JPH07175490A - 車室内騒音低減装置 - Google Patents

車室内騒音低減装置

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JPH07175490A
JPH07175490A JP6239214A JP23921494A JPH07175490A JP H07175490 A JPH07175490 A JP H07175490A JP 6239214 A JP6239214 A JP 6239214A JP 23921494 A JP23921494 A JP 23921494A JP H07175490 A JPH07175490 A JP H07175490A
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JP
Japan
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filter
speaker
engine
reference signal
noise
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Application number
JP6239214A
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English (en)
Inventor
Katsuo Yafuji
勝男 弥藤
Yasushi Matsumoto
保志 松本
Fumio Tamura
史雄 田村
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Pioneer Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Pioneer Electronic Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車室内騒音をスピーカから発する音によって
相殺し、騒音低減を図る装置において、広いエンジン回
転数領域で最適制御可能な装置を提供する。 【構成】 エンジン回転数に基づく基準信号をフィルタ
部12において、車室内騒音が相殺されるようにフィル
タウエイトをかけ、この信号を基にスピーカ15を駆動
する。このスピーカ15から発した音と車室内騒音をマ
イク16により検出する。この検出量が最小となるよう
にフィルタウエイトの更新量を算出し、前回制御周期時
のフィルタウエイトを補正する。この更新時において、
補正係数算出部18にて、更新量をエンジン回転数に応
じて補正するための補正係数を算出する。これによっ
て、エンジン回転領域のより広い範囲で最適な制御を行
うことができ、車両運転域の広範囲において良好な騒音
低減効果を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の車室内の騒音を
低減させるために、車室内に設けられたスピーカから発
する音により騒音を打ち消し、車室内騒音を低減する車
室内騒音低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車など車両の車室内騒音は、運転者
などの搭乗者に不快な印象を与える場合があり、最近の
車両開発においては、この車室内騒音の低減が重要な課
題となっている。このような騒音の発生源は多岐に渡
り、自動車の場合を例にあげれば、たとえばエンジンの
騒音が車室内に透過してくる透過エンジン騒音、エンジ
ン振動がエンジンマウントを介して車体に伝達し室内に
侵入してくる伝達エンジン騒音、またタイヤと路面の間
で発生するロードノイズ、車体表面を流れる空気流によ
り発生する風切り音などがある。その他、種々の騒音が
存在するが、これらの騒音を低減するために、従来より
その騒音源の対策、伝達経路の対策などが採られてき
た。たとえば、エンジン透過音低減のためにはシリンダ
ブロック剛性の向上、シリンダヘッドカバー構造および
材質の変更などが行われている。また、伝達エンジン騒
音の対策としては、エンジンマウント位置の変更、マウ
ントゴムの剛性および材質変更、振動発生部へのダイナ
ミックダンパ設置などがある。
【0003】以上のように、従来より騒音に関する様々
な対策が行われてきた。しかし、このような騒音源、伝
達経路の様々な対策が行われても、対策すべき項目が多
