JPH0716868B2 - ダイヤモンドワイヤーソー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、石材，コンクリート，建材その他の切断を行
うダイヤモンドワイヤーソーの構造に関する。

〔従来の技術〕

第４図は従来のダイヤモンドワイヤーソーの構造の例を
示す。

同図に示すように、従来のダイヤモンドワイヤーソー
は、基体Ａ上にダイヤモンド層Ｂを電着法あるいはメタ
ル焼結によって形成したダイヤモンドビーズＣをワイヤ
ー芯材Ｄ上に一定間隔で取付けた構造を有する。そし
て、その取付けを強固にするために、ダイヤモンドビー
ズＣとワイヤー芯材Ｄとの間にポリウレタンのような熱
可塑性樹脂の固定材Ｅを介在せしめて、ダイヤモンドビ
ーズＣをワイヤー芯材Ｄ上に固定したものが、ヨーロッ
パ特許公開第0160625号公報に開示されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが、このような構造を有するダイヤモンドワイヤ
ーソーにおいては、切削稼動中に、ビーズ端面と樹脂部
の間に存在する間隙が拡大し、さらに、ビーズＣの幅方
向の衝撃がビーズに作用してビーズ回転が生じ、ワイヤ
ー芯材Ｄのビーズ内面との接触により摩耗して細くなり
切損することがある。

また、ダイヤモンドビーズが回転すると、ビーズが逃げ
るため切断できなくなる。

本発明において解決すべき課題は、かかる従来のダイヤ
モンドビーズの芯材に対する回転の問題を解決して、高
寿命のダイヤモンドワイヤーソーを得ることにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明においては、ビーズの砥石層に接触した固定材の
高さを各ビーズ間に設けた固定材の厚みより大にし、略
各ビーズの高さと同じ高さに盛り上げたものである。

また、ビーズの構造として支持部材に砥材層を設けたダ
イヤモンドビーズ、或いは全体が砥材層のダイヤモンド
ビーズの両端面又は片方の端面に複数個の溝を形成し、
同溝に固定材を充填したことによってビーズと固定材と
の分離を防止し、これによって効果的にビーズの回転を
防止することが可能となる。

溝の断面形状としては、形、Ｖ形、 形等、任意の形状を採ることができ、何れにしろその端
面が凹凸を形成しておれば、その目的を達成することが
できる。

固定材としては、芯材上にビーズを固定する能力があ
り、且つ振動吸収能の高い材料から成り、さらに、適宜
にその表面が摩滅できるように天然ゴム，ネオプレン等
のゴム質材料、あるいはアイオノマー，ポリエチレン，
塩化ビニール樹脂，フッソ樹脂等の熱可塑性樹脂のよう
な弾性材料を用いることができる。

〔実施例〕

第１図〜第３図に示す実施例は、固定材の盛り上がり部
の形成と、ビーズ端面への溝の形成とを複合した例を示
す。

第１図は本発明のダイヤモンドワイヤーソー10の全体構
成を断面によって示す図であり、ワイヤー芯材１に複数
個のダイヤモンドビーズ２を一定間隔で樹脂固定材３に
よって取付け固定したもので、ダイヤモンドビーズ２の
端面に近い部分４の外径がビーズ２の外径と略同一径に
なるように樹脂固定材３を盛り上げ、他の部分に比べそ
の厚みを大きくしたものである。

同ダイヤモンドビーズ２は、第２図に示すように砥材層
21と同砥材層21を支持する支持部材22とからなり、さら
に支持部材22の端部に固定材を充填して係止するための
係止溝23が設けられている。

第３図はそのビーズ２の取付け構造を拡大して示す図で
ある。

同図を参照して、芯材１上にダイヤモンドビーズ２を配
置した状態で、樹脂固定材３を射出成形によってダイヤ
モンドビーズ２相互間および芯材１とダイヤモンドビー
ズ２との間に充填させる。樹脂固定材３はダイヤモンド
ビーズ２の全側面を充填し、他の部分よりも厚く樹脂固
定材３がワイヤー芯材１上を被覆した状態になってい
る。ダイヤモンドビーズ２の外径が11.3mmでワイヤー芯
材１の径が5mmの場合では、その厚みを変化せしめた上
面部分には40mmのアールが形成されている。

また、ダイヤモンドビーズ２の支持部材22の端面に形成
された係止溝23には、樹脂固定材３を充填し、ダイヤモ
ンドビーズ２に対する固定能をさらに高めている。

これらの図に示す外径が11.3mm、内径が7.3mm、長さが7
mm、支持部材の長さが12mm、さらに、同支持部材の端面
に巾3mm、深さ2mmの溝を設けたダイヤモンドビーズ２
を、第１図に示す態様で、5.2mm径のワイヤー芯材１
に、30mm間隔で、アイオノマーからなる樹脂３を射出成
形して得たダイヤモンドワイヤーソー10を作成した。こ
れと同サイズであるが、第４図に示したビーズを用いた
ワイヤーソーと以下の条件で比較テストを行い、表１の
結果を得た。

切断条件 切断機械：原鉄工 2W−HD20型 ワイヤーソー周長:21.69m ワイヤーソー移動速度:1600m/min 被削材：北欧産白御影石 本発明のダイヤモンドビーズを用いたものは、比較例の
ビーズを用いたものに対して、60％以上寿命性能が向上
した。

〔発明の効果〕

本発明のダイヤモンドワイヤーソーは、各ビーズ間にビ
ーズの固定能力があり且つ振動吸収能の高い材料から成
る固定材を配置したことによって、ビーズ先端へ異常な
衝撃が加わるのを防止し、さらにはビーズ端面部の固定
材の厚みを大きくすることによって、ワイヤーの横振動
の発生を抑えると共に、ビーズ固定力も増加させたもの
である。

また、固定材によるビーズの固定力は、固定材を充填す
る溝をビーズ端面に形成することによって顕著に向上す
ることができ、ビーズの回転のみならず前後方向への移
動も同時に防止することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第３図は本発明の実施例を示す。 第１図は全体構成を示す断面図、第２図および第３図は
詳細説明図である。 第４図は従来のワイヤーソーの構造を示す図である。 1:ワイヤー芯材、2:ダイヤモンドビーズ 3:固定材、4:ダイヤモンドワイヤーソー 21:砥材層、22:支持部材 23:係止溝

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ワイヤー芯材上に間隔をおいて複数のダイ
   ヤモンドビーズを樹脂等の固定材によって固定したダイ
   ヤモンドワイヤーソーにおいて、各ビーズと接する固定
   材の厚みを略各ビーズの高さと同じ高さに盛り上げてな
   ることを特徴とするダイヤモンドワイヤーソー。
2. 【請求項２】ダイヤモンドビーズの端面に溝を形成し、
   同溝に固定材を充填したことを特徴とするダイヤモンド
   ワイヤーソー。