JPH07172287A - アンチロック制御装置 - Google Patents

アンチロック制御装置

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Publication number
JPH07172287A
JPH07172287A JP32284193A JP32284193A JPH07172287A JP H07172287 A JPH07172287 A JP H07172287A JP 32284193 A JP32284193 A JP 32284193A JP 32284193 A JP32284193 A JP 32284193A JP H07172287 A JPH07172287 A JP H07172287A
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JP
Japan
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wheel
acceleration
speed
duty
pressure
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JP32284193A
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English (en)
Inventor
Shirou Kadosaki
司朗 門崎
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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Publication of JPH07172287A publication Critical patent/JPH07172287A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車輪振動が発生しても保持動作が行わないよ
うにする。 【構成】 車輪速センサ56は実車輪速Vw を検出し、
対地車速センサ58は走行速度を検出する。コントロー
ラ50は、実車輪速Vw が目標車輪速より大きく、実車
輪加速度Gw が所定の基準加速度より小さく、かつ、車
輪加速度Gw の変化率Lが所定値L1 より小さい場合
に、ブレーキペダル10の踏力増加に拘わらず増圧して
いるブレーキ圧を、増圧も減圧もさせずに、車輪加速度
w の変化率が所定値L1 より小さくなったときのブレ
ーキ圧に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンチロック制御装置
に係り、より詳しくは、車両制動時に車輪がロック状態
に陥らないように車輪のブレーキ圧を制御するアンチロ
ック制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車輪制動時における制動距離の短縮と走
行安定性の向上とを図るために車両にアンチロック制御
装置を搭載することが既に行われている。このアンチロ
ック制御装置は一般に、実車輪速を検出する車輪速セン
サと、ブレーキ圧を電気的に制御する電磁バルブと、車
輪速センサにより検出された実車輪速と車両の走行速度
との関係に基づき、車両制動時に車輪がロック状態に陥
らないように電磁バルブを制御するコントローラとを含
むように構成されている。
【0003】そして、特開平3−273317号公報に
記載されているアンチロック制御装置では、車両の路面
に対する走行速度(対地車速)を検出する対地車速セン
サを有し、かつ、コントローラが、ブレーキ圧を制御す
るための電磁バルブの制御をデューティ制御すると共
に、このデューティ比を、少なくとも、実車輪速の、走
行速度に基づく目標車輪速(走行速度に所定の定数を乗
じた速度)からの偏差である速度偏差と、実車輪加速度
の、目標車輪加速度からの偏差である加速度偏差とに基
づいて変化させるようにしている。
【0004】しかし、デューティ比が常に、速度偏差と
加速度偏差との双方に基づいて変化させられると、例え
ばブレーキ圧の減圧時にブレーキ圧が必要以上に減圧さ
れる傾向が生じてしまい、アンチロック制御を十分には
高い精度で行うことができない。
【0005】また、車輪のスリップ状態が同じ状況下で
もデューティ比の決定規則を変更可能(例えば、選択可
能)とすることにより、運転者の好みに合わせてアンチ
ロック制御の特性を変化させたいという要望もある。
【0006】これらの事情を背景として、車輪速センサ
と、電磁バルブと、対地車速センサと、コントローラ
と、を含むアンチロック制御装置において、コントロー
ラは、電磁バルブのデューティ比を、速度偏差と加速度
偏差との双方に基づいて決定する状態と、速度偏差と加
速度偏差とのいずれか一方に基づいて決定する状態との
いずれかとなるデューティ比決定手段を設けている。
【0007】ここで、このアンチロック制御装置は、制
動開始からブレーキ圧が上昇して、実車輪速Vw が目標
車輪速VR より落ち込んだときにアンチロック制御を開
始すべきと判定する。なお、「目標車輪速VR 」は、対
地車速VGSに適正スリップ係数K(例えば、0.85〜
0.9)を乗ずることにより得られる。ただし、実車輪
速Vw が目標車輪速VR より落ち込みはしないが、実車
輪加速度Gw が負の基準加速度G1 (例えば、−1.5
G)より落ち込んだときには、本来のアンチロック制御
に先立ち(すなわち、初回の減圧に先立ち)、ブレーキ
圧を保持するようにしている。その理由は以下の通りで
ある。
【0008】すなわち、特に急制動時には車輪のロック
傾向の増加に対して実車輪速Vw が実車輪加速度Gw
どには迅速に応答しないため、実車輪速Vw の変化のみ
から車輪のロック傾向の増加を判定することとすると、
減圧開始のタイミングが遅れ気味となってしまい、実車
輪速Vw がやや大きく落ち込んでしまう可能性がある。
【0009】そこで、実車輪速Vw が目標車輪速VR
で落ち込んでいなくても実車輪加速度Gw が基準加速度
1 まで落ち込んだときには、将来車輪がロック状態に
陥る可能性があると判定してブレーキ圧を事前に保持す
るのである。
【0010】また、急制動がトライアスフファルト路等
の高μ路上で行われる場合には、このような事前保持を
