JPH07168221A - 非線形光学素子の製造方法 - Google Patents
非線形光学素子の製造方法Info
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- JPH07168221A JPH07168221A JP31332193A JP31332193A JPH07168221A JP H07168221 A JPH07168221 A JP H07168221A JP 31332193 A JP31332193 A JP 31332193A JP 31332193 A JP31332193 A JP 31332193A JP H07168221 A JPH07168221 A JP H07168221A
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- single crystal
- linear optical
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 融解温度で、分解や変質しやすい材料を含む
全ての非線形性を示す化合物の単結晶を高純度に育成す
る。 【構成】 本発明は化合物を多結晶あるいは非晶質化し
た後に融点より低い温度で熱処理することにより単結晶
を育成する非線形光学素子の育成方法である。このう
ち、熱処理については温度勾配中で静止、あるいは温度
勾配中を移動させる事によって行うことが好ましく、融
点より低い温度としては材料の相転移温度等が考えられ
る。さらに、多結晶あるいは非晶質の形成法としては溶
融法・気相法・溶液法のうち、材料によっていずれかの
最適な方法を選択できる。
全ての非線形性を示す化合物の単結晶を高純度に育成す
る。 【構成】 本発明は化合物を多結晶あるいは非晶質化し
た後に融点より低い温度で熱処理することにより単結晶
を育成する非線形光学素子の育成方法である。このう
ち、熱処理については温度勾配中で静止、あるいは温度
勾配中を移動させる事によって行うことが好ましく、融
点より低い温度としては材料の相転移温度等が考えられ
る。さらに、多結晶あるいは非晶質の形成法としては溶
融法・気相法・溶液法のうち、材料によっていずれかの
最適な方法を選択できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、波長変換素子等に用
いられる非線形光学素子の製造方法に関する。
いられる非線形光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、無機材料および有機材料の非線形
光学素子を製造する手段として、非線形光学材料が溶解
する溶媒を用いて、溶媒を蒸発または温度を降下する事
により過飽和状態になることを利用した溶液法、材料を
融解した後に冷やして固化することを利用したブリッジ
マン法,引き上げ法等の融液法、真空中で気化させた非
線形光学材料を基板上に成長させる気相法などにより非
線形光学素子を製造する方法が知られている。
光学素子を製造する手段として、非線形光学材料が溶解
する溶媒を用いて、溶媒を蒸発または温度を降下する事
により過飽和状態になることを利用した溶液法、材料を
融解した後に冷やして固化することを利用したブリッジ
マン法,引き上げ法等の融液法、真空中で気化させた非
線形光学材料を基板上に成長させる気相法などにより非
線形光学素子を製造する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法にはそれぞれ次に示す欠点がある。すなわち、溶
液法においては、用いる溶媒が非線形光学素子中に取り
込まれてしまうために純度が悪く、素子の効率が著しく
低下する,溶融法においては、熱分解や酸化するなど
熱安定性が良くない材料には適応できない,気相法に
おいては厚さを増大することが困難であり所望のサイズ
の素子が作製できない,などの問題があった。
方法にはそれぞれ次に示す欠点がある。すなわち、溶
液法においては、用いる溶媒が非線形光学素子中に取り
込まれてしまうために純度が悪く、素子の効率が著しく
低下する,溶融法においては、熱分解や酸化するなど
熱安定性が良くない材料には適応できない,気相法に
おいては厚さを増大することが困難であり所望のサイズ
の素子が作製できない,などの問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
問題点を克服し、どの様な非線形光学材料に対しても高
品質で高性能な素子を製造する手段を提供するものであ
