JPH0718381A - 深絞り性の優れた冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

深絞り性の優れた冷延鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JPH0718381A
JPH0718381A JP16256293A JP16256293A JPH0718381A JP H0718381 A JPH0718381 A JP H0718381A JP 16256293 A JP16256293 A JP 16256293A JP 16256293 A JP16256293 A JP 16256293A JP H0718381 A JPH0718381 A JP H0718381A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel sheet
deep drawability
cold
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP16256293A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3273383B2 (ja
Inventor
Shiro Sayanagi
志郎 佐柳
Hidekuni Murakami
英邦 村上
Takehide Senuma
武秀 瀬沼
Yasuhiko Yamashita
康彦 山下
Masayuki Matsuda
真之 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP16256293A priority Critical patent/JP3273383B2/ja
Publication of JPH0718381A publication Critical patent/JPH0718381A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3273383B2 publication Critical patent/JP3273383B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、深絞り性が優れた非時効性冷延鋼
板およびその製造方法を提供する。 【構成】 C:0.0015%以下、Mn:0.40%
以下、P:0.020%以下、Al:0.080%以
下、N:0.0050%以下、Ti:0.005〜0.
020%を含有し、かつ3.42N+S/16(Mn+
0.10)<Ti<10N+S/8(Mn+0.10)
を満足し、しかもTiN析出サイズが0.01〜0.1
0μm の深絞り性の優れた冷延鋼板およびおよびその製
造方法。 【効果】 非時効性で面内異方性が小さく、深絞り性、
二次加工性が優れた鋼板を熱延捲取温度に依存すること
なく、Ti、Nb等を多量に添加しなくても製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低コストで製造可能な深
絞り性が優れた非時効性冷延鋼板とその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来技術】深絞り性が優れ、かつ非時効性の冷延鋼板
は従来、低炭素Alキルド鋼を箱焼鈍する方法、あるい
は高温捲取した低炭素Alキルド鋼を連続焼鈍で製造す
る方法で製造されていた。箱焼鈍で製造すると加熱速度
を制御する必要があり、生産性が悪くなり、またコイル
の長手方向の材質変動が大きいという欠点がある。一
方、連続焼鈍で製造する方法も深絞り性が不十分な上、
時効による材質劣化も大きいという欠点がある。
【0003】これらの欠点を克服する方法として極低炭
素鋼にTi、Nb等の炭窒化物形成元素を添加して固溶
C、Nを固定無害化した鋼(以下IF鋼)を連続焼鈍す
る方法が多数提案されている。Ti添加鋼に関するもの
として、C、N、Al、Mn、Pを特定した鋼にTiを
添加する技術を開示した特開昭58−42752号公報
がある。この技術は非時効で深絞り性が優れた冷延鋼板
を連続焼鈍で製造できるという優れた特徴がある。しか
し、Ti添加によりコストが高くなり、また再結晶温度
が高くなるので、高温焼鈍が必要となり、連続焼鈍では
ヒートバックルが発生し易く、板形状の悪化、表面性状
の劣化等の生産性を著しく阻害する問題点がある。また
C、Nを完全にTiC、TiN析出物として固定するた
め二次加工割れが生じ易く、またメッキ密着性が悪いと
いう短所も有する。
【0004】一方、C、Nとの結合力がTiより弱いN
bを添加する方法も多数提案されており、この技術を開
