JPH0717886A - フェノールの製造方法 - Google Patents

フェノールの製造方法

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JPH0717886A
JPH0717886A JP5163547A JP16354793A JPH0717886A JP H0717886 A JPH0717886 A JP H0717886A JP 5163547 A JP5163547 A JP 5163547A JP 16354793 A JP16354793 A JP 16354793A JP H0717886 A JPH0717886 A JP H0717886A
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稔 浅沼
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愛子 渡辺
Takeshi Konishi
武史 小西
Yakudo Tachibana
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】トルエンから高選択率、高収率でフェノールを
製造する方法を提供する。 【構成】トルエン蒸気、酸素および水蒸気を含む混合ガ
スを酸化バナジウム、酸化アンチモン、酸化テルルおよ
びチタニアを含む触媒に接触させて、該混合ガス中のト
ルエンを気相接触酸化させて安息香酸を生成させ、次い
でこの安息香酸含有ガスを酸素を追加してから酸化鉄、
酸化ニッケル、酸化バナジウムおよびアルカリ金属化合
物を含む触媒に接触させて、該ガス中の安息香酸を気相
接触酸化させてフェノールを生成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はトルエンを触媒の存在下
で気相酸化してフェノールを製造する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】フェノールの製造方法としては、ベンゼ
ンからクメンを経由するクメン法およびトルエンから安
息香酸を経由するダウ法などのプロセスが確立されてお
り、すでに工業的規模で実施されている。これら既存の
プロセスは、いずれも二段あるいはそれ以上の工程を必
要とするものであった〔Industrial Aromatic Chemistr
y, Springer Verlag、151頁(1987)〕。
【0003】一方、トルエンからフェノールを一段の反
応工程で製造する方法は、これまでにいくつか知られて
おり、いずれも触媒の存在しない気相酸化的熱分解で行
われている。例えば特開昭47−39037号公報には、600〜
900℃の温度で、トルエンにメタンなどのパラフィン系
炭化水素を共存させて、酸素と反応させる方法が開示さ
れている。
【0004】また、特開昭52−27730号公報には、アル
コール類の共存下、400ないし1000℃の温度で、トルエ
ンと酸素とを反応させる方法が開示されている。
【0005】本発明者らもトルエンからフェノールを一
段の反応工程で製造する方法を開発するべく鋭意検討を
進め、酸化バナジウム、酸化鉄および酸化ニッケルを含
むフェノール製造用触媒とこの触媒を用いてトルエンを
気相接触酸化してフェノールを製造する方法を既に開示
した(特開平4−277029号公報)。また、トルエンを含
む反応ガスをまず酸化バナジウムを含む触媒に接触さ
せ、次いで酸化鉄、酸化ニッケルおよび塩基性化合物を
含む触媒に接触させることによりトルエンを気相接触酸
化してフェノールを製造する方法も開示した(特開平4
−279538号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
クメン法およびダウ法では、クメンの酸化工程並びにク
メンハイドロパーオキサイドの分解工程、およびトルエ
ンの酸化工程並びに安息香酸の酸化工程をいずれも液相
で実施するため、各工程で生成物と触媒との分離が不可
欠であり、更に生成物の精製、触媒の再生が必要であ
り、このため製造装置および運転操作が複雑であった。
また、大量生産を行うためには装置が著しく大きくなる
という本質的な問題点が存在した。
【0007】特開昭47−39037号公報に開示された方法
においては、フェノールの選択率および収率(転化率と
選択率との積)がともに充分でなく、最高でもフェノー
ル選択率19.2%、フェノール収率7.5%であった。ま