行うことにより次のような効果も得られる。
【0011】すなわち、車両制動時には車体が前傾し、
車両前方への荷重移動が発生して、前輪の車輪荷重が増
加することになるが、急制動時には車体の姿勢がブレー
キ圧の増加に対して迅速には応答しない。したがって、
アンチロック制御に先立って事前保持を行い、車体の前
傾を待ち、前輪の車輪荷重の増加を待つようにすれば、
前輪と路面との間の摩擦係数μが増加し、車輪加速度G
w の減少が抑制され、実車輪速Vw の落ち込みも抑制さ
れる。その結果、この事前保持に後続すべき減圧モード
の実行量が少なくて済み、高いブレーキ圧が確保され、
減圧過剰となる事態から回避される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ように実車輪加速度Gw が負の基準加速度G1 より落ち
込んだとき、本来的なアンチロック制御を行う前にブレ
ーキ圧を保持するとすれば、次の理由から、図16に示
したように、アンチロック制御が開始されるかなり速い
時期に不要な保持信号S1〜S6を出力することがあ
る。これにより、保持モードとなって、ブレーキ圧が一
定に保持されてしまう箇所H1〜H6が生じてしまう。
【0013】すなわち、図13に示したように、まず、
制動時にタイヤ70にかかる力を考えると、ブレーキの
トルクTb はタイヤ70のホイール部72にかかり、路
面からの反力Ts はタイヤ70のトレッド部74にかか
る。従って、両者に挟まれたタイヤサイドフォール部7
6に捩じり変形が生ずる。この時の運動方程式は、次の
式(1)、(2)から得られる。
【0014】
【数1】
【0015】
【数2】
【0016】但し、Jは車輪のイナーシャを、θは車輪
の回転角を、cは捩じり減衰係数を、kは捩じり剛性
を、それぞれ表している。
【0017】ここで、路面からの反力Ts を一定として
ブレーキのトルクTb を小さく変化させた時には捩じれ
による車輪の角加速度の変化のは少ないが、ブレーキの
トルクTb を大きく変化させた時には捩じれにより、車
輪の角加速度が大きく変化することになる。従って、ブ
レーキのトルクTb がステップ状に大きく変化する急制
動時は、図14に示すように車輪振動が発生し、車輪の
角加速度に比例する実車輪加速度Gw が変動して基準加
速度G1 より小さくなる場合があり、これに伴って、不
要な保持信号が出力される場合がある。よって、車輪に
ロック傾向が生ずる前にブレーキ圧が保持されることに
なり、アンチロック制御に悪影響を及ぼすことになって
車両の制動精度が悪化すると共に、車体加速度も激しく
変動し(図16参照)、車両の操舵性に悪影響を及ぼす
ことになって車両の運転の安定性を減ずることになる。
【0018】一方、特開昭62−265063号公報に
もあるように、上記基準加速度G1を車両減速度等に応
じて変更することも考えられる。しかし、図14に示す
ように、車輪振動による実車輪加速度Gw の変動範囲
外、例えば、G2 に基準加速度を設定すると、低μ路で
保持に入るのが遅れて、初期のブレーキ液圧が上がりす
ぎてしまう。
【0019】本発明は、上記事実に鑑み成されたもの
で、車輪振動が発生しても保持動作を行わないようにす
るアンチロック制御装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明は、図1に示すように、実車輪速を
検出する車輪速検出手段Aと、車両の路面に対する走行
速度を検出する走行速度検出手段Bと、ブレーキ圧を調
整するブレーキ圧調整手段Cと、前記実車輪速が目標車
輪速より大きく、実車輪加速度が所定の基準加速度より
小さく、かつ、前記車輪加速度の変化率が所定値より小
さい場合に、ブレーキ圧を上昇させるときの変化率が所
定値以下となるように前記ブレーキ圧調整手段を制御す
る制御手段Dと、を備えている。
【0021】
【作用】請求項1記載の発明では、図1に示すように、
車輪速検出手段Aは実車輪速を検出し、走行速度検出手
段Bは車両の路面に対する走行速度を検出する。制御手
段Dは、前記実車輪速が目標車輪速より大きく、実車輪
加速度が所定の基準加速度より小さく、かつ、前記車輪
加速度の単位時間当りの変化量が所定値より小さい場合
に、ブレーキ圧を上昇させるときの変化率が所定値以下
となるように、ブレーキ圧を調整するブレーキ圧調整手
段Cを制御する。
【0022】このように、実車輪速が目標車輪速より大
きく、実車輪加速度が所定の基準加速度より小さく、か
つ、車輪加速度の単位時間当りの変化量が所定値より小
さい場合に、ブレーキ圧を上昇させるときの変化率が所
定値以下となるようにブレーキ圧調整手段を制御するこ
とから、急制動時に車輪振動が発生し、実車輪加速度が
変動して基準加速度より小さくなる場合があっても、不
要な保持信号が出力されることがなく、車両の制動精度
が向上すると共に、車両の操舵性も向上する。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例であるアンチロック
制御装置を含むアンチロック型ブレーキ装置を図面に基
づいて詳細に説明する。
【0024】図2において符号10はブレーキ操作部材
としてのブレーキペダルを示している。このブレーキペ
ダル10はブースタ12を介してマスタシリンダ14に
連携させられている。マスタシリンダ14は2個の加圧
室が互いに直列に並んで成るタンデム式であり、その一
方の加圧室は各電磁バルブ20を経て、左右前輪のブレ
ーキを作動させるホイールシリンダ26に接続されてい
る。
【0025】電磁バルブ20、24は、常には、ホイー
ルシリンダ22、26をマスタシリンダ14に連通させ
ると共にリザーバ30、32からも遮断する保持状態
と、ホイールシリンダ22、26をリザーバ30、32
に連通させると共にマスタシリンダ14から遮断する減
圧状態とのいずれかに切り換わる。
【0026】電磁バルブ20、24は図において3位置
弁として描かれているが、これは便宜上そのようにした
だけであって実際には、ノーマルオープン型の電磁開閉
弁である増圧弁とノーマルクローズド型の電磁開閉弁で
ある減圧弁との組合せとして構成されている。このよう
に構成された電磁バルブ20、24においては、増圧弁
も減圧弁も非通電状態とすることによって増圧状態が実
現され、増圧弁のみを通電状態とすることによって保持
状態が実現され、増圧弁も減圧弁も通電状態とすること
