JPH07180010A - エネルギー吸収部材及びその製造方法 - Google Patents
エネルギー吸収部材及びその製造方法Info
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- JPH07180010A JPH07180010A JP32734593A JP32734593A JPH07180010A JP H07180010 A JPH07180010 A JP H07180010A JP 32734593 A JP32734593 A JP 32734593A JP 32734593 A JP32734593 A JP 32734593A JP H07180010 A JPH07180010 A JP H07180010A
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Abstract
ネルギーを吸収するエネルギー吸収部材の溶接による熱
影響部の硬度の経時的変化を抑制できて、長期間に亘っ
て良好なエネルギー吸収特性を維持できるエネルギー吸
収部材及びその製造方法を提供する。 【構成】 Al−Zn−Mg系合金押出材(エネルギー
吸収部材2)を例えばAl合金製バンパー1に溶接した
後、100乃至250℃の温度で熱処理する。
Description
衝突時における乗車人員に対する衝撃を低減するエネル
ギー吸収部材の溶接後の熱処理方法に関し、特にAl−
Zn−Mg系合金押出材により構成されたエネルギー吸
収部材及びその製造方法に関する。
全性が求められる。特に自動車においては、衝突した際
の乗員に対する安全性を確保するための構造及び装備が
必要とされている。具体的には、衝突の際に、前方のエ
ンジン部分又は後方のトランク部分で構造材がアコーデ
ィオン状に座屈変形し、これにより衝突のエネルギーが
吸収されてキャビン内の乗員に加わる衝撃を緩和する構
造となっている。従来、これらの構造材には、冷間圧延
鋼板が使用されていた。
短縮等の観点から、車輌重量の軽減が要望されている。
このため、自動車においては、バンパー及びその他の部
品に、比重が鋼板の約1/3と小さいAl又はAl合金
材が使用されるようになってきた。特に、板材に比して
複雑な形を簡単に製造できることから、Al合金押出材
の使用が検討されている。また、従来、冷間圧延鋼板に
より構成されていたエネルギー吸収部材にも、Al合金
材の使用が検討されている(特開昭64−67482
号)。
エネルギー吸収部材を示す斜視図である。このエネルギ
ー吸収部材2は中空角パイプ状の部材であり、その一端
側がAl合金製バンパー1に溶接され、他端側がFe製
メンバー(図示せず)に取り付けられる。軽い衝突のと
きにはバンパー1のみで衝撃を吸収するが、比較的大き
い衝突の場合は、エネルギー吸収部材1がアコーディオ
ン状に座屈変形して、衝突時のエネルギーを吸収する。
これにより、衝突時の衝撃が緩和され、キャビン内の乗
員の安全を確保することができる。
との関係の一例を示すグラフ図である。この図2に示す
ように、圧縮荷重は変位と共に変動する。つまり、圧縮
荷重は先ず最初に極大値まで上昇し、その後この極大値
よりも低い値(平均荷重)を中心として変動する。この
最初の極大値を示す荷重を初期荷重という。初期荷重は
変形に要する荷重として考えることができ、圧縮荷重が
印加されると、初回の変形が生じた後、座屈変形が繰り
返される。
荷重は、バンパーの変形荷重よりも大きく、Fe製メン
バーの変形荷重よりも小さいことが必要である。また、
エネルギー吸収部材のエネルギー吸収量は荷重と変位と
の積(荷重×変位)で示されるので、エネルギー吸収量
を多くするためには、エネルギー吸収部材の強度はFe
製メンバーの強度に近いことが好ましい。
−Zn−Mg系合金が注目されている。即ち、純Al及
び他のAl合金の場合は、いずれもエネルギー吸収部材
として使用するには欠点がある。例えば、純Al及びA
l−Mg系合金は、いずれも強度が低いため、衝突時の
衝撃を緩和する効果が十分でない。また、Al−Mg系
合金及びAl−Cu系合金は、いずれもポートホールダ
イス等による中空押出が困難であるため、吸収エネルギ
ーを高めるような複雑な形状に押出することができな
い。更に、Al−Mg−Si系合金の場合は、強度及び
生産性のバランスがAl−Zn−Mg系合金よりも劣
る。一方、Al−Zn−Mg系合金は、軽量且つ高強度
であると共に、薄肉押出及び溶接が可能であるという利
点があり、エネルギー吸収部材の材料として好適であ
る。
Zn−Mg系合金押出材には以下に示す問題点がある。
即ち、Al−Zn−Mg系合金押出材を溶接すると、溶
接により軟化した熱影響部が自然時効により硬化し、座
屈変形時に割れが生じて、衝撃を緩和する効果が減少し
てしまう。また、熱影響部の自然時効により、初期荷重
も経時的に変化してしまう。従って、Al−Zn−Mg
系合金押出材を単にAl合金製バンパーに溶接しただけ
