JPH0716718Y2 - 昇降機構のバランサー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は昇降機構により昇降する収納ケースを備える床
下収納庫等に用いて好適な昇降機構のバランサーに関す
る。

〔背景技術及び課題〕

一般に、床下収納庫は収納ケースが床面の下方に存在す
るため、物の出入れに無理な姿勢を強いられたり、重い
物の取出しに苦労する等の不具合がある。このため、動
力を用いた昇降機構により収納ケースを昇降させ、物の
収納時や取出時には収納ケースを床面の上方まで上昇で
きるようにした床下収納庫も提案されている。

ところで、床下収納庫の収納ケースには通常ビールビン
等の比較的重い物品を収納することも少なくなく、収納
ケース全体ではかなり重くなる。

このため、収納ケースを上昇させる際には昇降機構の駆
動部に対し大きな負荷がかかり、逆に下降の際には駆動
部を加速する大きな外力が付加されることになる。

一方、昇降機構の昇降物に対して昇降時にその重量をバ
ランスさせるためのバランサーは知られているが、床下
収納庫の場合、バランサーを大型化せざるを得ない反
面、配設スペースが制限され、容易に付設できない難点
がある。

本考案はこのような背景技術に存在する課題を解決した
昇降機構のバランサーの提供を目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係る昇降機構のバランサー１は、例えば昇降機
構により昇降する床下収納庫の収納ケース等の昇降物Ｗ
をスプリングにより上昇方向に付勢するバランサーを構
成するに際して、ベース２と、ベース２に対して回動自
在に設けた回動ドラム３と、回動ドラム３に一端を固定
して巻回し、かつ他端を昇降物Ｗに固定するワイヤ４
と、回動ドラム３をワイヤ４を巻付ける方向に付勢する
スプリング５と、ワイヤ４をガイドし、かつワイヤ４の
繰出し位置を変更可能なワイヤガイド６を備えたことを
特徴としている。この場合、ワイヤガイド６はワイヤ４
を挿通するフレキシブルなガイドチューブ6aを用いて構
成できる。

〔作用〕

本考案に係る昇降機構のバランサー１によれば、スプリ
ング２の付勢作用によってワイヤ４が回動ドラム３に巻
付られ、これにより、ワイヤ４に接続した昇降物Ｗを上
昇方向に付勢する。この結果、上昇時及び下降時には共
に昇降物Ｗに対して見掛上の重量を軽減する。

また、スプリング２と昇降物Ｗ間は柔軟性を有するワイ
ヤ４により接続し、かつワイヤガイド６のガイド作用に
よって昇降物Ｗに対するワイヤ４の繰出し位置を変更で
きるため、バランサー１の取付位置は昇降機構の位置に
関係なく選定可能となるとともに、取付位置の選定によ
り大型のバランサー１を設置可能になる。

〔実施例〕

以下には、本考案に係る好適な実施例を挙げ、図面に基
づき詳細に説明する。

まず、第１図〜第３図を参照して本考案に係るバランサ
ー１の構成について説明する。

バランサー１はベース２を備え、ベース２は取付板を兼
ねるベースプレート11と、このベースプレート11に固定
し、かつ後述する回動ドラム３を覆うカバープレート12
からなる。

ベースプレート11とカバープレート12間には支軸13を固
定し、この支軸13に、内部に中空部3pを形成した回動ド
ラム３を回動自在に支持せしめる。

回動ドラム３の外周面には螺旋溝3sを設け、この螺旋溝
3sの一端部にワイヤ４の一端を固定するとともに、ワイ
ヤ４を螺旋溝3sに沿って順次巻付ける。

また、回動ドラム３の中空部3pには第３図に示すよう
に、一端を支軸13に固定し、かつ他端を回動ドラム３の
内面に固定した渦巻バネ5a（スプリング５）を配設す
る。渦巻バネ5aはワイヤ４が回動ドラム３に完全に巻付
けた状態から完全に繰出す状態まで、ワイヤ４を巻付方
向に付勢するように装着する。

一方、ベースプレート11にはガイドチューブホルダ15を
固定し、同ホルダ15の先端には軸垂直方向にフレキシブ
ルなガイドチューブ6aの一端を取付ける。そして、回動
ドラム３から繰出した前記ワイヤ４の他端側はガイドチ
ューブ6aの内部を通し、その他端（先端）から導出せし
める。

次に、このようなバランサー１を用いて好適な昇降機構
を含む床下収納庫について、第４図及び第５図を参照し
て説明する。

床下収納庫Ａは住宅における台所の床下に設置するもの
で、床面21には開閉式の蓋部22を付設した開口部23を設
ける。

開口部23の下方には上面が開口した箱形の支持フレーム
24を設置し、この支持フレーム24の内部に昇降機構Ｍを
配設する。昇降機構Ｍは支持フレーム24の内部側面にお
ける隅部にそれぞれ配した四基のガイド機構部25…を備
える。一つのガイド機構部25は支持フレーム24に固定し
た上下方向のガイドレール26と、ガイドレール26にスラ
イド自在に取付けたスライダ27と、スライダ27に一体に
固定した支持部28からなる。なお、残りの三基のガイド
機構部25…も同様に構成する。よって、各支持部28…に
より収納ケースＣの四隅底部が支持される。

また、支持フレーム24の底面上には、その前側に駆動部
29aを設置するとともに、後側に駆動部29bを設置する。
駆動部29aは第５図に示すように、駆動モータ30と伝達
ギア機構31を備え、さらに伝達ギア機構31は駆動モータ
30の出力軸に設けたウォームギア32、このウォームギア
32に噛合するウォームホイール33及びこのウォームホイ
ール33に同軸一体のピニオン34を備えて構成する。な
お、他方の駆動部29bも同様に構成する。