によって減圧状態が実現される。すなわち、各輪のブレ
ーキ圧は2個の電磁開閉弁の組合せによって、増圧状
態、保持状態および減圧状態が択一的に実現されるので
あり、以下、説明を簡単にするために、増圧状態、保持
状態および減圧状態をそれぞれ実現するために電磁バル
ブ20、24のソレノイドに供給される信号を増圧信
号、保持信号および減圧信号ということにする。
【0027】前記リザーバ30、32はそれぞれ、ポン
プ34、36を経てマスタシリンダ14に接続されてお
り、リザーバ30、32内の作動液かどポンプ34、3
6により汲み上げられてマスタシリンダ14に回収され
るようになっている。それらポンプ34、36は共通の
モータ40により駆動される。すなわち、このアンチロ
ック型ブレーキ装置は還流式なのである。
【0028】前記電磁バルブ20、24はコントローラ
50により制御される。コントローラ50は、CPU、
POM、RAM、入力インターフェースおよび出力イン
ターフェースを含むコンピュータを主体として構成され
ており、その出力インターフェースに電磁バルブ20、
24のソレノイドがそれぞれ接続されているのである。
入力インターフェースには、ブレーキスイッチ54と4
個の車輪速センサ56と対地車速センサ58とがそれぞ
れ接続されている。ブレーキスイッチ54は、常にはO
FF状態にあり、ブレーキペダル10が踏み込まれれば
ON状態となるものである。車輪速センサ56は、各輪
と共に回転する回転体の回転速度を検出することによ
り、左右前輪および左右後輪のそれぞれの実車輪速Vw
を検出するものである。対地車速センサ58は、例えば
超音波ドップラ式や空間フィルタ式により対地車速(走
行速度)VGSを検出するものである。
【0029】コントローラ50はそれのROMにおいて
図3に示されているように、アンチロック制御ルーチ
ン、ブレーキ圧制御ルーチン等を予め記憶させられてお
り、それらをCPUが実行することにより、電磁バルブ
20、24がデューティ制御され、これにより各輪につ
いてアンチロック制御が実行される。
【0030】以下、コントローラ50により実行される
アンチロック制御の内容を説明するが、まず、概略的に
説明する。
【0031】まず、制御開始判定規則について説明す
る。前述したように、実車輪速Vw が目標車輪速VR
り落ち込んだときにアンチロック制御を開始すべきと判
定する。ただし、実車輪速Vw が目標車輪速VR より落
ち込みはしないが、実車輪加速度Gw が負の基準加速度
1 (例えば、−1.5G)より落ち込んだときには、
本来のアンチロック制御に先立ち(すなわち、初回の減
圧に先立ち)、ブレーキ圧を保持するようにする。
【0032】しかしながら、前述のように、実車輪加速
度Gw が負の基準加速度G1 より落ち込んだとき、本来
的なアンチロック制御を行う前にブレーキ圧を保持する
とすれば、車輪振動が発生することにより、実車輪加速
度Gw が変動して基準加速度G1 より小さくなる場合が
あり、これに伴って、アンチロック制御が開始されるか
なり速い時期に不要な保持信号を出力することがある。
【0033】ここで、急制動時における車輪振動の発生
に伴う実車輪加速度Gw の変化は、図15(a)とな
り、車輪がロック傾向となっているときの実車輪加速度
w の変化は、図15(b)となる。この図15(a)
及び(b)から理解されるように、実車輪加速度Gw
基準加速度G1 に等しくなった場合における実車輪加速
度Gw の変化率(図15における傾きに相当する)は、
図15(a)のほうが図15(b)より小さくなってい
る。よって、実車輪速Vw が目標車輪速VR より大き
く、かつ、車輪加速度Gw が所定の基準加速度G1 より
小さくなった場合に、それが、車輪振動の発生に伴うも
のであるか、或いは、車輪がロック傾向になっていると
きのものかを判断するため、車輪加速度Gw の変化率L
が所定値L1より小さくなったか否か判断することとす
る。ここで、この所定値L1 は、車輪加速度Gw の変化
率Lが所定値L1 より小さくなった場合に車輪がロック
傾向になっていると判断することができる値である。そ
して、車輪加速度Gw の変化率Lが所定値L1 より小さ
くなった場合に始めて、本来のアンチロック制御に先立
ち、ブレーキ圧を保持するようにする。すなわち、増圧
しているブレーキ圧を、増圧も減圧もさせずに、車輪加
速度Gw の変化率が所定値L1 より小さくなったときの
ブレーキ圧に保持する。
【0034】次にアンチロック制御中におけるブレーキ
圧制御モードの決定規則につき、図4の表を参照しつつ
説明する。
【0035】実車輪速Vw が目標車輪速VR より落ち込
んだ状態では、減圧モードを実行し、その結果実車輪速
w が目標車輪速VR より大きくなり、車体速度VGS
近くなり過ぎてしまった状態では、増圧モードを実行す
る。
【0036】すなわち、実車輪速Vw の目標車輪速VR
からの偏差である速度偏差△Vを基準として、モードが
決定されるのである。ただし、実車輪速Vw が目標車輪
速V R の変化率である目標車輪加速度GR 以上となった
後には、減圧モードを中止して保持モードを実行する。
その理由は以下のとおりである。
【0037】すなわち、減圧の効果により実車輪加速度
w が目標車輪加速度GR と等しくなり、車輪の運動の
動的安定性が成立した後には、もはやこれ以上ブレーキ
圧を減圧する必要がなく、減圧過剰を防止するためであ
る。
【0038】なお付言すれば、複数の実車輪速Vw から
車速を推定し、その推定車速を用いてアンチロック制御
を行う装置は一般に、減圧の効果により実車輪加速度G
w が目標車輪加速度GR まで増加しただけでは足りず、
正の基準加速度G2 まで増加するまで、減圧モードを継
続するように設計される。このように減圧をやや過剰気
味に行うのは、複数の車輪のいずれかでも実車輪速Vw
が真の車速にできる限り近づく状態を実現し、これによ
り車速の推定精度をできる限り向上させることが一理由
である。しかし、本実施例においては、車速は実車輪速
w を用いた推定によって取得されるのではなく、対地
車速センサ58によって車輪のスリップ状態とは無関係
に精度よく取得されるものであるため、そのような過剰
減圧をあえて行う必要はなく、制動力を無駄に低下させ
なくて済むことになる。
【0039】コントローラ50は電磁バルブ20、24
をデューティ制御することによってアンチロック制御を
