30Aに示したデバイスを図の矢印
F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図
30Gは、図30Aに示したデバイスを図の矢印G−G
を通る平面で切ったデバイスの断面図である。図31
は、図30Aに示したデバイスの断面図である。
【0221】図29ないし図31に示されるように、こ
のY字状素子では、末端幅がWtのテーパ部415に、
幅がWtで長さがLsの直線部416が接続されてい
る。このため、導波光がテーパ導波路411から分岐側
導波路へ向かって伝送される場合、テーパ部415にて
放射状に広がった波面を直線部416にて平面状に戻し
てから、導波光を分岐側導波路420,421に入射さ
せることができる。
【0222】これによって、テーパ導波路411の端面
411cのうち、分岐側導波路420,421の末端幅
縮小により対向する導波路端面が存在しなくなった部分
(テーパ導波路412の端面のうち、分岐側導波路42
0,421の末端幅と分岐側導波路420,421の間
隔との総和よりも幅が大きくなった部分)にて生じる導
波光の放射(反射、回折)を抑え、光分岐の際の損失を
さらに低減することができる。
【0223】この導波路型光分岐素子は、テーパ導波路
(第1テーパ導波路)411の末端411cに、このテ
ーパ部416の末端311cとほぼ同一幅の直線部41
6が付加された構造を有している。
【0224】このため、テーパ部415にて放射状に広
がった波面を直線部416にて平面状に戻してから、導
波光を分岐側導波路420,141に入射させることが
できる。
【0225】この波面が進行する様子を、図37に示
す。これにより、テーパ導波路411の分岐部側の端面
のうち、末端幅を拡大するために設けられた部分(分岐
側導波路420、421の末端幅と、分岐側導波路42
0、421の間隔との総和よりも幅を大きくした部分)
にて生じる導波光の放射(反射、回折)を抑え、分岐部
での放射損失(radiation loss) をさらに低減すること
ができる。
【0226】入力手段IMは、光源IM1と、光源IM
1から出射された光IM4が入力される光ファイバIM
2と、光ファイバIM2から出力された光IM5が入力
されるレンズIM3とを有している。レンズIM3から
出力された光IM6は、第1コア部材110の第4端面
412dに入力される。この光IM6は、第1コア部材
410を通って、第1端面411cから出力される。第
1端面411cから出力された光IM7は、第2コア部
材420に入力される。第1端面411cから出力され
た光IM8は。第コア部材430に入力される。第2コ
ア部材420から出力された光IM9は、光検出器OM
1に入力される。第3コア部材421から出力された光
IM10は、光検出器OM2に入力される。
【0227】本実施例の光ブランチングデバイスについ
てさらに詳しく説明する。
【0228】図29ないし図31に示すように、本実施
例の光ブランチングデバイスは、シリコン基板401
と、保持基板401上に形成されたクラッド部材402
と、第1コア部材410と、第2コア部材420と、第
3コア部材421とを備える。
【0229】第1コア部材410は、クラッド部材40
2内に埋設されている。第2コア部材420は、クラッ
ド部材402内に埋設されている。第2コア部材420
は、第1コア部材410の第1端面411cに対して第
1の間隔Bを隔てて対向する第2端面420cを有して
いる。第3コア部材421も、クラッド部材402内に
埋設されている。第3コア部材421は、第1コア部材
410の第1端面411cに対して第2の間隔Bを隔て
て対向する第3端面421cを有している。ここで、第
1の間隔Bと第2の間隔Bとは等しくしてある。
【0230】クラッド部材402(クラッド402,ク
ラッド層402)は、第1表面402aを有している。
第1表面402aは、基板401の主表面401aに平
行である。主表面401aは、クラッド部材402と基
板401との界面で規定される。この第1表面402a
に垂直な方向と光の伝搬する方向の双方に垂直な方向を
幅方向とする。また、第1表面402aに垂直な方向を
厚み方向とする。第1コア部材410は、一定の幅およ
び厚みを有する光伝送路412、一定の厚みを有し、光
伝送路412に連続してこの光伝送路412から離れる
ほど広い幅を有するテーパー型の第1コア部分415
と、一定の厚みおよび幅を有し、コア部分415に連続
した第2コア部分416とを有する。
【0231】光伝送路412の幅412は、図30Aの
面412aと面412bとの間の距離により規定され
る。
【0232】第1コア部材410は、第1表面402a
に対して垂直な面(図30Aの矢印B−Bを通る平面)
と交差することにより規定される第5垂直断面412d
を有している。
【0233】第1コア部材410は、第1表面402a
に対して垂直な第1面(図30Aの矢印C−Cを通る平
面)と交差することにより規定される第1垂直断面41
2eを有している。
【0234】第1コア部材410は、第1表面402a
に対して垂直な第2面(図30Aの矢印G−Gを通る平
面)であって第1端面411cと第1面(B−B面)と
の間に位置する第2面(G−G面)と交差することによ
り規定される第2垂直断面416cを有している。
【0235】第1コア部材410は、第1表面2aに対
して平行な第3面(図29の矢印H−Hを通る平面)と
交差することにより規定される第1水平断面(図30A
の符号410aで示される)を有している。
【0236】第2コア部材420は、第1表面402a
に対して垂直な第4面(図30Aの矢印E−Eを通る平
面)と交差することにより規定される第3垂直断面42
0eを有している。第2コア部材420は、第3面(H
−H面)と交差することにより規定される第2水平断面
(図30Aの符号420fで示される)を有している。
第3コア部材421は、第4面(E−E面)と交差する
ことにより規定される第4垂直断面421eを有してい
る。第3コア部材421は、第3面(H−H面)と交差
することにより規定される第3水平断面421fを有し
ている。
【0237】第1コア部材410は、端面412cを介
して第1コア部材410に入力された光が、第1垂直断
面412eおよび第2垂直断面416cを横切って第1
水平断面410aに沿った方向に伝搬して第1端面41
1cから出力されるように配置されている。
【0238】なお、断面は、第1端面411cに平行で
あり、導波光の進行方向に垂直であるとする。
【0239】第2コア部材420は、第1端面411c
から出力された光が、第2端面420cを通って第2コ
ア部材420に入力され、第3垂直断面420eを横切
って第2水平断面420fに沿った方向に伝搬して第2
コア部材420の端面420dを通って出力されるよう
に配置されている。第3コア部材421は、第1端面か
ら出力された光が、第3端面421cを通って第3コア
部材421に入力され、第4垂直断面421eを横切っ
て第3水平断面421fに沿った方向に伝搬して第3コ
ア部材421から出力されるように配置されている。
【0240】ここで、第1端面411cの面積は、第1
垂直断面412eの面積よりも大きい。すなわち、第1
コア部材410は、第2および第3コア部材420,4
21方向に向かって広がったテーパー形状の部分415
を有している。テーパー形状の部分415は、第1コア
部材410の光軸OP410(中心線)に対して所定の
角度を有する面415aおよび415bを有している。
換言すれば、部分415における第1表面402aに垂
直な2つの表面415a,415bと、第3表面(H−
H面)との交線415a,415bは、第3表面内にお
いて第1コア部材410の光軸OP410(中心線)に
対して所定の角度を有している。
【0241】換言すれば、この光ブランチングデバイス
は、基板表面401aを有する基板401、第1テーパ
導波路410、第2導波路420および第3導波路42
1を有している。
【0242】1テーパ導波路410は、第4導波路41
6とこの第4導波路416に連続した第2テーパ導波路
415を有している。第1テーパ導波路410は、基板
表面401a上に形成されている。
【0243】第4導波路416は、基板表面401aと
交差する面を含む第1端面411c、基板表面401a
