JPH07172286A - アンチロック制御装置 - Google Patents

アンチロック制御装置

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JPH07172286A
JPH07172286A JP7521093A JP7521093A JPH07172286A JP H07172286 A JPH07172286 A JP H07172286A JP 7521093 A JP7521093 A JP 7521093A JP 7521093 A JP7521093 A JP 7521093A JP H07172286 A JPH07172286 A JP H07172286A
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JP
Japan
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wheel speed
speed
mode
target wheel
wheel
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Pending
Application number
JP7521093A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Yoneyama
雅利 米山
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP7521093A priority Critical patent/JPH07172286A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドップラ式の対地車速センサにより検出され
る対地車速と実車輪速との関係に基づいてブレーキ圧の
制御モードを、その関係の変化に対してヒステリシスを
有して変化するように決定することにより、対地車速の
検出値の変動に基づく制御モードの頻繁な変更が抑制さ
れるアンチロック制御装置を提供する。 【構成】 対地車速センサにより対地車速VGSが検出さ
れ、コントローラにより、その対地車速VGSに基づいて
目標車輪速VR が算出され、その目標車輪速VR と車輪
速センサにより検出される実車輪速VW との大小関係に
基づいてブレーキ圧の制御モードが決定される。ただ
し、その目標車輪速VR に対して不感帯(VRHとVRL
規定される)が設定され、検出される実車輪速VW がそ
の不感帯内にある間は、ブレーキ圧の制御モードの変更
が禁止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ドップラ式の対地車速
センサを備えたアンチロック制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】車両制動時における車両の安定性を向上
させるとともに制動距離の短縮を図るために車両にアン
チロック制御装置を設けることが既に行われている。こ
のアンチロック制御装置は一般に、(a) 車両の走行速度
である車速を検出する車速センサと、(b) その車両の車
輪の車輪速を検出する車輪速センサと、(c) その車輪の
ブレーキ圧を電気的に制御するブレーキ圧制御装置と、
(d) 車速センサによる検出車速と車輪速センサによる検
出車輪速相互の関係に基づき、車両制動時に車輪がロッ
ク状態に陥らないようにブレーキ圧制御装置を介してそ
の車輪のブレーキ圧を制御するアンチロック制御を行う
コントローラとを含むように構成される。
【0003】このアンチロック制御装置においては、上
述の説明から明らかなように、車速センサによる検出車
速を基準としてブレーキ圧制御装置の制御、すなわちブ
レーキ圧の制御が行われる。そのため、ブレーキ圧の制
御精度を向上させるためには、車速の検出精度を向上さ
せることが有効である。
【0004】このような事情を背景とし、次のようなア
ンチロック制御装置が既に提案されている。それは、特
開平1−182155号公報に記載されているように、
前記車速センサとして、波のドップラ効果を利用するこ
とにより路面に対する車両の走行速度である対地車速を
検出する対地車速センサが採用されているアンチロック
制御装置である。
【0005】本出願人はこの種のアンチロック制御装置
の一態様として次のようなものを製作した。これは、前
記コントローラが、対地車速センサによる検出対地車速
に基づいて車輪速の基準値を決定し、その決定した基準
車輪速と車輪速センサによる検出車輪速との大小関係に
基づいてブレーキ圧制御装置の制御特性を決定する制御
特性決定手段を含んでいるアンチロック制御装置であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、その製作した
アンチロック制御装置について種々の実験を行った結
果、このアンチロック制御装置には、ブレーキ圧制御装
置の制御特性の変更が必要以上に頻繁に繰り返される傾
向があるという問題があることが判明した。
【0007】この問題の原因は次のように推定される。
このアンチロック制御装置においては、検出車輪速が検
出対地車速に基づく基準車輪速を上方にであれ下方にで
あれ通過すれば、直ちに、ブレーキ圧制御装置の制御特
性が変更される。しかし、検出対地車速は、真の車速に
対して変動する傾向が強く、その結果、その検出対地車
速に基づく基準車輪速も変動する傾向が強い。そのた
め、検出車輪速と基準車輪速との大小関係が実際以上に
頻繁に変化し、ブレーキ圧制御装置の制御特性の変更も
頻繁に行われ、本来であれば行われる必要のない変更も
行われてしまうという問題があったのである。
【0008】なお、検出対地車速が変動する原因は次の
ように推定される。対地車速センサの送信器から送信さ
れた波のうち路面で反射して受信器に受信される波の強
度は、路面の凹凸の変化等の影響を受けて変動する傾向
がある。一方、対地車速センサは一般に、路面から反射
した波を表す信号(正弦波状の信号)を一定のしきい値
でクランプすることによって複数のパルスを含む信号に
変換し、それらパルスの周期または一定時間内に発生す
る個数から対地車速を決定する。そのため、路面で反射
した波そのものの周波数は変動していなくてもそれの強
度が変動してしまうと、各パルスの周期が実際の値とは
異なってしまい、その結果、検出対地車速が変動するこ
とになると推定される。
【0009】このような事情を背景とし、本発明は、制
御特性の変更が必要以上に頻繁に繰り返されてしまうと
いう問題を解決することを課題としてなされたものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、図1に示されているように、前記対地車速
センサ1,車輪速センサ2およびブレーキ圧制御装置3
と、対地車速センサ1による検出対地車速と車輪速セン
