JPH07167066A - ダブルカートリッジタイプのオイルポンプ - Google Patents

ダブルカートリッジタイプのオイルポンプ

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JPH07167066A
JPH07167066A JP5341526A JP34152693A JPH07167066A JP H07167066 A JPH07167066 A JP H07167066A JP 5341526 A JP5341526 A JP 5341526A JP 34152693 A JP34152693 A JP 34152693A JP H07167066 A JPH07167066 A JP H07167066A
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cartridges
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Abstract

(57)【要約】 【目的】2つのポンプカートリッジを備えたオイルポン
プのキャビテーションの発生回転数を高める。 【構成】ポンプボディ2内にメインおよびサブの2つの
ポンプカートリッジ8,10と、これら両ポンプカート
リッジ8,10から吐出された圧油を動力舵取装置P.
S.に選択的に供給するコントロールバルブ52が収容
されている。コントロールバルブ52が作動すると、サ
ブポンプカートリッジ10からの吐出油の全量が吸込側
低圧室46に還流し、メインポンプカートリッジ8から
の吐出油は一部が動力舵取装置P.S.に供給され余剰
流量が上記吸込側低圧室46に還流する。このメインポ
ンプカートリッジ8からの還流穴74内にタンクからの
吸込通路47が開口している。上記サブポンプカートリ
ッジ10からの還流量の一部をメインポンプカートリッ
ジ8側へ給送するための絞り部80が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオイルポンプに係り、特
に、ポンプボディ内に2つのポンプカートリッジが直列
に配置されたダブルカートリッジタイプのオイルポンプ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車に搭載され、運転者のハ
ンドル操作力を軽減する動力舵取装置において、その油
圧発生源として用いられるオイルポンプは、通常、自動
車のエンジンで回転駆動され、その吐出量はエンジンの
回転数に応じて増減する。従って、このようなオイルポ
ンプでは、エンジンの低回転域、すなわち、オイルポン
プからの吐出量が小さいときでも、上記動力舵取装置な
どの油圧機器の作動に支障のない充分な流量が供給でき
る容量を有することが要求される。
【0003】しかし、このような容量を設定すると、エ
ンジンの高回転域において不必要に大きな流量が供給さ
れることになり、無駄であるばかりか、このポンプ駆動
のためにエンジンの消費馬力が増大し、自動車用エンジ
ンの燃費に大きく影響するもので、省エネルギー対策上
好ましくない。
【0004】このため、従来から、容量の小さい2台の
ポンプカートリッジと、これら両ポンプカートリッジか
ら吐出された圧力流体を流体機器に選択的に供給する制
御部とを組合わせることによって、低速時には両ポンプ
カートリッジから吐出された圧力流体を合流させて流体
機器に供給し、高速時には一方のポンプカートリッジの
みを流体機器への圧力流体供給用として用い、他方はポ
ンプカートリッジの吸込側に接続して無負荷とし、その
消費馬力の低減化を図るようにしている。
【0005】このような2つのポンプカートリッジを備
えた従来のオイルポンプの一例を図12ないし図15に
より説明する。図12は従来のダブルカートリッジタイ
プのオイルポンプの縦断面図であり、フロントボディ4
とリアボディ6とから構成されたポンプボディ2内に、
第1のポンプカートリッジ(メインポンプカートリッ
ジ)8および第2のポンプカートリッジ(サブポンプカ
ートリッジ)10とこれら両ポンプカートリッジ8,1
0から吐出される圧油の供給量を制御する制御部12と
が一体的に組込まれ、また、これらを適宜接続する流体
通路が形成されている。
【0006】これを詳述すると、上記リアボディ6の中
央部には、フロントボディ4側に開口を有する有底のポ
ンプ収納空間14が形成され、このポンプ収納空間14
内に、その底部側(図1の右側)から上記第1および第
2の2つのポンプカートリッジ8,10が軸方向に並ん
で収容配置されている。そして、これら両ポンプカート
リッジ8,10は、上記フロントボディ4の中心に形成
された孔4aを貫通して挿入された共通のドライブシャ
フト16によって回転駆動され、それぞれポンプ動作を
