JPH07187700A - 光ファイバ用ガラス母材の製造方法 - Google Patents

光ファイバ用ガラス母材の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 本発明は高品質の石英系光ファイバ用ガラス
母材を低コストで製造することができる光ファイバ用ガ
ラス母材の製造方法の提供を目的とするものである。 【構成】 本発明による光ファイバ用ガラス母材の製造
方法は、ガラス原料としてのけい素化合物の火炎加水分
解で発生させたガラス微粒子を石英ガラス棒上に堆積し
て得た多孔質ガラス母材を、塩素ガス雰囲気で脱水透明
ガラス化して得た光ファイバ用石英ガラス母材を出発材
とし、この出発材の外周部にけい素化合物の火炎加水分
解で発生させたシリカ微粒子を酸水素火炎中で直接溶融
して透明ガラス化してなることを特徴とするものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ファイバ用ガラス母材
の製造方法、特には高品質の石英系光ファイバ用ガラス
母材を低コストで製造することができる光ファイバ用ガ
ラス母材の製造方法のに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ用石英ガラス母材の製造方法
についてはVAD法、OVD法、MCVD法などが主流
とされており、これらによれば高品質の光ファイバ用石
英ガラス母材を得ることができる。これらのうちVAD
法、OVD法は生産性が高く、光ファイバ用石英ガラス
母材を比較的低コストで得ることができ、これらの2法
(以下スート法と略記する)は四塩化けい素(SiCl4) な
どを酸水素火炎中で火炎加水分解させ、得られたシリカ
微粒子を石英ガラス棒などの担体上に堆積し成長させて
多孔質ガラス母材を製造し、その後これをCl2 などの
雰囲気中で脱水透明ガラス化して透明ガラス母材とする
ものである。
【0003】しかし、この多孔質ガラス母材がOH基を
含んでいると、光通信に用いられる光の波長が赤外域の
ものであるために、この光ファイバに損失が生ずること
になるが、この方法で得られた高品質な光ファイバ用ガ
ラス部材はOH基が充分に除去されており、通常これは
10ppb以下の含有率のものとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】石英ガラス母材の製造
方法については、上記した方法以外にも数多くの方法が
提案されており、これには例えば酸水素火炎中で SiCl4
などを火炎加水分解して得たガラス微粒子を当該酸水素
火炎中で加熱して直接溶融し透明ガラスとして堆積させ
透明石英ガラス母材とする方法(以下直接法と呼称す
る)も知られており(特開昭55-75932号公報参照)、こ
の方法には前記したスート法のように多孔質ガラス母材
の製造、脱水透明ガラス化という2段階の工程が不要な
単純なものであることから極めて低いコストで石英ガラ
ス母材を得ることができるという利点があるが、この直
接法ではOH基の除去が不可能であることから、この石
英ガラス母材はOH基を 500〜1,000ppmも含有するもの
となるので、これは光ファイバの製造用に使用すること
ができないという欠点があり、そのために前記したスー
ト法よりも品質、生産性がよく、低いコストで光ファイ
バ用石英ガラス母材を製造する方法が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような従来
法における不利、問題点を解決した光ファイバ用ガラス
母材の製造方法に関するものであり、これは原料ガスと
してのけい素化合物の酸水素火炎中での火炎加水分解に
より発生させたガラス微粒子を石英ガラス棒などの担体
上に堆積してコア、クラッドよりなる多孔質ガラス母材
とし、これを透明ガラス化して得た光ファイバ用透明石
英ガラス母材を出発材とし、この出発材の外周部に原料
ガスとしてのけい素化合物の酸水素火炎中での火炎加水
分解で発生させたガラス微粒子を当該酸水素火炎中で直
接溶融して透明ガラスとして堆積することを特徴とする
ものである。
【0006】すなわち、本発明者らは光ファイバ用石英
ガラス母材を低コストで製造する方法について種々検討
した結果、この石英ガラス母材についてはこれに伝播さ
れる光の強度分布について検討したところ、OH基によ
る伝送損失に影響を与えるのはコア径の 1.5倍程度で、
これは充分な安全をみてもコア径の8倍であれば問題が
なく、これより外側のクラッド層は伝送損失には全く関
係しないことを見出し、したがってコア径の 1.5〜8倍
の厚さにクラッド層を設けた多孔質ガラス母材をスート
法で製作し、これをCl2 などの雰囲気下で脱水透明ガ
ラス化してOH基量の少ない透明ガラス母材としたもの
