JPH07174725A - ガスの検知方法及びガス検知装置 - Google Patents
ガスの検知方法及びガス検知装置Info
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Abstract
スのガス漏れ等によるガスとを迅速に識別検知できると
ともに、中毒防止用としての一酸化炭素濃度測定が可能
で測定再現性・信頼性が高いガスの検知方法及びガス検
知装置を得る。 【構成】 酸化スズ半導体を主成分とする酸化物半導体
を備えた低熱容量の熱線型半導体式ガスセンサにより、
メタンと一酸化炭素とを識別検知する場合に、酸化物半
導体に四価の金属酸化物を担持するとともに、センサ感
応部の表面層に比表面積が大きい緻密焼結層を設けた熱
線型半導体式ガスセンサを使用し、センサ感応部の温度
を、メタンを検知するための燃料ガス検知温度450℃
と、一酸化炭素を検知するための不完全燃焼ガス検知温
度300℃とに交互に切替えて、夫々のガスを識別検知
する。
Description
主として酸化スズよりなる酸化物半導体を備えた低熱容
量の熱線型半導体式ガスセンサにより、メタンを主成分
とする燃料ガスと一酸化炭素を主成分とする不完全燃焼
ガスとを識別検知するガスの検知方法及びこの目的で使
用されるガス検知装置に関する。
めの半導体式ガスセンサとしては、実公平5−3276
0もしくは特開平4−147048に開示されているも
のがある。ここで、前者のものは、不完全燃焼ガスとし
て一酸化炭素を、さらに燃料ガスとしてメタン、ブタン
等を検知対象とするものであり、80℃程度の比較的低
温で不完全燃焼ガスを、400℃程度の高温で燃料ガス
を検知する。センサは酸化スズを主成分とする酸化物半
導体であるセンサ感応部を備え、センサ感応部にパラジ
ウム等の増感剤を担持してセンサ感度の増加を図ってい
る。そして、燃料ガスを比較的短時間(20〜30se
c程度)で検知できるが、一酸化炭素の検知にあたって
は、すくなくとも90secという比較的長時間を要す
る。一方、後者のものは、前者と同様なガスの検知を目
的としているが、検知温度域は比較的高温(不完全燃焼
ガスの検知をする時にセンサ感応部が300℃となり、
燃料ガスの検知をする時にセンサ感応部が500℃〜6
00℃となる。)である。このセンサの場合もまた、酸
化スズを主成分とする金属酸化物半導体から構成される
センサ感応部に、極微量の白金を担持して、感度の調整
を図っている。さらに、センサ感応部が、外径1mm以
下という小径に設定され、センサ自体が比較的低熱容量
のものであるため、応答時間の短縮化が達成されてい
る。
従来技術のセンサにおいてはそれぞれ以下のような問題
がある。実公平5−32760に示されるものにおいて
は、一酸化炭素に対する感度のピークが90℃以下にあ
り、この低温域(40〜80℃)でないと燃料ガスに対
する選択性がない。従って、こういった温度領域におい
ては、センサが一酸化炭素を吸着して平衡に達するまで
に時間を要し、センサの出力応答は緩慢で、再現性ある
CO濃度検知には90秒を要し、応答性能に劣る。しか
しながら、一酸化炭素は許容濃度50ppm(通常の作
業を行っても許される濃度)の生命の危険性のあるガス
であるから、もっと短時間での早期漏洩検知が望まし
い。さらに、一般に、酸化物半導体に増感剤としてP
d,Ptなどの貴金属増感剤を担持すると、易燃性の一
酸化炭素はセンサ表層で100℃以上では部分的に燃焼
除去され、センサ内部へ侵入できず、センサが一酸化炭
素に対して低感度にならざるを得ない。
ものにおいては、低熱容量化(実際上はセンサ感応部を
小径に構成)等により応答性は確保される。しかしなが
ら、この先行技術の明細書添付の図3に示す感応特性
は、各ガス4000ppmの高濃度でのデータであり、
依然、一酸化炭素に対する感度が低く、この先行技術の
明細書添付の図4からわかるように一酸化炭素の選択性
は低い。即ち、500ppm付近では一酸化炭素とメタ
ンとの選択性がなく、不完全燃焼により発生するガス
か、燃料用メタン等のガス漏れの初期なのか、充分な確
度で判別できない。さらに、濃度依存性に関して低濃度
で飽和し易いという問題がある。また、依然、一酸化炭
素に対して充分に高い感度特性を備えているいと言い難