と交差する面を含む第5側面416a、第5側面416
aに平行な第6側面416bを有している。第1端面4
11cの幅(Wt)は、第2側面420bと第3側面4
21aとの間の距離よりも大きい。すなわち、側面42
0a、420b、421a、421bと第1端面411
cとの交線をそれぞれ、交線420i、420j、42
1j、421iとし、第1端面411cと端面411b
との間の交線を411iとし、第1端面411cと端面
411aとの交線を411jとすれば、第1端面411
cの幅はWtは、交線411iと交線411jとの間の
距離で規定される。また、第2端面420cの幅(W
2)は、交線420iと420jとの間の距離によって
規定され、第3端面421cの幅(W2)は、交線42
1iと421jとの間の距離によって規定される。第3
端面421cと第2端面420cとの間の距離(A)
は、交線420jと421jとの間の距離によって規定
される。つまり、交線411iと交線411jとの間の
距離(Wt)は、交線420iと421iとの間の距離
(W2+W2+A)よりも大きい。
【0244】第2テーパ導波路415は、第4導波路
(真っ直ぐな導波路)416に連続している。第2テー
パ導波路415は、第4導波路416に近付く方向に広
がっている。第2導波路420は、基板表面401a上
に形成されている。第2導波路420は、第1端面41
1cに対して所定の間隔をあけて対向する第2端面42
0cを有している。
【0245】第3導波路421は、基板表面401a上
に形成されている。第3導波路421は、第1端面41
1cに対して所定の間隔をあけて対向する第3端面42
1cを有している。第1コア部材がテーパー部分415
を含んでいることにより、第1コア部材410の端面4
12cに入力された光信号のエネルギー(パワー)密度
は、この光が第1垂直断面412dを通過して第1端面
411cに向かうにしたがって減少する。
【0246】第1コア部材410の端面411cから出
力された光は、第2端面420cから第2コア部材42
0に入力され、第3端面421cから第3コア部材42
1に入力される。本願発明者らは、これまでの研究か
ら、2つの光部品間を伝搬する光の結合効率を増加され
るためには、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝
搬する方向に対して垂直にすることが有効であることに
気付いた。本実施例の光ブランチングデバイスの第1端
面411cは、この第1端面411cを通過する光の進
行方向に対して垂直である。また、第2端面420c
は、この第2端面420cに入射される光の進行方向に
対して垂直である。第3端面421cは、この第3端面
421cに入射される光の進行方向に対して垂直であ
る。
【0247】したがって、第1端面411cは、第2端
面420cに対して対向しており、第1端面411cは
第2端面420cに平行である。第1端面411cは、
第3端面421cに対して対向しており、第1端面41
1cは第3端面421cに平行である。
【0248】光ブランチングデバイスにおける光の結合
効率をさらに向上させるために、本実施例の光ブランチ
ングデバイスでは、第2垂直断面416cの面積が、第
1端面411cの面積と等しいこととした。換言すれ
ば、第2垂直断面416cの幅は、第1端面411cの
幅(Wt)とほぼ等しく、その違いは±3%以内であ
る。
【0249】すなわち、図30に示すように、第1コア
部材410に入力された光は、第1垂直断面412eか
ら第1端面411cに進行するにしたがって、光のパワ
ー密度(エネルギー密度)が減少すると同時に、この光
の波面WA1が第1水平断面410a内において扇型に
変形する。この第2垂直断面416cの面積が、第1端
面411cの面積と等しいこととすれば、この光が、第
2垂直断面416cから第1端面411cへ伝搬する間
にその波面が、第1端面411cに平行になる。
【0250】したがって、第1端面411cから出力さ
れた光の指向性は高くなり、第2コア部材420および
第3コア部材421に結合する光の結合効率は高くな
る。
【0251】また、第2端面420cおよび第3端面4
21cは、第1端面411cから出射される光の波面W
A2に平行であるので、光の結合効率は高くなる。
【0252】すなわち、第1コア部材410は、第1端
面411cを有し、入力された光のエネルギー密度を低
下させるとともに、光の波面WA1を第1端面411c
に対して平行にして光を第1端面411cから出射する
形状を有している。第2コア部材420は、第1端面4
11cに対して所定の間隔をあけて対向する第2端面4
20cを有しており、第3コア部材421cは、第1端
面411cに対して所定の間隔(B)をあけて対向する
第3端面421cを有している。
【0253】この光は、一定の幅(コアサイズ)を有す
る光伝送路(コア)412内を通過する。光伝送路41
2cは、第1コア部材410の一部分であり、テーパー
導波路部415に連続し、第1垂直断面412eの断面
積の最小値と等しい断面積を有している。
【0254】第2コア部材420は、第1表面402a
に対して垂直な面420aおよび420bを有してい
る。面420aおよび面420bは、第2コア部材42
0内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。ま
た、面420aと面420bとは互いに対向しており、
面420aおよび面420bは平行である。したがっ
て、面420aと面420bは、第1表面402aと第
2端面420cの双方に垂直である。
【0255】同様に、第3コア部材421は、第1表面
402aに対して垂直な面421aおよび421bを有
している。面421aおよび面421bは、第3コア部
材421内を伝搬する光の進行方向に対して平行であ
る。また、面421aと面421bとは互いに対向して
おり、面421aおよび面421bは平行である。した
がって、面421aと面421bは、第1表面402a
と第3端面421cの双方に垂直である。
【0256】第2部材420と第3部材421との間隔
は、第1コア部材410から離れるにしたがって広くな
る。すなわち、第2コア部材420は、第3コア部材4
21から離れる方向に曲った曲面430aおよび430
bを有している。曲面430aは、平面420aに連続
しており、曲面430bは、平面420bに連続してい
る。曲面430aの曲率半径はRであり、曲面430b
の曲率半径もほぼRである。第3コア部材421は、第
2コア部材420から離れる方向に曲った曲面431a
および431bを有している。曲面431aは、平面4
21aに連続しており、曲面431bは、平面421b
に連続している。曲面430aの曲率半径はRであり、
曲面431bの曲率半径もほぼRである。
【0257】第2端面420cから第2コア部材420
に入力された光は、第2コア部材420の端面420d
から出力される。第3端面421cから第3コア部材4
21に入力された光は、第3コア部材421の端面42
1dから出力される。ここで、第2コア部材420の入
力端面420cから出力端面420dまでの光路長は、
第3コア部材421の入力端面421cから出力端面4
21dまでの光路長に等しい。したがって、第1コア部
材410からこれらのコア部材420,421に入力さ
れた光がコア部材420,421から出力される場合に
おいて、コア部材420,421によって分岐されたそ
れぞれの光ビームの出力端面420d,421dにおけ
る位相は揃っている。それぞれの端面420d,421
dから出力された光ビームの位相は、お互いに揃ってい
るので、これらの出力光を再び合成する場合などにおい
ても、それぞれのビームの位相は容易に整合する。
【0258】図32は、図30Aに示した光ブランチン
グデバイスの第2コア部材420および第3コア部材4
21の端面420d,421dを改良したデバイスであ
る。図30Aに示した光ブランチングデバイスの端面4
20d,421dは、露出している。露出した端面42
0dの法線方向は、第3コア部材421の内を伝搬する
光の進行方向(光軸方向)に対して所定の角度を有して
いる。また、露出した端面421dの法線方向は、第3
コア部材421内を伝搬する光の進行方向に対して所定
の角度を有している。すなわち、第2コア部材420お
