JPH07179769A - 導電性高分子材料及びその製造方法 - Google Patents

導電性高分子材料及びその製造方法

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JPH07179769A
JPH07179769A JP34646993A JP34646993A JPH07179769A JP H07179769 A JPH07179769 A JP H07179769A JP 34646993 A JP34646993 A JP 34646993A JP 34646993 A JP34646993 A JP 34646993A JP H07179769 A JPH07179769 A JP H07179769A
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JP
Japan
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polymer material
sulfur dye
copper sulfide
weight
dye
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JP34646993A
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Katsuji Yamamoto
勝次 山本
Kiyofumi Takahashi
▲きよ▼文 高橋
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Nihon Sanmo Dyeing Co Ltd
Original Assignee
Nihon Sanmo Dyeing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 導電性及び通電性にすぐれた高分子材料及び
その製造方法を提供する。 【構成】 硫化染料含有高分子材料に対し、その硫化染
料を介して硫化銅を結合させたことを特徴とする導電性
高分子材料。硫化染料を含有する高分子材料を得る工程
と、この工程で得られる硫化染料含有高分子材料に硫化
銅を結合させる工程からなる導電性高分子材料の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導電性高分子材料及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】導電性高分子材料を製造するための方法
としては、従来、各種の方法が知られている。(特公昭
57−56581号、特公昭62−20305号、特開
昭56−1698083号、特開昭60−215005
号)。これらの方法で得られた導電性高分子材料は、高
分子材料の表面に存在するシアノ基やメルカプト基の銅
イオン捕捉基を介して硫化銅が高分子材料に5〜15重
量%程度結合されたもので、高分子と硫化銅の複合体か
らなる薄厚の表面層を有するものであった。このような
導電性高分子材料は、硫化銅が高分子との複合体として
薄厚の表面層として存在することから、硫化銅に起因す
る金属光沢を有し、種々の染料で染色可能ではあるもの
の、その染色色相は、硫化銅を含有する表面層を通して
形成される色相であることから、染料本来の色相を示す
ものではなかった。例えば、硫化銅を含有する従来の導
電性材料は、黒色に染色しても、黒色にならず光沢のあ
るグレー色となる。従って、導電性繊維と非導電性繊維
からなる繊維製品を黒色に染色した場合、非導電性繊維
部分は黒色に染色されるものの、導電性繊維部分は光沢
あるグレー色に染色されることから、その繊維製品の色
相は不均一になり美観に劣るものであった。さらに、前
記した従来の導電性高分子材料では、硫化銅は材料の薄
厚の表面層として存在することから、通電したときの電
流量が小さく、通電性の点でも未だ満足し得るものでは
なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、導電性及び
通電性にすぐれた高分子材料及びその製造方法を提供す
ることをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、硫化染料含有高分子
