JPH0716935A - 繊維強化格子状構造物およびその製造方法 - Google Patents

繊維強化格子状構造物およびその製造方法

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JPH0716935A
JPH0716935A JP5148153A JP14815393A JPH0716935A JP H0716935 A JPH0716935 A JP H0716935A JP 5148153 A JP5148153 A JP 5148153A JP 14815393 A JP14815393 A JP 14815393A JP H0716935 A JPH0716935 A JP H0716935A
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若富 中根
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和義 長野
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 この発明の繊維強化格子状構造物は、繊維強
化板である縦桟および横桟を有し、縦桟と横桟とが交差
する部位で、縦桟に設けられた貫通穴に横桟が挿通さ
れ、または横桟に設けられた貫通穴に縦桟が挿通されて
なることを特徴とする。 【効果】 強度の大きな繊維強化格子状構造物とするこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は繊維強化格子状構造物
およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、機械的強
度が大きく、かつ均一な形状および寸法を有する繊維強
化格子状構造物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、格
子状構造物として、航空機における逆噴射装置に使用さ
れる風分散用カスケード、ベンチレータなどがある。こ
れら格子状構造物のあるものは、格子間に気流を通過さ
せると言った機能を発揮する。
【0003】最も旧式の格子状構造物は金属製であり、
鋳型を用いて鋳造されていた。この金属製の格子状構造
物は重量物であるから、持ち運びがやっかいである上に
その格子状構造物を組み込む機器が軽量化の要請される
たとえば航空機であるときには金属製の格子状構造物は
航空機の軽量化を阻む要素であった。金属製の格子状構
造物は、鋳造中に発生する鬆(ス)を内包することがあ
る。鬆(ス)を有する金属製の格子状構造物は機械的強
度が弱くなり、信頼性に欠けると言う問題がある。かか
る問題をなくするために金属製の格子状構造物を製造し
た後にX線検査を行って鬆(ス)のある格子状構造物を
排除しなければならない。したがって、このようなX線
検査も煩雑である。このように金属製の格子状構造物に
は種々の問題点がある。
【0004】そこで、近年では、格子状構造物が、硬化
性繊維強化部材を用いて製造されている。硬化性繊維強
化部材を用いて製造された格子状構造物は、金属製の格
子状構造物に比べて格段に軽量であり、しかも金属を溶
解するなどの製造工程が不要になったので製造現場にお
ける安全性も格段に向上した。
【0005】硬化性繊維強化部材を用いた格子状構造物
は、次のようにして製造される。すなわち、硬化性繊維
強化部材として、たとえば繊維強化材に硬化性樹脂を含
浸してなる硬化性繊維強化部材で所定数の縦桟用長尺片
を用意し、これらを互いに平行に配列しておく。一方、
この硬化性繊維強化部材で形成した縦桟用長尺片とは別
に所定長さの横桟用短尺片を多数用意する。この横桟用
短尺片における所定長さは、互いに平行に配列した縦桟
用長尺片間の長さに実質的に等しい。
【0006】次に、平行に配列した縦桟用長尺片の間に
前記横桟用短尺片を配置し、横桟用短尺片の端部が縦桟
用長尺片に接合する部位には、硬化性繊維強化部材で形
成した強化片をあてがって前記接合部位の接合を強化す
る。
【0007】以上のようにして縦桟用長尺片間に横桟用
短尺片を配列し縦桟用長尺片と横桟用短尺片とを接合し
てなる格子状組立体の全体を加熱し、場合により加圧す
