JPH07172060A - 光情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光情報記録媒体およびその製造方法

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JPH07172060A
JPH07172060A JP6255605A JP25560594A JPH07172060A JP H07172060 A JPH07172060 A JP H07172060A JP 6255605 A JP6255605 A JP 6255605A JP 25560594 A JP25560594 A JP 25560594A JP H07172060 A JPH07172060 A JP H07172060A
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sulfur
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JP6255605A
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English (en)
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Masaru Suzuki
勝 鈴木
Mitsuru Kobayashi
充 小林
Tokuji Morishita
徳治 森下
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】記録・消去特性に大きな変動を与えることな
く、長時間の再生による記録マークの劣化を防ぐことが
でき、且つ記録・消去の繰り返し特性に優れた相変化型
の光情報記録媒体を提供する。 【構成】記録層を、アンチモン(Sb)、テルル(T
e)、ゲルマニウム(Ge)、および硫黄(S)を含む
合金で構成し、前記合金中の各原子の存在比を、(Sb
−Te−Ge):S=(100−W):Wとしたとき、
Wを0より大きく40以下とするとともに、Sb:T
e:Ge=(5〜60):(35〜65):(5〜6
5)とした。 【効果】図2のグラフから分かるように、硫黄原子比W
が本発明の範囲である No.1−2〜1−4では、再生回
数(パス回数)の増加に伴うC/Nの低下量が著しく改
善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願各発明は、記録層に結晶−非
晶質間の相変化を生じさせることにより、情報の記録・
消去を行う光情報記録媒体とその製造方法とに関し、特
に、記録データの信頼性および繰り返し性能が高い光情
報記録媒体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光情報記録媒体のうち、光学記録層が結
晶と非晶質との間で可逆的に相変化することを利用して
情報の記録・消去を行う、いわゆる相変化型光ディスク
は、レーザ光のパワーを変化させるだけで古い情報を消
去すると同時に新たな情報を記録すること(以下、「オ
ーバーライト」と称する)ができるという利点を有して
いる。
【0003】オーバーライトが可能な相変化型光ディス
クの記録材料としては、低融点でレーザ光の吸収効率の
高いIn−Se系合金(Appl.Phys.Let
t.第50巻、667頁、1987年)や、In−Sb
−Te合金(Appl.Phys.Lett.第50
巻、16頁、1987年)、およびGe−Te−Sb合
金(特開昭62−53886号公報)等のカルコゲン合
金が主として用いられている。
【0004】オーバーライトにより、記録層のうち非晶
質化レベルのハイパワーのレーザ光が照射された部分
は、融点以上の温度への急熱・急冷により非晶質化され
て記録マークとなり、結晶化レベルのパワーのレーザ光
が照射された部分は、融点より低い結晶化可能温度への
昇温・徐冷により結晶化されて消去部分となる。このよ
うなオーバーライトは、光ディスクを駆動装置にかけ、
所定の線速度で回転させながらディスク面にレーザ光を