材料に対し、その硫化染料を介して硫化銅を結合させた
ことを特徴とする導電性高分子材料が提供される。ま
た、本発明によれば、硫化染料を含有する高分子材料を
得る工程と、この工程で得られる硫化染料含有高分子材
料に硫化銅を結合させる工程からなる導電性高分子材料
の製造方法が提供される。
【0005】本発明において高分子材料に含有させる硫
化染料(硫化建築染料を含む)としては、従来公知の各
種のものを用いることができる。硫化染料は、染料中間
体とイオウ又はポリ硫化ナトリウムを熔融反応させるか
あるいは染料中間体とポリ硫化ナトリウムを溶媒中で加
熱反応させることによって得られるもので、イオウを分
子内に含む水不溶性染料である。染料中間体としては、
アミノフェノール類;ニトロフェノール類;ジフェニル
アミン誘導体;ナフタレン系のニトロ、アミノ又はスル
ホン酸化合物;イソドフェノール類;アジン類等が挙げ
られる。この硫化染料は、加硫度の異なる分子量の大き
い分子の混合物で、複雑な構造を有し、その構造は明確
には解明されていないが、分子内に、チアジン環やチア
ントレイン環、チアゾール環等の含イオウ複素環と、ジ
スルフィド、ジスルホキシド等の連結鎖を有することが
確認されている。
【0006】この硫化染料は、硫化ナトリウムや亜ニチ
オン酸塩等の還元剤により還元されて、水溶性のロイコ
体の塩となり、このものは、高分子材料に直接染着させ
ることができ、その染着後に空気や過酸化水素等の酸化
剤と反応させることにより再び水不溶性の染料とするこ
とができる。硫化染料は、黒色や紺色等の色相の染色物
を与える。硫化染料としては、例えば、Asatio、
Asatiosol(旭化成工業社製)、Fast B
lack、Indocarbon、Hydron、Hy
drosol、Cassulfon(三菱化成ヘキスト
社製)、Kamiyo Carbon、Kamiyo
Colloid、Kamiyo Sufpher、Ka
miyo Vimylon、Kaimyosol、Ka
miyosulpher、Liquid(千々木染料社
製)、Kayaku Carbon、Kayaku S
ulpher、Kayasol(日本化薬社製)、Ca
rbonal(日本化薬社製)等が挙げられるが、これ
らのものに限定されるものではない。
【0007】本発明で用いる高分子材料としては、従来
公知の各種のものが挙げられるが、好ましくは、前記硫
化染料で容易に染色し得るものが好ましい。このような
ものとしては、例えば、木綿(コットン)、レーヨン等
のセルロース系高分子材料の他、ビニロン等を挙げるこ
とができる。高分子材料は、繊維、糸、織布、不織布、
編成物等の繊維製品の他、フィルム、発泡シート、容
器、ペレット等の成形品等であることができる。
【0008】本発明の導電性高分子材料は、硫化染料を
含有する高分子材料を得る工程と、この硫化染料含有高
分子材料に硫化銅を結合させて導電性高分子材料を得る
工程によって製造される。以下これらの工程について詳
述する。
【0009】(硫化染料含有高分子材料を得る工程)本
発明の導電性高分子材料を得るには、先ず、硫化染料を
含有する高分子材料を製造する。高分子材料に硫化染料
を含有させるための方法としては、(1)高分子材料を
硫化染料を含む浴中に浸漬する方法、(2)硫化染料を
高分子材料と溶融混練する方法が挙げられる。(1)の
方法は、高分子材料が硫化染料により容易に染色するこ
とができ、硫化染料を含有する高分子材料が、繊維(短
繊維、長繊維)、糸、織布、不織布、編物等の繊維製品
である場合に好ましく採用される。(2)の方法は、硫
化染料を含有する高分子材料が、ペレット・シート、フ
ィルム、容器等の成形品である場合に好ましく採用され
る。この(2)の方法は高分子材料が硫化染料により容
易に染色可能であるものはもちろん、染色困難なものに
対しても適用することができる。また、硫化染料を含有
する高分子材料がフィラメントである場合には、(1)
及び(2)の方法のいずれの方法も好ましく採用するこ
とができる。(2)の方法の場合には、硫化染料と高分
子材料を溶融混練した後、紡糸すればよい。
【0010】前記(1)の方法により高分子材料に硫化
染料を含有させるためには、硫化染料とその還元剤を含
