JPH07171571A - 電解イオン水製造用電極および該電極を用いた電解イオン水の製造方法 - Google Patents

電解イオン水製造用電極および該電極を用いた電解イオン水の製造方法

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JPH07171571A
JPH07171571A JP5322340A JP32234093A JPH07171571A JP H07171571 A JPH07171571 A JP H07171571A JP 5322340 A JP5322340 A JP 5322340A JP 32234093 A JP32234093 A JP 32234093A JP H07171571 A JPH07171571 A JP H07171571A
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anode
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ionic water
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Takashi Yashiki
貴司 屋敷
Takenori Nakayama
武典 中山
Masaaki Teragaki
正明 寺垣
Yoshimasa Ito
喜昌 伊藤
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極寿命を延ばし、長時間の連続運転が可能
な電解イオン水製造用電極およびその電極を用いた電解
イオン水の製造方法を提供する。 【構成】 本発明の電解イオン水製造用電極は、電圧可
逆方式の電解イオン水製造用電極において、電極基材と
してTaまたはNbを用い、Pt、IrO2、PtOお
よびRh23よりなる群から選択される少なくとも一種
を、それぞれ体積%で50%以上含有する被覆材で被覆
したものである。また、本発明に係わる電解イオン水の
製造方法は、上記電極を用いて、陽極電位をTaまたは
Nbの孔食発生電位以下もしくは陽極と陰極の極間電圧
を陽極基材に孔食が起こらない値以下に制御しつつ電解
を行うものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解イオン水製造用電
極および該電極を用いた電解イオン水の製造方法に関
し、詳細には、電圧可逆方式の電解イオン水の製造に用
いられる電極および該電極を用いた電解イオン水の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、陽極と陰極の間に素焼き、多孔質
プラスチックなどのイオン交換膜を配置し、これに水道
水やミネラル水を連続的に供給しながら電解することに
より、陰極側にアルカリ性水を、また陽極側に酸性水を
夫々製造する電解イオン水生成器が広く普及しており、
医療分野や美容領域等に広く用いられている。
【0003】電解イオン水生成器は、その用途に応じて
家庭用電解イオン水生成器と業務用電解イオン水生成器
とに大別される。家庭用電解イオン水生成器で作られる
イオン水の酸性側のpHは3〜4程度であるが、業務用
電解イオン生成器では、病院やレストランでの使用時に
おける消毒効果も兼ねて、より酸性度が高く(pHで1
〜2程度)、しかも大量に造水することのできるイオン
水生成器が要求されており、一部で実用化されている。
【0004】上記電解イオン水生成器の心臓部にあたる
電解槽には、陽極にフェライト、IrO2被覆Tiまた
はPt被覆Tiなどが使用されており、一方、陰極には
ステンレスやPt被覆Tiなどが使用されている。Pt
やIrO2などの被覆物は、陽極酸化によるTi基材の
電気抵抗の増加防止、陽極反応の促進(触媒として働
く)並びに基材の腐食防止を目的として付与されてい
る。
【0005】上記電解イオン生成器を用いてイオン水を
製造すると、陰極とイオン交換膜の間にFe23、Ni
O、CrO、MgO、CaO等のスケールが析出し、そ
の結果浴電圧が上昇し、ついには通電不能となる。これ
を防ぐためには定期的なスケールの除去が必要であり、
特開平3−109988号公報には、電極の極性を極く
短時間の間反転させ(これを逆電という)、陰極側を酸
性とすることによりスケールを溶解除去する方法が開示
されている。
【0006】上記の電解イオン生成器を用いて低pHの
イオン水を製造する場合、電解槽中の陽極室が低pHの
イオン水(食塩を水に添加するので、電解によって塩酸
を生成する)で満たされるため、従来の陽極材であるフ