示したものとして例えばNbを添加した鋼を溶鋼で脱炭
し、かつ連続鋳造条件を規定した特開昭58−8195
2号公報が有る。この技術によっても深絞り性が優れ、
かつ非時効冷延鋼板が連続焼鈍で製造できるが、合金添
加によるコスト上昇や、Nbが再結晶抑制効果が大であ
ることに起因する再結晶温度の上昇という問題があり、
この鋼を連続焼鈍する場合には前記の高温焼鈍による欠
点は避け得ない。
【0005】IF鋼は以上の欠点の他にC、Nを完全に
固定しているので、鋼板を加工した後に塗装焼付性がほ
とんど零のため従来鋼に比較して強度が弱いという欠点
も指摘されている。前記の低強度という欠点を克服する
方法としてNb、Ti等を添加せず低N化、低P化によ
り深絞り性、張出性等の加工性を付与する技術を開示し
た特開昭56−146348号公報記載のものがある。
この方法は低温連続焼鈍を可能とし、高温焼鈍に起因す
る欠点を克服できる優れた技術であるが、一方、低温焼
鈍化を可能にした高純化が結晶粒成長性を高めているた
め、箱焼鈍を行うとコイル位置による材質バラツキが異
常に大きくなり、歩留りが大幅に低下する。また面内異
方性が大きいという欠点もある。また連続焼鈍で製造す
る場合も熱延捲取後の熱履歴差に起因する材質バラツキ
を完全になくすことができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の従来技
術の問題点を解消するものであり、鋼を極低炭素化する
こと、S、N、Mnの関係で特定した少量のTiを添加
すること、連続鋳造の引抜速度を特定すること、熱延条
件、冷間圧延率を規定することにより深絞り性が優れた
非時効性冷延鋼板およびその製造方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記したように
極低炭素化とN、S、Mn量で規定される微量Tiを添
加することにより深絞り性が優れた非時効性冷延鋼板が
得られるという基本技術思想に基づくもので、その要旨
とするところは下記のとおりである。 (1)重量%でC:0.0015%以下、Mn:0.4
0%以下、P:0.020%以下、Al:0.080%
以下、N:0.0050%以下、Ti:0.005〜
0.020%を含有し、かつ3.42N+S/16(M
n+0.10)<Ti<10N+S/8(Mn+0.1
0)を満足し、TiN析出サイズが0.01〜0.10
μmであることを特徴とする深絞り性の優れた冷延鋼
板。
【0008】(2)重量%でC:0.0015%以下、
Mn:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
0.080%以下、N:0.0050%以下、B:0.
0010%以下、Ti:0.005〜0.020%を含
有し、かつ3.42N+S/16(Mn+0.10)<
Ti<10N+S/8(Mn+0.10)を満足し、T
iN析出サイズが0.01〜0.10μmであることを
特徴とする深絞り性の優れた冷延鋼板。
【0009】(3)重量%でC:0.0015%以下、
Mn:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
0.080%以下、N:0.0050%以下、Ti:
0.005〜0.020%を含有し、かつ3.42N+
S/16(Mn+0.10)<Ti<10N+S/8
(Mn+0.10)を満足する組成の鋼を、引抜速度:
0.7〜2.5m/分で連続鋳造し、Ar3 点以上の温
度で熱間圧延し、引き続いて60%以上の圧下率で冷間
圧延し、再結晶焼鈍してTiN析出サイズを0.01〜
0.10μmとすることを特徴とする深絞り性の優れた
冷延鋼板の製造方法。
【0010】(4)重量%でC:0.0015%以下、
Mn:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
0.080%以下、N:0.0050%以下、B:0.
0010%以下、Ti:0.005〜0.020%を含
有し、かつ3.42N+S/16(Mn+0.10)<
Ti<10N+S/8(Mn+0.10)を満足する組
成の鋼を、引抜速度:0.7〜2.5m/分で連続鋳造
し、Ar3 点以上の温度で熱間圧延し、引き続いて60
%以上の圧下率で冷間圧延し、再結晶焼鈍し、TiN析
出サイズを0.01〜0.10μmとすることを特徴と
する深絞り性の優れた冷延鋼板の製造方法。
【0011】(5)重量%でC:0.0015%以下、
Mn:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
0.080%以下、N:0.0050%以下、Ti:
0.005〜0.020%を含有し、かつ3.42N+
S/16(Mn+0.10)<Ti<10N+S/8
(Mn+0.10)を満足する組成の鋼を、引き抜き速