む処理浴中に高分子材料を浸漬する。この場合、還元剤
としては、通常、硫化ナトリウムが用いられるが、硫化
建築染料の場合にはハイドロサルファイト(亜ニチオン
酸ナトリウム)等が用いられる。処理浴中の硫化染料濃
度は、通常、0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜
20重量%である。また、処理浴中には、染料溶液の高
分子材料への浸透を促進させるために界面活性剤や無水
芒硝等を添加することが好ましい。処理温度は、通常3
0〜90℃、好ましくは50〜70℃であり、処理時間
は、通常、10〜80分、好ましくは20〜60分であ
る。このようにして得られる高分子材料は、硫化染料の
還元体である水溶性ロイコ体を含有するものであるが、
このものは、水洗し、その水洗の間にそのロイコ体を徐
々に酸化させた後、酸化剤を用いて酸化処理し、そのロ
イコ体を再び水不溶性の硫化染料に再生させる。この場
合、酸化剤としては、過酸化水素溶液や酸素等が用いら
れる。以上のようにして、硫化染料を含む高分子材料が
得られる。この高分子材料に含有される硫化染料の量は
高分子材料を基準として、その少なくとも0.1重量
%、好ましくは0.15〜20重量%、より好ましくは
0.2〜10重量%である。一方、前記(2)の方法に
より硫化染料を含有する高分子材料を得るには、硫化染
料を高分子材料と溶融混練し、この混練物を所要形状の
成形品、例えば、ペレット、フィルム、シート、繊維、
容器等の成形品に成形すればよい。成形品がペレットの
場合は、これを原料として種々の成形品を得ることがで
きる。成形方法としては、押出成形、射出成形等の従来
公知の任意の成形方法が採用される。成形品中の硫化染
料含有量は、高分子材料を基準として、その少なくとも
0.15〜20重量%、より好ましくは、0.2〜10
重量%である。
【0011】(硫化銅含有高分子材料を得る工程)本発
明においては、前記のようにして得た硫化染料含有高分
子材料は、これに硫化銅を結合させて導電性高分子材料
とする。硫化染料含有高分子材料に硫化銅を結合させる
ためには、銅塩とチオ硫酸塩を含む浴中に硫化染料含有
高分子材料を浸漬する方法を採用することができる。こ
の場合、銅塩としては、可溶性の銅塩であればよく、1
価又は2価の銅塩を用いることができる。1価銅塩とし
ては、例えば、塩化第1銅、臭化第1銅等があり、2価
銅塩としては、塩化第2銅、臭化第2銅、硫酸第2銅、
酢酸第2銅等がある。2価銅塩を用いる場合には、必要
に応じ、2価銅イオンを1価銅イオンに還元するための
還元剤を併用することができる。還元剤としては、金属
銅、硫酸第1鉄、次亜リン酸ナトリウム、ヒドロキシル
アミン、重亜硫酸ソーダ、亜硫酸ソーダ等が挙げられ
る。このものは2価銅イオンを1価銅イオンに変換し得
るに十分な量で用いられる。一般には、チオ硫酸塩1モ
ルに対し、0.2〜2モル、好ましくは0.3〜1モル
の割合で用いられる。チオ硫酸塩は、可溶性塩であれば
よく、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩、アンモニウ
ム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が用いられる。
【0012】溶液(処理浴)中の銅イオン濃度は、通
常、1〜30g/l、好ましくは2〜10g/lであ
り、チオ硫酸塩の濃度は、銅塩1モルに対して、0.5
〜2モル、好ましくは0.8〜1.5モルの割合であ
る。硫化染料含有高分子材料に対する処理浴の重量比
は、5〜100、好ましくは10〜40である。処理温
度は常温ないし加温、好ましくは30〜80℃である。
【0013】本発明で用いる銅塩とチオ硫酸塩を含む処
理浴には、処理浴のpHを調整する目的で、酒石酸、ク
エン酸、酢酸、ギ酸等の有機酸や、酒石酸ナトリウム、
クエン酸ナトリウム、第2リン酸ナトリウム、酢酸ナト
リウム等の弱アルカリ性塩を単独又は組合せて添加する
ことができる。処理浴のpHは、2〜5、好ましくは3
〜4の範囲である。
【0014】本発明により硫化染料含有高分子材料を銅
塩とチオ硫酸塩を含む処理浴中で浸漬処理する場合、処
理浴中の銅イオンを高くしたり、一回の処理に用いる処
理浴量が大量となると、処理浴が不安定となり、沈殿を