ェライト、IrO2被覆TiおよびPt被覆Tiでは、
極めて短時間のうちに電極が腐食し、電極の交換を余儀
なくされるという問題がある。そのため従来の陽極材で
は、低pHのイオン水を長時間連続して製造することが
できない。また、陰極としてPt被覆Ti電極やIrO
2被覆Ti電極を用いた場合には、陰極表面で水素が発
生し、被覆を通して拡散侵入してくる水素をTi基材が
吸収して水素化物を形成し、Ti基材の体積膨張により
被覆材が剥離したり、あるいは水素化物の形成によって
基材の脆化が進み、電極材の早期の交換が必要になる。
【0007】この様な問題は、程度の差こそあれ一般の
家庭用電解イオン水生成器にも見られる。こうした問題
を回避して電極の長寿命化を図るための技術として、熱
分解法によりTi基材上にPtを被覆した電極を用いた
電解イオン水生成器(特開平5−57283)が開示さ
れている。しかしながら、電極の基本構成は、あくまで
もTi基材とPt被覆材からなるものであって従来のも
のと大差がなく、pH3〜4程度の酸性水を少量作る家
庭用電解イオン水生成器では若干の効果が見られるもの
の、pH3以下の酸性水を大量に作る業務用電解イオン
水生成器の場合には有意な効果は見られない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
電解イオン水生成器が抱える問題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、電極の寿命を大幅に改善し、長時
間の連続運転が可能な電解イオン水製造用電極および該
電極を用いた電解イオン水の製造方法を提供することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の電解イオン水製
造用電極は、電圧可逆方式の電解イオン水製造用電極に
おいて、電極基材としてTaまたはNbを用い、基材表
面を、Pt、IrO2PtOおよびRh23よりなる群
から選択される少なくとも一種を体積%で50%以上含
有する被覆材で被覆したものであることに要旨を有する
ものである。
【0010】本発明に係わる電解イオン水の製造方法
は、上記の電極を用いて、陽極電位をTaまたはNbの
孔食発生電位以下もしくは陽極と陰極の極間電圧を陽極
基材に孔食が起こらない値以下に制御しつつ電解を行う
ところに要旨を有するものである。
【0011】また、本発明に係わる他の電解イオン水の
製造方法は、電圧可逆方式を採用して電解イオン水を製
造するに当たり、電極基材としてTiを用い、基材表面
を、Pt、IrO2、PtOおよびRh23よりなる群
から選択される少なくとも一種を体積%で50%以上含
有する被覆材で被覆した電極を使用し、且つ陽極電位を
Tiの孔食発生電位以下もしくは陽極と陰極の極間電圧
を陽極基材に孔食が起こらない値以下に制御しつつ電解
を行うところに要旨を有するものである。
【0012】
【作用】本発明に係わる電解イオン水製造用電極は、 電極基材としてTaまたはNbを用い、その表面
を、Pt、IrO2、PtOおよびRh23よりなる群
から選択される少なくとも1種を体積%で50%以上含
有する被覆材で被覆してなるものである。
【0013】まず、本発明の電極に用いられる基材の選
定理由について説明する。本発明者らは、当初、陽極材
の耐食性は基材表面の被覆材により決まると考え、種々
の金属基材にPt、IrO2、PtO、Rh23等の耐
食被覆を施したものについて、電解時の耐食性を調べ
た。その結果、当初の予想に反し、陽極材の耐食性は被
覆材によらず、基材の材質によってある程度決まってく
ることを見いだした。
【0014】そこで、従来から陽極基材として用いられ
ている金属並びにその他の汎用金属材料について、それ
らの孔食発生電位をメタノール−塩酸溶液中(孔食を起
こしやすい環境)で検討したところ、NbおよびTaが
最も耐食性に優れており、次いでTiが孔食を起こしに
くいことがわかった。
【0015】また、電圧可逆方式の電解に用いられる陰
極材は逆電により一時的ではあるが陽極としても作用す
る。従って、陰極材は、上記の陽極材と同様のものを用
いることことが好ましい。陰極材として、例えば従来の
ステンレスなどを用いた場合には、逆電の際に人体に有
害なCrやNiなどが溶出するので好ましくない。
【0016】この様に、陽極材の耐食性を防ぐには電極
基材としてTaまたはNbを選択使用することが必要で
あるが、本発明で意図する様なレベルの電極寿命化を達
成するには、これらの基材の耐食性をさらに改善する
か、もしくは該基材が腐食しない様な環境を電解中に作
ることが必要になると考え、まず被覆材の検討に移っ
た。
【0017】上記の被覆材の決定理由について説明す