度:0.7〜2.5m/分で連続鋳造し、Ar3 点以上
の温度で熱間圧延を終了し、最終圧延スタンドを出てか
ら1.0秒以内に30℃/秒以上の冷却速度で冷却し、
引き続いて脱スケール後に60%以上の圧下率で冷間圧
延し、再結晶焼鈍し、TiN析出サイズを0.01〜
0.10μmとすることを特徴とする深絞り性の優れた
冷延鋼板の製造方法。
【0012】(6)重量%でC:0.0015%以下、
Mn:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
0.080%以下、N:0.0050%以下、B:0.
0010%以下、Ti:0.005〜0.020%を含
有し、かつ3.42N+S/16(Mn+0.10)<
Ti<10N+S/8(Mn+0.10)を満足する組
成の鋼を、引き抜き速度:0.7〜2.5m/分で連続
鋳造し、Ar3 点以上の温度で熱間圧延を終了し、最終
圧延スタンドを出てから1.0秒以内に30℃/秒以上
の冷却速度で冷却し、引き続いて脱スケール後に60%
以上の圧下率で冷間圧延し、再結晶焼鈍し、TiN析出
サイズを0.01〜0.10μmとすることを特徴とす
る深絞り性の優れた冷延鋼板の製造方法。
【0013】以下本発明を詳細に説明する。まず前記従
来技術の欠点を克服する方法について実験室、実機試験
を重ねた結果、下記の知見を得た。C量と冷延焼鈍後の
時効性を検討した結果、Alキルド鋼においてはC量が
15ppm以下で実用上問題のない非時効性鋼板が得ら
れ、10ppm以下にすれば完全な非時効性鋼板が得ら
れる。
【0014】しかし、単にCを下げただけでは深絞り
性が不十分であり、材質への熱延捲取温度依存性が大
きいという2つの欠点が残る。すなわち、については
深絞り性の指標であるr値は高いが面内異方性が大き
く、深絞り用部品への適用が出来ないということであ
り、の熱延捲取温度依存性が大きいという欠点は捲取
後の熱履歴の変化による製品のコイル長手方向、幅方向
の材質変動が大きくなることにより、歩留りを低下させ
るというものである。また低温捲取を実施すると再結晶
温度が高くなり、高温焼鈍が必須となり、高温焼鈍によ
る先述のヒートバックル発生、板形状悪化、表面性状劣
化等の問題点が残る。
【0015】面内異方性が大きい理由は冷間圧延前の結
晶粒が大きいこと、冷間圧延中に固溶C、Nが存在し、
特に固溶Nは再結晶焼鈍の初期にAlNクラスターが特
定の結晶粒界に優先的に形成することの2つに起因する
ことが分かった。低温捲取を実施した場合の再結晶温度
が高い原因は冷間圧延前の結晶粒が大きいことと固溶N
が存在することに起因することが分かった。
【0016】固溶Nの影響を無くするにはNをTiNと
して析出させれば良く、また固溶Cは熱延板の結晶粒を
細粒化すれば、実質的に悪影響をおよぼさないことが分
かった。すなわちTiN析出サイズを0.01〜0.1
0μmに制御することで熱延板結晶粒粗大化が防止でき
ると同時に再結晶中のAlN析出を無くすることがで
き、固溶Cの悪影響も除くことができることを知見し
た。これにより面内異方性を小さくでき、同時に再結晶
温度も低下させることができる。
【0017】TiNを冷間圧延前に熱延時の捲取温度に
依存することなく0.01〜0.10μmのサイズで析
出させるためには、N、S、Mn量によって決まるTi
量と連続鋳造時の引抜温度を特定することで得られるこ
とを知見した。すなわちTi:0.005〜0.020
%、かつ3.42N+S/16(Mn+0.10)<T
i<10N+S/8(Mn+0.10)の関係を満足す
るTiを添加し、連続鋳造時の引抜速度:0.7〜2.
5m/分を両立することで可能である。これにより従来
技術の欠点を克服することが可能になる。引抜速度とT
i添加量が本発明範囲の場合のみ、その組み合わせ効果
で再結晶温度、熱延板結晶粒粗大化防止に最適なAlN
析出サイズが得られる。
【0018】Cは前記した様に非時効化、鋼板の良好な
加工性を得るため0.0015%以下にする必要があ
る。すなわち、TiN析出サイズを0.01〜0.10
μmに制御しても0.0015%超になると固溶Cの悪
影響を無くすることができず、面内異方性が大きくな
り、深絞り性が良好とならない。好ましくは同様の理由
から0.0010%以下である。
【0019】Mnは従来から不可避的に混入するSに起
因する熱間脆性を回避するため、0.05%以上添加す
ることが好ましい。上限は延性、深絞り性を確保するた
め0.40%下にする必要がある。Pは鋼板を硬質化す
る元素であることが良く知られており、鋼板の加工性を
良好にするためには0.020%以下にする必要があ
る。
【0020】Sは熱間脆性の原因となる元素であること
が良く知られているが、Mn、Ti等の硫化物形成元素