生じる恐れが生じる。従って、本発明により硫化染料含
有高分子材料を処理浴で浸漬処理する場合は、多段階浸
漬処理するのが好ましい。例えば、浸漬処理毎に処理浴
を順次交換して、2〜10回程度浸漬処理を繰返し行う
方法や、1回の浸漬処理を行った後、その処理浴中に浸
漬処理の終了毎に新しい処理液を順次追加して浸漬処理
を2〜10回程度繰返し行う方法等を採用するのが好ま
しい。
【0015】本発明においては、硫化染料含有高分子材
料に対する硫化銅の結合を安定化させ、製品の耐水性や
耐湿性を改善させるために、ビスマス、サマリウム、
銀、金及び白金属金属の中から選ばれる金属成分を硫化
銅と共に結合させるのが好ましい。この場合、白金属金
属には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ム、イリジウム及び白金が含まれる。硫化銅に対して補
助成分として用いるこのような補助金属成分は、硫化銅
の結合量に比して極めて少量でよく、金属換算量で、高
分子材料を基準とし、その0.0005〜10重量%、
好ましくは0.005〜5重量%であり、また硫化銅に
対する割合は、原子モル比M/Cu(M:補助金属)で
表わして、通常、0.0001〜0.5、好ましくは
0.0001〜0.3程度である。
【0016】前記補助金属成分の高分子材料に対する添
加は、前記で得た硫化銅を結合させた硫化染料含有高分
子材料に対し、補助金属イオンを含む溶液を用いて接触
処理すればよい。この場合、補助金属イオンを与える化
合物としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩の
他、酢酸塩、安息香酸塩等の有機酸塩、ロダン錯塩、チ
オ硫酸錯塩等の各種の錯塩が挙げられる。補助金属化合
物の溶液中の濃度は特に制約されないが、金属換算量
で、通常、0.005〜10g/l好ましくは0.01
〜6g/lである。溶液中に硫化銅含有高分子材料を浸
漬させて処理する場合、硫化銅含有高分子材料に対する
浴比は、硫化銅含有高分子材料1重量部に対し、溶液5
〜100重量部、好ましくは10〜40重量部である。
処理温度は常温〜110℃、好ましくは30〜80℃で
あり、処理時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜1
0時間である。
【0017】以上のように、硫化銅を結合させた硫化染
料含有高分子材料に対して補助金属イオンを含む溶液を
接触させるだけで、硫化銅含有高分子材料に対する硫化
銅の結合安定性を高め、耐水性や耐湿性等の向上した製
品を得ることができるが、この処理に際しては、必要に
応じ、還元性イオウ化合物を併用することができ、これ
によつて、硫化銅の結合安定性をさらに高めることがで
きる。この場合のイオウ化合物としては、チオ硫酸塩が
好ましく用いられる。還元性イオウ化合物の添加量は、
溶液中の補助金属化合物1モルに対し、通常、0.2〜
5モル、好ましくは0.4〜3モルの範囲である。この
イオウ化合物の使用は、硫化銅の結合した硫化染料含有
高分子材料上への補助金属成分の結合を促進させかつ安
定化させ、さらに、導電性を向上させる効果も示す。
【0018】上記の態様においては、あらかじめ硫化銅
を結合させた高分子材料に対して補助金属成分を結合さ
せたが、これとは別に、補助金属成分は、硫化染料含有
高分子材料に対して硫化銅を結合させる際に、同時に結
合させることも可能であり、この場合には、処理浴中に
おいて、補助金属成分を銅イオンと共存させればよい。
【0019】本発明においては、必要に応じ、前記した
硫化銅を結合させた硫化染料含有高分子材料に対して、
その硫化銅を介してさらに導電性金属を付着させること
もできる。この場合、導電性金属の付着は、通常の電解
めつき法によつて行うことができる。即ち、硫化銅を結
合させた高分子材料を陰極とし、所要の金属イオンを含
む電解浴中で、陰極と陽極との間を通電すればよい。電
解めつき用の金属としては、導電性のものであればよ
く、例えば、ニツケル、銅、コバルト、鉛、亜鉛、錫等
が用いられる。この導電性金属の付着は、硫化銅を結合
させた高分子材料に対し、10〜80重量%、好ましく
は15〜50重量%である。この電解めつき処理によ
り、硫化銅結合高分子材料の導電性をさらに改良するこ