ることにより、縦桟用長尺片と横桟用短尺片との接合部
位における硬化性樹脂を溶融流動させることにより接合
部位における硬化性樹脂の一体化を図り、硬化性繊維強
化部材中の硬化性樹脂を硬化させることにより、格子状
構造物が形成される。
【0008】しかしながら、上記のような工程を経て製
造される格子状構造物は、硬化性樹脂が硬化し、縦桟用
長尺片中の硬化性樹脂と横桟用短尺片中の硬化性樹脂と
が溶融一体化することにより縦桟と横桟とが一体化して
いるとは言え、縦桟と縦桟との間に存在する横桟中の繊
維強化材は、横桟毎に分断されているので、縦桟と横桟
との接合部位は硬化性樹脂による強度しか発揮されず、
格子状構造物の強度的弱点になる。
【0009】また、前記のような格子状構造物の製造方
法においては、多数の横桟用短尺片を揃えなければなら
ないという問題があり、多数の横桟用短尺片すなわち部
品点数の多さは製造工程を煩雑にすると言う問題もあ
る。
【0010】この発明は前記事情に基づいて完成した。
すなわちこの発明は、硬化性繊維強化部材を使用するこ
とにより軽量化を達成し、しかも強度低下のない格子状
構造物を提供し、そのような格子状構造物を、少ない部
品点数で簡単に製造することのできる方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【前記課題を解決するための手段】前記課題を解決する
ための請求項1に記載の発明は、繊維強化板である縦桟
および横桟を有し、縦桟と横桟とが交差する部位で、縦
桟に設けられた貫通穴に横桟が挿通され、または横桟に
設けられた貫通穴に縦桟が挿通されてなることを特徴と
する繊維強化格子状構造物であり、請求項2に記載の発
明は、硬化性を有する樹脂もしくは樹脂組成物を含浸し
てなる硬化性繊維強化部材から縦桟用長尺部材および横
桟用長尺部材を形成し、縦桟用長尺部材の短手方向に沿
った複数の貫通穴を所定間隔をもって形成し、または横
桟用長尺部材の短手方向に沿った複数の貫通穴を所定間
隔をもって形成し、前記縦桟用長尺部材の貫通穴に横桟
用長尺部材を挿通して縦桟用長尺部材と横桟用長尺部材
とを格子状に組み、または横桟用長尺部材の貫通穴に縦
桟用長尺部材を挿通して縦桟用長尺部材と横桟用長尺部
材とを格子状に組み、前記硬化性を有する樹脂もしくは
樹脂組成物を硬化することを特徴とする繊維強化格子状
構造物の製造方法である。
【0012】
【作用】この発明の繊維強化格子状構造物は、共に繊維
強化板である長尺の縦桟と横桟とのいずれか一方に設け
られた貫通穴に他方の縦桟または横桟が挿通されてい
て、貫通穴に挿通された縦桟または横桟は縦桟と横桟と
の交差部位で完全に分断されなくなるので、従来におけ
る格子状構造物の強度よりも大きな強度を有する。
【0013】なお、この発明において、硬化性を有する
樹脂もしくは樹脂組成物として、熱硬化性樹脂、熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物などを
挙げることができる。
【0014】この発明の繊維強化格子状構造物は、この
発明の方法によって次のようにして製造される。
【0015】硬化性を有する樹脂もしくは樹脂組成物を
含浸してなる硬化性繊維強化部材で形成した縦桟用長尺
部材および横桟用長尺部材のいずれかに、複数の貫通穴
を設ける。
【0016】この貫通穴の形状は、通常、貫通穴に挿通
される縦桟用長尺部材または横桟用長尺部材の短手方向
断面と実質的に同じ形状を有する。もっとも、この貫通
穴に縦桟用長尺部材または横桟用長尺部材の挿通を容易
にするためにこれらの短手方向断面の形状よりもわずか
に大きな形状にするのが実際的である。
【0017】この貫通穴は、通常、縦桟用長尺部材また
は横桟用長尺部材の長手方向の辺から他方の辺へと向か
う長穴であり、長手方向に沿って所定間隔をもって多数
配列される。
【0018】この発明の方法では、縦桟用長尺部材に貫
通穴を設けた場合、複数の縦桟用長尺部材を互いに平行
に配列し、横桟用長尺部材を縦桟用長尺部材の貫通穴に
挿通して、縦桟用長尺部材と横桟用長尺部材とを格子状
に組みあげる。
【0019】また、横桟用長尺部材に貫通穴を設けた場
合、複数の横桟用長尺部材を互いに平行に配列し、縦桟
用長尺部材を横桟用長尺部材の貫通穴に挿通して、縦桟