と結合し、析出物を形成するので特に特定する必要とし
ないが、これらの析出物が多くなりすぎると延性が劣化
するので0.015%以下とする方が好ましい。Alは
脱酸材として必要な元素である。このため0.005%
以上は添加する必要がある。Al添加量が多くなると鋼
板が硬質化するので上限を0.080%に特定した。
【0021】NはAlN、TiNとして析出し、再結晶
温度上昇、結晶粒成長を抑制し、深絞り性を良好とする
のを害するので低いほど好ましい。この理由から0.0
050%以下を特定した。好ましい範囲は0.0030
%以下である。Tiは、深絞り性の捲取温度依存性を少
なくする、面内異方性を小さくする、再結晶温度を低め
るために0.005〜0.020%で、かつ3.42N
+S/16(Mn+0.10)<Ti<10N+S/8
(Mn+0.10)を満足する必要がある。好ましくは
同様の理由から0.005〜0.020%で、かつ3.
42N+S/8(Mn+0.10)<Ti<10N+S
/8(Mn+0.10)を満足する範囲とする。
【0022】Bは従来から結晶粒界に偏析し、粒界強度
を高める元素であることからプレス加工後の二次加工性
を改善するために添加されることがよく知られている。
本発明鋼はCを固定するのに十分な量のTiを添加しな
いので二次加工性は優れているが、特に二次加工性を必
要とする場合は0.0010%以下の範囲で添加され
る。
【0023】このような組成の鋼は転炉−真空脱ガス炉
で溶製される。溶製された溶鋼は連続鋳造でスラブとさ
れるが、連続鋳造の引抜速度は重要である。引抜速度が
0.7m/分未満になると本発明範囲の鋼組成でもTi
N析出サイズが0.10μm超と大きくなり、再結晶温
度低下には効果があるが、熱延板結晶粒粗大化防止には
効果がなくなり、本発明の特徴を発揮できなくなる。一
方、引抜速度が2.5m/分超になるとTiN析出サイ
ズが0.01μm未満と小さくなるか、あるいは十分析
出せず、再結晶温度が高くなり、面内異方性が劣化す
る。このため連続鋳造の引抜速度は0.7〜2.5m/
分にする必要がある。好ましい範囲は再結晶温度を低
め、面内異方性を小さく、しかも深絞り性を良好とする
ために0.8〜2.0m/分とする。
【0024】このようにして造られたスラブは熱延され
るが、本発明の方法では熱延加熱温度により、材質特性
が影響されないので、熱延仕上温度はAr3 点温度以上
を確保できれば何度でも良い。また深絞り性を高め、面
内異方性を良好とするには仕上げ最終スタンドで20%
以上の圧下率、あるいは最終2スタンドでの累積圧下率
を40%以上とすることが好ましい。熱延仕上温度は通
板性、材質バラツキ低減、良深絞り性確保のためAr3
点温度以上にする必要がある。熱延の最終スタンドを出
てから1.0秒以内に30℃/秒以上の強制冷却をする
と、面内異方性のさらなる改善と深絞り性の向上が達成
され得ると同時に再結晶温度を下げることもできる。
【0025】捲取温度による材質変化が本発明の方法で
はほとんどないので、高温捲取でも低温捲取でもかまわ
ない。高温捲取を行うとスケールが厚くなり、酸洗の生
産性を低下せしめるので本発明では650℃以下の範囲
で主に実施している。熱延された鋼板は脱スケール後に
冷間圧延される。冷延圧下率は深絞り性を良好とするた
めに60%以上とする必要がある。好ましい範囲は同様
の理由から70%以上である。
【0026】焼鈍は連続焼鈍でも箱焼鈍でもかまわない
が、本発明の効果は連続焼鈍で顕著である。焼鈍温度は
再結晶温度以上にすることが深絞り性を確保するために
必要である。本発明の方法は従来のIF鋼のように再結
晶温度が高くないので、650〜800℃の範囲で実施
しているが、もちろん800℃超の高温で焼鈍すればよ
り優れた深絞り性、張出特性を備えた鋼板が得られる。
再結晶焼鈍後の冷却速度は早くても遅くても本発明の特
徴を損なわないので、過時効処理を行っても、溶融亜鉛
めっき、合金化溶融亜鉛めっきしても良い。
【0027】箱焼鈍する場合もTiNの析出サイズを制
御しているので、最外周のように温度が高くなる部分で
も異常に結晶粒が大きくなることはなく、歩留りが低下
するようなことはない。焼鈍された鋼板は必要に応じ
て、調質圧延され、製品に供される。容器用等に用いら
れるブリキ、ティンフリースチールは本発明の方法でT
−1の軟質鋼板が製造可能であるので、調質圧延により
テンパー度を制御する従来技術を応用すれば全グレード
のブリキが調質圧延工程のみで造り分けられる。高い圧
延率で調質圧延を行うと製品の延性が小さくなり製缶時
のフランジ加工性が劣化することがあるが、本発明の場
合、40%以内の冷延圧下率ではフランジ加工時に割れ
が発生しない。またDI成形時の耳発生も小さくするこ
とが可能である。