よび第3コア部材421は、S字形導波路(S-shaped wa
veguid) である。前述のように、本願発明者らは、これ
までの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結合効
率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向する
端面を光の伝搬する方向(光軸)に対して垂直にするこ
とが有効であることに気付いた。そこで、本実施例の光
ブランチングデバイスは、図32に示すように、第2コ
ア部材420の出力端面420dが、第2コア部材42
0の光軸OP402(一点鎖線で示す)に対して垂直に
なるように第2コア部材420を配置する。第2コア部
材420の端面420dに対向する位置にレンズL40
2を介して光ファイバF402を配置する。また、第3
コア部材421の出力端面421dが、第3コア部材4
21の光軸OP403(一点鎖線で示す)に対して垂直
になるように第3コア部材421を配置する。第3コア
部材421の端面421dに対向する位置にレンズL4
02を介して光ファイバF403を配置する。また、第
1コア部材410の入力端面412cが、第1コア部材
410の光軸OP401(一点鎖線で示す)に対して垂
直になるように第1コア部材410を配置する。第1コ
ア部材410の端面412cに対向する位置にレンズL
401を介して光ファイバF401を配置する。
【0259】図33は、図32に示した光ブランチング
デバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイ
スBR401,BR402,BR403を接続した1x
4構造を有する光ブランチングデバイスの断面図であ
る。この光ブランチングデバイスは、第1の光ブランチ
ングデバイスBR401と、第1の光ブランチングデバ
イスBR401の出力端面420dに、第2の光ブラン
チングデバイスBR402の入力端面412cが接続さ
れた第2の光ブランチングデバイスBR402と、第1
の光ブランチングデバイスBR401の出力端面421
dに、第3の光ブランチングデバイスBR403の入力
端面412cが接続された第3の光ブランチングデバイ
スBR403とを備える。端面P401から第1の光ブ
ランチングデバイスBR401に入力された光信号(図
の実線矢印で示す)は、この光ブランチングデバイスに
よって、分離されて、第2の光ブランチングデバイスB
R402の端面P402,P403、および第3の光ブ
ランチングデバイスBR403の端面P404,P40
5から出力される。一方、端面P402〜P405から
入力されたそれぞれの光信号(図の一点鎖線矢印で示
す)は、この光ブランチングデバイスによって、合成さ
れて、端面P401から出力される。
【0260】図35は、図32に示した光ブランチング
デバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイ
スBR401,BR402,BR403,BR404,
BR405,BR406,BR407を接続した1x8
構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
この光ブランチングデバイスは、入力端面(入力ポー
ト)を有する第1の光ブランチングデバイスBR401
と、第1の光ブランチングデバイスBR401の出力端
面420dに、第2の光ブランチングデバイスBR40
2の入力端面412cが接続された第2の光ブランチン
グデバイスBR402と、第1の光ブランチングデバイ
スBR401の出力端面421dに、第3の光ブランチ
ングデバイスBR403の入力端面412cが接続され
た第3の光ブランチングデバイスBR403とを有して
いる。さらに、この光ブランチングデバイスは、第2の
光ブランチングデバイスBR2の出力端面420dに、
第4の光ブランチングデバイスBR4の入力端面412
cが接続された第4の光ブランチングデバイスBR40
4と、第2の光ブランチングデバイスBR402の出力
端面421dに、第5のブランチングデバイスBR40
5の入力端面412cが接続された第5の光ブランチン
グデバイスBR405と、第3の光ブランチングデバイ
スBR403の出力端面420dに、第6の光ブランチ
ングデバイスBR406の入力端面412cが接続され
た第6の光ブランチングデバイスBR406と、第3の
光ブランチングデバイスBR3の出力端面421dに、
第7の光ブランチングデバイスBR7の入力端面412
cが接続された第7の光ブランチングデバイスBR40
7とを備える。
【0261】したがって、この光ブランチングデバイス
は、このデバイスに入力された1つの光ビームを8つの
ビームに分岐することができ、このデバイスに入力され
た8つのビームを1つのビームに合成することができ
る。なお、これらの光ブランチングデバイスBR40
1,BR402,BR403,BR404,BR40
5,BR406,BR407は同一基板401上に形成
されている。
【0262】図34は、図29ないし図31に示した本
実施例のY字状素子について、直線部416の幅(=W
t)と分岐側導波路420,421の末端幅(=W2)
をパラメーターとして、導波光の波長が1.55μmの
場合の分岐過剰損を計算し、その結果を示したグラフで
ある。分岐過剰損の計算はビーム伝搬法により行った。
計算にあたっては、図31に示される各部の寸法を、A
=4μm、B=4μm、W1=8μm、Lt=1200
μm、R=50mmとし、コアとクラッドの比屈折率差
を0.3%とした。また、末端幅の各数値ごとに直線部
416の幅(=Wt)を1μm間隔で異ならせてデータ
を5個ずつ求めた。
【0263】図34のグラフによれば、分岐側導波路4
20,421の末端幅(=W2)を小さくすると分岐過
剰損の最小値を与える直線部416の幅(=Wt)が小
さくなり、最小値自体も小さくなる傾向が認められる。
【0264】ただし、末端幅を縮小し過ぎると、電界の
閉じ込め作用が弱まって電界が広がり、放射損失が増加
するうえ、加工性も低下する。本発明者らの知見によれ
ば、末端幅縮小による効果が顕著で放射損失の増加を上
回り、なおかつ十分な加工安定性を維持するためには、
分岐側導波路420,421の末端420c,421c
の幅は、基端部420x,421xの幅の1/2〜4/
5であることが望ましい。ここで、導波光の波長は約
1.3〜1.55μmを想定している。
【0265】本発明者らは、実施例のY字状素子の効果
を確認するために、図35に示されるような1×8構造
を有する分岐結合素子を作製した。図35に示される素
子は、図32のY字状素子を光伝搬方向に沿って3段組
み合わせて作製した光学部品である。図35に示される
光学部品について、その伝送特性を測定した。また、比
較のために図11のY字状素子(比較例)を3段組み合
わせた1×8素子も併せて作製し、伝送特性を測定し
た。
【0266】1×8素子は、シリコン基板401上に火
炎堆積法でSiO2 ガラス層(クラッド)を形成し、次
いで、ドーパントを含んだ高屈折率のSiO2 ガラス層
を堆積して、エッチングすることによりコアを形成し、
さらに上部クラッドとしてのSiO2 ガラス層を堆積し
て形成することにより作製された。
【0267】1×8素子を構成するY字状素子の各部の
寸法は、図31、図11における符号を用いて表すと、
次の通りである。
【0268】A=4μm B=4μm W1=8μm Lt=1200μm R=50mm であり、分岐側導波路420、421の末端幅(=W
2)、直線部416の末端幅Wtおよび直線部416の
長さLsは、以下の通りである。
【0269】図35の素子…W2=4μm、Wt=18
μm、Ls=150μm。
【0270】図11の素子(比較例)…W2=W1=8
μm、Wt=20μm、Ls=0μm。
【0271】いずれの素子においても、コアとクラッド
の比屈折率差は0.3%、導波路の厚さは8μmとし
た。なお、図29ないし図35の素子において上記の寸
法を採用した理由は、図34に示されたデータに基づ
く。この寸法を有する光ブランチングデバイスは、図3
4のグラフに表されるW2=4μmのデータの中で比較
的低い分岐過剰損を示したからである。
【0272】分岐過剰損(素子全体の損失から1×8分
岐の本質的な損失9dB、入出力ファイバとの結合損、