照射することにより行われるが、消去が一回のレーザ光
通過で完全に行われるためには、記録層をなす材料の結
晶化速度(非晶質から結晶への転移速度)は、レーザビ
ームが光ディスクの一点を通過する間に完全に結晶化す
る速度である必要がある。すなわち、レーザビームが光
ディスクの一点を通過するのにかかる時間は光ディスク
の回転速度(線速度)に依存するため、記録層材料の結
晶化速度はこの線速度より速くなければならない。
【0005】また、結晶化速度が速すぎると、記録の際
に、一旦融解した部分が冷却中に部分的に結晶化する恐
れがあるため、非晶質化の冷却速度を著しく高くする必
要が生じ、記録感度の点から好ましくない。さらに、消
去速度を高めるために、結晶化温度(結晶化が始まる温
度)の低い材料が選択されることもある。ところが、こ
のように結晶化速度を速くしたり結晶化温度を下げたり
することにより、記録時に形成された記録マーク(非晶
質部分)は、長時間の再生によりエネルギー準位の低い
結晶に徐々に移行して劣化し、記録マークが消失するこ
とにつながるため、記録データの信頼性が不十分になる
という問題点があった。
【0006】この長時間の再生による記録マークの劣化
を防ぐために、従来は、カルコゲン合金に遷移金属を添
加することや、Sb−Te−Ge合金のGeの比率を高
くすることが行われている。一方、相変化型光ディスク
の記録層にSb−Te−Ge−S系化合物を適用した従
来例としては、特公昭54−41902号公報に記載の
Te81Ge15Sb22 や、特開平2−164585号
公報に記載の、SA GeB SbC TeD としたときに
A:B:C:D=(43〜47):(15〜8):(2
5〜36):(17〜9)であるものが挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような記録マークの劣化を防ぐための従来の方法のうち
遷移金属を添加する方法では、1at%程度の添加によ
り記録マークの安定性が高まるが、消去速度が遅くな
り、特に高速に記録する媒体では組成に対する余裕度が
少なくなり、且つ非晶質−結晶間の光学定数の差が少な
くなって反射率のコントラストが低下するという問題点
があった。また、Sb−Te−Ge合金のGeの比率を
高くする方法では、Geの量が増えるにしたがって融解
温度が高くなり、記録感度が低下するという問題点があ
った。
【0008】一方、前記従来のSb−Te−Ge−S系
化合物からなる記録層は、当該化合物の結晶化速度が遅
く、主に追記型の光ディスクに適したものであるため、
繰り返し記録・消去を行う書換型の光ディスクの記録層
としては適当でない組成であった。本発明は、このよう
な従来技術の未解決の問題点に着目してなされたもので
あり、記録・消去特性に大きな変動を与えることなく、
長時間の再生による記録マークの劣化を防ぐことがで
き、且つ繰り返し特性に優れた光情報記録媒体を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、透明な基板の一方の面に設
けられた記録層に結晶−非晶質間の相変化を生じさせる
ことにより、情報の記録・消去を行う光情報記録媒体に
おいて、前記記録層がアンチモン(Sb)、テルル(T
e)、ゲルマニウム(Ge)、および硫黄(S)からな
る合金で構成され、下記の(1)式で表される当該合金
中のアンチモン(Sb)、テルル(Te)、ゲルマニウ
ム(Ge)、および硫黄(S)の各原子の存在比X、
Y、Z、Wが、下記の(2)式〜(6)式を同時に満た
すことを特徴とする光情報記録媒体提供する。
【0010】 (SbX TeY GeZ 100-W ・SW ……(1) 5≦X≦60 ……(2) 35≦Y≦65 ……(3) 5≦Z≦65 ……(4) 0<W≦40 ……(5) X+Y+Z=100 ……(6) 前記記録層には、消去比の改善や記録マークの安定性を
さらに高めるために、必要に応じて、例えばPd、P
t、Ag、Au、Pb、Sn、Bi、Hf、Nb等の元
素を添加してもよい。この場合の成膜方法としては、例
えば、添加する元素の硫化物を含有するターゲットを用