実行する。ここに「デューティ制御」とは、本実施例に
おいては、図5に示されているように、電磁バルブ2
0、24のソレノイドに対して増圧信号または減圧信号
(以下、それらを「変圧信号」と総称する)と保持信号
とをそれぞれ1回ずつそれらの順に出力することを一回
のデューティサイクルとし、かつ、その一回のデューテ
ィサイクルにおける変圧信号の継続時間を可変の変圧時
間(以下、これを「デューティ時間DUTY」という)、保
持信号の継続信号を不変の保持時間とすることにより、
一回のデューティサイクルの時間において変圧信号の継
続時間が占有する比率であるデューティ比を制御するこ
とをいう。
【0040】すなわち、本実施例においては、デューテ
ィ時間DUTYが本発明における「デューティ比」の一態様
なのである。デューティ時間DUTYは速度偏差または加速
度偏差が大きいほど長くなるように決定され、その結
果、速度偏差または加速度偏差が大きいほどブレーキ圧
の増減圧勾配が急になる。
【0041】なお、上記の説明から明らかなように、増
圧モードおよび減圧モードについては、一回のデューテ
ィサイクルの終期がデューティ時間DUTYと保持時間との
和によって決定される。これに対し、保持モードについ
ては、それの終期がそれ自身によっては決定されず、後
続する増圧モードまたは減圧モードが開始することによ
って決定される。
【0042】次に減圧モードおよび増圧モードそれぞれ
におけるデューティ時間DUTYの決定規則につき、図6の
表を参照しつつ説明する。
【0043】減圧モードについては、デューティ時間DU
TYが、 A・(GR −Gw ) なる式を用いて決定される。このように加速度偏差△G
のみを用い、速度偏差△Vを用いないのは、双方をもち
いると、ブレーキ圧の減圧勾配が車輪のロック傾向との
関係において急ぎ過ぎてしまい、減圧がやや過剰気味と
なってしまうおそれがあるからである。
【0044】具体的に説明すれば、図11にグラフで示
されている一制御例においては、時刻t2 〜t3 におい
て減圧モードが実行されるが、この間、加速度偏差△G
のみならず速度偏差△Vも車両がロック傾向を示す事実
を示しており、このような状況下でそれら加速度偏差△
Gおよび速度偏差△V双方を用いてデューティ時間DUTY
を決定したのでは、デューティ時間DUTYが大きくなり過
ぎて減圧がやや過剰気味となってしまうおそれがある。
そこで、本実施例においては、加速度偏差△Gのみに基
づいてデューティ時間DUTYを決定することとしたのであ
る。
【0045】なお、この減圧モードにおいては、加速度
偏差△Gではなく速度偏差△Vを用いてデューティ時間
DUTYを決定しても同様の効果が得られるが、加速度偏差
△Gを選んだのは、このようにした方が、車輪のスリッ
プ状態の変化により迅速に対応することができると推定
されるからである。
【0046】一方、増加モードについては、実車輪加速
度Gw が目標車輪加速度GR より大きく、実車輪速Vw
が車体速度VGSに接近し過ぎる傾向がある場合と、増圧
の効果により実車輪加速度Gw が目標車輪加速度GR
下となった場合とで、決定規則が異なっている。具体的
には、増圧の効果が十分ではなく、実車輪加速度Gw
目標車輪加速度GR より大きい状態では、 B・(Gw −GR )+C・(Vw −VR ) なる式を用いて決定され、一方、増圧の効果がほぼ十分
となり、実車輪加速度G w が目標車輪加速度GR 以下と
なった状態では、 D・(Vw −VR ) なる式を用いて決定される。この理由は以下の通りであ
る。例えば図11の制御例においては、時刻t4 〜t5
における車輪スリップ状態が、実車輪加速度Gwが目標
車輪加速度GR より大きい状態に該当しているが、この
時刻t4 〜t5 においては、加速度偏差△Gのみならず
速度偏差△Vも車輪のブレーキ圧が増圧気味である事実
を示しており、このような状況下では、過剰な減圧を素
早く解消して実車輪速Vw を目標車輪速VR まで減少さ
せることが必要であるため、加速度偏差△Gおよび速度
偏差△Vの双方を考慮してブレーキ圧を急増圧すること
が必要である。これに対し、実車輪加速度Gw が目標車
輪加速度GR 以下となった状態では、車輪の運動の動的
安定性が成立した後であるから、素早く増圧して実車輪
速Vw を目標車輪速VR まで素早く減少させる必要はな
く、速度偏差△Vのみを考慮してブレーキ圧を緩増圧す
れば足りるからである。なお、実車輪加速度G w が目標
車輪加速度GR 以下となった状態では、車輪のブレーキ
圧がやや増圧気味である事実は速度偏差△Vにのみ反映
され、加速度偏差△Gには反映されていないため(図1
1において時刻t5 〜t6 参照)、速度偏差△Vを用い
てデューティ時間DUTYが決定されるようになっているの
である。実車輪加速度Gw が目標車輪加速度GR 以下と
なった状態では、そのときの実車輪速Vw の目標車輪速
R への収束性が良好であるか否かによって前記制御係
数Dの値が異なる。すなわち、実車輪速Vw の目標車
輪速VR への収束性が良好ではない場合には、制御係数
DがD1 とされ、収束性が良好である場合には、制御
係数DがD2 (<D 1 )とされるのである。これによ
り、収束性が良好である場合には、デューティ時間DUTY
が速度偏差△Vに対して鈍感に決定され、収束性が良好
ではない場合には、敏感に決定されることとなる。な
お、本実施例においては、 (Vw −VR )<(VGS−VR )/a(ただし、aは例
えば2) なる式が成立したときに、実車輪速Vw の目標車輪速V
R への収束性が良好であると判定され、成立しないとき
に、収束性が良好ではないと判定されるようになってい
る。具体的には、例えば図11に示されているように、
対地車速VGSを表す直線と目標車輪速VR を表す直線と
の間に引かれる直線(以下、「収束性判定直線」とい
う。図においても同じとする)の下側に実車輪速Vw
位置する場合には、収束性が良好であると判定され、そ
の収束性判定直線の上側に実車輪速V w が位置する場合
には、収束性が良好ではないと判定される。
【0047】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、車輪のスリップ状態が実車輪速Vw と目標
車輪速VR との双方により推定されるようになってい
て、実車輪速Vw が目標車輪速VR 以上であり、か