る。TaまたはNbを基材とし、これらの耐食性を高め
ることのできる有効な被覆材を見出すべく、Pt、I
r、Rh、Pd、Ruあるいはそれらの酸化物の1種以
上を、めっき法もしくは焼成法によって上記基材(Ta
またはNb)上に被覆し、陽極材としての耐食性を、実
際に電解イオン水を生成することにより評価した。その
結果、いずれの基材を用いた場合においても、Pt、I
rO2、PtOおよびRh23よりなる群から選択され
る少なくとも1種を、それぞれ体積%で50%以上含有
する被覆材で被覆したものは、優れた耐食性を示した
が、その他のものは被覆材自体の腐食が早く、ほとんど
使いものにならないことがわかった。従って、電極の被
覆材としては、Pt、IrO2、PtOおよびRh23
りなる群から選択される少なくとも1種以上を体積%で
50%以上含有するものを必須の構成要件として定め
た。このうち、好ましくは、Pt、IrO2およびPt
Oよりなる群から選択される少なくとも1種以上を体積
%で90%以上含有するものであり、より好ましくはP
tおよび/またはIrO2を体積%で95%以上含有す
るものである。
【0018】ここで上記被覆材の体積%を50%以上と
したのは、これらの被覆材は被覆材自体としての耐食作
用はもちろん、陽極酸化防止のための基材の保護皮膜と
しての作用、電極反応の触媒としての作用、並びに基材
の密着性、被覆のしやすさ、被覆材のコストの点などを
考慮して定めたものであり、この様な作用を有効に発揮
させるには、上記の範囲内にすることが必要であり、好
ましくはPtおよび/またはIrO2を体積%で95%
以上含有するものである。被覆材中の上記選択成分の含
有率が上記の範囲外である場合には、被覆材自体の耐食
性も乏しくなる。
【0019】被覆を構成する上記以外の成分としては、
例えば、基材の酸化物(TiO2、Nb25、Ta25
など)などが挙げられるが、それらの含有量が50体積
%を超えると被覆材自体の耐食性、電極反応の触媒効果
および導電性が低下するなどの傾向が表れ、本発明の目
的が達成できなくなる。
【0020】なお、上記被覆材の被覆方法については特
に限定されず、めっき法や焼成法などの公知の方法を採
用することができ、これらの間には有意な差は見られな
かった。
【0021】次に、本発明に係わる電解イオン水の製造
方法を実施するに当たっては、上記の電解イオン水製造
用電極を使用し、陽極電位を陽極基材(TaまたはN
b)の孔食発生電位以下もしくは陽極と陰極の極間電圧
を陽極基材に孔食が起こらない値以下に制御することに
より、電解イオン水を製造する。
【0022】あるいは、上記TaまたはNb基材からな
る電極に代えて電極基材としてTiを用い、その表面
を、Pt、IrO2、PtOおよびRh23よりなる群
から選択される少なくとも1種を体積%で50%以上含
有する被覆材で被覆した電極を用いて、同様に上記の
電圧制御を行うことも有効である。前述した様に、Ti
はNbやTaに次いで耐食性に優れたものであり、上記
の適正な電圧制御を行えば、Ti基材の電極を用いた場
合でも、電極の腐食を有効に防ぐことができる。
【0023】以下に、上記の決定理由について説明す
る。まず、公知のPt被覆Tiを陽極材として用いた場
合の腐食機構を調べたところ、電解中に被覆材の欠陥部
(割れ、ピンホール等)を通してTi基材が陽極酸化さ
れて電極電位が上昇し、この値がTiの孔食発生電位を
超えると被覆欠陥部直下でTiの孔食が起こる。そして
周囲の被覆材の剥離を生じせしめ、該Tiの孔食と被覆
材の剥離が連続的に進行して電極全面に腐食を起こすと
いうことがわかった。また、業務用電解イオン水生成器
の場合には、大量にイオン水を生成する必要があるの
で、家庭用のものに比べて大電流が必要であり、その結
果、短時間でTi基材の孔食発生電位に到達し、激しい
腐食を起こす。
【0024】以上のことから、公知のPt被覆Tiを陽
極として用いた場合はもちろんのこと、本発明の電極を
陽極として用いた場合であっても、該陽極の腐食をより
効果的に抑制するには、電極電位を基材の孔食発生電位
以下に制御しなければならないことを見いだした。
【0025】基材の孔食発生電位は、pHすなわち酸濃
度、並びに温度によって変動する。従って、孔食発生電
位の制御値は、使用する電解イオン水生成器の規格によ
り決定する必要がある。図1は、ある電解液条件下(電
解液:5%NaCl+HCl、浴温:80℃)におけ
る、Ti基材を用いた場合の孔食発生電位とpHとの関
係を示すグラフである。図1から明らかな様に、pHの
低下に伴ってTiの孔食発生電位は低下し、例えばpH
1の様な低pHではTiの孔食発生電位は約5Vvs.