種に渡り、また対策にコストおよび重量の増加が伴うた
め、十分な対策がなされたとはいえない場合があった。
【0004】しかし近年、前述の騒音源と伝達経路の対
策の他に、車室内に設置されたマイクにより騒音を検出
し、この騒音を打ち消すような音をスピーカにより発生
させ、騒音を相殺し、これを低減する能動型の騒音低減
技術が開発されている。そして、この技術は一部の製品
にすでに採用されている。
【0005】前記の能動型の騒音低減技術は、たとえば
特表平1−501344号公報に示されている。この公
報に示された装置は、マイクにより検出された音がなる
べく小さくなるよう適応フィルタのウエイトを更新する
ように構成されている。この変更に関し、考慮されるの
はマイクにより検出された音のみであり、その他の要
素、たとえばスピーカとマイク間の伝達関数や、検出音
に基づき算出された更新量の寄与率を決定するステップ
サイズパラメータなどは予め定められた一定値である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
能動型騒音低減装置においては、ステップサイズパラメ
ータが一定であった。このステップサイズパラメータ
は、フィルタウエイトの収束速度に影響するパラメータ
であり、これが大きい場合は比較的早く収束する傾向が
あるが、一方、条件によっては発散してしまう場合も生
じる。引例のように基準信号にエンジン回転数に基づく
信号を用いた場合、エンジン回転数が比較的低いときに
はステップサイズパラメータを大きくして収束速度を上
げることができるが、エンジン回転数が高いときにはス
テップサイズパラメータを大きくすると発散してしまう
という問題がある。逆に回転数が高いときに合わせてス
テップサイズパラメータを小さく設定すると、低回転時
に収束速度が遅くなり、十分な騒音低減の効果が得られ
ないという問題があった。
【0007】また、従来の能動型騒音低減装置では、エ
ンジン回転数が大きく変化した場合、例えばエンジン回
転数が所定時間内に1/2以下に減少した場合(具体例
として、回転数が0.5秒以内に4800rpmから2
400rpmに急減少する状態)等において、当該能動
型騒音低減装置からノイズが発生するという問題点があ
った。この点について、鋭意研究の結果、次のことが分
かった。まず、エンジン回転数の急変化後の適応フィル
タには、急変化前の適応フィルタの係数の一部が残存し
ており、急変化後で除去したい周波数に対応する信号と
共に、急変化前に除去したい周波数に対応する信号が、
適応フィルタを通過してしまう。一方、エンジンパルス
は、矩形波であり、その周波数成分として所定の(エン
ジンパルスの周波数の倍数の)高調波がのっている。こ
のため、エンジン回転数が、例えば、1/2になると、
その時のエンジン回転数で消したい周波数の2倍の周波
数の信号が適応フィルタを通過し、スピーカから出力さ
れてしまうことが分かった。
【0008】本発明は前述の問題点を解決するためにな
されたものであり、広いエンジン回転域で、車室内騒音
を良好に低減できる装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明にかかる車室内騒音低減装置は、車両の車
室内所定位置に配置された少なくとも一つのマイクと、
車室内の所定位置に配置された少なくとも一つのスピー
カと、エンジン回転数を検出する回転数検出部と、前記
エンジン回転数に基づく基準信号を発生する基準信号発
生部と、前記マイクにより検出される音が低減されるよ
うに、前記基準信号にフィルタウエイトを乗じ、スピー
カ駆動信号を生成するフィルタ部と、前記スピーカ駆動
信号に基づき前記スピーカを駆動するスピーカ駆動部と
を含んでいる。そして、前記フィルタ部は、前回サンプ
リング時に前記マイクにより検出された音に基づき前記
フィルタウエイトの基準更新量を算出する基準更新量算
出部と、前記基準更新量を前記検出されたエンジン回転
数に応じて補正する補正係数を算出する補正係数算出部
と、前回サンプリング時のフィルタウエイトを前記基準
更新量および前記補正係数に基づき更新し、新しいフィ
ルタウエイトを算出するフィルタウエイト算出部とを有
している。
【0010】また、本発明は、車両の車室内所定位置に
配置された少なくとも一つのマイクと、車室内の所定位
置に配置された少なくとも一つのスピーカと、エンジン