る。すなわち本発明は非線形光学素子を製造する際に、
非線形光学材料の多結晶或いは非晶質を形成した後に、
融点より低温で熱処理する過程を有することを特徴とし
ている非線形光学素子の製造方法である。この製造方法
において、熱処理の過程はその物質に最適な方法を選択
でき、温度勾配中で静止したまま行っても、又温度勾配
中を移動させてもよい。又、その熱処理温度は非線形光
学材料の相転移温度であってもよい。
問題点を克服し、どの様な非線形光学材料に対しても高
品質で高性能な素子を製造する手段を提供するものであ
る。すなわち本発明は非線形光学素子を製造する際に、
非線形光学材料の多結晶或いは非晶質を形成した後に、
融点より低温で熱処理する過程を有することを特徴とし
ている非線形光学素子の製造方法である。この製造方法
において、熱処理の過程はその物質に最適な方法を選択
でき、温度勾配中で静止したまま行っても、又温度勾配
中を移動させてもよい。又、その熱処理温度は非線形光
学材料の相転移温度であってもよい。
【0005】又、多結晶あるいは非晶質の形成方法は溶
融法,気相法,溶液法等のいずれかの方法が適用され
る。このうち特に溶融法によって結晶形成する際には、
多結晶あるいは非晶質の形成とその後熱処理を施す炉を
同一にすることで、試料を移動することなく多結晶・非
晶質形成および熱処理過程を連続的に行うことが可能で
ある。
融法,気相法,溶液法等のいずれかの方法が適用され
る。このうち特に溶融法によって結晶形成する際には、
多結晶あるいは非晶質の形成とその後熱処理を施す炉を
同一にすることで、試料を移動することなく多結晶・非
晶質形成および熱処理過程を連続的に行うことが可能で
ある。
【0006】
【実施例】以下、図を用いて本発明を説明する。
【0007】有機非線形光学材料である4−(N,N−
ジメチルアミノ)−3−アセタミドニトロベンゼン(以
後、DANと略す)は、非線形光学定数が大きい材料と
して知られている。しかしながら、図1に示すように示
差走査熱分析(DSC)により融解曲線を調べてみる
と、融解時間とともに曲線が変化しており、融点温度で
DANは変質する事がわかる。このような、融点温度に
おいて変質する材料を用いた非線形光学素子を以下に示
す方法で作製した(実施例1〜3、および比較例1、
2)。 (実施例1)まず、一定温度中で結晶を静止させて熱処
理を行う例を示す。合成・精製をした粉末のDAN約1
0gを内径12φのガラス管に入れ、管内を10- 6 t
orr以下の真空とし、材料およびガラス管を約100
℃で約2時間加熱保持した後常温に戻し、管内に不活性
ガスをいれてガラス管を封じ試料管とした。次に、試料
管をDANの融点温度(167℃)に設定されたオーブ
ン中にいれ、DANの融解を確認した後に、直ちに冷却
してDANの多結晶を得た。その後、試料管を融点より
低温の例えば120℃に保たれた炉にいれ、約1週間放
置して取り出した。試料管内には、長さ約30mmにわ
たる単結晶が得られた。 (実施例2)温度勾配中で結晶を移動させた例を示す。
図2に示すような高温部4,低温部5とそれらをコント
ロールする温度調節器6,温度調節器7より構成された
炉を用いて以下のように素子を作製した。まず、実施例
1と同様に作製した試料管1を、高温部中央の温度が融
点温度に温度調節された高温部4にいれてDANを融解
させた後、ただちに試料管1を低温部中央の温度が約5
0℃に温度調節された低温部5に移動させてDANを多
結晶化させた。次に高温部4と低温部5の中央の温度を
それぞれ140℃,40℃に設定する事により、高温部
4と低温部5の境界付近の温度勾配を図3に示すように
形成して、試料管1を移動開始位置Aから移動停止位置
Bまで1時間に1mmの速さで移動して単結晶を得た。
ジメチルアミノ)−3−アセタミドニトロベンゼン(以
後、DANと略す)は、非線形光学定数が大きい材料と
して知られている。しかしながら、図1に示すように示
差走査熱分析(DSC)により融解曲線を調べてみる
と、融解時間とともに曲線が変化しており、融点温度で
DANは変質する事がわかる。このような、融点温度に
おいて変質する材料を用いた非線形光学素子を以下に示
す方法で作製した(実施例1〜3、および比較例1、
2)。 (実施例1)まず、一定温度中で結晶を静止させて熱処
理を行う例を示す。合成・精製をした粉末のDAN約1
0gを内径12φのガラス管に入れ、管内を10- 6 t
orr以下の真空とし、材料およびガラス管を約100
℃で約2時間加熱保持した後常温に戻し、管内に不活性
ガスをいれてガラス管を封じ試料管とした。次に、試料
管をDANの融点温度(167℃)に設定されたオーブ