導波路の伝送損失を差し引いた値)の測定は、図35、
11のY字状素子にシングルモードファイバを通じて波
長1.55μmのレーザダイオード光を入出力すること
により行われた。
【0273】1×8素子の8個の出力ポートの出力平均
を測定して平均分岐過剰損を求めたところ、図11のタ
イプの1×8素子(比較例)は1.53dBであるのに
対し、図35の素子(図29の素子を含む)の1×8素
子の平均分岐過剰損は、0.80dBであり、比較例の
素子に比べ格段に優れた特性を示した。これは、分岐側
導波路420、421の末端幅が縮小された構造を採用
したことに基づく効果の現れである。
【0274】図36は、図35の1×8素子(実施例)
および図11の1×8素子(比較例)の分岐過剰損の波
長特性を測定した結果を示したグラフである。なお、こ
こでの分岐過剰損とは、分岐一段当たりのもので、1×
8素子全体の分岐過剰損を3等分したものである。
【0275】図36によれば、測定波長全域にわたり図
29の素子(実施例)のほうが低損失で、とくに、長波
長領域での実施例の素子の損失は図11の素子(比較
例)のそれの半分程度である。広範囲にわたる導波光の
波長領域において、実施例の素子の方が比較例の素子よ
り優れていることが確認できる。また、実施例の素子は
比較例の素子に比べ導波光波長の変化による損失の変動
が小さい。したがって、本発明の導波路型光分岐素子
は、広波長域にわたる光を掃引するような光測定システ
ムなどにおいて好適な使用が可能な点でも優れている。
【0276】次に、本発明の1つの実施例に係る方向性
結合器について説明する。
【0277】図38はこの方向性結合器の斜視図であ
る。図39は、図38のデバイスを図38の矢印H−H
を通る平面で切ったデバイスの断面図である。図40A
は、図33に示したデバイスを図の矢印A−Aを通る平
面で切ったデバイスの断面図である。図40Bは、図3
9に示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切っ
たデバイスの断面図である。
【0278】図40Cは、図39に示したデバイスを図
の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図であ
る。図40Dは、図39に示したデバイスを図の矢印D
−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図4
0Eは、図39に示したデバイスを図の矢印E−Eを通
る平面で切ったデバイスの断面図である。
【0279】本実施例の方向性結合器は、シリコン基板
601と、保持基板601上に形成されたクラッド部材
602と、第1コア部材660と、第2コア部材(第2
導波路)620と、第3コア部材(第3導波路)621
とを備える。
【0280】第1コア部材660は、クラッド部材60
2内に埋設されている。第2コア部材620は、クラッ
ド部材602内に埋設されている。第2コア部材620
は、第1コア部材660の第1端面611cに所定の間
隔(B)をあけて対向する第2端面620cを有してい
る。第3コア部材621も、クラッド部材2内に埋設さ
れている。第3コア部材621は、第1コア部材660
の第1端面611cに所定の間隔(B)をあけて対向し
た第3端面621cを有している。
【0281】第1コア部材660は、第1端面611c
に対向する第4端面611dを有している。
【0282】第4コア部材640は、クラッド部材60
2内に埋設されている。第4コア部材640は、第1コ
ア部材660の第4端面611dに対して所定の間隔
(B)をあけて対向した第5端面640cを有してい
る。
【0283】第5コア部材641も、クラッド部材60
2内に埋設されている。第5コア部材641は、第1コ
ア部材660の第4端面611dに対して所定の間隔
(B)をあけて対向した第6端面621dを有してい
る。
【0284】クラッド部材602(クラッド602,ク
ラッド層602)は、第1表面602aを有している。
第1表面602aは、基板601の主表面601aに平
行である。この第1表面602aに垂直な方向と光の伝
搬する方向の双方に垂直な方向を幅方向とする。また、
第1表面602aに垂直な方向を厚み方向とする。第1
コア部材660は、一定の幅および厚みを有している。
【0285】第1コア部材660は、第1表面602a
に対して垂直な第1面(図39の矢印C−Cを通る平
面)と交差することにより規定される第1垂直断面61
2dを有している。第1垂直断面612dの幅は一定で
ある。
【0286】第1コア部材660は、第1表面602a
に対して平行な第3面(図38の矢印H−Hを通る平
面)と交差することにより規定される第1水平断面(図
39の符号660aで示される)を有している。
【0287】第2コア部材620は、第1表面602a
に対して垂直な第4面(図39の矢印E−Eを通る平
面)と交差することにより規定される第3垂直断面62
0eを有している。第2コア部材620は、第3面(H
−H面)と交差することにより規定される第2水平断面
(図39の符号620fで示される)を有している。
【0288】第3コア部材621は、第4面(E−E
面)と交差することにより規定される第4垂直断面62
1eを有している。第3コア部材621は、第3面(H
−H面)と交差することにより規定される第3水平断面
621fを有している。
【0289】第4コア部材640は、第1表面602a
に対して垂直な第5面(図39の矢印A−Aを通る平
面)と交差することにより規定される第5垂直断面64
0eを有している。第4コア部材640は、第3面(H
−H面)と交差することにより規定される第4水平断面
(図39の符号640fで示される)を有している。
【0290】第5コア部材641は、第5面(A−A
面)と交差することにより規定される第6垂直断面64
1eを有している。第5コア部材641は、第3面(H
−H面)と交差することにより規定される第5水平断面
641fを有している。
【0291】換言すれば、図38ないし図40Eに示さ
れた分岐導波路は、基板601、直線導波路(ミキサ
ー)660、第2導波路620、第3導波路621、第
4導波路640および第5導波路641を有している。
【0292】第1端面611cの幅は、基板表面601
aの法線方向(厚み方向)および第1端面611cの法
線方向(光軸方向)の双方に垂直な方向(幅方向)に沿
った第1端面611cの長さである。第1端面611c
の幅は、第2端面620cと第3端面621cとの間の
距離よりも大きい。第1端面611cの幅は、第2側面
620bと第3側面621aとの間の距離よりも大き
い。
【0293】第2導波路620の幅は、ミキサー660
に近づくにしたがって、細くなっている。したがって、
断面620eの面積は、第2端面620cの面積よりも
大きい。
【0294】第3導波路621の幅は、ミキサー660
に近づくにしたがって、細くなっている。したがって、
断面621eの面積は、第3端面621cの面積よりも
大きい。
【0295】第4導波路640の幅は、ミキサー660
に近づくにしたがって、細くなっている。したがって、
断面640eの面積は、第5端面640cの面積よりも
大きい。
【0296】第5導波路641の幅は、ミキサー660
に近づくにしたがって、細くなっている。したがって、
断面621eの面積は、第6端面621cの面積よりも
大きい。
【0297】第1コア部材660は、第4導波路640
および第5導波路641を通って第1コア部材660に
入力された光が、第2導波路620および第3導波路6
21を通って光ブランチングデバイスから出力されるよ
うに配置されている。
【0298】図39の方向性結合器は、本実施例のY字
状素子と同様に、シリコンからなる基板601上に形成
されたコア、すなわち単一モード導波路620,62
1,640,641および多モード導波路660と、こ
のコアが埋め込まれたクラッド602とを備えている。
【0299】多モード導波路660の一方の末端611
cには、単一モード導波路620、621が接続されて
おり、他方の末端611dには単一モード導波路64
0、641が接続されている。単一モード導波路62
0,621および640,641は、それぞれ多モード
導波路660側の端部が間隔Aをあけて互いに近接し、
多モード導波路660の中央線(光軸)OP660に関