【0028】尚、本発明の鋼板は冷延鋼板のみならず、
亜鉛、錫、鉛合金、亜鉛合金、アルミニウム、クロム等
のめっき鋼板の原板まで対象範囲とすることができる。
【0029】
【実施例】表1に示す成分の鋼を転炉溶製−真空脱ガス
処理によって溶製し、表2(表1のつづき)に示す条件
で熱延鋼板を製造した。この熱延板を酸洗後に表3に示
す条件で冷延し、引き続いて再結晶焼鈍し、1.0%の
調質圧延を施した後、材質特性を調査した。その結果を
同3に示す。TiN析出物サイズは熱延板から抽出レプ
リカを作成し、電子顕微鏡観察により測定した。二次加
工性は絞り比2.0の円筒絞りカップを−100℃の円
錐ダイスで抑え、割れの発生したものを×、割れないも
のを○で評価した。肌荒れ性はコイルの最外周からサン
プルをとり、バルジ張出高さ20mmでの表面を観察
し、肌荒れ発生を×、なしを○で評価した。
【0030】コイルNo.A〜Jは本発明範囲の実施例
である。いずれも非時効で高r値、低Δrの優れた深絞
り性、延性を有し、しかも二次加工性が優れた冷延鋼板
が得られることが分かる。また焼付硬化性(BH性)も
確保されている。さらに詳細に見ると、Aは焼鈍温度が
725℃と低い実施例であるが、低温焼鈍にしては高い
El、r値の非時効性冷延鋼板が得られている。一方、
同じ焼鈍条件で成分的には本発明範囲内にあるが、CC
引抜速度が早く、TiNが微細析出し、析出サイズが本
発明範囲外の0.008μmである比較例Oは未再結晶
で材質特性調査試験に耐えられなかった。このように成
分、製造方法を本発明範囲内に特定することにより、低
温焼鈍でも深絞り性の良好な非時効性冷延鋼板が製造で
きることが分かる。
【0031】C、Fは熱延後の冷却開始時間を早めたも
ので、熱延冷却速度を早めてもTiN析出サイズは変化
せず、r値が高く、面内異方性も小さいことが分かる。
G、H、I、JはBを添加した実施例である。B添加し
てもTiN析出サイズは変わらず、面内異方性が小さ
く、r値も高くなっている。Hは箱焼鈍の実施例であ
り、二次加工性も優れ、肌荒れも発生せず、しかも深絞
り性の指標であるr値が高い鋼板が得られている。一
方、成分的には本発明範囲内であるが、製造方法、Ti
N析出サイズが本発明範囲外である箱焼鈍を実施した比
較例のQは面内異方性が大きく、二次加工性が悪く、肌
荒れが発生した。
【0032】本発明範囲を超えてTiを多量に添加した
Lは深絞り性は優れているが、二次加工性が劣ってお
り、BH性もゼロで本発明の目的を達成していない。ま
た成分的には本発明範囲内であるが、CC引抜速度が本
発明範囲外のPは面内異方性が大きく、深絞り性鋼板と
して不十分な特性である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように本
発明によれば非時効性で面内異方性が小さく、深絞り
性、二次加工性の優れた鋼板を熱延捲取温度に依存する
ことなく製造できる。また再結晶温度が低いため、低温
連続焼鈍が可能であり、加えて箱焼鈍のような温度バラ
ツキの大きな焼鈍方法でも深絞り性が良好で、最高温度
点に相当する位置でも肌荒れが発生することなく、前記
特性を具備する冷延鋼板を製造することができるので、
本発明の産業上の有用性は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 康彦 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 松田 真之 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.0015%以下、M
    n:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
    0.080%以下、N:0.0050%以下、Ti:
    0.005〜0.020%を含有し、かつ3.42N+
    S/16(Mn+0.10)<Ti<10N+S/8
    (Mn+0.10)を満足し、TiN析出サイズが0.
    01〜0.10μmであることを特徴とする深絞り性の
    優れた冷延鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%でC:0.0015%以下、M
    n:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
    0.080%以下、N:0.0050%以下、B:0.
    0010%以下、Ti:0.005〜0.020%を含
    有し、かつ3.42N+S/16(Mn+0.10)<
    Ti<10N+S/8(Mn+0.10)を満足し、T
    iN析出サイズが0.01〜0.10μmであることを