い。燃料ガス側は500〜600℃の高温検知となるた
め、酸化物半導体を構成する粒子間の焼結が進行しやす
く、センサとしての寿命が短くなるという問題がある。
以上の事実を総合すると、このセンサの場合は、低温側
の信号は水素、一酸化炭素、アルコール等の雑ガス信号
であり、エアモニタ的性格のものであり、不完全燃焼中
毒防止用としての一酸化炭素濃度測定・警報器としては
測定再現性・信頼性が依然低い。従って、不完全燃焼に
より発生するガスと燃料ガスとの識別検知を確実におこ
なっているとは言いがたい。
って発生するガスと燃料ガスのガス漏れ等によるガスと
を迅速に識別検知できるとともに、不完全燃焼中毒防止
用として、一酸化炭素濃度測定を確実に行え、測定再現
性・信頼性が高いガスの検知方法及びガス検知装置を得
ることにある。
るための本願発明について説明する。センサ感応部とし
て、主として酸化スズSnO2よりなる酸化物半導体を
備えた低熱容量の熱線型半導体式ガスセンサにより、メ
タンを主成分とする燃料ガスと一酸化炭素を主成分とす
る不完全燃焼ガスとを識別検知するガスの検知方法にお
ける請求項1に係わる本願発明の第1の特徴手段は、こ
れが、原子価制御された酸化スズを主成分として構成さ
れるセンサ感応部に燃焼不活性の耐熱性のある4価の金
属酸化物を担持するとともに、センサ感応部の表面層に
比表面積の大きい酸化スズの緻密焼結層を備えた熱線型
半導体式ガスセンサを使用し、センサ感応部の温度を、
燃料ガスを検知するための燃料ガス検知温度と、燃料ガ
ス検知温度とは異なる不完全燃焼ガスを検知するための
不完全燃焼ガス検知温度とに交互に切替えて、燃料ガス
検知温度にて燃料ガスを検知し、不完全燃焼ガス検知温
度で不完全燃焼ガスを検知することにある。さらに、第
1の特徴手段を備えた構成において、センサ感応部の外
径が1mm以下に設定されるとともに、燃焼不活性の耐
熱性のある4価の金属酸化物が前記燃焼不活性の耐熱性
のある4価の金属酸化物がセリア(CeO2)、酸化珪
素(SiO2)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジル
コニウム(ZrO2)から選べる一種以上の金属酸化物
であり、酸化スズSnO2に対する前記金属酸化物の担
持混合比が0.01〜0.5mol%であり、緻密焼結
層が、センサ感応部の表層に厚さ1〜20μmで設けら
れ、且つ比表面積が50〜150m2/gの酸化スズS
nO2を焼結して構成されることが好ましい。この構成
が請求項2に係わる本願第2の特徴手段である。さら
に、第2の特徴手段を備えた構成において、燃料ガス検
知温度が450℃近傍であるとともに、不完全燃焼ガス
検知温度が300℃近傍であり、燃料ガス検知温度と不
完全燃焼ガス検知温度との交互切替えを単位時間毎に行
うことが好ましい。この構成が請求項3に係わる本願第
3の特徴手段である。
スズよりなる酸化物半導体を備えた低熱容量の熱線型半
導体式ガスセンサを備え、メタンを主成分とする燃料ガ
スと一酸化炭素を主成分とする不完全燃焼ガスとを識別
検知するガス検知装置における請求項4に係わる本願発
明の第4の特徴構成は、これが、熱線型半導体式ガスセ
ンサが、原子価制御された酸化スズSnO2を主成分と
するとともに燃焼不活性の耐熱性のある4価の金属酸化
物を担持したセンサ感応部を備え、センサ感応部の表面
層に比表面積の大きい前記酸化スズの緻密焼結層を備え
たものであり、熱線型半導体式ガスセンサのセンサ感応
部の温度を、燃料ガスを検知するための燃料ガス検知温
度と、燃料ガス検知温度とは異なる不完全燃焼ガスを検
知するための不完全燃焼ガス検知温度とに交互に切替え
る切替え手段を備えたことにある。さらに、第4の特徴
構成のものにおいて、前記熱線型半導体式ガスセンサの
前記切替え手段が前記熱線型半導体式ガスセンサに加え
られる印加電圧を切替える印加電圧切替え手段であるこ
とが好ましい。この構成が請求項5に係わる本願第5の
特徴構成である。さらに、第4または第5の特徴構成の
ものにおいて、前記センサ感応部の外径が1mm以下に
設定されるとともに、前記燃焼不活性の耐熱性のある4
価の金属酸化物が、セリア(CeO2)、酸化珪素(S
iO2)、酸化チタニウム(TiO 2)、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2)から選ばれた一種以上の金属酸化物であ
