JP3596917B2 - 光ブランチングデバイスおよび光学部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光通信、光信号処理等の分野で用いられる光学部品に関するもので、特に、分岐導波路や方向性結合器などの光ブランチングデバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1つの路を伝達してきた光を8つの路に分岐させる光分岐素子が知られている。この1×8の構造を有する導波路型光分岐素子は、光通信、光信号処理等の分野で頻繁に用いられており、この光導波路型光分岐素子は、特開平5−11130号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
導波路型光分岐素子の基本的構成要素は、Y型分岐素子である。本願発明者らによって考えられた1つのY型分岐素子は、図9に示される。光通信分野においては、分岐素子の分岐部をシャープに製造することができず、その分岐過剰損失を低減することができなかった。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、分岐過剰損失を低減させ、光導波路型分岐素子の光結合効率を増加させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ブランチングデバイスおよび光導波路型分岐素子は、従来の素子と比較して結合効率を著しく改良した素子である。
【0006】
本発明の光ブランチングデバイスは、基板上に設けられたクラッド部材と、クラッド部材内に埋設された第1、第2及び第3コア部材とを備える光ブランチングデバイスにおいて、第1コア部材はクラッド部材内に埋設された端面を有し、第2及び第3コア部材のそれぞれはクラッド部材の一部分を介して第1コア部材の端面に対向して離隔した対向面を有しており、第2コア部材の対向面の幅W1と、第3コア部材の前記対向面の幅W2と、第2及び第3コア部材間の最小離隔距離Aとの合計よりも、第1コア部材の端面の幅Wtは広く、前記第2及び第3コア部材の前記対向面は前記第1コア部材の前記端面に対して全て対向しており、分岐過剰損が0.3dB以下であることを特徴とする。
【0007】
【作用】
これにより、光分岐前後の電磁界分布の結合効率が向上するので、第2及び第3コア部材間からの導波光放射(放射損失)を大幅に減少させ、光分岐における損失を低減しつつ導波光を分岐させることができる。
【0008】
特に、本発明の光ブランチングデバイスが以下の関係式:
Wt<W1+W2+A+10μm
を更に満たすことが好ましい。
【0009】
第1コア部材は、前記端面を含むテーパ部と、前記テーパ部の一端に連続する直線部とを備えることが好ましい。
【0010】
第1コア部材は、前記端面を含む幅広の直線部と、直線部よりも狭い幅を有する幅狭の部と、これらの直線部間を接続するテーパ部とを備えることが好ましい。
【0011】
第2コア部材と第3コア部材とは、所定のスペースを有しているので、第1コア部材からこれらの第2および第3コア部材に入力された光がこのスペースからが洩れる。
【0012】
洩れた光は、他の光学部材に影響を与えることがあるので、本発明の光ブランチングデバイスは、第2コア部材と第3コア部材との間に介在する遮光部材を備えることとした。これにより、洩れた光が他の素子への影響を与えるのを防止するとともに、この遮光部材を用いることにした。
【0013】
これらの第2コア部材と第3コア部材とは、第2および第3コア部材内を伝搬する光が干渉しない程度(エバネセントフィールド結合しない程度)に離隔していることが望ましい。これにより、結合効率を向上させることができる。
【0014】
第1コア部材は、光ミキサーを構成する多モード直線導波路からなることとすることもできる。
【0015】
この場合、クラッド部材内に埋設され第1コア部材に対向する第4及び第5コア部材を更に備えることができる。それぞれの第4コア部材および第5コア部材には、異なる波長の光信号を入力することにしてもよく、この場合は、本光ブランチングデバイスは、オプテクィカルマルチプレクサ(またはディマルチプレクサ)として機能することができる。また、第4コア部材および第5コア部材には、同じ波長の光信号を入力することにしてもよく、この場合は、この光ブランチングデバイスは、光カプラー(オプティカルデバイダーを含む)として機能することができる。
【0016】
本発明の光ブランチングデバイスは、第1コア部材の終端に接続され第1コア部材内に光を導入する光ファイバを更に備えることができる。
【0017】
第1コア部材の幅Wtは、23マイクロメーターより大きく、29マイクロメーターより小さいことが好ましい。
【0018】
前記幅広の直線部の長さは400μmよりも小さく、100μmよりも大きいことが好ましい。
【0019】
第1コア部材は入力された光のエネルギー密度を下げて端面に対して波面が平行となるように機能する形状とされていることが好ましい。第1コア部材に入力された光は、端面に向かって進行する。この場合、光のパワー密度(エネルギー密度)が減少すると同時に、この光の波面 (wave front) が扇型に変形する。波面が端面にほぼ平行になると、端面から出力された光の指向性は高くなり、第2コア部材および第3コア部材に結合する光の結合効率は高くなる。波面と端面のなす角度が±3度以内であれば、これらはほぼ平行であることとする。本発明の光ブランチングデバイスにおいて、前記端面および第2及び第3コア部材の前記面は、端面から出射される光の波面にほぼ平行なので、光の結合効率は高くなる。
【0020】
第1コア部材が第2および第3コア部材方向に向かって広がったテーパー形状の部分を有していると、第1コア部材に入力された光のエネルギーは、この光が端面から出射される際に減少する。光ブランチングデバイスにおける光の結合効率をさらに向上させるために、第1コア部材の特定箇所の垂直断面の面積を端面の面積と等しくすることもできる。なお、以下の説明において、面積が等しいとは、実質的にそれらの面積が等しいことであって、一方の面積が他方の面積の100±3%以内であれば、これらの面積はほぼ等しいこととする。
【0021】
以上のように、本発明に係る光ブランチングデバイス(オプティカルコンポーネント)は、このデバイスに入力された光をミキシングして出力する。本デバイスに入射された入射光と本デバイスから出力される出力光との比率は、図9に示したY分岐素子よりも高くなる。本発明の光学部品は上記光ブランチングデバイスを複数備えてなる。
【0022】
【実施例】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
まず、本願発明者が考えた光分岐素子(光ブランチングデバイス)について、図9を用いて説明する。
【0024】
図9は、1つの非分岐側導波路10から直線導波路12に付加されたテーパ導波路11を介して連続的に分岐側導波路20、21へ分岐する形状の光ブランチングデバイスを示す断面図である。
【0025】
この導波路型光分岐素子には、導波路を形成する際に、分岐部にある鋭角形状のくさび部30の先端が丸くなることが避けられず、その結果、光分岐素子全体の損失が増加しやい。十分に損失を抑えた光分岐素子を大量生産する場合、歩留りをさらに向上させることが必要である。
【0026】
これを解決する導波路型光分岐素子(光ブランチングデバイス)として、図11に示すような、非分岐側導波路10と分岐側導波路20、21とを分離した分岐部構造を有する導波路型光分岐素子が考えられる。ここで、直線導波路12に付加されたテーパ導波路(tapered waveguide) 11の末端幅(Wt)は、分岐側導波路20、21の幅(図11の例では、ともにWである。)の和(2W)と、分岐側導波路20、21の分岐部における間隔(A)との総和(2W+A)に等しい。
【0027】
図11に示した導波路型光分岐素子は、図9に示した導波路型光分岐素子におけるくさび部30のような、作製上なまりやすい部分を有していない。したがって、図11の導波路型光分岐素子は、分岐部の加工が比較的容易である。したがって、図11の素子は、図9に示した素子よりも優れた加工安定性のもとに再現性よく作製することができる。それゆえ、この導波路型光分岐素子は、図9の素子と比べ歩留りよく大量生産することが可能である。
【0028】
一方、図11に示される比較例の導波路型光分岐素子は、加工安定性を高めようとして分岐側導波路20と21の間隔を大きくすると、図11に示されるような分岐側導波路20と21の間からの導波光の放射が増加し、光分岐における損失が急激に上昇する。
【0029】
逆に、光分岐における放射を抑えるために分岐側導波路20と21との間隔を小さくすると、加工安定性が低下し、歩留りをさらに向上させることができず、量産に向かないものとなってしまう。この様に、図11の導波路型光分岐素子には、十分な加工安定性を保持する必要から、損失の低減化において改良すべき点がある。
【0030】
図1は、本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスを示す斜視図である。図2Aは、このデバイスを図の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Bは、図2Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Cは、図2Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Dは、図2Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Eは、図2Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Fは、図2Aに示したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図3は、図2Aに示したデバイスの断面図である。
【0031】
この光ブランチングデバイスは、図11に示したデバイスをさらに改良した素子である。光ブランチングデバイスの特性を改良するために、この導波路光分岐素子は、端部11がテーパ導波路11となっている非分岐側導波路10と、テーパ導波路11の端面11cと所定の間隔をあけて対向し、互いに分離した2つの分岐側導波路20,21とを備えている。
【0032】
テーパ導波路10の末端11cの幅(Wt)は、2つの分岐側導波路20,21の分岐部側の末端20c,21cの各幅(W)の和(2W)と、2つの分岐側導波路20,21の分岐部における間隔(A)との総和(2W+A)よりも大きい。
【0033】
ここで、テーパ導波路は、後述するように、テーパ部115と、テーパ部115の先端に付加され、テーパ部115の末端とほぼ同一幅の直線部116とを有しており、テーパ導波路の直線部116の末端の幅が、2つの分岐側導波路120,121の分岐部側の末端120c,121cの各幅の和と、2つの分岐側導波路120,121の分岐部における間隔との総和より大きい。
【0034】
上記の導波路型光分岐素子において、テーパ導波路の末端の幅(Wt)が、2つの分岐側導波路20,21の分岐部側の末端の各幅(W)の和(2W)と、2つの分岐側導波路20,21の分岐部における間隔(A)との総和よりも、約10μm以下の長さだけ大きい。また、後述するテーパ導波路の直線部が約300μm以下の長さであってもよい。さらに、後述するように、本発明に係る導波路光分岐素子は、上記の導波路型光分岐素子を複数備え、一つの前記導波路型光分岐素子の前記分岐側導波路の末端を、他の前記導波路型光分岐素子の前記非分岐側導波路としてもよい。
【0035】
本実施例に係る導波路型光分岐素子は、非分岐側導波路10と分岐側導波路20,21とが分離しているので、加工困難なくさび部(図9の符号30)を設けることなく、端面12cから第1コア部材10に入力された導波光を分岐させることができる。また、非分岐側導波路10の端部11にあるテーパ導波路11の末端11cの幅(Wt)が、2つの分岐側導波路20,21の分岐部側の末端20c,21cの各幅(W)の和(2W)と、2つの分岐側導波路20,21の分岐部における間隔(A)との総和(2W+A)よりも大きいので、テーパ導波路11の末端11cにおける前記導波光の電界分布が幅方向に拡大して、光分岐の前後における電界分布の重なりを大きくしながら導波光を分岐させることができる。これにより、光分岐前後の電磁界分布の結合効率が向上するので、2つの分岐側導波路20,21間からの導波光放射(放射損失)を大幅に減少させ、光分岐における損失を低減しつつ導波光を分岐させることができる。
【0036】
また、後述するように、導波路型光分岐素子のうち、テーパ導波路がテーパ部と、テーパ部の先端に付加され、テーパ部の末端とほぼ同一幅の直線部とを有するものは、上記の作用に加え、テーパ部116にて放射状に広がった波面を平面状に戻してから導波光を分岐側導波路に入射させることができる。これにより、テーパ導波路の端面のうち、2つの分岐側導波路の分岐部側の末端の各幅と、2つの分岐側導波路の分岐部における間隔との総和よりも幅を大きくした部分からの導波光放射を抑えて、光分岐における損失をさらに低減しつつ導波光を分岐させることができる。
【0037】
また、後述するように、上記の導波路型光分岐素子を複数備える導波路型光分岐素子は、上記の作用が複数回繰り返され、光分岐における損失を格段に低減しつつ導波光を分岐して出力することができる。
【0038】
図1の導波路型光分岐素子は、例えばシリコンを含む材料から作られる基板1と、その上面に形成された、例えばSiO(ガラス、シリカガラス)からなる透明材料層(クラッド部材2およびコア部材10,20,21)と備えている。すなわち、この透明材料層は、クラッド2よりも高屈折率のコア10,20,21を備えている。透明材料層は、非分岐側導波路10および互いに分離した分岐側導波路20,21と、このコア10が埋め込まれたコア10のそれよりも低屈折率のクラッド2からなっている。なお、導波路10,20および21は、いずれも光が伝搬する方向に沿って形成されている。
【0039】
ここで、非分岐側導波路10は、直線導波路12の端部に、平面形状が末広がりのテーパ状であるテーパ導波路11が付加されたものである。また、分岐側導波路20、21は、ともに一定の幅と曲率半径を有する曲り導波路20,21であり、テーパ導波路11の端面11cと所定の間隔をあけて対向している。
【0040】
図1に示される構造をより詳しく説明すると、図2Aおよび図3に示すように、分岐側導波路20,21は一定の幅(W)および曲率半径(R)を有する曲り導波路となっており、分岐部側の端部で間隔(A)をあけて近接している。また、これらはテーパ導波路11の端面と所定の間隔(B)をあけて対向しており、非分岐側光導波路10の中央線(図3の一点鎖線で示す)に関して対称に、なおかつ、光の伝搬する方向に向かって徐々に互いの間隔が大きくなるように配置されている。
【0041】
図1ないし3に示される導波路型光分岐素子の1つの特徴的な点は、テーパ導波路11の末端幅(Wt)が、分岐側導波路20、21の分岐部側の末端の幅の和(2W)と、分岐側導波路20、21の分岐部における間隔(A)との総和 (2W+A)よりも大きいことである。すなわち、Wt>2W+Aである。この点において、この導波路型光分岐素子は、図11に示した導波路型光分岐素子と異なる。
【0042】
図2Aの導波路型光分岐素子は、非分岐側導波路10と分岐側導波路20,21とを分離した分岐部構造を採用しているので、図9に示した鋭角形状の「くさび部」が不要となって、分岐部の加工が容易になり、優れた加工安定性を有する。これに加えて、上記のようにテーパ導波路11の末端幅が拡大されているので、導波光の電界分布をテーパ導波路11の幅方向、すなわち光の伝搬方向に対して垂直な方向に拡大して、光分岐の前後における電界分布をより合致させることができる。
【0043】
さらに詳しく説明すると、非分岐側導波路10と分岐側導波路20、21とが分離した導波路型光分岐素子においては、非分岐側導波路10の分岐部側の末端における導波光の電磁界と、分岐側導波路20、21の分岐部側の末端における導波光の電磁界との間の結合効率が大きいほど、光分岐における損失を低減することができる。
【0044】
本実施例に係る導波路型光分岐素子では、上述したように、導波路を対向して分離させた分岐部構造を採用し、しかもテーパ導波路11の末端幅を拡大しているので、テーパ導波路11の末端における電界分布がテーパ導波路11の幅方向に広がる。この結果、光分岐前後の電界の重なり部分の面積が大きくなり、図11に示したデバイスよりも結合効率を高めることができる。
【0045】
以下、上述したデバイスをさらに詳しく説明する。
【0046】
本実施例の導波路型光分岐素子(光ブランチングデバイス)は、シリコン基板1と、保持基板1上に形成されたクラッド部材2と、第1コア部材(第1テーパ導波路)10と、第2コア部材(第2導波路)20と、第3コア部材(第3導波路)21とを備える。
【0047】
第1コア部材10は、クラッド部材2内に埋設されている。第2コア部材20は、クラッド部材2内に埋設されている。第2コア部材20は、第1コア部材10の第1端面11cに対して第1の間隔Bを隔てて対向する第2端面20cを有している。第3コア部材21も、クラッド部材2内に埋設されている。第3コア部材21は、第1コア部材10の第1端面11cに対して第2の間隔Bを隔てて対向する第3端面21cを有している。ここで、第1の間隔Bと第2の間隔Bとは等しくしてある。
【0048】
クラッド部材2(クラッド2,クラッド層2)は、第1表面2aを有している。第1表面2aは、基板1の主表面1aに平行である。この第1表面2aに垂直な方向と光の伝搬する方向の双方に垂直な方向を幅方向とする。また、第1表面2aに垂直な方向を厚み方向とする。第1コア部材10は、一定の幅および厚みを有する光伝送路12、一定の厚みを有し、光伝送路12に連続してこの光伝送路12から離れるほど広い幅を有するテーパー型のコア部分11とを有している。光伝送路12の幅12は、図2Aの面12aと面12bとの間の距離により規定される。
【0049】
第1コア部材10は、第1表面2aに対して垂直な第1面(図2Aの矢印B−Bを通る平面)と交差することにより規定される第1垂直断面12dを有している。第1コア部材10は、第1表面2aに対して垂直な第2面(図2Aの矢印C−Cを通る平面)であって第1端面11cと第1面(B−B面)との間に位置する第2面(C−C面)と交差することにより規定される第2垂直断面12eを有している。第1コア部材10は、第1表面2aに対して平行な第3面(図1の矢印H−Hを通る平面)と交差することにより規定される第1水平断面(図2Aの符号10aで示される)を有している。
【0050】
第2コア部材20は、第1表面2aに対して垂直な第4面(図2Aの矢印E−Eを通る平面)と交差することにより規定される第3垂直断面20eを有している。第2コア部材20は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第2水平断面(図2Aの符号20fで示される)を有している。第3コア部材21は、第4面(E−E面)と交差することにより規定される第4垂直断面21eを有している。第3コア部材21は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第3水平断面21fを有している。
【0051】
換言すれば、図1ないし図3に示された分岐導波路は、基板1、第1テーパ導波路10、第2導波路20および第3導波路21を有している。
【0052】
基板1は、基板表面1aを有している。
【0053】
第1テーパ導波路10は、基板表面1a上に形成されており、第1端面11cを有している。
【0054】
第2導波路20は、基板表面1a上に形成されている。第2導波路20は、第1端面11cに対して所定の間隔をあけて対向する第2端面20c、基板表面1aと交差する面を含む第1側面20a、第1側面20aに対向する第2側面20bを有している。
【0055】
第3導波路21は、基板表面1a上に形成されている。第1端面11cに対して所定の間隔をあけて対向する第3端面21c、基板表面1aと交差する面を含む第3側面21a、第3側面21aに対向する第4側面21bを有している。第4側面21bは、第1側面20aと第3側面21aとの間に配置されている。第1側面20aは、第2側面20bと第4側面21bとの間に配置されている。