行なうようになっている。なお、図中の18,20は上
記フロントボディ4の中央の孔4a内に軸方向に所定の
間隔をおいて配置された2つのベアリングで、これら両
ベアリング18,20によって上記ドライブシャフト1
6が回転自在に支持されている。また、22はポンプボ
ディ2内の液密を保持するオイルシールである。
【0007】上記第1および第2の2つのポンプカート
リッジ8,10は、従来周知のベーンポンプの構成を有
しており、上記ドライブシャフト16のポンプボディ2
内に挿入されている先端部に、スプライン結合等により
連結された2つのロータ24,26と、これら各ロータ
24、26の外周側に円周方向等間隔で形成された放射
方向のスリット内に進退動自在に嵌挿された複数枚のベ
ーン28,30と、これらロータ24、26の周囲にそ
れぞれ配置され、ロータ24、26の回転に伴ってベー
ン28、30の先端が摺接するカム面を有するカムリン
グ32、34とを備えている。
【0008】これら2つのポンプカートリッジ8,10
間には、上記ドライブシャフト16に嵌合されてその軸
線方向に摺動可能な一枚の中間プレート36が介装さ
れ、両ポンプカートリッジ8,10のサイドプレートの
役割を兼用している。また、上記リアボディ6内のポン
プ収納空間14の底部には、この空間14よりも小径な
くぼみで第1のポンプカートリッジ8からの圧油が導か
れる第1のポンプ吐出側圧力室38が形成されている。
このポンプ吐出側圧力室38と上記第1のポンプカート
リッジ8との間にはプレッシャプレート40が配置され
ており、このプレッシャプレート40に形成されている
吐出口40cを介して第1のポンプカートリッジ8から
上記ポンプ吐出側圧力室38内に圧油が吐出されるよう
になっている。
【0009】さらに、このプレッシャプレート40の第
1のポンプカートリッジ8側の面上には、4個所の円弧
状溝40a,40bおよびこれら円弧状溝40a,40
bを互いに連通する絞り通路(図示せず)が形成されて
いる。これら円弧状溝40a,40bのうち吸込領域に
位置する円弧状溝40bの1つがプレッシャプレート4
0を貫通する通路として上記吐出側圧力室38内に連通
しており、吐出側圧力室38内の油圧をこれらの円弧状
溝40a,40b等を介して各ベーン28の背面側(ロ
ータ24のスリットの底部側)に導入してこれらベーン
28を外方側へ向けて押圧し、ポンプ作動時にベーン2
8の先端が確実にカムリング32の内周カム面に摺接す
るようにしている。
【0010】プレッシャプレート40に形成された円弧
状溝40a,40bと同様の円弧状溝36a,36b
が、中間プレート36の第1のポンプカートリッジ8側
の面上にも向かい合うようにして形成されている。この
ようにプレッシャプレート40と中間プレート36とに
同形状の溝40a,40b,36a,36bを形成する
ことにより、第1のポンプカートリッジ8に加えられる
力をその両側で均衡させるようにしている。なお、上記
第1のポンプ吐出側圧力室38は、リアボディ6内に形
成された吐出通路41、メータリングオリフィス43お
よび吐出ポート42等を介して動力舵取装置P.S.等
の油圧機器に接続されている。
【0011】一方、上記フロントボディ4は、リアボデ
ィ6のポンプ収納空間14の開口部に嵌合してこれを閉
塞する小径の円筒部4bを有し、その内方側端面が上記
第2のポンプカートリッジ10の側面に当接している。
そしてこのフロントボディ4は、第2のポンプカートリ
ッジ10のプレッシャプレートの役割を果たすととも
に、この第2のポンプカートリッジ10から圧油が吐出
される第2のポンプ吐出側圧力室を兼ねるサブ通路44
を有している。また、上記小径の円筒部4bの外周に
は、このサブ通路44に連通する環状溝4cが形成され
ている。さらに、上記リアボディ6のポンプ収納空間1
4の内周面と両ポンプカートリッジ8,10の外面との
間には、これら両ポンプカートリッジ8,10の吸込口
に連通する低圧室46が形成されている。この吸込側低
圧室46内には、リアボディ6に形成された吸込ポート
(図示せず)および吸込通路47を介してタンクから作
動油を吸入するとともに、後に説明する制御部12のス
プールバルブを介してオーバーフローする作動油が流入
するようになっている。
【0012】上記中間プレート36の第2ポンプカート
リッジ10側の面上には、第1のポンプカートリッジ8
側と同様の円弧状溝36c,36dおよびこれらを接続
する絞り通路(図示せず)が形成され、また、フロント
ボディ4の第2のポンプカートリッジ10側の端面に
も、上記円弧状溝36c,36dおよび絞り通路と向か
い合うようにして同様の円弧状溝4d,4eおよび絞り
通路が形成されている。中間プレート36の円弧状溝3
6c,36dのうち吸込領域の円弧状溝36dが貫通穴
36eによって第1のポンプカートリッジ8側の吸込側