り、酸化スズSnO2に対する前記金属酸化物の担持混
合比が0.01〜0.5mol%であり、前記緻密焼結
層が、前記センサ感応部の表層に厚さ1〜20μmで設
けられ、且つ比表面積が50〜150m2/gの前記酸
化スズSnO2を焼結して構成されることが好ましい。
この構成が請求項6に係わる本願第6の特徴構成であ
る。さらに、第6の特徴構成のものにおいて、前記燃料
ガス検知温度が450℃近傍であるとともに、前記不完
全燃焼ガス検知温度が300℃近傍であり、前記切替え
手段が前記燃料ガス検知温度と前記不完全燃焼ガス検知
温度との交互切替えを単位時間毎に行うものであること
が好ましい。この構成が請求項7に係わる本願第7の特
徴構成である。さらに、第7の特徴構成のものにおい
て、前記センサ感応部に到達する被検知ガスの流通部に
活性炭フィルターが備えられていることが好ましい。こ
の構成が請求項8に係わる本願第8の特徴構成である。
そして、それらの作用・効果は次の通りである。
従来型センサと呼ぶ)に示すセンサの特性との比較にお
いて、本願の第1の特徴手段を備えたガス検知方法及び
第4の特徴構成を備えたガス検知装置の作用について説
明する。ここで、第1の特徴手段のものと第4の特徴構
成のものとにおいては、熱線型半導体式センサとしては
同一特徴のものが使用され、前者の方法を実現するため
に、後者の装置では、切替え手段が働く。以下に、本願
のものと従来型センサのものとの差異点を整理して示
す。 本願 従来型センサ 酸化物半導体への担持物 4価の金属酸化物 貴金属触媒 (活性抑制剤として働く)(増感剤として働く) 緻密表面層の有無 有り 無し センサ感応部の温度設定 積極切替え 受動切替わり 上記したように、従来型のものと本願のものとでは、酸
化物半導体に担持される担持物が異なること、緻密表面
層が形成されていること、センサ感応部の温度を積極的
に切替え操作する点で、構造的な差異を有している。そ
して、センサ感応部に、貴金属増感剤を担持することな
く、4価の金属酸化物を担持する、さらに、緻密表面層
を備えることにより、センサは適度な活性度を備えるこ
ととなる。即ち、燃料ガスの主成分であるメタンに対し
ては、その最大感度温度域が低下する。一方、一酸化炭
素に対してはセンサ感応部の表層での一酸化炭素の20
0〜300℃での表層燃焼除去が抑制され、センサ内部
の検知電極付近まで一酸化炭素が到達しやすくなり、こ
の温度域での一酸化炭素に対する感度が上昇する。さら
に、センサ感応部の温度を積極切替え操作することによ
り、後述するように、一酸化炭素の最大感度領域が低温
側にシフトし、感度も増す。また、センサ感応部を高温
低温に加熱を繰り返すことにより低温側検知の長期安定
性が得られる。
る。説明にあたっては、燃焼不活性の耐熱性ある4価の
金属酸化物の代表例としてセリアを例に採って説明す
る。夫々の図面は、メタン(実線で示す)、一酸化炭素
(破線で示す)、アルコール(二点鎖線で示す)に対す
る感応特性の変化を示しており、縦軸が感度である出力
を、横軸がセンサ感応部の表面温度を示している。そし
て、これらの図面において、白丸が本願のセンサを連続
的に一定温度に維持した場合(図面上連続通電と記載)
の感度を、黒丸が本願のセンサを連続的に二つの異なっ
た温度に切替え操作した場合(図面上Hi/Lo切替え
通電と記載)の感度を、さらに、×が従来型のセンサに
おいて連続検知をおこなった場合(センサ温度は抵抗と
負荷抵抗の相関により受動的に変化する)の感度特性を
示している。以下、夫々の図面について説明する。図6
より判明するように、従来型センサと本願センサとを比
較すると、本願のセンサにおいては、感応温度領域が6
00℃近傍から400℃近傍へと低温化されるととも
に、検知温度の切替え操作により低温度域でのメタンの
感度が上昇することとなっている。一方、図7に示す一
酸化炭素に対する感度にあっては、本願のものは従来型
のものと比較して感度が上昇するととともに、検知温度
の切替え操作によりこのガスに対する最高感度を示す温
度領域が低温側にシフトし、感度の大幅な上昇が認めら
れる。さらに、図8に示すアルコールに対する感度につ
いては、従来型のものと比較して最高感度の領域が低温