して対称に配置されている。また、第1コア部材660
から離れるほど、単一モード導波路620と621との
間隔は、広くなる。第1コア部材660から離れるほ
ど、単一モード導波路640と641との間隔は、広く
なる。
【0300】図39に示される構造をさらに説明する
と、単一モード導波路640,641の端面640c,
641cは、多モード導波路660の端面660dと間
隔Bをあけて対向している。単一モード導波路620,
621についても同様である。なお、本実施例の光ブラ
ンチングデバイスにおいて、優れた加工安定性と十分な
低損失性を実現するためには、単一モード導波路64
0,641および620,621の端面640c,64
1cおよび620c,621cと多モード導波路660
の端面660d,660cとの間隔Bは、2〜8μm程
度であることが好ましい。
【0301】図39の方向性結合器は単一モード導波路
620,621,640,641とマルチモード導波路
660とが分離した分岐部構造を有している。したがっ
て、図9の光ブランチングデバイスにおける分岐部付近
の間隙部ような作製上なまりやすい部分を有さない。し
たがって、図39の素子は、図9の素子よりもさらに優
れた加工安定性を有しており、歩留まりよく大量生産す
ることができるので、大規模通信システム等の構築にい
っそう適している。
【0302】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、様々な変形が可能である。例えば、分岐側の単一
モード導波路の末端幅が基端部より縮小された構造を有
するかぎり、導波路型光分岐結合素子の組成や、各部の
形状、寸法等は、上記実施例のものに限定されない。ま
た、導波路型光分岐結合素子の構造は、本実施例の埋込
み型構造に限られず、リッジ型や装荷型といった他の構
造であってもよい。
【0303】また、分岐側の単一モード導波路は、上記
実施例のように多モード導波路の中央線に関して対称に
配置されるものに限られない。本発明者らは、非対称の
光分岐結合素子であっても上記実施例と同様に優れた加
工安定性と低損失性が実現できるものと考える。
【0304】また、光分岐結合素子の例として、Y字状
素子と方向性結合器をあげたが、このほかにもスターカ
プラなどがあり、このような素子も本発明の特徴である
分岐部構造を有する限り本発明に含まれる。
【0305】また、本発明の光分岐結合素子を、一の素
子の出力側導波路の末端を他の素子の入力側導波路とす
ることにより複数組み合わせて一つの導波路型素子とす
ることもできる。この導波路型素子は、各素子の効果が
累積されるので、優れた加工安定性を有するとともに格
段に損失を抑えて、導波光を分岐、結合させて出力する
ことができる。
【0306】本発明の特徴は、多モード導波路側の末端
幅が基端部の導波路幅より縮小された単一モード導波路
を備えることより、2つの単一モード導波路の中心同士
の間隔が狭められていることであり、このような構造を
有する導波路型素子は本発明に含まれる。
【0307】図41は、図39に示された光ブランチン
グデバイスBR601を3つ用意し、これらの光ブラン
チングデバイスを接続した光学部品である。それぞれの
光ブランチングデバイスをBR601,BR602,B
R603とする。
【0308】この光学部品は、第1光ミキサー660
と、第1の端部621cと第2の端部621pを有する
S字型導波路621と、第1の端部620cと第2の端
部620pを有するS字型導波路620と、第2光ミキ
サー1660と、第3光ミキサー2660とを備える。
【0309】第1の端部621cは、第1ミキサー66
0に対向している。第2の端部621pは、第3のミキ
サー2660に対向している。第1の端部620cは、
第1ミキサー660に対向している。第2の端部620
pは、第2のミキサー1660に対向している。
【0310】ポートP1ないしP4から入力された光
は、合成されてポートP4ないしP8から出力される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の1つの実施例に係る光ブラン
チングデバイスを示す斜視図である。
【図2】図2Aは、図1に示したデバイスを図1の矢印
H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図
2Bは、図2Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通
る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Cは、図
2Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切
ったデバイスの断面図である。図2Dは、図2Aに示し
たデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイ
スの断面図である。図2Eは、図2Aに示したデバイス
を図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図
である。図2Fは、図2Aに示したデバイスを図の矢印
F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【図3】図3は、図2Aに示したデバイスの断面図であ
る。
【図4】図4は、図2に示した光ブランチングデバイス
の第2コア部材20および第3コア部材21の端面20
d,21dを改良したデバイスの断面図である。
【図5】図5は、図4に示した光ブランチングデバイス
を3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR
1,BR2,BR3を接続した1x4構造を有する光ブ
ランチングデバイスの断面図である。
【図6】図6は、図4に示した光ブランチングデバイス
を7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR
1,BR2,BR3,BR4,BR5,BR6,BR7
を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイス
の断面図である。
【図7】図7Aは、図7Bに示した第1コア部材10の
末端、すなわち、座標Y1、における導波光の電界分
布、および、第2および第3コア部材20,21の末
端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布を示
すグラフである。図7Aにおいて、座標Y1における導
波光の電界分布は、実線で示し、座標Y2における導波
光の電界分布は、点線で示す。図7Aに示された座標X
1,X2は、図7Bの位置座標X1,X2にそれぞれ対
応している。図7Bは、図1ないし図3に示した光ブラ
ンチングデバイスの第1コア部材10,第2コア部材2
0,第3コア部材21を図1ないし図3から抜出して示
す図である。図7Bには、座標系が示してある。
【図8】図8は、テーパ導波路11の末端幅11c(W
t)と図1ないし図3に示した光ブランチングデバイス
の分岐過剰損(exess loss (dB))との関係を示すグラフ
である。導波光の波長は、1.55μmである。
【図9】図9は、1つの非分岐側導波路10から直線導
波路12に付加されたテーパ導波路11を介して連続的
に分岐側導波路20、21へ分岐する形状の光ブランチ
ングデバイスを示す断面図である。
【図10】図10Aは、図10Bに示した第1コア部材
10の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の電
界分布、および、第2および第3コア部材20,21の
末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布を
示すグラフである。図10Aにおいて、座標Y1におけ
る導波光の電界分布は、実線で示し、座標Y2における
導波光の電界分布は、点線で示す。図10Aに示された
座標X1,X2は、図10Bの位置座標X1,X2にそ
れぞれ対応している。図10Bは、図11に示した光ブ
ランチングデバイスの第1コア部材10,第2コア部材
20,第3コア部材21を図10から抜出して示す図で
ある。図10Bには、座標軸が示してある。