サ2による検出車輪速との相対的な関係に基づき、車両
制動時に車輪がロック状態に陥らないようにブレーキ圧
制御装置3を介してその車輪のブレーキ圧を制御するア
ンチロック制御を行うコントローラ4とを含むアンチロ
ック制御装置において、そのコントローラ4に、検出対
地車速と検出車輪速との相対的な関係に基づいてブレー
キ圧制御装置3の制御特性を、その相対的な関係の変化
に対してヒステリシスを有して変化するように決定する
制御特性決定手段5を設けたことを特徴とする。
【0011】なお、ここに「制御特性決定手段5」の一
態様は例えば、検出対地車速に基づき、その検出対地車
速に対して本来設定されるべき基準車輪速を中心とする
不感帯を決定し、その決定した不感帯と検出車輪速との
相対的な関係(これが本発明における「検出対地車速と
検出車輪速との相対的な関係」の一態様である)に基づ
いて制御特性を、検出車輪速がその不感帯内にある間は
変化しないように決定するものとすることができる。
【0012】
【作用】以上のように構成されたアンチロック制御装置
においては、制御特性決定手段5により、検出対地車速
と検出車輪速との相対的な関係に基づいてブレーキ圧制
御装置3の制御特性が、その相対的な関係の変化に対し
てヒステリシスを有して変化するように決定される。し
たがって、検出対地車速が変動したためにそれと検出車
輪速との相対的な関係が変動しても、それが原因で制御
特性が頻繁に変更されることが防止される。
【0013】
【発明の効果】このように、本発明によれば、検出対地
車速の変動に基づく制御特性の予定外の変更が抑制され
るから、アンチロック制御の精度が向上するという効果
が得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例であるアンチロック
制御装置を含むアンチロック型ブレーキ装置を図面に基
づいて詳細に説明する。
【0015】図2において符号10はブレーキ操作部材
としてのブレーキペダルを示している。このブレーキペ
ダル10はブースタ12を介してマスタシリンダ14に
連携させられている。マスタシリンダ14は2個の加圧
室が互いに直列に並んで成るタンデム式であり、その一
方の加圧室は各電磁バルブ20を経て、左右前輪のブレ
ーキを作動させるホイールシリンダ22に接続され、他
方の加圧室も各電磁バルブ24を経て、左右後輪のホイ
ールシリンダ26に接続されている。
【0016】電磁バルブ20,24は、常には、ホイー
ルシリンダ22,26をマスタシリンダ14に連通させ
るとともにリザーバ30,32から遮断する増圧状態に
あるが、ソレノイドの励磁状態如何により、ホイールシ
リンダ22,26をマスタシリンダ14からもリザーバ
30,32からも遮断する保持状態と、ホイールシリン
ダ22,26をリザーバ30,32に連通させるととも
にマスタシリンダ14から遮断する減圧状態とのいずれ
かに切り換わる。すなわち、本実施例においては、電磁
バルブ20,24が本発明における「ブレーキ圧制御装
置3」の一態様なのである。
【0017】電磁バルブ20,24は図において3位置
弁として描かれているが、これは便宜上そのようにした
だけであって実際には、ノーマルオープン型の電磁開閉
弁である増圧弁とノーマルクローズド型の電磁開閉弁で
ある減圧弁との組合せとして構成されている。このよう
に構成された電磁バルブ20,24においては、増圧弁
も減圧弁も非通電状態とすることによって増圧状態が実
現され、増圧弁のみを通電状態とすることによって保持
状態が実現され、増圧弁も減圧弁も通電状態とすること
によって減圧状態が実現される。すなわち、各輪のブレ
ーキ圧は2個の電磁開閉弁の組合せによって、増圧状
態,保持状態および減圧状態が択一的に実現されるので
あり、以下、説明を簡単にするために、増圧状態,保持
状態および減圧状態をそれぞれ実現するために電磁バル
ブ20,24のソレノイドに供給される信号を増圧信
号,保持信号および減圧信号ということにする。
【0018】前記リザーバ30,32はそれぞれ、ポン
プ34,36を経てマスタシリンダ14に接続されてお
り、リザーバ30,32内の作動液がポンプ34,36
により汲み上げられてマスタシリンダ14に回収される
ようになっている。それらポンプ34,36は共通のモ
ータ40により駆動される。すなわち、このアンチロッ
ク型ブレーキ装置は還流式なのである。
【0019】前記電磁バルブ20,24はコントローラ
50により制御される。コントローラ50は、CPU,
ROM,RAM,入力インターフェースおよび出力イン
ターフェースを含むコンピュータを主体として構成され
ており、その出力インターフェースに電磁バルブ20,
24のソレノイドがそれぞれ接続されているのである。
入力インターフェースには、ブレーキスイッチ54と4
個の車輪速センサ56と対地車速センサ58とがそれぞ
れ接続されている。ブレーキスイッチ54は、常にはO
FF状態にあり、ブレーキペダル10が踏み込まれれば
ON状態となるものである。車輪速センサ56は、各輪
と共に回転する回転体の回転速度を検出することによ
り、左右前輪および左右後輪のそれぞれの実車輪速VW
を検出するものである。対地車速センサ58は、超音波
ドップラ式により対地車速VGSを検出するものである。
【0020】コントローラ50はそれのROMにおい
て、図3に示されているように、アンチロック制御ルー
チン,ブレーキ圧制御ルーチン等が予め記憶されてお
り、それらをCPUが実行することにより、電磁バルブ
20,24がデューティ制御され、これにより各輪につ
いてアンチロック制御が実行される。
【0021】以下、コントローラ50により実行される
アンチロック制御の内容を説明するが、まず、概略的に
説明する。
【0022】まず、このアンチロック制御に係る各種パ
ラメータについて簡単に説明する。
【0023】実車輪速VW と比較されるパラメータとし
て、目標車輪速VR がある。この目標車輪速VR は、対
地車速VGSに基づいて算出されるパラメータであって、
具体的には、対地車速VGSに適正スリップ係数K(例え
ば、0.85〜0.9)を掛け算することによって取得
される。なお、適正スリップ係数Kは前輪と後輪とで共
通の値とすることも、車両制動時における車両旋回特性
などを考慮して前輪と後輪とで互いに異なる値とするこ
ともできる。
【0024】この目標車輪速VR に対して不感帯が設定
されている。しかし、この不感帯については後に詳しく
説明することとし、その説明に至るまでは、説明を簡単
にするために、その不感帯を無視してアンチロック制御
の概略を説明する。アンチロック制御の基本的な考え方
は不感帯の有無によって変わることはないからである。
【0025】また、実車輪加速度GW と比較されるパラ
メータとして、目標車輪加速度GRがある。この目標車
輪加速度GR は、対地車速VGSに基づいて算出されるパ
ラメータであって、具体的には、上記目標車輪速VR
