JPH07176066A - 光ピックアップの対物レンズ駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】フォーカス方向およびトラッキング方向の振動
特性を夫々最適に設計する。 【構成】対物レンズ１を一体に支持するレンズホルダ２
は樹脂製の支持部材１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄの
片持ち梁で支持されている。支持部材１２ａ，１２ｂ，
１２ｃ，１２ｄの垂直方向および水平方向の夫々の変形
の断面２次モーメントは互いに異なる。レンズホルダ２
に貼着されたトラッキングコイル７ａ，７ｂおよびフォ
ーカスコイル８は磁気ギャップに配置される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は光ディスク上で情報を
読取りまたは書き込むための光ピックアップに係わり、
特に、レーザスポットのトラッキング制御およびフォー
カシング制御を行うための対物レンズ駆動装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】光ディスクを光学的に記録あるいは再生
する光ディスク装置は、光ピックアップにより光ディス
クの記録トラックにレーザスポットを照射する。このよ
うな光ピックアップでは、光ディスクの反りによるフォ
ーカスずれや偏心によるトラッキングずれを補正するた
めに対物レンズを光ディスクの記録面に垂直な方向であ
る光軸方向（フォーカス方向）および光ディスクの半径
方向（トラッキング方向）の２軸に駆動しなければなら
ない。

【０００３】従来の光ピックアップの対物レンズ駆動装
置の例を図５に示す。図に示す１は対物レンズでありレ
ンズホルダ２に一体に支持されている。３ａおよび３ｂ
は磁石でありベース６に固定された外ヨーク４ａおよび
４ｂに夫々固着されている。

【０００４】５ａおよび５ｂは内ヨークでありベース６
に固定されている。ベース６は磁性体であり、磁石３
ａ、外ヨーク４ａ、ベース６、内ヨーク５ａおよび内ヨ
ーク５ａと磁石３ａの間のギャップとで磁気回路が形成
されている。同様に磁石３ｂ、外ヨーク４ｂ、ベース
６、内ヨーク５ｂおよび内ヨーク５ｂと磁石３ｂの間の
ギャップとで磁気回路が形成されている。

【０００５】７ａおよび７ｂはトラッキングコイル、８
はフォーカスコイルであり、これらのコイルはレンズホ
ルダ２に貼着されている。９ａ，９ｂ，９ｃおよび９ｄ
は金属ワイヤーで作られた支持部材であり一端が固定部
材１０に固定されており他端にレンズホルダ２を支持し
ている。

【０００６】固定部材１０はベース６に固定されてい
る。また、トラッキングコイル７ａ，７ｂおよびフォー
カスコイル８は上述の磁気回路のギャップに配置されて
いる。支持部材９ａ，９ｂ，９ｃおよび９ｄの弾性変形
によりレンズホルダ２は図示のフォーカス方向およびト
ラッキング方向に変位自在であり、フォーカスコイル８
に流す電流により対物レンズ１のフォーカス方向位置が
制御され、トラッキングコイル７ａ，７ｂに流す電流に
より対物レンズ１のトラッキング方向位置が制御され
る。

【０００７】上記の対物レンズ駆動装置では支持部材と
して金属ワイヤーが用いられているが、通常金属ワイヤ
ーの断面は円形であり、直交する２軸方向の剛性が同じ
である。従って、フォーカス方向とトラッキング方向の
振動特性を独立して設計することができず設計の自由度
が少ないという問題があった。

【０００８】また、金属ワイヤーは複数のものを一体に
作ることができず、一本一本装着していたために組み立
てに手間がかかり生産性が悪いという問題があった。

【０００９】従来の光ピックアップの対物レンズ駆動装
置の他の例を図６に示す。この例では樹脂製の支持部材
１１ａ，１１ｂ，１１ｃおよび１１ｄが図５に示す支持
部材９ａ，９ｂ，９ｃおよび９ｄの代りに用いられてい
る。他の構成は図５に示した対物レンズ駆動装置と同様
である。