回転数を検出する回転数検出部と、前記エンジン回転数
に基づく基準信号を発生する基準信号発生部と、得られ
た基準信号から、前記エンジン回転数に応じて決定され
る所定周波数以外の周波数信号を除去する基準信号処理
フィルタと、前記マイクにより検出される音が低減され
るように、前記基準信号処理フィルタからの出力信号に
対しフィルタウエイトを乗じ、スピーカ駆動信号を生成
するフィルタ部と、前記スピーカ駆動信号に基づき前記
スピーカを駆動するスピーカ駆動部と、を有している。
【0011】
【作用】本発明は以上のような構成を有しており、前回
サンプリング時のフィルタウエイトを更新する更新量の
算出において、エンジン回転数に応じて更新量を変更す
る。すなわち、マイクにより検出された音に基づき算出
された基準更新量に、エンジン回転数に応じて増減する
補正係数を乗じている。これによって、そのときのエン
ジン回転数に適したフィルタウエイトを算出することが
できる。
【0012】また、本発明では、エンジン回転数に応じ
て、カット周波数が設定される基準信号処理フィルタを
有し、この基準信号処理フィルタにより、基準信号の高
調波成分をカットする。このため、エンジン回転数が急
激に変化した(たとえば、1/2以下に減少した)際
に、その時のエンジン回転数の2倍の回転数に対応した
周波数の音がスピーカから発生されるのを防止すること
ができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明にかかる好適な実施例を図面に
したがって説明する。
【0014】図1には実施例の構成を示すブロック図が
示され、図2にはマイク、スピーカなどが実際に車両に
搭載された場合の図が示されている。エンジン回転数検
出部10は、エンジン20のディストリビュータの1次
側の電圧を検出してエンジン回転数の検出を行ってい
る。そして、この信号を基に基準信号発生部11は基準
信号X(n) を発生している。
【0015】この基準信号発生部11は、本実施例にお
いてはエンジンの電子制御装置21(以下ECUと記
す)であり、ディストリビュータの1次電圧の変化があ
った時に所定時間(Δt)だけ所定電圧(v1 )を発生
する。図3がこの基準信号X(n) の波形を示すものであ
り、この場合t1 ,t3 ,t5 がディストリビュータの
1次電圧の変化があった時刻である。すなわち、この時
刻にいずれかの気筒で点火が行われたことが分かる。そ
して、この点火後、所定時間(Δt)だけ電圧v1 を維
持し、その後電圧を0とする。以上のように基準信号X
(n) は、エンジンの回転数に比例した周波数の矩形波と
なっている。
【0016】通常のエンジンでは、その1回転で、2回
の点火が行われるため、エンジンパルスは、エンジン回
転数の2倍の周波数になっている。例えば、エンジン回
転数が、4800rpmであれば、エンジンパルスの周
波数は、 4800÷60×2=160Hz になる。
【0017】そして、この基準信号X(n) が図1のフィ
ルタ部12に送られる。このフィルタ部12は適応フィ
ルタと呼ばれるものであり、所定の条件にしたがって矩
形波である基準信号X(n) を加工し、所望の波形を生成
する。言い換えれば、時間領域において基準信号X(n)
にフィルタウエイトW(n) を乗じて、スピーカ駆動信号
y(n) を得る。式で示せば次のようになる。 y(n) =W(n) X(n) …(1) このスピーカ駆動信号y(n) を生成するのが駆動信号生
成部13である。そして、このスピーカ駆動信号y(n)
にしたがってスピーカ駆動部14はスピーカ15を駆動
する。以上、図1におけるフィルタ部12とスピーカ駆
動部14は、図2においては制御部22として示されて
いる。さらに、図2においてスピーカ15を4つ用いた
場合が示されており、これらのスピーカ15-1,15-
2,15-3,15-4は前席の左右および後席の左右のド
ア内側に配置されている。
【0018】マイク16は、車室内の音を検出する。こ
の車室内音はエンジンの発生する騒音、ロードノイズ、
風切り音など車両の運転時に発生する騒音の他に前述の
スピーカ15の発生した音も合わせて検出する。この検
出信号e(n) が再びフィルタ部12にフィードバックさ
れる。マイク16の実際の配置は、図2に示すように4
つ(16-1,16-2,16-3,16-4)が各座席近傍、
特に搭乗者の耳に近い位置である。