SCEとなる。
【0026】また、図2は、塩酸濃度を1wt%にした
ときの、Ti基材の孔食発生電位と温度との関係を示す
グラフである。図2から明らかな様に、温度の上昇に伴
ってTiの孔食発生電位は急激に低下し、75℃ではT
iの孔食発生電位は約7.5Vvs.SCEであり、電
位をこの値以下に制御することにより、陽極の腐食を防
止できる。
【0027】しかしながら、陽極の電位を制御するため
には比較電極が必要になり、装置が複雑で、高価になる
恐れがある。従って、実用性を考慮すると、陽極の電位
を制御する代わりに、陽極と陰極間の電圧(極間電圧)
を直流電源装置等を用いて制御することが好ましい。表
1は、各種濃度の塩酸中において、陽極と陰極にPtめ
っきTiを用いたときの陽極の孔食発生極間電圧の測定
結果を示したものである。
【0028】
【表1】
【0029】表1の条件下では、極間電圧を6〜10V
以下に制御することにより、陽極電位がTi基材の孔食
発生電位以下になり、陽極の孔食を防止することができ
る。一方、陽極の電極電位もしくは陽極と陰極間の極間
電圧を下げると、イオン水の生成効率(生成速度)が低
下してくるという問題も生じるが、これは電極の面積を
増やすことによって補うことが可能である。ただし、こ
の場合は装置の大型化を伴う。従って、電極面積を増や
すことなく、イオン水の生成効率を高めることが望まれ
るが、このためには、陽極基材としてTiよりも孔食発
生電位の高い(つまり孔食を起こしにくい材料)Taお
よびNbを用いて、Tiを用いた場合よりもより高電位
もしくは高極間電圧で電解すればよい。具体的には、T
aまたはNb基材を、Pt、IrO2、PtOおよびR
23よりなる群から選択される少なくとも1種を体積
%で50%以上含有する被覆材で、めっき法もしくは焼
成法により被覆し、電極電位をこれら基材の孔食発生電
位以下に制御してイオン水の生成を行ったところ、陽極
の腐食は抑制され、しかもTi基材を用いた場合よりも
格段に効率よくイオン水を生成することが確認できた。
【0030】陰極材の種類は、前述した様に陽極材と同
一にすることが望まれる。そこで、陰極材として上記の
陽極材と同じもの(Ti、TaまたはNb基材上を、P
t、IrO2、PtOおよびRh23よりなる群から選
択される少なくとも1種を体積%で50%以上含有する
被覆材で被覆した電極)を、上記の陽極電位または極間
電圧の制御を行うことなくイオン水を生成したところ、
基材が被覆中を拡散してきた水素を吸収し、水素化物形
成による体積膨張の結果被覆材の剥離が生じた。しかし
ながら、上記の電圧制御を行った場合には、陰極電位も
同時に変化して上昇し、陰極における水素の発生量が減
少するため、水素吸収が起こりにくくなり、その結果被
覆材の剥離が抑制され、電極の長寿命化が達成されるこ
とを見いだした。イオン水製造時の電流密度および電極
の極性反転の間隔などは、従来法に準じて行えばよい。
【0031】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、前
・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全
て本発明の技術的範囲に包含される。
【0032】
【実施例】
実施例1 厚さ1mmの純Ti、純Taおよび純Nbよりなる25
×25mmの電極基材を使用し、この表面を#1000
板で湿式研磨した。それらの表面に、電気めっき法もし
くは焼成法により、本発明の条件を満たす被覆材(P
t、IrO2、PtOおよびRh23)並びに本発明の
条件を満たさない比較例の被覆材(RuおよびRu
2)の1種もしくは2種以上を、各々体積%で50%
以上含有する被覆材を被覆したものを供試材とした(実
施例1〜53、比較例54〜62)。また比較例63の
被覆材は、被覆材の含有量を本発明の範囲外にしたもの
