JPH0718373A - 耐食性に優れた高強度鋼材及びその製造方法 - Google Patents
耐食性に優れた高強度鋼材及びその製造方法Info
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- JPH0718373A JPH0718373A JP16223593A JP16223593A JPH0718373A JP H0718373 A JPH0718373 A JP H0718373A JP 16223593 A JP16223593 A JP 16223593A JP 16223593 A JP16223593 A JP 16223593A JP H0718373 A JPH0718373 A JP H0718373A
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Abstract
Mn:2.0%%以下、P :0.05% 以上、0.10% 以下、S :0.
005%以下、Cu:0.10% 以上 0.60%以下、Ni:0.05% 以
上、0.60% 以下、Mo:0.10%以上、0.30% 以下、Cr:0.06
% 以下を含有し、かつ、以下の(A)式を満足し、残部
が鉄及び不可避的不純物からなる組成を有し、フェライ
ト+ベイナイト、フェライト+マルテンサイトのいずれ
かの組織を主体とする耐食性に優れた鋼材。 −175 C−30.2Mn−72.7Cr+125 P+31.3Cu+90.0Mo≧−35 ……(A) 【効果】良好な加工性と優れた耐食性とを兼備した自動
車用高強度熱延鋼板として好適な耐食性に優れた高強度
鋼材及びその製造方法が提供される。
Description
にゲージダウンによる軽量化を目的とした足廻り部品な
どに使用される耐食性に優れた高強度鋼材及びその製造
方法に関する。
や地球環境汚染防止のために車体軽量化により燃費を向
上させることが急務となっている。このための対策とし
て素材である薄鋼板を高強度化してゲージダウンする努
力が進められている。
レス加工されるため、適用される材料には、高強度でか
つ従来材と同等以上の加工性を有することが要求され
る。加えて鉄鋼材料が基本的に錆びることを考慮するな
らば、使用材料のゲージダウンを更に進めるためには耐
食性の向上が重要なポイントとなる。
の高級化とともに長期化しており、自動車メーカーは高
強度で加工性が良く、かつ錆にくい特性の材料を指向し
ているのである。
関しては従来から多くの研究が行われ技術革新がめざま
しいが、耐食性の向上に関しては材料にめっきを施すこ
とが一般的に行われており、材料自体の耐食性向上に関
する研究はあまり多くはない。
は、耐食性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼
板に加工性を付与するものが提案されている(特開昭6
3−149321号や特公昭60−49698号な
ど)。
後、連続溶融亜鉛めっきラインでめっきするため、製造
コストが高くなるという欠点を有しており、また、合金
化溶融亜鉛めっきによる加工性の劣化やアーク溶接時の
ブローホールの発生が避けられず、自動車部品に適用す
るためには、検査補修に多大な時間を要し、これが自動
車製造効率を低下させる要因となっており、従来からそ
の改善が求められていた。
自体の耐食性を向上させようとする試みもなされてお
り、特公昭57−14748号及び特公昭60−958
4号では高耐食自動車用鋼板が提案されている。また、
神戸製鋼技法Vol.42,No.3(1992),p
99では、P−Cu系の540N/mm2 級耐食性熱延
鋼板が発表されている。
26〜0.35%、P:0.005〜0.02%等を含
有する成分系で、高耐食性自動車用鋼板が得られるとし
ている。しかしながらPの含有量が0.02%と低いた
め、鋼板の腐食量及び腐食深さを低減する効果は不十分
である。また、ここでは腐食の評価方法として塩水噴霧
試験を行っているが、この方法は自動車用鋼板の耐蝕性
を評価するには促進性が強すぎ、実環境における耐食性
をシミュレートし得るとは考えにくい。
昭60−9584号のいずれも、自動車製造上不可欠な
加工性に関して十分な配慮がなされていない。さらに、
神戸製鋼技法Vol.42,No.3(1992),p
99では、P,Cuの複合添加により、従来の熱延鋼板
