JP2974915B2 - 相変化型光ディスクおよびその製造方法 - Google Patents

相変化型光ディスクおよびその製造方法

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JP2974915B2 JP6242973A JP24297394A JP2974915B2 JP 2974915 B2 JP2974915 B2 JP 2974915B2 JP 6242973 A JP6242973 A JP 6242973A JP 24297394 A JP24297394 A JP 24297394A JP 2974915 B2 JP2974915 B2 JP 2974915B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繰り返し特性に優れ、
かつ、長時間の再生による記録マークの劣化が改善され
た相変化型光ディスクとその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】相変化型光ディスクは、照射されるレー
ザパワーにより結晶−非晶質間の相変化が生じる材料を
記録層として透明基板上に設けたものであり、レーザ光
のパワーを変化させるだけで古い情報を消去すると同時
に新たな情報を記録すること(以下、「オーバーライ
ト」と称する。) ができる。
【0003】書換型の相変化型光ディスクの記録材料と
して、In−Se系合金やIn−Sb−Te合金、Ge
−Te−Sb合金(米国特許4、670、345)等の
カルコゲン合金が主として用いられている。オーバーラ
イトにより、記録層のうち非晶質化レベルのハイパワー
のレーザ光が照射された部分は、記録材料がその融点以
上の温度へ急熱・急冷されることにより非晶質化されて
記録マークとなり、結晶化レベルのパワーのレーザ光が
照射された部分は、記録材料がその融点より低い結晶化
可能温度へ昇温・徐冷されることにより結晶化されて消
去部分となる。
【0004】このようなオーバーライトは、光ディスク
を駆動装置にかけ、所定の線速度で回転させながらディ
スク面にレーザ光を照射することにより行われる。消去
が一回のレーザ光通過で完全に行われるためには、記録
層材料の結晶化速度、すなわち、非晶質から結晶への転
移速度が、レーザ光が光ディスクの一点を通過する間に
記録マークが完全に結晶化する速度より大きいことが必
要がある。つまり、レーザ光が光ディスクの一点を通過
するのにかかる時間は光ディスクの回転速度 (線速度)
に依存するため、記録層材料の結晶化速度はこの線速度
より大きくなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、消去速度を
大きくするために、結晶化速度を大きくしたり、結晶化
温度を下げたりする方法を用いてオーバーライトの条件
を調節した場合、記録時に形成された記録マーク (非晶
質部分) は、長時間の再生によりエネルギー準位の低い
結晶に徐々に移行して劣化する。その結果、記録マーク
が消失し、記録データの信頼性が失われる。
【0006】記録層にカルコゲン合金を用いた光デイス
クの記録・消去を行う場合には、記録・消去の際に生じ
る熱により基板が変形することを防止したり、記録層の
酸化や変形を防止するために、通常、この記録層の直下
と直上とのいずれか一方または双方に、保護層を蒸着法
やスパッタリング法により設けている。保護層材料とし
ては、金属または半金属の、酸化物、炭化物、窒化物、
フッ化物、および硫化物などが知られ、このうち、Zn
Sは、記録層との密着力が強いことが知られている。し
かし、ZnSのみからなる保護層は、オーバーライトに
より記録・消去を繰り返すとZnSの結晶粒が粗大化す
るため、耐熱性が不十分であった。
【0007】特開昭63−103453号公報には、Z
nSにSiO2 等のガラス形成材料を添加することによ
り、保護層の耐熱性を向上させ、記録層の熱変形などに
よって生ずる繰り返し特性の劣化が改善された光ディス
クが開示されている。さらに、保護層中に、酸素や窒素
(特開平3−263627号公報)、あるいは、水素
(特開平3−152738号公報)を添加し、レーザ光