た、タール状物質が多量に生成するとともに炭素質の析
出や樹脂状物質の生成による反応管等の閉塞がおこるた
め、連続的な運転が困難であった。
【0008】また、特開昭52−27730号公報に開示され
た方法も、フェノールの選択率および収率がともに充分
でなく、最高でもフェノール選択率22.6%、フェノール
収率9.3%であった。また、クレゾール、ベンゼン、ス
チレン、エチルベンゼン、ベンズアルデヒド、タール状
物質などの副生成物が多量に生成するため、生成フェノ
ールの精製工程が複雑となり、経済的に不利であった。
【0009】特開平4−277029号公報に開示された方法
はトルエンの転化率、フェノールの選択率ともに充分で
なくフェノール収率は2.2〜3.4%程度にとどまってい
た。特開平4−279538号公報に開示された方法はこれら
が改善されてはいるがフェノール収率は最高でも27.6%
であった。
【0010】本発明は、以上の問題点を解決し、トルエ
ンから高選択率、高収率でフェノールを製造する方法を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究したところ、トルエン蒸気に
酸素および水蒸気を含む混合ガスを酸化バナジウム、酸
化アンチモン、酸化テルルおよびチタニアを含む触媒に
接触させて、該混合ガス中のトルエンを気相接触酸化さ
せて安息香酸を生成させ、次いでこの安息香酸含有ガス
に酸素を加えてから酸化鉄、酸化ニッケル、酸化バナジ
ウムおよびアルカリ金属化合物を含む触媒に接触させ
て、該ガス中の安息香酸を気相接触酸化させてフェノー
ルを生成させることにより、高い選択率および高い収率
でフェノールを製造し得ることを見出し、本発明を完成
した。
【0012】本発明のフェノールの製造方法では、原料
のトルエンおよび生成する安息香酸含有ガスに酸素を加
えるが、加える酸素は純酸素でもよいが、一般的には空
気が使用され、さらにこれを不活性ガス、例えば窒素、
炭酸ガス、アルゴンなどで希釈したものでもよい。
【0013】トルエンに対して加える酸素の割合は、約
0.1〜10倍モルの範囲が適当である。酸素の割合が約10
倍モルより多いと、原料トルエンの完全酸化が起こりや
すくなる。また、酸素の割合が約0.1倍モルより少ない
場合は、充分なトルエン転化率が得られない。好ましい
混合割合は酸素/トルエンのモル比で0.5〜5倍程度で
あり、1〜2倍程度が特に好ましい。
【0014】また、原料トルエンの加える水蒸気は、ト
ルエンに対して約1倍モルから100倍モルの範囲が適当
である。水蒸気の供給量が約100倍モルより多いと経済
的でなく、また約1倍モルより少ないと一般にフェノー
ルの選択率が低下する。好ましい混合割合は水蒸気/ト
ルエンのモル比で2〜50倍程度であり、5〜20倍程度が
特に好ましい。
【0015】原料トルエンに酸素および水蒸気を加えた
混合ガスは、まず酸化バナジウム、酸化アンチモン、酸
化テルルおよびチタニアを含む触媒に接触させる。
【0016】この触媒の組成としては、酸化バナジウム
1〜30重量%程度、好ましくは1〜10重量%程度、特に
好ましくは2〜5重量%程度、酸化アンチモン0.5〜10
重量%程度、好ましくは0.5〜5重量%程度、特に好ま
しくは1〜3重量%程度、酸化テルル0.5〜10重量%程
度、好ましくは0.5〜5重量%程度、特に好ましくは1
〜3重量%程度、チタニア50〜98重量%程度、好ましく
は90〜98重量%程度、特に好ましくは90〜95重量%程度
が適当である。トルエンを安息香酸に酸化するその他の
触媒活性成分は不要であるが含む場合も1重量%程度未
満である。
【0017】またこの触媒を各種の不活性担体、例えば
α−アルミナ、シリカゲル、炭化珪素等に担持させて使
用することもできる。
【0018】本発明の触媒は公知の方法で調製すること
ができる。酸化バナジウムをチタニアに担持させる際
に、例えば水溶液による含浸法を利用する場合には、酸
化バナジウムの原料として、水溶性でかつ熱分解して容
易に酸化バナジウムに変換することのできるバナジウム
化合物(例えばメタバナジン酸アンモニウム又はシュウ
酸バナジル)の水溶液を用いればよい。有機溶媒に可溶
なバナジウム化合物(例えば酸化バナジウムアセチルア
セトナート)を有機溶媒に溶解させて使用することもで
きる。また酸化テルルを担持させる場合には、水溶性で
かつ熱分解して容易に酸化テルルに変換することのでき
るテルル化合物(例えばオルトテルル酸)を水に溶解し
て用いることができ、酸化アンチモンを担持させるに