    特徴とする深絞り性の優れた冷延鋼板。
  3. 【請求項3】 重量%でC:0.0015%以下、M
    n:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
    0.080%以下、N:0.0050%以下、Ti:
    0.005〜0.020%を含有し、かつ3.42N+
    S/16(Mn+0.10)<Ti<10N+S/8
    (Mn+0.10)を満足する組成の鋼を、引抜速度:
    0.7〜2.5m/分で連続鋳造し、Ar3 点以上の温
    度で熱間圧延し、引き続いて60%以上の圧下率で冷間
    圧延し、再結晶焼鈍してTiN析出サイズを0.01〜
    0.10μmとすることを特徴とする深絞り性の優れた
    冷延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 重量%でC:0.0015%以下、M
    n:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
    0.080%以下、N:0.0050%以下、B:0.
    0010%以下、Ti:0.005〜0.020%を含
    有し、かつ3.42N+S/16(Mn+0.10)<
    Ti<10N+S/8(Mn+0.10)を満足する組
    成の鋼を、引抜速度:0.7〜2.5m/分で連続鋳造
    し、Ar3点以上の温度で熱間圧延し、引き続いて60
    %以上の圧下率で冷間圧延し、再結晶焼鈍し、TiN析
    出サイズを0.01〜0.10μmとすることを特徴と
    する深絞り性の優れた冷延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 重量%でC:0.0015%以下、M
    n:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
    0.080%以下、N:0.0050%以下、Ti:
    0.005〜0.020%を含有し、かつ3.42N+
    S/16(Mn+0.10)<Ti<10N+S/8
    (Mn+0.10)を満足する組成の鋼を、引き抜き速
    度:0.7〜2.5m/分で連続鋳造し、Ar3 点以上
    の温度で熱間圧延を終了し、最終圧延スタンドを出てか
    ら1.0秒以内に30℃/秒以上の冷却速度で冷却し、
    引き続いて脱スケール後に60%以上の圧下率で冷間圧
    延し、再結晶焼鈍し、TiN析出サイズを0.01〜
    0.10μmとすることを特徴とする深絞り性の優れた
    冷延鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 重量%でC:0.0015%以下、M
    n:0.40%以下、P:0.020%以下、Al:
    0.080%以下、N:0.0050%以下、B:0.
    0010%以下、Ti:0.005〜0.020%を含
    有し、かつ3.42N+S/16(Mn+0.10)<
    Ti<10N+S/8(Mn+0.10)を満足する組
    成の鋼を、引き抜き速度:0.7〜2.5m/分で連続
    鋳造し、Ar3 点以上の温度で熱間圧延を終了し、最終
    圧延スタンドを出てから1.0秒以内に30℃/秒以上
    の冷却速度で冷却し、引き続いて脱スケール後に60%
    以上の圧下率で冷間圧延し、再結晶焼鈍し、TiN析出
    サイズを0.01〜0.10μmとすることを特徴とす
    る深絞り性の優れた冷延鋼板の製造方法。
JP16256293A 1993-06-30 1993-06-30 深絞り性の優れた冷延鋼板およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3273383B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16256293A JP3273383B2 (ja) 1993-06-30 1993-06-30 深絞り性の優れた冷延鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16256293A JP3273383B2 (ja) 1993-06-30 1993-06-30 深絞り性の優れた冷延鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0718381A true JPH0718381A (ja) 1995-01-20
JP3273383B2 JP3273383B2 (ja) 2002-04-08

