JPH07188048A - 血管内膜肥厚改善剤 - Google Patents

血管内膜肥厚改善剤

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JPH07188048A
JPH07188048A JP5352473A JP35247393A JPH07188048A JP H07188048 A JPH07188048 A JP H07188048A JP 5352473 A JP5352473 A JP 5352473A JP 35247393 A JP35247393 A JP 35247393A JP H07188048 A JPH07188048 A JP H07188048A
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csf
aorta
cholesterol
intimal
administration
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JP5352473A
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English (en)
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Hiroyuki Irie
弘之 入江
Hiroshi Koshiba
博 小柴
Masakazu Iwai
正和 岩井
Norifumi Nakamura
憲史 中村
Kazumasa Yokoyama
和正 横山
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Original Assignee
Green Cross Corp Japan
Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 マクロファージコロニー刺激因子(M−CS
F)を有効成分とする血管内膜肥厚改善剤。 【効果】 上記血管内膜肥厚改善剤は、動脈硬化巣の形
成を抑制するとともに、弓部大動脈を含めた各大動脈の
内膜肥厚を特異的にかつ有意に改善する作用を有し、動
脈硬化症に起因する血管内膜肥厚の治療剤として有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマクロファージコロニー
刺激因子(以下、M−CSFという。)を有効成分とす
る血管内膜肥厚改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】血管内膜肥厚は、動脈硬化巣とともに、
粥状動脈硬化発症時に代表的に見られる病変である。血
管内膜肥厚は、血管内皮細胞の機能的障害が引き金とな
り、中膜平滑筋(収縮型)細胞が内膜に遊走し、ここで
合成型に変わって増殖することにより起こる。つまり、
粥状動脈硬化発症過程の初期において、血管内皮細胞に
酸化LDL(その他のmodified LDLや機械的刺激等) に
よる障害が引き起こされると、単球が内皮細胞の間隙を
通って血管内膜内に浸潤し、単球はマクロファージに分
化し、脂質を取り込み、泡沫細胞となって脂肪線糸(fat
ty steak) が完成する。泡沫細胞は同時に種々のサイト
カインを分泌し、さらに内膜への細胞浸潤を招くととも
に、中膜平滑筋細胞を内膜へ遊走させ、ここで合成型平
滑筋細胞に変わって増殖する。増殖した平滑筋細胞は脂
肪小体を取り込み泡沫細胞化し、マクロファージととも
に内膜肥厚をきたし、線維斑(fibrous plaque) を形成
する。次いで、内膜肥厚が高度になり、血管内皮細胞が
破綻すると、血小板が付着してさらに病変進行する。血
管内膜肥厚は、上記のような発生・進行機序を有し、主
に弓部大動脈、胸部大動脈、腹部大動脈等に発生する。
【0003】血管内膜肥厚を放置すれば、狭心症、心筋
梗塞、虚血性心疾患、大動瘤、下肢閉塞性動脈硬化症を
誘発することになり、臨床上大きな問題となる。最近、
Rossらは血管障害性を取り除いてやることにより、
内膜肥厚が改善される可能性を提唱している(R. Ross,
Nature 362 巻, 801-809 頁, 1993年) 。また、動脈硬
化症自体の治療には数多くの薬剤があり、臨床的には、
プロプコール製剤(渡辺彰他, 動脈硬化, 11巻, 3号,
597 頁, 1983年)及び蛋白分解酵素であるエラスターゼ
(吉村正蔵, 動脈硬化, 3巻, 223 頁, 1975年)が主に
用いられている。これらの薬剤の作用はコレステロール
を血管壁に付着しにくくしたり、血管壁に付いたコレス
テロールを洗い流すものであるが、その効果には一定の
限界があり、根治治療をするものではなく、血管内膜肥
厚の改善について報告するものはない。
【0004】一方、M−CSFは、単球,線維芽細胞,
内皮細胞で産生され、免疫担当細胞であるマクロファー
ジの分化誘導を行うサイトカインで、ある種の造血幹細
胞に働きかけ単球への分化を促し、さらに単球に対して
作用してマクロファージへと分化させる。M−CSFを