よりも耐食性の優れた鋼板を製造できるとしている。し
かし、これによればP−Cu系の腐食の度合いは従来鋼
の8割程度であり、耐食性改善効果が要求に対して不十
分である。さらにまた、特公昭57−14748号及び
特公昭60−9584では、自動車製造上不可欠な加工
性に関して充分な配慮がなされていない。
法では自動車用鋼板としての耐食性、加工性などの機能
を損なうことなく高強度化によるゲージダウンが可能と
なる鋼板を経済的に得る技術は確立されていない。
であって、良好な加工性と優れた耐食性とを兼備し、自
動車用熱延鋼板として好適な耐食性に優れた高強度鋼材
及びその製造方法を提供することを目的とする。
%で、 C :0.06%以下 Si:1.5%以下 Mn:2.0%以下 P :0.05%以上、0.10%以下 S :0.005%以下 Cu:0.10%以上、0.60%以下 Ni:0.05%以上、0.60%以下 Mo:0.10%以上、0.30%以下 Cr:0.06%以下 を含有し、かつ、以下の(A)式を満足し、残部が鉄及
び不可避的不純物からなる組成を有し、フェライト+ベ
イナイト、フェライト+マルテンサイトのいずれかの組
織を主体とすることを特徴とする耐食性に優れた高強度
鋼材を提供する。
とも1種をSに対し等量以上になるように含有し、か
つ、以下の(A)式を満足し、残部が鉄及び不可避的不
純物からなる組成を有し、フェライト+ベイナイト、フ
ェライト+マルテンサイトのいずれかの組織を主体とす
ることを特徴とする耐食性に優れた高強度鋼材を提供す
る。
び不可避的不純物からなる組成を有し、フェライト+ベ
イナイト、フェライト+マルテンサイトのいずれかの組
織を主体とすることを特徴とする耐食性に優れた高強度
鋼材を提供する。
変態点以上で仕上げ圧延を行い、圧延終了温度からフェ
ライト生成温度範囲まで50℃/sec以上の冷却速度
で冷却し、その後5秒以上空冷又は保持し、その後50
0℃以下まで50℃/sec以上の冷却速度で冷却し、
500℃以下の温度であってベイナイト変態温度領域又
はMS 点以下の温度で巻取り、組織をフェライト+ベイ
ナイト、又はフェライト+マルテンサイトを主体とする
ものにすることを特徴とする耐食性に優れた高強度鋼材
の製造方法を提供する。
Cr,P,Cu,Moは、これら各元素の重量%を示す
ものである。本願発明者らは、前記課題を解決するため
に、鋼材の耐食性について種々の成分系に対する詳細な
検討の結果、P−Cu系では最大腐食深さで従来鋼の8
割程度までしか改善されないことを把握した。その結果
を踏まえてさらに検討を重ねた結果、さらに耐食性を向
上させるためには、P,Cuの共存下でMoを0.10
%以上含有させることが極めて有効であることを見出し
た。すなわち、Moを適量添加することにより最大腐食
深さが従来鋼の6割以下となり、耐食性の改善効果が極
めて大きい。これらの検討結果から、成分組成範囲を上
記特定の範囲に規定すると共に、前述の(A)式を満足
する組成を有し、フェライト+ベイナイト、フェライト
+マルテンサイトのいずれかを主体とする組織を有すれ
ば、加工性を損なうことなく耐食性の優れた高強度の鋼
材を得ることができることを見出した。また、このよう
な組織及び機械的特性を有する鋼材は、圧延終了後の冷
却速度、及び巻取温度を特定範囲に規定することにより
製造することができることを見出した。上記構成を有す
る本発明は、本願発明者らのこのような知見に基づいて
なされたものである。
ず本発明に係る鋼板の化学成分の組成範囲の限定理由を
説明する。 C: Cは、耐食性に関し悪影響を及ぼす元素の1つで
あり、腐食減量、最大浸食深さの増加に結び付く。同時
に、溶接性の観点からも望ましくない元素である。した
がって、Cは強度確保に必要な最低限の添加量とする必
要があり、その観点からCの含有量は0.06%以下に
規定される。下限については特に規定しないが、ベイナ
イト又はマルテンサイトによる変態強化を利用して高い
強度を得るためには、その含有量が0.02%以上であ
ることが望ましい。
フェライトを固溶強化し、強度−加工性のバランスを高
くする作用を有する。固溶強化元素として利用する場合
には、要求される強度レベルに応じて添加すべきであ
り、下限は特に規定しない。一方、Siは耐食性に対し
ては無害であるが、1.5%を超える過剰な添加は表面