を出発材とし、この外周部にいわゆる直接法で透明ガラ
スのクラッド層を設ければ、この出発材が伝送損失に影
響のないものとされているので実用上光ファイバ用とし
て有用とされる光ファイバ用ガラス母材を低いコストで
得ることができることを確認して本発明を完成させた。
以下にこれをさらに詳述する。
【0007】
【作用】本発明は光ファイバ用ガラス母材の製造方法に
関するものであり、これは前記したスート法で得られた
OH基含有量の少ない光ファイバ用石英ガラス母材を出
発材とし、この出発材の上にけい素化合物の火炎加水分
解で発生させたガラス微粒子を酸水素火炎中で直接溶融
して透明ガラスのクラッド層を堆積することを特徴とす
るものであるが、これによればスート法で得られる出発
材のクラッド層をコア層の 1.5〜8倍の厚さのものとす
ればこれは伝送損失に影響ないものとなるし、この上に
設けたクラッド層はそれがOH基を多く含むものであっ
てもこれは伝送損失に関係がないので、得られる光ファ
イバ用ガラス母材は伝送損失の少ないものになるという
有利性が与えられる。
【0008】本発明による光ファイバ用ガラス母材の製
造はまず本発明において出発材とされる光ファイバ用ガ
ラス母材をVAD法やOVD法などのスート法で作製す
るのであるが、これはVAD法では例えばその縦断面図
を示した図1で示した公知の方法で行なえばよい。すな
わち、本発明による光ファイバ用ガラス母材の製造は図
1(a)に示されているように、酸水素火炎バーナー2
においてこのバーナーに原料ガスとしての四塩化けい素
(SiCl4) 、ドーパントとしての四塩化ゲルマニウム(GeC
l4) と酸素ガス(O2 )と水素ガス(H2 )を供給し、
この火炎14の中で SiCl4、 GeCl4を火炎加水分解してシ
リカ微粒子と酸化ゲルマニウム粒子を発生させ、これを
ターゲット材の先端に堆積してコア4を作り、これを回
転させつつこれに SiCl4、H2 およびO2 を送る酸水素
火炎バーナー5,7,9で発生させたシリカ微粒子をこ
のコアの上に堆積してここにクラッド層6,8,10を設
ければよい。
【0009】このようにして作られた多孔質ガラス母材
は通常OH基を10〜100ppm含有しているので、これはつ
いで図示していないけれども別の電気炉中において塩素
ガス存在下で 1,000〜 1,600℃に加熱すると脱水透明化
と共にこれが脱OH基されてOH基の含有量が0.1ppm以
下の透明な石英ガラス母材とされるが、この多孔質ガラ
ス母材におけるクラッド層の厚さはこれから作られる透
明石英ガラス母材の伝送損失をなくすためにはこのクラ
ッド層の厚さがコア径の 1.5〜8倍であればよく、それ
以上厚くする必要もない。
【0010】本発明ではこのようにして作られた出発材
としての光ファイバ用ガラス母材にシリカ微粒子を堆積
し、ここにさらにクラッド層を形成させるのであるが、
これは例えばこの装置の縦断面図で示される図4(a)
に示した装置で行えばよい。すなわち、これは上記合成
石英ガラスからなる出発材11をチャック12で把持して30
〜50rpm で回転させ、これにこの出発材11と平行に送行
する酸水素火炎バーナー13を設け、 SiCl4の火炎加水分
解で発生させたシリカ微粒子を回転している出発材11の
上に堆積し酸水素火炎中で直接溶融して透明ガラス化し
てクラッド11を作成し、光ファイバ用石英ガラス母材を
製造する。
【0011】なお、本発明の原料ガスとしてのけい素化
合物は特公平2-31010 の3欄19行〜29行に開示されてい
るものが用いられ、またバーナーについては特公平2-31
010の第3図に開示されているものを用いることができ
る。このようにして作られた出発材としての光ファイバ
用ガラス母材は図1(b)に示したようにスート法で製
造されたコア材とクラッド層よりなるもので、コア径A
とこの光ファイバ用ガラス母材の直径Bとの比が 1.5≦
B/A≦8とされているので、これは伝送損失のないも
のであり、この上に積層されるクラッド層は直接法でガ
ラス化されるのでOH基含有量の多いものとなるが、こ
れは伝送損失に影響のないものとなるので、これで得ら
れる光ファイバ用ガラス母材は安価に得ることができる
という有利性が与えられる。
【0012】
【実施例】つぎに本発明の実施例をあげる。 実施例1 VAD法で製造した図2(a)に示したような屈折率分
布を有する光ファイバ用ガラス母材のコアの直径A1
このガラス母材の外径Bとの比B1/A1 が 5.3の光ファ
イバ用ガラス母材を出発材とし、この外周に図4に示し
た方法で四塩化けい素の火炎加水分解で発生したシリカ
微粒子を堆積し、これを酸水素火炎で加熱して直接溶融
して透明ガラス化し、クラッド層を形成したところ、外
径が90mmφで長さが1,000mmLである光ファイバ用ガラス