実質的に時間微分することによって取得される。
【0026】次に、アンチロック制御の開始判定の規則
について説明する。実車輪速VW が目標車輪速VR より
落ち込んだときにアンチロック制御を開始すべきと判定
する。
【0027】ただし、実車輪速VW が目標車輪速VR
り落ち込みはしないが、実車輪加速度GW が基準加速度
1 (負の固定値であり、例えば、−1.5G)より落
ち込んだときには、本来のアンチロック制御に先立ち
(すなわち、初回の減圧に先立ち)、ブレーキ圧を保持
する。その理由は以下の通りである。
【0028】特に急制動時には車輪のロック傾向の増加
に対して実車輪速VW が実車輪加速度GW ほどには迅速
に応答しないため、実車輪速VW の変化のみから車輪の
ロック傾向の増加を判定することとすると、減圧開始の
タイミングが遅れ気味となってしまい、実車輪速VW
やや大きく落ち込んでしまう可能性がある。そこで、実
車輪速VW が目標車輪速VR まで落ち込んでいなくても
実車輪加速度GW が基準加速度G1 まで落ち込んだとき
には、将来車輪がロック状態に陥る可能性があると判定
してブレーキ圧を事前に保持するのである。
【0029】また、急制動がドライアスファルト路等の
高μ路上で行われる場合には、このような事前保持を行
うことにより次のような効果も得られる。
【0030】車両制動時には車体が前傾し、車両前方へ
の荷重移動が発生して、前輪の車輪荷重が増加すること
になるが、急制動時には車体の姿勢がブレーキ圧の増加
に対して迅速には応答しない。したがって、アンチロッ
ク制御に先立って事前保持を行い、車体の前傾を待ち、
前輪の車輪荷重の増加を待つようにすれば、前輪と路面
との間の摩擦係数μが増加し、実車輪加速度GW の減少
が抑制され、実車輪速VW の落込みも抑制される。その
結果、この事前保持に後続すべき減圧モードの実行量が
少なくて済み、高いブレーキ圧が確保され、減圧過剰と
なる事態から回避される。
【0031】次にアンチロック制御中におけるブレーキ
圧制御モードの決定規則につき、図4の表を参照しつつ
説明する。
【0032】実車輪速VW が目標車輪速VR より落ち込
んだ状態では、減圧モードを実行し、その結果実車輪速
W が目標車輪速VR より大きくなり、対地車速VGS
近くなり過ぎてしまった状態では、増圧モードを実行す
る。すなわち、実車輪速VWの目標車輪速VR からの偏
差である速度偏差ΔVを基準として、モードが決定され
るのである。ただし、実車輪速VW が目標車輪速VR
り落ち込んでいる状態でも、実車輪加速度GW が目標車
輪加速度GR 以上となった後には、減圧モードを中止し
て保持モードを実行する。このようにする理由は、減圧
の効果により実車輪加速度GW が目標車輪加速度GR
等しくなり、車輪の運動の動的安定性が成立した後に
は、もはやこれ以上ブレーキ圧を減圧する必要がなく、
減圧過剰を防止するためである。
【0033】なお付言すれば、複数の実車輪速VW から
車速を推定し、その推定車速を用いてアンチロック制御
を行う装置は一般に、減圧の効果により実車輪加速度G
W が目標車輪加速度GR まで増加しただけでは足りず、
正の基準加速度G2 (図示しない)まで増加するまで、
減圧モードを継続するように設計される。このように減
圧をやや過剰気味に行うのは、複数の車輪のいずれかで
も実車輪速VW が真の車速にできる限り近づく状態を実
現し、これにより車速の推定精度をできる限り向上させ
ることが一理由である。しかし、本実施例においては、
車速は実車輪速VW を用いた推定によって取得されるの
ではなく、対地車速センサ58によって車輪のスリップ
状態とは無関係に精度よく取得されるものであるため、
そのような過剰減圧をあえて行う必要はなく、制動力を
無駄に低下させなくて済むことになる。
【0034】前記コントローラ50は電磁バルブ20,
24をデューティ制御することによってアンチロック制
御を実行する。ここに「デューティ制御」とは、本実施
例においては、図5に示されているように、電磁バルブ
20,24のソレノイドに対して増圧信号または減圧信
号(以下、それらを「変圧信号」と総称する)と保持信
号とをそれぞれ1回ずつそれらの順に出力することを一
回のデューティサイクルとし、かつ、その一回のデュー
ティサイクルにおける変圧信号の継続時間を可変の変圧
時間(以下、これを「デューティ時間DUTY」という)、
保持信号の継続信号を不変の保持時間とすることによ
り、一回のデューティサイクルの時間において変圧信号
の継続時間が占有する比率であるデューティ比を制御す
ることをいう。デューティ時間DUTYは速度偏差または加
速度偏差が大きいほど長くなるように決定され、その結
果、速度偏差または加速度偏差が大きいほどブレーキ圧
の増減圧勾配が急になる。
【0035】なお、上記の説明から明らかなように、増
圧モードおよび減圧モードについては、一回のデューテ
ィサイクルの終期がデューティ時間DUTYと保持時間との
和によって決定される。これに対し、保持モードについ
ては、それの終期がそれ自身によっては決定されず、後
続する増圧モードまたは減圧モードが開始することによ
って決定される。
【0036】次に減圧モードおよび増圧モードそれぞれ
におけるデューティ時間DUTYの決定規則につき、図6の
表を参照しつつ説明する。
【0037】減圧モードについては、デューティ時間DU
TYが、 A・(GR −GW ) なる式を用いて決定される。このように加速度偏差ΔG
のみを用い、速度偏差ΔVを用いないのは、双方を用い
ると、ブレーキ圧の減圧勾配が車輪のロック傾向との関
係において急過ぎてしまい、減圧がやや過剰気味となっ
てしまうおそれがあるからである。
【0038】具体的に説明すれば、図7にグラフで示さ
れている一制御例においては、時刻t2 〜t3 において
減圧モードが実行されるが、この間、加速度偏差ΔGの
みならず速度偏差ΔVも車輪がロック傾向を示す事実を
示しており、このような状況下でそれら加速度偏差ΔG
および速度偏差ΔV双方を用いてデューティ時間DUTYを
決定したのでは、デューティ時間DUTYが大きくなり過ぎ
て減圧がやや過剰気味となってしまうおそれがある。そ
こで、本実施例においては、加速度偏差ΔGのみに基づ
いてデューティ時間DUTYを決定することとしたのであ
る。
【0039】なお、この減圧モードにおいては、加速度
偏差ΔGではなく速度偏差ΔVを用いてデューティ時間
DUTYを決定しても同様の効果が得られるが、加速度偏差
ΔGを選んだのは、このようにした方が、車輪のスリッ
プ状態の変化により迅速に対応することができると推定
されるからである。
【0040】一方、増圧モードについては、実車輪加速
度GW が目標車輪加速度GR より大きく、実車輪速VW
が対地車速VGSに接近し過ぎる傾向がある場合と、増圧
の効果により実車輪加速度GW が目標車輪加速度GR
下となった場合とで、決定規則が異なっている。具体的