いてスパッタリングする方法を採用することができる。
【0011】前記基板としては、従来より光ディスクの
基板として慣用されている透明基板を使用することがで
きるが、光学的特性が良好で機械的強度が大きく、寸法
安定性にも優れたポリカーボネートやガラスを使用する
ことが好ましい。なお、請求項1に係る光情報記録媒体
としては、前記記録層の直上および/または直下に金属
あるいは半金属の酸化物、炭化物、窒化物、フッ化物、
および硫化物から選ばれた少なくとも一種類からなる保
護層を設けたものであってもよい。この保護層材料とし
ては、ZnSと、SiO2 、SiO、Ta2 5 、Zr
2 等の酸化物、Si3 4 、AlN等の窒化物、Sm
S、SrS等の硫化物、およびMgF2 等のフッ化物か
ら選ばれた一種類または複数種類の物質との混合物が挙
げられる。
【0012】また、記録層の光入射側とは反対側に、A
l、Cr、Ni、Au、およびTi等の金属またはこれ
らの合金からなる反射層を設けてもよく、反射層の記録
層とは反対側の面には反射層をなす薄膜の保護と強化の
ために、UV硬化樹脂(ウレタン系、アクリル系、シリ
コン系、ポリエステル系等)やホットメルト系の接着剤
等からなる層を設けるとよい。
【0013】一方、請求項2〜請求項4に係る発明は、
請求項1に記載の光情報記録媒体を製造する方法として
好適なものであり、請求項2に係る発明は、前記記録層
をスパッタリング法で形成する工程を含む請求項1記載
の光情報記録媒体の製造方法において、前記工程でスパ
ッタリングのターゲットとする焼結体を、Sb−Te−
Ge系化合物と、硫黄、アンチモンの硫化物、テルルの
硫化物、およびゲルマニウムの硫化物のうちから選ばれ
た少なくとも一種とを所定の比率で混合させた混合物で
構成することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法を
提供する。
【0014】また、請求項3に係る発明は、前記記録層
をスパッタリング法で形成する工程を含む請求項1記載
の光情報記録媒体の製造方法において、前記工程でスパ
ッタリングのターゲットとする焼結体は、Sb−Te−
Ge系化合物に対してH2 Sを所定の比率で含有するも
のであることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法を
提供する。
【0015】ここで、前記焼結体中に、Sb−Te−G
e系化合物に対してH2 Sを所定の比率で含有させる方
法としては、例えば、H2 Sを含む材料の粉末をSb−
Te−Ge系化合物の粉末に対して所定の割合で混合し
てから、当該混合物を焼結させる方法や、Sb−Te−
Ge系化合物からなる粉末を焼結する時の雰囲気に、H
2 Sガスを所定の流量で導入する方法が採用される。
【0016】さらに、請求項4に係る発明は、前記記録
層をスパッタリング法で形成する工程を含む請求項1記
載の光情報記録媒体の製造方法において、前記工程でス
パッタリングのターゲットをSb−Te−Ge系化合物
とするとともに、スパッタリングの雰囲気ガスとして、
ArとS(気体硫黄)との混合ガス、もしくはArとH
2 Sとの混合ガスを用いることを特徴とする光情報記録
媒体の製造方法を提供する。
【0017】ここで、スパッタリングの雰囲気ガスによ
り得られる記録膜中の硫黄(S)原子の存在比を調整す
る方法としては、ArとH2 Sとの混合ガスを用いる場
合には、Arに対するH2 Sの混合比を調節する方法
が、ArとS(気体硫黄)との混合ガスを用いる場合に
は、硫黄(S)を気化させたガスの流量を調節する方法
が挙げられる。
【0018】なお、請求項1に係る光情報記録媒体の記
録層の成膜方法としては、スパッタリング法以外にも蒸
着法やそれ以外の従来より公知の方法も採用することが
できる。
【0019】
【作用】請求項1に係る発明によれば、光情報記録媒体
の記録層を、従来から使用されてきたSb−Te−Ge
合金にSを所定比率(下記の組成式(1)におけるWに
ついて、0<W≦40)で添加した材料で構成すること
により、長時間の再生による記録マークの劣化を防ぐこ