のスケール性状および溶接性を劣化させる。このような
観点からSiの含有量は1.5%以下に規定される。
は特に規定しないが、固溶強化元素として利用する場合
には、要求される強度レベルに応じて添加すべきであ
り、その含有量は0.5%以上であることが望ましい。
一方、Mnはその含有量が2.0%を超えると耐食性に
対し悪影響を及ぼす。さらに、2.0%を超える添加は
溶接性の面からも望ましくない。従って、Mnの含有量
を2.0%以下に規定する。
素のひとつであり耐食性の向上と高強度化に作用する。
特に、孔食に対する腐食速度を著しく低下させる。この
ような作用を果たすためには0.05%以上必要であ
る。しかしながらPを0.10%を超えて添加すると粒
界に偏析し、2次加工脆性を発生し易くする。従って、
Pの含有量を0.05%以上、0.10%以下に規定す
る。
し加工性、特に伸びフランジ性を低下させる不純物元素
であるため極力低減することが望ましい。さらにMnS
は鋼板が腐食する環境において溶出しやすい介在物であ
り耐食性に悪影響を及ぼすため、このような介在物を生
成する元素であるSは極力低減させることが重要であ
る。このように材料の耐食性はS量の低減とともに向上
するが、製鋼での経済性を考慮してSの含有量を0.0
05%以下に規定する。
な元素のひとつであり耐食性の向上に作用する。P及び
Cuの複合添加により従来の鋼材よりも耐食性の優れた
鋼材を製造できることは前述の神戸製鋼技法Vol.4
2,No.3(1992),p99でも述べられている
が、本願発明者らは、種々の成分系を検討した結果、P
−Cu系にMoを複合添加することにより、耐食性、特
に耐孔食性を向上させ得るという知見を得た。実環境を
シミュレートするため、促進試験としては比較的マイル
ドな試験方法(0.5%塩水噴霧を含む乾湿繰り返し試
験)により長期の評価を行った結果、P−Cu系でも耐
食性が確実に向上するが、P,Cu共存下で0.1%以
上のMoを複合添加することにより、最大腐食深さ比が
20%以上改善されることが判明した。Mo含有量の増
加に伴い耐食性は向上するがその含有量が0.10%未
満ではその効果が不十分である。一方、過度の添加は無
意味であると共に不経済である。このため、0.30%
をその含有量の上限とした。
において最も有効な元素の一つであり、Pとの複合添加
により耐食性の向上に作用する。特に孔食に対する腐食
速度を著しく低下させる。このような作用を発揮するた
めにはその含有量を0.10%以上にする必要がある。
しかしながら過剰に添加すると、熱間圧延において赤熱
脆化により表面疵が発生する。これはNiの添加で防止
できるが、Cu、Niいずれも合金コストを高くする。
これらを考慮してその含有量の上限を0.60%に規定
する。
加量を高めた場合に発生する赤熱疵化を防止する作用を
有する。赤熱疵化の防止に有効な量はCu含有量の1/
2以上である。しかし、Cu含有量を超えた添加は無意
味であると同時に不経済である。従って、Niの含有量
は0.05%以上、0.60%以下に規定される。
環境下においては孔食をもたらす元素であり、耐食性の
観点からは好ましくない。製造上不可避的に入ってきた
場合には、耐食性に影響を及ぼさない範囲、即ち0.0
6%以下とする必要がある。
ることもできる。 Nb: Nbは組織の微細化に有効な添加元素である。
加工性を損なわずに高い強度を得るためには、組織の微
細化が有効である。このような微細化効果を発揮するた
めには、その含有量を0.005%以上とする必要があ
る。一方、0.020%を超えて多量に添加しても、組
織微細化の効果は飽和し、無意味であると同時に不経済
である。従って、Nbの含有量は0.020%以下に抑
える必要がある。
素を含有させることにより、耐食性に悪影響を及ぼすM
nSを低減させることができる。また、硫化物の形態制
御という観点からもこれらの元素の添加は有効であり、
伸びフランシ性を向上させることができる。このような
効果を発揮するためには、これらの合計がSに対して等
量以上である必要がある。従って、これらを含有させる
場合には、Sに対して等量以上とする。なお、REMは
希土類金属元素を示す。
不純物は鋼の特性に実質的に影響を及ぼさない量である
限り許容される。次に組織の限定理由について説明す
る。
い、パーライト等粗大な炭化物を含む組織は耐食性、特