【0056】
第1端面1aの幅は、基板表面1aの法線方向(厚み方向)および第1端面11cの法線方向(光軸方向)の双方に垂直な方向(幅方向)に沿った第1端面1aの長さである。第1端面11cの幅(Wt)は、第2端面20cと第3端面21cとの間の距離よりも大きい。すなわち、側面20a、20b、21a、21bと第1端面11cとの交線をそれぞれ、交線20i、20j、21j、21iとし、第1端面11cと端面11bとの間の交線を11iとし、第1端面11cと側面11aとの交線を11jとすれば、第1端面11cの幅はWtは、交線11iと交線11jとの間の距離で規定される。また、第2端面20cの幅(W)は、交線20iと20jとの間の距離によって規定され、第3端面21cの幅 (W)は、交線21iと21jとの間の距離によって規定される。第3端面21cと第2端面20cとの間の距離(A)は、交線20jと21jとの間の距離によって規定される。つまり、交線11iと交線11jとの間の距離(Wt)は、交線20iと21iとの間の距離(W+W+A)よりも大きい。
【0057】
第1コア部材10は、端面12cを介して第1コア部材10に入力された光が、第1垂直断面12dおよび第2垂直断面12eを横切って第1水平断面10aに沿った方向に伝搬して第1端面11cから出力されるように配置されている。
【0058】
第2コア部材は、第1端面11cから出力された光が、第2端面20cを通って第2コア部材20に入力され、第3垂直断面20eを横切って第2水平断面20fに沿った方向に伝搬して第2コア部材20の端面20dを通って出力されるように配置されている。第3コア部材21は、第1端面から出力された光が、第3端面を通って第3コア部材に入力され、第4垂直断面を横切って第3水平断面に沿った方向に伝搬して第3コア部材から出力されるように配置されている。
【0059】
ここで、第1端面11cの面積は、第1垂直断面12dの面積よりも大きい。すなわち、第1コア部材10は、第2および第3コア部材方向に向かって広がったテーパー形状の部分11を有している。テーパー形状の部分11は、第1コア部材10の光軸OP(中心線)に対して所定の角度を有する面11aおよび11bを有している。換言すれば、テーパー形状の部分11は、部分11の第1表面2aに垂直な2つの表面と、第3表面(H−H面)との交線11a,11bは、第3表面第1コア部材10の光軸OP(中心線)に対して所定の角度を有している。第1コア部材10がテーパー部分11を含んでいることにより、第1コア部材10の端面12cに入力された光信号のエネルギー(パワー)密度は、この光が第1垂直断面12dを通過して第1端面11cに向かうにしたがって減少する。
【0060】
第1コア部材10の端面11cから出力された光は、第2端面20cから第2コア部材20に入力され、第3端面21cから第3コア部材21に入力される。本願発明者らは、これまでの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結合効率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝搬する方向に対して垂直にすることが有効であることに気付いた。本実施例の光ブランチングデバイスの第1端面11cは、この第1端面を通過する光の進行方向に対して垂直である。また、第2端面20cは、この第2端面20cに入射される光の進行方向に対して垂直である。第3端面21cは、この第3端面21cに入射される光の進行方向に対して垂直である。したがって、第1端面11cは、第2端面20cに対して対向しており、第1端面11cは第2端面20cに平行である。第1端面11cは、第3端面21cに対して対向しており、第1端面11cは第3端面21cに平行である。
【0061】
第2コア部材20は、第1表面2aに対して垂直な面20aおよび20bを有している。面20aおよび面20bは、第2コア部材20内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。また、面20aと面20bとは互いに対向しており、面20aおよび面20bは平行である。したがって、面20aと面20bは、第1表面2aと第2端面20cの双方に垂直である。
【0062】
同様に、第3コア部材21は、第1表面2aに対して垂直な面21aおよび21bを有している。面21aおよび面21bは、第3コア部材21内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。また、面21aと面21bとは互いに対向しており、面21aおよび面21bは平行である。したがって、面21aと面21bは、第1表面2aと第3端面21cの双方に垂直である。
【0063】
第2コア部材20と第3コア部材21との間隔は、第1コア部材10から離れるにしたがって広くなる。すなわち、第2コア部材20は、第3コア部材21から離れる方向に曲った曲面30aおよび30bを有している。曲面30aは、平面20aに連続しており、曲面30bは、平面20bに連続している。曲面30aの曲率半径はRであり、曲面30bの曲率半径もほぼRである。第3コア部材21は、第2コア部材20から離れる方向に曲った曲面31aおよび31bを有している。曲面31aは、平面21aに連続しており、曲面31bは、平面21bに連続している。曲面30aの曲率半径はRであり、曲面30bの曲率半径もほぼRである。第2コア部材20および第3コア部材21は、S字形導波路である。
【0064】
第2端面20cから第2コア部材20に入力された光は、第2コア部材20の端面20dから出力される。第3端面21cから第3コア部材21に入力された光は、第3コア部材21の端面21dから出力される。ここで、第2コア部材20の入力端面20cから出力端面20dまでの光路長は、第3コア部材21の入力端面21cから出力端面21dまでの光路長に等しい。したがって、第1コア部材10からこれらのコア部材20,21に入力された光がコア部材20,21から出力される場合において、コア部材20,21によって分岐されたそれぞれの光ビームの出力端面20d,21dにおける位相は揃っている。それぞれの端面20d,21dから出力された光ビームの位相は、お互いに揃っているので、これらの出力光を再び合成する場合などにおいても、それぞれのビームの位相は容易に整合する。
【0065】
図4は、図2Aに示した光ブランチングデバイスの第2コア部材20および第3コア部材21の端面20d,21dを改良したデバイスである。図2Aに示した光ブランチングデバイスの端面20d,21dは、露出している。露出した端面20dの法線方向は、第3コア部材21の内を伝搬する光の進行方向(光軸方向)に対して所定の角度を有している。また、露出した端面21dの法線方向は、第3コア部材21内を伝搬する光の進行方向に対して所定の角度を有している。前述のように、本願発明者らは、これまでの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結合効率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝搬する方向(光軸)に対して垂直にすることが有効であることに気付いた。そこで、本実施例の光ブランチングデバイスは、図4に示すように、第2コア部材20の出力端面20dが、第2コア部材20の光軸OP2(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第2コア部材20を配置する。第2コア部材20の端面20dに対向する位置にレンズL2を介して光ファイバF2を配置する。また、第3コア部材21の出力端面21dが、第3コア部材21の光軸OP3(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第3コア部材21を配置する。第3コア部材21の端面21dに対向する位置にレンズL3を介して光ファイバF3を配置する。また、第1コア部材10の入力端面12cが、第1コア部材10の光軸OP1(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第1コア部材10を配置する。第1コア部材10の端面12cに対向する位置にレンズL1を介して光ファイバF1を配置する。
【0066】
図5は、図4に示した光ブランチングデバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR1,BR2,BR3を接続した1x4構造を有する光ブランチングデバイスである。この光ブランチングデバイスは、第1の光ブランチングデバイスBR1と、第1の光ブランチングデバイスBR1の出力端面20dに、第2の光ブランチングデバイスBR2の入力端面12cが接続された第2の光ブランチングデバイスBR2と、第1の光ブランチングデバイスBR1の出力端面21dに、第3の光ブランチングデバイスBR3の入力端面12cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR3とを備える。
【0067】
端面P1から第1の光ブランチングデバイスBR1に入力された光信号(図の実線矢印で示す)は、この光ブランチングデバイスによって、分離されて、第2の光ブランチングデバイスBR2の端面P2,P3、および第3の光ブランチングデバイスBR3の端面P4,P5から出力される。一方、端面P2〜P5から入力されたそれぞれの光信号(図の一点鎖線矢印で示す)は、この光ブランチングデバイスによって、合成されて、端面P1から出力される。
【0068】
図6は、図4に示した光ブランチングデバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR1,BR2,BR3,BR4,BR5,BR6,BR7を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイスである。この光ブランチングデバイスは、入力端面(入力ポート)を有する第1の光ブランチングデバイスBR1と、第1の光ブランチングデバイスBR1の出力端面20dに、第2の光ブランチングデバイスBR2の入力端面12cが接続された第2の光ブランチングデバイスBR2と、第1の光ブランチングデバイスBR1の出力端面21dに、第3の光ブランチングデバイスBR3の入力端面12cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR3とを有している。
【0069】
さらに、この光ブランチングデバイスは、第2の光ブランチングデバイスBR2の出力端面20dに、第4の光ブランチングデバイスBR4の入力端面12cが接続された第4の光ブランチングデバイスBR4と、第2の光ブランチングデバイスBR2の出力端面21dに、第5のブランチングデバイスBR5の入力端面12cが接続された第5の光ブランチングデバイスBR5と、第3の光ブランチングデバイスBR3の出力端面20dに、第6の光ブランチングデバイスBR6の入力端面12cが接続された第6の光ブランチングデバイスBR6と、第3の光ブランチングデバイスBR3の出力端面21dに、第7の光ブランチングデバイスBR7の入力端面12cが接続された第7の光ブランチングデバイスBR7とを備える。
【0070】
したがって、この光ブランチングデバイスは、このデバイスに入力された1つの光ビームを8つのビームに分岐することができ、このデバイスに入力された8つのビームを1つのビームに合成することができる。なお、これらの光ブランチングデバイスBR1,BR2,BR3,BR4,BR5,BR6,BR7は同一基板1上に形成されている。
【0071】
次に、図1ないし図3を用いて説明した光ブランチングデバイスの形状の最適化について説明する。
【0072】
図7Bは、図1ないし図3に示した光ブランチングデバイスの第1コア部材10,第2コア部材20,第3コア部材21を図1ないし図3から抜出して示す図である。図7Bには、座標軸が示してある。図7Aは、図7Bに示した第1コア部材10の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の電界分布(コア部材固有の界分布であって、導波してきた光の電界分布との一致度が高いほど結合効率が高くなる。以下この分布については同様である。)、および、第2および第3コア部材20,21の末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布を示すグラフである。図7Aにおいて、座標Y1における導波光の電界分布は、実線で示し、座標Y2における導波光の電界分布は、点線で示す。図7Aに示された座標X1,X2は、図7Bの位置座標X1,X2にそれぞれ対応している。導波光とは、本光ブランチングデバイスのコア部材10,20,21内を伝搬する光である。図7A内の各分布は、各導波モードが運ぶ光パワーが1になるように正規化(nomalization for power)して示してある。なお、ここでは、非分岐側導波路10および分岐側導波路20,21のいずれにおいても最低次モードのみが励振されると仮定している。
【0073】
本実施例の光ブランチングデバイスは、第1水平断面10aと第1端面11cとの交線の長さ(Wt)を、第2水平断面20aと第2端面20cとの交線の長さ(W1)と、第3水平断面21aと第3端面21cとの交線の長さ(W2)と、第2端面(20c)と第3端面(21c)との間の距離(A)との和よりも大きい。Wtは、W1+W2+Aよりも大きい。すなわち、Wt>W1+W2+Aである。なお、本実施例において、W1=W2=Wである。
【0074】
一方、図11に示した比較例の光ブランチングデバイスの電界分布は、図10に示される。図11に示した光ブランチングデバイスは、直線導波路12に付加されたテーパ導波路11の末端幅(Wt)は、分岐側導波路20、21の幅(図11の例では、ともにWである。)の和(2W)と、分岐側導波路20、21の分岐部における間隔(A)との総和(2W+A)に等しい。
【0075】
図10Bは、図11に示した光ブランチングデバイスの第1コア部材10,第2コア部材20,第3コア部材21を図10から抜出して示す図である。図10Bには、座標軸が示してある。
【0076】
図10Aは、図10Bに示した第1コア部材10の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の電界分布、および、第2および第3コア部材20,21の末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布を示すグラフである。図10Aにおいて、座標Y1における導波光の電界分布は、実線で示し、座標Y2における導波光の電界分布は、点線で示す。図10Aに示された座標X1,X2は、図10Bの位置座標X1,X2にそれぞれ対応している。導波光とは、本光ブランチングデバイスのコア部材10,20,21内を伝搬する光である。図10A内の各分布は光パワーが1になるように正規化して示してある。なお、ここでは、非分岐側導波路10および分岐側導波路20,21のいずれにおいても最低次モードのみが励振されると仮定している。
【0077】
このように、図7A、図7Bに示した光ブランチングデバイスは、テーパー部11の第1端面11cの幅(Wt)を、図10A、図10Bに示した光ブランチングデバイスのそれよりも広げたデバイスである。
【0078】
図7Aから、テーパ導波路11の末端幅(Wt)を拡大することによりテーパ導波路11の末端における電界分布がテーパ導波路11の幅方向に広がり、光分岐前後の電界の重なり部分の面積が大きくなる。したがって、光分岐前後の電磁界分布の重畳積分(overlap integral) で与えられる結合効率が向上する。このため、分岐側導波路20と21の間からの導波光放射が抑えられ、比較例の導波路型光分岐素子に比べて光分岐の際の損失が低くなる。
【0079】
以上で説明したように、図7A,7Bに示した、Wt>W1+W2+Aの関係を有する光ブランチングデバイスは、図10A,10Bに示した、Wt=W1+W2+Aの関係を有する光ブランチングデバイスよりも光結合効率を上昇させることができることが判明した。
【0080】
次に、光結合効率を増加させるためには、さらに、光ブランチングデバイスの改良が必要である。
【0081】
図8は、テーパ導波路11の末端幅11c(Wt)と図1ないし図3に示した光ブランチングデバイスの分岐過剰損(excess loss (dB))との関係を示すグラフである。すなわち、図8は、導波光の波長が1.55μmの場合における分岐過剰損を、テーパ導波路11の末端幅11c(Wt)を変化させつつ計算した結果を示したグラフである。なお、分岐過剰損の計算はビーム伝搬法により行った。この計算にあたっては、図2Aおよび図3に示される導波路型光分岐素子の各部の寸法を、A=4μm、B=4μm、W=8μm、Lt=1200μm、R=50mmとし、コアとクラッドの比屈折率差を0.3%とした。Bは、第2コア部材20の第2端面20cと第1コア部材10の第1端面11cとの距離である。なお、Bは、第3コア部材21の第3端面21cと第1コア部材10の第1端面11cとの間隔に等しい。Ltは、図3に示した、テーパー部11の端面11cと、テーパー部11と直線部12との界面11dとの間の距離である。
【0082】
良好な加工安定性を保持しつつ損失を十分に抑えるためには、分岐側導波路間20、21の分岐部における間隔(A)は、約2〜4μmであることが好ましく、非分岐側導波路10と分岐側導波路20、21の対向間隔(B)は、約2〜8μmであることが好ましい。
【0083】
図8に示されるグラフによれば、テーパ導波路11の末端幅11c(Wt)が、分岐側導波路20、21の末端20c,21cの幅(W)の和(W+W)と、分岐側導波路20、21の間隔(A)との総和(2W+A)である20μmより、6μm大きいとき、すなわち、Wt=26μmの値のときにおいて最低損失値0.27dBが得られる。Wt=20μmのスケールを持つ光ブランチングデバイスの分岐過剰損は、0.42dBであり、Wt=26μmのスケールを持つ光ブランチングデバイスの分岐過剰損は、0.27dBである。したがって、図7A,7Bに示した光ブランチングデバイスは、図10A、図10Bに示した末端幅11cの拡大を行わない光ブランチングデバイス(Wt=20μm)の0.42dBに比べて大幅な損失値の低下が認めらる。
【0084】
また、テーパ導波路11の末端11cの幅(Wt)を拡大しすぎた場合、末端幅11cの拡大した部分からの導波光の放射(後述する。)が増加し、損失が増加する。したがって、図7に示されるグラフから、テーパ導波路11の末端11cの幅(Wt)の拡大値は約10μm以下であることが好ましい。長距離光通信を行うためには、分岐過剰損は、0.3dB以下であることが望ましい。したがって、末端11cの幅(Wt)は、23マイクロメーターより大きく、29マイクロメーターより小さいことが望ましい。特に、テーパ導波路11の末端幅(Wt)が約25μm〜27μm(末端幅の拡大値が、約5μm〜7μm)のときに分岐過剰損は、一定値0.27dBに収束する。したがって、最も損失が減らすためには、末端11cの幅(Wt)が、25マイクロメーターより大きく、27マイクロメーターより小さいことが望ましい。
【0085】
次に、本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスについて説明する。
【0086】
図12は、本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスを示す斜視図である。図13Aは、このデバイスを図12の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図12Bは、図13Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Cは、図13Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Dは、図13Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Eは、図13Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Fは、図13Aに示したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Gは、図13Aに示したデバイスを図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図14は、図13Aに示したデバイスの断面図である。
