JPH07173145A - 3−フタリジリデン酢酸アルキルエステルの製造方法 - Google Patents

3−フタリジリデン酢酸アルキルエステルの製造方法

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JPH07173145A
JPH07173145A JP6264637A JP26463794A JPH07173145A JP H07173145 A JPH07173145 A JP H07173145A JP 6264637 A JP6264637 A JP 6264637A JP 26463794 A JP26463794 A JP 26463794A JP H07173145 A JPH07173145 A JP H07173145A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】無水フタル酸とマロン酸エステルを反応させて
3−フタリジリデン酢酸アルキルエステルを製造する方
法において、マロン酸エステルとしてMOCO−CH2
−COOR(但し、Mは水素原子、K、Na、Li、ま
たはNH4 を、Rは炭素原子数1〜5の低級アルキル基
を示す。)で表されるマロン酸モノアルキルエステル又
はその塩を用いることを特徴とする3−フタリジリデン
酢酸アルキルエステルの製造方法。 【効果】本発明によれば、安価な原料である無水フタル
酸とマロン酸モノアルキルエステル又はその塩とから1
工程でかつ高収率で高純度の3−フタリジリデン酢酸ア
ルキルエステルを製造することができる。また、マロン
酸ジエチル法とは反応機構が違うためZ−体が選択的に
得られるという特徴もある。更に、従来法におけるよう
な金属排水の問題もないので工業的に有利である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルドース還元酵素阻
害剤として、糖尿病由来の各種慢性合併症、例えば糖尿
病性の白内障、網膜症、ニュウロパチー等の治療に有用
なオキソフタラジニル酢酸類の合成中間体である3−フ
タリジリデン酢酸アルキルエステルの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】従来、3
−フタリジリデン酢酸アルキルエステルの製造方法とし
ては、次のものが知られている。 無水フタル酸に無水酢酸中で酢酸カリウムを反応さ
せ、ついでチオニルクロリドで処理した後アルコールに
よりエステル化する方法(USP2483371)、 クロロホルム中で無水フタル酸にエトキシカルボニル
メチレントリフェニルホスホランを作用させる方法(A
ust.J.Chem.,1975,28,2499−
2510)、 無水フタル酸にZn−Cu結合物とモノブロム酢酸エ
チルエステルとを反応させ(レフォルマトスキー反応)
た後、濃硫酸で脱水する方法(J.Org.Che
m.,199156,2587−2589、特開昭6
4−3173号公報)、および トンエン中で無水フタル酸にマロン酸ジエチルエステ
ルを反応させる方法(J.C.S.Perkin I,
1977,84−90)等。
【0003】しかしながら、方法は、工程数が多くか
つ低収率であるうえ、チオニルクロリドを使用する。方
法は、トリフェニルホスホランを使用するうえシス−
トランス異性体の混合物を生ずる。方法は、レフォル
マトスキー反応の収率が低いうえ、ZnやCuを用いる
ため金属排水の問題がある。さらに、反応が2工程とな
る。方法は、2工程となり、しかも収率が極めて低い
(13%)ため、工業的に有利な方法ではない。この方
法が低収率となる原因は明らかではないが、同文献の、
1工程目と類似のEthyl Cyano(phthalidylidene)acetat
e の合成例を見ると、収率はわずか9%しかないことか
ら、マロン酸ジエチル法の1工程目の反応率も同様に低
いと予想できる。さらに、片側のエステルだけを選択的
に加水分解し目的のZ−体だけを得ているので当然低収
率となるものと推測される。また、2工程目でE−体の
副生も懸念される。従って、さらに工業的に有利な3−
フタリジリデン酢酸アルキルエステルの製造方法の開発
が要望されているのが現状である。
【0004】本発明の目的は、高純度の3−フタリジリ
デン酢酸アルキルエステルを安価な原料から簡易かつ高
収率で工業的に有利に製造することができる新規な方法
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、3−フタリジリデン酢酸アルキルエ
ステルの製造方法を種々検討したところ、意外にも反応
収率が最も低い上記の方法におけるようなマロン酸ジ
アルキルエステルに代えてマロン酸モノアルキルエステ
ル又はその塩を用いることにより、後処理の困難な試薬
を使用せず、また金属排水とも無縁な方法で、安価な原
料から1工程で、かつ高収率で目的の3−フタリジリデ
ン酢酸アルキルエステルを製造し得ることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づきさらに研究を進めた結
果完成するに至ったものである。
【0006】即ち、本発明の要旨は、(1) 無水フタ
ル酸とマロン酸エステルを反応させて3−フタリジリデ
ン酢酸アルキルエステルを製造する方法において、マロ
ン酸エステルとしてMOCO−CH2 −COOR(但