には、増圧の効果が十分ではなく、実車輪加速度GW
目標車輪加速度GR より大きい状態では、 B・(GW −GR )+C・(VW −VR ) なる式を用いて決定され、一方、増圧の効果がほぼ十分
となり、実車輪加速度G W が目標車輪加速度GR 以下と
なった状態では、 D・(VW −VR ) なる式を用いて決定される。
【0041】この理由は以下の通りである。例えば図7
の制御例においては、時刻t4 〜t5 における車輪スリ
ップ状態が、実車輪加速度GW が目標車輪加速度GR
り大きい状態に該当しているが、この時刻t4 〜t5
おいては、加速度偏差ΔGのみならず速度偏差ΔVも車
輪のブレーキ圧が増圧不足気味である事実を示してお
り、このような状況下では、過剰な減圧を素早く解消し
て実車輪速VW を目標車輪速VR まで減少させることが
必要であるため、加速度偏差ΔGおよび速度偏差ΔVの
双方を考慮してブレーキ圧を急増圧することが必要であ
る。これに対し、実車輪加速度GW が目標車輪加速度G
R 以下となった状態では、車輪の運動の動的安定性が成
立した後であるから、素早く増圧して実車輪速VW を目
標車輪速VR まで素早く減少させる必要はなく、速度偏
差ΔVのみを考慮してブレーキ圧を緩増圧すれば足りる
からである。
【0042】なお、実車輪加速度GW が目標車輪加速度
R 以下となった状態では、車輪のブレーキ圧がやや増
圧不足気味である事実は速度偏差ΔVにのみ反映され、
加速度偏差ΔGには反映されていないため(図7におい
て時刻t5 〜t6 参照)、速度偏差ΔVを用いてデュー
ティ時間DUTYが決定されるようになっているのである。
【0043】実車輪加速度GW が目標車輪加速度GR
下となった状態では、そのときの実車輪速VW の目標車
輪速VR への収束性が良好であるか否かによって前記制
御係数Dの値が異なる。すなわち、 実車輪速VW
目標車輪速VR への収束性が良好ではない場合には、制
御係数DがD1 とされ、 収束性が良好である場合に
は、制御係数DがD2 (<D1 )とされるのである。こ
れにより、収束性が良好である場合には、デューティ時
間DUTYが速度偏差ΔVに対して鈍感に決定され、収束性
が良好ではない場合には、敏感に決定されることとな
る。
【0044】なお、本実施例においては、 (VW −VR )<(VGS−VR )/a(ただし、aは例
えば2) なる式が成立したときに、実車輪速VW の目標車輪速V
R への収束性が良好であると判定され、成立しないとき
に、収束性が良好ではないと判定されるようになってい
る。具体的には、例えば図7に示されているように、対
地車速VGSを表す直線と目標車輪速VR を表す直線との
間に引かれる直線(以下、「収束性判定直線」という。
図においても同じとする)の下側に実車輪速VW が位置
する場合には、収束性が良好であると判定され、その収
束性判定直線の上側に実車輪速VWが位置する場合に
は、収束性が良好ではないと判定される。
【0045】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、車輪のスリップ状態が実車輪速VW と目標
車輪速VR との双方により推定されるようになってい
て、実車輪速VW が目標車輪速VR 以上であり、か
つ、実車輪加速度GW が目標車輪加速度GR 以上である
場合(急増圧)には、デューティ時間DUTYが、速度偏差
ΔVと加速度偏差ΔGとの双方によって決定され、ま
た、 実車輪速VW が目標車輪速VR 以下であり、か
つ、実車輪加速度GW が目標車輪加速度GR 以下である
場合(減圧)には、デューティ時間DUTYが加速度偏差Δ
Gのみによって決定され、また、 実車輪速VW が目
標車輪速VR 以上であり、かつ、実車輪加速度GW が目
標車輪加速度GR 以下である場合(緩増圧)には、デュ
ーティ時間DUTYが速度偏差ΔVのみによって決定される
のである。
【0046】以上、本実施例におけるアンチロック制御
の概要を、目標車輪速VR の不感帯を無視して説明した
が、以下、この不感帯について詳しく説明する。
【0047】まず、不感帯の算出手法について説明す
る。不感帯の上限値である上限目標車輪速VRHと下限値
である下限目標車輪速VRLはいずれも、目標車輪速VR
に基づいて算出される。具体的には、上限目標車輪速V
RHは、対地車速VGSに(前記適正スリップ係数K+ΔK
H )を掛け算することによって取得され、一方、下限目
標車輪速VRLは、対地車速VGSに(前記適正スリップ係
数K−ΔKL )を掛け算することによって取得される。
なお、それらΔKH およびΔKL は共通の値とすること
も、互いに異なる値とすることもできる。
【0048】次に、アンチロック制御中におけるブレー
キ圧制御モードの決定規則を、不感帯を考慮し、図8お
よび図9に基づいて説明する。
【0049】現在、実車輪速VW が下限目標車輪速VRL
より小さいために減圧モードまたは保持モードが選択さ
れている状態にあると仮定する。そして、この状態か
ら、図8に示されているように、実車輪速VW が目標車
輪速VR に対して相対的に増加し、その結果、実車輪速
W が下限目標車輪速VRLより大きくなっても、直ちに
はモードが変更されず、実車輪速VW が目標車輪速VR
に対して相対的にさらに増加した結果、実車輪速VW
上限目標車輪速VRHより大きくなったときにはじめて、
現在のモードが増圧モードに変更される。
【0050】これに対して、現在、実車輪速VW が上限
目標車輪速VRHより大きいために増圧モードが選択され
ている状態にあると仮定する。そして、この状態から、
図9に示されているように、実車輪速VW が目標車輪速
R に対して相対的に減少し、その結果、実車輪速VW
が上限目標車輪速VRHより小さくなっても、直ちにはモ
ードが変更されず、実車輪速VW が目標車輪速VR に対
して相対的にさらに減少した結果、実車輪速VW が下限
目標車輪速VRLより小さくなったときにはじめて、現在
のモードが減圧モードまたは保持モードに変更される。
【0051】以上の説明から明らかなように、実車輪速
W が目標車輪速VR を上方に通過する場合と下方に通
過する場合とで、モードが変更されることとなる実車輪
速VW と目標車輪速VR 相互の関係が互いに異ならせら
れており、結局、実車輪速VW が上限目標車輪速VRH
下限目標車輪速VRLとで規定される不感帯内にある場合
には、モードの変更が禁止されることとなるのである。
この様子をグラフで表したのが図10である。
【0052】すなわち、本実施例においては、対地車速
GSに基づく目標車輪速VR と実車輪速VW との大小関
係に基づいて電磁バルブ20,24のブレーキ圧制御モ
ードが、その大小関係の変化に対してヒステリシスを有
して変化するように決定されるのであり、対地車速VGS
に基づく目標車輪速VR と実車輪速VW との大小関係が
本発明における「検出対地車速と検出車輪速との相対的