【0087】
この導波路型光分岐素子は、図1に示した導波路光分岐素子のテーパ導波路11の末端11cに、このテーパ部11の末端11cとほぼ同一幅の直線部16が付加された構造のテーパー導波路115を有している。
【0088】
このため、テーパ部115にて放射状に広がった波面を直線部116にて平面状に戻してから、導波光を分岐側導波路120,121に入射させることができる。
【0089】
この波面が進行する様子を、図15に示す。これにより、テーパ導波路111の分岐部側の端面のうち、末端幅を拡大するために設けられた部分(分岐側導波路120、121の末端幅と、分岐側導波路120、121の間隔との総和よりも幅を大きくした部分)にて生じる導波光の放射(反射、回折)を抑え、分岐部での放射損失(radiation loss) をさらに低減することができる。
【0090】
本実施例の光ブランチングデバイスについてさらに詳しく説明する。
【0091】
図12に示すように、本実施例の導波路型光分岐素子(光ブランチングデバイス)は、シリコン基板101と、保持基板101上に形成されたクラッド部材102と、第1コア部材110と、第2コア部材120と、第3コア部材121とを備える。
【0092】
第1コア部材110は、クラッド部材102内に埋設されている。第2コア部材120は、クラッド部材102内に埋設されている。第2コア部材120は、第1コア部材110の第1端面111cに対して第1の間隔Bを隔てて対向する第2端面120cを有している。第3コア部材121も、クラッド部材102内に埋設されている。第3コア部材121は、第1コア部材110の第1端面111cに対して第2の間隔Bを隔てて対向する第3端面21cを有している。ここで、第1の間隔Bと第2の間隔Bとは等しくしてある。
【0093】
クラッド部材102(クラッド102,クラッド層102)は、第1表面102aを有している。第1表面102aは、基板101の主表面101aに平行である。主表面101aは、クラッド部材102と基板101との界面で規定される。この第1表面102aに垂直な方向と光の伝搬する方向の双方に垂直な方向を幅方向とする。また、第1表面102aに垂直な方向を厚み方向とする。第1コア部材110は、一定の幅および厚みを有する光伝送路112、一定の厚みを有し、光伝送路112に連続してこの光伝送路112から離れるほど広い幅を有するテーパー型の第1コア部分115と、一定の厚みおよび幅を有し、コア部分115に連続した第2コア部分116とを有する。
【0094】
光伝送路112の幅112は、図113Aの面112aと面112bとの間の距離により規定される。
【0095】
第1コア部材110は、第1表面102aに対して垂直な面(図13Aの矢印B−Bを通る平面)と交差することにより規定される第5垂直断面112dを有している。
【0096】
第1コア部材110は、第1表面102aに対して垂直な第1面(図13Aの矢印C−Cを通る平面)と交差することにより規定される第1垂直断面112eを有している。
【0097】
第1コア部材110は、第1表面102aに対して垂直な第2面(図13Aの矢印G−Gを通る平面)であって第1端面111cと第1面(B−B面)との間に位置する第2面(G−G面)と交差することにより規定される第2垂直断面116cを有している。
【0098】
第1コア部材110は、第1表面2aに対して平行な第3面(図1の矢印H−Hを通る平面)と交差することにより規定される第1水平断面(図13Aの符号110aで示される)を有している。
【0099】
第2コア部材120は、第1表面102aに対して垂直な第4面(図13Aの矢印E−Eを通る平面)と交差することにより規定される第3垂直断面120eを有している。第2コア部材120は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第2水平断面(図13Aの符号120fで示される)を有している。第3コア部材121は、第4面(E−E面)と交差することにより規定される第4垂直断面121eを有している。第3コア部材121は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第3水平断面121fを有している。
【0100】
第1コア部材110は、端面112cを介して第1コア部材110に入力された光が、第1垂直断面112eおよび第2垂直断面116cを横切って第1水平断面110aに沿った方向に伝搬して第1端面111cから出力されるように配置されている。
【0101】
なお、断面は、第1端面111cに平行であり、導波光の進行方向に垂直であるとする。
【0102】
第2コア部材120は、第1端面111cから出力された光が、第2端面120cを通って第2コア部材120に入力され、第3垂直断面120eを横切って第2水平断面1120fに沿った方向に伝搬して第2コア部材120の端面120dを通って出力されるように配置されている。第3コア部材121は、第1端面から出力された光が、第3端面121cを通って第3コア部材121に入力され、第4垂直断面121eを横切って第3水平断面121fに沿った方向に伝搬して第3コア部材121から出力されるように配置されている。
【0103】
ここで、第1端面111cの面積は、第1垂直断面112eの面積よりも大きい。すなわち、第1コア部材110は、第2および第3コア部材120,121方向に向かって広がったテーパー形状の部分115を有している。テーパー形状の部分115は、第1コア部材110の光軸OP(中心線)に対して所定の角度を有する面115aおよび115bを有している。換言すれば、部分115における第1表面102aに垂直な2つの表面115a,115bと、第3表面(H−H面)との交線115a,115bは、第3表面内において第1コア部材110の光軸OP(中心線)に対して所定の角度を有している。また、第1端面101aの幅は、基板表面101aの法線方向(厚み方向)および第1端面111cの法線方向(光軸方向)の双方に垂直な方向(幅方向)に沿った第1端面101aの長さである。第1端面111cの幅(Wt)は、第2端面120cと第3端面121cとの間の距離よりも大きい。すなわち、側面120a、120b、121a、121bと第1端面111cとの交線をそれぞれ、交線120i、120j、121j、121iとし、第1端面111cと端面116との間の交線を111iとし、第1端面111cと端面116との交線を111jとすれば、第1端面111cの幅はWtは、交線111iと交線111jとの間の距離で規定される。また、第2端面120cの幅(W)は、交線120iと120jとの間の距離によって規定され、第3端面121cの幅(W)は、交線121iと121jとの間の距離によって規定される。第3端面121cと第2端面120cとの間の距離(A)は、交線120jと121jとの間の距離によって規定される。つまり、交線111iと交線111jとの間の距離(Wt)は、交線120iと121iとの間の距離(W+W+A)よりも大きい。
【0104】
換言すれば、この光ブランチングデバイスは、基板表面101aを有する基板101、第1テーパ導波路110、第2導波路120および第3導波路121を有している。
【0105】
1テーパ導波路110は、第4導波路116とこの第4導波路116に連続した第2テーパ導波路115を有している。第1テーパ導波路110は、基板表面1a上に形成されている。
【0106】
第4導波路116は、基板表面101aと交差する面を含む第1端面111c、基板表面1aと交差する面を含む第5側面116a、第5側面116aにほぼ平行な第6側面116bを有している。したがって、第5側面116aと第6側面116bとのなす角度は3度以下である。
【0107】
第2テーパ導波路115は、第4導波路116(まっすぐな導波路)に連続している。第2テーパ導波路115は、第4導波路116に近付く方向に広がっている。第2導波路120は、基板表面101a上に形成されている。第2導波路120は、第1端面111cに対して所定の間隔をあけて対向する第2端面120cを有している。
【0108】
第3導波路121は、基板表面1a上に形成されている。第3導波路121は、第1端面111cに対して所定の間隔をあけて対向する第3端面121cを有している。第1コア部材がテーパー部分115を含んでいることにより、第1コア部材110の端面112cに入力された光信号のエネルギー(パワー)密度は、この光が第1垂直断面112dを通過して第1端面111cに向かうにしたがって減少する。
【0109】
第1コア部材110の端面111cから出力された光は、第2端面120cから第2コア部材120に入力され、第3端面121cから第3コア部材121に入力される。本願発明者らは、これまでの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結合効率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝搬する方向に対して垂直にすることが有効であることに気付いた。本実施例の光ブランチングデバイスの第1端面111cは、この第1端面111cを通過する光の進行方向に対して垂直である。また、第2端面120cは、この第2端面120cに入射される光の進行方向に対して垂直である。第3端面121cは、この第3端面121cに入射される光の進行方向に対して垂直である。
【0110】
したがって、第1端面111cは、第2端面120cに対して対向しており、第1端面111cは第2端面120cに平行である。第1端面111cは、第3端面121cに対して対向しており、第1端面111cは第3端面121cに平行である。
【0111】
光ブランチングデバイスにおける光の結合効率をさらに向上させるために、本実施例の光ブランチングデバイスでは、第2垂直断面116cの面積が、第1端面111cの面積と等しいこととした。換言すれば、第2垂直断面116cの幅は、第1端面111cの幅(Wt)とほぼ等しく、これらの面積の違いは3%以下である。
【0112】
すなわち、図15に示すように、第1コア部材110に入力された光は、第1垂直断面112eから第1端面111cに進行するにしたがって、光のパワー密度(エネルギー密度)が減少すると同時に、この光の波面WA1が第1水平断面110a内において扇型に変形する。この第2垂直断面116cの面積が、第1端面111cの面積と等しいこととすれば、この光が、第2垂直断面116cから第1端面111cへ伝搬する間にその波面が、第1端面111cに平行になる。同図から明らかなように、本実施例に係る光学部品は、端面112cに取り付けられた光入力手段IMを有している。光入力手段IMは、レーザダイオードIM1と、レーザダイオードIM1から出力された光IM2が入力されるように配置されたレンズIM3と、レンズIM3から出力された光が入力されるように配置されたファイバIM4とファイバIM5から出力された光が入力されるレンズIM5と、レンズIM5で集光された光がその端面に入力されるファイバIM6とを備えている。ファイバIM6の端面は、直接、第1導波路110の端面112cに接続されている。ファイバIM6内を通過した光IM7は、第1導波路110内を伝搬して、第2および第3導波路120,121の第1端面111cに対向する一端からこれらの導波路120,121に入力される。第2導波路120に入力された光IM8は、第2導波路120の他端120dから出力され、この出力された光IM10は、ファイバF102に入力される。ファイバF102は、光検出器OM1に接続されている。一方、第3導波路121に入力された光IM9は、第3導波路121の他端121dから出力され、この出力された光IM11は、ファイバF103に入力される。ファイバF103は、光検出器IM2に接続されている。
【0113】
したがって、第1端面111cから出力された光の指向性は高くなり、第2コア部材120および第3コア部材121に結合する光の結合効率は高くなる。
【0114】
また、第2端面120cおよび第3端面121cは、第1端面111cから出射される光の波面WA2に平行であるので、光の結合効率は高くなる。
【0115】
すなわち、第1コア部材110は、第1端面111cを有し、入力された光のエネルギー密度を低下させるとともに、光の波面WA1を第1端面111cに対して平行にして光を第1端面111cから出射する形状を有している。第2コア部材120は、第1端面111cに対して所定の間隔をあけて対向する第2端面120cを有しており、第3コア部材121cは、第1端面111cに対して所定の間隔(B)をあけて対向する第3端面121cを有している。
【0116】
この光は、一定の幅(コアサイズ)を有する光伝送路(コア)112内を通過する。光伝送路112cは、第1コア部材110の一部分であり、テーパー導波路部115に連続し、第1垂直断面112eの断面積の最小値と等しい断面積を有している。
【0117】
第2コア部材120は、第1表面102aに対して垂直な面120aおよび120bを有している。面120aおよび面120bは、第2コア部材120内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。また、面120aと面120bとは互いに対向しており、面120aおよび面120bは平行である。したがって、面120aと面120bは、第1表面102aと第2端面120cの双方に垂直である。
【0118】
同様に、第3コア部材121は、第1表面102aに対して垂直な面121aおよび121bを有している。面121aおよび面121bは、第3コア部材121内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。また、面121aと面121bとは互いに対向しており、面121aおよび面121bは平行である。したがって、面121aと面121bは、第1表面102aと第3端面121cの双方に垂直である。
【0119】
第2部材120と第3部材121との間隔は、第1コア部材110から離れるにしたがって広くなる。すなわち、第2コア部材120は、第3コア部材121から離れる方向に曲った曲面130aおよび130bを有している。曲面130aは、平面120aに連続しており、曲面130bは、平面120bに連続している。曲面130aの曲率半径はRであり、曲面130bの曲率半径もほぼRである。第3コア部材121は、第2コア部材120から離れる方向に曲った曲面131aおよび131bを有している。曲面131aは、平面121aに連続しており、曲面131bは、平面121bに連続している。曲面130aの曲率半径はRであり、曲面131bの曲率半径もほぼRである。
【0120】
第2端面120cから第2コア部材120に入力された光は、第2コア部材120の端面20dから出力される。第3端面121cから第3コア部材121に入力された光は、第3コア部材121の端面121dから出力される。ここで、第2コア部材120の入力端面120cから出力端面120dまでの光路長は、第3コア部材121の入力端面121cから出力端面121dまでの光路長に等しい。したがって、第1コア部材110からこれらのコア部材120,121に入力された光がコア部材120,121から出力される場合において、コア部材120,121によって分岐されたそれぞれの光ビームの出力端面120d,121dにおける位相は揃っている。それぞれの端面120d,121dから出力された光ビームの位相は、お互いに揃っているので、これらの出力光を再び合成する場合などにおいても、それぞれのビームの位相は容易に整合する。
【0121】
図16は、図13Aに示した光ブランチングデバイスの第2コア部材120および第3コア部材121の端面120d,121dを改良したデバイスである。図13Aに示した光ブランチングデバイスの端面120d,121dは、露出している。露出した端面120dの法線方向は、第3コア部材121の内を伝搬する光の進行方向(光軸方向)に対して所定の角度を有している。また、露出した端面121dの法線方向は、第3コア部材121内を伝搬する光の進行方向に対して所定の角度を有している。すなわち、第2コア部材120および第3コア部材121は、S字形導波路(S−shaped waveguid) である。前述のように、本願発明者らは、これまでの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結合効率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝搬する方向(光軸)に対して垂直にすることが有効であることに気付いた。そこで、本実施例の光ブランチングデバイスは、図16に示すように、第2コア部材120の出力端面120dが、第2コア部材120の光軸OP2(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第2コア部材120を配置する。第2コア部材120の端面120dに対向する位置にレンズL102を介して光ファイバF102を配置する。また、第3コア部材121の出力端面121dが、第3コア部材21の光軸OP3(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第3コア部材121を配置する。第3コア部材121の端面121dに対向する位置にレンズL102を介して光ファイバF103を配置する。また、第1コア部材110の入力端面112cが、第1コア部材110の光軸OP1(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第1コア部材110を配置する。第1コア部材110の端面112cに対向する位置にレンズL101を介して光ファイバF101を配置する。
【0122】
図17は、図16に示した光ブランチングデバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR101,BR102,BR103を接続した1x4構造を有する光ブランチングデバイスである。この光ブランチングデバイスは、第1の光ブランチングデバイスBR101と、第1の光ブランチングデバイスBR101の出力端面120dに、第2の光ブランチングデバイスBR102の入力端面112cが接続された第2の光ブランチングデバイスBR102と、第1の光ブランチングデバイスBR101の出力端面121dに、第3の光ブランチングデバイスBR103の入力端面112cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR103とを備える。端面P101から第1の光ブランチングデバイスBR101に入力された光信号(図の実線矢印で示す)は、この光ブランチングデバイスによって、分離されて、第2の光ブランチングデバイスBR102の端面P102,P103、および第3の光ブランチングデバイスBR103の端面P104,P105から出力される。一方、端面P102〜P105から入力されたそれぞれの光信号(図の一点鎖線矢印で示す)は、この光ブランチングデバイスによって、合成されて、端面P101から出力される。
【0123】
図20は、図16に示した光ブランチングデバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR101,BR102,BR103,BR104,BR105,BR106,BR107を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイスである。この光ブランチングデバイスは、入力端面(入力ポート)を有する第1の光ブランチングデバイスBR101と、第1の光ブランチングデバイスBR101の出力端面120dに、第2の光ブランチングデバイスBR102の入力端面112cが接続された第2の光ブランチングデバイスBR102と、第1の光ブランチングデバイスBR101の出力端面121dに、第3の光ブランチングデバイスBR103の入力端面112cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR103とを有している。さらに、この光ブランチングデバイスは、第2の光ブランチングデバイスBR102の出力端面120dに、第4の光ブランチングデバイスBR4の入力端面112cが接続された第4の光ブランチングデバイスBR104と、第2の光ブランチングデバイスBR102の出力端面121dに、第5のブランチングデバイスBR105の入力端面112cが接続された第5の光ブランチングデバイスBR105と、第3の光ブランチングデバイスBR103の出力端面120dに、第6の光ブランチングデバイスBR106の入力端面112cが接続された第6の光ブランチングデバイスBR106と、第3の光ブランチングデバイスBR103の出力端面121dに、第7の光ブランチングデバイスBR7の入力端面112cが接続された第7の光ブランチングデバイスBR107とを備える。