ン中にいれ、DANの融解を確認した後に、直ちに冷却
してDANの多結晶を得た。その後、試料管を融点より
低温の例えば120℃に保たれた炉にいれ、約1週間放
置して取り出した。試料管内には、長さ約30mmにわ
たる単結晶が得られた。 (実施例2)温度勾配中で結晶を移動させた例を示す。
図2に示すような高温部4,低温部5とそれらをコント
ロールする温度調節器6,温度調節器7より構成された
炉を用いて以下のように素子を作製した。まず、実施例
1と同様に作製した試料管1を、高温部中央の温度が融
点温度に温度調節された高温部4にいれてDANを融解
させた後、ただちに試料管1を低温部中央の温度が約5
0℃に温度調節された低温部5に移動させてDANを多
結晶化させた。次に高温部4と低温部5の中央の温度を
それぞれ140℃,40℃に設定する事により、高温部
4と低温部5の境界付近の温度勾配を図3に示すように
形成して、試料管1を移動開始位置Aから移動停止位置
Bまで1時間に1mmの速さで移動して単結晶を得た。
【0008】実施例1及び2の単結晶を取り出し、結晶
の一部を液体クロマトグラフィーで分析したところ、結
晶化の前後でスペクトルは完全に一致していることが確
認された。また、示差走査熱分析(DSC)により融解
曲線を調べたところ図4に示すように結晶化前後で曲線
は一致した。以上の事から、材料は結晶化の過程で変質
していない事が確認された。 (実施例3)温度勾配中で静止させて単結晶を作製する
例を示す。実施例1と同様に試料管を作製し、複数のヒ
ータおよび温度調節器からなる炉の中央に挿入した。ま
ず、それぞれの温度調節器を調節する事により試料管全
体を融点温度に熱し試料管中のDANを融解した。材料
が融解したところで一旦全てのヒータをOFFとして試
料管を冷やし、材料の多結晶を得た。その後、それぞれ
の温度調節器を調節する事により炉内の温度勾配を図6
に示すように形成し、試料管をそのまま静止保持した。
およそ、100時間後に長さ約40mmに渡る単結晶を
得た。 (比較例1)融液法の1つであるブリッジマン法を用い
た例を示す。実施例1と同様に試料管を作製し、高温部
から低温部に徐々に試料管を移動させて結晶化を行っ
た。高温部の温度はDANの融点167℃とし、低温部
の温度は50℃とした。試料管の移動速度は1時間に約
0.8mmとした。約4日後に約25mmにわたる単結
晶を得た。 (比較例2)溶液法の1つである温度降下法を用いた例
を示す。平底の三角フラスコにメタノール溶媒約150
ccをいれ、合成・精製を行ったDAN約40gをいれ
てかき回し、フラスコ全体を恒温槽につけた。次に、恒
温層の温度を徐々に60℃まであげてDANを完全に溶
かし、フラスコにシリコン栓をした後に、1時間に0.
3℃の割合で溶液の温度を室温まで徐々に降下させて単
結晶を得た。単結晶では(001)面が最も大きく成長
した。結晶のサイズはおおよそ15×7×3mm3 であ
った。
の一部を液体クロマトグラフィーで分析したところ、結
晶化の前後でスペクトルは完全に一致していることが確
認された。また、示差走査熱分析(DSC)により融解
曲線を調べたところ図4に示すように結晶化前後で曲線
は一致した。以上の事から、材料は結晶化の過程で変質
していない事が確認された。 (実施例3)温度勾配中で静止させて単結晶を作製する
例を示す。実施例1と同様に試料管を作製し、複数のヒ
ータおよび温度調節器からなる炉の中央に挿入した。ま
ず、それぞれの温度調節器を調節する事により試料管全
体を融点温度に熱し試料管中のDANを融解した。材料
が融解したところで一旦全てのヒータをOFFとして試
料管を冷やし、材料の多結晶を得た。その後、それぞれ
の温度調節器を調節する事により炉内の温度勾配を図6
に示すように形成し、試料管をそのまま静止保持した。
およそ、100時間後に長さ約40mmに渡る単結晶を
得た。 (比較例1)融液法の1つであるブリッジマン法を用い
た例を示す。実施例1と同様に試料管を作製し、高温部
から低温部に徐々に試料管を移動させて結晶化を行っ
た。高温部の温度はDANの融点167℃とし、低温部
の温度は50℃とした。試料管の移動速度は1時間に約
0.8mmとした。約4日後に約25mmにわたる単結
晶を得た。 (比較例2)溶液法の1つである温度降下法を用いた例
を示す。平底の三角フラスコにメタノール溶媒約150
ccをいれ、合成・精製を行ったDAN約40gをいれ
てかき回し、フラスコ全体を恒温槽につけた。次に、恒
温層の温度を徐々に60℃まであげてDANを完全に溶
かし、フラスコにシリコン栓をした後に、1時間に0.