側へシフトし、検知温度の切替え操作によりこのガスに
対する感度が僅かに増加している。
のように酸化スズ半導体に増感剤を担持させることな
く、むしろ抑制剤を担持させることによって、一酸化炭
素の検知温度を上昇させ、さらにセンサ感応部の表面に
比表面積の大きい活性な緻密焼結層を設けることによ
り、燃料ガスに対して最高感度を示す温度を下げてい
る。またさらに、検知温度を高温、低温に切替え操作す
ることにより、図3、図4、図5で後述するように両者
のガス間における識別選択性を充分に高いものとでき
る。さらに、本願のセンサはそれ自体が低熱容量である
ため、このセンサの応答性は非常によい。
方法及び第6の特徴構成を備えたガスの検知装置におい
ては、センサ感応部の大きさ、担持物、担持混合比、緻
密焼結層の厚み及び比表面積が特定される。ここで、セ
ンサ感応部の大きさを1mmφ以下にすることにより、
Hi/Lo切替え時に、センサ感応部の温度が2sec
程度で安定するようになる。さらに、担持物として特定
のものを採用することにより、図12に示すように、一
酸化炭素に対して他の金属酸化物を担持する場合より、
高い感度を得ることができ、結果的に他のガスに対する
識別性も良化する。一方、その担持混合比としては、同
図12に示すように、0.01〜0.5mol%とする
のが、高い感度を得るのに好ましい。さらにこの担持混
合比としては、0.03〜0.3mol%とすると、感
度の最も良好な混合状態を得ることができる。次に、緻
密焼結層の厚み及び比表面積の問題であるが、この状態
が感度にとって好ましく、表面層の厚さが1μm以下ま
たは比表面積が50m2/g以下では高温側でのメタン
選択性が不充分であり、表面層の厚さが20μm以上ま
たは比表面積が150m2/g以上では低温側での一酸
化炭素の感度が低下する。
方法及び第7の特徴構成を備えたガス検知装置において
は、夫々の検知温度近傍において低温側では一酸化炭素
を主成分とする不完全燃焼ガスを、高温側ではメタンを
主成分とする燃料ガスを識別性良好に検知できる。ここ
で、一定の単位時間毎に検知温度の交互切替えをおこな
うと、互いのガスを条件が平等な状態で検知できるとと
もに、制御系も簡単に構築できる。さて、第5の特徴構
成を備えたガス検知装置においては、この様なセンサの
温度制御においては、電圧制御のほうが容易であり、簡
単な構成で、所定の目的を達成できる。さて、第8の特
徴構成を備えたガス検知装置においては、例えば調理時
等に発生する高濃度のアルコール(2000ppm程
度)に対しても、これを検知することなく、誤報を無く
することが可能となる。
ガスと燃料ガスのガス漏れ等によるガスとを迅速に識別
検知できるとともに、不完全燃焼中毒防止用としての一
酸化炭素濃度測定・警報器としての測定再現性・信頼性
が高いガスの検知方法及びガス検知装置を得ることがで
きた。
60との比較について説明すると、この例においては、
40〜80℃(100℃以下)で一酸化炭素を検知する
ため、応答性について大きな問題を有していたが、本願
のものはこの点においては比較的高温側で検知をおこな
うこととなるため、ガスの吸脱着の平衡が速く、小型化
と相俟って高温低温の繰り返しにおいて応答速度を速め
て、実用性の高い一酸化炭素検知を行えるようになって
いる。
て説明する。このガス検知装置は、メタンを主成分とす
る燃料ガスと、不完全燃焼により発生し、主として一酸
化炭素(水素ガスを含む場合もある)である不完全燃焼
ガスを識別検知するために使用される。図1(イ)には
本願のガス検知装置に採用される所謂、熱線型半導体式
ガスセンサ1の構成が示されている。この熱線型半導体
式ガスセンサ1は、主として酸化スズ半導体よりなる酸
化物半導体であるセンサ感応部2と、このセンサ感応部
2内に備えられる白金等の貴金属線(合金線であっても
よい)であるコイル抵抗体3を備えて構成されており、
コイル抵抗体3と酸化物半導体との合成抵抗の変化によ
りセンサ感応部2に近接するガスを検知する。製作にあ
たっては、コイル抵抗体3に酸化物半導体を塗布焼結し
て製作される。使用にあたっては、例えばホーイストン
ブリッジ(図1(ロ))内の一抵抗として、この熱線型
半導体式ガスセンサ1を組み込んで、その合成抵抗値の
変化を検出してガスの検知をおこなう。