し、Mは水素原子、K、Na、Li、またはNH4 を、
Rは炭素原子数1〜5の低級アルキル基を示す。)で表
されるマロン酸モノアルキルエステル又はその塩を用い
ることを特徴とする3−フタリジリデン酢酸アルキルエ
ステルの製造方法、(2) マロン酸エステルがマロン
酸モノエチルエステル又はマロン酸エチルカリウムであ
る前記(1)記載の製造方法、(3) 触媒として、ピ
リジン、トリエチルアミン、ピペリジンおよび酢酸アン
モニウムからなる群より選ばれる1種以上を添加するこ
とを特徴とする前記(1)又は(2)記載の製造方法、
に関する。
【0007】以下に、本発明について詳細に説明する。
本反応のスキームは、次の通りである。
【0008】
【化1】
【0009】本発明の製造方法に使用される無水フタル
酸は、工業的に安価に入手し得るものをそのまま使用す
ることができる。無水フタル酸と反応させるマロン酸エ
ステルの選択は、本発明の根幹をなす。本発明に使用可
能なマロン酸エステルは、一般式MOCO−CH2 −C
OORで表されるマロン酸モノアルキルエステル又はそ
の塩である。ここでMは、水素原子、K、Na、Liま
たはNH4 を表す。また、Rは、炭素原子数1〜5の低
級アルキル基、即ちメチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s
ec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、イソペンチル基、ネオペンチル基のいずれかを表
す。
【0010】本発明に使用可能なマロン酸エステルの好
適な具体例としては、マロン酸モノエチルエステル、マ
ロン酸エチルカリウム、マロン酸モノメチルエステル、
マロン酸メチルカリウム等が挙げられ、これらは、工業
的に入手可能である。また、これらは、常法(例えば、
C.A.,47,12296)に従ってマロン酸ジエチ
ルエステル等から容易に製造することができる。
【0011】上記の無水フタル酸とマロン酸エステルの
本発明における使用量は、通常、等モルであるが、マロ
ン酸エステルとしてマロン酸エチルカリウムやマロン酸
エチルナトリウムのようなマロン酸のアルカリ金属塩を
用いる場合は、副生する金属イオンを中和するため、無
水フタル酸を1.5〜2.5倍量使用するのがよく、特
に2倍量使用するのが有利である。もちろん他の中和剤
を使用することも可能である。
【0012】本発明における反応には、反応を促進させ
るため触媒が添加される。かかる触媒としては、ピリジ
ン、トリエチルアミン、ピペリジン、酢酸アンモニウム
等が挙げられ、これらの1種以上が用いられ、特に好ま
しくはピリジンが用いられる。マロン酸エチルカリウム
のようなマロン酸のアルカリ金属塩やアンモニウム塩を
使用する場合はそれ自体が触媒として作用するため、触
媒を添加しなくても反応は良好に進行する。触媒の使用
量は、通常無水フタル酸およびマロン酸エステル1に対
し0.01〜1程度であり、反応溶媒を兼ねる場合は通
常無水フタル酸およびマロン酸エステル1に対し1〜2
0である。
【0013】本発明における反応は、原則として不活性
溶媒、例えばトルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素
類、ジエチルエーテル、メチルイソプロピルエーテル等
のエーテル類等の中で行われるが、触媒としてピリジン
等が用いられるときは、ピリジン等が溶媒を兼ねるので
他の溶媒をさらに添加する必要はない。
【0014】本発明における反応における反応温度は、
反応の進行に悪影響がなければ、特に制限されることは
ない。通常、室温〜120℃、反応速度を高めるために
は、50〜120℃が好ましい。反応温度の上限は、還
流下に反応させるときは、通常、反応溶媒の沸点とな
る。本発明の反応における反応時間は、反応温度にもよ
るが、通常1〜10時間であり、原料である無水フタル
酸が消失した時点で終了させる。
【0015】反応終了後、目的の3−フタリジリデン酢
酸アルキルエステルを反応液から単離するには、通常の
方法による。例えば、トルエン等の有機溶媒中で反応を
行った場合は、反応終了液に水を添加し、振り混ぜ、静
置後、有機層を分取し、トルエンを留去したのちエタノ
ール等から再結晶させる。このとき、目的物が有機層に
比較的溶解しない場合は、水を加えた後、重炭酸アンモ
ニウムを加え、副生したフタル酸を中和し、その後、得
られた混合物を濾過し、結晶を得ることができる。ま
た、ピリジン溶媒中で反応させた場合は、反応液に酢酸
水溶液を添加してピリジンを溶解させたのち、冷却し、
析出する結晶を濾取し、再結晶する。
【0016】
【実施例】以下、実施例および参考例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0017】実施例1 無水フタル酸118.5g(0.8モル)とマロン酸エ
チルカリウム68.1g(0.4モル)をピリジン12
5mlに加え、90〜100℃で2時間加熱した。無水
フタル酸の量は、副生するKOHを中和するため、マロ
ン酸エチルカリウムの2倍モルを使用した。炭酸ガスの
発生がなくなってから室温にまで冷却し、10%酢酸水
溶液600mlを加えた。10℃に冷却し、析出する結
晶を濾取した。水100mlで洗浄した後、減圧下に乾
燥して、(Z)−3−フタリジリデン酢酸エチルエステ