である(被覆材中のPtの含有率は、Ti含有を増減さ
せることによって調整した)。
【0033】図3に、本発明に用いられる電解槽の模式
図を示す。図中、1は水道水、2は食塩添加部、3はイ
オン交換膜、4は陰極、5は陽極、6は電解槽、7はア
ルカリイオン水吐出口、8は酸性イオン水吐出口を示
す。図3の電解槽6中の陽極5および陰極4として上記
の各供試材を用い、直流電源装置を用いて電解電圧(極
間電圧)を種々変化させ、電解イオン水を1カ月間連続
して生成した(浴温:20〜45℃)。低pHのイオン
水を作るため、水道水には、電解槽に注入する前に食塩
を0.01mol/リットルの割合で添加した。また、
1時間に10分間の割合で逆電を実施した。
【0034】陽極の寿命(耐久性)は、電解前後の電極
材の重量変化から平均腐食速度を算出することにより評
価した。また、陰極の寿命(耐久性)は、電解後の被覆
材の剥離状況を観察することにより評価した。本実施例
の前に、本実施例と同じ環境下でTi、TaおよびNb
電極に腐食(孔食)が発生する極間電圧を調べたとこ
ろ、陰極材との組み合わせにより多少値は異なるが、そ
れぞれ約8V、約13Vおよび約12Vであった。表2
および表3に、各種電極材を用いた場合の電極寿命の結
果をまとめて示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】実施例1〜19は、Ti基材を被覆処理し
た電極を用いたものであり、極間電圧をTiの孔食発生
極間電圧(8V)よりも低い電圧に制御したので、陽極
の腐食はほとんど見られず、また陰極の被覆剥離もほと
んど生じず、電極の長寿命化が達成された。
【0038】これに対して比較例59および60は、使
用した電極は実施例1と同じであるが、電圧制御を行わ
なかったので、陽極の腐食と陰極の被覆材の剥離が見ら
れた。
【0039】また、比較例54は、Ti基材を被覆する
ことなくそのまま陽極および陰極に用いたものであり、
且つ電圧制御も行わなかったので、陽極は著しく腐食
し、陰極は水素吸収による脆化のため非常に脆くなり、
手で触れるだけで破壊した。
【0040】さらに比較例55および56は、両電極に
Ti基材を被覆無しにそのまま用い、且つ電圧制御を行
った例である。比較例55は、極間電圧をTiの孔食発
生極間電圧以下にしているので、腐食は生じなかった
が、被覆材を使用していないので陽極酸化を生じ、電解
途中で通電ができなくなり、一方比較例56は、極間電
圧が孔食発生電圧を超えているため、腐食の進行が著し
い。なお、比較例55および56の陰極はいずれも水素
吸収による脆化を生じた。
【0041】比較例63は、陽極被覆材中のPt含有量
が50%以下(本発明の範囲外)で、陰極被覆材中のP
t含有量が50%以上(本発明の範囲内)の場合であ
り、極間電圧はTi基材の孔食発生極間電圧以下に制御
した。陰極被覆材はほとんど剥離が見られなかったが、
陽極は、電圧を孔食発生値以下に制御したにもかかわら
ず、被覆材の耐食性が悪いので電解中に基材が露出し、
陽極酸化が起こって通電ができなくなった。また、陽極
には、Pt含有量が50%以下の被覆材を用いたため、
通電中の陽極電極反応効率が低く、イオン水の生成効率
が悪かった。
【0042】次に、実施例20〜32および33〜44
は、本発明の電極を用いた例であり、陽極と陰極の基材
として、それぞれTaまたはNbを用いたものである。
これらの実施例では、極間電圧をすべてTaまたはNb
の孔食発生極間電圧以下に制御したので、電極の腐食並
びに被覆の剥離がほとんど生じず、陽極および陰極の長
寿命化が達成された。
【0043】これに対して比較例57および58は、T
aまたはNbの基材を被覆することなくそのまま陽極お
よび陰極に用いたものであり、且つ電圧制御も行わなか