照射によって生じる記録層の物質移動等による記録層の
劣化の改善が図られている。しかしながら、従来の光デ
ィスクは、繰り返し特性に対する信頼性が充分とは言え
ず、さらなる繰り返し特性の向上が必要とされている。
【0008】本発明は、このような従来技術の問題点に
着目してなされたものであり、記録層の直下と直上とに
形成された保護層の何れか一方または双方の層に所定量
の硫黄を含有させることにより、記録・消去の繰り返し
特性に優れ、かつ、長時間の再生による記録マークの劣
化が改善された相変化型光ディスクと、その製造方法と
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、透明基板と、該透明基板上
に設けられた、照射されるレーザパワーにより結晶−非
晶質間の相変化が生じる記録層と、該記録層の直下と直
上とに設けられた保護層とを備え、前記保護層のいずれ
か一方または双方の層が、Zn(1-x) x と、金属また
は半金属の酸化物、窒化物、フッ化物、炭化物、および
硫化物から選ばれた少なくとも一種(ただし、金属が亜
鉛のとき硫化物を除く)との混合物からなり、Zn
(1-x) x における硫黄の原子数の比率xがx>0.5
であることを特徴とする相変化型光ディスクを提供す
るものである。
【0010】また、請求項2に係る発明は、透明基板上
に保護層をスパッタリング法により設ける工程と、該保
護層の上に、照射されるレーザパワーにより結晶−非晶
質の相変化が生じる記録層をスパッタリング法により設
ける工程と、該記録層の上に保護層をスパッタリング法
により設ける工程とからなる、記録層の直上および直下
に設けられた保護層のいずれか一方または双方の層が、
Zn(1-x) x と、金属または半金属の酸化物、窒化
物、フッ化物、炭化物、および硫化物から選ばれた少な
くとも一種(ただし、金属が亜鉛のとき硫化物を除く)
との混合物からなり、且つZn(1-x) x における硫黄
の原子数の比率xがx>0.50である相変化型光ディ
スクの製造方法を提供するものである。
【0011】前記保護層のZn(1-x) x の硫黄の原子
数の比率xは、以下のようにして算出される。従来の保
護層はZnSからなるものであり、硫黄の原子数の比率
xは、0.50である。したがって、従来のZnSより
硫黄原子数の比率xが高いZn(1-x) x と前記の金属
または非金属の酸化物等との混合物からなる保護層につ
いて、後述する条件で蛍光X線装置による分析から測定
された硫黄原子の存在比Y=(S/(Zn+S))と、
前記Zn(1-x) x をZnSに代えた前記混合物からな
る保護層について、前記と同様にして測定された硫黄原
子の存在比の基準値Y0 =(S/(Zn+S))とによ
り、xは下記の(1)式から算出される。
【0012】x=0.5Y/Y0 …… (1) Zn(1-x) x とともに保護層を形成する材料として
は、SiO2 、SiO、GeO2 、MgO、Al
2 3 、Ta2 5 、ZrO2 、Y2 3 、CeO2
BaTiO3 、SrTiO3 等の酸化物、Si3 4
AlN等の窒化物、MgF2 、LiF、CaF2 等のフ
ッ化物、SiC、TiC、C等の炭化物、およびSm
S、SrS、PbS、CdS等の硫化物が挙げられる。
【0013】なかでも、SiO2 、SiO、GeO2
MgO、Al2 3 、Ta2 5 、ZrO2 、Y
2 3 、CeO2 、Si3 4 、AlN、MgF2 、L
iF、CaF2 等のガラス形成材料が好ましい。耐熱性
の観点からは、SiO2 、Ta2 5 、CeO2 、Si
3 4 、MgF2 、特に、SiO2 が好ましい。Zn
(1-x) x とSiO2 との組み合わせの場合、両者の組
成比は、保護層を製造する際の比で、SiO2 が5〜5
0mol%であることが好ましい。5mol%未満で
は、耐熱性が不充分であり、50mol%を超えると、
膜応力が増大し、光ディスクの機械的精度や保存安定性
が低下する。
【0014】保護層の厚みは、特に規定されないが、基
板側に設ける場合は、基板の変形防止や保存安定性の点
から、5nm以上、機械的精度および生産性の点から、
600nm以下が好ましい。基板と反対側に設ける場合
は、記録感度および繰り返しによる反射層と記録層の混