【0124】
したがって、この光ブランチングデバイスは、このデバイスに入力された1つの光ビームを8つのビームに分岐することができ、このデバイスに入力された8つのビームを1つのビームに合成することができる。なお、これらの光ブランチングデバイスBR101,BR102,BR103,BR104,BR105,BR106,BR107は同一基板101上に形成されている。
【0125】
図18は、直線部116の長さLsと分岐過剰損との関係を示すグラフである。すなわち、図18は、導波光の波長1.55μmにおける図12に示した光ブランチングデバイスの分岐過剰損をビーム伝搬法により計算した結果を表したグラフである。計算にあたって、導波路型光分岐素子の各部の寸法は、A=4μm、B=4μm、W=8μm、Lt=1200μm、R=50mmとした。テーパ部15の末端幅(Wt)は、図1の導波路型光分岐素子において最も損失低減の効果が現れた値である26μmである(図8参照)。また、コアとクラッドの比屈折率差は0.3%とした。Bは、第2コア部材120の第2端面120cと第1コア部材110の第1端面111cとの距離である。なお、Bは、第3コア部材121の第3端面121cと第1コア部材110の第1端面111cとの間隔に等しい。Lsは、図14に示した、テーパー部111の第4導波路116の端面111cと、第4導波路116と第2テーパ導波路115との界面111eとの間の距離である。Ltは、図14に示した、界面111eと、第2テーパ導波路115と光導波路112との界面111dとの間の距離である。
【0126】
図18に示されるグラフによれば、図12の導波路型光分岐素子に関して、分岐過剰損の最低値は、0.23dBである。この最低値は、直線部116の長さが約300μmのときに得られる。図1の導波路型光分岐素子の分岐過剰損の最低値は、0.27dBである。したがって、図12に示した光ブランチングデバイスは、図1に示した光ブランチングデバイスよりも優れている。図12に示した導波路型光分岐素子によれば、さらなる損失の低減効果が得られることが確認される。
【0127】
また、直線部(第4導波路)116が長くなり過ぎると、高次モードの発生等により分岐部以外の部分において損失が上昇する。したがって、直線部116の長さ(Ls)、すなわち、第6側面116cの長さは、損失が最低になる約300μm以下であるのが好ましい。また、分岐過剰損失は、直線部116の長さが、400マイクロメータよりも小さく、100μmよりも大きい場合に顕著に減少する。したがって、第4導波路116の長さ、すなわち、第6側面116bの長さは、400マイクロメータよりも小さく、100μmよりも大きいことが望ましい。直線部116の長さ、すなわち、第6側面116cの長さが、300マイクロメータ以下であり、250μmよりも大きい場合に、分岐過剰損の値は、一定値(最低値0.23dB)に収束する。
【0128】
本発明者らは、実施例に係る光ブランチングデバイスの効果を確認するために、図1、図12、および図11に示した光ブランチングデバイスを作製した。本願発明者らは、これらデバイスの光伝送特性を測定した。以下、この結果を示す。
【0129】
(第1実験)
本願発明者らは、図1、図12、図11の導波路型光分岐素子を製造した。図11の分岐導波路は、図1および図12に示した分岐導波路とその特性を比較するために作製した。これらの分岐導波路は、1x2構造を有している。
【0130】
これらの導波路型光分岐素子は、シリコン基板1,101上に火炎堆積法でSiOガラス層 (クラッド)を形成し、次いで、ドーパントを含んだ高屈折率のSiOガラス層を堆積して、エッチングすることによりコアを形成し、さらに上部クラッドとしてのSiOガラス層を堆積して形成することにより作製した。
【0131】
各素子の各部の寸法は、図1、図12、図11における符号を用いて表すと、
A=4μm
B=4μm
W=8μm
Lt=1200μm
R=50mm
(以上の寸法は、図1、12、11の3タイプに共通)
であり、第1テーパ導波路11,111の末端幅(Wt)および直線部16の長さLsについては、
図1のタイプ(実施例)…Wt=26μm、Ls=0μm
図12のタイプ(実施例)…Wt=26μm、Ls=250μm
図11のタイプ(比較例)…Wt=20μm、Ls=0μm
と異ならせている。また、いずれにおいても、コアとクラッドの比屈折率差は0.3%、導波路の厚さは8μmとした。
【0132】
上記の導波路型光分岐素子にシングルモードファイバを通じて波長1.55μmのレーザダイオード光を入出力して、分岐過剰損を測定した。分岐過剰損は、光分岐素子全体の損失から1×2分岐構造の本質的な損失3dB、入出力ファイバとの結合損、導波路の伝送損失を差し引いた値で定義される。
【0133】
各タイプの素子について各10個づつのサンプルを用意し、測定値の平均を求めた。この結果、平均分岐過剰損は、
図1のタイプ(実施例)…0.36dB
図12のタイプ(実施例)…0.32dB
図11のタイプ(比較例)…0.55dB
であった。測定誤差は±0.05dBである。したがって、測定誤差を考慮しても、本実施例に係る素子と比較例に係る素子との間には有効な差が認めらる。第1テーパ導波路11,111の末端幅拡大により光分岐の際の損失が低減されることが実際に確認された。
【0134】
(第2実験)本願発明者らは、図6、図20に示した1x8構造を有する導波路型光分岐素子を製造した。また、図11の分岐導波路を用いて1x8構造を有する分岐導波路(第2比較例に係る素子)を製造した。第2比較例に係る素子は、図6および図20に示した分岐導波路とその特性を比較するために作製した。本願発明者らは、それぞれの素子について分岐過剰損の測定を行った。この1×8素子は、実施例の1×2素子における分岐側導波路20,21(120,121)の末端を、実施例の別の1×2素子の第1テーパ導波路11(111)に連続させてなる素子である。この素子は、光伝搬方向に沿って実施例の1×2素子を複数組み合わせたものである。
【0135】
作製された素子は、図1の1×2素子を3段組み合わせた1×8素子、図12の素子を3段組み合わせた1×8素子である。また、比較例に係る図11の素子を3段組み合わせた1×8素子も併せて作製した。
【0136】
導波光波長が1.55μmの場合の平均分岐過剰損を、1×8素子の8個の出力ポートの出力平均を測定して求めた。この測定の結果、図6に示した1×8素子の平均分岐過剰損は1.02dB、図20に示した1×8素子の平均分岐過剰損は0.89dBであった。図11の素子を用いた1x8素子(第2比較例の素子)の平均分岐過剰損は1.53dBであった。図6および図20に示した素子の平均分岐過剰損は、図11に示した素子の平均分岐過剰損よりも低い。したがって、図6に示した分岐導波路は、第2比較例の素子よりも優れていることが実験的にも判明した。図20に示した素子は、図6に示した素子よりもさらに優れていることが実験的にも判明した。改善された素子の平均分岐過剰損の低下量は、測定誤差の値よりもはるかに大きい。これは、図1,図12の1×2素子を3段組み合わせたことにより、直線部116を付加した効果が累積的に現れたものである。したがって、図12の導波路型光分岐素子で、さらに効果的に光分岐における損失が低減されることが確認された。
【0137】
図19は、図20の1×8素子と第2比較例に係る1×8素子について、分岐過剰損の波長特性を測定した結果を示したグラフである。測定にあたっては、各素子に分光器から出射した光を入射させた。
【0138】
図19に示されるグラフによれば、広範囲にわたる導波光の波長領域において、図20の1×8素子の方が第2比較例の素子より低損失であることが確認できる。また、本実施例のタイプは比較例のタイプに比べ導波光波長の変化による損失の変動が小さい。したがって、本発明の導波路型光分岐素子は、広波長域にわたる光を掃引するような光測定システムなどにおいて好適な使用が可能な点でも優れている。
【0139】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、テーパ導波路の末端幅が拡大されているかぎり、導波路型光分岐素子の組成や、各部の形状、寸法等は、上記実施例のものに限定されない。また、導波路型光分岐素子の構造は、本実施例の埋込み型構造に限られず、リッジ型や装荷型といった他の構造であってもよい。また、2つの分岐側導波路は、上記実施例のように、非分岐側導波路の中央線に関して対称に配置されるものに限られず、非対称の光分岐素子であっても上記実施例と同様に損失低減の効果が得られるものと考えられる。
【0140】
以上、詳細に説明した通り、本発明の導波路型光分岐素子は、非分岐側導波路と分岐側導波路とを分離した分岐部構造を採用しているので、加工困難なくさび部を設けることなく導波光を分岐させることができる。このため、優れた加工安定性のもとに再現性よく作製でき、とくに、大規模光通信システムの構築にあたって、歩留りよく大量生産することが可能である。
【0141】
また、本発明の導波路型光分岐素子はこれに加えて、以下の効果を有する。すなわち、テーパ導波路の末端の幅が、2つの分岐側導波路の分岐部側の末端の各幅と、2つの分岐側導波路の分岐部における間隔との総和よりも大きいので、光分岐の前後における導波光の電界分布の重なりを大きくし、結合効率を向上させながら導波光を分岐させることができる。これにより、2つの分岐側導波路間からの導波光放射を大幅に減少させ、広い波長域にわたって光分岐における損失を低減しつつ導波光を分岐させることができる。
【0142】
また、本発明の導波路型光分岐素子のうち、テーパ導波路が、テーパ部と、テーパ部の先端に付加され、テーパ部の末端とほぼ同一幅の直線部とを有するものは、末広がりのテーパ部に直線部が付加されているので、テーパ部にて放射状に広がった波面を平面状に戻してから導波光を分岐側導波路に入射させ、非分岐側導波路の分岐部側の端面のうち、2つの分岐側導波路の分岐部側の末端の各幅と、2つの分岐側導波路の分岐部における間隔との総和よりも幅を大きくした部分からの導波光放射を抑えて、広い波長域にわたって光分岐における損失をさらに低減しつつ導波光を分岐させることができる。
【0143】
また、上記の導波路型光分岐素子を複数段組み合わせてなる導波路型光分岐素子では、上記の効果が累積されて、広い波長域にわたって光分岐における損失を格段に低減しつつ導波光を分岐して出力することができる。
【0144】
なお、第2コア部材120および第3コア部材121内を伝搬する光ビームを完全に分離するためには、図21に示すように、第2コア部材120と第3コア部材121との間に遮光部材140を配置する。
【0145】
次に、本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスについて説明する。
【0146】
本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスを図22ないし図24に示す。これは単一モード導波路312または320、321によって伝送される導波光を、多モードのテーパ導波路311を介して分岐、結合させる略Y字状の分岐結合素子(Y字状素子)である。
【0147】
本発明に係る導波路型光分岐結合素子の一つは、多モード導波路310と、2つの単一モード導波路320,321とを備えている。単一モード導波路320,321は、多モード導波路310側の端部320c,321cが互いに近接している。端面320c,321cは、多モード導波路310の一方の端面311cと所定の間隔(B)をあけて対向している。
【0148】
2つの単一モード導波路320,321のうち少なくとも1つの導波路は、基端部側から多モード導波路311側に向かって徐々にその幅が縮小されている。
【0149】
ここで、多モード導波路310は、所定幅の単一モード導波路312と端部に接続されたテーパ導波路311とからなる。このテーパ導波路311は、後述するように、所定幅の導波路に接続され平面形状がテーパ状のテーパ部と、テーパ部に接続されテーパ部の末端とほぼ同一幅の直線部とを有するものであってもよい。また、後述するように、多モード導波路側の端部が互いに近接し、多モード導波路の他方の端面と所定の間隔をあけて対向する2つの単一モード導波路をさらに備えてもよい。
【0150】
光ブランチングデバイスは、多モード導波路と、多モード導波路の一方の末端に接続され、多モード導波路側の端部が互いに近接する2つの単一モード導波路とを備え、2つの単一モード導波路のうち少なくとも1つが基端部側から多モード導波路側に向かって徐々に幅が縮小されることにより、2つの単一モード導波路の中心間の間隔が狭められたことを特徴としている。
【0151】
この導波路型光分岐結合素子は、多モード導波路の他方の末端に接続され、多モード導波路側の端部が互いに近接する2つの単一モード導波路をさらに備えてもよい。以上の導波路型光分岐結合素子は、単一モード導波路の多モード導波路側の末端幅が基端部の幅の1/2〜4/5になるように縮小されていてもよい。
【0152】
本発明に係る導波路型光分岐結合素子のうち、多モード導波路の一方の端面と2つの単一モード導波路の端面が対向するものは、多モード導波路と2つの単一モード導波路とが分離した分岐部構造を有するので、分岐部に加工困難な間隙部を設けることなく導波光の分岐、結合が可能である。このため、分岐部の加工が容易で優れた加工安定性を有する。
【0153】
さらに、2つの単一モード導波路の幅が基端部側から多モード導波路側に向かって徐々に縮小されているので、2つの単一モード導波路の中心間の間隔が狭められる。これにより、単一モード導波路の末端における電界分布の2つのピークが接近し、分岐部での電磁界分布の結合効率が高まる。したがって、分岐部での損失を低減しつつ導波光を分岐、結合させて出力することができる。
【0154】
また、上記の導波路型光分岐素子のうち、多モード導波路がテーパ部と直線部とを有するテーパ導波路であるものは、上記の作用に加えて特に以下の作用を有する。すなわち、導波光が多モード導波路から単一モード導波路へ向かって伝送される場合、導波光は、テーパ部にて放射状に広がった波面が直線部にて平面状に戻されてから単一モード導波路に入射する。これにより、多モード導波路の端面のうち、単一モード導波路の末端幅縮小により、対向する導波路端面が存在しなくなった部分にて生じる導波光の放射を抑えながら導波光を分岐して出力することができる。
【0155】
また、本発明に係る導波路型光分岐素子のうち、多モード導波路の一方の末端に2つの単一モード導波路が接続されているものは、2つの単一モード導波路の幅が基端部側から多モード導波路側に向かって徐々に縮小されているので、2つの単一モード導波路の中心間の間隔が狭められる。これにより、2つの単一モード導波路の末端における電界分布の2つのピークが接近し、分岐部での電磁界分布の結合効率が高まって、分岐部での損失を低減しつつ導波光を分岐、結合させて出力することができる。
【0156】
図22のように、例えばシリコンからなる基板301の上面に、例えばSiOからなる透明材料層が形成されている。この透明材料層は高屈折率のコア、すなわち単一モード導波路312、多モードのテーパ導波路311および分岐側の単一モード導波路(以下、分岐側導波路と呼ぶ。)320,321と、このコアが埋め込まれた低屈折率のクラッド302とからなる。なお、導波路311,312,320および321は、いずれもこれらの部材内を光が伝搬する方向に沿って形成されている。
【0157】
テーパ導波路311は単一モード導波路312に接続されている。また、分岐側導波路320,321の端面320c,321cはともに、テーパ導波路311の端面と所定の間隔をあけて対向している。
【0158】
単一モード導波路312の、基板の表面方向に沿った平面形状は直線であり、テーパ導波路311の平面形状は、単一モード導波路312側から分岐部側に向かって末広がりのテーパ形状である。また、分岐側導波路320,321は、基端部320d,321d側からテーパ導波路312に向かって徐々に幅が縮小されている。
【0159】
図24を用いて、図22および図23A−23Eに示される光ブランチングデバイスの構造をより詳しく説明する。図24のように、テーパ導波路311は末端幅がWt、長さがLtであり、幅がW1の単一モード導波路312に接続されている。分岐側の単一モード導波路320,321の端面320c,321cは、テーパ導波路311の端面と所定の間隔Bをあけて対向している。また、分岐側導波路320、321は、分岐部側の端部が間隔Aをあけて互いに近接しており、テーパ導波路311の中央線に関して対称に、なおかつ、光の伝搬する方向に向かって徐々に互いの間隔が大きくなるように配置されている。優れた加工安定性と低損失性を同時に実現するためには、テーパ導波路311の端面と分岐側導波路320、321の端面との間隔Bは、2〜8μm程度であることが好ましい。
【0160】
分岐側導波路320、321は、一定幅の基端部320x,321xに、外縁の曲率半径がRでテーパ導波路311に向かって徐々に幅が縮小された単一モード導波路320y,321yが接続されたものである。ここで、基端部320x,321xは、共に、幅がW1で曲率半径がRの曲線形状の単一モード導波路である。また、分岐側導波路320、321の第1端面311c側の末端幅はW2である。なお、分岐側導波路320、321の幅は、基端部320x,321x側から導波路の光軸中心軸に沿って1mmテーパ導波路12側に向かうごとに3μm小さくなる。
【0161】
ここで、単一モード導波路の幅について述べると、単一モード条件の下で十分な電磁界の閉じ込め作用を実現し、スラブの導波路からの放射を抑えながら光を伝送するためには、導波路の正規化周波数Vが、
(3/8)π≦V≦(1/2)π…(1)
の条件を満たすように導波路の幅(W)を設定することが好ましい。なお、
V=(π・W/λ)・(N −N 1/2
ここで、W…導波路の幅
λ…導波光の波長
…コアの屈折率
…クラッドの屈折率
である。
【0162】
本実施例に係る図24の素子では、基端部320x,321xおよび単一モード導波路312の幅は、式(1)の条件をみたす様に設定される。基端部320x,321xおよび単一モード導波路312の幅の値は、それぞれW1である。しかし、テーパ導波路311と分岐側導波路320、321とが分離した分岐部構造を有する点、および分岐側導波路320、321の末端幅(=W2)が基端部320x,321xおよび単一モード導波路312の幅(=W1)より縮小されている点で図11の素子と異なっている。
【0163】
本実施例の素子について、さらに詳しく説明する。
【0164】
第2コア部材320および第3コア部材321は、第1端面311cに近づくにしたがって、細くなっている。
【0165】
図22は、この光ブランチングデバイスを示す斜視図である。図23Aは、このデバイスを図の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Bは、図23Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Cは、図23Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Dは、図23Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Eは、図23Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Fは、図23Aに示したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Gは、図23Aに示したデバイスを図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図24は、図23Aに示した光ブランチングデバイスを示す図である。