3℃の割合で溶液の温度を室温まで徐々に降下させて単
結晶を得た。単結晶では(001)面が最も大きく成長
した。結晶のサイズはおおよそ15×7×3mm3 であ
った。
【0009】以上の実施例1〜3および比較例1、2に
よって得られた単結晶はいずれも(001)面をへき開
面として持っていた。それぞれの単結晶の一部を等量取
り出し、DSCにより融解の様子を測定したところ図5
に示すように違いがみられた。実施例1、実施例2及び
実施例3で得られた単結晶の融解曲線が鋭いのに対し
て、溶液法で得た単結晶(比較例2)の曲線は幅が広
く、融液法で得た単結晶(比較例1)では曲線の幅が広
くかつピークの位置が低温側にシフトしている。以上の
点から本発明による単結晶の純度が最も高く、比較例1
では材料が一部変質し純度が最も悪いことが明らかであ
る。比較例2では溶媒が単結晶内に残るために本発明に
よる単結晶に比べて純度が低下していると考えられる。
実施例1〜3、比較例1、2で作製した単結晶からそれ
ぞれ(001)面を厚さ3mmになるように切り出し素
子を作製し、(001)面が自然に成長した実施例2の
単結晶とともに位相整合法により波長変換効率を評価し
た。基本波には、出力1Wで連続発振のNd:YAGレ
ーザを用いた。結果を表1に示す。実施例1〜3により
作製した素子では、融液法による単結晶(比較例1)や
溶液法による単結晶(比較例2)により作製した素子に
比べて、著しく波長変換効率が大きい事が判明した。
よって得られた単結晶はいずれも(001)面をへき開
面として持っていた。それぞれの単結晶の一部を等量取
り出し、DSCにより融解の様子を測定したところ図5
に示すように違いがみられた。実施例1、実施例2及び
実施例3で得られた単結晶の融解曲線が鋭いのに対し
て、溶液法で得た単結晶(比較例2)の曲線は幅が広
く、融液法で得た単結晶(比較例1)では曲線の幅が広
くかつピークの位置が低温側にシフトしている。以上の
点から本発明による単結晶の純度が最も高く、比較例1
では材料が一部変質し純度が最も悪いことが明らかであ
る。比較例2では溶媒が単結晶内に残るために本発明に
よる単結晶に比べて純度が低下していると考えられる。
実施例1〜3、比較例1、2で作製した単結晶からそれ
ぞれ(001)面を厚さ3mmになるように切り出し素
子を作製し、(001)面が自然に成長した実施例2の
単結晶とともに位相整合法により波長変換効率を評価し
た。基本波には、出力1Wで連続発振のNd:YAGレ
ーザを用いた。結果を表1に示す。実施例1〜3により
作製した素子では、融液法による単結晶(比較例1)や
溶液法による単結晶(比較例2)により作製した素子に
比べて、著しく波長変換効率が大きい事が判明した。
【0010】
【表1】
【0011】(実施例4)ベータバリウムボレイト(β
−Ba B2 O4 、以後BBOと略す)を用いた非線形光
学素子を以下に示す方法で作製した。粉末のBBOを直
径20mm深さ100mmの白金るつぼにいれ、大気
中,常圧にて高周波誘導加熱を利用して温度を1100
℃まで上昇させて融解した後短時間で冷却しすると、非
平衡状態で結晶化しBBOの多結晶を得た。次にこの多
結晶を相転移温度以下の例えば800℃〜900℃に加
熱保持すると、多結晶が少しずつ単結晶化し約1週間で
直径20mm長さ30mmのBBOの単結晶を得た。 (比較例3)BBOの作製にあたり、比較としてNa2
Oを35モル%用いたフラックス法により単結晶を作製
した。
−Ba B2 O4 、以後BBOと略す)を用いた非線形光
学素子を以下に示す方法で作製した。粉末のBBOを直
径20mm深さ100mmの白金るつぼにいれ、大気
中,常圧にて高周波誘導加熱を利用して温度を1100
℃まで上昇させて融解した後短時間で冷却しすると、非
平衡状態で結晶化しBBOの多結晶を得た。次にこの多
結晶を相転移温度以下の例えば800℃〜900℃に加
熱保持すると、多結晶が少しずつ単結晶化し約1週間で