とができる。
【0020】 (SbX TeY GeZ 100-W ・SW ……(1) 以下にその理由を述べる。硫黄(S)は、半導体や金属
に混ぜることによりそれらを非晶質にする能力(ガラス
形成能)が高い元素として知られている。これは硫黄元
素(S)が共有結合性の高い元素であって、他の物質を
非晶質にしやすい特性を有するためである。この硫黄
(S)のガラス形成能により、Sb−Te−Ge−S合
金はSb−Te−Ge合金と比較して、構造的な自由度
が減って剛性が高くなるため構造的な安定性が高まると
ともに、非晶質−結晶間の活性化エネルギーが高くなる
ため反応性が低くなって安定性が増すと考えられる。こ
れにより、長時間の再生によっても記録マークの劣化が
生じ難くなる。
【0021】ここで、ガラス形成能が高いということは
結晶化し難いことにつながり、硫黄(S)の添加量が多
くなるほど結晶化速度は遅くなることになる。前述のよ
うに結晶化速度はディスクの線速度より適度に速い必要
があるため、硫黄(S)の添加量はSb−Te−Ge合
金の組成とディスクの線速度に応じて自ずと決定され
る。すなわち、ディスクの線速度が遅い場合には硫黄
(S)を多く添加できるが、速くなるにつれて硫黄
(S)の最適な添加量は減少していく。
【0022】しかし、硫黄(S)は昇華温度が低いた
め、Sb−Te−Ge−S合金の組成式を前記の式
(1)で表したときの硫黄(S)の存在比率Wが40を
超えると、記録の際の急熱により硫黄(S)が気化し
て、記録・消去特性および繰り返し特性を劣化させる恐
れが高くなる。したがって、硫黄(S)の存在比率Wを
0<W≦40とした。なお、硫黄(S)の存在比Wは
0.4以上であることが好ましく、1.0以上であるこ
とがさらに好ましい。
【0023】これに加えて、Sb−Te−Ge−S合金
の組成式を前記の式(1)で表したときのアンチモン
(Sb)の存在比Xを下記の(2)式の範囲とし、テル
ル(Te)の存在比Yを下記の(3)式の範囲とし、ゲ
ルマニウム(Ge)の存在比Zを下記の(4)式を満た
す範囲とすることにより、結晶化速度と融解温度が適切
になり、記録・消去の繰り返し性能を高くすることがで
きる。
【0024】 5≦X≦60 ……(2) 35≦Y≦65 ……(3) 5≦Z≦65 ……(4) すなわち、結晶化速度は主にアンチモン(Sb)とテル
ル(Te)に依存しており、アンチモン(Sb)の存在
比Xが5未満であるか60を超える場合、またはテルル
(Te)の存在比Yが35未満であるか65を超える場
合には、結晶化速度が遅くなって消去特性が劣化する。
前記各場合においては、例えば、1.2m/sという遅
い線速度であっても消去が行わないため、書換型光ディ
スクとして使用できないことになる。したがって、アン
チモン(Sb)の存在比Xを5以上60以下とし、テル
ル(Te)の存在比Yを35以上65以下とした。
【0025】また、ゲルマニウム(Ge)は溶融温度に
大きな影響を与え、Sb−Te−Ge−S合金の組成式
を前記の式(1)で表したときのゲルマニウム(Ge)
の存在比Zが増大するとともに溶融温度が上昇し、特に
当該存在比Zが65を超えると記録感度が低下するた
め、実用上使用に適しない。さらに、ゲルマニウム(G
e)の存在比Zが5未満になると、溶融温度および結晶
化温度が低くなり過ぎて記録マークの結晶化が起こり易
くなるため、長時間の再生や保存によって記録マークの
劣化が生じることになる。したがって、ゲルマニウム
(Ge)の存在比Zを5以上65以下とした。
【0026】特に、アンチモン(Sb)の存在比Xを5
以上50以下とし、テルル(Te)の存在比Yを45以
上60以下とし、ゲルマニウム(Ge)の存在比Zを5
以上50以下とし、硫黄(S)の存在比Wを10以下と
すると、現在の光ディスクに要求されている高速での記
録・消去が可能となるため好ましい。請求項2〜4に係
る発明は、請求項1および2に記載の光情報記録媒体を
製造する方法であって、当該光情報記録媒体の記録層の
組成を前記所定範囲とするために有効な方法である。
【0027】すなわち、請求項2の方法によれば、当該