高コレステロール血症のモデル動物である渡辺ウサギに
投与すると血中コレステロールと低比重リポ蛋白(LD
L)の量が減少すること (H.Simano et al., Ann. NY A
cad. Sci., 587巻, 362 頁, 1990年) 、また動脈硬化巣
が退縮することが明らかにされており (Inoue et al.,
Atherosclerosis, 93巻,245-254 頁, 1992年) 、高脂
血症ならびに動脈硬化の治療薬として大きな可能性を秘
めている。M−CSFは、その蛋白質及び遺伝子構造に
ついても明らかにされており (G.G.Wong et al., Scien
ce, 2, 35 巻 (20号), 1504-1508頁, 1987年) 、各研究
グループによりそのcDNAのクローン化が成功してい
る (Science, 230巻, 291頁, 1985年, Science, 235巻,
1504頁, 1987年) 。さらに、その遺伝子組換えによる
調製も試みられ、M−CSFをコードする遺伝子をチャ
イニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に組み込んで発
現された遺伝子組換え体のM−CSFが、すでに高脂血
症治療剤として開発されつつある。当該製剤は泡沫化マ
クロファージでニュートラルCEH (cholesteryl este
r hydrolase)活性を増加させると共に、HDLによるコ
レステロール排泄を促進させ、その結果、脱泡沫化を促
進させることがインビトロで確認されており、動脈硬化
巣中に蓄積した変性LDLのマクロファージによる除去
を促進し、粥状動脈硬化巣形成を抑制する可能性が示唆
されている [日本動脈硬化学会誌, 21巻 (3 号), 225
頁, (1993 年 5月) 東大・3内 稲葉寿守ら] 。しか
し、M−CSFの血管内膜肥厚改善の可能性については
未検討であり、現在のところ、動脈硬化症において発生
した血管内膜肥厚を改善させる有用な薬剤は知られてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、動脈硬化治療として動脈巣の退縮のみならず、
血管内膜肥厚改善という新しい知見に基づき、副作用の
ない優れた血管内膜肥厚改善剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑みて鋭意研究を進めた結果、M−CSFが動脈硬化
発症時に見られる血管内膜肥厚を有意に改善することを
見出し、本発明を完成した。
【0007】前記課題を解決する本発明は、M−CSF
を有効成分とする血管内膜肥厚改善剤である。
【0008】本発明に係わるM−CSFは由来は問わな
いが、例えば、尿からの精製、細胞培養、または遺伝子
組換え技術を用いて得ることができる。遺伝子組換えM
−CSFは、例えば、特表平1−502397号公報の
方法に従って、M−CSF遺伝子を組み込んだベクター
で適当な宿主を形質転換することにより得られる。ま
た、形質転換体より得られたM−CSFは、イオン交換
体処理、吸着クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラ
フィー、モノクローナル抗体アフィニティークロマトグ
ラフィーを単独又は適当に組み合わせて精製される。例
えば、特開平3─2125号公報の記載に基づき、次の
方法によって精製したものを凍結乾燥して調製すること
ができる。まず、純化したM−CSFをウサギに免疫し
た抗M−CSF抗体を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)中で透析し、20mg/ml濃度に調製する。該抗
体溶液200mlを、予め蒸留水及び0.1Mリン酸緩
衝液で洗浄した100gのフォルミル−セルロファイン
へ加え、室温で2時間攪拌した後、水素化シアノホウ素
ナトリウム700mgを加えて、更に16時間攪拌し、
フォルミル−セルロファインと抗M−CSF抗体を結合
させ、抗体結合支持体を調製する。結合後、0.2Mト
リス−塩酸緩衝液で洗浄し、更に水素シアノホウ素ナト
リウム500mgを含むトリス緩衝液200mlを加
え、室温で4時間攪拌して、反応基を不活化する。次い
で、抗体結合支持体を0.5M NaClを含有する
0.02Mリン酸緩衝液で十分洗浄する。抗体結合支持
体は支持体1g当たり32.6mgの抗CSF抗体を結
合している。次にヒトM−CSF遺伝子組換え細胞(C
HO細胞)の培養液10Lを限外濾過濃縮機で濃縮し、
脱塩した後、DEAE−セルロースに吸着させ、非吸着
の夾雑物質を除去し、0.3M NaCl溶液で溶出
し、該溶出液に0.5M濃度となるように塩化ナトリウ
ムを加えてヒトM−CSFを含有する溶液を調製する。
このヒトM−CSFの比活性は、3×104 単位/mg
である。上記抗体結合支持体100gに対し、このヒト
M−CSFを含有する溶液(全量500ml)を加え、
10℃以下で一夜攪拌しバッチ式クロマトグラフィー処
理を行う。攪拌後、ガラスフィルターで濾過して、抗体
結合支持体を集め、0.5M NaClを含有する0.