直径20mm長さ30mmのBBOの単結晶を得た。 (比較例3)BBOの作製にあたり、比較としてNa2
Oを35モル%用いたフラックス法により単結晶を作製
した。
【0012】実施例4及び比較例3で得られた単結晶を
同方向,同サイズに切り出し光学研磨し、位相整合法に
より、波長変換効率を測定したところ、実施例4による
単結晶を用いた素子の場合には、フラックス法により作
製した単結晶(比較例3)を用いた素子の約2倍もの波
長変換効率を示した。基本波には出力1Wで連続発振す
るNd:YAGレーザを用いた。波長変換効率は、基本
波の自乗に比例するので、基本波に高出力のレーザを用
いればさらに効率が増加する事は言うまでもない。 (実施例5)4−(N,N−ジメチルアミノ)−3−フ
ェニルアセタミドニトロベンゼン(以後、DPANと略
す)を用いた非線形光学素子を以下に示す方法で作製し
た。合成・精製した粉末のDPAN10gを、内径約1
2φのガラス管にいれ、管内を真空とした後に材料およ
びガラス管全体を80℃で2時間加熱し、不活性ガスを
いれて封じ試料管を得た。この試料管を融点(141
℃)に保たれた炉にいれてDPANの融解を確認した後
に、直ちに室温以下に冷却し、DPANの多結晶を得
た。その後、試料管16を約90℃〜120℃の間に存
在するDPANの再吸熱温度(相転移温度)に保持し、
約100時間放置したところ、直径12mm長さ約60
mmに渡る単結晶が得られた。 (比較例4)実施例5の試料管と同様に作製された試料
管を、融点温度(141℃)に保たれた高温部から20
℃に制御された低温部に1時間に0.8mmの速度で徐
々に移動させる事により単結晶が得られた。
同方向,同サイズに切り出し光学研磨し、位相整合法に
より、波長変換効率を測定したところ、実施例4による
単結晶を用いた素子の場合には、フラックス法により作
製した単結晶(比較例3)を用いた素子の約2倍もの波
長変換効率を示した。基本波には出力1Wで連続発振す
るNd:YAGレーザを用いた。波長変換効率は、基本
波の自乗に比例するので、基本波に高出力のレーザを用
いればさらに効率が増加する事は言うまでもない。 (実施例5)4−(N,N−ジメチルアミノ)−3−フ
ェニルアセタミドニトロベンゼン(以後、DPANと略
す)を用いた非線形光学素子を以下に示す方法で作製し
た。合成・精製した粉末のDPAN10gを、内径約1
2φのガラス管にいれ、管内を真空とした後に材料およ
びガラス管全体を80℃で2時間加熱し、不活性ガスを
いれて封じ試料管を得た。この試料管を融点(141
℃)に保たれた炉にいれてDPANの融解を確認した後
に、直ちに室温以下に冷却し、DPANの多結晶を得
た。その後、試料管16を約90℃〜120℃の間に存
在するDPANの再吸熱温度(相転移温度)に保持し、
約100時間放置したところ、直径12mm長さ約60
mmに渡る単結晶が得られた。 (比較例4)実施例5の試料管と同様に作製された試料
管を、融点温度(141℃)に保たれた高温部から20
℃に制御された低温部に1時間に0.8mmの速度で徐
々に移動させる事により単結晶が得られた。
【0013】実施例5によって得られた単結晶とブリッ
ジマンによる単結晶(比較例4)とを、同方位に同サイ
ズに切り出し位相整合法により波長変換効率を評価した
ところ、実施例5により得られた単結晶を用いて作製し
た素子では、比較例4による単結晶により作製した素子
のおよそ3.5倍の波長変換効率を示した。基本波には
出力1Wで連続発振するNd:YAGレーザを用いた。 (実施例6)DANを用いた非線形光学素子を以下に示
す方法で作製した。真空チャンバー中で、洗浄した厚さ
1mmの2枚の鉛ガラス(SF10ガラス)基板上にD
ANを昇華させて厚さ約0.7μmに付着させ、2枚の
ガラスをDANを内側になるように張り合わせて試料を
得た。試料の両面を温度調節器に接続されたシート上の
ヒータで挟み、試料20を温度調節できるように設定し