では、新車時には良好なエネルギー吸収特性を示すもの
の、数年後にはエネルギー吸収特性が劣化してしまうこ
ととなり、好ましくない。
のであって、溶接による熱影響部の初期荷重の変化及び
変形性能の経時的変化を抑制できるエネルギー吸収部材
及びその製造方法を提供することを目的とする。
吸収部材は、Al−Zn−Mg系合金押出材により構成
され他の部材に溶接されて前記他の部材に加えられた衝
撃エネルギーを座屈により吸収するエネルギー吸収部材
において、溶接部及び母材が100乃至250℃の温度
で熱処理されていることを特徴とする。
法は、Al−Zn−Mg系合金押出材を他の部材に溶接
する工程と、前記押出材の溶接部及び母材を100乃至
250℃の温度で熱処理する工程とを有することを特徴
とする。
材の溶接後の自然時効による時効硬化及び初期荷重の変
化を抑制すべく、種々実験研究を行った。その結果、溶
接後に、適切な条件で熱処理を行うことにより、溶接に
よる熱影響部の割れ及び初期荷重の経時的変化を抑制で
きることが判明した。即ち、本発明においては、Al−
Zn−Mg系合金押出材の溶接部及び母材が100乃至
250℃の温度で熱処理されている。これにより、熱影
響部の割れ及び初期荷重の経時的変化を抑制することが
できて、良好なエネルギー吸収特性を長期間に亘って維
持することができる。しかし、前記熱処理温度が100
℃未満の場合は、GP(ギニエ−プレストン)ゾーンの
析出となり、自然時効と同様の組織となるため、割れを
抑制する効果がない。また、熱処理温度が250℃を超
えると、熱影響部にη´の析出物が生じるため溶接熱影
響部の割れ及び変形時の初期荷重の経時変化を抑制する
ことはできるものの、母材が過時効となり、η´析出物
が粗大化して強度が著しく低下する。従って、熱処理温
度は、100乃至250℃とする。
理後の硬度(Hv)を母材の硬度の90%以下とする
と、衝突時にはこの熱影響部が優先的に変形して初期荷
重が小さくなる。その結果、初期荷重とそれ以後に生じ
る荷重との差が小さくなり、衝撃を緩和する効果がより
一層増大する。このため、例えば溶接条件及びその後の
熱処理条件を適宜設定することにより、熱影響軟化部の
硬度を母材の硬度の90%以下とすることが好ましい。
求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
%)のAl−Zn−Mg系合金を溶解鋳造して、直径が
155mmのビレットを得た。このビレットを470℃
の温度で6時間の条件で均質化処理した後、縦が70m
m、横が50mm、肉厚が2mmの中空角パイプ状に押
出し、押出直後の押出材をファンで約300℃/分の冷
却速度で冷却して焼入れした。
間の条件で熱処理をしてT5調質材とした後、長さが1
20mmに切断した。そして、図3に示すように、この
押出材3の両端部に、縦が150mm、横が150m
m、板厚が3mmのAl合金(5083合金)板4a,
4bをすみ肉溶接して試験体とした。
2の時効条件の欄に示す温度及び時間で時効熱処理を施
した。そして、熱処理直後(比較例1については溶接直
後)の試験体の熱影響部及び母材の硬度(Hv)を測定
すると共に、圧縮変形試験を実施して初期荷重及び割れ
の有無を調べた。また、熱処理後(比較例1については
溶接後)の試験体を室温にて30日間放置し、同様に試
験体の熱影響部の硬度を測定すると共に、圧縮変形試験
を実施して初期荷重及び割れの有無を調べた。これらの
結果を、下記表2,3にまとめて示す。但し、熱影響部
の硬度は、図4に示すように、試験体を縦割りして断面
における熱影響軟化部(溶接ビード部5から約10〜3
0mm離れた部分)の硬度を測定し、熱処理前の母材の
硬度との比率(即ち、比硬度)で示した。また、熱処理
後の比硬度は、熱処理後の母材の硬度と熱処理前の母材
の硬度との比率である。更に、圧縮変形試験は、アムス
ラー型万能試験機を使用し、図3に白抜矢印で示す方向
から圧力を加え、試験体を10〜20mm/分の圧縮速
度で圧縮し座屈変形させることにより行った。そして、
初期荷重を測定すると共に、初期荷重を平均荷重で除し
た値(荷重比=初期荷重÷平均荷重)を求めた。また、
圧縮変形試験後に、割れの有無を目視にて調べた。
に熱処理をしなかった比較例1は、溶接直後の比硬度に
比して30日後の比硬度が極めて高く、圧壊割れが発生
した。熱処理温度が70℃と低い比較例2は、荷重比が
3.2と大きいため、衝突時の衝撃を緩和する効果が十
分でない。また、この比較例2においては、熱処理直後
の圧縮変形試験においても圧壊割れが発生した。熱処理
温度が300℃と高い比較例3は、初期荷重が小さく比
硬度の経時的変化も小さいものの、熱処理後の母材強度
が低いため、エネルギー吸収量が小さい。一方、実施例
1〜6は、いずれも溶接部の硬度の経時変化が小さく、
圧壊割れも発生せず、更に、荷重比も小さいため、良好
なエネルギー吸収特性を長期間に亘って維持することが
できる。
l−Zn−Mg系合金押出材の溶接部及び母材が所定の