とができる。
【0020】
【発明の効果】本発明の導電性高分子材料は、硫化銅が
その高分子材料に含有させた硫化染料を介して高分子材
料に結合した構造を有するものである。この場合、高分
子材料に結合する硫化銅の量は、従来の導電性高分子材
料の場合とは異なり、著しく高めることができる。これ
は硫化染料が高分子材料の表面部だけではなく、表面か
ら内部深いところまでも均一に分散含有され、硫化銅が
この硫化染料に結合するとともに、この結合した硫化銅
が触媒となって、その上に硫化銅が次々と結合していく
ことによるものと考えられる。
【0021】本発明の導電性高分子材料において、セル
ロース系高分子材料を基材とするものは、その基材に対
して、30重量%以上、特に40〜100重量%、好ま
しくは50〜90重量%の硫化銅を結合する。このよう
な導電性セルロース系高分子材料は、良好な導電性を示
すとともに、その全体を黒色の色相とすることができ
る。従来の導電性高分子材料の場合、硫化銅が薄厚の表
面層にのみ含有されるため、これを黒色に染色しても光
沢あるグレー色を示し、黒色の色相に形成することはで
きなかったが、本発明の場合、硫化染料として黒色のも
のを用い、硫化銅の結合量を、セルロース系高分子材料
に対し30重量%以上とすることにより、黒色の色相を
示す導電性セルロース系高分子材料を得ることができ
る。さらに、本発明の導電性セルロース系高分子材料
は、従来の導電性高分子材料とは異なり、その表面部だ
けではなく、その表面から内部深いところまでにも硫化
銅が存在することから、これに通電するときに、高分子
材料全体に電気が流れ、高分子材料を流れる電流量を高
めることができる。さらにまた、本発明の導電性セルロ
ース糸高分子材料において、セルロース系高分子材料に
対する硫化銅の結合量を50重量%以上の割合にしたも
のは、難燃性を有するとともに、その硫化銅に基づく良
好な遠赤外線放射効果を発揮する。
【0022】本発明の導電性材料において、ビニロン系
の高分子材料を基材とするものは、その基材に対して、
10重量%以上、特に15〜70重量%、好ましくは2
0〜60重量%の硫化銅を結合する。このような導電性
ビニロン系高分子材料は、良好な導電性を示す。また、
この導電性ビニロン系高分子材料は、従来の導電性材料
とは異なり、硫化銅が表面層のみでなく、その表面層か
らの内部深いところまで存在することから、良好な通電
性を有し、これに通電したときに高分子材料を流れる電
気量を高めることができる。さらに、ビニロン系高分子
材料に対して50重量%以上の硫化銅を結合させたもの
は、難燃性を有するとともに、その硫化銅に基づく良好
な遠赤外線放射効果を発揮する。
【0023】本発明の導電性高分子材料は、従来の高分
子材料と同様に、導電性の繊維、織物、不織布、フィル
ム、容器等として各種の用途に供することができるが、
本発明の場合、その通電性にすぐれていることから、面
状発熱体として有利に用いることができる。従来の導電
性高分子材料では、硫化銅が薄厚の表面層のみに存在す
るため、通電性が悪く、発熱のために電流量を高くする
と、硫化銅が容易に酸化し、通電性がなくなってしまう
という問題を生じ、発熱体としての使用は実質上不可能
であったが、本発明の場合にはこのようなことはなく、
発熱体として有利に使用することができる。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 長さ51mm、太さ3デニールの繊維(トービス、東邦
レーヨン社製)を、非イオン活性剤(ノイゲンSN、第
一工業製薬社製)を2g/lで含む水溶液中に15分間
浸漬して精錬し、水洗した後、次の組成の染料溶液に7
0℃で30分間浸漬した。
【0025】 (染料溶液) 硫化染料 5〜20重量% 硫化ナトリウム 5〜10重量% 無水芒硝 6重量% 界面活性剤 0.6g/l (ピークロン350A、日華化学工業社製) 界面活性剤 0.3g/l (ノイゲンSN、第一工業製薬社製)
【0026】次いで、前記のようにして得られた染色繊
維を水洗後、過酸化水素を濃度2g/lで含む水溶液中
に50℃で5分間処理した後、水洗し、乾燥した。この
乾燥品の重量を測定して、繊維に対する硫化染料の結合
量(重量%)を算出した。次に、前記のようにして得ら