は、三酸化アンチモン、塩化アンチモン等を塩酸あるい
は酒石酸等の有機酸に溶解して使用することができ、更
に酸化セレンを担持させるには、二酸化セレンをそのま
ま水に溶解して使用することができる。これらの化合物
を空気中で加熱することによって容易に酸化物に変換す
ることができる。なお、水不溶性の三酸化アンチモンを
添加する場合には、三酸化アンチモン微粉末を水に懸濁
させ、スラリー状のままで担持させても構わない。これ
らの化合物をチタニアに含浸担持させる順序は任意でよ
く、なんら限定されるものではない。もちろん各化合物
を同時に含浸担持させてもよい。
【0019】また、本発明の触媒の各種の不活性担体に
担持して使用することもできる。例えば、γ−アルミ
ナ、α−アルミナ、シリカゲル又は炭化珪素等に上記触
媒成分を同時に担持してもよく、またこれらの不活性担
体に予めチタニアをコーティングした後、酸化バナジウ
ムと酸化テルル及び/又は酸化アンチモン及び/又は酸
化セレンを担持してもよい。
【0020】原料トルエンに酸素および水蒸気を加えた
混合ガスは、この触媒に通常250〜580℃、好ましくは30
0〜500℃、特に好ましくは320〜380℃、の温度範囲で接
触させる。また反応圧力は特に制限はないが、通常は常
圧または若干の加圧状態で行う。
【0021】反応器としては、流動床でも固定床でも反
応は行うことができるが、流動床を用いることが好まし
い。トルエンの酸化反応を流動床方式で行うことによ
り、発生する反応熱が分散でき、触媒層に局部過熱が生
ずることなく、反応温度を均一に保持、制御することが
容易である。
【0022】生成した安息香酸含有ガスに対して追加す
る酸素の量は、安息香酸含有ガス中に残存する酸素量と
追加する酸素量との和が安息香酸に対して0.5〜50倍モ
ルの範囲が適当である。酸素の割合が約50倍モルより多
いと、完全燃焼によるCO、CO2の生成が増大する。
また、酸素の割合が約0.1倍モルより少ないと、残存す
る安息香酸の割合が高くなる。好ましい酸素の追加量は
安息香酸含有ガス中に残存する酸素量と追加する酸素量
との和の安息香酸に対するモル比で0.5〜10倍程度であ
り、0.5〜1.5倍程度が特に好ましい。
【0023】生成した安息香酸含有ガスに酸素を追加し
た混合ガスは、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化バナジウム
およびアルカリ金属の化合物を含む触媒に接触させる。
【0024】触媒の組成としては、酸化鉄10〜90重量%
程度、好ましくは30〜70重量%程度、特に好ましくは40
〜50重量%程度、酸化ニッケル10〜90重量%程度、好ま
しくは30〜70重量%程度、特に好ましくは40〜50重量%
程度、酸化バナジウム1〜20重量%程度、好ましくは1
〜10重量%程度、特に好ましくは1〜5重量%程度、ア
ルカリ金属の化合物0.05〜10重量%程度、好ましくは0.
1〜5重量%程度、特に好ましくは0.5〜2重量%程度が
適当である。また、触媒中の鉄とニッケルとの比率は原
子比で約0.1〜10の範囲がよく、約0.4〜2.5の範囲、特
に0.7〜1.5の範囲、が好ましい。鉄とニッケルとの比率
が約10より大きい場合は、ベンゼンの生成が顕著となり
フェノールの選択率が低下する。鉄とニッケルとの比率
が約0.1より小さい場合は、完全燃焼によるCO、CO2
の生成が増大し、フェノールの選択率が低下する。また
アルカリ金属に対するバナジウムの割合は原子比で2以
上がよく、2〜7の範囲、特に3〜4の範囲が好まし
い。アルカリ金属に対するバナジウムの割合が原子比で
2より小さいと長時間の反応により触媒が劣化する。安
息香酸をフェノールに酸化するその他の触媒活性成分は
不要であるが含む場合も1重量%程度未満である。
【0025】本発明の触媒には、各種化合物を添加する
ことができ、さらに、本発明の触媒を酸化チタン、シリ
カ等の触媒担体に担持させて使用することもできる。
【0026】本発明の触媒の製造は、従来この種の触媒
に使用されている一般的な調製方法で行うことができ
る。例えば製造原料として、鉄、ニッケル、バナジウム
およびアルカリ金属の硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩、ハロ
ゲン化物、水酸化物、酸化物等を使用できる。鉄、ニッ
ケル、バナジウムおよびアルカリ金属の上記化合物の混
合方法は、通常の沈澱法、混練法、含浸法等を使用でき