に位置する円弧状溝36bに連通して、上記第1のポン
プ吐出側圧力室38内の油圧が導入されており、上記第
1のポンプカートリッジ8と同様に第2のポンプカート
リッジ10のベーン30の背面側にも圧油を導入してこ
れらベーン30をカムリング34に押付けるようになっ
ている。なお、48は上記両ポンプカートリッジ8,1
0のカムリング32,34、中間プレート36、プレッ
シャプレート40およびフロントボディ4等の回転方向
の位置決めを行なう位置決めピンである。
【0013】また、上記リアボディ6内には、第1およ
び第2のポンプカートリッジ8,10から吐出された圧
油を吐出ポート42等を介して動力舵取装置P.S.等
の油圧機器に選択的に供給する制御部12が設けられて
いる。この制御部12について図13により説明する。
リアボディ6には、上記ポンプ収納空間14と平行にバ
ルブ孔50が形成され、スプールバルブ52が摺動自在
に嵌合している。このスプールバルブ52は、バルブ孔
50のフロントボディ4側の液室54内に収容されたス
プリング56によってリアボディ6の底部側に向けて付
勢され、非作動時には、その端面に固定されたストッパ
ピン58がバルブ孔50の底面に当って停止している。
【0014】バルブ孔50内の、ストッパピン58側の
液室60は、通路62を介して第1のポンプカートリッ
ジ8の上記吐出側圧力室38に連通している(図12参
照)。また、この吐出側圧力室38から、動力舵取装置
P.S.等の油圧機器に圧油を供給する吐出通路41に
設けられたメータリングオリフィス43の下流側が、導
入通路63等を介して上記バルブ孔50内のスプリング
56を収容した液室54内に連通しており、両ポンプカ
ートリッジ8,10から吐出されてこのメータリングオ
リフィス43を通過する流量が所定値を越えると、メー
タリングオリフィス43の前後の差圧によって、スプー
ルバルブ52がスプリング56に抗して図の左方へ移動
する。
【0015】リアボディ6には、バルブ孔50に平行し
て通路孔68が形成され、これらバルブ孔50と通路孔
68とはその中央部で接続穴69によって接続されてい
る。この通路孔68の一端には、上記第2のポンプカー
トリッジ10のサブ通路44に連通する通路70が開口
しており、他端には、チェックバルブ72が設けられて
いる。このチェックバルブ72の下流側は、上記第1の
ポンプカートリッジ8の吐出側圧力室38からの通路6
2に連通しており、第2のポンプカートリッジ10から
吐出され、チェックバルブ72を開いて流出した圧油
は、第1のポンプカートリッジからの吐出油と合流して
動力舵取装置P.S.に送られる。
【0016】スプールバルブ52の外周面には、3本の
環状溝52a,52b,52cが形成されており、非作
動時には、その中間の環状溝52bに上記接続穴69が
開口している。また、スプールバルブ52の非作動時に
おける第1の環状溝52aおよび第3の環状溝52cに
は、上記両ポンプカートリッジ8,10の周囲に形成さ
れた吸込側低圧室46へのオーバーフロー穴74および
76がそれぞれ開口している(図12およびポンプボデ
ィ2の内面を示す図14参照)。さらに、これらのオー
バーフロー穴74,76のうち第1のポンプカートリッ
ジ8寄りに開口しているオーバーフロー穴74には、こ
のオーバーフロー穴74と直交する方向に交叉し、か
つ、中心線がずれた位置にタンクTからの吸込通路47
が開口している(図14および図15参照)。
【0017】上記ダブルカートリッジタイプのオイルポ
ンプの作動について図16および図17により説明す
る。図16はエンジンの低回転時における状態を示すも
ので、第1のポンプカートリッジ8から吐出されたオイ
ルは、吐出側圧力室38から、吐出通路41、メータリ
ングオリフィス43および吐出ポート42を経て動力舵
取装置P.S.へ送られる。このメータリングオリフィ
ス43の上流側の油圧は、通路62を介してバルブ孔5
0のストッパピン58側の液室60内に導入され、一
方、上記メータリングオリフィス43の下流側の油圧
は、導入通路63等を介してバルブ孔50のスプリング
56を収容した液室54内に導入されており、メータリ
ングオリフィス43の上流側の油圧と下流側の油圧と
が、スプールバルブ52の両端面にそれぞれ作用してい
る。エンジンの回転数が低い場合には、メータリングオ
リフィス43での圧力損失が少なく、スプリング56の
セットフォース以上の差圧は発生しないため、スプール
バルブ52は、図16に示すように作動しない。従っ
て、第2のポンプカートリッジ10から吐出され、サブ
通路44、フロントボディ4の環状溝4cおよび通路7
0を経て通路孔68に導入された圧油は、接続穴69が
スプールバルブ52によって閉鎖されているため、チェ
ックバルブ72を開き、上記第1のポンプカートリッジ
8からの吐出油と合流して、全量が動力舵取装置P.