用長尺部材と横桟用長尺部材とを格子状に組みあげる。
【0020】格子状に組み上げられた縦桟用長尺部材お
よび横桟用長尺部材における前記硬化性を有する樹脂も
しくは樹脂組成物を硬化することにより、縦桟用長尺部
材および横桟用長尺部材が一体に結合して繊維強化格子
状構造物が製造される。
【0021】このように、格子状の構造を形成するの
に、縦桟用長尺部材または横桟用長尺部材に設けた貫通
穴に他方の横桟用長尺部材または縦桟用長尺部材を挿通
するだけであるから、極めて簡単に格子状構造を形成す
ることができる。
【0022】この発明の製造方法によると、従来におけ
るようなたとえば縦桟用長尺片と縦桟用長尺片との間に
配置される横桟用の短尺片を製造する必要がなくなり、
横桟用の短尺片という多数の部品を使用する必要がない
ので組立工程が格段に簡略になる。
【0023】しかも、縦桟用長尺部材または横桟用長尺
部材に設ける複数の貫通穴の形状およびそれらの間隔は
精度良く決定することができ、正確な間隔で貫通穴を設
けることができるので、桟と桟との間隔の正確な繊維強
化格子状構造物が得られる。
【0024】
【実施例】
−繊維強化格子状構造物− この発明の繊維強化格子状構造物について図面を参照し
ながら説明する。
【0025】図1はこの発明の一実施例である繊維強化
格子状構造物を示す斜視図である。
【0026】図1に示すように、繊維強化格子状構造物
1は、外枠部材2と縦桟3と横桟4と取付部5とを有す
る。
【0027】外枠部材2は、平面を有する一対の長手方
向側面板6と、所定の曲率を有する湾曲面である一対の
短手方向側面板7とを有する。長手方向側面板6は、直
線状にかつ互いに平行に延在する上端辺および下端辺を
有する。短手方向側面板7は、直線状にかつ互いに平行
に延在する上端辺および下端辺を有し、その上端辺から
下端辺にかけて凸状に湾曲する凸状湾曲面とその上端辺
から下端辺にかけて凹状に湾曲する凹状湾曲面とを有す
る。
【0028】図1に示す繊維強化格子状構造物において
は、縦桟3に設けられた貫通穴に横桟4が貫通する態様
が採用されている。
【0029】繊維強化格子状構造物において、横桟4に
設けられた貫通穴に縦桟3を挿通させる態様を図2に示
す。
【0030】図2に示すように、この繊維強化格子状構
造物においては、縦桟3は、直線状にかつ互いに平行に
延在する上端辺および下端辺を有し、その上端辺から下
端辺にかけて凸状に湾曲する凸状湾曲面とその上端辺か
ら下端辺にかけて凹状に湾曲する凹状湾曲面とを有す
る。この縦桟3の上端辺から下端辺までの長さは、後述
する横桟4の上端辺から下端辺に至る長さよりも短く設
計されている。横桟4は、直線状にかつ互いに平行に延
在する上端辺および下端辺を有し、その上端辺から下端
辺にかけて凸状に湾曲する凸状湾曲面とその上端辺から
下端辺にかけて凹状に湾曲する凹状湾曲面とを有する。
この横桟4の前記凸状湾曲面には、前記縦桟の短手方向
の断面形状に相当する形状の複数の貫通穴が、所定間隔
をもって形成されている。
【0031】図2に示す繊維強化格子状構造物において
は、複数の前記横桟4の貫通穴4aに縦桟3が貫通する
ことにより、格子形状が形成されている。換言すると、
一枚の縦桟3は複数の横桟4の貫通穴4aを差し貫き、
一枚の横桟4には複数の縦桟3で差し貫かれている。
【0032】貫通穴4aが縦桟3と横桟4との交差部位
であり、この交差部位においては縦桟3と横桟4とが、
硬化性を有する樹脂もしくは樹脂組成物の硬化により、
一体に結合している。
【0033】上記構成の繊維強化格子状構造物1におい
ては、縦桟3が分断されることなく連続して存在し、横
桟4も分断されることなく連続して存在し、しかも縦桟
3と横桟4とが交差部位で一体に接合している。
【0034】したがって、この繊維強化格子状構造物1
は、たとえば縦桟毎に横桟が分断された従来の繊維強化
格子状構造物1に比べて格段に機械的強度が大きなもの
になっている。
【0035】この発明の繊維強化格子状構造物1は上記
構成に限定されるものではなく、この発明の要旨の範囲
内で適宜に設計変更をすることができるのは言うまでも
ない。
【0036】(1) この発明の繊維強化格子状構造物1