な関係」の一態様であり、ブレーキ圧制御モードが本発
明における「ブレーキ圧制御装置の制御特性」の一態様
なのである。
【0053】以上、本実施例におけるアンチロック制御
の内容を概略的に説明したが、それを実行するためにR
OMに記憶されているのが前記アンチロック制御ルーチ
ンであり、図11にフローチャートで表されている。な
お、ROMにはこの他にブレーキ圧制御ルーチンも記憶
されている。これについては図示が省略されているが、
このブレーキ圧制御ルーチンは、アンチロック制御ルー
チンにより決定された指令(フラグの形で発令される)
およびデューティ時間DUTYをRAM(図12参照)を介
して逐次監視することにより、それら指令およびデュー
ティ時間DUTYが実現されるように電磁バルブ20,24
のソレノイドに対して信号を出力するものである。
【0054】次に上記アンチロック制御ルーチンを図1
1に基づき、図7の制御例を参照しつつ具体的に説明す
る。
【0055】図11の説明に入る前に、このアンチロッ
ク制御ルーチンにおいて使用される各種フラグについて
説明する。
【0056】図12に示されているように、通常状態フ
ラグ等の各種フラグがRAMに設けられている。それら
フラグは各輪ごとに設けられている。個々に説明すれ
ば、通常状態フラグは、各輪のブレーキ圧の高さがブレ
ーキペダル10の踏力に応じて忠実に変化させられる通
常状態を実現するためのものであって、セットされてい
る状態で電磁バルブ20,24を非通電状態すなわち増
圧状態とする指令を表すフラグである。事前保持フラグ
は、アンチロック制御に先立って各輪のブレーキ圧を保
持するためのものであって、セットされている状態で電
磁バルブ20,24を保持状態とする指令を表すフラグ
である。制御中フラグは、アンチロック制御(事前保持
を除く)の実行中であるか否かを示すものであって、セ
ットされている状態で制御中であることを示すものであ
る。保持モードフラグ,減圧モードフラグおよび増圧モ
ードフラグはいずれも、アンチロック制御中に使用され
るものであって、それぞれセットされている状態で電磁
バルブ20,24について保持モード,減圧モードおよ
び増圧モードを実行する指令を表すものである。モード
変更禁止フラグは、ブレーキ圧制御モードが前回のもの
から変更されることを禁止するか否かを示すものであっ
て、セットされている状態で変更を禁止することを示す
ものである。
【0057】それらフラグはいずれもコンピュータの電
源投入に伴ってリセットされる。また、それらフラグは
前記ブレーキ圧制御ルーチンにより逐次監視される。そ
して、通常状態フラグ,事前保持フラグ,減圧モードフ
ラグおよび増圧モードフラグは、モード変更禁止フラグ
がセットされていない状態では、ブレーキ圧制御ルーチ
ンにより監視されるごとにリセットされるが、モード変
更禁止フラグがセットされている状態では、そのままと
される。モード変更禁止フラグがセットされている状態
では、ブレーキ圧制御モードが前回のものに維持される
こととなるのである。また、モード変更禁止フラグは、
ブレーキ圧制御ルーチンにより監視されるごとにリセッ
トされる。また、保持モードフラグは、減圧モードフラ
グおよび増圧モードフラグがセットされるのに伴ってリ
セットされる。また、減圧モードフラグ,保持モードフ
ラグ,増圧モードフラグおよびモード変更禁止フラグは
いずれも、制御中フラグがリセットされるのに伴っても
リセットされる。
【0058】次に図11に基づいてアンチロック制御ル
ーチンを具体的に説明する。このアンチロック制御ルー
チンは繰り返し実行される。各回の実行時にはまず、ス
テップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップ
についても同じとする)において、RAMの各種数値デ
ータ(デューティ時間DUTY等)のクリア,各種フラグの
リセット等のイニシャル処理が行われ、続いて、S2に
おいて、対地車速センサ58からの出力信号に基づいて
現在の対地車速VGSが演算され、RAMに記憶される
(図12参照)。
【0059】その後、S3において、その対地車速VGS
に基づき、目標車輪速VR とそれの不感帯の上限値VRH
および下限値VRLとがそれぞれ演算される。これらもR
AMに記憶される(図12参照)。続いて、S4におい
て、目標車輪速VR を時間に関して微分することによ
り、目標車輪加速度GR が演算される。目標車輪加速度
R は具体的には、目標車輪速VR の今回値から前回値
(予めRAMに記憶されている)を差し引くことによっ
て演算される。これもRAMに記憶される。
【0060】その後、S5〜11が実行されることにな
るが、それらS5〜11は、右前輪,左前輪,右後輪お
よび左後輪の順に一回ずつ実行されるため、まず、S5
においては、それら4輪のうち今回の実行対象車輪が決
定される。続いて、S6において、その実行対象車輪に
対応する車輪速センサ56からの出力信号に基づき、実
行対象車輪の実車輪速VW が演算され、RAMに記憶さ
れる。その後、S7において、その実車輪速VW を時間
に関して微分することにより、実車輪加速度GW が演算
される。実車輪加速度GW は具体的には、実車輪速VW
の今回値から前回値(予めRAMに記憶されている)を
差し引くことによって演算される。これもRAMに記憶
される。
【0061】続いて、S8において、今回の実行対象車
輪として左右後輪が選択されているか否かが判定され
る。デューティ時間DUTYの決定規則が左右後輪と左右前
輪とで異なっているため、左右後輪が選択されている場
合には、S9において、左右後輪専用の処理が実行さ
れ、一方、左右前輪が選択されている場合には、S10
において、左右前輪専用の処理が実行されるようになっ
ているのである。それらステップの内容については後に
詳しく説明する。
【0062】S9または10の実行が終了すれば、S1
1において、S5〜10が車両の全輪について一回ずつ
実行されたか否かが判定される。今回は未だ全輪につい
て終了してはいないと仮定すれば、判定がNOとなり、
S5に戻り、前回とは異なる車輪が今回の実行対象車輪
とされ、S6〜10が同様にして実行される。そして、
S5〜10の実行が全輪について終了すれば、S11の
判定がYESとなり、S12において、アンチロック制
御装置からの自己診断信号に基づき、それに異常が発生
したか否かが判定される。異常が発生していない場合に
は、判定がNOとなり、直ちにS2に戻るが、異常が発
生している場合には、判定がYESとなり、S13にお
いて、その事実が警報器を介して運転者に警報され、S
14において、フェールセーフ処理が実行された後、S
2に戻る。
【0063】ここで、S9および10の内容について詳
しく説明する。まず、概略的に説明すれば、S9は、左
右後輪についてローセレクト制御を実行するためのもの
であり、これに対して、S10は、左右前輪について左