S.に供給される。
【0018】エンジンの回転数が上昇して両ポンプカー
トリッジ8,10からの吐出量が増大して、メータリン
グオリフィス43を通過する流量が増加し、このメータ
リングオリフィス43の前後の差圧がスプリング56の
セットフォースよりも大きくなると、スプールバルブ5
2が作動する(図17の状態)。スプールバルブ52が
作動すると、バルブ孔50のストッパピン58側の室6
0内と第1のポンプカートリッジ8寄りのオーバーフロ
ー穴74が連通し、第1ポンプカートリッジ8からの吐
出油の一部が両ポンプカートリッジ8,10の周囲に形
成された吸込側低圧室46へ還流され、また、第2のポ
ンプカートリッジ10からの吐出油が導入される通路孔
68の接続穴69が、スプールバルブ52の第2の環状
溝52bを介して第2ポンプカートリッジ10寄りのオ
ーバーフロー穴76に連通し、第2のポンプカートリッ
ジ10からの吐出油の全量が吸込側低圧室46へ還流さ
れる。
【0019】上記のように、エンジンの高回転時にスプ
ールバルブ52が作動して、両ポンプカートリッジ8,
10からの吐出油の一部または全部が、両ポンプカート
リッジ8,10の周囲の吸込側低圧室46に還流する場
合に、第1のポンプカートリッジ8から吐出されてオー
バーフローした作動油は、吸込側低圧室46内の第1の
ポンプカートリッジ8寄りに流入し、この第1のポンプ
カートリッジ8の周囲に沿って流れてこの第1のポンプ
カートリッジ8の両サイドに設けられた吸込口から第1
のポンプカートリッジ8内に吸入される。また、第2の
ポンプカートリッジ10から吐出されてオーバーフロー
した作動油は、吸込側低圧室46内の第2のポンプカー
トリッジ10寄りに流入し、この第2のポンプカートリ
ッジ10の周囲を流れて、この第2のポンプカートリッ
ジ10の両サイドの吸込口から内部に吸入される。
【0020】第2のポンプカートリッジ10から吐出さ
れた作動油は、全量が上記吸込側低圧室46内に還流
し、このオーバーフローした流量のほぼ全量が再び第2
のポンプカートリッジ10内に吸入されて単に循環する
ようになっている。一方、第1のポンプカートリッジ8
では、吐出された圧油の一部は動力舵取装置P.S.に
供給され、余剰流量が吸込側低圧室46内に還流し、ほ
ぼこの還流量が第1のポンプカートリッジ10内に吸込
まれる。従って、第1のポンプカートリッジ10側での
循環では、動力舵取装置P.S.に供給された量だけ作
動油が不足するので、この不足分をタンクTからの吸込
通路47を介して吸込側低圧室46内に汲み上げるよう
になっている。タンクTからの吸込通路47は、図14
および図15に示すように、第1のポンプカートリッジ
8寄りに設けられているスプールバルブ52からのオー
バーフロー穴74と交叉する方向に、かつ、部分的にオ
ーバラップするように形成されており、スプールバルブ
52を介して還流する流れを利用してタンクからの吸込
効率を上げるようにしている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のダブルカー
トリッジタイプのオイルポンプでは、第2のポンプカー
トリッジ(サブポンプカートリッジ)10側は、吐出さ
れた油量のほぼ全量が、内部通路およびスプールバルブ
で構成されるバイパス通路を介して循環しているので、
損失が殆どなく、吸込効率が良いため第1のポンプカー
トリッジ(メインポンプカートリッジ)8に比べてキャ
ビテーションが発生しにくい。これに対して、第1のポ
ンプカートリッジ8では、動力舵取装置P.S.への供
給油量分だけタンクTから汲み上げるようにしているの
で、上記第2のポンプカートリッジ10よりも吸込効率
が悪く、先にキャビテーションを発生してしまう。
【0022】本発明は上記欠点を除くためになされたも
ので、第2のポンプカートリッジ(サブポンプカートリ
ッジ)からオーバーフローする流量の一部を第1のポン
プカートリッジ(メインポンプカートリッジ)のオーバ
ーフロー穴側(タンクからの吸込通路側)へ送って、両
ポンプカートリッジの吸込効率のバランスを取ることに