は、その全体が湾曲している形状を有していても良く、
たとえば、図3に示すように、繊維強化格子状構造物1
における長手方向側面板6が弓なりに湾曲する形状であ
っても良い。さらに詳述すると、図3に示す繊維強化格
子状構造物1においては、長手方向側面板6および縦桟
3それぞれは、その上端辺および下端辺が所定の曲率で
湾曲した平面板であり、横桟4は、その上端辺および下
端辺が直線状でかつ互いに平行に延在し、上端辺から下
端辺にかけて凸状に湾曲する凸状湾曲面と上端辺から下
端辺にかけて凹状に湾曲する凹状湾曲面とを有するよう
に、形成しても良い。
【0037】(2) この発明の繊維強化格子状構造物1
は、縦桟3と横桟4とが互いに直交している構造に限定
されることはない。用途によって、この繊維強化格子状
構造物1は、図4に示すように、縦桟3と横桟4とが直
角以外の角度で交差する構造であっても良い。
【0038】(3) この発明の繊維強化格子状構造物1
は、その縦桟3および横桟4が同じ厚みを有する長尺部
材であっても良いのであるが、図5に示すように、横桟
4の上端辺の厚みAが小さく下端辺の厚みBが大きく設
計されることにより、上端辺の厚みAと下端辺の厚みB
とが互いに相違するように、横桟4が形成されていても
良い。また、縦桟3も、この横桟4と同様に上端辺の厚
みと下端辺の厚みとが相違するように設計されていても
良い。
【0039】(4) この発明の繊維強化格子状構造物1
は、図6に示すように、縦桟3と横桟4との交差部位
に、縦桟3と横桟4との両方に渡って張着された補強部
材8を有していても良い。また、このような補強部材8
を設ける代わりに、縦桟3と横桟4との交差部位に、適
宜の接着剤、または縦桟3および横桟4の材料である縦
桟用長尺部材および横桟用長尺部材を形成する素材であ
るところの、硬化性を有する樹脂もしくは樹脂組成物を
塗布し、これらを硬化させるようにしても良い。
【0040】−繊維強化格子状構造物の製造方法− (1) 外枠部材2の製造 この発明の方法について、その一実施例を中心にして、
以下において説明する。
【0041】この発明の繊維強化格子状構造物1は、先
ず、外枠部材2を作成する。この外枠部材2は、図7に
示すように、相対向して配置された一対の長手方向側面
板6と、この長手方向側面板6の端部に架け渡されるよ
うに、相対向して配置された一対の短手方向側面板7
と、これらの長手方向側面板6および短手方向側面板7
により形成された長方形枠体の下端部において枠体の内
側に張り出してなる縁部材9と、短手方向側面板7の下
端部から前記枠体とは反対側に張り出すように形成され
た略長方形の取付部5とを有する。
【0042】このような構造を有する外枠部材2は、た
とえば、炭素繊維の編織物に硬化性を有する樹脂たとえ
ばエポキシ樹脂もしくは硬化性を有する樹脂組成物を含
浸してなる硬化性繊維強化部材たとえばプリプレグシー
トを所定の形状に切り出してなる長手方向側面板用部
材、短手方向側面板用部材、縁用部材、取付部用部材を
用いて、各部材を張り合せることにより、製作すること
ができる。
【0043】(2) 縦桟用長尺部材および横桟用長尺部材
の製造 次いで、たとえば、前記硬化性繊維強化部材と同じ硬化
性繊維強化部材から、図8に示すように、横桟用長尺板
部材14を作成する。
【0044】この横桟用長尺板部材14は、たとえば、
長手方向に延在する上端辺と下端辺と、上端辺から下端
辺に向かって凸状に湾曲する凸状湾曲面と、上端辺から
下端辺に向かって凹状に湾曲する凹状湾曲面とを有す
る。この横桟用長尺板部材14は、その短手方向におけ
る断面厚みが同じになっている。換言すると、この横桟
用長尺板部材14の上端辺から下端辺に到る厚みがいず
れの部位においても同じ寸法に設計されている。
【0045】この横桟用長尺板部材14の長手方向長さ
は、前記外枠部材2における一方の短手方向側面板7か
ら他方の短手方向側面板7までの長さと実質的に同じで
ある。
【0046】図9に示すように、前記硬化性繊維強化部
材と同じ硬化性繊維強化部材から、縦桟用長尺部材13
を作成する。
【0047】この縦桟用長尺部材13は、たとえば、長
手方向に延在する上端辺と下端辺と、上端辺から下端辺
に向かって凸状に湾曲する凸状湾曲面と、上端辺から下