記録層をスパッタリング法で形成する工程において、タ
ーゲットとする焼結体が、Sb−Te−Ge系化合物
と、硫黄、アンチモンの硫化物、テルルの硫化物、およ
びゲルマニウムの硫化物のうちから選ばれた少なくとも
一種とを所定の比率で混合させた混合物で構成されてい
るため、記録層の組成が容易に調整される。
【0028】また、請求項3の方法によれば、当該記録
層をスパッタリング法で形成する工程において、ターゲ
ットとする焼結体が、Sb−Te−Ge系化合物に対し
てH 2 Sを所定の比率で含有するものであるため、記録
層の組成が容易に調整される。また、請求項4の方法に
よれば、当該記録層をスパッタリング法で形成する工程
において、ターゲットをSb−Te−Ge系化合物とす
るとともに、スパッタリングの雰囲気ガスとして、Ar
とS(気体硫黄)との混合ガス、もしくはArとH2
との混合ガスを用いることから、硫黄(S)の存在比W
をスパッタリング時に制御できるため、ターゲットをな
す焼結体を作製する際に硫黄(S)の存在比Wを制御す
る方法よりも、さらに容易に記録層の組成を調整するこ
とができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 <実施例1>次のような手順により、図1に示す層構造
の相変化型光ディスクを作製した。まず、中心穴を有
し、直径130mm厚さが1.2mmで、片面に1.6
μmピッチの溝が形成されている円板状のポリカーボネ
ート樹脂からなる基板1の溝面側に、ZnSとSiO2
の混合物(SiO2 の存在比20mol%)のターゲッ
トから、RFスパッタリング法により180nmの第一
の保護層2を形成した。次に、この第一の保護層2の上
に、Sb−Te−Ge−S系合金を記録層3として25
nm形成し、その上に第一の保護層2と同様の第二の保
護層4を20nm形成し、さらにその上に、Al合金か
らなる反射層5を200nm形成した。そして、その上
にUV硬化樹脂6をスピンコートにより10μm塗布し
て紫外線により硬化させた。
【0030】なお、記録層3を形成する際には、Sb−
Te−Ge合金の組成を一定(Sb:25at%,T
e:55at%,Ge:20at%)にし、これに対し
て硫黄(S)を表1に示す各比率で含有させたターゲッ
トによりスパッタリングを行った。
【0031】
【表1】
【0032】このようにして得られた相変化型光ディス
クの各サンプルを駆動装置にかけて1800rpmで回
転させ、波長が830nmのレーザ光をピークパワー1
8mWとバイアスパワー9mWとの間で変調させ、1.
5Tに相当する3.7MHz(Duty比50%)のパ
ターンを100回オーバーライトした。この時の記録特
性を上記表1に示すが、硫黄原子の含有比Wが請求項1
の範囲(0<W≦40)内である No.1−2〜1−4
と、W=0であるNo. 1−1とについては記録可能
(○)であったが、W=0.43の No.1−5について
はレーザ光による開孔が見られ記録不可能(×)であっ
た。
【0033】また、再生光に対する耐性を評価するため
に、得られた各サンプルのうち記録可能であったNo. 1
−1〜1−4についてリードパワー2.0mWで再生を
繰り返し、再生光の照射回数(パス回数)と再生信号の
C/N(搬送波対雑音比)との関係を調べた。その結果
を図2にグラフで示す。図2のグラフから分かるよう
に、記録層中のSの量が多いものほどパス回数の増加に
伴うC/Nの低下量が小さく、再生光に対する耐性が高
い。そして、W≧2.0であれば1000万回の再生の
後であってもC/Nの低下量が1dB以下となり、W=
0である従来のSb−Te−Ge合金からなる記録層と
比べて再生光に対する耐性が著しく改善されている。な
お、このC/N低下の原因は主にキャリアー(搬送波)
の低下ではなく、ノイズ(雑音)の増加によるものであ
った。
【0034】次に、繰り返し特性を評価するために、得
られた各サンプルのうちNo. 1−1〜1−4のディスク
を駆動装置にかけて1800rpmで回転させ、波長が
830nmのレーザ光をピークパワー18mWとバイア
スパワー9mWとの間で変調させ、3.7MHzと1.
