JPH07180083A - Zn−Cr合金電気めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
Zn−Cr合金電気めっき鋼板の製造方法Info
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- JPH07180083A JPH07180083A JP23268594A JP23268594A JPH07180083A JP H07180083 A JPH07180083 A JP H07180083A JP 23268594 A JP23268594 A JP 23268594A JP 23268594 A JP23268594 A JP 23268594A JP H07180083 A JPH07180083 A JP H07180083A
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- plating
- steel sheet
- additive
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- alloy
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C25—ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
- C25D—PROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
- C25D3/00—Electroplating: Baths therefor
- C25D3/02—Electroplating: Baths therefor from solutions
- C25D3/56—Electroplating: Baths therefor from solutions of alloys
- C25D3/565—Electroplating: Baths therefor from solutions of alloys containing more than 50% by weight of zinc
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- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 めっき物性に悪影響を与えず、経済的で操業
上有利で、めっき浴の管理が簡単な添加剤を用いること
によって、耐食性に優れた防錆用電気めっき鋼板、さら
に詳しくはZn−Cr合金電気めっき鋼板を製造する方
法を提供する。 【構成】 Zn2+イオンとCr3+イオンを含有する酸性
浴中に鋼板を浸漬させてZn−Cr合金電気めっき鋼板
を製造する方法において、前記酸性浴に、ベンゼン環に
置換基としてスルホン酸基(−SO3 H)、硫酸基(−
SO4 H)、アミノ基(−NH2 )、カルボン酸基(−
COOH)、ニトロ基(−NO2 )、ハロゲン基(−
F,−Cl,−Br,−I)のいずれかを有するポリエ
チレンオキシフェノール誘導体化合物、または、アルキ
ルスルホン酸化合物、ポリエチレンオキシアルキルスル
ホン酸化合物の1種または2種以上を0.01g/l〜
20g/l添加して電気めっきする。このめっき方法に
よって、添加剤がめっき物性に何ら悪影響を与えず、低
コストでZn−Cr合金電気めっき鋼板が製造できる。
上有利で、めっき浴の管理が簡単な添加剤を用いること
によって、耐食性に優れた防錆用電気めっき鋼板、さら
に詳しくはZn−Cr合金電気めっき鋼板を製造する方
法を提供する。 【構成】 Zn2+イオンとCr3+イオンを含有する酸性
浴中に鋼板を浸漬させてZn−Cr合金電気めっき鋼板
を製造する方法において、前記酸性浴に、ベンゼン環に
置換基としてスルホン酸基(−SO3 H)、硫酸基(−
SO4 H)、アミノ基(−NH2 )、カルボン酸基(−
COOH)、ニトロ基(−NO2 )、ハロゲン基(−
F,−Cl,−Br,−I)のいずれかを有するポリエ
チレンオキシフェノール誘導体化合物、または、アルキ
ルスルホン酸化合物、ポリエチレンオキシアルキルスル
ホン酸化合物の1種または2種以上を0.01g/l〜
20g/l添加して電気めっきする。このめっき方法に
よって、添加剤がめっき物性に何ら悪影響を与えず、低
コストでZn−Cr合金電気めっき鋼板が製造できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家電、建材等