02Mリン酸緩衝液で該抗体結合支持体を十分に洗浄す
る。洗浄後、0.2M酢酸緩衝液(pH2.5)500
mlを加え、10℃、1時間攪拌してM−CSFを溶出
する。溶出液のpHを7.0にした後、限外濾過膜で濃
縮・脱塩してM−CSF分画を得る。この分画をHi−
Pour214TP(バイダック社、径2.2×2.5
cm)の逆相カラムで0.1Mトリフルオロ酢酸を含む
アセトニトリル0〜100(pH2.0)の直線濃度勾
配による高速液体クロマトグラフィーにかけ、ヒトM−
CSFを集め、凍結乾燥し、M−CSF25mgを得
る。かくして得られる精製M−CSFの比活性は1.9
×108 単位/mg、SDS−PAGE法による純度は
98%以上である。
【0009】M−CSFは、通常、静脈内、動脈内、筋
肉内、皮下、腹腔内などの非経口投与により投与するこ
とができる。投与用の製剤としては、注射剤、注入剤な
どが挙げられ、これらの製剤は其自体公知の方法によっ
て調製することができる。例えば、ヒトM−CSFに医
薬品として適当な賦形剤に加えて、無菌濾過し、ガラス
バイアル中に無菌的に充填して密封し、必要に応じて凍
結乾燥して製剤を調製することができる。
【0010】M−CSFの血管内膜肥厚患者に対する投
与量は、患者の年齢、体重、症状等によって変動する
が、通常0.1〜100μg/kg体重/日が例示され
る。
【0011】
【実施例】本発明をより詳細に説明するために、実施
例、試験例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限
定されるものではない。
【0012】実施例1 特表平1−502397号公報の方法に従い、223個
のアミノ酸からなるM−CSFタンパク質を得、特開平
3−2125号公報の方法に従い、高度精製を行った。
安定化剤を加えて、M−CSFを400μg/ml(>
0.5×106units/mg protein)、
0.5Mグリシン、1%(w/v)シュクロース、0.
005%(V/V)Polysorbate 80およ
び0.01Mクエン酸ナトリウムに調製した。ニトロセ
ルロース系無菌濾過膜にて無菌濾過した後、ガラスバイ
アル中に無菌的に1ml充填し、本発明の血管内膜肥厚
改善剤を調製した。
【0013】実施例2 実施例1の方法に従い、バイアル瓶に無菌的に充填した
後、凍結乾燥し、本発明の製剤を得た。
【0014】試験例1(血管内膜肥厚の改善に対する効
果) 1.動脈硬化症モデル動物作出 12週齢のNZW系雄性ウサギを用い、各動物に2%コ
レステロール食を59日間負荷することにより作出し
た。なお、コレステロール食負荷期間終了後、薬剤投与
開始前に2例について剖検を行い、大動脈弓、胸大動
脈、腹大動脈、ならびに大腿動脈に動脈硬化巣が形成さ
れ、血管内膜肥厚が発生していることを確認した。
【0015】2.供試薬剤 実施例1の製剤を供試薬剤として用いた。また、比較対
照として、異種タンパク投与の影響を考慮して、血漿由
来ヒト血清アルブミン(以下、HSAという。)250
mg/mlの他、0.02Mアセチルトリプトファンお
よび0.02Mカプリル酸ナトリウムを含有する液状ヒ
ト血清アルブミン製剤を、同じく生理食塩水で400μ
g/mlに無菌的に調製したものをを供試薬剤として用
いた。
【0016】3.薬剤投与経路・投与量 大腿部筋肉内に、1日1回12週間連日定時に投与し
た。投与量は副作用を発現しないと考えられる、80μ
g/kgの1用量のみを設定した。HSAではM−CS
Fの投与用量と同一の1用量群を設定した。投与容量は
M−CSF、HSAともに0.2ml/kgとした。
【0017】4.試験項目および方法 (1) 剖検 投与終了後に各群ともに生存例全例をチオペンタール・
ナトリウム麻酔下、頚動脈より放血屠殺し、心臓、大動
脈弓、胸大動脈、腹大動脈ならびに肝臓を摘出し、肉眼
的異常の有無を観察した。
【0018】(2) 動脈硬化巣形成率 剖検時に摘出した大動脈弓、胸大動脈および腹大動脈を
大動脈弓の小湾側より縦走筋方向に沿って縦に切開した
後、4℃条件下1%ホルマリンPBSに浸漬し、12時
間以上固定した。ついで、第1肋間動脈分岐部、第1肋
間動脈分岐部より4cm遠位部、さらに4cm遠位部の
3か所で切断し、各々弓部大動脈、第1胸部大動脈、第
2胸部大動脈、腹大動脈とした。各々の大動脈はゼロッ
クス法(Hata, Y. et al. : Atherosclerosis, 29, 25
1, 1978) にてその動脈および硬化巣部をトレースし、
画像解析装置(LUZEX II D, ニレコ) を用いて動脈面積
ならびに硬化巣面積を測定し、硬化巣形成率〔硬化巣面
積/動脈内腔面積) ×100〕を算出した。
【0019】(3) 大動脈脂質含量 腹部大動脈を除く動脈硬化巣形成率測定に供した各大動
脈を縦に2分割し、その一方(左側)の内腔面積および