に腐食深さに対し悪影響を及ぼすという知見を得た。従
って、本発明ではパーライト等の粗大な炭化物を含む組
織を除いた組織を対象としている。具体的には、フェラ
イト+ベイナイト、フェライト+マルテンサイトのいず
れかを主体とした組織を対象とし、微細な炭化物のみを
許容する。
の限定に加え、以下の条件式(A)を満足することを要
件としている。すなわち、上述のように成分組成及び組
織を限定しただけでは必ずしも十分な耐食性が得られな
い場合があるが、条件式(A)を満足する組成を有すれ
ば確実に良好な耐食性を得ることができるのである。こ
れらの式は、本願発明者らが確実に良好な耐食性を得る
ことができる組成範囲を見出すべく膨大な量の腐食試験
を実施した結果導かれたものである。
各元素の重量%を示す。)次に熱間圧延条件について説
明する。
化し、かつその組織を加工組織としておくことで、圧延
に引き続く冷却の際に、変態して形成されるフェライト
組織を微細均一化し、耐食性を向上することに作用す
る。粒度番号10以上の微細フェライトを得るために
は、連続仕上げ熱間圧延での圧下量を80%以上とする
必要がある。さらに90%以上が好ましい。上限は特に
規定しないが圧延機の能力により決定されおよそ98%
程度である。
一化するためには低温であることが望ましい。しかし、
Ar3 以下とすると加工フェライトが発生し加工性を劣
化させる。従って、仕上圧延温度はAr3 点以上に規定
する。仕上げ圧延の開始温度については特に限定される
ものではないが、組織の微細均一化を図るためには低温
であることが望ましい。通常の連続圧延で圧下量を80
%以上とするためにはAr3 +100〜300℃程度と
なる。
50℃/sec以上の冷却速度で冷却することは、粒度
番号10以上の微細フェライトを得るために必要であ
る。さらに、耐食性を確保するために必要な添加元素で
あるPは500〜600℃の範囲で結晶粒界に偏析し加
工性を極端に劣化させる。そのため、この偏析温度範囲
でPの偏析を回避するためには冷却速度を50℃/se
c以上とする必要がある。冷却速度の上限は特に限定さ
れるものではなく、圧延機の能力により決定され、通常
500℃/sec程度である。
ライト+マルテンサイトにするためには、上記冷却速度
でフェライト生成温度範囲まで冷却し、その温度範囲に
て5秒以上空冷又は保持し、その後500℃以下まで5
0℃/sec以上の冷却速度で冷却する。
ンジ性、張り出し性、耐2次加工脆化などの加工性の向
上のために制御する必要がある。巻取り温度が500℃
を超えるとPの粒界への偏析が生じ、加工性が劣化す
る。そのため巻取り温度の上限を500℃とする。組織
をフェライト+ベイナイトにする場合には、巻取り温度
をベイナイト変態温度領域にする必要があり、フェライ
ト+マルテンサイトにする場合には、マルテンサイト変
態温度領域にする必要がある。更に、材料特性として伸
びフランジ性が必要とされる場合には、スキンパス圧延
を伸張率0.5〜3.0%の範囲で加えることも可能で
ある。
する。表1に示す化学成分の鋼を溶製した。このうち番
号1から番号20までが本発明に規定する成分・組成及
び組織を満足する鋼であり、番号21から32までが本
発明の範囲外の比較鋼である。
ベイナイト(F+B)、フェライト+マルテンサイト
(F+M)のいずれかの組織になるように、仕上げ圧延
温度を830〜900℃、巻き取り温度を500℃以下
とした制御圧延を行い、板厚2.0〜3.2mmの薄鋼
板を製造した。番号21〜32の比較鋼については、仕
上げ圧延温度をAr3 点以上とし、冷却速度、巻取温度
は特に制御せず、通常の圧延・冷却を行って板厚2.0
〜3.2mmの薄鋼板とした。その際に得られた組織の
同定の結果も表1に併記した。
を用いて表2に示す腐食条件の腐食試験を240サイク
ルまで実施し、その後表面に発生した錆を酢酸2アンモ
ニウムで除去後、最大腐食深さをポイントマイクロメー
タで調査した。
は、このような最大腐食深さが従来使用されてきた一般
の材料の60%以下であることが必要であるため、比較
鋼として用いた商用鋼である番号21の最大腐食深さの
値を100として、最大腐食深さ比をとり、その値によ
って耐食性を評価した。この値が60を超えた場合には
耐食性が不十分とし、この値が60以下の場合には耐食
性が十分であるとした。その結果を表1に併せて示す。