に使用される耐食性及び塗装後の耐食性に優れた防錆用
電気めっき鋼板、さらに詳しくはZn−Cr合金電気め
っき鋼板の製造方法に関するものである。
に使用される耐食性及び塗装後の耐食性に優れた防錆用
電気めっき鋼板、さらに詳しくはZn−Cr合金電気め
っき鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛または亜鉛系合金めっき中にクロム
を含有させた電気めっき鋼板の製造方法としては、例え
ば、特開昭63−243295号公報、特開平1−19
1797号公報,特開平3−120393号公報等で開
示されているように、めっき浴中に有機添加剤を使用し
てクロムを共析させているのが一般的である。この添加
剤の作用機構は明らかではないが、以下の2点が推察さ
れる。 添加剤が電極界面に吸着することによってその共析作
用を発揮している。 添加剤がCr3+イオンと錯体を形成し、この錯体が共
析作用を発揮している。
を含有させた電気めっき鋼板の製造方法としては、例え
ば、特開昭63−243295号公報、特開平1−19
1797号公報,特開平3−120393号公報等で開
示されているように、めっき浴中に有機添加剤を使用し
てクロムを共析させているのが一般的である。この添加
剤の作用機構は明らかではないが、以下の2点が推察さ
れる。 添加剤が電極界面に吸着することによってその共析作
用を発揮している。 添加剤がCr3+イオンと錯体を形成し、この錯体が共
析作用を発揮している。
【0003】の仮説の場合には、添加剤は合金電析時
にめっき皮膜中に取り込まれる可能性があり、めっきの
物性を変化させたり、めっき密着性を悪化させる要因と
なる。またそれによって添加剤の濃度が減少し、一定組
成の合金を作製できなくなる可能性もある。一方の仮
説の場合には、Cr3+イオンと錯体を形成させるため
に、必要な添加剤の添加量が多量であるために経済的な
生産には不向きである。さらに、連続操業時のCr3+イ
オン補給時において、錯体を形成させるための時間が必
要であり、めっき浴を管理することが困難である。めっ
き浴への添加剤に関して、上記のような問題を解決する
ための対策がこれまで図られていない。
にめっき皮膜中に取り込まれる可能性があり、めっきの
物性を変化させたり、めっき密着性を悪化させる要因と
なる。またそれによって添加剤の濃度が減少し、一定組
成の合金を作製できなくなる可能性もある。一方の仮
説の場合には、Cr3+イオンと錯体を形成させるため
に、必要な添加剤の添加量が多量であるために経済的な
生産には不向きである。さらに、連続操業時のCr3+イ
オン補給時において、錯体を形成させるための時間が必
要であり、めっき浴を管理することが困難である。めっ
き浴への添加剤に関して、上記のような問題を解決する
ための対策がこれまで図られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】めっき浴中添加剤は、
前記で明らかなように電析時にめっき中へ取り込まれ
ることなく合金電析に関与し、合金電析後直ちに鋼板表
面近傍からバルク中へ戻ること、電析の前後で添加剤
の濃度に変化を来さない機構を有すること、さらにこ
の添加剤が少量で有効であること、めっき浴の予備電
解、エージング等の前処理が不要で管理が容易であるこ
とが要求される。本発明は、上記の問題点に鑑み、めっ
きの物性に悪影響を与えず、経済的で操業上有利であ
り、めっき浴を建浴後直ちに使用でき、その管理が簡単
な添加剤を用いることによって、Zn−Cr合金電気め
っき鋼板の製造する方法を提供することにある。
前記で明らかなように電析時にめっき中へ取り込まれ
ることなく合金電析に関与し、合金電析後直ちに鋼板表
面近傍からバルク中へ戻ること、電析の前後で添加剤
の濃度に変化を来さない機構を有すること、さらにこ
の添加剤が少量で有効であること、めっき浴の予備電
解、エージング等の前処理が不要で管理が容易であるこ
とが要求される。本発明は、上記の問題点に鑑み、めっ
きの物性に悪影響を与えず、経済的で操業上有利であ
り、めっき浴を建浴後直ちに使用でき、その管理が簡単
な添加剤を用いることによって、Zn−Cr合金電気め
っき鋼板の製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、Zn2+イオン
とCr3+イオンを含有する酸性浴中に鋼板を浸漬させて
Zn−Cr合金電気めっき鋼板を製造する方法におい