【0166】
本実施例の導波路型光分岐素子(光ブランチングデバイス)は、シリコン基板301と、保持基板301上に形成されたクラッド部材302と、第1コア部材(第1テーパ導波路)310と、第2コア部材(第2導波路)320と、第3コア部材(第3導波路)321とを備える。
【0167】
第1コア部材310は、クラッド部材302内に埋設されている。第2コア部材320は、クラッド部材302内に埋設されている。第2コア部材320は、第1コア部材310の第1端面311cに第1の間隔をあけて対向する第2の端面320cを有している。第3コア部材321も、クラッド部材302内に埋設されている。第3コア部材321は、第1コア部材10の第1端面311cに第2の間隔を開けて対向する第3端面321cを有している。
【0168】
クラッド部材302(クラッド302,クラッド層302)は、第1表面302aを有している。第1表面302aは、基板301の主表面301aに平行である。この第1表面302aに垂直な方向と光の伝搬する方向の双方に垂直な方向を幅方向とする。また、第1表面302aに垂直な方向を厚み方向とする。第1コア部材310は、一定の幅および厚みを有する光伝送路312、一定の厚みを有し、光伝送路312に連続してこの光伝送路312から離れるほど広い幅を有するテーパー型のコア部分311とを有している。光伝送路312の幅312は、図23Aの面312aと面312bとの間の距離により規定される。
【0169】
第1コア部材310は、第1表面302aに対して垂直な第1面(図23Aの矢印B−Bを通る平面)と交差することにより規定される第1垂直断面312dを有している。第1コア部材310は、第1表面302aに対して垂直な第2面(図23Aの矢印C−Cを通る平面)であって第1端面311cと第1面(B−B面)との間に位置する第2面(C−C面)と交差することにより規定される第2垂直断面312eを有している。第1コア部材310は、第1表面2aに対して平行な第3面(図22の矢印H−Hを通る平面)と交差することにより規定される第1水平断面(図23Aの符号310aで示される)を有している。
【0170】
第2コア部材320は、第1表面302aに対して垂直な第4面(図23Aの矢印E−Eを通る平面)と交差することにより規定される第3垂直断面320eを有している。第2コア部材320は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第2水平断面(図23Aの符号320fで示される)を有している。
【0171】
第3コア部材321は、第4面(E−E面)と交差することにより規定される第4垂直断面321eを有している。第3コア部材321は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第3水平断面321fを有している。
【0172】
換言すれば、図22ないし図24に示された分岐導波路は、基板1、第1テーパ導波路310、第2導波路320および第3導波路321を有している。
【0173】
第2コア部材320は、第1コア部材310に近づくにしたがって細くなっている。第3コア部材321も、第1コア部材310に近づくにしたがって細くなっている。さらに、第2コア部材320と第3コア部材321との間の間隔は、第1コア部材310に近づくにしたがって狭くなっている。この光ブランチングデバイスにおいて、第1コア部材310は、第1のマルチモード導波路310であり、第2コア部材320は、第2のシングルモード導波路320であり、第3コア部材321は、第3のシングルモード導波路321ある。第1コア部材310はテーパ導波路311を含む。
【0174】
第2コア部材320と第3コア部材321は、共に先細りの形状を有しているので、第2コア部材320と第3コア部材321との間のスペースを一定とした場合において、第2端面320cにおける第2コア部材320の光軸と、第3端面321cにおける第3コア部材321の光軸との距離を近接させることができる。
【0175】
したがって、第2コア部材320の第2端面320cにおいて、この第2コア部材320内を伝達する光は,コア320の径方向に電界分布を有する。電界分布のピーク位置(第1ピーク位置)は、第2コア部材320の光軸のある位置である。第3コア部材321の第3端面321cにおいて、この第3コア部材321c内を伝達する光は,コア321の径方向に電界分布を有する。電界分布のピーク位置(第2ピーク位置)は、第3コア部材321の光軸のある位置である。第1ピークと第2ピークとを近接させれば、第1コア部材310と第2コア部材320との間を伝搬する光の結合効率および第1コア部材310と第3コア部材321との間を伝搬する光の結合効率は高めることができる。したがって、本発明によれば、分岐部での損失を低減しつつ導波光を分岐、結合させて出力することができる。
【0176】
第2コア部材320は、第2端面320c、第3垂直断面320eおよび第2水平断面320fを有している。第2端面320cは、第1コア部材(第1テーパ導波路)310の第1端面311cに対して対向している。
【0177】
第3垂直断面320eは、第1表面302aに対して垂直な第4面(E−E面)と交差することにより規定される。第2水平断面320fは、第3面(H−H面)と交差することにより規定される。ここで、第2コア部材320は、先細りの形状であるので、第2端面320cの面積は、第3垂直断面320eの面積よりも小さい。また、第2コア部材320は、第4面と平行な面(G−G面)と交差することによって規定される断面320hを有している。第3垂直断面320eは、界面320cと断面320hとの間に配置される。断面320hの面積は、第3垂直断面320eの面積よりも大きい。
【0178】
第3コア部材321は、クラッド部材302内に埋設されている。第3コア部材321は、第3端面321c、第4垂直断面321e、第3水平断面321fを有している。第3端面)321cは、第1コア部材310の第1端面311cに対して対向している。第4垂直断面321eは、この第3コア部材321が、第4面(E−E面)と交差することにより規定される。第3水平断面321fは、第3コア部材321が、第3面(H−H面)と交差することにより規定される。第3コア部材321は、先細りの形状を有しているので、第3端面321cの面積は、第4垂直断面321eの面積よりも小さい。また、第3コア部材321は、第4面(E−E面)と平行な面(G−G面)と交差することによって規定される断面321hを有している。第4垂直断面321eは、界面321cと断面321hとの間に配置される。断面321hの面積は、第4垂直断面321eの面積よりも大きい。
【0179】
基板301は、基板表面301aを有している。第1テーパ導波路310は、基板表面301a上に形成されており、第1端面311cを有している。第2導波路320は、基板表面301a上に形成されている。第2導波路320は、第1端面311cとの界面320c、基板表面301aと交差する面を含む第1側面320a、第1側面320aに対向する第2側面320bを有している。
【0180】
第3導波路321は、基板表面301a上に形成されている。第1端面311cとの界面321c、基板表面301aと交差する面を含む第3側面321a、第3側面321aに対向する第4側面321bを有している。第4側面321bは、第1側面320aと第3側面321aとの間に配置されている。第1側面320aは、第2側面320bと第4側面321bとの間に配置されている。
【0181】
第1端面311cの幅は、基板表面301aの法線方向(厚み方向)および第1端面311cの法線方向(光軸方向)の双方に垂直な方向(幅方向)に沿った第1端面311cの長さである。第1端面311cの幅(Wt)は、第2側面320aと第3側面321bとの間の距離よりも大きい。すなわち、側面320a、320b、321a、321bと第1端面311cとの交線をそれぞれ、交線320i、320j、321j、321iとし、第1端面311cと端面311bとの間の交線を311iとし、第1端面311cと端面311aとの交線を311jとすれば、第1端面311cの幅はWtは、交線311iと交線311jとの間の距離で規定される。また、第2端面320cの幅(W2)は、交線320iと320jとの間の距離によって規定され、第3端面321cの幅(W2)は、交線321iと321jとの間の距離によって規定される。第3端面321cと第2端面320cとの間の距離(A)は、交線320jと321jとの間の距離によって規定される。つまり、交線311iと交線311jとの間の距離(Wt)は、交線320iと321iとの間の距離(W2+W2+A)よりも大きい。
【0182】
第1コア部材310は、界面312cを介して第1コア部材310に入力された光が、第1垂直断面312dおよび第3垂直断面312eを横切って第1水平断面310aに沿った方向に伝搬して第1端面311cから出力されるように配置されている。
【0183】
第2コア部材は、第1端面311cから出力された光が、第2界面320cを通って第2コア部材320に入力され、第3垂直断面320eを横切って第2水平断面320fに沿った方向に伝搬して第2コア部材320の端面320dを通って出力されるように配置されている。
【0184】
第3コア部材321は、第1端面311cから出力された光が、第3端面321cを通って第3コア部材311に入力され、第4垂直断面321eを横切って第3水平断面321fに沿った方向に伝搬して第3コア部材321から出力されるように配置されている。
【0185】
ここで、第1端面311cの面積は、第1垂直断面312dの面積よりも大きい。すなわち、第1コア部材310は、第2および第3コア部材方向320,321に向かって広がったテーパー形状の部分311を有している。テーパー形状の部分311は、第1コア部材310の光軸OP310(中心線)に対して所定の角度を有する面311aおよび311bを有している。換言すれば、テーパー形状の部分(テーパ導波路)311の第1表面302aに垂直な2つの表面と、第3表面(H−H面)との交線311a,311bは、第3表面の第1コア部材310の光軸OP310(中心線)に対して所定の角度を有している。第1コア部材310がテーパー部分311を含んでいることにより、第1コア部材310の端面(第4端面)312cに入力された光信号のエネルギー(パワー)密度は、この光が第1垂直断面312dを通過して第1端面311cに向かうにしたがって減少する。
【0186】
第1コア部材310の端面311cから出力された光は、界面320cから第2コア部材320に入力され、第3端面321cから第3コア部材321に入力される。
【0187】
光ブランチングデバイスの第1端面311cは、第1端面311cを通過する光の進行方向に対して垂直である。したがって、第2端面320cは、この第2端面320cに入射される光の進行方向に対して垂直である。第3端面321cは、この第3端面321cに入射される光の進行方向に対して垂直である。したがって、第1端面311cは、第2端面320cに対して対向しており、第1端面311cは第2端面320cに平行である。第1端面311cは、第3端面321cに対して対向しており、第1端面311cは第3端面321cに平行である。
【0188】
第2コア部材320は、第1表面302aに対して垂直な面320aおよび320bを有している。面320aおよび面320bは、第2コア部材320内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。また、面320aと面320bとは互いに対向しており、面320aおよび面320bは平行である。したがって、面320aと面320bは、第1表面302aと第2端面320cの双方に垂直である。
【0189】
同様に、第3コア部材321は、第1表面302aに対して垂直な面321aおよび321bを有している。面321aおよび面321bは、第3コア部材321内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。また、面321aと面321bとは互いに対向しており、面321aおよび面321bは平行である。したがって、面321aと面321bは、第1表面302aと第3端面321cの双方に垂直である。
【0190】
第2導波路320は、一定の幅を有する一定幅導波路320xと、一定幅導波路320xに連続した傾斜幅導波路320yとを有している。傾斜幅導波路320yは、第1端面311cに近づくにしたがって、その幅が細くなっており、傾斜幅導波路320yの幅は、一定幅導波路320xの幅の1/2ないし4/5である。
【0191】
第3導波路321は、一定の幅を有する一定幅導波路321xと、一定幅導波路321xに連続した傾斜幅導波路321yとを有している。傾斜幅導波路321yは、第1端面311cに近づくにしたがって、その幅が細くなっており、傾斜幅導波路321yの幅は、一定幅導波路321xの幅の1/2ないし4/5である。
【0192】
第2コア部材320と第3コア部材321との間隔は、第1コア部材310から離れるにしたがって広くなる。すなわち、第2コア部材320は、第3コア部材321から離れる方向に曲った曲面330aおよび330bを有している。曲面330aは、平面320aに連続しており、曲面330bは、平面320bに連続している。曲面330aの曲率半径はRであり、曲面330bの曲率半径もほぼRである。第3コア部材321は、第2コア部材320から離れる方向に曲った曲面331aおよび331bを有している。曲面331aは、平面321aに連続しており、曲面331bは、平面321bに連続している。曲面330aの曲率半径はRであり、曲面330bの曲率半径もほぼRである。第2コア部材320および第3コア部材321は、S字形導波路である。
【0193】
第2端面320cから第2コア部材320に入力された光は、第2コア部材320の端面320dから出力される。第3端面321cから第3コア部材321に入力された光は、第3コア部材321の端面321dから出力される。ここで、第2コア部材320の入力端面320cから出力端面320dまでの光路長は、第3コア部材321の入力端面321cから出力端面321dまでの光路長に等しい。
【0194】
したがって、第1コア部材310からこれらのコア部材320,321に入力された光がコア部材320,321から出力される場合において、コア部材320,321によって分岐されたそれぞれの光ビームの出力端面320d,321dにおける位相は揃っている。それぞれの端面320d,321dから出力された光ビームの位相は、お互いに揃っているので、これらの出力光を再び合成する場合などにおいても、それぞれのビームの位相は容易に整合する。
【0195】
図25は、図23Aに示した光ブランチングデバイスの第2コア部材320および第3コア部材321の端面320d,321dを改良したデバイスである。図23Aに示した光ブランチングデバイスの端面320d,321dは、露出している。露出した端面320dの法線方向は、第3コア部材321の内を伝搬する光の進行方向(光軸方向)に対して所定の角度を有している。また、露出した端面321dの法線方向は、第3コア部材321内を伝搬する光の進行方向に対して所定の角度を有している。前述のように、本願発明者らは、これまでの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結合効率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝搬する方向(光軸)に対して垂直にすることが有効であることに気付いた。
【0196】
そこで、本実施例の光ブランチングデバイスは、図25に示すように、第2コア部材320の出力端面320dが、第2コア部材320の光軸OP302(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第2コア部材320を配置する。第2コア部材320の端面320dに対向する位置にレンズL302を介して光ファイバF302を配置する。また、第3コア部材321の出力端面321dが、第3コア部材321の光軸OP303(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第3コア部材321を配置する。第3コア部材321の端面321dに対向する位置にレンズL303を介して光ファイバF303を配置する。また、第1コア部材310の入力端面312cが、第1コア部材310の光軸OP301(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第1コア部材310を配置する。第1コア部材310の端面312cに対向する位置にレンズL301を介して光ファイバF301を配置する。
【0197】
図26は、図25に示した光ブランチングデバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR301,BR302,BR303を接続した1x4構造を有する光ブランチングデバイスである。この光ブランチングデバイスは、第1の光ブランチングデバイスBR301と、第1の光ブランチングデバイスBR301の出力端面320dに、第2の光ブランチングデバイスBR302の入力端面312cが接続された第2の光ブランチングデバイスBR302と、第1の光ブランチングデバイスBR1の出力端面321dに、第3の光ブランチングデバイスBR303の入力端面312cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR303とを備える。したがって、S字型導波路の一端部分は、テーパ導波路を構成している。
【0198】
端面P301から第1の光ブランチングデバイスBR301に入力された光信号(図の実線矢印で示す)は、この光ブランチングデバイスによって、分離されて、第2の光ブランチングデバイスBR302の端面P302,P303、および第3の光ブランチングデバイスBR3の端面P304,P305から出力される。一方、端面P302〜P305から入力されたそれぞれの光信号(図の一点鎖線矢印で示す)は、この光ブランチングデバイスによって、合成されて、端面P301から出力される。
【0199】
図27は、図25に示した光ブランチングデバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR301,BR302,BR303,BR304,BR305,BR306,BR307を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイスである。この光ブランチングデバイスは、入力端面(入力ポート)を有する第1の光ブランチングデバイスBR301と、第1の光ブランチングデバイスBR301の出力端面320dに、第2の光ブランチングデバイスBR302の入力端面312cが接続された第2の光ブランチングデバイスBR302と、第1の光ブランチングデバイスBR301の出力端面321dに、第3の光ブランチングデバイスBR303の入力端面312cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR303とを有している。
【0200】
さらに、この光ブランチングデバイスは、第2の光ブランチングデバイスB30R2の出力端面320dに、第4の光ブランチングデバイスBR304の入力端面312cが接続された第4の光ブランチングデバイスBR304と、第2の光ブランチングデバイスBR302の出力端面321dに、第5のブランチングデバイスBR305の入力端面312cが接続された第5の光ブランチングデバイスBR305と、第3の光ブランチングデバイスBR303の出力端面320dに、第6の光ブランチングデバイスBR6の入力端面312cが接続された第6の光ブランチングデバイスBR306と、第3の光ブランチングデバイスBR303の出力端面321dに、第7の光ブランチングデバイスBR307の入力端面312cが接続された第7の光ブランチングデバイスBR307とを備える。
【0201】
したがって、この光ブランチングデバイスは、このデバイスに入力された1つの光ビームを8つのビームに分岐することができ、このデバイスに入力された8つのビームを1つのビームに合成することができる。なお、これらの光ブランチングデバイスBR301,BR302,BR303,BR304,BR305,BR306,BR307は同一基板301上に形成されている。