右輪独立制御を実行するためのものである。このよう
に、両ステップは制御方式の点で互いに異なっている
が、各輪についての実行内容は基本的には共通するた
め、左右輪独立制御のみを図13〜図15に基づいて代
表的に説明し、ローセレクト制御については説明を省略
する。なお、それら図に記載されたステップ群をサブル
ーチンということにし、また、車両の4輪のうちいずれ
かにのみ着目して時間の経過をおって説明することにす
る。
【0064】まず、図13のS101において、RAM
の制御中フラグの現在の状態に基づき、今回の実行対象
車輪について現在アンチロック制御が実行中でないか否
か、すなわち非制御中であるか否かが判定される。今回
は初回の実行であって、制御中フラグがリセットされて
いるから、判定がYESとなる。
【0065】このS101の判定がYESとなれば、S
102において、ブレーキスイッチ54がON状態にあ
るか否か、すなわち、車両制動状態にあるか否かが判定
される。今回は車両制動状態にはないと仮定すれば判定
がNOとなり、S103において、RAMの通常状態フ
ラグがセットされる。その結果、前記ブレーキ圧制御ル
ーチンの実行により、実行対象車輪のブレーキ圧がブレ
ーキペダル10の踏力に応じて変化させられ得る通常状
態とされる。以上で本サブルーチンの一回の実行が終了
する。
【0066】これに対して、今回は車両制動状態にある
ためにブレーキスイッチ54がON状態にあると仮定す
れば、S102の判定がYESとなり、S104におい
て、実行対象車輪の実車輪速VW が目標車輪速VR 以下
となったか否かが判定される。実行対象車輪に過大なス
リップが生じたか否かが判定されるのである。なお、S
104における「目標車輪速VR 」は、上限目標車輪速
RHでも下限目標車輪速VRLでもなく、それらの中間に
位置する本来の目標車輪速とされている。
【0067】今回は、実行対象車輪に過大なスリップが
生じてはいないと仮定すれば(図7において時刻t0
1 参照)、S104の判定がNOとなり、S105に
おいて、実行対象車輪の実車輪加速度GW が前記基準加
速度G1 より小さくなったか否かが判定される。実行対
象車輪にロック傾向が生じたか否かが判定されるのであ
り、今回はそうではないと仮定すれば、判定がNOとな
り、S106において、RAMの通常状態フラグがセッ
トされる。一方、実車輪加速度GW が基準加速度G1
り小さくなったと仮定すれば(図7において時刻t1
照)、S105の判定がYESとなり、S107におい
て、RAMの事前保持フラグがセットされる。その結
果、前記ブレーキ圧制御ルーチンの実行により、ブレー
キペダル10の踏力増加に反して実行対象車輪のブレー
キ圧が保持される。いずれの場合にも、以上で本サブル
ーチンの一回の実行が終了する。
【0068】その後、S101,102,104,10
5および106または107の実行が繰り返されるうち
に、ブレーキペダル10の踏力が路面の摩擦係数μとの
関係において過大となり、実行対象車輪に過大なスリッ
プが生じて、実行対象車輪の実車輪速VW が目標車輪速
R 以下となったと仮定すれば(図7において時刻t2
参照)、S104の判定がYESとなり、S107にお
いて前記制御中フラグがセットされた後、図14および
図15のS111以下のステップにより、本来のアンチ
ロック制御が開始されることになる。
【0069】S111においては、もはやアンチロック
制御を実行する必要がないか否か、すなわち、アンチロ
ック制御を終了させるべきか否かが判定される。具体的
には、運転者によるブレーキペダル10の踏込みが解除
されてブレーキスイッチ54がOFF状態となったか否
かの判定や、対地車速VGSが制御終了車速(例えば、5
km/h)以下に低下したか否かの判定などが行われ、それ
らの判定結果に基づいてアンチロック制御を終了させる
べきか否かが判定される。今回はアンチロック制御が必
要であると判定された直後であるため、判定がNOとな
り、S112以下に移行する。
【0070】S112においては、実行対象車輪の実車
輪速VW が上限目標車輪速VRH以下であるか否かが判定
される。今回は、実車輪速VW が上限目標車輪速VRH
上ではないと仮定すれば、判定がNOとなり、S112
aにおいて、実車輪速VW が下限目標車輪速VRL以下で
あるか否かが判定される。今回は、実車輪速VW が下限
目標車輪速VRL以下であると仮定すれば、判定がYES
となり、S113において、現在保持モードが継続中で
あるか否かが判定される。RAMの保持モードフラグが
セットされているか否かが判定されるのであるが、今回
はリセットされているため、判定がNOとなる。
【0071】その後、S114において、前回実行され
たモードが減圧モードであるか否か(この情報も予めR
AMに記憶されている)が判定される。今回はそうでは
ないから、判定がNOとなり、S115において減圧モ
ードフラグがセットされ、続いて、S116において、
減圧モード用のデューティ時間DUTYが演算される。具体
的には、前述のように、 DUTY=A・(GR −GW ) なる式を用いて演算される。演算されたデューティ時間
DUTYはRAMに記憶される。その結果、前記ブレーキ圧
制御ルーチンの実行により、減圧モードの実行が開始さ
れることになる(図7において時刻t2 〜t3 参照)。
以上で本サブルーチンの一回の実行が終了する。
【0072】その後、図13のS101が実行されれ
ば、今回は制御中フラグがセットされているため、判定
がNOとなり、S102,104および108がスキッ
プされ、図14のS111に移行する。今回は未だアン
チロック制御を継続させる必要があると仮定すれば、こ
のS111の判定がNOとなり、S112において、実
車輪速VW が上限目標車輪速VRH以上となったか否かが
判定される。今回は、依然として、実車輪速VW が上限
目標車輪速VRH以上ではないと仮定すれば、判定がNO
となり、S112aにおいて、依然として、実車輪速V
W が下限目標車輪速VRL以下であるか否かが判定され
る。今回も、実車輪速VW が下限目標車輪速VRL以下で
あると仮定すれば、判定がYESとなり、S113にお
いて、現在保持モードの実行中であるか否かが判定され
れば、判定がNOとなり、S114において、前回減圧
モードが実行されたか否かが判定されれば、判定がYE
Sとなる。その後、S117において、実行対象車輪の
実車輪加速度GW が目標車輪加速度GR より大きくなっ
たか否かが判定される。実行対象車輪にロック傾向の減
少傾向が生じたか否かが判定されるのである。今回は未
だ減少傾向が生じてはいないと仮定すれば、判定がNO
となり、S115に移行し、再び減圧モードが実行され
るが、今回は減少傾向が生じ、実車輪加速度GW が目標
車輪加速度GR より大きくなったと仮定すれば(図7に
おいて時刻t3 参照)、S117の判定がYESとな
り、S118において保持モードフラグがセットされ