【００１０】支持部材１１ａには薄肉部が垂直方向に延
びるヒンジ１１ａＡが２箇所に設けられており、薄肉部
が水平方向に延びるヒンジ１１ａＢが２箇所に設けられ
ている。そして、中央の厚肉棒状部の両側にヒンジ１１
ａＡおよびヒンジ１１ａＢが夫々１個ずつ配置されてい
る。他の支持部材１１ｂ，１１ｃ，１１ｄも同様であ
る。

【００１１】このような支持部材１１ａ，１１ｂ，１１
ｃおよび１１ｄを用いることにより２方向の平行リンク
が夫々２組みずつ形成される。固定部材１０、支持部材
１１ａ，レンズホルダ２、支持部材１１ｃの組みは水平
面内で変形する平行リンクを形成する。固定部材１０、
支持部材１１ｂ，レンズホルダ２、支持部材１１ｄの組
みも同様に水平面内で変形する平行リンクを形成する。

【００１２】また、固定部材１０、支持部材１１ａ，レ
ンズホルダ２、支持部材１１ｂの組みは垂直面内で変形
する平行リンクを形成する。固定部材１０、支持部材１
１ｃ，レンズホルダ２、支持部材１１ｄの組みも同様に
水平面内で変形する平行リンクを形成する。

【００１３】このように２組みずつの平行リンクにより
レンズホルダ２はフォーカス方向とトラッキング方向に
変位可能に支持されている。

【００１４】上記の対物レンズ駆動装置では樹脂製の支
持部材に２つの異なる方向に夫々変位するヒンジが設け
られており、フォーカス方向とトラッキング方向に上記
ヒンジによる平行リンクで変位するため、フォーカス方
向とトラッキング方向で異なる荷重変位特性を設定する
ことができる。

【００１５】しかしながら、同一の樹脂部材に２つの異
なる方向に薄肉部が延びるヒンジを設けることは、ヒン
ジ部は極めて薄い厚さとなるためその厚さを正確に同一
に管理することが困難であった。

【００１６】そして、ヒンジ部の厚さが僅かに異なるだ
けて荷重変位特性が大きくことなるため、安定したトラ
ッキングおよびフォーカシング制御特性の光ピックアッ
プの対物レンズ駆動装置が作りにくかった。

【００１７】

【発明が解決しようとする課題】この発明は上記した点
に鑑みてなされたものであって、その目的とするところ
は、フォーカス方向とトラッキング方向で異なる荷重変
位特性を設定することができる光ピックアップの対物レ
ンズ駆動装置を提供することである。

【００１８】また、この発明の他の目的は、フォーカス
方向とトラッキング方向で異なる荷重変位特性を設定す
ることができ、安定したトラッキングおよびフォーカシ
ング制御特性が得られる光ピックアップの対物レンズ駆
動装置を提供することである。

【００１９】

【課題を解決するための手段】この発明の光ピックアッ
プの対物レンズ駆動装置は、光ディスク上で光学的に情
報を書き込むあるいは読み取るための光ピックアップの
対物レンズを一体に支持するレンズホルダと、前記レン
ズホルダを対物レンズの光軸と平行方向および光軸と直
交方向に駆動するための駆動手段と、前記レンズホルダ
を弾力的にフレームに支持する複数の棒状支持部材とを
備えた対物レンズ駆動装置において、前記棒状支持部材
を樹脂部材により形成し、棒状支持部材の片持ち梁とし
ての撓みにより前記レンズホルダを対物レンズの光軸と
平行方向および光軸と直交方向に移動可能としたもので
ある。

【００２０】また、前記光ピックアップの対物レンズ駆
動装置において、前記棒状支持部材の対物レンズの光軸
と平行方向および光軸と直交方向の夫々の撓みに関する
夫々の断面２次モーメントを異なる値としたものであ
る。