て、ベンゼン環に置換基としてスルホン酸基(−SO3
H)、硫酸基(−SO4 H)、アミノ基(−NH 2 )、
カルボン酸基(−COOH)、ニトロ基(−NO2 )、
ハロゲン基(−F,−Cl,−Br,−I)のいずれか
を有するポリエチレンオキシフェノール誘導体化合物、
または、アルキルスルホン酸化合物、およびポリエチレ
ンオキシアルキルスルホン酸化合物の中から選択される
1種または2種以上を0.01g/l〜20g/l添加
して電気めっきを行うことを特徴とするものである。
とCr3+イオンを含有する酸性浴中に鋼板を浸漬させて
Zn−Cr合金電気めっき鋼板を製造する方法におい
て、ベンゼン環に置換基としてスルホン酸基(−SO3
H)、硫酸基(−SO4 H)、アミノ基(−NH 2 )、
カルボン酸基(−COOH)、ニトロ基(−NO2 )、
ハロゲン基(−F,−Cl,−Br,−I)のいずれか
を有するポリエチレンオキシフェノール誘導体化合物、
または、アルキルスルホン酸化合物、およびポリエチレ
ンオキシアルキルスルホン酸化合物の中から選択される
1種または2種以上を0.01g/l〜20g/l添加
して電気めっきを行うことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】本発明においてめっき浴中に添加剤として添加
される、ポリエチレンオキシフェノール誘導体化合物、
アルキルスルホン酸化合物、ポリエチレンオキシアルキ
ルスルホン酸化合物は、以下のような化学的構造を有す
る。
される、ポリエチレンオキシフェノール誘導体化合物、
アルキルスルホン酸化合物、ポリエチレンオキシアルキ
ルスルホン酸化合物は、以下のような化学的構造を有す
る。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】
【化3】
【0010】本発明におけるこれらの添加剤は、水溶液
中で、ミセルといった分子集合体を形成していると考え
られる。この場合、親水基を水溶液側に向けている。上
記化合物の分子集合体構造の詳細は明らかでないが、親
水基部分にCr3+イオンを吸着するサイトをもつ。この
時の吸着力は、錯体形成における配位結合とは異なり、
静電的な弱い結合であるためCr3+イオンの電解が行い
易く、従って、めっきの電流効率はこれまでより高くな
る。ZnおよびCrの電析する機構は未だ明らかではな
いが、以下のように推定される。すなわち、Cr3+イオ
ンを吸着したミセルが鋼板表面に近づくとCr3+イオン
が電析し、金属イオンを失ったミセルは、再びバルクへ
と移動する。そしてバルクでCr3+イオンを再び吸着し
同じ作用を繰り返す。一方、Zn2+イオンは、もともと
電析しやすいイオンなので添加剤との相互作用を受ける
ことなく電析する。そして、電析したCrとZnは合金
化し、Zn−Cr合金になる。
中で、ミセルといった分子集合体を形成していると考え
られる。この場合、親水基を水溶液側に向けている。上
記化合物の分子集合体構造の詳細は明らかでないが、親
水基部分にCr3+イオンを吸着するサイトをもつ。この
時の吸着力は、錯体形成における配位結合とは異なり、
静電的な弱い結合であるためCr3+イオンの電解が行い
易く、従って、めっきの電流効率はこれまでより高くな
る。ZnおよびCrの電析する機構は未だ明らかではな
いが、以下のように推定される。すなわち、Cr3+イオ
ンを吸着したミセルが鋼板表面に近づくとCr3+イオン
が電析し、金属イオンを失ったミセルは、再びバルクへ
と移動する。そしてバルクでCr3+イオンを再び吸着し
同じ作用を繰り返す。一方、Zn2+イオンは、もともと
電析しやすいイオンなので添加剤との相互作用を受ける
ことなく電析する。そして、電析したCrとZnは合金
化し、Zn−Cr合金になる。
【0011】本発明における添加剤は電析時に合金と共
にめっき皮膜中に取り込まれることはない。その理由と
しては、まず、この添加剤が直接鋼板に吸着することに
よる合金電析の機構を有しておらず、Cr3+イオンを吸
着したミセルが鋼板表面近傍に近づくことによって電析
させるためである。また一般的に、ミセルのサイズは、
亜鉛やクロムの原子に比べ非常に大きいため、めっき皮
膜中に分子集合体ごと取り込まれることは考えられな
い。このミセルのサイズは、添加剤の種類、濃度等によ
って変化するので特定されるものではない。以上のこと
から、本発明における添加剤は、皮膜中に取り込まれる
ことによる濃度の減少がないため、連続生産時において
めっき組成は常に一定で、まためっきの物性の変化を引