表1では、各鋼の最大腐食深さ比の値と、耐食性試験の
判定結果(耐食性十分の場合は○、耐食性不十分の場合
は×で示す)を示した。
(番号1〜20)はいずれも最大腐食深さ比が60以下
であり耐食性○の判定であったが、本発明の範囲から外
れる比較鋼はいずれも最大腐食深さ比が60を超え、耐
食性の判定は×であった。
る。図1は横軸に条件式(A)の値をとり、縦軸に最大
腐食深さ比の値をとって、各鋼におけるこれらの値をプ
ロットしたものである。図中で白抜きが本発明鋼であ
り、黒く塗り潰されているのが比較鋼である。また、黒
塗りのうち丸印が従来の商用鋼、三角印がP−Cu系の
鋼で、かつ組織が本発明鋼と同様フェライト+ベイナイ
トからなるもの、四角印が本発明に規定する成分範囲を
満たし、かつ計算式(A)を満たしているが、組織がフ
ェライト+パーライトのものである。この図から、本発
明で規定する成分範囲を満たし、かつ計算式(A)を満
たし、さらに組織がフェライト+ベイナイト、フェライ
ト+マルテンサイトである本発明鋼は、いずれも充分な
耐食性を有していることが明確に確認される。これに対
して、比較鋼のうち三角印で示したP−Cu系フェライ
ト+ベイナイト鋼は確かに従来鋼と比較して良好な耐食
性を示すが、Moを添加した本発明鋼は、P−Cu系フ
ェライト+ベイナイト鋼をさらに2割程度上回る高い耐
食性を有しており、P及びCuの複合添加のみでは充分
な耐食性が得られないことは明らかである。また、本発
明鋼の成分範囲と条件式(A)を満たしてもパーライト
を含む組織の場合には、本発明鋼と比較して最大腐食深
さが大きく、組織制御が重要であることが確認された。
に比べ明らかに優れていることが確認された。また、上
述したように条件式(A)を導入することにより、耐食
性の実験結果を正確に評価することができ、本発明にお
いて初めて見出された条件式(A)に基づいて鋼の耐食
性を充分な精度で評価することができることが確認され
た。
好な加工性と優れた耐食性とを兼備した自動車用高強度
熱延鋼板として好適な耐食性に優れた高強度鋼材及びそ
の製造方法が提供される。本発明の鋼材を熱延鋼板に適
用する場合には、従来の熱延鋼板と比較して、耐食性の
優れた自動車用熱延鋼板を低コストでかつ安定して製造
することができ、自動車業界で注目されている自動車の
長寿命化、安全性の向上に対して充分貢献でき、本発明
は工業上極めて有用である。
(A)と最大腐食深さ比との関係を示す図。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.06%以下 Si:1.5%以下 Mn:2.0%以下 P :0.05%以上、0.10%以下 S :0.005%以下 Cu:0.10%以上、0.60%以下 Ni:0.05%以上、0.60%以下 Mo:0.10%以上、0.30%以下 Cr:0.06%以下 を含有し、 かつ、以下の(A)式を満足し、残部が鉄及び不可避的
不純物からなる組成を有し、フェライト+ベイナイト、
フェライト+マルテンサイトのいずれかの組織を主体と
することを特徴とする耐食性に優れた高強度鋼材。 −175 C−30.2Mn−72.7Cr+125 P+31.3Cu+90.0Mo≧−35 ……(A) (ただし、C,Mn,Cr,P,Cu,Moは、これら
各元素の重量%を示す。) - 【請求項2】 重量%で、 C :0.06%以下 Si:1.5%以下 Mn:2.0%以下 P :0.05%以上、0.10%以下 S :0.005%以下 Cu:0.10%以上、0.60%以下 Ni:0.05%以上、0.60%以下 Cr:0.06%以下 Mo:0.10%以上、0.30%以下 を含有し、 さらに、Ca、Ti、Rem、Zrの少なくとも1種を
Sに対し等量以上になるように含有し、 かつ、以下の(A)式を満足し、残部が鉄及び不可避的
不純物からなる組成を有し、フェライト+ベイナイト、
フェライト+マルテンサイトのいずれかの組織を主体と
することを特徴とする耐食性に優れた高強度鋼材。 −175 C−30.2Mn−72.7Cr+125 P+31.3Cu+90.0Mo≧−35 ……(A) (ただし、C,Mn,Cr,P,Cu,Moは、これら