る。例えば、調製した水酸化鉄と水酸化ニッケルのゲル
状混合物に、バナジウム及びアルカリ金属の化合物をそ
のままあるいは溶液の状態で混合した後、乾燥、焼成す
る。また、酸化鉄と酸化ニッケルの混練物に、バナジウ
ムおよびアルカリ金属の化合物を混合してもよく、酸化
鉄と酸化ニッケルの混合焼成物にバナジウムおよびアル
カリ金属の化合物を混合してもよく、酸化鉄と酸化ニッ
ケルの混合焼成物にバナジウムおよびアルカリ金属の化
合物を含浸担持してもよく、さらに、酸化鉄、酸化ニッ
ケル、酸化バナジウムおよびアルカリ金属の化合物を粉
末にして混合した後、圧縮成形してペレット状にしても
よい。
【0027】触媒は酸化鉄と酸化ニッケルの混合以降の
調製段階において、空気中または不活性ガス中で焼成処
理して、酸化鉄、酸化ニッケル、鉄とニッケルとの複合
酸化物の1種または2種以上に結晶化させることが好ま
しい。一般に、通常の方法により調製した触媒を、さら
に約600℃以上の温度で焼成処理すると、比表面積が低
下し、それにともなって触媒活性が低下する。しかしな
がら本発明に用いられる触媒は、焼成温度が約600〜900
℃の範囲では、焼成温度の上昇とともに比表面積が低下
するが、フェノールの生成活性は向上し、高い安息香酸
転化率と高いフェノール選択性が得られる。焼成温度が
約600℃より低いと、完全燃焼によるCO、CO2生成反
応のみが進行し、フェノールの生成はほとんどみられな
くなり、かつ触媒表面に炭素質物質の析出をもたらす。
また、焼成温度が約900℃より高いと、安息香酸の転化
率が著しく低く、フェノールの生成も微量である。
【0028】安息香酸含有ガスに酸素を追加した混合ガ
スは、この触媒に通常200〜600℃、好ましくは300〜500
℃、特に好ましくは380〜420℃、の温度範囲で接触させ
ることが好ましい。また反応圧力は特に制限はないが、
通常は常圧または若干の加圧状態で行う。
【0029】反応器としては、流動床、固定床ともに反
応を行うことができるが、固定床を用いることが好まし
い。反応熱があまり大きくないため、反応器内部に冷却
用熱交換器を設けることで、十分反応温度の制御が可能
であり、これによって反応器の小型化がはかれる。
【0030】こうして得られた生成フェノール含有ガス
には未反応のトルエン、反応中間体の安息香酸、副産物
のベンゼン等が含まれ、さらに水蒸気、炭酸ガス等各種
の成分が含まれているのでそこからフェノールを分離精
製する。この分離精製法には各種の公知の方法が利用で
きる。その際、トルエン及び安息香酸は回収してそれぞ
れトルエンを安息香酸に酸化する反応器あるいは安息香
酸を酸化してフェノールを生成させる反応器に循環させ
ることが好ましい。
【0031】本発明の方法で生成するフェノールの収率
は原料トルエンに対するモル比で60〜90%程度、特に70
〜90%程度であり、選択率は70〜100%程度、特に80〜9
0%程度である。
【0032】
【作用】本発明のフェノールの製造方法は、トルエン蒸
気に酸素および水蒸気を加え、該混合ガスを酸化バナジ
ウム、酸化アンチモン、酸化テルルおよびチタニアを含
む触媒に触媒させて、該混合ガス中のトルエンを気相接
触酸化させて安息香酸を生成させ、次いで該生成混合ガ
スに酸素を加え、該混合ガスを酸化鉄、酸化ニッケル、
酸化バナジウムおよびアルカリ金属の化合物を含む触媒
に接触させて、該混合ガス中の安息香酸を気相接触酸化
させてフェノールを生成させることにより、フェノール
を生成させている。
【0033】本発明の最大の特徴は、前段の反応器で生
成する安息香酸含有ガスから安息香酸を分離することな
く、そのまま後段の反応器に導入して、安息香酸含有ガ
ス中の安息香酸をフェノールに変換し得ることである。
これによって安息香酸の分離精製工程が省略でき、プロ
セスが簡略化される。また、安息香酸含有ガスの温度を
一旦下げる必要がないため、安息香酸含有ガスが保持す
る熱をそのまま後段の反応器で有効に利用でき、熱エネ
ルギーのロスが極めて少ない。
【0034】
【実施例】
(1) 製造装置 図1に示す装置を使用した。この装置において、まず原
料トルエン供給ライン1から供給されるトルエンは、空
気供給ライン2から供給され熱交換器3で予熱された空
気、水蒸気供給ライン4から供給される水蒸気、リサイ
クルトルエン供給ライン5から供給されるトルエンおよ
びリサイクル燃焼排ガス供給ライン6から供給される燃
焼排ガスとともにトルエン気化器7で混合、予熱され、
内部に冷却用熱交換器8を備えた流動床式のトルエン酸