【００２１】さらに、前記光ピックアップの対物レンズ
駆動装置において、複数の前記棒状支持部材を一体成形
としたものである。

【００２２】さらに、この発明の光ピックアップの対物
レンズ駆動装置は、光ディスク上で光学的に情報を書き
込むあるいは読み取るための光ピックアップの対物レン
ズが固着されたレンズホルダと、前記レンズホルダを対
物レンズの光軸と平行方向および光軸と直交方向に駆動
するための駆動手段と、前記レンズホルダを弾力的にフ
レームに支持する複数の樹脂部材からなる棒状支持部材
とを備えた対物レンズ駆動装置において、前記棒状支持
部材は一部を薄くしたヒンジによる平行リンクを構成し
ており、対物レンズの光軸と平行方向および光軸と直交
方向のいずれか一方向は前記棒状支持部材の片持ち梁と
しての撓みにより前記レンズホルダを移動可能とし、他
の方向は前記平行リンクにより前記レンズホルダを移動
可能としたものである。

【００２３】さらに、前記光ピックアップの対物レンズ
駆動装置において、複数の前記棒状支持部材を一体成形
としたものである。

【００２４】

【作用】この発明の光ピックアップの対物レンズ駆動装
置によれば、対物レンズを弾力的に支持する支持部材が
合成樹脂により作られているため、２方向の断面２次モ
ーメントを任意に設定できる。従って、フォーカス方向
およびトラッキング方向の振動特性を夫々最適に設計す
ることができる。

【００２５】樹脂製の棒状支持部材の一部を薄くしたヒ
ンジによる平行リンクを構成し、対物レンズの光軸と平
行方向および光軸と直交方向のいずれか一方向は棒状支
持部材の片持ち梁としての撓みによりレンズホルダを移
動可能とし、他の方向は前記平行リンクによりレンズホ
ルダを移動可能としたものは、樹脂部材に一方向のみに
延びる薄肉部が設けられているので、薄肉部の荷重変形
特性を精度よく作ることができる。

【００２６】また、片持ち梁としての撓みの荷重変位特
性はさらに精度よく設定することができるので、フォー
カス方向およびトラッキング方向の振動特性を夫々最適
に設計することができ、安定したトラッキングおよびフ
ォーカシング制御特性の光ピックアップの対物レンズ駆
動装置を容易に作ることが可能となる。

【００２７】また、上記の支持部材は合成樹脂で作るの
で、複数のものを一体に成形することができ、製造工数
を削減することができる。

【００２８】

【実施例】この発明の実施例である光ピックアップの対
物レンズ駆動装置を図面に基づいて説明する。図１にこ
の発明の第１の実施例である光ピックアップの対物レン
ズ駆動装置を示す。

【００２９】この例では樹脂製の支持部材１２ａ，１２
ｂ，１２ｃおよび１２ｄが図５に示す支持部材９ａ，９
ｂ，９ｃおよび９ｄの代りに用いられている。他の構成
は図５に示した対物レンズ駆動装置と同様である。

【００３０】支持部材１２ａ，１２ｂ，１２ｃおよび１
２ｄの断面は図１（ｂ）に示すように垂直方向の長さａ
と水平方向の長さｂとが異なっている。これにこれらの
支持部材の片持ち梁しての水平方向の変形の断面２次モ
ーメントと垂直方向の変形の断面２次モーメントとが異
なり、フォーカス方向およびトラッキング方向の振動特
性を夫々最適に設計することができる。

【００３１】図２にこの発明の第２の実施例である光ピ
ックアップの対物レンズ駆動装置を示す。この例では樹
脂製の支持部材１３ａおよび１３ｂが図５に示す支持部
材９ａ，９ｂ，９ｃおよび９ｄの代りに用いられてい
る。他の構成は図５に示した対物レンズ駆動装置と同様
である。

【００３２】支持部材１３ａおよび１３ｂの断面は図２
（ｂ）に示すように楕円形であり長軸の長さａと短軸の
長さｂとが異なっている。これにこれらの支持部材の片
持ち梁しての水平方向の変形の断面２次モーメントと垂
直方向の変形の断面２次モーメントとが異なり、フォー
カス方向およびトラッキング方向の振動特性を夫々最適
に設計することができる。第２の実施例では２本の支持
部材が一体となっているので組み立ての工数が削減され
る。