つ、実車輪加速度Gw が目標車輪加速度GR 以上である
場合(急増圧)には、デューティ時間DUTYが、速度偏差
△Vと加速度偏差△Gとの双方によって決定され、ま
た、 実車輪速Vw が目標車輪速VR 以下であり、か
つ、実車輪加速度Gw が目標車輪加速度GR 以下である
場合(減圧)には、デューティ時間DUTYが加速度偏差△
Gのみによって決定され、また、 実車輪速Vw が目
標車輪速VR 以上であり、かつ、実車輪加速度Gw が目
標車輪加速度GR 以上である場合(緩増圧)には、デュ
ーティ時間DUTYが速度偏差△Vのみによって決定される
のである。
【0048】以上、本実施例におけるアンチロック制御
の内容を概略的に説明したが、それを実行するためにR
OMに記憶させられているのが前記アンチロック制御ル
ーチンであり、図7にフローチャートで表されている。
なお、ROMにはこの他にブレーキ圧制御ルーチンも記
憶させられている。これについては図示を省略されてい
るが、このブレーキ圧制御ルーチンは、アンチロック制
御ルーチンにより決定された指令(フラグの形で発令さ
れる)およびデューティ時間DUTYをRAM(図12参
照)を介して逐次監視することにより、それら指令及び
デューティ時間DUTYが実現されるように電磁バルブ2
0、24のソレノイドに対して信号を出力するものであ
る。
【0049】次に上記アンチロック制御ルーチンを図7
に基づき、図11の一制御例を参照しつつ具体的に説明
する。
【0050】図7の説明に入る前に、このアンチロック
制御ルーチンにおいて使用される各種フラグについて説
明する。
【0051】図12に示されているように、通常状態フ
ラグ等の各種フラグがRAMに設けられている。それら
フラグは各輪ごとに設けられている。個々に説明すれ
ば、通常状態フラグは、各輪のブレーキ圧の高さがブレ
ーキペタル10の踏力に応じて忠実に変化させられる通
常状態を実現するためのものであって、セットされてい
る状態で電磁バルブ20、24を非通電状態すなわち増
圧状態とする指令を表すフラグである。事前保持フラグ
は、アンチロック制御に先立って各輪のブレーキ圧を保
持するためのものであって、セットされている状態で電
磁バルブ20、24を保持状態とする指令を表すフラグ
である。制御中フラグは、アンチロック制御(事前保持
を除く)の実行中であるか否かを示すものであって、セ
ットされている状態で制御中であることを示すものであ
る。保持モードフラグ、減圧モードアラグおよび増圧モ
ードフラグはいずれも、アンチロック制御中に使用され
るものであって、それぞれセットされている状態で電磁
バルブ20、24について保持モード、減圧モードおよ
び増圧モードを実行する指令を表すものである。
【0052】それらフラグはいずれもコンピュータの電
源投入に伴ってリセットされる。また、通常状態フラ
グ、事前保持フラグ、減圧モードフラグおよび増圧モー
ドフラグは、前記ブレーキ圧制御ルーチンにより一回監
視されるごとにもリセットされる。また、保持モードフ
ラグは、減圧モードフラグおよび増圧モードフラグがセ
ットされるのに伴ってリセットされる。また、減圧モー
ドフラグ、保持モードフラグおよび増圧モードフラグは
いずれも、制御中フラグがリセットされるのに伴ってリ
セットされる。
【0053】次に図7に基づいてアンチロック制御ルー
チンを具体的に説明する。このアンチロック制御ルーチ
ンは繰り返し実行される。各回の実行時にはまず、ステ
ップ102において、RAMの各種数値データ(デュー
ティ時間DUTY等)のクリア、各種フラグのリセット等の
イニシャル処理が行われ、続いて、ステップ104にお
いて、対地車速センサ58からの出力信号に基づいて現
在の対地車速VGSが演算され、RAMに記憶される(図
12参照)。その後、ステップ106において、その対
地車速VGSに前記適正スリップ係数Kを乗じることによ
って目標車輪速VR が演算され、これもRAMに記憶さ
れる。続いて、ステップ108において、その目標車輪
速VR を時間に関して微分することにより、目標車輪加
速度GR が演算される。目標車輪加速度GR は具体的に
は、目標車輪速VR の今回値から前回値(予めRAMに
記憶されている)を差し引くことによって演算される。
これもRAMに記憶される。
【0054】その後、ステップ110〜122が実行さ
れることになるが、それらステップ110〜122は、
右前輪、左前輪、右後輪および左後輪の順に一回ずつ実
行されるため、まず、ステップ110においては、それ
ら4輪のうち今回の実行対象車輪が決定される。続い
て、ステップ112において、その実行対象車輪に対応
する車輪速センサ56からの出力信号に基づき、実行対
象車輪の実車輪速Vw が演算され、RAMに記憶され
る。その後、ステップ114において、その実車輪速V
w を時間に関して微分することにより、実車輪加速度G
w が演算される。実車輪加速度Gw は具体的には、実車
輪速Vw の今回値から前回値(予めRAMに記憶されて
いる)を差し引くことによって演算される。これもRA
Mに記憶される。
【0055】続いて、ステップ116において、今回の
実行対象車輪として左右後輪が選択されているか否かが
判定される。デューティ時間DUTYの決定規則が左右後輪
と左右前輪とで異なっているため、左右後輪が選択され
ている場合には、ステップ119において、左右後輪専
用の処理が実行され、一方、左右前輪が選択されている
場合には、ステップ120において、左右前輪専用の処
理が実行されるようになっているのである。それらステ
ップの内容については後に詳しく説明する。
【0056】ステップ118または120の実行が終了
すれば、ステップ122において、ステップ110〜1
22が車両の全輪について一回ずつ実行されたか否かが
判定される。今回は未だ全輪について終了してはいない
と仮定すれば、判定がNOとなり、ステップ110に戻
り、前回とは異なる車輪が今回の実行対象車輪とされ、
ステップ112〜120が同様にして実行される。そし
て、ステップ110〜122の実行が全輪について終了
すれば、ステップ122の判定がYESとなり、ステッ
プ124において、アンチロック制御装置からの自己診
断信号に基づき、それに異常が発生したか否かが判定さ
れる。異常が発生していない場合には、判定がNOとな
り、直ちにステップ104に戻るが、異常が発生してい
る場合には、判定がYESとなり、ステップ126にお