化反応器9に導入され、酸化バナジウム−酸化アンチモ
ン−酸化テルル−チタニア触媒10と接触することにより
安息香酸に酸化される。生成した安息香酸含有ガスは、
そのまま熱交換器11で予熱された空気およびリサイクル
安息香酸供給ライン12から供給される安息香酸と混合さ
れた後、内部に冷却用熱交換器13を備えた固定床式の安
息香酸酸化反応器14に送られ、酸化鉄−酸化ニッケル−
酸化バナジウム−酸化ナトリウム触媒15と接触すること
によりフェノールに酸化される。安息香酸酸化反応器14
の出口から排出されるフェノール含有ガスは、脱水塔16
でガス留分、粗フェノール留分および未反応安息香酸に
分離される。粗フェノール留分は、蒸留塔17で軽質分が
軽質分排出ライン18より除去され、さらにフェノール蒸
留塔19で重質生成物および未反応安息香酸が除去され
て、精製フェノールとしてフェノール回収ライン20より
回収される。重質生成物および安息香酸は熱交換器21で
加熱されたのち分離器22に送られ、ここで重質生成物と
安息香酸に分離される。重質生成物は重質生成物排出ラ
イン23より排出され、一方、安息香酸は脱水塔16から分
離されたものとともに安息香酸酸化反応器14にリサイク
ルされ、再使用される。脱水塔16より排出されるガス留
分は、吸収塔24に送られ、さらに蒸留塔25でトルエンと
ベンゼンに分離される。分離されたトルエンはトルエン
気化器7にリサイクルされ、再使用される。またベンゼ
ンはさらにベンゼン塔26で精製され、副生ベンゼンとし
てベンゼン回収ライン27より回収される。吸収塔24の出
口から排出されるガスは、活性炭吸着塔28で水蒸気、ベ
ンゼン、トルエンが除去された後、一部はトルエン気化
器7にリサイクルされ、残部は燃焼排ガス排出ライン29
より排出される。
【0035】(2) 触媒の調製 触媒例1 酸化バナジウム−酸化アンチモン−酸化テルル−チ
タニア触媒 シュウ酸((COOH)2・2H2O)約16kgをイオン交換
水約160lに溶解した溶液にメタバナジン酸アンモニウ
ム(NH4VO3)を5.16kg加え、加熱しながら完全に溶
解して青色透明水溶液を得た。次いで、酒石酸(HOO
C(CHOH)2COOH)約16kgを含む溶液40lに、塩
化アンチモン(SbCl3)2.52kgとオルトテルル酸(H6
eO6)2.32kgとを加えて完全に溶解し、これに上記の青
色透明溶液を全量加えて混合した。次に、この溶液に75
〜106μmに分級したチタニア(TiO 2)を72kg投入し
て攪拌しながら蒸発乾固し、約120℃で一昼夜乾燥後、
更に空気中にて400℃の温度で3時間焼成した。
【0036】得られた触媒の組成は、V25:Sb
23:TeO2:TiO2=5:2:2:91(重量比)であ
った。
【0037】 酸化鉄−酸化ニッケル−酸化バナジウ
ム−酸化ナトリウム触媒 硝酸鉄(Fe(NO3)3・9H2O)600kgと硝酸ニッケル
(Ni(NO3)2・6H2O)432kgとをイオン交換水750lに
溶解させたものと、水酸化ナトリウム約300kgをイオン
交換水750lに溶解させたものとを、常温のイオン交換
水3000lに、pHを7〜8に保ちながら滴下した。滴下
終了後、約1時間攪拌を続け、生成した沈澱の濾過およ
び洗浄を行った。
【0038】このゲル状物質に、炭酸ナトリウム(Na2
CO3・10H2O)7.32kgを含む150lの水溶液を加え、
約1時間攪拌した。そして、ゲル状物質を空気中、120
℃で24時間乾燥し、さらに空気中、800℃で4時間焼成
した。
【0039】次に上記操作によって得られたものを水約
75lにメタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)6k
g、及び蓚酸((COOH)2)12kgを溶解した水溶液に投
入し、蒸発乾固した。これを120℃で24時間乾燥し、500
℃で3時間焼成して、目的の触媒を得た。
【0040】得られた触媒の組成は、Fe23:NiO:
Na2O:V25=50.3:47.1:0.6:2.0(重量比)であ
った。
【0041】触媒例2〜5 酸化バナジウム、酸化アンチモン、酸化テルルおよびチ
タニアの含有率の異なる触媒を、触媒例1と同じ方法
により、また酸化鉄、酸化ニッケル、酸化バナジウムお
よび酸化ナトリウムの含有率の異なる触媒を、触媒例1
と同じ方法により、それぞれ調製した。
【0042】(3) フェノールの製造 実施例1 トルエン気化器7に、原料トルエン6.0kg/h、空気14.