る。減圧モードから保持モードに移行させられるのであ
る。以上で本サブルーチンの一回の実行が終了する。
【0073】その後、再び本サブルーチンが実行されれ
ば、S113において、現在保持モードの実行中である
と判定され、S119において、実車輪加速度GW が目
標車輪加速度GR より小さくなったか否かが判定され
る。減圧モードの実行時間が不足していたため保持モー
ドの実行により実行対象車輪にロック傾向の増加傾向が
生じてしまったか否かが判定されるのである。今回はそ
うではないと仮定すれば、判定がNOとなり、以上で本
サブルーチンの一回の実行が終了する。したがって、今
回は、依然として保持モードが継続されることになる。
【0074】これに対して、今回は、実車輪加速度GW
が目標車輪加速度GR より小さくなったと仮定すれば、
S119の判定がYESとなり、S120において、減
圧モードフラグがセットされ、S121において、前記
S116におけると同様にして、減圧モード用のデュー
ティ時間DUTYが演算され、RAMに記憶される。保持モ
ードから再び減圧モードに移行させられて、実行対象車
輪のロック傾向が確実に抑制されるのである。以上で本
サブルーチンの一回の実行が終了する。
【0075】以上のようにして減圧モードおよび保持モ
ードが実行されるうち、実行対象車輪のロック傾向が減
少し、その結果、実車輪速VW が上限目標車輪速VRH
上ではないが下限目標車輪速VRLよりは大きくなったと
仮定すれば、S112の判定はNO、S112aの判定
もNOとなり、S124において、モード変更禁止フラ
グがセットされ、その後、本サブルーチンの一回の実行
が終了する。したがって、今回は、ブレーキ圧制御モー
ドが変更されず、前回のままに維持されることとなる。
【0076】その後、実行対象車輪のロック傾向がさら
に減少し、その結果、実車輪速VWが上限目標車輪速V
RH以上となったと仮定すれば(図7において時刻t4
照)、S112の判定がYESとなり、図15のS13
1以下のステップに移行する。
【0077】S131においては、増圧モードフラグが
セットされ、続いて、S132において、実車輪加速度
W が目標車輪加速度GR より大きいか否かが判定され
る。今回はそうであると仮定すれば、判定がYESとな
り、S133において、増圧モード用のデューティ時間
DUTYが演算される。今回は急増圧のためのデューティ時
間DUTYが演算されるのであり、具体的には、前述のよう
に、 DUTY=B・(GW −GR )+C・(VW −VR ) なる式を用いて演算される。なお、デューティ時間DUTY
を演算する際(他のデューティ時間DUTYを演算する際に
も同じである)には、目標車輪速VR の不感帯は考慮さ
れず、目標車輪速VR そのものが使用されるようになっ
ている。以上で本サブルーチンの一回の実行が終了す
る。
【0078】すなわち、実車輪速VW が下限目標車輪速
RLより大きくなれば直ちに、急増圧モードが選択され
るのではなく、上限目標車輪速VRH以上となったときに
はじめて、急増圧モードが選択されるのである。
【0079】その後、この急増圧が継続されるうちに、
実車輪加速度GW が目標車輪加速度GR 以下となったと
仮定すれば(図7において時刻t5 参照)、S132の
判定がNOとなり、S134において、実行対象車輪の
実車輪速VW の上限目標車輪速VRHへの収束性が良好で
あるか否かが判定される。具体的には、前述のように、 (VW −VRH)<(VGS−VRH)/a なる式が成立するか否かが判定される。なお、この収束
性の良否を判定する際には、前述の式における「VR
が「VRH」とされている。
【0080】今回は収束性が良好であると仮定すれば、
判定がYESとなり、S135において、前述のよう
に、 DUTY=D1 ・(VW −VR ) なる式を用いて、緩増圧のためのデューティ時間DUTYが
演算され、一方、今回は収束性が良好ではないと仮定す
れば、S134の判定がNOとなり、S136におい
て、前述のように、 DUTY=D2 ・(VW −VR ) なる式を用いて、緩増圧のためのデューティ時間DUTYが
演算される。いずれの場合にも、以上で本サブルーチン
の一回の実行が終了する。
【0081】その後、ブレーキ圧の増圧によって実行対
象車輪に再びロック傾向が生じ、それの実車輪速VW
減少して上限目標車輪速VRHより小さくなったと仮定す
ると、図14のS112の判定がNOとなる。その後、
S112aにおいて、実車輪速VW が下限目標車輪速V
RL以下であるか否かが判定される。今回は、未だ実車輪
速VW が下限目標車輪速VRL以下に減少してはいないと
仮定すれば、判定がNOとなり、S124において、モ
ード変更禁止フラグがセットされ、以上で本サブルーチ
ンの一回の実行が終了する。したがって、今回は、ブレ
ーキ圧制御モードが、前回のまま、すなわち緩増圧モー
ドに維持されることとなる。
【0082】その後、実行対象車輪の実車輪速VW がさ
らに減少して下限目標車輪速VRL以下となったと仮定す
ると(図7の時刻t6 参照)、S112の判定はNO、
S112aの判定はYESとなり、S113以下のステ
ップに移行し、ブレーキ圧制御モードが減圧モードに変
更されることとなる。すなわち、実車輪速VW が上限目
標車輪速VRHより小さくなれば直ちに、減圧モードが選
択されるのではなく、下限目標車輪速VRL以下となった
ときにはじめて、減圧モードが選択されるのである。
【0083】以上のようにして減圧モード,保持モード
および増圧モード(緩増圧モードおよび急増圧モードか
ら成る)から成る単位制御を基本とし、その単位制御が
何回も繰り返されれば、実行対象車輪の実車輪速VW
目標車輪速VR に精度よく追従することとなり、路面の
摩擦係数μを有効に利用しつつ車両が制動されることに
なる。
【0084】なお、この状態でブレーキペダル10の踏
込みが解除されるか、または、対地車速VGSが十分に小
さくなった場合などには、図14のS111の判定がY
ESとなり、一回のアンチロック制御を終了させるべ
く、S122において制御中フラグがリセットされ、S
123において通常状態フラグがセットされ、以上で本
サブルーチンの一回の実行が終了する。
【0085】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ブレーキ圧制御モードが対地車速VGSに基
づく目標車輪速VR と実車輪速VW との大小関係に対し
てヒステリシスを有して変化させられるため、対地車速
GSが変動して目標車輪速VR と実車輪速VW との大小
関係も変動することとなっても、それが原因となってブ
レーキ圧制御モードが予定外に変更させられることが抑
制され、その結果、対地車速VGSの変動に基づくブレー
キ圧制御モードの必要以上に頻繁な変更が抑制され、ア
ンチロック制御の精度が向上するとともに、アンチロッ
ク制御に伴う作動音のレベルが低減させられるという効