母材が得られたが、これは図2(b)に示したようにコ
ア材の直径A2 とガラス母材の直径B2 との比B2/A2
が16.0のものであり、これを線引きして得たシングルモ
ード光ファイバの特性を測定したところ、これは波長
1.3μmにおける伝送損失が 0.34dB/kmと良好なもの
で、このすべてをスート法で製造したものと同等の結果
を示した。
【0013】実施例2 VAD法で製造した図3(a)に示したような屈折率分
布を有する光ファイバ用ガラス母材のコアの直径A3
このガラス母材の外径B3 との比B3/A3 =2.0 の光フ
ァイバ用ガラス母材を出発材とし、この外周に図4に示
した方法で四塩化けい素の火炎加水分解で発生させたシ
リカ微粒子を堆積し、これを酸水素火炎で加熱して直接
溶融して透明ガラス化し、クラック層を形成したとこ
ろ、外径が92mmで長さが1,000mmLである光ファイバ用ガ
ラス母材が得られたが、これは図3(b)に示したよう
にコア材の直径A4 とガラス母材の直径との比B4/A4
が10.0のものであり、これを線引きして得た分散シフト
タイプのシングルモード光ファイバの特性を測定したと
ころ、これは波長1.55μmにおける伝送損失が 0.20dB/
kmと良好なものであった。
【0014】
【発明の効果】本発明は光ファイバ用ガラス母材の製造
方法に関するものであり、これは前記したようにガラス
原料ガスとしてのけい素化合物の酸水素火炎中での火炎
加水分解により発生させたガラス微粒子を基材としての
石英ガラス棒上に堆積して得た多孔質ガラス母材を、脱
水透明ガラス化して得た光ファイバ用ガラス母材を出発
材とし、この出発材の外周部に原料ガスとしてのけい素
化合物の酸水素火炎中での火炎加水分解で発生させたシ
リカ微粒子を堆積し、これを酸水素火炎により直接溶融
して透明ガラス化し、クラッド層を形成することを特徴
とするものであるが、これによればこの出発材が伝送損
失の影響のないものとされており、この上に堆積される
クラッド層は伝送損失に影響のないものであるので、実
用上光ファイバ用として有用とされる光ファイバ用ガラ
ス母材を全てスート法で製造する方法に比べて低いコス
トで得ることができるという有利性が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明による光ファイバ用多孔質ガラ
ス母材製造装置の縦断面図を例示したもの、(b)はこ
こに使用される出発材としての光ファイバ用ガラス母材
の屈折率分布とコアと光ファイバ用ガラス母材の直径比
を示したものである。
【図2】(a)は実施例1で使用された出発材の屈折率
分布とコア径と外径との比を例示したもの、(b)は得
られた光ファイバ用ガラス母材屈折率分布と外径とコア
径との比を示したものである。
【図3】(a)は実施例2で使用された出発材の屈折率
分布とコア径と外径との比を例示したもの、(b)は得
られた光ファイバ用ガラス母材の屈折率分布と外径とコ
ア径との比を示したものである。
【図4】本発明による光ファイバ用ガラス母材製造装置
の縦断面図を例示したものである。
【符号の説明】
1…光ファイバ用ガラス母材 2,5,7,9,13…酸水素火炎バーナー 3,17…排気口 4…コア 6,8,10,15…クラッド層 11…出発材 12…チャック 14…バーナー炎 15…光ファイバ用ガラス母材 16…クラッド層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ガスとしてのガラス原料化合物の酸
    水素火炎中での火炎加水分解により発生させたガラス微
    粒子を石英ガラス棒などの担体上に堆積して得たコア、
    クラッドよりなる多孔質ガラス母材を、脱水透明ガラス
    化して得た光ファイバ用透明石英ガラス母材を出発材と
    し、この出発材の外周部に原料ガスとしてのけい素化合
    物の酸水素火炎中での火炎加水分解で発生させたガラス
    微粒子を当該酸水素火炎中で直接溶融して透明ガラスと
    して堆積することを特徴とする光ファイバ用ガラス母材
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 出発材としての光ファイバ用透明石英ガ
    ラス母材の外径がコア径の 1.5倍以上、8倍以下のもの
    である請求項1に記載した光ファイバ用ガラス母材の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012062240A (ja) * 2010-08-19 2012-03-29 Fujikura Ltd 光ファイバ母材の製造方法及び光ファイバの製造方法

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