38MHzのパターンを交互に記録することを繰り返し
て100万回オーバーライトした。その際、所定の繰り
返し回数時に、記録された3.7MHzのパターンにつ
いてC/Nを測定して、各サンプル毎に、繰り返し回数
の増大によるC/Nの低下度合いを調べた。その結果を
図3にグラフで示す。
【0035】図3のグラフから分かるように、記録層中
のSの量(存在比W)が多いものほど繰り返し回数の増
加に伴うC/Nの低下量が小さく、記録・消去の繰り返
しに対する耐性が高い。そして、記録膜中のSの存在比
Wが13以上であれば、100万回のオーバーライトの
後であってもC/Nの低下量が5dB以下となり、W=
0である従来のSb−Te−Ge合金からなる記録層と
比べて、記録・消去の繰り返しに対する耐性が10dB
(信号振幅で3倍)も改善されている。 <実施例2>実施例1と同様の手順により、記録層3を
なすSb−Te−Ge−S系合金の組成が異なる以外
は、実施例1と同じ相変化型光ディスクを作製した。
【0036】なお、記録層3を形成する際には、Sb−
Te−Ge合金の組成を表2に示すように変化させ、こ
れに対して硫黄(S)を一定の存在比(W=10)で含
有させたターゲットによりスパッタリングを行った。
【0037】
【表2】
【0038】このようにして得られた相変化型光ディス
クの消去特性を評価するために、各サンプルを駆動装置
にかけて1800rpmで回転させ、波長が830nm
のレーザ光をピークパワー12mWとバイアスパワー6
mWとの間で変調させ、1.5Tのパターンを記録した
後、これらのサンプルを600rpmで回転させなが
ら、DC発光(消去パワーのみでの無変調発光)させた
レーザ光を照射することにより記録パターンを消去し、
このときの消去比が一回の消去操作で飽和するかどうか
を調べた。そして、一回の消去操作で消去比が飽和する
場合を消去可能として表2に「○」で示し、そうでない
場合を消去特性が低いものとして表2に「×」で示し
た。
【0039】表2の結果から分かるように、テルル(T
e)原子の存在比Yが請求項1の範囲(35≦Y≦6
5)内である No.2−2〜2−4については消去可能で
あったが、前記範囲から外れるY=70.0の No.2−
1とY=30.0のNo. 2−5については消去特性が低
いものであった。 <実施例3>実施例1と同様の手順により、記録層3を
なすSb−Te−Ge−S系合金の組成が異なる以外
は、実施例1と同じ相変化型光ディスクを作製した。
【0040】なお、記録層3を形成する際には、Sb−
Te−Ge合金の組成を表3に示すように変化させ、こ
れに対して硫黄(S)を一定の存在比(W=10)で含
有させたターゲットによりスパッタリングを行った。
【0041】
【表3】
【0042】このようにして得られた相変化型光ディス
クのデータの保存特性を評価するために、加速試験を行
った。すなわち、先ず、各サンプルを駆動装置にかけて
1800rpmで回転させ、波長が830nmのレーザ
光をピークパワー18mWとバイアスパワー9mWとの
間で変調させてランダムパターンを記録した。次に、こ
れらのサンプルについて記録直後にデータを読み取り、
バイトエラーレートを測定してから、80℃、80%R
H(相対湿度)の恒温恒湿槽内に入れて1000時間放
置した後に、取り出した各サンプルからデータを読み取
り、再びバイトエラーレートを測定した。そして、バイ
トエラーレートの加速試験前の値と加速試験後の値を比
較して、後の値が前の値の3倍未満であれば保存特性が
良好(○)とし、3倍以上であれば保存特性が不良
(×)として、記録マークの保存安定性を評価した。そ
の結果を表3に示す。
【0043】表3の結果から分かるように、ゲルマニウ
ム(Ge)原子の存在比Zが請求項1の範囲(5≦Z≦
65)内である No.3−2〜3−4については記録マー
クの保存安定性が高かったが、この範囲から外れるZ=
2.5の No.3−1については記録マークの保存安定性
が低いものであった。 <実施例4>実施例1と同様の手順により、記録層3を
なすSb−Te−Ge−S系合金の組成が異なる以外
は、実施例1と同じ相変化型光ディスクを作製した。
【0044】なお、記録層3を形成する際には、Sb−
Te−Ge合金の組成を表4に示すように変化させ、こ
れに対して硫黄(S)を一定の存在比(W=10)で含
有させたターゲットによりスパッタリングを行った。
【0045】
【表4】
【0046】このようにして得られた相変化型光ディス
クのデータの記録特性を評価するために、各サンプルを
駆動装置にかけて1800rpmで回転させ、波長が8
30nmのレーザ光をバイアスパワーは9mWに固定
し、ピークパワーを種々に変化させてランダムパターン
を記録し、それぞれC/Nを測定した。そして、C/N
が50dBを超えたピークパワーを記録感度と定義し、
この記録感度を各サンプル毎に調べて、記録感度が20
mW以下であったものを記録可能(○)とし、記録感度
が20mWより大きかったもの(すなわち、ピークパワ
ーが20mWでもC/Nが50dB以下であった)もの
を記録不可(×)として表4に示した。