【図11】図11は、比較例に係る光ブランチングデバ
イスの断面図である。
【図12】図12は、本発明の1つの実施例に係る光ブ
ランチングデバイスを示す斜視図である。
【図13】図13Aは、図12のデバイスを図12の矢
印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
図13Bは、図13Aに示したデバイスを図の矢印B−
Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13
Cは、図13Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通
る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Dは、
図13Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面
で切ったデバイスの断面図である。図13Eは、図13
Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切っ
たデバイスの断面図である。図13Fは、図13Aに示
したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバ
イスの断面図である。図13Gは、図13Aに示したデ
バイスを図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの
断面図である。
【図14】図14は、図13Aに示したデバイスの断面
図である。
【図15】図15は、図14に示したデバイス内を光の
波面が伝搬していくようすを示す図である。第1コア部
材110に入力された光は、第1垂直断面112eから
第1端面111cに進行するにしたがって、光のパワー
密度(エネルギー密度)が減少すると同時に、この光の
波面WA1が第1水平断面110a内において扇型に変
形する。この第2垂直断面116cの面積が、第1端面
111cの面積と等しいので、この光が、第2垂直断面
116cから第1端面111cへ伝搬する間にその波面
WA2が、第1端面111cに平行になる。
【図16】図16は、図13Aに示した光ブランチング
デバイスの第2コア部材120および第3コア部材12
1の端面120d,121dを改良したデバイスの断面
図である。
【図17】図17は、図16に示した光ブランチングデ
バイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイス
BR101,BR102,BR103を接続した1x4
構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図18】図18は、直線部116の長さLsと分岐過
剰損との関係を示すグラフである。すなわち、導波光の
波長は1.55μmである。
【図19】図19は、図20の1×8素子と第2比較例
に係る1×8素子について、分岐過剰損の波長特性を測
定した結果を示したグラフである。測定にあたっては、
各素子に分光器から出射した光を入射させた。
【図20】図20は、図16に示した光ブランチングデ
バイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイス
BR1,BR2,BR3,BR4,BR5,BR6,B
R7を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバ
イスの断面図である。
【図21】実施例に係る光ブランチングデバイスの水平
断面図である。
【図22】図22は、この光ブランチングデバイスを示
す斜視図である。
【図23】図23Aは、このデバイスを図の矢印H−H
を通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23B
は、図23Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通る
平面で切ったデバイスの断面図である。図23Cは、図
23Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で
切ったデバイスの断面図である。図23Dは、図23A
に示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切った
デバイスの断面図である。図23Eは、図23Aに示し
たデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイ
スの断面図である。図23Fは、図23Aに示したデバ
イスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイスの断
面図である。図23Gは、図23Aに示したデバイスを
図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの断面図で
ある。
【図24】図24は、図23Aに示した光ブランチング
デバイスを示す図である。
【図25】図25は、図23Aに示した光ブランチング
デバイスの第2コア部材320および第3コア部材32
1の端面320d,321dを改良したデバイスの断面
図である。
【図26】図26は、図25に示した光ブランチングデ
バイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイス
BR301,BR302,BR303を接続した1x4
構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図27】図27は、図25に示した光ブランチングデ
バイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイス
BR301,BR302,BR303,BR304,B
R305,BR306,BR307を接続した1x8構
造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図28】図28Aは、図28Bに示した第1コア部材
310の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の
電界分布、および、第2および第3コア部材320,3
21の末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界
分布を示すグラフである。図28Bは、図22ないし図
24示した光ブランチングデバイスの第1コア部材31
0,第2コア部材320,第3コア部材321を図22
ないし図24から抜出して示す図である。図28Bに
は、座標軸が示してある。
【図29】図29は、本発明の1つの実施例に係る光ブ
ランチングデバイスを示す斜視図である。
【図30】図30Aは、このデバイスを図29の矢印H
−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図3
0Bは、図30Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを
通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30C
は、図30Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る
平面で切ったデバイスの断面図である。図30Dは、図
30Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で
切ったデバイスの断面図である。図30Eは、図30A
に示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切った
デバイスの断面図である。図30Fは、図30Aに示し
たデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイ
スの断面図である。図30Gは、図30Aに示したデバ
イスを図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの断
面図である。
【図31】図31は、図30Aに示したデバイスの断面
図である。
【図32】図32は、図30Aに示した光ブランチング
デバイスの第2コア部材420および第3コア部材42