より、キャビテーションの発生する回転数を高めるよう
にしたダブルカートリッジタイプのオイルポンプを提供
することを目的とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明に係るダブルカー
トリッジタイプのオイルポンプは、ポンプボディと、こ
のポンプボディ内に収容されて直列に配置されたメイン
およびサブの2つのポンプカートリッジと、上記ポンプ
カートリッジからの吐出流量の増大に応じて作動するコ
ントロールバルブとを備え、このコントロールバルブの
作動によって、サブポンプカートリッジからの吐出油の
全量を、両ポンプカートリッジの外周と上記ポンプボデ
ィの内周面との間に形成された吸込側低圧室内のサブポ
ンプカートリッジ寄りに還流させるとともに、メインポ
ンプカートリッジからの吐出油の一部を油圧機器へ供給
しその余剰流量を上記吸込側低圧室のメインポンプカー
トリッジ寄りへ還流させ、かつ、上記吸込側低圧室のメ
インポンプカートリッジ側に開口する吸込通路を介して
タンクから作動油を吸込むようにしたものであって、特
に、上記サブポンプカートリッジから上記吸込側低圧室
内に還流するオイルを、メインポンプカートリッジ側に
送る給送手段を設けたものである。
【0024】
【作用】上記構成に係るダブルカートリッジタイプのオ
イルポンプでは、サブポンプカートリッジからオーバー
フローした作動油の一部をメインポンプカートリッジ側
へ送り、メインポンプカートリッジからのオーバーフロ
ー油と合流させてメインポンプカートリッジに吸込ませ
るので、動力舵取装置P.S.に供給した分だけ不足し
た作動油をタンクから汲み上げる際のスーパーチャージ
効果が向上する。また、2つのポンプカートリッジの吸
込効率のバランスがとれるので、キャビテーションの発
生回転数を高めることができる。
【0025】
【実施例】以下、図面に示す実施例により本発明を説明
する。図1は本発明の一実施例に係るダブルカートリッ
ジタイプのオイルポンプを示すもので、図2のI−I線
に沿う断面図、図2は図1のII−II線に沿う断面
図、図3は図1のIII−III線に沿う断面図であ
り、ポンプボディ2内に収容された2つのポンプカート
リッジ(メインポンプカートリッジ8,サブポンプカー
トリッジ10)およびこれらのポンプカートリッジ8,
10から吐出された圧力流体を流体機器に選択的に供給
する制御部12の基本的構成は、上記従来のオイルポン
プと変るところがないので、同一の部分には同一の符号
を付してその説明を省略する。
【0026】本実施例の特徴とするところは、リアボデ
ィ6の内周面と両ポンプカートリッジ8,10の外周面
の間に絞り部80を設けたことにある(図3ないし図5
参照)。上記のような従来のダブルカートリッジタイプ
のオイルポンプのリアボディ6内周面は、図15に示す
ように、全周に亘って、両ポンプカートリッジ8,10
のカムリング32,34の外周面と等距離にあり、従っ
て、第1のポンプカートリッジ8から吐出された流量の
うち余剰流量がオーバーフロー穴74から還流すると、
リアボディ6の内周面と第1のポンプカートリッジ8の
外周面との間を円周方向に流れて、第1のポンプカート
リッジ8の両サイドの吸込口から第1のポンプカートリ
ッジ8内に吸込まれる。また、第2のポンプカートリッ
ジ10から吐出されてオーバーフロー穴76から還流し
た作動油は、リアボディ6の内周面と第2のポンプカー
トリッジ10の外周面との間の空間を円周方向に流れ
て、第2のポンプカートリッジ10の両サイドの吸込口
から第2のポンプカートリッジ10内に吸込まれる。こ
れに対して、本実施例では、リアボディ6に形成された
2つのオーバーフロー穴74,76の両側に平行して2
本の突条80a,80b(図4参照)から成る絞り部8
0が設けられている。この2本の突条80a,80bに
よって、リアボディ6の内周面と両ポンプカートリッジ
8,10の外周面との間の間隙が絞られており(図3お
よび図5参照)、オーバーフロー穴74,76から吸込