【0202】
本実施例のY字状素子は、テーパ導波路311と分岐側導波路320,321とが分離した分岐部構造を有している点で、図9のY字状素子と異なる。したがって、図9における鋭角形状の間隙部80が不要となって分岐部の加工が容易になる。この結果、本実施例の光ブランチングデバイスは、大規模通信システムの構築の際などに歩留まりよく大量生産することができる。
【0203】
図11の素子の分岐側導波路20,21は一定幅(W)であるのに対し、本実施例の素子は、その末端幅が基端部320x,321xの幅より縮小された分岐側導波路320,321を備えている。
【0204】
したがって、本実施例の素子では、分岐部において、分岐側導波路320,321の末端320c,321cでの電界分布が多モード導波路311の末端311cでの電界分布により合致する。
【0205】
詳しく説明すると、本実施例の光分岐結合素子における分岐部のような導波路の形状が急激に変化する箇所では、多モード導波路311の末端311cおよび320,321の末端320c,321cにおける導波光の電磁界分布の結合効率が大きいほど、導波光の分岐、結合の際の損失は低減される。
【0206】
28B、図22なし図24した光ブランチングデバイスの第1コア部材310,第2コア部材320,第3コア部材321を図22ないし図24から抜出して示す図である。図28Bには、座標軸が示してある。図28Aは、図28Bに示した第1コア部材310の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の電界分布、および、第2および第3コア部材320,321の末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布を示すグラフである。図28Aにおいて、座標Y1における導波光の電界分布は、実線で示し、座標Y2における導波光の電界分布は、点線で示す。図28Aに示された座標X1,X2は、図28Bの位置座標X1,X2にそれぞれ対応している。導波光とは、本光ブランチングデバイスのコア部材310,320,321内を伝搬する光である。ここで、第2および第3コア部材320,321の末端320c,321cの幅は、それぞれ、図11に示した第2コア部材20,21の末端20c,21cの幅の半分である。
【0207】
図28A内の各電界分布は、各導波モードが運ぶ光パワーが1になるように正規化(nomalization for power)して示してある。なお、ここでは、非分岐側導波路310および分岐側導波路320,321のいずれにおいても最低次モードのみが励振されると仮定している。光分岐後の電界分布は、分岐側導波路320、321における各電界分布を合成して得られる。
【0208】
一方、図11に示した比較例の光ブランチングデバイスの電界分布は、図10Aに示される。
【0209】
図28Aから、第1端面311cに近づくにしたがって細くなった第2コア部材320、第1端面311cに近づくにしたがって細くなった第3コア部材321を用いることにより、第2コア部材320および第3コア部材321の末端320c,321cにおける電界分布と、テーパ導波路311の末端311cにおける電界分布を図11に示した光ブランチングデバイスのそれらよりも多く重ねることができる。すなわち、光分岐前後の電界の重なり部分の面積が大きくなる。したがって、光分岐前後の電磁界分布の重畳積分(overlap integral) で与えられる結合効率が向上する。このため、分岐側導波路320と321の間からの導波光放射が抑えられ、比較例の導波路型光分岐素子に比べて光分岐の際の損失が低くなる。
【0210】
図28Aから明らかなように、分岐側導波路320、321の末端320c,321cの幅を基端320x,321xの幅よりも縮小することによって、分岐側導波路320、321の中心間(光軸間)の間隔が狭まるので、分岐導波路320、321側の電界分布(点線)の2つのピーク(PE1,PE2)が接近し、多モード導波路311側の電界分布に非常によく合致する。
【0211】
図28Aに示した多モード導波路311の電界分布のピーク位置PEと、第1のピークPE1との間の距離は、1マイクロメータ以上、2マイクロメータ以下であることが望ましい。
【0212】
図28Aに示した多モード導波路311の電界分布のピーク位置PEと、第2のピークPE2との間の距離は、1マイクロメータ以上、2マイクロメータ以下であることが望ましい。
【0213】
これにより、電界の重なる面積が大きくなり、分岐導波路320、321側および多モード導波路311側の電磁界分布の重畳積分で与えられる結合効率が向上する。その結果、導波光を分岐、結合して出力するにあたり、分岐部での結合損失を低減することが可能である。
【0214】
換言すれば、第2コア部材320の第2端面320cにおいて、この第2コア部材320内を伝達する光は,コア320の径方向に電界分布を有する。電界分布のピーク位置(第1ピーク位置)は、第2コア部材320の光軸OP320のある位置である。第3コア部材321の第3端面321cにおいて、この第3コア部材321c内を伝達する光は,コア321の径方向に電界分布を有する。電界分布のピーク位置(第2ピーク位置)は、第3コア部材321の光軸OP321のある位置である。第1ピークと第2ピークとを近接させれば、第1コア部材310と第2コア部材320との間を伝搬する光の結合効率および第1コア部材310と第3コア部材321との間を伝搬する光の結合効率は高めることができる。したがって、本発明によれば、分岐部での損失を低減しつつ導波光を分岐、結合させて出力することができる。
【0215】
ところが、間隔を狭め過ぎると加工安定性が低下し、歩留まりの悪化を招いてしまう。
【0216】
歩留まりの悪化を防ぎ、十分な加工安定性と低損失性をともに実現するには、第2導波路320と第3導波路321との間の間隔の値は2〜4μmであることが好ましい。
【0217】
これに対し、実施例のY字状素子は、分岐側導波路320,321の末端320c,321cの幅が基端部320x,321xの幅より縮小された構造を有している。したがって、分岐側導波路320と321の間隔を狭めることなく、導波路320、321の中心同士(素子のコアの中心同士)の間隔を狭まくすることができる。そして、第2導波路320と第3導波路321との間の間隔の値が2〜4μmであるので、その加工が容易である。
【0218】
本実施例の光ブランチングデバイスは、図11に示した光ブランチングデバイスよりも、導波光の分岐、結合の際の損失を低減することができる。
【0219】
次に、本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスについて説明する。
【0220】
図29は、本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスを示す斜視図である。図30Aは、このデバイスを図29の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Bは、図30Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Cは、図30Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Dは、図30Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Eは、図30Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Fは、図30Aに示したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Gは、図30Aに示したデバイスを図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図31は、図30Aに示したデバイスの断面図である。
【0221】
図29ないし図31に示されるように、このY字状素子では、末端幅がWtのテーパ部415に、幅がWtで長さがLsの直線部416が接続されている。このため、導波光がテーパ導波路411から分岐側導波路へ向かって伝送される場合、テーパ部415にて放射状に広がった波面を直線部416にて平面状に戻してから、導波光を分岐側導波路420,421に入射させることができる。
【0222】
これによって、テーパ導波路411の端面411cのうち、分岐側導波路420,421の末端幅縮小により対向する導波路端面が存在しなくなった部分(テーパ導波路412の端面のうち、分岐側導波路420,421の末端幅と分岐側導波路420,421の間隔との総和よりも幅が大きくなった部分)にて生じる導波光の放射(反射、回折)を抑え、光分岐の際の損失をさらに低減することができる。
【0223】
この導波路型光分岐素子は、テーパ導波路(第1テーパ導波路)411の末端411cに、このテーパ部416の末端311cとほぼ同一幅の直線部416が付加された構造を有している。
【0224】
このため、テーパ部415にて放射状に広がった波面を直線部416にて平面状に戻してから、導波光を分岐側導波路420,141に入射させることができる。
【0225】
この波面が進行する様子を、図37に示す。これにより、テーパ導波路411の分岐部側の端面のうち、末端幅を拡大するために設けられた部分(分岐側導波路420、421の末端幅と、分岐側導波路420、421の間隔との総和よりも幅を大きくした部分)にて生じる導波光の放射(反射、回折)を抑え、分岐部での放射損失(radiation loss) をさらに低減することができる。
【0226】
入力手段IMは、光源IM1と、光源IM1から出射された光IM4が入力される光ファイバIM2と、光ファイバIM2から出力された光IM5が入力されるレンズIM3とを有している。レンズIM3から出力された光IM6は、第1コア部材110の第4端面412dに入力される。この光IM6は、第1コア部材410を通って、第1端面411cから出力される。第1端面411cから出力された光IM7は、第2コア部材420に入力される。第1端面411cから出力された光IM8は。第コア部材430に入力される。第2コア部材420から出力された光IM9は、光検出器OM1に入力される。第3コア部材421から出力された光IM10は、光検出器OM2に入力される。
【0227】
本実施例の光ブランチングデバイスについてさらに詳しく説明する。
【0228】
図29ないし図31に示すように、本実施例の光ブランチングデバイスは、シリコン基板401と、保持基板401上に形成されたクラッド部材402と、第1コア部材410と、第2コア部材420と、第3コア部材421とを備える。
【0229】
第1コア部材410は、クラッド部材402内に埋設されている。第2コア部材420は、クラッド部材402内に埋設されている。第2コア部材420は、第1コア部材410の第1端面411cに対して第1の間隔Bを隔てて対向する第2端面420cを有している。第3コア部材421も、クラッド部材402内に埋設されている。第3コア部材421は、第1コア部材410の第1端面411cに対して第2の間隔Bを隔てて対向する第3端面421cを有している。ここで、第1の間隔Bと第2の間隔Bとは等しくしてある。
【0230】
クラッド部材402(クラッド402,クラッド層402)は、第1表面402aを有している。第1表面402aは、基板401の主表面401aに平行である。主表面401aは、クラッド部材402と基板401との界面で規定される。この第1表面402aに垂直な方向と光の伝搬する方向の双方に垂直な方向を幅方向とする。また、第1表面402aに垂直な方向を厚み方向とする。第1コア部材410は、一定の幅および厚みを有する光伝送路412、一定の厚みを有し、光伝送路412に連続してこの光伝送路412から離れるほど広い幅を有するテーパー型の第1コア部分415と、一定の厚みおよび幅を有し、コア部分415に連続した第2コア部分416とを有する。
【0231】
光伝送路412の幅412は、図30Aの面412aと面412bとの間の距離により規定される。
【0232】
第1コア部材410は、第1表面402aに対して垂直な面(図30Aの矢印B−Bを通る平面)と交差することにより規定される第5垂直断面412dを有している。
【0233】
第1コア部材410は、第1表面402aに対して垂直な第1面(図30Aの矢印C−Cを通る平面)と交差することにより規定される第1垂直断面412eを有している。
【0234】
第1コア部材410は、第1表面402aに対して垂直な第2面(図30Aの矢印G−Gを通る平面)であって第1端面411cと第1面(B−B面)との間に位置する第2面(G−G面)と交差することにより規定される第2垂直断面416cを有している。
【0235】
第1コア部材410は、第1表面2aに対して平行な第3面(図29の矢印H−Hを通る平面)と交差することにより規定される第1水平断面(図30Aの符号410aで示される)を有している。
【0236】
第2コア部材420は、第1表面402aに対して垂直な第4面(図30Aの矢印E−Eを通る平面)と交差することにより規定される第3垂直断面420eを有している。第2コア部材420は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第2水平断面(図30Aの符号420fで示される)を有している。第3コア部材421は、第4面(E−E面)と交差することにより規定される第4垂直断面421eを有している。第3コア部材421は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第3水平断面421fを有している。
【0237】
第1コア部材410は、端面412cを介して第1コア部材410に入力された光が、第1垂直断面412eおよび第2垂直断面416cを横切って第1水平断面410aに沿った方向に伝搬して第1端面411cから出力されるように配置されている。
【0238】
なお、断面は、第1端面411cに平行であり、導波光の進行方向に垂直であるとする。
【0239】
第2コア部材420は、第1端面411cから出力された光が、第2端面420cを通って第2コア部材420に入力され、第3垂直断面420eを横切って第2水平断面420fに沿った方向に伝搬して第2コア部材420の端面420dを通って出力されるように配置されている。第3コア部材421は、第1端面から出力された光が、第3端面421cを通って第3コア部材421に入力され、第4垂直断面421eを横切って第3水平断面421fに沿った方向に伝搬して第3コア部材421から出力されるように配置されている。
【0240】
ここで、第1端面411cの面積は、第1垂直断面412eの面積よりも大きい。すなわち、第1コア部材410は、第2および第3コア部材420,421方向に向かって広がったテーパー形状の部分415を有している。テーパー形状の部分415は、第1コア部材410の光軸OP410(中心線)に対して所定の角度を有する面415aおよび415bを有している。換言すれば、部分415における第1表面402aに垂直な2つの表面415a,415bと、第3表面(H−H面)との交線415a,415bは、第3表面内において第1コア部材410の光軸OP410(中心線)に対して所定の角度を有している。
【0241】
換言すれば、この光ブランチングデバイスは、基板表面401aを有する基板401、第1テーパ導波路410、第2導波路420および第3導波路421を有している。
【0242】
1テーパ導波路410は、第4導波路416とこの第4導波路416に連続した第2テーパ導波路415を有している。第1テーパ導波路410は、基板表面401a上に形成されている。
【0243】
第4導波路416は、基板表面401aと交差する面を含む第1端面411c、基板表面401aと交差する面を含む第5側面416a、第5側面416aに平行な第6側面416bを有している。第1端面411cの幅(Wt)は、第2側面420bと第3側面421aとの間の距離よりも大きい。すなわち、側面420a、420b、421a、421bと第1端面411cとの交線をそれぞれ、交線420i、420j、421j、421iとし、第1端面411cと端面411bとの間の交線を411iとし、第1端面411cと端面411aとの交線を411jとすれば、第1端面411cの幅はWtは、交線411iと交線411jとの間の距離で規定される。また、第2端面420cの幅(W2)は、交線420iと420jとの間の距離によって規定され、第3端面421cの幅(W2)は、交線421iと421jとの間の距離によって規定される。第3端面421cと第2端面420cとの間の距離(A)は、交線420jと421jとの間の距離によって規定される。つまり、交線411iと交線411jとの間の距離(Wt)は、交線420iと421iとの間の距離(W2+W2+A)よりも大きい。
【0244】
第2テーパ導波路415は、第4導波路(真っ直ぐな導波路)416に連続している。第2テーパ導波路415は、第4導波路416に近付く方向に広がっている。第2導波路420は、基板表面401a上に形成されている。第2導波路420は、第1端面411cに対して所定の間隔をあけて対向する第2端面420cを有している。
【0245】
第3導波路421は、基板表面401a上に形成されている。第3導波路421は、第1端面411cに対して所定の間隔をあけて対向する第3端面421cを有している。第1コア部材がテーパー部分415を含んでいることにより、第1コア部材410の端面412cに入力された光信号のエネルギー(パワー)密度は、この光が第1垂直断面412dを通過して第1端面411cに向かうにしたがって減少する。
【0246】
第1コア部材410の端面411cから出力された光は、第2端面420cから第2コア部材420に入力され、第3端面421cから第3コア部材421に入力される。本願発明者らは、これまでの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結合効率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝搬する方向に対して垂直にすることが有効であることに気付いた。本実施例の光ブランチングデバイスの第1端面411cは、この第1端面411cを通過する光の進行方向に対して垂直である。また、第2端面420cは、この第2端面420cに入射される光の進行方向に対して垂直である。第3端面421cは、この第3端面421cに入射される光の進行方向に対して垂直である。
【0247】
したがって、第1端面411cは、第2端面420cに対して対向しており、第1端面411cは第2端面420cに平行である。第1端面411cは、第3端面421cに対して対向しており、第1端面411cは第3端面421cに平行である。
【0248】
光ブランチングデバイスにおける光の結合効率をさらに向上させるために、本実施例の光ブランチングデバイスでは、第2垂直断面416cの面積が、第1端面411cの面積と等しいこととした。換言すれば、第2垂直断面416cの幅は、第1端面411cの幅(Wt)とほぼ等しく、その違いは±3%以内である。
【0249】
すなわち、図30に示すように、第1コア部材410に入力された光は、第1垂直断面412eから第1端面411cに進行するにしたがって、光のパワー密度(エネルギー密度)が減少すると同時に、この光の波面WA1が第1水平断面410a内において扇型に変形する。この第2垂直断面416cの面積が、第1端面411cの面積と等しいこととすれば、この光が、第2垂直断面416cから第1端面411cへ伝搬する間にその波面が、第1端面411cに平行になる。
【0250】
したがって、第1端面411cから出力された光の指向性は高くなり、第2コア部材420および第3コア部材421に結合する光の結合効率は高くなる。
【0251】
また、第2端面420cおよび第3端面421cは、第1端面411cから出射される光の波面WA2に平行であるので、光の結合効率は高くなる。
【0252】
すなわち、第1コア部材410は、第1端面411cを有し、入力された光のエネルギー密度を低下させるとともに、光の波面WA1を第1端面411cに対して平行にして光を第1端面411cから出射する形状を有している。第2コア部材420は、第1端面411cに対して所定の間隔をあけて対向する第2端面420cを有しており、第3コア部材421cは、第1端面411cに対して所定の間隔(B)をあけて対向する第3端面421cを有している。