型半導体ガスセンサ1及び検出系10の構成について説
明する。熱線型半導体式ガスセンサ1は、原子価制御さ
れた酸化スズを主成分とする酸化物半導体であるセンサ
感応部2を備え、このセンサ感応部2の表面層に比表面
積が大きい酸化スズを焼結して得られる緻密焼結層4を
設けたものである。ここで、センサ感応部2は1mmφ
以下の極小に構成される。このように、センサを極小に
構成することにより、センサ感応部表面から検知電極と
してのコイル抵抗体3までの焼結体層の厚さが薄いた
め、一酸化炭素の燃焼除去率が小さく、結果的に低温側
(300℃近傍)での感度が良化する。さらに、極小セ
ンサ故に、昇降温時の熱平衡が非常に速く、低温側での
吸着脱離平衡も速い。結果、例えば、一酸化炭素の検知
が低温側に切替わってから10秒以内で行える。一方、
高温側(450℃近傍)でのメタン等の燃料ガスの検知
においても、センサの熱制御が容易で、高温での検知対
象ガスの吸脱着が速いため、この検知を高温側に切替わ
ってから5秒以内で行える。さらに、センサ感応部2を
主に構成する酸化スズ半導体に対して、セリア(CeO
2)が、酸化スズに対するセリアの担持混合比で0.0
1〜0.5mol%担持される。ここで、セリアの担持
量が0.01mol%以下では一酸化炭素の燃焼抑制効
果が少なく、0.5mol%以上の高濃度では大気中で
のセンサ出力が不安定になる。セリア(CeO2)の酸
化スズ(SnO2)に対する担持混合比(添加濃度)と
一酸化炭素ガスの検知可能最高感度との関係は、図12
に示されている。同図には、本願が対象とする酸化珪素
(SiO2)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコ
ニウム(ZrO2)の担持に於ける結果も示されてい
る。ここで、Hi/Lo不完全燃焼検知状態での一酸化
炭素最高感度の表示にあたっては、担持混合比の変化に
伴って、図3に於ける感度のピーク位置がシフトするた
め、200〜300℃の範囲内に於ける最高感度点を示
している。結果、担持混合比で0.01〜0.5mol
%(図上R1で範囲を示す)で示す範囲で良好な検知状
態が得られ、0.03〜0.3mol%(図上R2で範
囲を示す)で比較的感度の高い検知をおこなうことがで
きる。いずれの金属酸化物においても、担持混合比0.
1〜0.2mol%の範囲が、最も高い検知感度を示
し、一酸化炭素の検知に最適である。さらに、緻密焼結
層4の表層厚さは1〜20μm程度で、焼結前の酸化ス
ズの比表面積は50〜150m2/g程度に設定されて
いる。これに対してセンサ感応部2の内部5側に使用さ
れるものは比表面積は10〜20m2/g程度である。
ここで、表面層の厚さが1μm以下または比表面積が5
0m2/g以下では高温側でのメタン選択性が不充分で
あり、表面層の厚さが20μm以上または比表面積が1
50m2/g以上では低温側での一酸化炭素の感度が低
下する。
スセンサ1に対して、コイル抵抗体3に掛かる電圧(電
流)を制御することにより、センサ感応部2の温度を、
燃料ガスを検知するための燃料ガス検知温度と、燃料ガ
ス検知温度とは異なり且つ不完全燃焼ガスを検知するた
めの不完全燃焼ガス検知温度とに交互に切替える切替え
手段(印加電圧切替え手段)を備えている。ガス検知装
置の検出系10の構成が図1(ロ)に示されている。こ
の系10は、マイコン回路部11(この部位にはガスセ
ンサ電源制御部11aとガスセンサ警報発生部11bが
備えられている)、ガスセンサ用Hi/Lo切替え電源
回路部12、及び検出回路部13とを備えている。そし
て、前述の切替え手段(印加電圧切替え手段)を構成す
るガスセンサ電源制御部11aとガスセンサ用Hi/L
o切替え電源回路部12により、熱線型半導体ガスセン
サ1に印加される電圧が、切替え制御される。系に備え
られる抵抗R1、R2、R3、R4、R5は、夫々の検
知ガスに対して適切に選択されており、検出回路部13
により燃料ガス検出時にはA−B間の出力電圧を、不完
全燃焼ガス検出時にはA−C間の出力電圧を取込み出力
レベルを判断し、ガスセンサ警報発生部11bにて警報
を発する。同図において、D、Eは夫々燃料ガス及び不
完全燃焼ガスに対する、警報を示している。
(図2上段に示す)とセンサの出力状況(図2下段に示