いて、その事実が警報器を介して運転者に刑法され、ス
テップ128において、フェールセーフ処理が実行され
た後、ステップ104に戻る。
【0057】ここで、ステップ118および120の内
容について詳しく説明する。まず、概略的に説明すれ
ば、ステップ118は、左右後輪についてローセレクト
制御を実行するためのものであり、これに対して、ステ
ップ120は、左右前輪について左右輪独立制御を実行
するためのものである。このように、両ステップは制御
方式の点で互いに異なっているが、各輪についての実行
内容は基本的には共通するため、左右輪独立制御のみを
図8〜図10に基づいて代表的に説明し、ローセレクト
制御については説明を省略する。なお、それら図に記載
されたステップ群をサブルーチンということにし、ま
た、車両の4輪のうちいずれかにのみ着目して時間の経
過をおって説明することにする。
【0058】まず、図8のステップ132において、R
AMの制御中フラグの現在の状態に基づき、今回の実行
対象車輪について現在アンチロック制御が実行中でない
か否か、すなわち非制御中であるか否かが判定される。
今回は初回の実行であって、制御中フラグがリセットさ
れているから、判定がYESとなる。
【0059】このステップ132の判定がYESとなれ
ば、ステップ134において、ブレーキスイッチ54が
ON状態にあるか否か、すなわち、車両制動状態にある
か否かが判定される。今回は車両制動状態にはないと仮
定すれば判定がNOとなり、ステップ136において、
RAMの通常状態フラグがセットされる。その結果、ス
テップ138で、前記ブレーキ圧制御ルーチンの実行に
より、実行対象車輪のブレーキ圧がブレーキペダル10
の踏力に応じて変化させられ得る通常状態とされる。以
上で本サブルーチンの一回の実行が終了する。
【0060】これに対して、今回は車両制動状態にある
ためにブレーキスイッチ54がON状態にあると仮定す
れば、ステップ134の判定がYESとなり、ステップ
140において、実行対象車輪の実車輪速Vw が目標車
輪速VR 以下となったか否かが判定される。実行対象車
輪に過大なスリップが生じたか否かが判定されるのであ
る。今回はそうではないと仮定すれば(図11において
時刻t0 〜t1 参照)、判定がNOとなり、ステップ1
42において、実行対象車輪の実車輪加速度G w が前記
基準加速度G1 より小さくなったか否かが判定される。
実行対象車輪にロック傾向が生じたか否かが判定される
のであり、今回はそうではないと仮定すれば、判定がN
Oとなり、ステップ136において、RAMの通常状態
フラグがセットされる。一方、実車輪加速度Gw が基準
加速度G1 より小さくなったと仮定すれば(図11にお
いて時刻t1 参照)、ステップ142の判定がYESと
なり、ステップ144で、実行対象車輪の実車輪加速度
w の変化率Lが所定値L 1 より小さくなったか否かが
判定される。実行対象車輪の車輪振動によって実車輪加
速度Gw が基準加速度G1 より小さくなったのか、実行
対象車輪にロック傾向が生じたことによって実車輪加速
度Gw が基準加速度G1 より小さくなったのかが判定さ
れるのである。今回は、実行対象車輪の車輪振動によっ
て実車輪加速度Gw が基準加速度G1 より小さくなった
と仮定すれば、判定がNOとなり、ステップ136にお
いて、RAMの通常状態フラグがセットされる。一方、
実行対象車輪にロック傾向が生じたことによって実車輪
加速度Gw が基準加速度G1 より小さくなったと仮定す
れば、ステップ146において、RAMの事前保持フラ
グがセットされる。その結果、ステップ148で、前記
ブレーキ圧制御サブルーチンの実行により、ブレーキペ
ダル10の踏力増加に反して実行対象車輪のブレーキ圧
が保持される。いずれの場合にも、以上で本サブルーチ
ンの一回の実行が終了する。
【0061】その後、ステップ132〜148の実行が
繰り返されるうちに、ブレーキペダル10の踏力が路面
の摩擦係数μとの関係において過大となり、実行対象車
輪に過大なスリップが生じて、実行対象車輪の実車輪速
w が目標車輪速VR 以下となったと仮定すれば(図1
1において時刻t2 参照)、ステップ140の判定がY
ESとなり、ステップ150において前記制御中フラグ
がセットされた後、図9および図10のステップ152
以下のステップにより、本来のアンチロック制御が開始
されることになる。
【0062】ステップ152においては、もはやアンチ
ロック制御を実行する必要がないか否か、すなわち、ア
ンチロック制御を終了させるべきか否かが判定される。
具体的には、運転者によるブレーキペダル10の踏込み
が解除されてブレーキスイッチ54がOFF状態となっ
たか否かの判定や、対地車速VGSが制御終了車速(例え
ば、5Km/h)以下に低下したか否かの判定などが行わ
れ、それらの判定結果に基づいてアンチロック制御を終
了させるべきか否かが判定される。今回はアンチロック
制御が必要であると判定された直後であるため、判定が
NOとなり、ステップ154以下に移行する。
【0063】ステップ154においては、実行対象車輪
の実車輪速Vw が目標車輪速VR 以下であるか否かが判
定される。なお、このステップは、図8のステップ14
0の判定がYESとなった直後においては、ステップ1
40と重複したステップとなってしまうが、ステップ1
40の判定がYESとなった後に再び本サブルーチンが
実行される際には、ステップ140がスキップされるた
め、このステップの存在に意義がある。今回は、実行対
象車輪の実車輪速Vw が目標車輪速VR 以下であると仮
定されているから、判定がYESとなり、ステップ15
6において、現在保持モードが継続中であるか否かが判
定される。RAMの保持モードフラグがセットされてい
るか否かが判定されるのであるが、今回はリセットされ
ているため、判定がNOとなる。
【0064】その後、ステップ158において、前回実
行されたモードが減圧モードであるか否か(この情報も
予めRAMに記憶されている)が判定される。今回はそ
うではないから、判定がNOとなり、ステップ160に
おいて減圧モードフラグがセットされ、続いて、ステッ
プ162において、減圧モード用デューティ時間DUTYが
演算される。具体的には、前述のように、 DUTY=A・(GR −Gw ) なる式を用いて演算される。演算されたデューティ時間