ル54.0g(0.247モル)を得た(融点132〜
134℃)。収率は、61.7%であった。その物性値
は、次のとおりである。 EI−MS,218(M+ ) ,190,173,14
6。 NMR(60MHz,CDCl3 ),δ(ppm):
1.3(3H,t),4.3(2H,q),5.9(1
H,s),7.7〜8.1(4H,m)
【0018】実施例2 無水フタル酸59.2g(0.4モル),マロン酸モノ
エチルエステル26.4g(0.2モル)とピリジン1
5.8g(0.2モル)をトルエン200mlに加え、
還流下に4時間加熱した。反応終了後、水100mlを
加え有機層を分取した。さらに5%酢酸水溶液100m
lで有機層を洗浄し、トルエンを減圧下に留去した。残
留物をエタノールから再結晶して、(Z)−3−フタリ
ジリデン酢酸エチルエステル32.7g(0.15モ
ル)を得た。収率は、75%であった。
【0019】実施例3 無水フタル酸118.5g(0.8モル)とマロン酸エ
チルカリウム68.1g(0.4モル)をトルエン25
0mlに加え、90〜100℃で7時間加熱した。炭酸
ガスの発生がなくなってから室温にまで冷却し、水50
0mlに注ぎ入れた。次いで、重炭酸アンモニウム3
1.6g(0.4モル)を加え中和した。結晶を濾取
し、水100mlで洗浄した後、さらにエタノール50
mlで洗浄した。結晶を減圧下に乾燥して、(Z)−3
−フタリジリデン酢酸エチルエステル69.8g(0.
32モル)を得た。収率は80.0%であった。
【0020】実施例4 無水フタル酸14.8g(0.1モル)とマロン酸te
rt−ブチルカリウム9.9g(0.05モル)をトル
エン200mlに加え、還流下に6時間加熱した。反応
終了後、水100mlを加え有機層を分取した。さらに
5%重炭酸アンモニウム水溶液100mlで有機層を洗
浄し、トルエンを減圧下に留去した。次いで、カラムク
ロマトグラフィーで精製し、(Z)−3−フタリジリデ
ン酢酸tertブチルエステル6.4g(0.026モ
ル)を得た。収率は52%であった。
【0021】実施例5 実施例3において、マロン酸エチルカリウムの代わりに
マロン酸エチルナトリウムを用いる以外は、同様に反応
と処理を行い、(Z)−3−フタリジリデン酢酸エチル
エステル56.5g(0.259モル)を得た。収率は
64.8%であった。
【0022】実施例6 実施例3において、マロン酸エチルカリウムの代わりに
マロン酸エチルアンモニウムを用いる以外は、同様に反
応と処理を行い、(Z)−3−フタリジリデン酢酸エチ
ルエステル45.8g(0.21モル)を得た。収率は
52.5%であった。
【0023】参考例 実施例1で得られた(Z)−3−フタリジリデン酢酸エ
チルエステル21.8g(0.1モル)をエタノール1
50mlに加えた。80%ヒドラジン・ヒドラート6.
3g(0.1モル)を滴下し、加熱還流下に5時間反応
させた。反応終了後、室温まで冷却し、結晶を濾取し
た。減圧下に乾燥して、4−オキソ−3H−フタラジン
−1−イル−酢酸エチルエステル20.9g(0.09
モル)を得た(融点181℃)。収率は、90.0%で
あった。その物性値は、次のとおりであった。 EI−MS,232(M+ ) ,159,130,10
2。 NMR(60MHz,DMSO−d6 ),δ(PP
M):1.2(3H,t),4.0(2H,s),4.
1(2H,q),7.7〜8.3(4H,m),12.
9(1H,s)
【0024】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、安価な原料
である無水フタル酸とマロン酸モノアルキルエステル又
はその塩とから1工程でかつ高収率で高純度の3−フタ
リジリデン酢酸アルキルエステルを製造することができ
る。本発明の方法は、反応試薬であるマロン酸モノアル
キルエステルの反応活性が非常に高く、収率が最高80
%と良好である。また、マロン酸ジエチル法とは反応機
構が違うためZ−体が選択的に得られるという特徴もあ
る。更に、従来法におけるような金属排水の問題もない
ので工業的に有利である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無水フタル酸とマロン酸エステルを反応
    させて3−フタリジリデン酢酸アルキルエステルを製造
    する方法において、マロン酸エステルとしてMOCO−
    CH2 −COOR(但し、Mは水素原子、K、Na、L
    i、またはNH4 を、Rは炭素原子数1〜5の低級アル
    キル基を示す。)で表されるマロン酸モノアルキルエス
    テル又はその塩を用いることを特徴とする3−フタリジ
    リデン酢酸アルキルエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 マロン酸エステルがマロン酸モノエチル
    エステル又はマロン酸エチルカリウムである請求項1記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒として、ピリジン、トリエチルアミ
    ン、ピペリジンおよび酢酸アンモニウムからなる群より
    選ばれる1種以上を添加することを特徴とする請求項1
    又は2記載の製造方法。
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