各元素の重量%を示す。) - 【請求項3】 重量%で、 C :0.06%以下 Si:1.5%以下 Mn:2.0%以下 P :0.05%以上、0.10%以下 S :0.005%以下 Cu:0.10%以上、0.60%以下 Ni:0.05%以上、0.60%以下 Mo:0.10%以上、0.30%以下 Cr:0.06%以下 Nb:0.005%以上、0.020%以下 を含有し、 かつ、以下の(A)式を満足し、残部が鉄及び不可避的
不純物からなる組成を有し、フェライト+ベイナイト、
フェライト+マルテンサイトのいずれかの組織を主体と
することを特徴とする耐食性に優れた高強度鋼材。 −175 C−30.2Mn−72.7Cr+125 P+31.3Cu+90.0Mo≧−35 ……(A) (ただし、C,Mn,Cr,P,Cu,Moは、これら
各元素の重量%を示す。) - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に示す組
成の鋼を熱間圧延し、Ar3 変態点以上で仕上げ圧延を
行い、圧延終了温度からフェライト生成温度範囲まで5
0℃/sec以上の冷却速度で冷却し、その後5秒以上
空冷又は保持し、その後500℃以下まで50℃/se
c以上の冷却速度で冷却し、500℃以下の温度であっ
てベイナイト変態温度領域又はMS 点以下の温度で巻取
り、組織をフェライト+ベイナイト、又はフェライト+
マルテンサイトを主体とするものにすることを特徴とす
る耐食性に優れた高強度鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16223593A JP3353392B2 (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 耐食性に優れた高強度鋼材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16223593A JP3353392B2 (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 耐食性に優れた高強度鋼材及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0718373A true JPH0718373A (ja) | 1995-01-20 |
JP3353392B2 JP3353392B2 (ja) | 2002-12-03 |
Family
ID=15750548
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16223593A Expired - Lifetime JP3353392B2 (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 耐食性に優れた高強度鋼材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3353392B2 (ja) |
Cited By (3)
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EA013946B1 (ru) * | 2005-05-25 | 2010-08-30 | Родольфо Дафико Бернардес Де Оливейра | Композиционные материалы на основе природных алюмосиликатов и наполнителей, смешиваемых в щелочной среде, и технологический процесс их производства |
CN110100033A (zh) * | 2016-12-23 | 2019-08-06 | Posco公司 | 材质偏差小且表面质量优异的高强度热轧钢板及其制造方法 |
CN111321354A (zh) * | 2020-02-19 | 2020-06-23 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种x70m热轧钢带及其制造方法 |
-
1993
- 1993-06-30 JP JP16223593A patent/JP3353392B2/ja not_active Expired - Lifetime
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