側低圧室46内へ還流した作動油が、ポンプカートリッ
ジ8,10の外周に沿って円周方向に流れることを抑制
して、両突条80a,80bの間を通って他方のオーバ
ーフロー穴74,76側へ流れ易くしている。
【0027】この実施例では、エンジンの高回転時、両
ポンプカートリッジ8,10からの吐出油量が増大し
て、メータリングオリフィス43の前後の差圧が大きく
なりスプールバルブ52が作動すると、第2のポンプカ
ートリッジ10から吐出されて、この第2のポンプカー
トリッジ10寄りのオーバーフロー穴76を介して吸込
側低圧室46内に還流した作動油は、2本の突条80
a,80bから成る絞り部80が形成されているために
リアボディ6の内面に沿って円周方向に流れにくいた
め、第2のポンプカートリッジ10の吸込口10a,1
0b(図3参照)に吸入される流量が減少し、その減少
分が、2本の突条80a,80bの間の流路にそって、
第1のポンプカートリッジ8からの吐出油の一部が還流
するオーバーフロー穴74の方向に流れる。その結果、
第1のポンプカートリッジ8からのオーバーフローの流
れと、第2のポンプカートリッジ10からのオーバーフ
ローの流れの一部とが合流した流れによって、タンクに
連通する吸込通路47からの吸入のスーパーチャージ効
果を高めると同時に、第1のポンプカートリッジ8と第
2のポンプカートリッジ10との吸込効率のバランスを
高め、キャビテーションが高回転域まで発生しないよう
にすることができる。
【0028】本実施例に係るオイルポンプと従来のオイ
ルポンプとの作動油の流れを、図6および図7に示す回
路図により説明する。従来のダブルカートリッジタイプ
のオイルポンプでは、第1のポンプカートリッジ(メイ
ンポンプカートリッジ)8から吐出された圧油は、メー
タリングオリフィス43を通って動力舵取装置P.S.
へ送られ、この動力舵取装置P.S.を経てタンクTへ
還流する。メータリングオリフィス43を通過する流量
が少ない低回転域では、スプールバルブ52が作動しな
い(図6の状態)ので、第1のポンプカートリッジ8か
ら吐出された圧油の全量が動力舵取装置P.S.へ送ら
れ、また、第2のポンプカートリッジ10から吐出され
た圧油も、全量がチェックバルブ72を開いて上記第1
のポンプカートリッジ8からの吐出油と合流して動力舵
取装置P.S.へ送られる。
【0029】そして、エンジンの回転数が上昇して、メ
ータリングオリフィス43を通過する流量が増大してス
プールバルブ52が作動すると、第2のポンプカートリ
ッジ10から吐出された圧油は、スプールバルブ52を
介してこの第2のポンプカートリッジ10の吸込側へ還
流して循環し(図6の矢印A参照)、一方、第1のポン
プカートリッジ8から吐出された圧油(図6の矢印B)
は、図6中に矢印Cで示すように、調整された流量だけ
が動力舵取装置P.S.に供給され、余剰流量は矢印D
で示すように、第1のポンプカートリッジ8の吸込側へ
還流する。第2のポンプカートリッジ10では、ほぼ全
量が循環しているので吸込効率が良いが、第1のポンプ
カートリッジ8では、動力舵取装置P.S.への供給分
だけ不足するため、この分をタンクTから汲み上げてい
る(矢印E参照)。
【0030】これに対し、本実施例では、スプールバル
ブ52が作動したときには、第2のポンプカートリッジ
10から吐出され、スプールバルブ52を介してその吸
込側へ還流する作動油(図7の矢印F)の一部(図7の
矢印G)が、絞り部80の作用によって、第1のポンプ
カートリッジ8の吸込側へ送られる。従って、この第2
のポンプカートリッジ10側でも、第1のポンプカート
リッジ8に送られて不足した分の作動油をタンクTから
汲み上げる(図7の矢印H)。一方、第1のポンプカー
トリッジ8では、吐出油量(図7の矢印J)のうち動力
舵取装置P.S.に供給される流量(図7の矢印K)の
余剰分がスプールバルブ52を介してその吸込側へ還流
される(図7の矢印L)とともに、第2のポンプカート
リッジ10から送られてきた流量(図7の矢印G)も吸
入するので、タンクTからの汲み上げ(図7の矢印M)