湿重量を測定後、湿重量の20倍量の2:1(V/V)
クロロホルム−メタノール混合液中ですり砕き、さらに
Potter-Elvehjem 型テフロンホモジナイザーでホモジナ
イズすることにより脂質を抽出した [Folch, J. et a
l., J. Biol. Chem., 226 (1957), 497]。ホモジナイズ
終了後、ナイロンメッシュ(100μm)でホモジナイ
ト中の固形物を濾過し、濾液に窒素ガスを吹き込むこと
により最終的に得られた沈渣の脂質を定量した。次い
で、沈渣を脂質溶解用界面活性剤(片山化学工業)に再
溶解し、この溶液について用手法による市販測定キット
を用いて総コレステロール濃度(コレステロールCテス
ト−ワコー,和光純薬工業)ならびに遊離コレステロー
ル濃度(遊離コレステロールCテスト−ワコー,和光純
薬工業)を測定した。なお、エステル型コレステロール
濃度は総コレステロールより遊離コレステロール濃度を
減じて求め、各大動脈片の脂質含量は単位動脈内腔面積
当たりとして算出した。
【0020】(4) 血管内膜肥厚率 大動脈脂質含量に供されなかった各大動脈片の一方(右
側)ならびに腹部大動脈をホルマリン・カルシウム固定
液で固定後、4mm間隔で各々10小片に細切し、近位
側より交互に脂肪染色用組織(5小片)およびH.E.
染色用組織(5小片)とし、さらにH.E.染色用組織
は10%中性ホルマリンで再固定を行った。固定後、各
小片は常法に従い、パラフィン切片を作製し、脂肪染色
(オスミウム染色)もしくはH.E.染色を施した。次
いで、画像解析装置を用いて染色法ごとに5小片各々の
内膜面積(肥厚部面積)ならびに中膜面積を測定し、内
膜肥厚率〔{内膜面積/(中膜面積+内膜面積)}×1
00〕を算出後、5小片の平均を各動脈部位の内膜面
積、中膜面積および内膜肥厚率とした。さらに、H.
E.染色標本を用いて弓部大動脈の内膜部(肥厚部)の
単位面積(15625μm2)当たりの細胞数(核数)を
画像解析装置により測定した。
【0021】5.試験結果 (1) 剖検 投薬期間終了後の剖検において、心・血管系では全ての
個体の大動脈内膜面に多数の硬化巣の形成は認められた
が、その程度はM−CSF投与群でより軽度であった
(図1)。
【0022】(2) 動脈硬化巣形成率 結果を図2に示した。尚、結果は、各群ともに投与期間
終了時の生存例の平均値で示した。弓部、胸部、腹部の
いずれの大動脈においても、M−CSF投与群の硬化巣
形成巣はHSA投与群より低く、特に胸部大動脈および
腹部大動脈では有意な差が認められた。
【0023】(3) 大動脈脂質含量 結果を図3に示した。尚、結果は、各群ともに投与期間
終了時の生存例の平均値で示した。定量を実施したいず
れの部位においてもM−CSF投与群の総コレステロー
ル含量はHSA投与群より概して低値であり、胸部では
有意な低下が認められた。また、M−CSF投与群の弓
部大動脈の遊離コレステロール含量および近位(第1)
胸部大動脈のエステル型コレステロール含量も有意に低
い値であった。なお、M−CSF投与群の近位(第1)
ならびに遠位(第2)胸部大動脈における単位動脈内腔
面積当たりの遊離コレステロール含量は検出限界以下で
あった。
【0024】(4) 内膜肥厚率 脂肪染色を施した標本を用いて測定した結果を図4、図
5に示した。尚、結果は、各群ともに投与期間終了時の
生存例の平均値で示した。中膜面積は両投与群で差は認
められなかったが、M−CSF投与群の内膜面積(肥厚
面積)は、弓部大動脈、胸部大動脈、腹部大動脈のいず
れの部位においても有意に低値であった(図4)。さら
に、中膜面積と内膜面積(肥厚面積)より算出した内膜
肥厚率においてもM−CSF投与群のいずれの部位とも
に有意に低値であった(図5)。また、これらの変化は
H.E.染色標本(図6,7,8,9)を用いて測定し
た場合においても同様であった尚、M−CSF投与群の
弓部大動脈内膜(肥厚)部分に存在する単位面積当たり
の細胞数は、HSA投与群より増加していた(M−CS
F投与群:2236.3±652.2 個/15625μm2 、HSA投与
群:199.8 ±111.4 個/15625μm2 、p≧0.05) 。
【0025】以上の試験結果より明らかなように、M−
CSF投与群では、動脈硬化巣形成率、脂質含量および
内膜肥厚率の有意な低下が確認された。
【0026】試験例2(急性毒性) ラット10匹を5匹ずつの2群に分け、それぞれにM−
CSFを1mg/kg,0.5mg/kgの投与量で尾
静脈より投与した。いずれの投与量でも死亡例は認めら
れず、LD50は1mg/kg以上と考えられた。
【0027】
【作用・効果】本発明の有効成分であるM−CSFは、
動脈硬化巣の形成を抑制するとともに、弓部大動脈を含
めた各大動脈の内膜肥厚を特異的にかつ有意に改善する