合による消去比の低下を防止する観点から、5nm以
上、記録層の熱の放散の点から300nm以下が好まし
い。
【0015】記録層の組成は、公知の書換型の光ディス
ク記録層材料を用いることができる。たとえば、Ge−
Te−Sb、Ge−Te−Sb−S、Ge−Te−Sn
−Au、Ge−Te−Sb−Pd、Ge−Te−Sb−
Ag、In−Sb−Tl、In−Sb−Te、In−S
b−Te−AgなどのTeやSe等のカルコゲン、In
やSbなどをベースとする合金が好ましい。なかでも、
結晶化速度が早いという点から、Ge−Te−Sb、G
e−Te−Sb−Sが特に好ましい。また、記録層に
は、本発明の効果および光ディスクの基本特性を損なわ
ない範囲で、Pd、Pt、Ag、Au、Co、Pb、B
i、Hf、Nb、B、C等をさらに添加してもよい。
【0016】本発明の相変化型光ディスクに好適な透明
基板としては、従来より光ディスクの基板として慣用さ
れている透明基板を使用することができる。光学的特性
が良好で機械的強度が大きく、寸法安定性にも優れたポ
リカーボネートやガラス等を使用することが好ましい。
本発明の相変化型光ディスクにおいては、透明基板と保
護層との間に金属の薄膜を設けてもよい。このような金
属膜を設けることによって、記録層の非晶質と結晶とに
おける光吸収率を調節することが可能となるため、これ
により記録層の非晶質と結晶とにおける熱物性の差を見
かけ上小さくして、記録層の非晶質と結晶とを同じ温度
にまで上げることができる。当該金属膜をなす金属とし
ては、Au、Ag、Si、Cuなどを挙げることができ
る。また、このような金属膜の膜厚は、約5〜30nm
程度が好ましい。
【0017】本発明の相変化型光ディスクにおいては、
記録層の光入射側とは反対側に、Al、Cr、Ni、A
u、Hf、PdおよびTi等の金属またはこれらの合金
からなる反射層を設けてもよい。また、反射層の記録層
とは反対側の面には、反射層の保護と強化のために、ウ
レタン系、アクリル系、シリコン系、ポリエステル系等
のUV硬化樹脂やホットメルト系の接着剤等からなる層
を設けるとよい。
【0018】本発明の相変化型光ディスクは、透明基板
の上に、市販のスパッタ装置等により保護層、記録層、
反射層、金属膜などの膜を形成し、基板の両面を貼り合
わせることにより製造できる。前述の保護層を記録層の
直下や直上に形成する方法としては、一般的には、蒸着
法やスパッタリング法やその他の公知の方法を用いるこ
とができる。そして、生産性の点からは、蒸着法に比べ
てスパッタリング法の方が優れているため、量産する場
合にはスパッタリング法が好ましい。
【0019】スパッタリング法により、前述のような二
種類以上の混合物からなる保護層を形成する方法として
は、前記混合物を構成する物質を別々のターゲットとし
てスパッタリングを行う共スパッタリング法や、前記混
合物を構成する物質の粉末を混合し、これを焼結させた
ものをターゲットとしてスパッタリングを行う方法があ
る。膜組成の制御がし易いことや、設備が比較的簡素で
あること等から、後者が好ましい。
【0020】保護層におけるZn(1-x) x 中のxを
0.50より大きくするには、スパッタリングのターゲ
ットをなす焼結体にH2 Sを200ppm以上2000
から3000ppm程度含有させて、スパッタリングす
るのが好ましい。たとえば、保護層の材料粉末に含まれ
るH2 Sの合計量を所定量に設定してから市販の焼結装
置で焼結させたり、焼結時の雰囲気にH2 Sガスを導入
して焼結することにより、目的とするH2 S量を含有す
る焼結体を得ることができる。
【0021】また、xを0.50より大きくするには、
スパッタリングのターゲットをなす焼結体に硫黄を焼結
体当たり0.1〜0.05重量%程度含有させて、スパ
ッタリングするのが好ましい。たとえば、保護層の材料
粉末に硫黄を所定量含有させてから市販の焼結装置で焼
結させたり、焼結時の雰囲気に硫黄ガスを導入して焼結
することにより、目的とするS量を含有する焼結体を得
ることができる。
【0022】xを0.50より大きくする別の方法とし
て、スパッタリングの雰囲気中に、H2 Sや硫黄(気
体)を導入する方法がある。たとえば、成膜速度が1.