き起こすこともない。
にめっき皮膜中に取り込まれることはない。その理由と
しては、まず、この添加剤が直接鋼板に吸着することに
よる合金電析の機構を有しておらず、Cr3+イオンを吸
着したミセルが鋼板表面近傍に近づくことによって電析
させるためである。また一般的に、ミセルのサイズは、
亜鉛やクロムの原子に比べ非常に大きいため、めっき皮
膜中に分子集合体ごと取り込まれることは考えられな
い。このミセルのサイズは、添加剤の種類、濃度等によ
って変化するので特定されるものではない。以上のこと
から、本発明における添加剤は、皮膜中に取り込まれる
ことによる濃度の減少がないため、連続生産時において
めっき組成は常に一定で、まためっきの物性の変化を引
き起こすこともない。
【0012】また、本発明においてベンゼン環に置換基
を有するポリエチレンオキシフェノール誘導体化合物に
ついて、その置換基として、スルホン酸基(−SO
3 H)、硫酸基(−SO4 H)、アミノ基(−N
H2 )、カルボン酸基(−COOH)、ニトロ基(−N
O2 )、ハロゲン基(−F,−Cl,−Br,−I)に
限定しているが、これは以下の理由によるものである。
置換基がアルキル基といった疎水性の強いものである
と、ミセルを形成できず、懸濁することが考えられる。
この場合、めっきむらが懸念される。従って、置換基に
はある程度の疎水性を有していることが必要となり、鋭
意検討の結果、スルホン酸基(−SO3 H)、硫酸基
(−SO4 H)、アミノ基(−NH2 )、カルボン酸基
(−COOH)、ニトロ基(−NO2 )、ハロゲン基
(−F,−Cl,−Br,−I)が好ましいことを見出
した。
を有するポリエチレンオキシフェノール誘導体化合物に
ついて、その置換基として、スルホン酸基(−SO
3 H)、硫酸基(−SO4 H)、アミノ基(−N
H2 )、カルボン酸基(−COOH)、ニトロ基(−N
O2 )、ハロゲン基(−F,−Cl,−Br,−I)に
限定しているが、これは以下の理由によるものである。
置換基がアルキル基といった疎水性の強いものである
と、ミセルを形成できず、懸濁することが考えられる。
この場合、めっきむらが懸念される。従って、置換基に
はある程度の疎水性を有していることが必要となり、鋭
意検討の結果、スルホン酸基(−SO3 H)、硫酸基
(−SO4 H)、アミノ基(−NH2 )、カルボン酸基
(−COOH)、ニトロ基(−NO2 )、ハロゲン基
(−F,−Cl,−Br,−I)が好ましいことを見出
した。
【0013】これらの置換基について、硫酸エステル
(−SO4 R,R:アルキル基)といった疎水性を増加
させるものでない限り、塩類を用いても構わない。例え
ば、スルホン酸ナトリウム(−SO3 Na)、スルホン
酸アンモニウム(−SO3 NH 4 )、硫酸ナトリウム
(−SO4 Na)、硫酸アンモニウム(−SO4 N
H4 )、アミン塩酸塩(−NH3 Cl)、カルボン酸ナ
トリウム(−COONa)、カルボン酸アンモニウム
(−COONH4 )等が挙げられる。上述した添加剤
は、単独で用いて効果が現れるのは勿論のこと、2種以
上を混合してもお互いの効果を妨げることなく使用でき
る。
(−SO4 R,R:アルキル基)といった疎水性を増加
させるものでない限り、塩類を用いても構わない。例え
ば、スルホン酸ナトリウム(−SO3 Na)、スルホン
酸アンモニウム(−SO3 NH 4 )、硫酸ナトリウム
(−SO4 Na)、硫酸アンモニウム(−SO4 N
H4 )、アミン塩酸塩(−NH3 Cl)、カルボン酸ナ
トリウム(−COONa)、カルボン酸アンモニウム
(−COONH4 )等が挙げられる。上述した添加剤
は、単独で用いて効果が現れるのは勿論のこと、2種以
上を混合してもお互いの効果を妨げることなく使用でき
る。
【0014】更に本発明によればめっき浴の管理が行な
いやすくなる。これまでのZn−Cr合金電気めっき浴
は、Cr3+イオンの錯体構造が、添加剤との錯体、水和
錯体、アニオンを一部含む水和錯体、さらに、水和錯体
は単核、二核、多核錯体を形成するため、めっき浴の放
置温度、時間等でそれらの存在割合が変化する。その結
果、浴中の錯体の存在割合が一定しない間は得られため
っきの組成が不安定化するという問題があった。しか
し、本発明は、ミセルへのCr3+イオンの吸着現象を利
用することによってCrの電析は発現させる機構のた
め、Cr3+イオンの存在状態の如何に関わらず同一組成
の合金を常に一定に作製することができる。次に、ミセ
ルを形成するために必要な添加剤の最小添加量は、0.