温度で熱処理されているから、溶接による熱影響部の硬
度の経時的変化を抑制できる。従って、本発明に係るエ
ネルギー吸収部材は、長期間に亘って良好なエネルギー
吸収特性を維持できるという効果を奏する。
Mg系合金押出材をAl合金製バンパー等に溶接した
後、溶接部及び母材を所定の温度で熱処理するから、軽
量であると共に長期間に亘って良好なエネルギー吸収特
性を維持できるエネルギー吸収部材を得ることができ
る。
収部材を示す斜視図である。
例を示すグラフ図である。
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 Al−Zn−Mg系合金押出材により構
成され他の部材に溶接されて前記他の部材に加えられた
衝撃エネルギーを座屈により吸収するエネルギー吸収部
材において、溶接部及び母材が100乃至250℃の温
度で熱処理されていることを特徴とするエネルギー吸収
部材。 - 【請求項2】 溶接熱影響軟化部の硬度が母材の硬度の
90%以下であることを特徴とする請求項1に記載のエ
ネルギー吸収部材。 - 【請求項3】 Al−Zn−Mg系合金押出材を他の部
材に溶接する工程と、前記押出材の溶接部及び母材を1
00乃至250℃の温度で熱処理する工程とを有するこ
とを特徴とするエネルギー吸収部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32734593A JP3272130B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | エネルギー吸収部材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32734593A JP3272130B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | エネルギー吸収部材及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07180010A true JPH07180010A (ja) | 1995-07-18 |
JP3272130B2 JP3272130B2 (ja) | 2002-04-08 |
Family
ID=18198105
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32734593A Expired - Lifetime JP3272130B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | エネルギー吸収部材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3272130B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07310156A (ja) * | 1994-05-12 | 1995-11-28 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 自動車のフレーム構造およびその製造方法 |
JPH1159299A (ja) * | 1997-08-14 | 1999-03-02 | Hino Motors Ltd | 車両後部エネルギ吸収構造 |
JP2008274441A (ja) * | 2008-06-05 | 2008-11-13 | Kobe Steel Ltd | 圧壊特性に優れるアルミニウム合金押出材 |
JP2021059773A (ja) * | 2019-10-09 | 2021-04-15 | 株式会社Uacj | 耐応力腐食割れ性に優れた溶接構造部材及びその製造方法 |
CN113500330A (zh) * | 2021-07-27 | 2021-10-15 | 南京越然汽车用品有限公司 | 一种用于汽车保险杠的焊接装置 |
-
1993
- 1993-12-24 JP JP32734593A patent/JP3272130B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021070900A1 (ja) * | 2019-10-09 | 2021-04-15 | 株式会社Uacj | 耐応力腐食割れ性に優れた溶接構造部材及びその製造方法 |
CN114555844A (zh) * | 2019-10-09 | 2022-05-27 | 株式会社Uacj | 耐应力腐蚀裂纹性优异的焊接结构构件及其制造方法 |
CN113500330A (zh) * | 2021-07-27 | 2021-10-15 | 南京越然汽车用品有限公司 | 一种用于汽车保险杠的焊接装置 |
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---|---|
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