2Å/secのときには、0.2〜1.0体積%のH2
Sをスパッタリングの雰囲気ガスに混入させることが好
ましい。前記スパッタリングの雰囲気ガスとして、Ar
とH2 Sとの混合ガス、あるいはArと硫黄(気体)と
の混合ガスを用いてもよい。
【0023】上記方法のうち、スパッタリングの雰囲気
ガスでxを調整する方法が好ましい。
【0024】
【作用】請求項1に係る発明によれば、記録層の直下と
直上とに設けられた保護層のいずれか一方または双方の
層を、x>0.50であるZn(1-x) x と、金属また
は半金属の酸化物、窒化物、フッ化物、炭化物、および
硫化物から選ばれた少なくとも一種(ただし、金属が亜
鉛のとき硫化物を除く)との混合物からなるものとする
ことにより、記録層における記録・消去の繰り返し特性
が優れ、かつ、長時間の再生による記録マークの劣化が
改善された相変化型光ディスクが得られる。好ましく
は、xは0.5038以上であり、この範囲において、
従来の保護層材料であるZnS(x=0.5)に対する
硫黄の添加の効果が確認できる。
【0025】このように、保護層を構成するZn(1-x)
x 中の硫黄原子数の比率xを0.5より大きくするこ
とによって、前述のような効果が得られるのは、保護層
の耐熱性が向上することが一因となる。すなわち、Zn
(1-x) x においてx=0.50であるZnSと前記の
金属または半金属の、酸化物等との混合物からなる焼結
体をターゲットとして、スパッタリング法により膜を形
成すると、膜中に硫黄が抜けたような欠陥が生じるが、
Zn(1-x) x をx>0.50とすることにより、前述
の欠陥に硫黄が補填され、膜の成長方向に配向性が現れ
て結晶成長が促され、耐熱性が向上すると考えられる。
【0026】また、本発明の相変化型光ディスクを構成
する保護層において、Zn(1-x) x 中の硫黄の原子数
の比率xは、0.70以下であることが好ましく、さら
には、0.54以下であることが好ましい。比率xは、
成膜方法や成膜条件によって変動するが、xが0.50
より大きいほど、相変化型光ディスクの記録層における
記録・消去の繰り返し特性が優れたものになると考えら
れる。
【0027】一方で、xが大きくなるにつれて保護層が
変質しやすくなり、相変化型光ディスクの寿命が低下す
る傾向にある。したがって、寿命の点から、xは、0.