DUTYはRAMに記憶される。その結果、前記ブレーキ圧
制御ルーチンの実行により、減圧モードの実行が開始さ
れることになる(図11において時刻t2 〜t3
照)。以上で本サブルーチンの一回の実行が終了する。
その後、図8のステップ132が実行されれば、今回は
制御中フラグがセットされているため、判定がNOとな
り、ステップ134、140および150がスキップさ
れ、図9のステップ152に移行する。今回は未だアン
チロック制御を継続させる必要があると仮定すれば、こ
のステップ152の判定がNOとなり、ステップ154
において、依然として実車輪速Vw が目標車輪速VR
下であるか否かが判定される。今回はそうであると仮定
すれば、判定がYESとなり、ステップ156におい
て、現在保持モードの実行中であるか否かが判定されれ
ば、判定がNOとなり、ステップ158において、前回
減圧モードが実行されたか否かが判定されれば、判定が
YESとなる。その後、ステップ164において、実行
対象車輪の実車輪加速度Gw が目標車輪加速度GR より
大きくなったか否かが判定される。実行対象車輪にロッ
ク傾向の減少傾向が生じたか否かが判定されるのであ
る。今回は未だ減少傾向が生じてはいないと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、ステップ160に移行し、再び
減圧モードが実行されるが、今回は減少傾向が生じ、実
行対象車輪の実車輪加速度Gw が目標車輪加速度GR
り大きくなったと仮定すれば(図11において時刻t3
参照)、ステップ164の判定がYESとなり、ステッ
プ166において保持モードフラグがセットされる。減
圧モードから保持モードに移行させられるのである。以
上で本サブルーチンの一回の実行が終了する。
【0065】その後、再び本サブルーチンが実行されれ
ば、ステップ156において、現在保持モードの実行中
であると判定され、ステップ164において、実行対象
車輪の実車輪加速度Gw が目標車輪加速度GR より小さ
くなったか否かが判定される。減圧モードの実行時間が
不足していたため保持モードの実行により実行対象車輪
にロック傾向の増加傾向が生じてしまったか否かが判定
されるのである。今回はそうではないと仮定すれば、判
定がNOとなり、以上で本サフルーチンの一回の実行が
終了する。したがって、今回は、依然として保持モード
が継続されることになる。
【0066】これに対して、今回は、実車輪加速度Gw
が目標車輪加速度GR より小さくなったと仮定すれば、
ステップ164の判定がYESとなり、ステップ166
において、減圧モードフラグがセットされ、ステップ1
68において、前記ステップ162におけると同様にし
て、減圧モード用のデューティ時間DUTYが演算され、R
AMに記憶される。保持モードから再び減圧モードに移
行させられて、実行対象車輪のロック傾向が確実に抑制
されるのである。以上で本サブルーチンの一回の実行が
終了する。
【0067】以上のようにして減圧モードおよび保持モ
ードが実行されるうち、実行対象車輪のロック傾向が十
分に減少し、その結果、実車輪速Vw が目標車輪速VR
より大きくなったと仮定すれば(図11において時刻t
4 参照)、ステップ154の判定がNOとなり、図10
のステップ202以下のステップに移行する。
【0068】ステップ202においては、増圧モードフ
ラグがセットされ、続いて、ステップ204において、
実車輪加速度Gw が目標車輪加速度GR より大きいか否
かが判定される。今回はそうであると仮定すれば、判定
がYESとなり、ステップ206において、増圧モード
用のデューティ時間DUTYが演算される。今回は急増圧の
ためのデューティ時間DUTYが演算されるのであり、具体
的には、前述のように、 DUTY=B・(Gw −GR )+C・(Vw −VR ) なる式を用いて演算される。以上で本サブルーチンの一
回の実行が終了する。
【0069】その後、この急増圧が継続されるうちに、
実車輪加速度Gw が目標車輪加速度GR 以下となったと
仮定すれば(図11において時刻t5 参照)、ステップ
204の判定がNOとなり、ステップ208において、
実行対象車輪の実車輪速Vwの目標車輪速VR への収束
性が良好であるか否かが判定される。具体的には、前述
のように、 (Vw −VR )<(VGS−VR )/a なる式が成立するか否かが判定される。今回は収束性が
良好であるこ仮定すれば、判定がYESとなり、ステッ
プ210において前述のように、 DUTY=D1 ・(Vw −VR ) なる式を用いて、緩増圧のためのデューティ時間DUTYが
演算され、一方、今回は収束性が良好ではないと仮定す
れば、ステップ208の判定がNOとなり、ステップ2
12において、前述のように、 DUTY=D2 ・(Vw −VR ) なる式を用いて、緩増圧のためのデューティ時間DUTYが
演算される。いずれの場合にも、以上で本サブルーチン
の一回の実行が終了する。
【0070】以上のようにして減圧モード、保持モード
および増圧モードがそれらの淳に実行される単位制御を
基本とし、その単位制御が何回も繰り返されれば、実行
対象車輪の実車輪速Vw を目標車輪速VR に精度よく追
従することとなり、路面の摩擦係数μを有効に利用しつ
つ車両が制動されることになる。
【0071】なお、この状態でブレーキペダル10の踏
込みが解除されるか、または、対地車速VGSが十分に小
さくなった場合などには、図9のステップ152の判定
がYESとなり一回のアンチロック制御を終了させるべ
く、ステップ170において制御中フラグがリセットさ
れ、ステップ172において通常状態フラグがセットさ
れ、以上で本サブルーチンの一回の実行が終了する。
【0072】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、車両制動時における車輪のスリップ状態が
推定され、その推定されたスリップ状態に応じてデュー
ティ比の決定規則が変化させられるため、デューティ比
が車輪のスリップ状態との関係において十分に適性に決
定され、ブレーキ圧の必要以上の変化が抑制され、その
結果、アンチロック制御が十分に高い精度で行われると
いう効果が得られる。
【0073】また、実車輪速が目標車輪速より大きく、
実車輪加速度が所定の基準加速度より小さく、かつ、車
輪加速度の変化率が所定値より小さい場合に、ブレーキ