果が得られる。
【0086】また、本実施例においては、コントローラ
50のうち、図14のS112,112a,113〜1
21および124と図15のS131〜136とを実行
する部分が、本発明における「制御特性決定手段5」の
一態様を構成している。
【0087】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、この他の態様で本発明を実施するこ
とができる。
【0088】例えば、上記実施例においては、対地車速
GSに適正スリップ係数Kが乗じられることによって目
標車輪速VR が決定されるようになっていたが、例え
ば、対地車速VGSから一定値Δを差し引くことによって
目標車輪速VR が決定されるようにして本発明を実施す
ることができる。
【0089】また、それに準じて、目標車輪速VR に一
定値ΔΔを加算することによって上限目標車輪速VRH
取得し、目標車輪速VR から一定値ΔΔを減算すること
によって下限目標車輪速VRLを取得するようにして本発
明を実施することができる。
【0090】また、前記実施例においては、目標車輪速
R についてのみ不感帯が設定されていたが、例えば、
目標車輪加速度GR についても不感帯が設定されるよう
にして本発明を実施することができる。前記実施例にお
いては、ブレーキ圧制御モードが目標車輪加速度GR
実車輪加速度GW との相対的な関係にも基づいて決定さ
れ、その目標車輪加速度GR は目標車輪速VR の時間微
分値であり、その目標車輪速VR は対地車速VGSに基づ
いて算出されるから、結局、目標車輪加速度GR と実車
輪加速度GW との相対的な関係は本発明における「対地
車速と検出車輪速との相対的な関係」の一態様であると
考えることができるからである。
【0091】また、前記実施例においては、ブレーキ圧
制御装置が、2個の2位置弁の組合せから成るものとさ
れていたが、例えば、1個の3位置弁から成るものとす
ることができる。また、それらはいずれも、液圧源とホ
イールシリンダとリザーバとの間の作動液の流通状態を
複数の状態に切り換える状態切換式であるが、例えば、
スプールに互いに逆向きに作用する磁気力と液圧とをス
プール自身によってバランスさせることにより液圧の高
さを磁気力に対してリニアに変化させるリニア制御式と
することができる。
【0092】これらの他にも特許請求の範囲を逸脱する
ことなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を
施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を概念的に示すブロック図であ
る。
【図2】本発明の一実施例であるアンチロック制御装置
を含むアンチロック型ブレーキ装置を示すシステム図で
ある。
【図3】図2におけるコントローラのコンピュータのR
OMの構成を概念的に示す図である。
【図4】上記アンチロック制御装置におけるモード決定
規則を説明するための表である。
【図5】そのアンチロック制御装置がデューティ制御を
実行するための電気信号の構成を示す図である。
【図6】そのアンチロック制御装置におけるDUTY演算式
を各モードごとに示す表である。
【図7】そのアンチロック制御装置による一制御例を示
すグラフである。
【図8】そのアンチロック制御装置におけるブレーキ圧
制御モードがヒステリシスを有して変化する様子を説明
するための表である。
【図9】そのアンチロック制御装置におけるブレーキ圧
制御モードがヒステリシスを有して変化する様子を説明
するための表である。
【図10】そのアンチロック制御装置におけるブレーキ
圧制御モードがヒステリシスを有して変化する様子を説
明するためのグラフである。
【図11】上記コンピュータにより実行されるアンチロ
ック制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】上記コンピュータのRAMの構成を概念的に
示す図である。
【図13】図11におけるS9および10であるサブル
ーチンの一部を示すフローチャートである。
【図14】そのサブルーチンの別の一部を示すフローチ
ャートである。
【図15】そのサブルーチンのさらに別の一部を示すフ
ローチャートである。
【符号の説明】
14 マスタシリンダ 20,24 電磁バルブ 22,26 ホイールシリンダ 50 コントローラ 56 車輪速センサ 58 対地車速センサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波のドップラ効果を利用することにより
    路面に対する車両の走行速度である対地車速を検出する
    対地車速センサと、 その車両の車輪の車輪速を検出する車輪速センサと、 その車輪のブレーキ圧を電気的に制御するブレーキ圧制
    御装置と、 前記対地車速センサによる検出対地車速と前記車輪速セ
    ンサによる検出車輪速との相対的な関係に基づき、車両
    制動時に前記車輪がロック状態に陥らないように前記ブ
    レーキ圧制御装置を介してその車輪のブレーキ圧を制御
    するアンチロック制御を行うコントローラとを含むアン
    チロック制御装置において、 前記コントローラに、前記検出対地車速と前記検出車輪
    速との相対的な関係に基づいて前記ブレーキ圧制御装置
    の制御特性を、その相対的な関係の変化に対してヒステ
    リシスを有して変化するように決定する制御特性決定手
    段を設けたことを特徴とするアンチロック制御装置。
JP7521093A 1993-03-09 1993-03-09 アンチロック制御装置 Pending JPH07172286A (ja)

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JP7521093A JPH07172286A (ja) 1993-03-09 1993-03-09 アンチロック制御装置

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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60213553A (ja) * 1984-04-04 1985-10-25 Aisin Seiki Co Ltd アンチスキツド制御装置
JPS6171264A (ja) * 1984-09-17 1986-04-12 Nissan Motor Co Ltd アンチスキツド制御装置
JPS62134363A (ja) * 1985-12-06 1987-06-17 ロ−ベルト・ボツシユ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング 自動車用ブレ−キ装置

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