【0253】
この光は、一定の幅(コアサイズ)を有する光伝送路(コア)412内を通過する。光伝送路412cは、第1コア部材410の一部分であり、テーパー導波路部415に連続し、第1垂直断面412eの断面積の最小値と等しい断面積を有している。
【0254】
第2コア部材420は、第1表面402aに対して垂直な面420aおよび420bを有している。面420aおよび面420bは、第2コア部材420内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。また、面420aと面420bとは互いに対向しており、面420aおよび面420bは平行である。したがって、面420aと面420bは、第1表面402aと第2端面420cの双方に垂直である。
【0255】
同様に、第3コア部材421は、第1表面402aに対して垂直な面421aおよび421bを有している。面421aおよび面421bは、第3コア部材421内を伝搬する光の進行方向に対して平行である。また、面421aと面421bとは互いに対向しており、面421aおよび面421bは平行である。したがって、面421aと面421bは、第1表面402aと第3端面421cの双方に垂直である。
【0256】
第2部材420と第3部材421との間隔は、第1コア部材410から離れるにしたがって広くなる。すなわち、第2コア部材420は、第3コア部材421から離れる方向に曲った曲面430aおよび430bを有している。曲面430aは、平面420aに連続しており、曲面430bは、平面420bに連続している。曲面430aの曲率半径はRであり、曲面430bの曲率半径もほぼRである。第3コア部材421は、第2コア部材420から離れる方向に曲った曲面431aおよび431bを有している。曲面431aは、平面421aに連続しており、曲面431bは、平面421bに連続している。曲面430aの曲率半径はRであり、曲面431bの曲率半径もほぼRである。
【0257】
第2端面420cから第2コア部材420に入力された光は、第2コア部材420の端面420dから出力される。第3端面421cから第3コア部材421に入力された光は、第3コア部材421の端面421dから出力される。ここで、第2コア部材420の入力端面420cから出力端面420dまでの光路長は、第3コア部材421の入力端面421cから出力端面421dまでの光路長に等しい。したがって、第1コア部材410からこれらのコア部材420,421に入力された光がコア部材420,421から出力される場合において、コア部材420,421によって分岐されたそれぞれの光ビームの出力端面420d,421dにおける位相は揃っている。それぞれの端面420d,421dから出力された光ビームの位相は、お互いに揃っているので、これらの出力光を再び合成する場合などにおいても、それぞれのビームの位相は容易に整合する。
【0258】
図32は、図30Aに示した光ブランチングデバイスの第2コア部材420および第3コア部材421の端面420d,421dを改良したデバイスである。図30Aに示した光ブランチングデバイスの端面420d,421dは、露出している。露出した端面420dの法線方向は、第3コア部材421の内を伝搬する光の進行方向(光軸方向)に対して所定の角度を有している。また、露出した端面421dの法線方向は、第3コア部材421内を伝搬する光の進行方向に対して所定の角度を有している。すなわち、第2コア部材420および第3コア部材421は、S字形導波路(S−shaped waveguid) である。前述のように、本願発明者らは、これまでの研究から、2つの光部品間を伝搬する光の結合効率を増加されるためには、それぞれの光部品の対向する端面を光の伝搬する方向(光軸)に対して垂直にすることが有効であることに気付いた。そこで、本実施例の光ブランチングデバイスは、図32に示すように、第2コア部材420の出力端面420dが、第2コア部材420の光軸OP402(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第2コア部材420を配置する。第2コア部材420の端面420dに対向する位置にレンズL402を介して光ファイバF402を配置する。また、第3コア部材421の出力端面421dが、第3コア部材421の光軸OP403(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第3コア部材421を配置する。第3コア部材421の端面421dに対向する位置にレンズL402を介して光ファイバF403を配置する。また、第1コア部材410の入力端面412cが、第1コア部材410の光軸OP401(一点鎖線で示す)に対して垂直になるように第1コア部材410を配置する。第1コア部材410の端面412cに対向する位置にレンズL401を介して光ファイバF401を配置する。
【0259】
図33は、図32に示した光ブランチングデバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR401,BR402,BR403を接続した1x4構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。この光ブランチングデバイスは、第1の光ブランチングデバイスBR401と、第1の光ブランチングデバイスBR401の出力端面420dに、第2の光ブランチングデバイスBR402の入力端面412cが接続された第2の光ブランチングデバイスBR402と、第1の光ブランチングデバイスBR401の出力端面421dに、第3の光ブランチングデバイスBR403の入力端面412cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR403とを備える。端面P401から第1の光ブランチングデバイスBR401に入力された光信号(図の実線矢印で示す)は、この光ブランチングデバイスによって、分離されて、第2の光ブランチングデバイスBR402の端面P402,P403、および第3の光ブランチングデバイスBR403の端面P404,P405から出力される。一方、端面P402〜P405から入力されたそれぞれの光信号(図の一点鎖線矢印で示す)は、この光ブランチングデバイスによって、合成されて、端面P401から出力される。
【0260】
図35は、図32に示した光ブランチングデバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR401,BR402,BR403,BR404,BR405,BR406,BR407を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。この光ブランチングデバイスは、入力端面(入力ポート)を有する第1の光ブランチングデバイスBR401と、第1の光ブランチングデバイスBR401の出力端面420dに、第2の光ブランチングデバイスBR402の入力端面412cが接続された第2の光ブランチングデバイスBR402と、第1の光ブランチングデバイスBR401の出力端面421dに、第3の光ブランチングデバイスBR403の入力端面412cが接続された第3の光ブランチングデバイスBR403とを有している。さらに、この光ブランチングデバイスは、第2の光ブランチングデバイスBR2の出力端面420dに、第4の光ブランチングデバイスBR4の入力端面412cが接続された第4の光ブランチングデバイスBR404と、第2の光ブランチングデバイスBR402の出力端面421dに、第5のブランチングデバイスBR405の入力端面412cが接続された第5の光ブランチングデバイスBR405と、第3の光ブランチングデバイスBR403の出力端面420dに、第6の光ブランチングデバイスBR406の入力端面412cが接続された第6の光ブランチングデバイスBR406と、第3の光ブランチングデバイスBR3の出力端面421dに、第7の光ブランチングデバイスBR7の入力端面412cが接続された第7の光ブランチングデバイスBR407とを備える。
【0261】
したがって、この光ブランチングデバイスは、このデバイスに入力された1つの光ビームを8つのビームに分岐することができ、このデバイスに入力された8つのビームを1つのビームに合成することができる。なお、これらの光ブランチングデバイスBR401,BR402,BR403,BR404,BR405,BR406,BR407は同一基板401上に形成されている。
【0262】
図34は、図29ないし図31に示した本実施例のY字状素子について、直線部416の幅(=Wt)と分岐側導波路420,421の末端幅(=W2)をパラメーターとして、導波光の波長が1.55μmの場合の分岐過剰損を計算し、その結果を示したグラフである。分岐過剰損の計算はビーム伝搬法により行った。計算にあたっては、図31に示される各部の寸法を、A=4μm、B=4μm、W1=8μm、Lt=1200μm、R=50mmとし、コアとクラッドの比屈折率差を0.3%とした。また、末端幅の各数値ごとに直線部416の幅(=Wt)を1μm間隔で異ならせてデータを5個ずつ求めた。
【0263】
図34のグラフによれば、分岐側導波路420,421の末端幅(=W2)を小さくすると分岐過剰損の最小値を与える直線部416の幅(=Wt)が小さくなり、最小値自体も小さくなる傾向が認められる。
【0264】
ただし、末端幅を縮小し過ぎると、電界の閉じ込め作用が弱まって電界が広がり、放射損失が増加するうえ、加工性も低下する。本発明者らの知見によれば、末端幅縮小による効果が顕著で放射損失の増加を上回り、なおかつ十分な加工安定性を維持するためには、分岐側導波路420,421の末端420c,421cの幅は、基端部420x,421xの幅の1/2〜4/5であることが望ましい。ここで、導波光の波長は約1.3〜1.55μmを想定している。
【0265】
本発明者らは、実施例のY字状素子の効果を確認するために、図35に示されるような1×8構造を有する分岐結合素子を作製した。図35に示される素子は、図32のY字状素子を光伝搬方向に沿って3段組み合わせて作製した光学部品である。図35に示される光学部品について、その伝送特性を測定した。また、比較のために図11のY字状素子(比較例)を3段組み合わせた1×8素子も併せて作製し、伝送特性を測定した。
【0266】
1×8素子は、シリコン基板401上に火炎堆積法でSiOガラス層(クラッド)を形成し、次いで、ドーパントを含んだ高屈折率のSiOガラス層を堆積して、エッチングすることによりコアを形成し、さらに上部クラッドとしてのSiOガラス層を堆積して形成することにより作製された。
【0267】
1×8素子を構成するY字状素子の各部の寸法は、図31、図11における符号を用いて表すと、次の通りである。
【0268】
A=4μm
B=4μm
W1=8μm
Lt=1200μm
R=50mm
であり、分岐側導波路420、421の末端幅(=W2)、直線部416の末端幅Wtおよび直線部416の長さLsは、以下の通りである。
【0269】
図35の素子…W2=4μm、Wt=18μm、Ls=150μm。
【0270】
図11の素子(比較例)…W2=W1=8μm、Wt=20μm、Ls=0μm。
【0271】
いずれの素子においても、コアとクラッドの比屈折率差は0.3%、導波路の厚さは8μmとした。なお、図29ないし図35の素子において上記の寸法を採用した理由は、図34に示されたデータに基づく。この寸法を有する光ブランチングデバイスは、図34のグラフに表されるW2=4μmのデータの中で比較的低い分岐過剰損を示したからである。
【0272】
分岐過剰損(素子全体の損失から1×8分岐の本質的な損失9dB、入出力ファイバとの結合損、導波路の伝送損失を差し引いた値)の測定は、図35、11のY字状素子にシングルモードファイバを通じて波長1.55μmのレーザダイオード光を入出力することにより行われた。
【0273】
1×8素子の8個の出力ポートの出力平均を測定して平均分岐過剰損を求めたところ、図11のタイプの1×8素子(比較例)は1.53dBであるのに対し、図35の素子(図29の素子を含む)の1×8素子の平均分岐過剰損は、0.80dBであり、比較例の素子に比べ格段に優れた特性を示した。これは、分岐側導波路420、421の末端幅が縮小された構造を採用したことに基づく効果の現れである。
【0274】
図36は、図35の1×8素子(実施例)および図11の1×8素子(比較例)の分岐過剰損の波長特性を測定した結果を示したグラフである。なお、ここでの分岐過剰損とは、分岐一段当たりのもので、1×8素子全体の分岐過剰損を3等分したものである。
【0275】
図36によれば、測定波長全域にわたり図29の素子(実施例)のほうが低損失で、とくに、長波長領域での実施例の素子の損失は図11の素子(比較例)のそれの半分程度である。広範囲にわたる導波光の波長領域において、実施例の素子の方が比較例の素子より優れていることが確認できる。また、実施例の素子は比較例の素子に比べ導波光波長の変化による損失の変動が小さい。したがって、本発明の導波路型光分岐素子は、広波長域にわたる光を掃引するような光測定システムなどにおいて好適な使用が可能な点でも優れている。
【0276】
次に、本発明の1つの実施例に係る方向性結合器について説明する。
【0277】
図38はこの方向性結合器の斜視図である。図39は、図38のデバイスを図38の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図40Aは、図33に示したデバイスを図の矢印A−Aを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図40Bは、図39に示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【0278】
図40Cは、図39に示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図40Dは、図39に示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図40Eは、図39に示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【0279】
本実施例の方向性結合器は、シリコン基板601と、保持基板601上に形成されたクラッド部材602と、第1コア部材660と、第2コア部材(第2導波路)620と、第3コア部材(第3導波路)621とを備える。
【0280】
第1コア部材660は、クラッド部材602内に埋設されている。第2コア部材620は、クラッド部材602内に埋設されている。第2コア部材620は、第1コア部材660の第1端面611cに所定の間隔(B)をあけて対向する第2端面620cを有している。第3コア部材621も、クラッド部材2内に埋設されている。第3コア部材621は、第1コア部材660の第1端面611cに所定の間隔(B)をあけて対向した第3端面621cを有している。
【0281】
第1コア部材660は、第1端面611cに対向する第4端面611dを有している。
【0282】
第4コア部材640は、クラッド部材602内に埋設されている。第4コア部材640は、第1コア部材660の第4端面611dに対して所定の間隔(B)をあけて対向した第5端面640cを有している。
【0283】
第5コア部材641も、クラッド部材602内に埋設されている。第5コア部材641は、第1コア部材660の第4端面611dに対して所定の間隔(B)をあけて対向した第6端面621dを有している。
【0284】
クラッド部材602(クラッド602,クラッド層602)は、第1表面602aを有している。第1表面602aは、基板601の主表面601aに平行である。この第1表面602aに垂直な方向と光の伝搬する方向の双方に垂直な方向を幅方向とする。また、第1表面602aに垂直な方向を厚み方向とする。第1コア部材660は、一定の幅および厚みを有している。
【0285】
第1コア部材660は、第1表面602aに対して垂直な第1面(図39の矢印C−Cを通る平面)と交差することにより規定される第1垂直断面612dを有している。第1垂直断面612dの幅は一定である。
【0286】
第1コア部材660は、第1表面602aに対して平行な第3面(図38の矢印H−Hを通る平面)と交差することにより規定される第1水平断面(図39の符号660aで示される)を有している。
【0287】
第2コア部材620は、第1表面602aに対して垂直な第4面(図39の矢印E−Eを通る平面)と交差することにより規定される第3垂直断面620eを有している。第2コア部材620は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第2水平断面(図39の符号620fで示される)を有している。
【0288】
第3コア部材621は、第4面(E−E面)と交差することにより規定される第4垂直断面621eを有している。第3コア部材621は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第3水平断面621fを有している。
【0289】
第4コア部材640は、第1表面602aに対して垂直な第5面(図39の矢印A−Aを通る平面)と交差することにより規定される第5垂直断面640eを有している。第4コア部材640は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第4水平断面(図39の符号640fで示される)を有している。
【0290】
第5コア部材641は、第5面(A−A面)と交差することにより規定される第6垂直断面641eを有している。第5コア部材641は、第3面(H−H面)と交差することにより規定される第5水平断面641fを有している。
【0291】
換言すれば、図38ないし図40Eに示された分岐導波路は、基板601、直線導波路(ミキサー)660、第2導波路620、第3導波路621、第4導波路640および第5導波路641を有している。
【0292】
第1端面611cの幅は、基板表面601aの法線方向(厚み方向)および第1端面611cの法線方向(光軸方向)の双方に垂直な方向(幅方向)に沿った第1端面611cの長さである。第1端面611cの幅は、第2端面620cと第3端面621cとの間の距離よりも大きい。第1端面611cの幅は、第2側面620bと第3側面621aとの間の距離よりも大きい。
【0293】
第2導波路620の幅は、ミキサー660に近づくにしたがって、細くなっている。したがって、断面620eの面積は、第2端面620cの面積よりも大きい。
【0294】
第3導波路621の幅は、ミキサー660に近づくにしたがって、細くなっている。したがって、断面621eの面積は、第3端面621cの面積よりも大きい。
【0295】
第4導波路640の幅は、ミキサー660に近づくにしたがって、細くなっている。したがって、断面640eの面積は、第5端面640cの面積よりも大きい。
【0296】
第5導波路641の幅は、ミキサー660に近づくにしたがって、細くなっている。したがって、断面621eの面積は、第6端面621cの面積よりも大きい。
【0297】
第1コア部材660は、第4導波路640および第5導波路641を通って第1コア部材660に入力された光が、第2導波路620および第3導波路621を通って光ブランチングデバイスから出力されるように配置されている。
【0298】
図39の方向性結合器は、本実施例のY字状素子と同様に、シリコンからなる基板601上に形成されたコア、すなわち単一モード導波路620,621,640,641および多モード導波路660と、このコアが埋め込まれたクラッド602とを備えている。
【0299】
多モード導波路660の一方の末端611cには、単一モード導波路620、621が接続されており、他方の末端611dには単一モード導波路640、641が接続されている。単一モード導波路620,621および640,641は、それぞれ多モード導波路660側の端部が間隔Aをあけて互いに近接し、多モード導波路660の中央線(光軸)OP660に関して対称に配置されている。また、第1コア部材660から離れるほど、単一モード導波路620と621との間隔は、広くなる。第1コア部材660から離れるほど、単一モード導波路640と641との間隔は、広くなる。
【0300】