【0019】マイク16の検出信号e(n) はフィルタ部
12の基準更新量算出部17に送出される。基準更新量
算出部17においては、前回のフィルタウエイトW(n)
を所定の条件に基づき更新する際に基準となる量を算出
する。この条件は、「マイク16で検出される音が最小
となる」というものである。言い換えれば、車両の発生
する各種の騒音に対し、これを打ち消すような音をスピ
ーカ15から放射し、搭乗者に騒音を感じさせないよう
にする。このために、基準信号X(n) にフィルタウエイ
トW(n) を乗じることによって騒音の相殺を行うが、こ
のフィルタウエイトW(n) をフィードバックをかけるこ
とにより逐次更新し最適制御を行う。この更新のアルゴ
リズムは、Multipule Error Filtered-XLMS アルゴリズ
ムと呼ばれ次式で示される。 W(n) =W(n-1) −μCX(n-1) e(n-1) …(2) 添字(n) (n-1) は制御周期を示し、Cはスピーカ15と
マイク16の間の伝達関数を示す。またμは後に詳述す
るがステップサイズパラメータと呼ばれる補正係数を示
す。この(2)式に基づいて次回制御周期のフィルタウ
エイトを算出するのがフィルタウエイト算出部13aで
ある。
【0020】この補正係数μを大きく設定すればフィル
タウエイトW(n) の収束速度を上げることができるが、
収束性が悪くなり発散する場合も生じる。一方、補正係
数μを小さい値で設定すれば安定性は向上するが、収束
速度が遅くなり最適制御がなされない場合がある。車
両、特に自動車に用いられた場合は、そのエンジン使用
回転域が広範囲に渡り、補正係数μを所定値に固定した
場合は、全域で要求される性能を満たすことができない
場合があった。直列4気筒エンジンを搭載する車両で特
に問題となる2次こもり音を例にとれば、アイドリング
時(約800rpm)から、最高回転時(約7000r
pm)まで約10倍の周波数に対して適切な制御を行う
必要がある。すなわち、低回転域では収束速度を重視し
てμを大きめに設定し、高回転域においては収束性を重
視し、小さめに設定する必要がある。
【0021】以上のように広範囲に渡り良好な制御特性
を得るために、本実施例ではエンジン回転数に応じて補
正係数μを変更する構成となっている。補正係数μの変
更はエンジン回転数に基づき図1の補正係数算出部18
で行われ、この算出された補正係数μと前述の基準更新
量算出部17で算出された基準更新量とを用いて更新量
を決定し、フィルタウエイトW(n) の更新を行う。
【0022】図4にはフィルタ部12の具体的に構成が
示されている。基準信号にフィルタウエイトを乗じてス
ピーカ駆動信号を生成する適合フィルタは、各スピーカ
駆動信号ごとに一つ設けられる必要がある。したがっ
て、図2に示される装置において、スピーカの数は4つ
であるから適応フィルタ23は4個必要となる。これら
の適応フィルタ23各々のフィルタウエイトを算出する
のがMEFX LMSアルゴリズム部24である。この
MEFX LMSアルゴリズム部24はマイクの検出信
号、基準信号および後述する整流平滑回路からの信号に
基づきフィルタウエイトを算出する。このように、ME
FX LMSアルゴリズム部24は図1のフィルタウエ
イト算出部13aおよび基準更新量算出部17に対応す
る。また、適応フィルタ23は図1のスピーカ駆動信号
生成部13からフィルタウエイト算出部13aを除いた
ものに対応する。
【0023】図5は、以上のような騒音低減作用を制御
する制御部22の構成を詳しく示したものである。図5
において図2と同様の構成要素については同一の符号を
付し説明を省略する。マイク16により検出された室内
音はマイクアンプ30とA/D変換器31を介して中央
演算装置(CPU)32に送られる。一方、ECU21
より送出された基準信号X(n) はA/D変換器31とフ
ィルタ33とに送られる。このフィルタ33と後述する
整流平滑回路34は補正係数μを算出するための回路で
ある。フィルタ33は図6に示すフィルタ特性を有する
ローパスフィルタであり、アイドリング時にはゲインが
ほぼ1で、回転が上昇するにつれゲインが低下する特性
である。このフィルタ33を通すと図3に示す基準信号
X(n) の波形は、前述のフィルタ特性によりエンジン回
転数に応じた振幅が小さい波形となる。さらに、整流平
滑回路34を通すことによってDC信号となるが、この
DC電圧値は前述のフィルタ33の特性により小さくな