【００３３】図３にこの発明の第３の実施例である光ピ
ックアップの対物レンズ駆動装置を示す。この例では樹
脂製の支持部材１４ａ，１４ｂ，１４ｃおよび１４ｄが
図５に示す支持部材９ａ，９ｂ，９ｃおよび９ｄの代り
に用いられている。他の構成は図５に示した対物レンズ
駆動装置と同様である。

【００３４】支持部材１４ａには薄肉部が垂直方向に延
びるヒンジ１４ａＡが中央の厚肉棒状部の両側に２箇所
に設けられている。他の支持部材１４ｂ，１４ｃ，１４
ｄも同様である。

【００３５】このような支持部材１４ａ，１４ｂ，１４
ｃおよび１４ｄを用いることにより水平方向に変位する
平行リンクが２組み形成される。すなわち、固定部材１
０、支持部材１４ａ，レンズホルダ２、支持部材１４ｃ
の組みは水平面内で変形する平行リンクを形成する。固
定部材１０、支持部材１４ｂ，レンズホルダ２、支持部
材１４ｄの組みも同様に水平面内で変形する平行リンク
を形成する。

【００３６】また、支持部材１４ａ，１４ｂ，１４ｃお
よび１４ｄは垂直方向で変位する片持ち梁として用いら
れており、レンズホルダ２はフォーカス方向とトラッキ
ング方向に変位可能に支持されている。そして、フォー
カス方向およびトラッキング方向の振動特性を夫々最適
に設計することができる。

【００３７】図４にこの発明の第４の実施例である光ピ
ックアップの対物レンズ駆動装置を示す。この例では樹
脂製の支持部材１５および１５ｂが図５に示す支持部材
９ａ，９ｂ，９ｃおよび９ｄの代りに用いられている。
他の構成は図５に示した対物レンズ駆動装置と同様であ
る。

【００３８】支持部材１５ａには薄肉部が垂直方向に延
びるヒンジ１５ａＡが中央の厚肉棒状部の両側に２箇所
ずつに設けられている。他の支持部材１５ｂも同様であ
る。このような支持部材１５ａおよび１５ｂを用いるこ
とにより水平方向に変位する平行リンクが２組み形成さ
れる。

【００３９】すなわち、図３に示すものと同様の平行リ
ンクが形成されるが、２本ずつの支持部材が一体に成形
されている。そして、図３に示すものと同様にレンズホ
ルダ２はフォーカス方向とトラッキング方向に変位可能
に支持されている。そして、フォーカス方向およびトラ
ッキング方向の振動特性を夫々最適に設計することがで
きる。この実施例では２本の支持部材が一体となってい
るので組み立ての工数が削減される。

【００４０】実施例では対物レンズのフォーカス方向の
位置を片持ち梁の変位で調整し、トラッキング方向の位
置を平行リンクの変位で調整しているが、逆にフォーカ
ス方向の位置を平行リンクの変位で調整し、トラッキン
グ方向の位置を片持ち梁の変位で調整することもでき
る。

【００４１】

【発明の効果】この発明の光ピックアップの対物レンズ
駆動装置によれば、対物レンズを弾力的に支持する支持
部材が合成樹脂により作られているため、２方向の断面
２次モーメントを任意に設定できる。従って、フォーカ
ス方向およびトラッキング方向の振動特性を夫々最適に
設計することができる。

【００４２】樹脂製の棒状支持部材の一部を薄くしたヒ
ンジによる平行リンクを構成し、対物レンズの光軸と平
行方向および光軸と直交方向のいずれか一方向は棒状支
持部材の片持ち梁としての撓みによりレンズホルダを移
動可能とし、他の方向は前記平行リンクによりレンズホ
ルダを移動可能としたものは、樹脂部材に一方向のみに
延びる薄肉部が設けられているので、薄肉部の荷重変形
特性を精度よく作ることができる。