端辺に向かって凹状に湾曲する凹状湾曲面とを有する。
この縦桟用長尺部材13は、その短手方向における断面
厚みが同じになっている。換言すると、この縦桟用長尺
部材13の上端辺から下端辺に到る厚みがいずれの部位
においても同じ寸法に設計されている。この縦桟用長尺
部材13はそのまま縦桟3として使用される。
【0048】この縦桟用長尺部材13の長手方向長さ
は、前記外枠部材2における一方の長手方向側面板6か
ら他方の長手方向側面板6までの長さと実質的に同じで
ある。
【0049】図10に示されるように、前記横桟用長尺
板部材14から横桟用長尺部材15が作成される。すな
わち、横桟用長尺板部材14における凸状湾曲面から凹
状湾曲面に貫通し、縦桟用長尺部材13の短手方向断面
にほぼ同じ形状を有する複数個の貫通穴4aを、所定間
隔を設けて、開設する。この貫通穴4aの開設は適宜の
切断刃を用いて設けることができる。
【0050】(3) 格子状態への組立 以上のようにして得られた横桟用長尺部材15を互いに
平行に、かつ隣接する横桟用長尺部材15における貫通
穴4aが互いに相対向するように、配列する。配列され
ている横桟用長尺部材15の貫通穴4aに縦桟用長尺部
材13を次々に差し通し縦桟用長尺部材13と横桟用長
尺部材15とを格子状に組みあげていく。縦桟用長尺部
材13と横桟用長尺部材15との交差部位には、適宜
に、硬化性を有する樹脂もしくは樹脂組成物あるいは接
着剤を注入しておく。また場合によって前記交差部位に
補強部材を貼附しておく。
【0051】縦桟用長尺部材13と横桟用長尺部材15
とで格子を組み立てた後に、その組立体を外枠部材2に
おける長方形枠体内に配置しても良く、また、前記外枠
部材2における縁部材9に横桟用長尺部材15を所定間
隔を設けて、複数の横桟用長尺部材15における貫通穴
4aが互いに相対向して一列になるように配列し、外枠
部材2における長方形枠体内に配列された横桟用長尺部
材15の貫通穴4aに縦桟用長尺部材13を貫通穴4a
に挿通するようにして、縦桟用長尺部材13と横桟用長
尺部材15とを格子状に組み立てても良い。
【0052】格子状に組み立てた後に、図6に示すよう
に、縦桟用長尺部材13と横桟用長尺部材15との交差
部位に補強部材8を張設しても良い。
【0053】以上のようにして、外枠部材2の枠内に縦
桟用長尺部材13と横桟用長尺部材15とが格子状に組
み立てられた格子状組立体が製造される。
【0054】(4) 加熱硬化 前記格子状組立体を、たとえば加熱装置内に収容して所
定の温度に加熱し、場合によっては加圧を行う。
【0055】加熱することにより、格子状組立体を形成
している硬化性繊維強化部材中の硬化性樹脂が流動し、
硬化する。硬化性樹脂が流動することにより、縦桟用長
尺部材13と横桟用長尺部材15との交差部位における
隙間等に硬化性樹脂が流動して行き、縦桟用長尺部材1
3における硬化性樹脂と横桟用長尺部材15における硬
化性樹脂とが混じり合う。また、加熱により硬化性樹脂
が硬化する。
【0056】加熱処理によって、外枠部材2、縦桟用長
尺部材、および横桟用長尺部材が硬化し、相互に一体に
結合して、縦桟および横桟を有する繊維強化格子状構造
物1が形成される。
【0057】このようにして得られた繊維強化格子状構
造物1は、航空機における、高速気体を通過させるカス
ケードとして好適に使用される。
【0058】この繊維強化格子状構造物を前記カスケー
ドとして使用する場合、繊維強化格子状構造物における
格子間に高速の気体が通過する。その際、たとえば横桟
の断面を図5に示すように「流線形」に形成している
と、あるいは横桟および縦桟それぞれの断面が図5に示
すように「流線形」に形成されていると、この繊維強化
格子状構造物の格子間を通過する気体に乱流が生じなく
なる。
【0059】この繊維強化格子状構造物をカスケードと
して使用する場合、横桟あるいは縦桟の断面が前記した
「流線形」ではあるが、同じ厚み部分もあるときには、
たとえば、気体の流入側から所定の長さまでは横桟ある
いは縦桟の断面厚みが同じであり、流入側から所定の長
さを超えてからは漸次に縦桟あるいは横桟の断面厚みが
小さくなって行くような断面形状に形成するのが好まし
い。
【0060】
【効果】この発明の繊維強化格子状構造物は、全体とし