1の端面420d,421dを改良したデバイスの断面
図である。
【図33】図33は、図32に示した光ブランチングデ
バイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイス
BR401,BR402,BR403を接続した1x4
構造を有する光ブランチングデバイスを示す図である。
【図34】図34は、図29ないし図31に示した本実
施例のY字状素子について、直線部416の幅(=W
t)と分岐側導波路420,421の末端幅(=W2)
をパラメーターとして、導波光の波長が1.55μmの
場合の分岐過剰損を計算し、その結果を示したグラフで
ある。
【図35】図35は、図32に示した光ブランチングデ
バイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイス
BR401,BR402,BR403,BR404,B
R405,BR406,BR407を接続した1x8構
造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図36】図36は、図35の1×8素子(実施例)お
よび図11の1×8素子(比較例)の分岐過剰損の波長
特性を測定した結果を示したグラフである。
【図37】実施例に係る光ブランチングデバイス内を波
面が伝搬するようすを示す断面図である。
【図38】図38は、方向性結合器の斜視図である。
【図39】図39は、図38のデバイスを図38の矢印
H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【図40】図40Aは、図39に示したデバイスを図の
矢印A−Aを通る平面で切ったデバイスの断面図であ
る。図40Bは、図39に示したデバイスを図の矢印B
−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図4
0Cは、図39に示したデバイスを図の矢印C−Cを通
る平面で切ったデバイスの断面図である。図40Dは、
図39に示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で
切ったデバイスの断面図である。図40Eは、図39に
示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデ
バイスの断面図である。
【図41】図41は、図39に示された光ブランチング
デバイスを3つ用意し、これらを接続した光学部品の断
面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…クラッド、10…第1コア部材(第1テ
ーパ導波路)、11,15…テーパ導波路(第2テーパ
導波路)、12…直線導波路、16…第4導波路、20
…第2コア部材(第2導波路)、20…第3コア部材
(第3導波路)、30…くさび部。

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導波路を備えた光ブランチングデバイス
    において、 前記導波路は、 第1表面を有するクラッド部材と、 前記クラッド部材内に埋設され、第1端面、前記第1表
    面に対して垂直な第1面と交差することにより規定され
    る第1垂直断面、前記第1表面に対して垂直な第2面で
    あって前記第1端面と前記第1面との間に位置する第2
    面と交差することにより規定される第2垂直断面、およ
    び前記第1表面に対して平行な第3面と交差することに
    より規定される第1水平断面を有するとともに、前記第
    1端面の面積が前記第1垂直断面の面積よりも大きく、
    かつ、前記第2垂直断面の面積が前記第1端面の面積と
    等しくなる形状を有する第1コア部材と、 前記クラッド部材内に埋設され、前記第1コア部材の前
    記第1端面に対して第1の間隔を隔てて対向する第2端
    面、前記第1表面に対して垂直な第4面と交差すること
    により規定される第3垂直断面、および前記第3面と交
    差することにより規定される第2水平断面を有する第2
    コア部材と、 前記クラッド部材内に埋設され、前記第1コア部材の前
    記第1端面に対して第2の間隔を隔てて対向する第3端
    面、前記第4面と交差することにより規定される第4垂
    直断面、および前記第3面と交差することにより規定さ
    れる第3水平断面を有する第3コア部材と、を備えるこ
    とを特徴とする光ブランチングデバイス。
  2. 【請求項2】 前記第1コア部材は、前記第1垂直断面
    に連続し、前記第1垂直断面の面積と等しい断面積を有
    する光伝送路を有することを特徴する請求項1に記載の
    光ブランチングデバイス。
  3. 【請求項3】 前記第1水平断面と前記第1端面との交
    線の長さは、前記第2水平断面と前記第2端面との交線
    の長さと、前記第3水平断面と前記第3端面との交線の
    長さと、前記第2端面と前記第3端面との間の距離との
    和よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の光ブ
    ランチングデバイス。
  4. 【請求項4】 前記第1コア部材は、第4端面を有し、
    前記光ブランチングデバイスは、前記クラッド部材内に
    埋設され、前記第1コア部材の前記第4端面に対して所
    定の間隔を隔てて対向する第5端面を有する第4コア部
    材と、前記クラッド部材内に埋設され、前記第1コア部
    材の前記第4端面に対して所定の間隔を隔てて対向する
    第6端面を有する第5コア部材と、を備えることを特徴
    とする請求項1に記載の光ブランチングデバイス。
  5. 【請求項5】 前記第2コア部材は、前記第1コア部材
    に近づくにしたがって細くなっており、 前記第3コア部材は、前記第1コア部材に近づくにした
    がって細くなっていることを特徴とする請求項1に記載
    の光ブランチングデバイス。
  6. 【請求項6】 前記第2端面の面積は、前記第3垂直断
    面の面積よりも小さく、 前記第3端面の面積は、前記第4垂直断面の面積よりも
    小さいことを特徴とする請求項1に記載の光ブランチン
    グデバイス。
  7. 【請求項7】 前記光ブランチングデバイスは、前記第
    2コア部材と前記第3コア部材との間に介在する遮光部
    材を備えることを特徴とする請求項1に記載の光ブラン
    チングデバイス。
  8. 【請求項8】 前記第1コア部材は、前記第1コア部材
    に入力された光の波面を前記第1端面から略平行に出射
    する形状を有していることを特徴とする請求項1に記載
    の光ブランチングデバイス。
  9. 【請求項9】 前記第2端面および前記第3端面は、前
    記第1端面から出射される光の波面に略平行であること
    を特徴とする請求項1に記載の光ブランチングデバイ
    ス。
  10. 【請求項10】 前記第1の間隔は、前記第2の間隔と
    前記第2コア部材内を伝搬する光の波長との和以下であ
    り、前記第2の間隔と前記第2コア部材内を伝搬する光
    の波長との差以上でありることを特徴とする請求項1記
    載の光ブランチングデバイス。
  11. 【請求項11】 導波路を備えた光ブランチングデバイ
    スにおいて、 前記導波路は、 第1表面を有するクラッド部材と、 前記クラッド部材内に埋設され、第1端面、前記第1表
    面に対して垂直な第1面と交差することにより規定され
    る第1垂直断面、前記第1表面に対して垂直な第2面で
    あって前記第1端面と前記第1面との間に位置する第2
    面と交差することにより規定される第2垂直断面、およ
    び前記第1表面に対して平行な第3面と交差することに
    より規定される第1水平断面を有する第1コア部材と、 前記クラッド部材内に埋設され、前記第1コア部材の前
    記第1端面に対して第1の間隔を隔てて対向する第2端
    面、前記第1表面に対して垂直な第4面と交差すること
    により規定される第3垂直断面、および前記第3面と交
    差することにより規定される第2水平断面を有する第2