Family

ID=15756952

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16256293A Expired - Lifetime JP3273383B2 (ja) 1993-06-30 1993-06-30 深絞り性の優れた冷延鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3273383B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1411140A1 (de) * 2002-10-15 2004-04-21 ThyssenKrupp Stahl AG Verfahren zum Herstellen eines besonders gut verformbaren kaltgewalzten Stahlbands oder -blechs

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1411140A1 (de) * 2002-10-15 2004-04-21 ThyssenKrupp Stahl AG Verfahren zum Herstellen eines besonders gut verformbaren kaltgewalzten Stahlbands oder -blechs

Also Published As

Publication number Publication date
JP3273383B2 (ja) 2002-04-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7959747B2 (en) Method of making cold rolled dual phase steel sheet
KR100615380B1 (ko) 캔용 강판 및 그 제조방법
US6887590B2 (en) Galvannealed metal sheet and method for manufacture of such metal sheet
JPS59140333A (ja) 2次加工性と表面処理性の優れた深絞り用冷延鋼板の製造方法
EP0659890B1 (en) Method of manufacturing small planar anisotropic high-strength thin can steel plate
JPH08176735A (ja) 缶用鋼板とその製造方法
JP4677914B2 (ja) 軟質缶用鋼板およびその製造方法
JPH06102810B2 (ja) 二次加工性に優れた深絞り用合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法
JP3273383B2 (ja) 深絞り性の優れた冷延鋼板およびその製造方法
JP3773604B2 (ja) 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板又は溶融めっき鋼板用スラブ及びその製造方法
JPH0657337A (ja) 成形性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPS6048571B2 (ja) 深絞り用合金化亜鉛メツキ鋼板の製造法
JP2734867B2 (ja) 成形性と表面性状に優れた薄鋼板の製造方法
US20230407429A1 (en) Plated steel sheet having excellent strength, formability and surface quality, and manufacturing method therefor
CN113950536B (zh) 罐用钢板及其制造方法
JP2718369B2 (ja) 亜鉛めっき用鋼板およびその製造方法
JP3593728B2 (ja) 成形性の優れた極低炭素冷延鋼板の製造方法
JPS6320888B2 (ja)
JP3238460B2 (ja) 深絞り用非時効冷延鋼板の製造法
JPH05271783A (ja) 深絞り用非時効性高強度冷延鋼板の製造法
JPH05214487A (ja) 耐2次加工脆性に優れた深絞り用高強度冷延鋼板およびその製造方法
JPH07316735A (ja) めっき特性及び耐2次加工ぜい性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板並びにその製造方法
JP3300639B2 (ja) 加工性に優れる冷延鋼板およびその製造方法
JPH0525949B2 (ja)
JPH04365814A (ja) 焼付硬化性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20011211

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080201

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090201

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090201

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100201

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100201

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110201

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110201

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120201

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120201

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130201

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130201

Year of fee payment: 11

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130201

Year of fee payment: 11

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130201

Year of fee payment: 11

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130201

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140201

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term