01g/l以上と極めて少量であり、経済的な操業にも
適している。ただし、多量に添加すると液の粘性増加、
電気伝導度の低下を伴い、場合によっては、添加剤が溶
解せず懸濁する恐れもあるため、20g/l以下が望ま
しい。
いやすくなる。これまでのZn−Cr合金電気めっき浴
は、Cr3+イオンの錯体構造が、添加剤との錯体、水和
錯体、アニオンを一部含む水和錯体、さらに、水和錯体
は単核、二核、多核錯体を形成するため、めっき浴の放
置温度、時間等でそれらの存在割合が変化する。その結
果、浴中の錯体の存在割合が一定しない間は得られため
っきの組成が不安定化するという問題があった。しか
し、本発明は、ミセルへのCr3+イオンの吸着現象を利
用することによってCrの電析は発現させる機構のた
め、Cr3+イオンの存在状態の如何に関わらず同一組成
の合金を常に一定に作製することができる。次に、ミセ
ルを形成するために必要な添加剤の最小添加量は、0.
01g/l以上と極めて少量であり、経済的な操業にも
適している。ただし、多量に添加すると液の粘性増加、
電気伝導度の低下を伴い、場合によっては、添加剤が溶
解せず懸濁する恐れもあるため、20g/l以下が望ま
しい。
【0015】なお、本発明においては、必要に応じてN
i2+,Co2+,Fe2+,Mn2+,Pb2+等の金属イオン
をめっき浴中に少量(0.1mol/l以下)添加する
ことによりめっき皮膜中に第3成分として電析させるこ
とができる。また本発明により得られるZn−Cr合金
めっきは、めっき浴組成、電流密度を変化させることで
その組成を変えることができる。ただし耐食性を考えれ
ばCrが5重量%以上含有することが望ましく、一方4
0重量%以上含有すると加工時にめっきが粉状になるい
わゆるパウダリング性が悪化するのでそれ以下が望まし
い。めっき浴は硫酸酸性浴でも塩酸酸性浴のどちらでも
かまわない。まためっきの素地鋼板は特定されるもので
はなく、鋼成分や鋼板の製造方法は問わない。
i2+,Co2+,Fe2+,Mn2+,Pb2+等の金属イオン
をめっき浴中に少量(0.1mol/l以下)添加する
ことによりめっき皮膜中に第3成分として電析させるこ
とができる。また本発明により得られるZn−Cr合金
めっきは、めっき浴組成、電流密度を変化させることで
その組成を変えることができる。ただし耐食性を考えれ
ばCrが5重量%以上含有することが望ましく、一方4
0重量%以上含有すると加工時にめっきが粉状になるい
わゆるパウダリング性が悪化するのでそれ以下が望まし
い。めっき浴は硫酸酸性浴でも塩酸酸性浴のどちらでも
かまわない。まためっきの素地鋼板は特定されるもので
はなく、鋼成分や鋼板の製造方法は問わない。
【0016】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。板厚
0.8mmの冷延鋼板にZn−Cr合金めっきを施すた
めに、めっき浴は、Zn2+イオンを0.6mol/l、
Cr3+イオンを0.4mol/l含有するpH1.5の
酸性浴を用い、浴温50℃、電流密度100A/dm2
でめっきを行った。その際、めっき浴には表1〜表6に
示すような添加剤を添加することによって種々のZn−
Cr合金めっき鋼板を得た。得られためっき鋼板の特性
は、加工性と耐食性で評価した。加工性は、Zn−Cr
合金めっき層中に添加剤が共析し炭素を含有するように
なると悪化するため、添加剤共析の有無を判断するため
の判断とした。その評価は、密着曲げを行った後の曲げ
部分のめっき剥離状況から評価した。評価は、◎(めっ
き剥離無し)、〇(めっき剥離わずか)、△(めっき剥
離あり)の3段階で行った。これらの結果を表1〜表6
に示す。そして、めっきの耐食性はJIS2371に準
拠した塩水噴霧法により、1008時間の赤錆発生割合
%を測定し、赤錆発生が20%以下は○、それ以上を×
で評価した。めっき浴管理の容易さは、得られるめっき
組成の経時安定性で評価した。すなわち、めっき浴を建
浴後直ちにめっきした時に得られためっき組成と50℃
で48時間エージング後めっきした時に得られためっき
組成の差で評価し、差が1%以下の時を○とし、それ以
外の時を×とした。
0.8mmの冷延鋼板にZn−Cr合金めっきを施すた
めに、めっき浴は、Zn2+イオンを0.6mol/l、
Cr3+イオンを0.4mol/l含有するpH1.5の
酸性浴を用い、浴温50℃、電流密度100A/dm2
でめっきを行った。その際、めっき浴には表1〜表6に
示すような添加剤を添加することによって種々のZn−
Cr合金めっき鋼板を得た。得られためっき鋼板の特性