ての強度が極めて大きい。その理由は以下の通りであ
る。
【0061】(1) 縦桟に設けた貫通穴に横桟が挿通され
ている場合および横桟に設けた貫通穴に縦桟が挿通され
ている場合のいずれにおいても、横桟および縦桟は分断
されずに連続しているので、縦桟と横桟との交差部位で
の強度低下が防止される。
【0062】(2) 縦桟と横桟との交差部位が、樹脂の接
着力だけで結合しているのではなく、縦桟の貫通穴に横
桟が挿通され、あるいは横桟の貫通穴に縦桟が挿通され
ているので、これによっても交差部位の機械的強度が補
償される。
【0063】この発明の繊維強化格子状構造物の製造方
法は、(1) 多数の配列された縦桟用長尺部材の貫通穴に
横桟用長尺部材を挿通することにより、あるいは多数の
配列された横桟用長尺部材の貫通穴に縦桟用長尺部材を
挿通することにより、縦桟用長尺部材と横桟用長尺部材
とを格子状に組み立てることができ、その後は硬化させ
るだけで繊維強化格子状構造物を製造することができる
のであるから、組立作業性が非常に良好であり、(2) 繊
維強化格子状構造物における一列の多数の横桟を形成す
るのに1枚の横桟用長尺部材を使用するだけで良いので
あるから、あるいは一列の多数の縦桟を形成するのに1
枚の縦桟用長尺部材を使用するだけで良いのであるか
ら、換言すると縦桟用長尺部材と横桟用長尺部材とで格
子状構造を形成するので部品点数を大幅に低減すること
ができ、
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の一実施例である繊維強化格子
状構造物を示す斜視図である。
【図2】図2はこの発明の一実施例である繊維強化格子
状構造物における縦桟と横桟との交差状態を示す斜視図
である。
【図3】図3はこの発明の他の実施例である繊維強化格
子状構造物を示す側面図である。
【図4】図4はこの発明の他の実施例である繊維強化格
子状構造物を示す平面図である。
【図5】図5はこの発明の一実施例である繊維強化格子
状構造物における横桟を示す一部断面斜視図である。
【図6】図6はこの発明の他の実施例である繊維強化格
子状構造物の一部を示す平面図である。
【図7】図7はこの発明の一実施例である繊維強化格子
状構造物を製造するために使用される外枠部材を示す斜
視図である。
【図8】図8はこの発明の方法に使用される横桟用長尺
板部材を示す斜視図である。
【図9】図9はこの発明の方法に使用される縦桟用長尺
部材を示す斜視図である。
【図10】図10はこの発明の方法に使用される横桟用
長尺部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・繊維強化格子状構造物、2・・・外枠部材、3
・・・縦桟、4・・・横桟、4a・・・貫通穴、5・・
・取付部、6・・・長手方向側面板、7・・・短手方向
側面板、13・・・縦桟用長尺部材、14・・・横桟用
長尺板部材、15・・・横桟用長尺部材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化板である縦桟および横桟を有
    し、縦桟と横桟とが交差する部位で、縦桟に設けられた
    貫通穴に横桟が挿通され、または横桟に設けられた貫通
    穴に縦桟が挿通されてなることを特徴とする繊維強化格
    子状構造物。
  2. 【請求項2】 硬化性を有する樹脂もしくは樹脂組成物
    を含浸してなる硬化性繊維強化部材から縦桟用長尺部材
    および横桟用長尺部材を形成し、縦桟用長尺部材の短手
    方向に沿った複数の貫通穴を所定間隔をもって形成し、
    または横桟用長尺部材の短手方向に沿った複数の貫通穴
    を所定間隔をもって形成し、前記縦桟用長尺部材の貫通
    穴に横桟用長尺部材を挿通して縦桟用長尺部材と横桟用
    長尺部材とを格子状に組み、または横桟用長尺部材の貫
    通穴に縦桟用長尺部材を挿通して縦桟用長尺部材と横桟
    用長尺部材とを格子状に組み、前記硬化性を有する樹脂
    もしくは樹脂組成物を硬化することを特徴とする繊維強
    化格子状構造物の製造方法。
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