る振幅に応じて小さくなる。すなわち、エンジンが高回
転になるにつれて、整流平滑回路34のDC出力電圧は
小さくなる。したがって、このDC電圧をvとして、補
正係数μを μ=αv …(4) に基づいて定めれば、エンジン回転数に応じた補正係数
μを算出することができる。ここでαは比例係数であ
る。
【0024】また、図3において説明したように基準信
号X(n) の波形はHiになっている時間(Δt)がほぼ
一定であり、回転数に応じてLowとなっている時間が
変化する。このため、基準信号X(n) のDC成分は、エ
ンジン回転数が上昇するにつれて大きくなる。したがっ
て、このDC成分に基づき補正係数μを算出してもエン
ジン回転数に応じた補正係数を得ることができる。すな
わち、前述のDC成分をv´とすれば、 μ=β(k−v´) …(5) により補正係数μを算出することができる。ここでβ、
kは定数である。したがって、図5のローパスフィルタ
33と整流平滑回路34に替えて、なるべく急俊なフィ
ルタ特性と、数Hzのカットオフ周波数を持つローパス
フィルタを用いても、補正係数μの算出を行うことがで
きる。
【0025】さらに、基準信号X(n) を反転させてか
ら、ローパスフィルタを用いることにより、回転数の上
昇に従って減少する電圧を得ることができる。
【0026】以上のような方法で、エンジン回転速度に
比例した電圧を得ることができ、この電圧はA/D変換
器31を介してCPU32に送出される。この電圧値を
もとにCPU32で補正係数μが算出される。そして前
述のマイク16からの信号、ECU21からの基準信号
X(n) 、予め測定されているスピーカとマイク間の伝達
係数および補正係数μに基づき(2)式によりフィルタ
ウエイトW(n) の算出が行なわれる。そして、基準信号
X(n) にフィルタウエイトW(n) を乗じてマイク駆動信
号y(n) を生成し、D/A変換器35を介してスピーカ
アンプ36に送出する。スピーカアンプはこの信号に基
づきスピーカ15を駆動し、音を発生させる。
【0027】図7は、本実施例の効果を確認するために
行ったテストデータの一部である。データは車室内の音
圧レベル、特にエンジンの回転2次の周波数成分をトラ
ッキングフィルタにより測定した結果である。また、図
7(a)、(b)共に補正係数μを固定した場合のデー
タである。(a)は補正係数μが大きい場合、すなわ
ち、収束速度を重視した場合であり、(b)は補正係数
μが小さい場合、すなわち、収束性を重視した場合であ
る。さらに、実線が騒音制御を行わなかった場合、点線
が騒音制御を行った場合である。
【0028】図7(a)では、低回転域で効果が顕著
で、およそ−10dB/Aの効果が認められるが、高回
転域においては発散現象のために反って騒音レベルを悪
化させている。また、図7(b)においては高回転域で
の効果が顕著であり、(a)で見られた発散現象も見ら
れない。一方、低回転域ではある程度の効果は認められ
るものの(a)ほどの効果がなく、特に実際の自動車を
運転する際に頻繁に使われる領域である2400rpm
以下でほとんど効果がない。
【0029】本実施例によれば、補正係数μを低回転域
では大きくし、高回転域では小さく設定することによ
り、図7(a),(b)の双方の長所を利用することが
でき、広い範囲に渡って良好な騒音低減効果を実現する
ことができる。
【0030】図8は本実施例の装置により騒音低減を行
った際の効果を示す図である。エンジン回転数の全域に
わたって、騒音低減効果を得られることが確認できる。
特に特定の回転数で音圧レベルが上昇するピーク現象が
みられなくなり、良好な騒音低減特性が得られている。
【0031】さらに、図9に示したのは、本発明の他の
実施例の構成を示すブロック図であり、図5の構成に基
準信号処理フィルタとして作用するデジタルフィルタ4
0およびカウンタ42が付加されている。これにより、
基準信号発生部21からのエンジン回転数に基づく基準
信号X(n) は、このデジタルフィルタ40によって、所
定の高周波の信号がカットされる。すなわち、CPU3
2は、カウンタ42のカウント値からその時のエンジン
回転数を認識し、この値に応じてデジタルフィルタ40
のカットオフ周波数を変更する。
【0032】この動作について、図10のフローチャー
トに基づいて説明する。まず、CPU32は、カウンタ
42のカウント値の変化状態から、減速中か否かを判定