は、加工性と耐食性で評価した。加工性は、Zn−Cr
合金めっき層中に添加剤が共析し炭素を含有するように
なると悪化するため、添加剤共析の有無を判断するため
の判断とした。その評価は、密着曲げを行った後の曲げ
部分のめっき剥離状況から評価した。評価は、◎(めっ
き剥離無し)、〇(めっき剥離わずか)、△(めっき剥
離あり)の3段階で行った。これらの結果を表1〜表6
に示す。そして、めっきの耐食性はJIS2371に準
拠した塩水噴霧法により、1008時間の赤錆発生割合
%を測定し、赤錆発生が20%以下は○、それ以上を×
で評価した。めっき浴管理の容易さは、得られるめっき
組成の経時安定性で評価した。すなわち、めっき浴を建
浴後直ちにめっきした時に得られためっき組成と50℃
で48時間エージング後めっきした時に得られためっき
組成の差で評価し、差が1%以下の時を○とし、それ以
外の時を×とした。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】
【表6】
【0023】実施例1〜83では、めっき皮膜中のCr
重量%が6%〜34%までの所定のZn−Cr合金が得
られた。そして、めっきの耐食性およびめっき密着性と
もに優れていた。さらに、めっき組成の経時安定性も優
れている。一方、比較例1〜22で示すように、添加剤
の量が微量で少なすぎると、めっき皮膜中にクロムはほ
とんど析出されないため、良好な耐食性を示さず、ま
た、比較例23〜26で示すようにCr3+イオンと錯体
を形成する添加剤の場合、添加剤が小さい場合はクロム
がめっき層中に析出せず耐食性が不良であり、添加剤を
大きくするとクロムは析出し耐食性は向上するものの加
工性が悪くなる。さらに、めっき組成の経時安定性が悪
い。
重量%が6%〜34%までの所定のZn−Cr合金が得
られた。そして、めっきの耐食性およびめっき密着性と
もに優れていた。さらに、めっき組成の経時安定性も優
れている。一方、比較例1〜22で示すように、添加剤
の量が微量で少なすぎると、めっき皮膜中にクロムはほ
とんど析出されないため、良好な耐食性を示さず、ま
た、比較例23〜26で示すようにCr3+イオンと錯体
を形成する添加剤の場合、添加剤が小さい場合はクロム
がめっき層中に析出せず耐食性が不良であり、添加剤を
大きくするとクロムは析出し耐食性は向上するものの加
工性が悪くなる。さらに、めっき組成の経時安定性が悪
い。
【0024】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
の手法によって添加剤がめっきの物性になんら悪影響を
与えず、低コストでZn−Cr合金電気めっきを生産で
き、Zn−Cr合金電気めっきの製造方法として最適な
方法である。
の手法によって添加剤がめっきの物性になんら悪影響を
与えず、低コストでZn−Cr合金電気めっきを生産で
き、Zn−Cr合金電気めっきの製造方法として最適な
方法である。
Claims (1)
- 【請求項1】 Zn2+イオンとCr3+イオンを含有する
酸性浴中に鋼板を浸漬させてZn−Cr合金電気めっき
鋼板を製造する方法において、前記酸性浴にベンゼン環
に置換基としてスルホン酸基(−SO3 H)、硫酸基
(−SO4 H)、アミノ基(−NH2 )、カルボン酸基
(−COOH)、ニトロ基(−NO2 )、ハロゲン基
(−F,−Cl,−Br,−I)のいずれかを有するポ
リエチレンオキシフェノール誘導体化合物、または、ア
ルキルスルホン酸化合物、およびポリエチレンオキシア
ルキルスルホン酸化合物の中から選択される1種または
2種以上を0.01g/l〜20g/l添加することを
特徴とするZn−Cr合金電気めっき鋼板の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23268594A JP3260564B2 (ja) | 1993-10-01 | 1994-09-28 | Zn−Cr合金電気めっき鋼板の製造方法 |
US08/534,144 US5616232A (en) | 1994-09-28 | 1995-09-26 | Process for producing zinc-chromium alloy-electroplated steel plate |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24650093 | 1993-10-01 | ||
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