圧を一定に保持することから、急制動時に車輪振動が発
生し、実車輪加速度が変動して基準加速度より小さくな
る場合があっても、図17に示すように、不要な保持信
号が出力されることがなく、車両の制動精度が向上する
と共に、車体加速度の変動も抑えられ、車両の操舵性も
向上する。
【0074】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、この他の態様で本発明を実施するこ
とができる。
【0075】例えば、車輪加速度の変化率が所定値より
小さくなった場合に、増圧しているブレーキ圧を、増圧
も減圧もさせずに、車輪加速度Gw の変化率Lが所定値
1より小さくなったときのブレーキ圧に保持するよう
にしているが、これに限られるものでなく、車輪加速度
の変化率が所定値より小さくなるまでの増圧傾向よりも
緩やかに増圧するようにしてもよい。
【0076】また、上記実施例においては、一回のデュ
ーティサイクルにおいて、保持時間を固定する一方、変
圧時間を可変にすることによってデューティ比を可変に
していたが、例えば、変圧時間を固定する一方、保持時
間を可変にすることによってデューティ比を可変にする
ようにして本発明を実施することができる。
【0077】また、前記実施例においては、対地車速V
GSに適性スリップ係数Kが乗じられることによって目標
車輪速VR が決定されるようになっていたが、例えば、
対地車速VGSから一定値△を差し引くことによって目標
車輪速VR が決定されるようにして本発明を実施するこ
とができる。
【0078】また、前記実施例においては、電磁バルブ
20、24が、2個の2位置弁の組合せから成るものと
されていたが、例えば、1個の3位置弁から成るものと
することができる。また、それらはいずれも、液圧源と
ホイールシリンダとリザーバとの間の作動液の流通状態
を複数の状態に切り換える状態切換式であるが、例え
ば、スプールに互いに逆向きに作用する磁気力と液圧と
をスプール自身によってバランスさせることにより液圧
の高さを磁気力に対してリニアに変化させるリニア制御
式とすることができる。
【0079】これらの他にも特許請求の範囲を逸脱する
ことなく、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を
施した態様で本発明を実施することができる。
【0080】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、実車輪速が目標
車輪速より大きく、実車輪加速度が所定の基準加速度よ
り小さく、かつ、車輪加速度の単位時間当りの変化量が
所定値より小さい場合に、ブレーキ圧の変化率が所定値
以下となるようにブレーキ圧調整手段を制御することか
ら、急制動時に車輪振動が発生し、実車輪加速度が変動
して基準加速度より小さくなる場合があっても、不要な
保持信号が出力されることがなく、車両の制動精度が向
上すると共に、車両の操舵性も向上する、という効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を概念的に示すブロック図であ
る。
【図2】本発明の実施例であるアンチロック制御装置を
含むアンチロック型ブレーキ装置を示すシステム図であ
る。
【図3】図2におけるコントローラのコンピュータのR
OMの構成を概念的に示す図である。
【図4】上記アンチロック制御装置におけるモード決定
規則を説明するための表である。
【図5】そのアンチロック制御装置がデューティ時間を
実行するための電気信号の構成を示す図である。
【図6】そのアンチロック制御装置におけるDUTY演算式
を各モードごとに示す表である。
【図7】上記コンピュータにより実行されるアンチロッ
ク制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図7におけるステップ118および120であ
るサブルーチンの一部を示すフローチャートである。
【図9】そのサブルーチンの別の一部を示すフローチャ
ートである。
【図10】そのサブルーチンのさらに別の一部を示すフ
ローチャートである。
【図11】上記アンチロック制御装置による一制御例で
ある。
【図12】上記コンピュータのRAMの構成を概念的に
示す図である。
【図13】制動時におけるタイヤにかかる力を示した図
である。
【図14】車輪振動に伴う実車輪加速度の変化を示した
図である。
【図15】(a)は、車輪振動に伴う実車輪加速度の変
化を示した図であり、(b)は、タイヤがロック傾向と
なった場合における実車輪加速度の変化を示した図であ
る。
【図16】従来のアンチロック制御装置における制御結
果を示した図である。
【図17】本実施例のアンチロック制御装置における制
御結果を示した図である。
【符号の説明】
14 マスタシリンダ 20、24 電磁バルブ 22、26 ホイールシリンダ 50 コントローラ 56 車輪速センサ 58 対地車速センサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実車輪速を検出する車輪速検出手段と、 車両の路面に対する走行速度を検出する走行速度検出手
    段と、 ブレーキ圧を調整するブレーキ圧調整手段と、 前記実車輪速が目標車輪速より大きく、実車輪加速度が
    所定の基準加速度より小さく、かつ、前記車輪加速度の
    変化率が所定値より小さい場合に、ブレーキ圧を上昇さ
    せるときの変化率が所定値以下となるように前記ブレー
    キ圧調整手段を制御する制御手段と、 を備えたアンチロック制御装置。
JP32284193A 1993-12-21 1993-12-21 アンチロック制御装置 Pending JPH07172287A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5947568A (en) * 1996-04-26 1999-09-07 Denso Corporation Anti-skid control device using acceleration gradient
JP2014015154A (ja) * 2012-07-10 2014-01-30 Hitachi Automotive Systems Ltd 車輪速度制御装置

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