する(S11)。ここで、この判定は、数秒以内に回転
数が1/2になったか否かという急減速についての判定
であることが好適である。すなわち、フィルタウェイト
W(n) は、上述の(2)式に示すように、前の制御周期
のフィルタウェイトW(n-1) を考慮して決定される。従
って、フィルタウェイトW(n) の中には、過去のエンジ
ンパルスに基づく係数が履歴して残っている。
【0033】例えば、エンジン回転数が、4800rp
mから2400rpmになったとき、4800rpmで
除去したい周波数に対応する160Hzの信号の通過特
性が下がり、2400rpmで除去したい周波数に対応
する80Hzの信号の通過特性が上昇していく。しか
し、160Hzの信号を通過させる特性が急には下がら
ず、急減速の時には、図11に示すように、80Hzお
よび160Hz両方の信号を通過させるものになってい
る。そこで、エンジン回転数に応じて、デジタルフィル
タ40で所定のフィルタリング処理を行う。
【0034】すなわち、減速中でなければ、デジタルフ
ィルタ40は動作させず、基準信号X(n) をそのままA
/D変換器31に供給する。一方、減速中であった場合
には、回転数が3000rpm以下かを判定する(S1
2)。回転数が3000rpmであれば、その2倍の回
転数が6000rpmであり、通常の走行では、余り生
じない回転数である。従って、回転数が3000rpm
以上の場合にも、デジタルフィルタ40は動作させな
い。なお、最高回転数が7000rpmであれば、35
00rpmに急減速した際に、7000rpmのノイズ
が発生する可能性があるため、これに対処できるように
してもよい。
【0035】一方、S12において、回転数が3000
rpm以下であった場合には、回転数が2100rpm
以下かを判定する(S13)。そして、回転数が210
0rpmを超えていた場合には、デジタルフィルタ40
のカットオフ周波数を100Hzに設定する(S1
4)。これによって、デジタルフィルタ40において、
エンジン回転数3000rpm以上に対応する周波数成
分が除去される。すなわち、エンジン回転数が3000
rpm(=50rps)であった場合、エンジンは1回
転で2回爆発するため、50*2=100Hzの騒音が
発生する。そこで、100Hz以上の周波数成分を除去
することで、基準信号から3000rpm以上の回転数
に対応する周波数成分が除去される。
【0036】次にS13において、回転数が2100r
pm以下であった場合には、回転数が1500rpm以
下かを判定する(S15)。1500rpmを超えてい
た場合には、カットオフ周波数を回転数2100rpm
に対応する70Hzに設定する(S16)。一方、15
00rpm以下であった場合には、カットオフ周波数を
回転数1500rpmに対応する50Hzに設定する
(S17)。
【0037】このように、その時点におけるエンジン回
転数に応じて、デジタルフィルタ40のカットオフ周波
数を設定することで、A/D変換器31に供給される基
準信号X(n) からその時の回転数に応じた周波数成分以
上の高次成分が除去される。従って、適応フィルタにお
けるフィルタリング特性としては、前の時点での高い周
波数の成分に対応する周波数成分を透過させるものであ
っても、基準信号からこの成分が除去されており、高周
波数のノイズが、スピーカ36から発生されるのを効果
的に防止することができる。
【0038】なお、上述の例では、カットオフ周波数を
段階的に変更したが、もっと細かく変更してもよい。ま
た、急減速時のみにデジタルフィルタ40を動作させた
が、急加速時にデジタルフィルタ40をハイパスフィル
タとして動作させ、低周波数のノイズの発生を防止して
もよい。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、補正係
数μを固定して設定するのではなく、エンジン回転数に
応じて変化するように構成したことにより、収束性の悪
化しやすい低回転領域や、発散現象の生じやすい高回転
領域においても良好な制御を行うことが可能である。し
たがって、エンジン回転数の全域に渡って、良好な騒音
低減効果を得ることができ、静かな車室空間を実現する
こととができる。
【0040】また、本発明では、エンジン回転数に応じ
て、カット周波数が設定される基準信号処理フィルタを
有し、この基準信号処理フィルタにより、基準信号の高