て真空チャンバー中に再び挿入した。真空チャンバー内
を一度10- 7 torr以下の高真空にした後に、不活
性ガスを充填した。その後、試料の温度が約100℃と
なるように温度調節して約50時間保持し、導波路型の
非線形光学素子を得た。導波路中のDANの厚さは約
0.6μmであった。 (実施例7)DANを用いた非線形光学素子を以下に示
す方法により作製した。ビーカーに、合成・精製したD
ANを約40g入れ、メタノール溶媒を徐々に加えて攪
拌し、DANの飽和溶液を得た。この中に、2枚の鉛ガ
ラス(例えばSF10ガラス)基板を一枚ずつ溶液につ
けて、ディップコート法によりガラス基板上にDANを
付着させた。溶液は、常に飽和になるように調節しなが
ら、ディップコートを繰り返し、付着したDANの厚さ
が約0.9μmになったところで停止した。2枚のDA
Nが付着したガラス基板をDANが内側になるように張
り合わせ、試料を得た。この試料を、例えば90℃に温
度調節されたオーブンにいれて約100時間放置し、2
枚のガラス基板の間に厚さ約1μmのDANの単結晶が
形成された導波路型の非線形光学素子を得た。 (比較例5)厚さ1μmのギャップを設けて張り合わさ
れた2枚のSF10ガラス基板内に融解したDANを毛
細管現象により挿入させた後、一方からゆっくりと徐冷
することにより非線形光学素子を得た。
ジマンによる単結晶(比較例4)とを、同方位に同サイ
ズに切り出し位相整合法により波長変換効率を評価した
ところ、実施例5により得られた単結晶を用いて作製し
た素子では、比較例4による単結晶により作製した素子
のおよそ3.5倍の波長変換効率を示した。基本波には
出力1Wで連続発振するNd:YAGレーザを用いた。 (実施例6)DANを用いた非線形光学素子を以下に示
す方法で作製した。真空チャンバー中で、洗浄した厚さ
1mmの2枚の鉛ガラス(SF10ガラス)基板上にD
ANを昇華させて厚さ約0.7μmに付着させ、2枚の
ガラスをDANを内側になるように張り合わせて試料を
得た。試料の両面を温度調節器に接続されたシート上の
ヒータで挟み、試料20を温度調節できるように設定し
て真空チャンバー中に再び挿入した。真空チャンバー内
を一度10- 7 torr以下の高真空にした後に、不活
性ガスを充填した。その後、試料の温度が約100℃と
なるように温度調節して約50時間保持し、導波路型の
非線形光学素子を得た。導波路中のDANの厚さは約
0.6μmであった。 (実施例7)DANを用いた非線形光学素子を以下に示
す方法により作製した。ビーカーに、合成・精製したD
ANを約40g入れ、メタノール溶媒を徐々に加えて攪
拌し、DANの飽和溶液を得た。この中に、2枚の鉛ガ
ラス(例えばSF10ガラス)基板を一枚ずつ溶液につ
けて、ディップコート法によりガラス基板上にDANを
付着させた。溶液は、常に飽和になるように調節しなが
ら、ディップコートを繰り返し、付着したDANの厚さ
が約0.9μmになったところで停止した。2枚のDA
Nが付着したガラス基板をDANが内側になるように張
り合わせ、試料を得た。この試料を、例えば90℃に温
度調節されたオーブンにいれて約100時間放置し、2
枚のガラス基板の間に厚さ約1μmのDANの単結晶が
形成された導波路型の非線形光学素子を得た。 (比較例5)厚さ1μmのギャップを設けて張り合わさ
れた2枚のSF10ガラス基板内に融解したDANを毛
細管現象により挿入させた後、一方からゆっくりと徐冷
することにより非線形光学素子を得た。
【0014】実施例6、7及び比較例5によって得られ
た非線形光学素子をメーカフリンジ法により評価した。
実施例6、7によって得られた素子では比較例5によっ
て得られた素子と比較してそれぞれ約1.5倍及び1.
2倍の性能を得ることが確認された。
た非線形光学素子をメーカフリンジ法により評価した。
実施例6、7によって得られた素子では比較例5によっ
て得られた素子と比較してそれぞれ約1.5倍及び1.