70以下であることが好ましい。さらに、0.54以下
とすることにより、記録層における記録・消去の繰り返
し特性が優れるとともに、光ディスクに要求される室温
での10年以上の保存寿命、すなわち、記録されたデー
タが劣化しない状態での保存可能な期間を与えることが
できる。保存寿命の点からは、保護層の上層のみに硫黄
を添加することが好ましい。
【0028】また、請求項2に係る発明によれば、前記
請求項1の相変化型光ディスクを生産性良く製造するこ
とができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。実施例中で使用した蛍光X線測定装置および測定条
件は、以下の通りである。測定条件については表1に示
す。 <測定装置> 機種:フィリプス社 PW2400、管球:ロジウム、 マスク径:20mm <測定条件>
【0030】
【表1】
【0031】<実施例1>以下の手順により、図1に示
す層構造の相変化型光ディスクNo. 1−1〜1−5を作
成した。中心穴を有し、直径130mm、厚さ1.2m
mで、片面に1.6μmピッチの溝が形成されているポ
リカーボネート基板1の溝面側に、RF(高周波)スパ
ッタリング法によりZn(1-x) x とSiO2 とからな
る厚み180nmの保護層2aを形成した。使用したタ
ーゲットは、ZnS粉末とSiO2 粉末をZnS:Si
2 =80:20(モル比)に混合したものをH2 S雰
囲気中で焼結させることにより調整した。各焼結体中の
2 Sが200〜1000rpmとなるようにした。焼
結体中のH2 S濃度は、各焼結体中のH2 SをCuイオ
ンを含有する溶液と反応させてCuSにしてからこの量
を測定し、その値からSの量を算出することにより求め
た。なお、保護層2aを形成する際は、ターゲットの種
類を変えた以外のスパッタリングの条件は一定とした。
【0032】保護層2aの上に、スッパタリング法によ
り、Sb22Te55Ge23合金からなる25nmの記録層
3を形成した。記録層の上に、保護層2aと同様にし
て、同じターゲットを用い、Zn(1-x) x とSiO2
とからなる厚み20nmの保護層2bを形成した。保護
層2a,2bにおけるZn(1-x) x のx値は以下のよ
うにして求めた。すなわち、各サンプルについて、蛍光
X線装置による分析から硫黄原子の存在比Y=(S/
(Zn+S))を測定するとともに、H2 Sを含まない
ターゲットから成膜して得られた膜についても、同様に
して硫黄原子の存在比(S/(Zn+S))を測定し、
これを基準値Y0 として、前記(1)式に基づいて算出
した。
【0033】各サンプルにおいて保護層2a、2b成膜
時に使用したターゲット中のH2 S量と、保護層2a、
2bにおけるxの測定値とを下記の表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】次に、保護層2bの上に、Al合金からな
る200nmの反射層4をスッパタリング法により形成
し、この上にUV硬化樹脂5をスピンコート法により1
0μmの厚みで塗布して硬化させた。得られた相変化型
光ディスクの各サンプルの特性を、以下の方法にて測定
した。
【0036】(1)繰り返し可能回数の測定 繰り返し特性を評価するために、以下の方法にて、繰り
返し可能回数を求めた。各サンプルを、駆動装置にかけ
て線速度約5m/sで回転させ、波長が830nmのレ
ーザによりピークパワー18mW、バイアスパワー9m
Wで、1.5T信号と4.0T信号とが交互に現れるパ
ターンを同一トラックに対してオーバーライトを繰り返
し、その回数とC/N(「搬送波」対「雑音」比)との
関係を調べた。C/Nが初期値から3dB低下した繰り
返し回数を「繰り返し可能回数」として、前出の表2に
併せて示す。
【0037】表2に示す結果から分かるように、ターゲ
ット中のH2 S量が多くなるほど、すなわち、xが大き
くなるほど繰り返し可能回数が増加し、xが0.51以
上であれば、良好な繰り返し特性が得られる。 (2)読み取り可能回数の測定 記録層の物質移動等による記録層の膜厚変動に対する耐
久性の向上を調べるため、C/Nではなく、実際にデー
タを記録することによる繰り返し特性の評価を行った。
各サンプルを、(1)で使用した駆動装置にかけ、
(1)と同様の条件にて、線速度、ピークパワー、バイ
アスパワーを一定にしたままデータを記録することで評