調波成分をカットする。このため、エンジン回転数が急
激に変化した(たとえば、1/2以下に減少した)際
に、その時のエンジン回転数の2倍の回転数に対応した
周波数の音がスピーカから発生するのを防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる好適な実施例の構成を示す図で
ある。
【図3】本実施例の基準信号の波形を示す図である。
【図4】本実施例の構成の一部を示す図である。
【図5】本実施例の細部の構成を示す図である。
【図6】本実施例のローパスフィルタの特性を示す図で
ある。
【図7】補正係数μを変更した時の騒音低減効果を比較
する図である。
【図8】本実施例の効果を示す図である。
【図9】他の実施例の構成を示すブロック図である。
【図10】同実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図11】デジタルフィルタの特性を示す図である。
【符号の説明】
10 エンジン回転数検出部 11 基準信号発生部 12 フィルタ部 13 駆動信号生成部 15 スピーカ 16 マイク 17 基準更新量算出部 18 補正係数算出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 史雄 埼玉県川越市山田字西町25−1 パイオニ ア株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の車室内所定位置に配置された少な
    くとも一つのマイクと、 車室内の所定位置に配置された少なくとも一つのスピー
    カと、 エンジン回転数を検出する回転数検出部と、 前記エンジン回転数に基づく基準信号を発生する基準信
    号発生部と、 前記マイクにより検出される音が低減されるように、前
    記基準信号にフィルタウエイトを乗じ、スピーカ駆動信
    号を生成するフィルタ部と、 前記スピーカ駆動信号に基づき前記スピーカを駆動する
    スピーカ駆動部と、を含み、 前記フィルタ部は、 前回サンプリング時に前記マイクにより検出された音に
    基づき前記フィルタウエイトの基準更新量を算出する基
    準更新量算出部と、 前記基準更新量を前記検出されたエンジン回転数に応じ
    て補正する補正係数を算出する補正係数算出部と、 前回サンプリング時のフィルタウエイトを前記基準更新
    量および前記補正係数に基づき更新し、新しいフィルタ
    ウエイトを算出するフィルタウエイト算出部と、を有す
    ることを特徴とする車室内騒音低減装置。
  2. 【請求項2】 車両の車室内所定位置に配置された少な
    くとも一つのマイクと、 車室内の所定位置に配置された少なくとも一つのスピー
    カと、 エンジン回転数を検出する回転数検出部と、 前記エンジン回転数に基づく基準信号を発生する基準信
    号発生部と、 得られた基準信号から、前記エンジン回転数に応じて決
    定される所定周波数以外の周波数信号を除去する基準信
    号処理フィルタと、 前記マイクにより検出される音が低減されるように、前
    記基準信号処理フィルタからの出力信号に対しフィルタ
    ウエイトを乗じ、スピーカ駆動信号を生成するフィルタ
    部と、 前記スピーカ駆動信号に基づき前記スピーカを駆動する
    スピーカ駆動部と、を有することを特徴とする車室内騒
    音低減装置。
JP6239214A 1993-10-04 1994-10-03 車室内騒音低減装置 Pending JPH07175490A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011101967A1 (ja) * 2010-02-18 2011-08-25 パイオニア株式会社 能動型振動騒音制御装置
JP2022523873A (ja) * 2019-04-01 2022-04-26 ボーズ・コーポレーション ノイズキャンセルシステムにおけるアクティブサウンド管理

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JP5335985B2 (ja) * 2010-02-18 2013-11-06 パイオニア株式会社 能動型振動騒音制御装置
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