す)について説明する。図2上段に示すように、センサ
感応部2の温度は、単位時間である10sec毎に、燃
料ガス検知温度である450℃と、不完全燃焼ガス検知
温度である300℃との交互に連続的に切替えられる。
検知にあたっては、燃料ガス検知温度で主にメタンが検
知され、不完全燃焼ガス検知温度で主に一酸化炭素及び
水素が検知される。そして、図2下段に示すように、燃
料ガス検知は燃料ガス検知電圧に切替え直後、約2〜3
秒間はガス吸着平衡が過渡状態となるため、その間のガ
ス検出をブラインドとし残りの時間に連続検知がおこな
われる。一方、不完全燃焼ガス検知にあたっては、不完
全燃焼ガス検知電圧に切り換え後、約6〜7秒でガス吸
着平衡となるため、出力検出はこの検知状態での最後
(燃料ガス検知切り換え直前)のポイントで検知がおこ
なわれる。但し、不完全燃焼ガス検知時間が6秒以前の
過渡状態でもその再現性は良好であり、3秒程度の短い
検知時間での使用も可能である。図2下段において、実
線はメタンによる出力を、破線は一酸化炭素による出力
を、一点鎖線は空気による出力をそれぞれ示している。
ガス検知装置の作動状況とセンサの感度特性について説
明する。説明にあたっては、センサ感応部2が前述の不
完全燃焼ガス検知温度に維持されて検知がおこなわれる
不完全燃焼検知状態(図3に感応特性を示す)、センサ
感応部2が前述の燃料ガス検知温度に維持されて検知が
おこなわれる燃料ガス検知状態(図4に感応特性を示
す)、さらに、上記の検知状態を含む広い温度範囲にお
ける本願のガス検知装置の検知温度設定について説明す
る(図5に感応特性を示す)。図面は、横軸がセンサ表
面温度を、縦軸がセンサ出力を示している。さらに、各
図面において、検知対象ガスは、メタン(図面上実線黒
丸で示す)、一酸化炭素(図面上破線黒三角で示す)、
水素(図面上一点鎖線白丸で示す)及びアルコール(図
面上二点鎖線×で示す)である。夫々の図面について説
明すると、図3が不完全燃焼検知状態におけるセンサの
感応特性を、図4が燃料ガス検知状態におけるセンサの
感応特性を示している。両図においては、ガスの濃度が
異なっている。一方、図5は、主に、動作温度範囲内に
おけるセンサの感応特性を示している。
検知対象のガスとして、一酸化炭素が主な検知対象とな
る。この時、センサ感応部の温度は300℃に維持され
て、検知がおこなわれる。この状態においては、燃料ガ
スであるメタン等が漏れていることは少なく、比較的低
濃度のメタンとの比較において、選択性が得られている
こと及び、他のガス(特にアルコール)との選択性が問
題となる。図3からも判るように、本願のガス検知装置
においては、この不完全燃焼ガス検知温度において、メ
タンに対する選択性が充分に確保されるとともに、アル
コールに対しても選択性が確保されている。一方、水素
に関しては、不完全燃焼の場合、一酸化炭素の約1/2
の濃度で水素は発生するので、一酸化炭素と水素とを合
わせて不完全燃焼を検知しうると考えてよい。
知対象のガスは、主にメタンである。この時、センサ感
応部の温度は450℃に維持されて、このガスの検知を
おこなわれる。この場合において、不完全燃焼との識別
のためには、比較的高濃度の一酸化炭素、水素、アルコ
ール等に対する選択性が得られていることが必要であ
る。本願のセンサにおいては、同図にも示すように、こ
の燃料ガス検知温度において、一酸化炭素、水素に対す
る選択性が充分に確保されるとともに、アルコールに対
しても選択性が確保されている。
00℃〜450℃)に亘る、各ガスの感応特性を示して
いる。ただし、一酸化炭素に関しては、センサが一定温
度に維持される連続通電状態のものと、温度切替えを行
った場合のものとを示している。この特性からも判明す
るように、250〜280℃近辺に一酸化炭素、水素、
アルコールに対する最高感度を示す感度領域が、400
℃近辺にメタンに対する最高感度を示す感度領域が存在
する。そして、本願におけるガス検知では、センサ感応
部2の温度が、検知対象のガス夫々に対して、最高感度
を示すピーク位置よりもさらに高い温度域で検知をおこ
なわれる。このように検知温度を選択することにより、
一酸化炭素、メタン夫々に関して以下のような利点を備
えることとなる。 一酸化炭素に関して、一酸化炭素のなだらかな感度曲線