を効率良く行なうことができる。このように第2のポン
プカートリッジ10のオーバーフロー油を強制的に第1
のポンプカートリッジ8の吸込側へ送ることにより、2
つのポンプカートリッジ8,10の吸込効率のバランス
を取ることができ、キャビテーションの発生する回転数
を従来よりも高くすることができる。
【0031】次に、図8ないし図11により第2の実施
例について説明する。図8ないし図10は上記第1の実
施例の図1ないし図3に対応する図であり、図11はリ
アボディ6の内面と両ポンプカートリッジ8,10の外
周面との間に形成された環状の空間(吸込側低圧室4
6)内に嵌合されたスリーブ90の斜視図である。この
実施例では、スリーブ90がリアボディ6のポンプ収納
空間14の内面に嵌着されている。このオイルポンプの
2つのポンプカートリッジ8,10およびその中間のプ
レート36の外径は、上記ポンプ収納空間14の内周面
よりも小径であり、また、ポンプ収納空間14の内面に
は、幅広の環状溝14aが形成されている。従って、ポ
ンプ収納空間14と両ポンプカートリッジ8,10との
間の環状の空間から成る吸込側低圧室46は、スリーブ
90によって、外周側の空間46aと内周側の空間46
bとに区画されている(図10参照)。このスリーブ9
0には、第1のポンプカートリッジ8の周囲に位置する
部分に、内外を貫通する穴90aが複数個形成されてい
る(図11参照)。
【0032】この実施例では、エンジンが高回転になっ
て、両ポンプカートリッジ8,10からの吐出油量が増
大し、スプールバルブ52が作動した場合には、第1の
ポンプカートリッジ8から吐出された圧油の一部が動力
舵取装置P.S.に供給され、余剰流量はオーバーフロ
ー穴74から吸込側低圧室46内のスリーブ90よりも
外側の空間46aに還流し、そのまま貫通穴90aから
スリーブ90の内周側の空間46bに内に入り、第1の
ポンプカートリッジ10の吸込口8a,8bからこの第
1のポンプカートリッジ8内に吸込まれる。一方、第2
のポンプカートリッジ10から吐出された圧油は、通路
孔68の接続穴69から第2のポンプカートリッジ10
寄りのオーバーフロー穴76を通って、吸込側低圧室4
6内に還流する。吸込側低圧室46内は、スリーブ90
によって内外に区画されており、第2のポンプカートリ
ッジ8から還流した作動油はスリーブ90の外周側の空
間46aに流入するが、第2のポンプカートリッジ10
寄りには内外を連通する穴が設けられていないので、そ
のままスリーブ90の内周側へ入ることができず、第1
のポンプカートリッジ8側のオーバーフロー穴74およ
びタンクTからの吸込通路47の形成されている方向へ
流れ、その後、上記第1のポンプカートリッジ8からオ
ーバーフローした作動油と合流してスリーブ90の内外
を貫通する穴90aからスリーブ90の内側に流入す
る。スリーブ90の内周側の空間46bに流入した作動
油は、第1のポンプカートリッジ8および第2のポンプ
カートリッジ10の吸込口から各ポンプカートリッジ
8,10内に吸込まれる。このように、第2のポンプカ
ートリッジ10から還流した作動油を、スリーブ90に
よって、タンクTからの吸込通路47が形成されている
第1のポンプカートリッジ8側へ強制的に送ることによ
り、タンクTからの吸入の効率を向上させることができ
る。なお、この実施例では、スリーブ90の第1のポン
プカートリッジ8寄りにだけ内外を貫通する穴90aを
形成したが、第2のポンプカートリッジ10寄りに上記
貫通穴よりも小さい貫通穴を形成するようにしても良
い。また、このように第1のポンプカートリッジ8側と
第2のポンプカートリッジ10側とに大小の貫通穴を形
成すれば、これら貫通穴の数、サイズおよび位置等を適
宜選択することにより、第1のポンプカートリッジ8側
へ送る作動油の量を調節して、第1のポンプカートリッ
ジ8と第2のポンプカートリッジ10との吸込効率のバ
ランスを最も好ましい条件に設定することも可能であ
る。
【0033】
【発明の効果】本発明に係るダブルカートリッジタイプ
のオイルポンプは、サブポンプカートリッジから吸込側