れた硫化染料含有繊維を、以下に示す組成の導電化処理
液中に、40℃で2時間浸漬する処理を6回繰返した。
この場合、各回の処理毎に処理液を新しいものと交換し
た。得られた導電化処理繊維を水洗し、乾燥した。この
乾燥品についてその重量を測定し、繊維に対する硫化銅
の結合量を算出した。
【0027】(導電化処理液) 硫酸銅(CuSO4) 30重量% クエン酸 10重量% 第二リン酸ソーダ 30重量% チオ硫酸ソーダ 25重量% 無水重亜硫酸ソーダ 10重量% 以上の結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】前記表1に示した硫化染料の具体的内容は
次の通りである。 A:Slupher Black B(日本化薬社製) B:Asathio Yellow GG(旭化成工業
社製) C:Asathio Browm RN(旭化成工業社
製) D:Asathio Green GO(旭化成工業社
製) E:Asathio Blue 3B(旭化成工業社
製)
【0030】実施例2 実施例1において、原料としてコットン綿を用いた以外
は同様にして実験を行った。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】実施例3 ビニロンスパン糸10gを実施例1と同様にして精錬処
理した後、次の組成の染料溶液に70℃で30分間浸漬
した。
【0033】(染料溶液) 染料A 20重量% 硫化ナトリウム 10重量% ピークロン350A 0.6g/l ノイゲンSN 0.3g/l 無水芒硝 6重量%
【0034】次いで、前記で得られた染色糸を水洗後、
過酸化水素を濃度2g/lで含む水溶液中に50℃で5
分間浸漬した後、水洗し、乾燥した。この乾燥品の重量
を測定して、糸に対する硫化染料の結合量(重量%)を
算出したところ、1.83重量%であった。
【0035】次に、前記のようにして得た硫化染料含有
糸を、以下に示す組成の初回処理浴に40℃で2時間浸
漬した後、以下に示す組成の追加処理浴を初回処理浴と
同量加え、40℃で2時間浸漬した。この追加処理浴を
加えて行う浸漬処理を合計3回繰返した。この場合、2
回目及び3回目の追加処理浴を加えるに際しては、その
追加処理浴量と同一量の液を除去した後、追加処理浴を
加えた。このようにして処理した糸は、これを水洗し、
乾燥した。この乾燥糸の重量を測定し、糸に対する硫化
銅の結合量は、38.8重量%であり、その1本糸の電
気抵抗値は3.5kΩ/10cmであった。
【0036】(初回処理浴) 硫化銅 30重量% クエン酸 10重量 第二リン酸ソーダ 30重量% チオ硫酸ソーダ 25重量% 無水重亜硫酸ソーダ 10重量% 硝酸銀(AgNO3) 0.3重量%
【0037】(追加処理浴) 硫酸銅 30重量% クエン酸 1重量 第二リン酸ソーダ 30重量% チオ硫酸ソーダ 25重量% 無水重亜硫酸ソーダ 10重量% 硝酸銀(AgNO3) 0.3重量%

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化染料含有高分子材料に対し、その硫
    化染料を介して硫化銅を結合させたことを特徴とする導
    電性高分子材料。
  2. 【請求項2】 硫化染料を含有する高分子材料を得る工
    程と、この工程で得られる硫化染料含有高分子材料に硫
    化銅を結合させる工程からなる導電性高分子材料の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 硫化染料含有高分子材料を、銅塩とチオ
    硫酸塩を含む水溶液中に浸漬させることにより、硫化染
    料含有高分子材料に硫化銅を結合させる請求項2の方
    法。
JP34646993A 1993-12-23 1993-12-23 導電性高分子材料及びその製造方法 Pending JPH07179769A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001292881A (ja) * 2000-04-17 2001-10-23 Masao Nakagome 静電気放電機能及び/又は消臭機能を備えた備品

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