作用を有するため、哺乳動物(例えば、マウス、ラッ
ト、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒトなど)における動脈硬化
に起因する血管内膜肥厚改善剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】M−CSF、HSAを12週間筋肉内反復投与
した、コレステロール食負荷ラビットの大動脈(大動脈
弓〜腹大動脈)内膜面を示す。
【図2】M−CSF、HSAを12週間筋肉内反復投与
した、コレステロール食負荷ラビットの各大動脈部位に
おける硬化巣形成率を示す。
【図3】M−CSF、HSAを12週間筋肉内反復投与
した、コレステロール食負荷ラビットの各大動脈部位に
おける脂質含量(総コレステロール含量、エステル型コ
レステロール含量、遊離コレステロール含量)を示す。
【図4】M−CSF、HSAを12週間筋肉内反復投与
した、コレステロール食負荷ラビットの各大動脈部位の
内膜面積(肥厚面積)、中膜面積を示す。
【図5】M−CSF、HSAを12週間筋肉内反復投与
した、コレステロール食負荷ラビットの各大動脈部位の
内膜肥厚率を示す。
【図6】M−CSFを12週間筋肉内反復投与した、コ
レステロール食負荷ラビットの各大動脈部位(大動脈弓
・近位(第1)胸大動脈)のH.E.染色の顕微鏡写真
を示す。
【図7】M−CSFを12週間筋肉内反復投与した、コ
レステロール食負荷ラビットの各大動脈部位(遠位(第
2)胸大動脈・腹大動脈)のH.E.染色の顕微鏡写真
を示す。
【図8】HSAを12週間筋肉内反復投与した、コレス
テロール食負荷ラビットの各大動部位(大動脈弓・近位
(第1)胸大動脈)のH.E.染色の顕微鏡写真を示
す。
【図9】HSAを12週間筋肉内反復投与した、コレス
テロール食負荷ラビットの各大動部位(遠位(第2)胸
大動脈・腹大動脈)のH.E.染色の顕微鏡写真を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 37/02 ADS (72)発明者 岩井 正和 兵庫県神崎郡福崎町山崎214番地の1 株 式会社ミドリ十字安全性研究所内 (72)発明者 中村 憲史 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 横山 和正 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マクロファージコロニー刺激因子を有効
    成分とする血管内膜肥厚改善剤。
JP5352473A 1993-12-27 1993-12-27 血管内膜肥厚改善剤 Pending JPH07188048A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7507705B2 (en) 1997-10-02 2009-03-24 MAX-PLANCK-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e.V. Methods for the modulation of neovascularization and/or the growth of collateral arteries and/or other arteries from preexisting arteriolar connections

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7507705B2 (en) 1997-10-02 2009-03-24 MAX-PLANCK-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e.V. Methods for the modulation of neovascularization and/or the growth of collateral arteries and/or other arteries from preexisting arteriolar connections
US8101188B2 (en) 1997-10-02 2012-01-24 MAX-PLANCK-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e.V. Methods for the modulation of neovascularization and/or the growth of collateral arteries and/or other arteries from preexisting arteriolar connections

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