さらにまた、駆動部29aのピニオン34の180°対向する位
置には一対のギアードワイヤ35…を噛合し、各ギアード
ワイヤ35…の先端は前側に位置する左右の支持部28…に
それぞれ結合する。他方、駆動部29b側も同様に構成
し、一対のギアードワイヤ35…の先端は後側に位置する
左右の支持部28…にそれぞれ結合する。さらに、各駆動
部29a、29bにおける一方のギアードワイヤ35…は駆動部
29aと29b間の中間位置に配した回動自在の共有ピニオン
36に噛合し、移動速度を同期させる。

よって、駆動モータ30…を作動させれば、ギアードワイ
ヤ35…は進退移動して支持部28…をガイドレール26…に
沿って昇降させ、さらに、収納ケースＣを昇降させる。

一方、本考案は係るバランサー１は四つ用意し、第１図
に示すように、各ガイドチューブ6a…の先端を各ガイド
レール26…の上端に結合するとともに、各ワイヤ４…の
先端を各スライダ27…の上端に結合する。また、バラン
サー１…のベース２…は第４図に示すように、配設スペ
ースを確保できる所定の床構成材にネジ止めして取付け
る。よって、バランサー１は昇降機構Ｍの構造に関係な
く取付けることができるとともに、取付場所も任意に選
択できる。なお、既設の昇降機構に対しても後付けによ
り取付可能である。また、取付場所が任意に選択できる
ため、バランサー１の大きさも任意のものを利用でき、
特に、床下収納庫における比較的重い収納ケースＣに対
しては大型のバランサー１も使用可能となる。バランサ
ー１は実施例の場合、四つ設置したが、二つを対称位置
に設けてもよいし、一つ又は三つの使用を妨げるもので
はない。

他方、本考案に係るバランサー１は第６図に示すように
自動車のウィンドガラス51を昇降するウィンドレギュレ
ータ52に設けてもよい。この場合、バランサー１のガイ
ドチューブ6aはガイドレール53の上端に結合し、ワイヤ
４はスライダ54に結合する。よって、自動車ドア55の内
部スペースは極めて限られているが、任意の空スペース
に配設できるとともに、従来、操作ハンドル56等の回転
軸に付設していたバランサーを不要とし、操作ハンドル
56周りの機構を簡略化かつ小型化できる。なお、57は伝
達ワイヤ、58、59は伝達ワイヤをガイドするガイド部、
60は伝達ワイヤを巻回したドラムである。

以上、実施例について詳細に説明したが、本考案はこの
ような実施例に限定されるものではない。例えば、用途
としては戸棚に対する昇降機構を備えた家庭用の吊戸棚
や他の任意の昇降物に対しても同様に適用できる。ま
た、ワイヤガイドとしてガイドチューブを例示したが、
ワイヤをガイドし、かつ位置が可動するガイド片やガイ
ドローラ等を利用したものでもよい。その他、細部の構
成、形状等において本考案の要旨を逸脱しない範囲で任
意に変更できる。

〔考案の効果〕 このように、本考案に係る昇降機構のバランサーはベー
スに対して回動自在に設けた回動ドラムと、回動ドラム
に一端を固定して巻回し、かつ他端を昇降物に固定する
ワイヤと、回動ドラムをワイヤを巻付ける方向に付勢す
るスプリングと、ワイヤをガイドし、かつワイヤの繰出
し位置を変更可能なワイヤガイドを備えてなるため、次
のような顕著な効果を奏する。

バランサーの取付場所を任意に選定でき、取付上の自
由度が向上する。このため、配設スペースが限られた設
置場所にも容易に付設できる。

任意の場所に設置でき、しかも、昇降機構の構造等に
関係なく取付けが可能なため、大型のバランサーも使用
でき、比較的重い収納ケースを備えた床下収納庫に最適
である。

既設の昇降機構に対しても後付けにより取付可能であ
り、汎用性に優れる。

【図面の簡単な説明】

第１図：本考案に係る昇降機構のバランサーを床下収納
庫に付設した状態を示す正面図、 第２図：同バランサーの平面図、 第３図：第２図中Ｅ−Ｅ線断面図、 第４図：同バランサーを付設した床下収納庫の縦断正面
図、 第５図：同床下収納庫における昇降機構の駆動部及びギ
アードワイヤの原理的構成図、 第６図：同バランサーを付設した自動車のウィンドレギ
ュレータの原理的構成図。 尚図面中、 1:バランサー、2:ベース 3:回動ドラム、4:ワイヤ 5:スプリング、6:ワイヤガイド 6a:ガイドチューブ、W:昇降物

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】昇降機構における昇降物をスプリングによ
   り上昇方向に付勢する昇降機構のバランサーにおいて、
   ベースと、ベースに対して回動自在に設けた回動ドラム
   と、回動ドラムに一端を固定して巻回し、かつ他端を昇
   降物に固定するワイヤと、回動ドラムをワイヤを巻付け
   る方向に付勢するスプリングと、ワイヤをガイドし、か
   つワイヤの繰出し位置を変更可能なワイヤガイドを備え
   てなることを特徴とする昇降機構のバランサー。
2. 【請求項２】ワイヤガイドはワイヤを挿通するフレキシ
   ブルなガイドチューブを用いたことを特徴とする請求項
   １記載の昇降機構のバランサー。