に比べ、アルコールの感度は270℃以上の高温側で急
激に下がる。従って、アルコールに対する選択性を少し
でも上げるため、一酸化炭素ピークより高温側に検知温
度を設定することにより、選択性を確保できる。 メタンに関して メタンが最高感度を示す点は約400℃にあるが、高濃
度ガス(水素、一酸化炭素,スプレーなど)に対する選
択性を上げるため、この温度よりも高い450℃でメタ
ンを検知することにより、他の妨害ガスに対する選択性
を確保できる。
て説明する。 (イ)上記の実施例においては、酸化物半導体に担持さ
れる材料としてはセリアの例を示したが、こういった材
料の他、酸化珪素(SiO2)、酸化チタニウム(Ti
O2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)でも、セリアとほ
ぼ同等な効果を得ることができる。従って、これらの材
料を総称して、燃焼不活性な耐熱性の4価の金属酸化物
(MO2、ここでMは4価の金属)と呼ぶ。さらに、上
記夫々の材料をMO2/SnO2=0.1mol%の割合
で担持させた場合に於ける、一酸化炭素(CO)に対す
る最高感度を示す温度と感度との測定結果を表1に示し
た。ここで、一酸化炭素ガス濃度は500ppmであ
る。
温度域はセリアの場合とほとんど変化せず、感度に関し
ても実用可能であることが判る。ここで、妨害ガスとし
てのアルコール、メタンの感度はほぼ40mV程度以下
である。一方、これらの材料の担持によるメタン検知で
の最高感度を示す温度は、上記4種の添加剤において、
ほとんど同じであり(高温側は、SnO2の活性できま
るためと考えられる)、燃料ガス検知については上記の
実施例と同様な状況である。前記セリア以外の金属酸化
物を担持した場合の上記図3、図4に対応した、センサ
の感応特性を図9、図10、図11に示した。図9は、
金属酸化物として酸化珪素(SiO2)を0.12mo
l%担持した場合のものを、図10は酸化チタニウム
(TiO2)を0.14mol%担持した場合のもの
を、さらに、図11は酸化ジルコニウム(ZrO2)を
0.12mol%担持した場合のものを、夫々示してい
る。さらに、夫々の図において、(イ)に示すものに、
センサ感応部2が前述の不完全燃焼ガス検知温度に維持
されて検知がおこなわれる不完全燃焼検知状態のもの
を、(ロ)に示すものに、センサ感応部2が前述の燃料
ガス検知温度に維持されて検知がおこなわれる燃料ガス
検知状態のものを示している。図面は、図3、図4と同
様に、横軸がセンサ表面温度を、縦軸がセンサ出力を示
している。さらに、各図面において、検知対象ガスは、
メタン(図面上実線黒丸で示す)、一酸化炭素(図面上
破線黒三角で示す)、水素(図面上一点鎖線白丸で示
す)及びアルコール(図面上二点鎖線×で示す)であ
る。結果、夫々の金属酸化物において、前記両状態で、
互いの検知対象ガスの識別検知が可能なことが判る。 (ロ)上記の実施例で説明したように、本願においては
センサ自体が、アルコールに対する選択性を保持してい
るが、センサ感応部に到達する被検知ガスの流通部に活
性炭フィルターを備えておくと、調理時に発生する高濃
度(2000ppm程度)のアルコールに対しても誤報
しない構成とすることができる。
検知温度と不完全燃焼ガス検知温度との交互切替えのサ
イクルを単位時間(実施例では10秒)としたが、検知
温度が高い燃料ガス検知状態を長く、検知温度が低い不
完全燃焼検知状態を短く設定(例えば低温側検知を3
秒、高温側検知を27秒)して、通常状態においては燃
料ガス検知状態を維持するようにしておくこともでき
る。この切替えをおこなうと、より以上に長期安定性が
得られる利点がある。さらに、検知温度の積極切替え方
法としてはどんな方法を採用してもよい。
を利用してLPガスを検知したところ、メタン程の選択
性は得られないが、ほぼ同様な効果が得られた。
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
す図
ト
を示す図
示す図
感応特性の比較図
との感応特性の比較図
との感応特性の比較図
るセンサの感応特性を示す図
するセンサの感応特性を示す図
するセンサの感応特性を示す図
変化状況を示す図
Claims (8)
- 【請求項1】 センサ感応部(2)として、主として酸