    コア部材と、 前記クラッド部材内に埋設され、前記第1コア部材の前
    記第1端面に対して第2の間隔を隔てて対向する第3端
    面、前記第4面と交差することにより規定される第4垂
    直断面、および前記第3面と交差することにより規定さ
    れる第3水平断面を有する第3コア部材と、を備え、 前記第1水平断面と前記第1端面との交線の長さは、前
    記第2水平断面と前記第2端面との交線の長さと、前記
    第3水平断面と前記第3端面との交線の長さと、前記第
    2端面と前記第3端面との間の距離との和よりも大きい
    ことを特徴とする光ブランチングデバイス。
  12. 【請求項12】 前記第1端面の面積は、前記第1垂直
    断面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項11に
    記載の光ブランチングデバイス。
  13. 【請求項13】 前記第2垂直断面の面積は、前記第1
    端面の面積と等しいことを特徴とする請求項11に記載
    の光ブランチングデバイス。
  14. 【請求項14】 前記第1コア部材は、前記第1垂直断
    面に連続し、前記第1垂直断面の面積と等しい断面積を
    有する光伝送路を有することを特徴する請求項11に記
    載の光ブランチングデバイス。
  15. 【請求項15】 前記第1コア部材は第4端面を有し、
    前記光ブランチングデバイスは、前記クラッド部材内に
    埋設され、前記第1コア部材の前記第4端面に対して所
    定の間隔を隔てて対向する第5端面を有する第4コア部
    材と、前記クラッド部材内に埋設され、前記第1コア部
    材の前記第4端面に対して所定の間隔を隔てて対向する
    第6端面を有する第5コア部材とを備えることを特徴と
    する請求項11に記載の光ブランチングデバイス。
  16. 【請求項16】 前記第2コア部材は、前記第1コア部
    材に近づくにしたがって細くなっており、前記第3コア
    部材は、前記第1コア部材に近づくにしたがって細くな
    っていることを特徴とする請求項11に記載の光ブラン
    チングデバイス。
  17. 【請求項17】 前記第2端面の面積は、前記第3垂直
    断面の面積よりも小さく、 前記第3端面の面積は、前記第4垂直断面の面積よりも
    小さいことを特徴とする請求項11に記載の光ブランチ
    ングデバイス。
  18. 【請求項18】 前記光ブランチングデバイスは、前記
    第2コア部材と前記第3コア部材との間に介在する遮光
    部材を備えることを特徴とする請求項11に記載の光ブ
    ランチングデバイス。
  19. 【請求項19】 前記第1コア部材は、前記第1コア部
    材に入力された光の波面を前記第1端面から略平行に出
    射する形状を有していることを特徴とする請求項11に
    記載の光ブランチングデバイス。
  20. 【請求項20】 前記第2端面および前記第3端面は、
    前記第1端面から出射される光の波面に略平行であるこ
    とを特徴とする請求項11に記載の光ブランチングデバ
    イス。
  21. 【請求項21】 前記第1の間隔は、前記第2の間隔と
    前記第2コア部材内を伝搬する光の波長との和以下であ
    り、前記第2の間隔と前記第2コア部材内を伝搬する光
    の波長との差以上であることを特徴とする請求項11に
    記載の光ブランチングデバイス。
  22. 【請求項22】 導波路を備えた光ブランチングデバイ
    スにおいて、 前記導波路は、 第1端面を有し、入力された光のエネルギー密度を低下
    させるとともに、前記光の波面を前記第1端面に対して
    平行にして前記光を前記第1端面から出射する第1コア
    部材と、 前記第1端面に対して所定の間隔をあけて対向する第2
    端面を有する第2コア部材と、 前記第1端面に対して所定の間隔をあけて対向する第3
    端面を有する第3コア部材と、を備えることを特徴とす
    る光ブランチングデバイス。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載の光ブランチングデ
    バイスにおいて、前記第2端面および前記第3端面は、
    前記第1端面から出射される光の波面に略平行であるこ
    とを特徴とする光ブランチングデバイス。
  24. 【請求項24】 分岐導波路を備えた光学部品におい
    て、 前記分岐導波路は、 基板表面を有する基板と、 前記基板表面上に形成され、第1端面を有する第1テー
    パ導波路と、 前記基板表面上に形成され、前記第1端面に対して所定
    の間隔をあけて対向する第2端面、前記基板表面と交差
    する面を含む第1側面、および前記第1側面に対向する
    第2側面を有する第2導波路と、 前記基板表面上に形成され、前記第1端面に対して所定
    の間隔をあけて対向する第3端面、前記基板表面と交差
    する面を含む第3側面、および前記第3側面に対向する
    第4側面を有するとともに、前記第4側面が前記第1側
    面と前記第3側面との間に配置され、前記第1側面が前
    記第2側面と前記第4側面との間に配置されるように配
    置された第3導波路と、を備え、 前記基板表面の法線方向および前記第1端面の法線方向
    の双方に垂直な方向に沿った前記第1端面の幅は、前記
    第2側面と前記第3側面との間の距離よりも大きいこと
    を特徴とする光学部品。
  25. 【請求項25】 前記第1テーパ導波路は、 前記基板表面と交差する面を含む第5側面、前記第5側
    面に平行な第6側面、および、前記第1端面を有する第
    4導波路と、 前記第4導波路に連続し、前記第4導波路に近付く方向
    に広がった第2テーパ導波路とを有することを特徴とす
    る請求項24に記載の光学部品。
  26. 【請求項26】 前記第1端面の幅は、前記第2側面と
    前記第3側面との間の長さに10マイクロメータを加え
    た値よりも小さいことを特徴とする請求項24に記載の
    光学部品。
  27. 【請求項27】 前記第1端面の幅は、23マイクロメ
    ータよりも大きく、29マイクロメータよりも小さいこ
    とを特徴とする請求項24に記載の光学部品。
  28. 【請求項28】 前記第1端面の幅は、25マイクロメ
    ータよりも大きく、27マイクロメータよりも小さいこ
    とを特徴とする請求項24に記載の光学部品。
  29. 【請求項29】 前記光学部品は、 前記分岐導波路を複数備え、一つの前記分岐導波路の前
    記第1導波路の末端は、他の前記分岐導波路の前記第3
    導波路に接続されることを特徴とする請求項24に記載
    の光学部品。
  30. 【請求項30】 前記第6側面の長さは、400マイク
    ロメータよりも小さく、100μmよりも大きいことを
    特徴とする請求項25に記載の光学部品。
  31. 【請求項31】 前記第6側面の長さは、300μm以
    下であることを特徴とする請求項25に記載の光学部
    品。
  32. 【請求項32】 前記第6側面の長さは、300マイク
    ロメータ以下であり、250μmよりも大きいことを特
    徴とする請求項25に記載の光学部品。
  33. 【請求項33】 導波路を備えた光学部品において、 前記導波路は、 基板表面を有する基板と、 前記基板表面上に形成され、前記基板表面と交差する面
    を含む第1端面、前記基板表面と交差する面を含む第5
    側面、および、前記第5側面に平行な第6側面を有する
    第4導波路、並びに、前記第4導波路に連続するととも
    に前記第4導波路に近付く方向に広がった第2テーパ導
    波路、を有する第1テーパ導波路と、 前記基板表面上に形成され、前記第1端面に対して所定
    の間隔をあけて対向する第2端面を有する第2導波路
    と、 前記基板表面上に形成され前記第1端面に対して所定の
    間隔をあけて対向する第3端面を有する第3導波路と、
    を備えることを特徴とする光学部品。
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