価した。記録データは、ランダムパターンを用いた。読
みだしたデータのエラーの個数がエラー訂正可能な繰り
返し回数(ベリファイ回数)を「読み取り可能回数」と
して、前出の表2に併せて示す。
【0038】表2に示す結果から分かるように、ターゲ
ット中のH2 S量が多くなるほど、すなわち、xが大き
くなるほど読み取り可能回数が増加し、xが0.51以
上であれば、良好な繰り返し特性が得られる。 (3)長時間の再生による記録マークの劣化 長時間の再生光に対する記録マークの耐性を評価するた
めに、各サンプルについて、リードパワー2.0mWで
再生を繰り返し、再生光の照射回数(パス回数)と再生
信号のC/Nとの関係を調べた。C/Nが初期値から1
dB低下したパス回数を「再生光に対する記録マークの
耐性」として定義し、前出の表2に併せて示す。
【0039】表2に示す結果から分かるように、ターゲ
ット中のH2 S量が多くなるほど、すなわち、xが大き
くなるほど再生光の対する耐性が向上し、xが0.51
以上であれば、良好な再生光に対する耐性が得られる。 <実施例2>保護層2a,2bの成膜の際に、ZnS粉
末とSiO2 粉末(ZnS:SiO 2 =80:20(モ
ル比))および下記の表3に示した割合の硫黄粉末とを
焼結させて作成したターゲットを用いた他は、実施例1
と同様にして、サンプル No.2−1〜2−5の相変化型
光ディスクを作成した。
【0040】保護層2a,2bにおけるZn(1-x) x
中のxの値は、各サンプルについて、実施例1と同様に
して硫黄原子の存在比Yおよび硫黄を含まないターゲッ
トから成膜して得られたサンプル No.2−1について硫
黄原子の存在比Y0 を測定し、前記(1)式に基づいて
算出した。その結果を下記の表3に示す。得られた相変
化型光ディスクの各サンプルを実施例1と同様にして各
特性を測定した。その結果を下記の表3に併せて示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3に示す結果から分かるように、硫黄粉
末を含有させないサンプルNo.2−1に比べ、本発明
の光ディスクは、いずれの特性も向上している。 <実施例3>保護層2a、2bの成膜の際に、ZnS粉
末とSiO2 粉末(ZnS:SiO 2 =80:20(モ
ル比))で混合したものを焼結させて、H2 S濃度が2
00ppmとなるように作製したターゲットを用い、ス
パッタリングの雰囲気ガスとして、下記の表4に示す割
合で混合したArガスと10体積%H2 Sガスとの混合
ガスを用いた他は、実施例1と同様にして、サンプル N
o.3−1〜3−5の相変化型光ディスクを作製した。
【0043】得られた相変化型光ディスクの各サンプル
を、実施例1と同様にして各特性を測定した。その結果
を下記の表4に併せて示す。
【0044】
【表4】
【0045】表4の結果から分かるように、xが0.5
1以上であれば、良好な繰り返し耐性および再生光に対
する耐性が得られる。 <実施例4>保護層2a、2bの成膜の際に、ZnS粉
末とSiO2 粉末(ZnS:SiO 2 =70:30(モ
ル比))と下記の表5に示した割合の硫黄粉末とを焼結
させて作製したターゲットを用いた他は、実施例1と同
様にして、サンプル No.4−1〜4−6の各相変化型光
ディスクを作製した。
【0046】保護層2a、2bにおけるZn(1-x) x
中のxの値は、各サンプルについて、実施例1と同様に
して、硫黄原子の存在比Yおよび硫黄を含まないターゲ
ットから成膜して得られたサンプル No.4−1について
の硫黄原子の存在比Y0 を測定し、前記(1)式に基づ
いて算出した。得られた相変化型光ディスクの各サンプ
ルを駆動装置にかけ、実施例1と同様にしてデータの記
録を行った後、各サンプルを温度80℃、相対湿度80
%の環境に制御された恒温恒湿槽内に保持し、所定の保
持時間毎に記録されたデータの劣化の度合いを調べた。
【0047】一般に、光ディスクには、室温における1
0年以上の保存寿命が要求される。記録層にSb−Te
−Ge系の合金を用いた相変化型光ディスクの活性化エ
ネルギーは約1.1eVであるため、温度80℃、相対
湿度80%の環境による促進試験で500時間以上の寿
命(以下、「加速寿命」)があることが、室温で10年
以上の保存寿命に相当する。ここでは、C/Nが初期値
から3dB低下した時の時間を光ディスクの寿命と定義