化スズ(SnO2)よりなる酸化物半導体を備えた低熱
容量の熱線型半導体式ガスセンサにより、メタンを主成
分とする燃料ガスと一酸化炭素を主成分とする不完全燃
焼ガスとを識別検知するガスの検知方法であって、 原子価制御された酸化スズを主成分として構成される前
記センサ感応部(2)に燃焼不活性の耐熱性のある4価
の金属酸化物を担持するとともに、前記センサ感応部
(2)の表面層に比表面積の大きい前記酸化スズの緻密
焼結層(4)を備えた熱線型半導体式ガスセンサ(1)
を使用し、 前記センサ感応部(2)の温度を、前記燃料ガスを検知
するための燃料ガス検知温度と、前記燃料ガス検知温度
とは異なる前記不完全燃焼ガスを検知するための不完全
燃焼ガス検知温度とに交互に切替えて、前記燃料ガス検
知温度にて前記燃料ガスを検知し、前記不完全燃焼ガス
検知温度で前記不完全燃焼ガスを検知するガスの検知方
法。 - 【請求項2】 前記センサ感応部(2)の外径が1mm
以下に設定されるとともに、前記燃焼不活性の耐熱性の
ある4価の金属酸化物がセリア(CeO2)、酸化珪素
(SiO2)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコ
ニウム(ZrO2)から選ばれた一種以上の金属酸化物
であり、前記酸化スズ(SnO2)に対する前記金属酸
化物の担持混合比が0.01〜0.5mol%であり、
前記緻密焼結層(4)が、前記センサ感応部(2)の表
層に厚さ1〜20μmで設けられ、且つ比表面積が50
〜150m2/gの酸化スズ(SnO2)を焼結して構成
される請求項1記載のガスの検知方法。 - 【請求項3】 前記燃料ガス検知温度が450℃近傍で
あるとともに、前記不完全燃焼ガス検知温度が300℃
近傍であり、前記燃料ガス検知温度と前記不完全燃焼ガ
ス検知温度との交互切替えを単位時間毎に行う請求項2
記載のガスの検知方法。 - 【請求項4】 センサ感応部(2)として、主として酸
化スズよりなる酸化物半導体を備えた低熱容量の熱線型
半導体式ガスセンサを備え、メタンを主成分とする燃料
ガスと一酸化炭素を主成分とする不完全燃焼ガスとを識
別検知するガス検知装置であって、 前記熱線型半導体式ガスセンサ(1)が、原子価制御さ
れた酸化スズ(SnO 2)を主成分とするとともに燃焼
不活性の耐熱性のある4価の金属酸化物を担持したセン
サ感応部(2)を備え、前記センサ感応部(2)の表面
層に比表面積の大きい前記酸化スズの緻密焼結層(4)
を備えたものであり、 前記熱線型半導体式ガスセンサのセンサ感応部(2)の
温度を、前記燃料ガスを検知するための燃料ガス検知温
度と、前記燃料ガス検知温度とは異なる前記不完全燃焼
ガスを検知するための不完全燃焼ガス検知温度とに交互
に切替える切替え手段を備えたガス検知装置。 - 【請求項5】 前記熱線型半導体式ガスセンサ(1)の
前記切替え手段が前記熱線型半導体式ガスセンサに加え
られる印加電圧を切替える印加電圧切替え手段である請
求項4記載のガス検知装置。 - 【請求項6】 前記センサ感応部(2)の外径が1mm
以下に設定されるとともに、前記燃焼不活性の耐熱性の
ある4価の金属酸化物がセリア(CeO2)、酸化珪素
(SiO2)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコ
ニウム(ZrO2)から選ばれた一種以上の金属酸化物
であり、前記酸化スズ(SnO2)に対する前記金属酸
化物の担持混合比が0.01〜0.5mol%であり、
前記緻密焼結層(4)が、前記センサ感応部(2)の表
層に厚さ1〜20μmで設けられ、且つ比表面積が50
〜150m2/gの前記酸化スズ(SnO2)を焼結して
構成される請求項4又は請求項5記載のガス検知装置。 - 【請求項7】 前記燃料ガス検知温度が450℃近傍で
あるとともに、前記不完全燃焼ガス検知温度が300℃
近傍であり、前記切替え手段が前記燃料ガス検知温度と
前記不完全燃焼ガス検知温度との交互切替えを単位時間
毎に行うものである請求項6記載のガス検知装置。 - 【請求項8】 前記センサ感応部(2)に到達する被検
知ガスの流通部に活性炭フィルターが備えられている請
求項7記載のガス検知装置。
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