2倍の性能を得ることが確認された。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による非線
形光学素子の作製方法は、多結晶や非晶質を形成した後
に、融点以下の温度で熱処理することにより形成したこ
とを特徴としたために、融点以上の温度に長時間さらさ
れないために、融点温度以上で分解または変質する非線
形光学材料に対しても、高効率な非線形光学素子を提供
できる。また、他の物質が含まれる事なく作製できるた
めに、高純度な単結晶が得られ、高効率な非線形光学素
子が作製できる。
形光学素子の作製方法は、多結晶や非晶質を形成した後
に、融点以下の温度で熱処理することにより形成したこ
とを特徴としたために、融点以上の温度に長時間さらさ
れないために、融点温度以上で分解または変質する非線
形光学材料に対しても、高効率な非線形光学素子を提供
できる。また、他の物質が含まれる事なく作製できるた
めに、高純度な単結晶が得られ、高効率な非線形光学素
子が作製できる。
【図1】 DANの大気中でのDSCによる融解曲線を
示した図である。
示した図である。
【0016】
【図2】 実施例2に示した素子作製に用いた炉の構成
を示した図である。
を示した図である。
【0017】
【図3】 図2の炉内の温度勾配を示した図である。
【0018】
【図4】 実施例1及び2で作製した結晶の、結晶化の
前後でのDANの融解曲線を示した図である。
前後でのDANの融解曲線を示した図である。
【0019】
【図5】 実施例1,2及び3、比較例1及び2で作製
した結晶におけるDANの融解曲線の違いを示した図で
ある。
した結晶におけるDANの融解曲線の違いを示した図で
ある。
【0020】
【図6】 実施例3に示した熱処理過程の際に加えた温
度勾配を示した図である。
度勾配を示した図である。
【0021】
1 試料管 2、3 センサー 4 高温部 5 低温部 6、7 温度調節器 8 単結晶
Claims (7)
- 【請求項1】 非線形光学素子を製造する際に、非線形
光学材料の多結晶或いは非晶質を形成した後に融点より
低温で熱処理することによって単結晶を形成することを
特徴とする非線形光学素子の製造方法。 - 【請求項2】 温度勾配中で静止、あるいは温度勾配中
を移動させる事によって熱処理を行うことを特徴とする
請求項1記載の非線形光学素子の製造方法。 - 【請求項3】 非線形光学材料の相転移温度で熱処理す
ることを特徴とする請求項1記載の非線形光学素子の製
造方法。 - 【請求項4】 溶融法によって多結晶あるいは非晶質を
形成することを特徴とする請求項1記載の非線形光学素
子の製造方法。 - 【請求項5】 気相法によって多結晶あるいは非晶質を
形成することを特徴とする請求項1記載の非線形光学素
子の製造方法。 - 【請求項6】 溶液法によって多結晶あるいは非晶質を
形成することを特徴とする請求項1記載の非線形光学素
子の製造方法。 - 【請求項7】 多結晶あるいは非晶質の形成と、その後
熱処理を同一の炉で連続的に行うことを特徴とする請求
項4記載の非線形光学素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31332193A JPH07168221A (ja) | 1993-12-14 | 1993-12-14 | 非線形光学素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31332193A JPH07168221A (ja) | 1993-12-14 | 1993-12-14 | 非線形光学素子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07168221A true JPH07168221A (ja) | 1995-07-04 |
Family
ID=18039827
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31332193A Pending JPH07168221A (ja) | 1993-12-14 | 1993-12-14 | 非線形光学素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07168221A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5888200A (ja) * | 1981-11-20 | 1983-05-26 | Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd | 形状記憶性Cu−Zn−Al合金の単結晶製造方法 |
JPH02259605A (ja) * | 1989-03-31 | 1990-10-22 | Omron Tateisi Electron Co | 有機単結晶光導波路の製造方法 |
JPH04349200A (ja) * | 1991-05-28 | 1992-12-03 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 有機単結晶の製造方法 |
-
1993
- 1993-12-14 JP JP31332193A patent/JPH07168221A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5888200A (ja) * | 1981-11-20 | 1983-05-26 | Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd | 形状記憶性Cu−Zn−Al合金の単結晶製造方法 |
JPH02259605A (ja) * | 1989-03-31 | 1990-10-22 | Omron Tateisi Electron Co | 有機単結晶光導波路の製造方法 |
JPH04349200A (ja) * | 1991-05-28 | 1992-12-03 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 有機単結晶の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 19970121 |