9Nm3/h、水蒸気12.2kg/h、リサイクルトルエン0.7k
g/hおよびリサイクル燃焼排ガス(酸素:0.5容量%、
窒素:85.7容量%、水蒸気:0.4容量%、二酸化炭素:1
3.4容量%)26.0Nm3/hを供給し、混合、予熱した。次
いでこの原料ガスを流動床式のトルエン酸化反応器9に
導入した。触媒としては、上記触媒例1で調製した酸
化バナジウム−酸化アンチモン−酸化テルル−チタニア
触媒5.51を使用した。流動層内の温度が350℃になるよ
うに設定して、トルエンを安息香酸に酸化した。
【0043】トルエン酸化反応器9から排出された安息
香酸含有ガスに、予熱済みの空気4.5Nm3/hを混合し、
固定床式の安息香酸酸化反応器14に導入した。安息香酸
酸化反応器14の内部には、上記触媒例1で調製した酸
化鉄−酸化ニッケル−酸化バナジウム−酸化ナトリウム
触媒17.41を充填した。触媒充填層の温度が400℃になる
ように設定して、安息香酸をフェノールに酸化した。
【0044】次いで、安息香酸酸化反応器14より排出さ
れたフェノール含有ガスは、脱水塔16に導入され、ガス
および未反応安息香酸を分離した。さらに蒸留塔17で軽
質分を除去した後、フェノール蒸留塔19に導入して、精
製フェノールを得た。回収されたフェノールは4.98kg/
hであった。これは供給原料トルエン基準で81.2%のフ
ェノール収率に相当した。
【0045】脱水塔16で分離したガス留分は、吸収塔24
に送り、さらに蒸留塔25に導入してトルエンを分離し
た。次いでベンゼン塔26に導入して、精製ベンゼンを得
た。回収されたベンゼンは0.37kg/hであった。
【0046】実施例2〜5 実施例1と同じ実験方法によりフェノールの製造を行っ
た。実験条件および実験結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】以上説明した如くに、本発明のフェノー
ルの製造方法によれば、高い選択率および高い収率でフ
ェノールを製造することができるなど顕著な効果を有す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例で使用されたフェノール製造
装置のフローシートである。
【符号の説明】
1…原料トルエン供給ライン 2…空気供給ライン 3…熱交換器 4…水蒸気供給ライン 5…リサイクル燃焼排ガス供給ライン 6…リサイクルトルエン供給ライン 7…トルエン気化器 8…冷却用熱交換器 9…トルエン酸化反応器 10…酸化バナジウム−酸化アンチモン−酸化テルル−チ
タニア触媒 11…熱交換器 12…安息香酸酸化反応器 13…冷却用熱交換器 14…安息香酸酸化反応器 15…酸化鉄−酸化ニッケル−酸化バナジウム−酸化ナト
リウム触媒 16…脱水塔 17…蒸留塔 18…軽質分排出ライン 19…フェノール蒸留塔 20…フェノール回収ライン 21…熱交換器 22…分離器 23…重質生成物排出ライン 24…吸収塔 25…蒸留塔 26…ベンゼン塔 27…ベンゼン回収ライン 28…活性炭吸収塔 29…燃焼排ガス排出ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 愛子 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 小西 武史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 橘 躍動 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トルエン蒸気、酸素および水蒸気を含む
    混合ガスを酸化バナジウム、酸化アンチモン、酸化テル
    ルおよびチタニアを含む触媒に接触させて、該混合ガス
    中のトルエンを気相接触酸化させて安息香酸を生成さ
    せ、次いでこの安息香酸含有ガスを酸素を追加してから
    酸化鉄、酸化ニッケル、酸化バナジウムおよびアルカリ
    金属化合物を含む触媒に接触させて、該ガス中の安息香
    酸を気相接触酸化させてフェノールを生成させることを
    特徴とするフェノールの製造方法
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