し、各サンプルについて、加速寿命を測定した。その結
果を下記の表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】表5に示す結果から分かるように、xが
0.54以下であれば、室温で10年以上の保存寿命が
得られる。 <比較例>硫黄の粉末を添加せず、保護層2a、2bを
形成させる際には、スパッタリングの雰囲気ガスとし
て、Arガスと窒素ガスとの混合ガスを用いた他は、実
施例1と同様の評価方法により、読み取り可能回数を調
べた。この相変化型光ディスクの繰り返し可能回数、読
み取り可能回数および再生光に対する記録マークに対す
る耐性は、それぞれ、2.5×103 回、1.2×10
5 回、2×106 であった。
【0050】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に係
る発明によれば、相変化型光ディスクを構成する、記録
層の直下と直上とに設けられた保護層のいずれか一方ま
たは双方の層を、x>0.50であるZn(1-x)
x と、金属または半金属の酸化物、窒化物、フッ化物、
炭化物、および硫化物から選ばれた少なくとも一種(た
だし、金属が亜鉛のとき硫化物を除く)との混合物から
なるものとすることにより、記録層における記録・消去
の繰り返し特性、すなわち、繰り返し可能回数および読
取り可能回数が向上し、かつ、長時間の再生による記録
マークの劣化が改善された相変化型光ディスクを提供す
ることができる。
【0051】特に、前記保護層中のZn(1-x) x の硫
黄原子数の比率xを、0.50より大きく0.54以下
の値とすれば、上記特性に加え、光ディスクに要求され
る室温における10年以上の保存寿命を有する相変化型
光ディスクが得られる。このように、本発明によれば、
記録データの信頼性の高い書換型の相変化型光ディスク
を提供することができる。
【0052】また、請求項2に係る発明である相変化型
光ディスクの製造方法によれば、x>0.50であるZ
(1-x) x を含有する前記混合物からなる保護層を備
えた、前述の特性を有する相変化型光ディスクを容易
に、かつ、大量に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の相変化型光ディスク一実施例に相当
する、実施例において作製した相変化型光ディスクの層
構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2a 保護層 2b 保護層 3 記録層 4 反射層 5 UV硬化樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 7/24 G11B 7/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と、該透明基板上に設けられ
    た、照射されるレーザパワーにより結晶−非晶質の相変
    化が生じる記録層と、該記録層の直下と直上とに設けら
    れた保護層とを備え、前記保護層のいずれか一方または
    双方の層が、Zn(1-x) x と、金属または半金属の酸
    化物、窒化物、フッ化物、炭化物、および硫化物から選
    ばれた少なくとも一種(ただし、金属が亜鉛のとき硫化
    物を除く)との混合物からなり、Zn(1-x) x におけ
    る硫黄の原子数の比率xがx>0.50であることを特
    徴とする相変化型光ディスク。
  2. 【請求項2】 透明基板上に保護層をスパッタリング法
    により設ける工程と、該保護層の上に、照射されるレー
    ザパワーにより結晶−非晶質の相変化が生じる記録層を
    スパッタリング法により設ける工程と、該記録層の上に
    保護層をスパッタリング法により設ける工程とからな
    る、記録層の直上および直下に設けられた保護層のいず
    れか一方または双方の層が、Zn(1-x) x と、金属ま
    たは半金属の酸化物、窒化物、フッ化物、炭化物、およ
    び硫化物から選ばれた少なくとも一種(ただし、金属が
    亜鉛のとき硫化物を除く)との混合物からなり、且つZ
    (1-x) x における硫黄の原子数の比率xがx>0.
    50である相変化型光ディスクの製造方法。
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