JPH0718164B2 - 既製杭の埋設工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、地中に既製杭を埋設する工法に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

地中に既製杭を埋設する従来技術としては、ケーシング
と、このケーシング内に嵌挿したオーガースクリュー
と、前記ケーシングの下端から突出するよう上記オーガ
ースクリューの先端に設けた掘削ヘッドとで構成した掘
削機により地面から地中に向け掘削すると共に、オーガ
ースクリューの軸芯に設けてある通路を利用して掘削ヘ
ッドの先端から地中にセメントミルクなどの固結液を注
入しながらオーガースクリューにより掘削土壌と固結液
とを撹拌混練してソイルセメント状とし、そして上記の
掘削が所定の位置に到達すると、オーガースクリューと
共にケーシングを引き抜き、然るのち、削孔に既製杭を
挿入して埋設する。

なお、上記既製杭の挿入は、固結液の未硬化の内に行な
う。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記のような工法によると、ケーシング内の粘土質土壌
は、破砕されず塊状のまま上方に送られ、オーガースク
リューの羽根やケーシングの周壁内面に付着する。

このため、引き抜いたケーシング及びオーガースクリュ
ーを削孔の位置から離れた位置迄移動させ、然るのち上
記ケーシング及びオーガースクリューを逆回転させる方
法などにより付着粘土質土壌を振り落す作業が必要にな
る。

また、掘削にともない掘削土壌と固結液との撹拌混練物
をオーガースクリューにより上方に送られ、その一部が
ケーシングの上端から削孔外に溢流し、かつ既製杭の挿
入時にも杭の容量のソイルセメントが泥土状となって溢
流するので、多量の産業廃棄物となる問題があった。

そこで、この発明はケーシング外に掘削土壌を排出させ
ると共に、地上に殆ど産業廃棄物が発生しないようにし
た既製杭の埋設工法を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、この発明は下端部に大き
な貫窓を有するケーシングと、このケーシング内に嵌挿
して上記ケーシングの下端から先端の堀削ヘッドを突出
させると共に、上記貫窓の中途から上方所定の範囲のみ
に逆巻き羽根を有するオーガースクリューとで構成した
掘削機により地面から地中の所定深さ迄掘削し、掘削に
ともないケーシング内の正巻き羽根による上昇土壌と逆
巻き羽根による下降土壌との衝突によって塊状物を破砕
し、かつ圧密によって貫窓からケーシング外に土壌を押
し出しながら孔壁を圧密し、そして所定の深さ迄掘削す
るとオーガースクリューの軸芯の通路を利用して根固め
液を注入しながら掘削機を引き上げると共に、根固め液
と土壌とを撹拌混練し、次いで周辺固定液に切替えて掘
削機を引き抜き、然るのち削孔に既製杭を挿入埋設す
る。

〔作用〕

地面から地中への掘削にともないケーシング内の正巻羽
根による上昇土壌と逆巻き羽根による下降土壌との衝突
によって塊状物を破砕し、かつ圧密によって貫窓からケ
ーシング外に土壌を押し出しながら孔壁を圧密し、そし
て所定の深さ迄掘削するとオーガースクリューの軸芯の
通路を利用して根固め液を注入しながら掘削機を引き上
げると共に、根固め液と土壌とを撹拌混練し、次いで周
辺固定液に切替えて掘削機を引き抜き、然るのち、削孔
に既製杭を挿入して埋設する。

〔実施例〕

以下、この発明に係る既製杭の埋設工法を添付図面に基
づいて説明する。

図において、Ａは掘削機である。

上記の掘削機Ａは、第１図に示すように走行車１のリー
ダーマスト２にワイヤ３の巻取り、巻戻しによって昇降
するよう設けた昇降体４と、この昇降体４に上端を支持
させたケーシング５と、このケーシング５の周壁下端部
に設けた大きな貫窓６と、ケーシング５の下端から先端
の掘削ヘッド７が突出するよう上記ケーシング５内に嵌
挿して昇降体４に上端を支持させると共に、上記貫窓６
の途中から上方所定の範囲のみに逆巻き羽根８を有する
オーガースクリュー９とで構成されている。