【0047】表4の結果から分かるように、アンチモン
(Sb)原子の存在比Xが請求項1の範囲(5≦X≦6
0)内である No.4−2〜4−3については記録可能で
あったが、前記範囲から外れるX=2.5の No.4−1
については記録不可であった。
【0048】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に係
る発明によれば、記録層を、前述のような特定組成のS
b−Te−Ge−S系合金で構成することにより、記録
・消去特性に大きな変動を与えることなく、長時間の再
生による記録マークの劣化を防ぐことができ、且つ記録
・消去の繰り返しに対する耐性が向上するため、記録デ
ータの信頼性が高い光情報記録媒体が得られる。
【0049】また、請求項2〜4に係る発明は、特定組
成のSb−Te−Ge−S系合金からなる記録層をスパ
ッタリング法で形成する方法として有効な方法であり、
これらの方法によって、請求項1に記載の光情報記録媒
体の量産を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において作製した相変化型光デ
ィスクの層構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例に関し、Sの含有比率(W)が
異なる各サンプルについて、再生光の照射回数(パス回
数)と再生信号のC/N(搬送波対雑音比)との関係を
示すグラフである。
【図3】本発明の実施例に関し、Sの含有比率(W)が
異なる各サンプルについて、記録・消去の繰り返し回数
とC/N(搬送波対雑音比)との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 基板 3 記録層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な基板の一方の面に設けられた記録
    層に結晶−非晶質間の相変化を生じさせることにより、
    情報の記録・消去を行う光情報記録媒体において、 前記記録層がアンチモン(Sb)、テルル(Te)、ゲ
    ルマニウム(Ge)、および硫黄(S)からなる合金で
    構成され、下記の(1)式で表される当該合金中のアン
    チモン(Sb)、テルル(Te)、ゲルマニウム(G
    e)、および硫黄(S)の各原子の存在比X、Y、Z、
    Wが、下記の(2)式〜(6)式を同時に満たすことを
    特徴とする光情報記録媒体。 (SbX TeY GeZ 100-W ・SW ……(1) 5≦X≦60 ……(2) 35≦Y≦65 ……(3) 5≦Z≦65 ……(4) 0<W≦40 ……(5) X+Y+Z=100 ……(6)
  2. 【請求項2】 前記記録層をスパッタリング法で形成す
    る工程を含む請求項1記載の光情報記録媒体の製造方法
    において、 前記工程でスパッタリングのターゲットとする焼結体
    を、Sb−Te−Ge系化合物と、硫黄、アンチモンの
    硫化物、テルルの硫化物、およびゲルマニウムの硫化物
    のうちから選ばれた少なくとも一種とを所定の比率で混
    合させた混合物で構成することを特徴とする光情報記録
    媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記記録層をスパッタリング法で形成す
    る工程を含む請求項1記載の光情報記録媒体の製造方法
    において、 前記工程でスパッタリングのターゲットとする焼結体
    は、Sb−Te−Ge系化合物に対してH2 Sを所定の
    比率で含有するものであることを特徴とする光情報記録
    媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記記録層をスパッタリング法で形成す
    る工程を含む請求項1記載の光情報記録媒体の製造方法
    において、 前記工程でスパッタリングのターゲットをSb−Te−
    Ge系化合物とするとともに、スパッタリングの雰囲気
    ガスとして、ArとS(気体硫黄)との混合ガス、もし
    くはArとH2 Sとの混合ガスを用いることを特徴とす
    る光情報記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8273438B2 (en) 2007-02-09 2012-09-25 Panasonic Corporation Information recording medium, process for producing the information recording medium, sputtering target and film forming apparatus
WO2021210506A1 (ja) * 2020-04-14 2021-10-21 三菱マテリアル株式会社 スパッタリングターゲット、および、スパッタリングターゲットの製造方法

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