ったので、陽極は著しく腐食し、陰極は水素吸収による
脆化のため非常に脆くなり、手で触れるだけで破壊し
た。
【0044】また比較例61および62は、極間電圧は
Ta基材の孔食発生極間電圧以下であるが、表面被覆材
が本発明の範囲外であるので、電解中の被覆消耗が激し
く、基材が露出し、その結果、陽極酸化が起こって通電
ができなくなった。
【0045】最後に、実施例45〜53は陽極と陰極の
基材が異なる場合であり、この場合においても極間電圧
を陽極基材の孔食発生極間電圧以下に制御することによ
り、陽極および陰極の長寿命化が得られた。
【0046】
【発明の効果】本発明の電解イオン水製造用陽極は上記
構成からなっているので、これを用いて電解イオン水を
製造した場合には、従来の一般家庭用並びに業務用電解
イオン水生成器の欠点である電極の短寿命を大幅に改善
することができ、且つ長時間の連続運転が可能になると
いう効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Tiの孔食発生電位とpHの関係を示すグラフ
である。
【図2】Tiの孔食発生電位と温度の関係を示すグラフ
である。
【図3】本発明に用いられる電解槽の模式図である。
【符号の説明】
1 水道水 2 食塩添加部 3 イオン交換膜 4 陰極 5 陽極 6 電解槽 7 アルカリイオン水吐出口 8 酸性イオン水吐出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 喜昌 大阪市中央区備後町4丁目1番3号 株式 会社神戸製鋼所大阪支社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電圧可逆方式の電解イオン水製造用電極
    において、 電極基材としてTaまたはNbを用い、 該基材表面を、Pt、IrO2、PtOおよびRh23
    よりなる群から選択される少なくとも一種を体積%で5
    0%以上含有する被覆材で被覆したものであることを特
    徴とする電解イオン水製造用電極。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電極を使用し、陽極電
    位をTaまたはNbの孔食発生電位以下もしくは陽極と
    陰極の極間電圧を陽極基材に孔食が起こらない値以下に
    制御して電解を行うことを特徴とする電解イオン水の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 電圧可逆方式を採用して電解イオン水を
    製造するに当たり、 電極基材としてTiを用い、 該基材表面を、Pt、IrO2、PtOおよびRh23
    よりなる群から選択される少なくとも一種を体積%で5
    0%以上含有する被覆材で被覆した電極を使用し、且つ
    陽極電位をTiの孔食発生電位以下もしくは陽極と陰極
    の極間電圧を陽極基材に孔食が起こらない値以下に制御
    して電解を行うことを特徴とする電解イオン水の製造方
    法。
JP5322340A 1993-12-21 1993-12-21 電解イオン水製造用電極および該電極を用いた電解イオン水の製造方法 Withdrawn JPH07171571A (ja)

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JP2007239040A (ja) * 2006-03-09 2007-09-20 Ishifuku Metal Ind Co Ltd 電解用電極
JP2009052069A (ja) * 2007-08-24 2009-03-12 Ishifuku Metal Ind Co Ltd 電解用電極

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