なお、オーガースクリュー９の軸芯には、通路10が設け
てある。

まず、地面の掘削位置にケーシング５を建て込み、垂直
を確認したのち、第２図に示すようにケーシング５と共
にオーガースクリュー９をドライブしながら地中に向け
掘削する。

上記掘削にともないケーシング５内のオーガースクリュ
ー９の正巻き羽根による上昇土壌は、逆巻き羽根８の部
分に進入するよう押し上げられ、上記押し上げられた土
壌は、逆巻き羽根８により下降する。

その結果、上昇土壌と下降土壌との衝突によって塊状物
を破砕すると共に、衝突にともなう圧密によって貫窓６
からケーシング５外に土壌を押し出しながら削孔11の孔
壁を圧密する。

そして、第３図に示すように地中の所定深さ（支持層）
迄掘削すると、ケーシング５と共にオーガースクリュー
９を引き上げながら、上記オーガースクリュー９の上端
に接続したホース（図示省略）から通路10をへて根固め
液（富配合のセメントミルクなど）Ｓを注入し、上記根
固め液と土壌とをオーガースクリュー９の回転により撹
拌混練し、次いで周辺固定液（根固め液Ｓよりも薄い富
配合のセメントミルクなど）Ｓ′に切替えて第４図から
第５図に示すようにケーシング５と共にオーガースクリ
ュー９を引き抜く。

然るのち、第６図に示すように削孔11に既製杭Ｂを挿入
して埋設する。

〔効果〕

以上のように、この発明に係る既製杭こ埋設工法によれ
ば、正巻き羽根による上昇土壌と逆巻き羽根による降下
土壌との衝突によって貫窓からケーシング外に掘削土壌
を押し出しながら削孔の壁を圧密するので、埋設杭周囲
の地盤を改良することができる。

また、上昇土壌と下降土壌との衝突によって塊状物を破
砕するので貫窓からケーシング外にスムースに土壌を押
し出すことができると共に、注入液と土壌との撹拌混練
によるソイルセメント化に際し混入塊状物による問題を
なくすることができる。

さらに、掘削土壌中に粘土質が混入していても貫窓から
押し出されるので、ケーシングやオーガースクリューに
付着し、かつ手間のかかる除去が不要になる。

また、掘削土壌のケーシング外への押し出しにともない
ケーシング及びオーガースクリューを引き抜いた際、地
上への排土が殆どないため、産業廃棄物の発生もない。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明に係る既製杭の埋設工法を示すもので、
第１図は掘削機の側面図、第２図から第６図迄は既製杭
の埋設工程を示す縦断正面図である。 Ａ……掘削機、Ｂ……既製杭、１……走行車、２……リ
ーダーマスト、３……ワイヤ、４……昇降体、５……ケ
ーシング、６……貫窓、７……ヘッド、８……逆巻き羽
根、９……オーガースクリュー、10……通路、11……削
孔、Ｓ……根固め液、Ｓ′……周辺固定液。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下端部に大きな貫窓を有するケーシング
   と、このケーシング内に嵌挿して上記ケーシングの下端
   から先端の掘削ヘッドを突出させると共に、上記貫窓の
   中途から上方所定の範囲のみに逆巻き羽根を有するオー
   ガースクリューとで構成した掘削機により地面から地中
   の所定深さ迄掘削し、掘削にともないケーシング内の正
   巻き羽根による上昇土壌と逆巻き羽根による下降土壌と
   の衝突によって塊状物を破砕し、かつ圧密によって貫窓
   からケーシング外に土壌を押し出しながら孔壁を圧密
   し、そして所定の深さ迄掘削するとオーガースクリュー
   の軸芯の通路を利用して根固め液を注入しながら掘削機
   を引き上げると共に、根固め液と土壌とを撹拌混練し、
   次いで周辺固定液に切替えて掘削機を引き抜き、然るの
   ち削孔に既製杭を挿入埋設する既製杭の埋設工法。