【００４３】また、片持ち梁としての撓みの荷重変位特
性はさらに精度よく設定することができるので、フォー
カス方向およびトラッキング方向の振動特性を夫々最適
に設計することができ、安定したトラッキングおよびフ
ォーカシング制御特性の光ピックアップの対物レンズ駆
動装置を容易に作ることが可能となる。

【００４４】また、上記の支持部材は合成樹脂で作るの
で、複数のものを一体に成形することができ、製造工数
を削減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）はこの発明の第１の実施例である光
ピックアップの対物レンズ駆動装置を示す斜視図、図１
（ｂ）は同装置の部材の断面図である。

【図２】図２（ａ）はこの発明の第２の実施例である光
ピックアップの対物レンズ駆動装置を示す斜視図、図２
（ｂ）は同装置の部材の断面図である。

【図３】この発明の第３の実施例である光ピックアップ
の対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。

【図４】この発明の第４の実施例である光ピックアップ
の対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。

【図５】従来の光ピックアップの対物レンズ駆動装置の
例を示す斜視図である。

【図６】従来の光ピックアップの対物レンズ駆動装置の
他の例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 対物レンズ ２ レンズホルダ ３ａ，３ｂ 磁石 ４ａ，４ｂ 外ヨーク ５ａ，５ｂ 内ヨーク ６ ベース ７ａ，７ｂ トラッキングコイル ８ フォーカスコイル ９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ 棒状支持部材 １０ 固定部材 １１ａ，１１ｂ，１１ｃ，１１ｄ 支持部材 １２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄ 支持部材 １３ａ，１３ｂ 支持部材 １４ａ，１４ｂ，１４ｃ，１４ｄ 支持部材 １５ａ，１５ｂ 支持部材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光ディスク上で光学的に情報を書き込む
   あるいは読み取るための光ピックアップの対物レンズを
   一体に支持するレンズホルダと、前記レンズホルダを対
   物レンズの光軸と平行方向および光軸と直交方向に駆動
   するための駆動手段と、前記レンズホルダを弾力的にフ
   レームに支持する複数の棒状支持部材とを備えた対物レ
   ンズ駆動装置において、前記棒状支持部材を樹脂部材に
   より形成し、棒状支持部材の片持ち梁としての撓みによ
   り前記レンズホルダを対物レンズの光軸と平行方向およ
   び光軸と直交方向に移動可能とした光ピックアップの対
   物レンズ駆動装置。
2. 【請求項２】 前記棒状支持部材の対物レンズの光軸と
   平行方向および光軸と直交方向の夫々の撓みに関する夫
   々の断面２次モーメントを異なる値とした請求項１の光
   ピックアップの対物レンズ駆動装置。
3. 【請求項３】 複数の前記棒状支持部材を一体成形とし
   た請求項１または２の光ピックアップの対物レンズ駆動
   装置。
4. 【請求項４】 光ディスク上で光学的に情報を書き込む
   あるいは読み取るための光ピックアップの対物レンズが
   固着されたレンズホルダと、前記レンズホルダを対物レ
   ンズの光軸と平行方向および光軸と直交方向に駆動する
   ための駆動手段と、前記レンズホルダを弾力的にフレー
   ムに支持する複数の樹脂部材からなる棒状支持部材とを
   備えた対物レンズ駆動装置において、前記棒状支持部材
   は一部を薄くしたヒンジによる平行リンクを構成してお
   り、対物レンズの光軸と平行方向および光軸と直交方向
   のいずれか一方向は前記棒状支持部材の片持ち梁として
   の撓みにより前記レンズホルダを移動可能とし、他の方
   向は前記平行リンクにより前記レンズホルダを移動可能
   とした光ピックアップの対物レンズ駆動装置。
5. 【請求項５】 複数の前記棒状支持部材を一体成形とし
   た請求項４の光ピックアップの対物レンズ駆動装置。