図39に示される構造をさらに説明すると、単一モード導波路640,641の端面640c,641cは、多モード導波路660の端面660dと間隔Bをあけて対向している。単一モード導波路620,621についても同様である。なお、本実施例の光ブランチングデバイスにおいて、優れた加工安定性と十分な低損失性を実現するためには、単一モード導波路640,641および620,621の端面640c,641cおよび620c,621cと多モード導波路660の端面660d,660cとの間隔Bは、2〜8μm程度であることが好ましい。
【0301】
図39の方向性結合器は単一モード導波路620,621,640,641とマルチモード導波路660とが分離した分岐部構造を有している。したがって、図9の光ブランチングデバイスにおける分岐部付近の間隙部ような作製上なまりやすい部分を有さない。したがって、図39の素子は、図9の素子よりもさらに優れた加工安定性を有しており、歩留まりよく大量生産することができるので、大規模通信システム等の構築にいっそう適している。
【0302】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、分岐側の単一モード導波路の末端幅が基端部より縮小された構造を有するかぎり、導波路型光分岐結合素子の組成や、各部の形状、寸法等は、上記実施例のものに限定されない。また、導波路型光分岐結合素子の構造は、本実施例の埋込み型構造に限られず、リッジ型や装荷型といった他の構造であってもよい。
【0303】
また、分岐側の単一モード導波路は、上記実施例のように多モード導波路の中央線に関して対称に配置されるものに限られない。本発明者らは、非対称の光分岐結合素子であっても上記実施例と同様に優れた加工安定性と低損失性が実現できるものと考える。
【0304】
また、光分岐結合素子の例として、Y字状素子と方向性結合器をあげたが、このほかにもスターカプラなどがあり、このような素子も本発明の特徴である分岐部構造を有する限り本発明に含まれる。
【0305】
また、本発明の光分岐結合素子を、一の素子の出力側導波路の末端を他の素子の入力側導波路とすることにより複数組み合わせて一つの導波路型素子とすることもできる。この導波路型素子は、各素子の効果が累積されるので、優れた加工安定性を有するとともに格段に損失を抑えて、導波光を分岐、結合させて出力することができる。
【0306】
本発明の特徴は、多モード導波路側の末端幅が基端部の導波路幅より縮小された単一モード導波路を備えることより、2つの単一モード導波路の中心同士の間隔が狭められていることであり、このような構造を有する導波路型素子は本発明に含まれる。
【0307】
図41は、図39に示された光ブランチングデバイスBR601を3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスを接続した光学部品である。それぞれの光ブランチングデバイスをBR601,BR602,BR603とする。
【0308】
この光学部品は、第1光ミキサー660と、第1の端部621cと第2の端部621pを有するS字型導波路621と、第1の端部620cと第2の端部620pを有するS字型導波路620と、第2光ミキサー1660と、第3光ミキサー2660とを備える。
【0309】
第1の端部621cは、第1ミキサー660に対向している。第2の端部621pは、第3のミキサー2660に対向している。第1の端部620cは、第1ミキサー660に対向している。第2の端部620pは、第2のミキサー1660に対向している。
【0310】
ポートP1ないしP4から入力された光は、合成されてポートP4ないしP8から出力される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスを示す斜視図である。
【図2】図2Aは、図1に示したデバイスを図1の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Bは、図2Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Cは、図2Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Dは、図2Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
図2Eは、図2Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図2Fは、図2Aに示したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【図3】図3は、図2Aに示したデバイスの断面図である。
【図4】図4は、図2に示した光ブランチングデバイスの第2コア部材20および第3コア部材21の端面20d,21dを改良したデバイスの断面図である。
【図5】図5は、図4に示した光ブランチングデバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR1,BR2,BR3を接続した1x4構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図6】図6は、図4に示した光ブランチングデバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR1,BR2,BR3,BR4,BR5,BR6,BR7を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図7】図7Aは、図7Bに示した第1コア部材10の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の電界分布、および、第2および第3コア部材20,21の末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布を示すグラフである。図7Aにおいて、座標Y1における導波光の電界分布は、実線で示し、座標Y2における導波光の電界分布は、点線で示す。図7Aに示された座標X1,X2は、図7Bの位置座標X1,X2にそれぞれ対応している。図7Bは、図1ないし図3に示した光ブランチングデバイスの第1コア部材10,第2コア部材20,第3コア部材21を図1ないし図3から抜出して示す図である。図7Bには、座標系が示してある。
【図8】図8は、テーパ導波路11の末端幅11c(Wt)と図1ないし図3に示した光ブランチングデバイスの分岐過剰損(exess loss (dB))との関係を示すグラフである。導波光の波長は、1.55μmである。
【図9】図9は、1つの非分岐側導波路10から直線導波路12に付加されたテーパ導波路11を介して連続的に分岐側導波路20、21へ分岐する形状の光ブランチングデバイスを示す断面図である。
【図10】図10Aは、図10Bに示した第1コア部材10の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の電界分布、および、第2および第3コア部材20,21の末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布を示すグラフである。図10Aにおいて、座標Y1における導波光の電界分布は、実線で示し、座標Y2における導波光の電界分布は、点線で示す。図10Aに示された座標X1,X2は、図10Bの位置座標X1,X2にそれぞれ対応している。図10Bは、図11に示した光ブランチングデバイスの第1コア部材10,第2コア部材20,第3コア部材21を図10から抜出して示す図である。図10Bには、座標軸が示してある。
【図11】図11は、比較例に係る光ブランチングデバイスの断面図である。
【図12】図12は、本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスを示す斜視図である。
【図13】図13Aは、図12のデバイスを図12の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Bは、図13Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Cは、図13Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Dは、図13Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Eは、図13Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Fは、図13Aに示したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図13Gは、図13Aに示したデバイスを図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【図14】図14は、図13Aに示したデバイスの断面図である。
【図15】図15は、図14に示したデバイス内を光の波面が伝搬していくようすを示す図である。第1コア部材110に入力された光は、第1垂直断面112eから第1端面111cに進行するにしたがって、光のパワー密度(エネルギー密度)が減少すると同時に、この光の波面WA1が第1水平断面110a内において扇型に変形する。この第2垂直断面116cの面積が、第1端面111cの面積と等しいので、この光が、第2垂直断面116cから第1端面111cへ伝搬する間にその波面WA2が、第1端面111cに平行になる。
【図16】図16は、図13Aに示した光ブランチングデバイスの第2コア部材120および第3コア部材121の端面120d,121dを改良したデバイスの断面図である。
【図17】図17は、図16に示した光ブランチングデバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR101,BR102,BR103を接続した1x4構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図18】図18は、直線部116の長さLsと分岐過剰損との関係を示すグラフである。すなわち、導波光の波長は1.55μmである。
【図19】図19は、図20の1×8素子と第2比較例に係る1×8素子について、分岐過剰損の波長特性を測定した結果を示したグラフである。測定にあたっては、各素子に分光器から出射した光を入射させた。
【図20】図20は、図16に示した光ブランチングデバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR1,BR2,BR3,BR4,BR5,BR6,BR7を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図21】実施例に係る光ブランチングデバイスの水平断面図である。
【図22】図22は、この光ブランチングデバイスを示す斜視図である。
【図23】図23Aは、このデバイスを図の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Bは、図23Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Cは、図23Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Dは、図23Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Eは、図23Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Fは、図23Aに示したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図23Gは、図23Aに示したデバイスを図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【図24】図24は、図23Aに示した光ブランチングデバイスを示す図である。
【図25】図25は、図23Aに示した光ブランチングデバイスの第2コア部材320および第3コア部材321の端面320d,321dを改良したデバイスの断面図である。
【図26】図26は、図25に示した光ブランチングデバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR301,BR302,BR303を接続した1x4構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図27】図27は、図25に示した光ブランチングデバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR301,BR302,BR303,BR304,B
R305,BR306,BR307を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図28】図28Aは、図28Bに示した第1コア部材310の末端、すなわち、座標Y1、における導波光の電界分布、および、第2および第3コア部材320,321の末端、すなわち、座標Y2における導波光の電界分布を示すグラフである。図28Bは、図22ないし図24示した光ブランチングデバイスの第1コア部材310,第2コア部材320,第3コア部材321を図22ないし図24から抜出して示す図である。図28Bには、座標軸が示してある。
【図29】図29は、本発明の1つの実施例に係る光ブランチングデバイスを示す斜視図である。
【図30】図30Aは、このデバイスを図29の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Bは、図30Aに示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Cは、図30Aに示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Dは、図30Aに示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Eは、図30Aに示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Fは、図30Aに示したデバイスを図の矢印F−Fを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図30Gは、図30Aに示したデバイスを図の矢印G−Gを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【図31】図31は、図30Aに示したデバイスの断面図である。
【図32】図32は、図30Aに示した光ブランチングデバイスの第2コア部材420および第3コア部材421の端面420d,421dを改良したデバイスの断面図である。
【図33】図33は、図32に示した光ブランチングデバイスを3つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR401,BR402,BR403を接続した1x4構造を有する光ブランチングデバイスを示す図である。
【図34】図34は、図29ないし図31に示した本実施例のY字状素子について、直線部416の幅(=Wt)と分岐側導波路420,421の末端幅(=W2)をパラメーターとして、導波光の波長が1.55μmの場合の分岐過剰損を計算し、その結果を示したグラフである。
【図35】図35は、図32に示した光ブランチングデバイスを7つ用意し、これらの光ブランチングデバイスBR401,BR402,BR403,BR404,BR405,BR406,BR407を接続した1x8構造を有する光ブランチングデバイスの断面図である。
【図36】図36は、図35の1×8素子(実施例)および図11の1×8素子(比較例)の分岐過剰損の波長特性を測定した結果を示したグラフである。
【図37】実施例に係る光ブランチングデバイス内を波面が伝搬するようすを示す断面図である。
【図38】図38は、方向性結合器の斜視図である。
【図39】図39は、図38のデバイスを図38の矢印H−Hを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【図40】図40Aは、図39に示したデバイスを図の矢印A−Aを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図40Bは、図39に示したデバイスを図の矢印B−Bを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図40Cは、図39に示したデバイスを図の矢印C−Cを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図40Dは、図39に示したデバイスを図の矢印D−Dを通る平面で切ったデバイスの断面図である。図40Eは、図39に示したデバイスを図の矢印E−Eを通る平面で切ったデバイスの断面図である。
【図41】図41は、図39に示された光ブランチングデバイスを3つ用意し、これらを接続した光学部品の断面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…クラッド、10…第1コア部材(第1テーパ導波路)、11,15…テーパ導波路(第2テーパ導波路)、12…直線導波路、16…第4導波路、20…第2コア部材(第2導波路)、20…第3コア部材(第3導波路)、30…くさび部。

Claims (10)

  1. 基板上に設けられたクラッド部材と、前記クラッド部材内に埋設された第1、第2及び第3コア部材とを備える光ブランチングデバイスにおいて、
    前記第1コア部材は前記クラッド部材内に埋設された端面を有し、
    前記第2及び第3コア部材のそれぞれは前記クラッド部材の一部分を介して前記第1コア部材の前記端面に対向して離隔した対向面を有しており、
    前記第2コア部材の前記対向面の幅W1と、前記第3コア部材の前記対向面の幅W2と、前記第2及び第3コア部材間の最小離隔距離Aとの合計よりも、前記第1コア部材の前記端面の幅Wtは広く、
    前記第2及び第3コア部材の前記対向面は前記第1コア部材の前記端面に対して全て対向しており、
    分岐過剰損が0.3dB以下であることを特徴とする光ブランチングデバイス。
  2. 以下の関係式:
    Wt<W1+W2+A+10μm
    を更に満たすことを特徴とする請求項1に記載の光ブランチングデバイス。
  3. 前記第1コア部材は、前記端面を含むテーパ部と、前記テーパ部の一端に連続する直線部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の光ブランチングデバイス。
  4. 前記第1コア部材は、前記端面を含む幅広の直線部と、前記直線部よりも狭い幅を有する幅狭の直線部と、これらの直線部間を接続するテーパ部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の光ブランチングデバイス。
  5. 前記第2及び第3コア部材間に介在する遮光部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の光ランチングデバイス。
  6. 前記第1コア部材の終端に接続され前記第1コア部材内に光を導入する光ファイバを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光ブランチングデバイス。
  7. 第1コア部材の幅Wtは、23マイクロメーターより大きく、29マイクロメーターより小さいことを特徴とする請求項1に記載の光ブランチングデバイス。
  8. 前記幅広の直線部の長さは400μmよりも小さく、100μmよりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の光学部品。
  9. 前記第1コア部材は入力された光のエネルギー密度を下げて前記端面に対して波面が平行となるように機能する形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の光ブランチングデバイス。
  10. 請求項1に記載の光ブランチングデバイスを複数備えてなる光学部品。
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