低圧室内に還流したオーバーフロー油を、タンクから新
規の作動油を汲み上げる吸込通路と交叉して開口してい
るメインポンプカートリッジ側のオーバーフロー穴のほ
うへ送るので、タンクからの新規作動油の汲み上げを効
率良く行なうことができる。また、メインポンプカート
リッジとサブポンプカートリッジとの吸込効率のバラン
スを向上させるもとにより、キャビテーションの発生す
る回転数を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るダブルカートリッジタ
イプのオイルポンプを示すもので、図2のI−I線に沿
う断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】上記ダブルカートリッジタイプのオイルポンプ
のポンプボディ(リアボディ)の内面を示す縦断面図で
ある。
【図5】図4に示すポンプボディの要部の横断面図であ
る。
【図6】従来のダブルカートリッジタイプのオイルポン
プの圧油の流れを示す回路図である。
【図7】本発明の一実施例に係るダブルカートリッジタ
イプのオイルポンプの圧油の流れを示す回路図である。
【図8】第2の実施例に係るダブルカートリッジタイプ
のオイルポンプを示すもので、図9のVIII−VII
I線に沿う断面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図8のX−X線に沿う断面図である。
【図11】スリーブの斜視図である。
【図12】従来のダブルカートリッジタイプのオイルポ
ンプの縦断面図である。
【図13】従来のダブルカートリッジタイプのオイルポ
ンプの制御部の縦断面図である。
【図14】従来のダブルカートリッジタイプのオイルポ
ンプのポンプボディ(リアボディ)の内面を示す縦断面
図である。
【図15】図14に示すポンプボディの要部の横断面図
である。
【図16】従来のダブルカートリッジタイプのオイルポ
ンプの制御部の作動を説明する図であり、エンジンの低
回転時を示す。
【図17】従来のダブルカートリッジタイプのオイルポ
ンプの制御部の作動を説明する図であり、エンジンの高
回転時を示す。
【符号の説明】
P.S. 油圧機器(動力舵取装置) 2 ポンプボディ 8 メインポンプカートリッジ(第1のポンプカート
リッジ) 10 サブポンプカートリッジ(第2のポンプカート
リッジ) 46 吸込側低圧室 52 コントロールバルブ(スプールバルブ) 80 給送手段(絞り部)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプボディと、このポンプボディ内に
    収容されて直列に配置されたメインおよびサブの2つの
    ポンプカートリッジと、上記ポンプカートリッジからの
    吐出流量の増大に応じて作動するコントロールバルブと
    を備え、このコントロールバルブの作動によって、サブ
    ポンプカートリッジからの吐出油の全量を、両ポンプカ
    ートリッジの外周と上記ポンプボディの内周面との間に
    形成された吸込側低圧室内のサブポンプカートリッジ寄
    りに還流させるとともに、メインポンプカートリッジか
    らの吐出油の一部を油圧機器へ供給しその余剰流量を上
    記吸込側低圧室のメインポンプカートリッジ寄りへ還流
    させ、かつ、上記吸込側低圧室のメインポンプカートリ
    ッジ側に開口する吸込通路を介してタンクから作動油を
    吸込むようにしたダブルカートリッジタイプのオイルポ
    ンプにおいて、上記サブポンプカートリッジから上記吸
    込側低圧室内に還流するオイルを、メインポンプカート
    リッジ側に送る給送手段を設けたことを特徴とするダブ
    ルカートリッジタイプのオイルポンプ。
  2. 【請求項2】上記ポンプボディの内面に、両ポンプカー
    トリッジからの吐出油を吸込側低圧室内にそれぞれ還流
    させる2つの還流口の両側に位置するように平行な2本
    の突条を形成して、ポンプボディの内面と両ポンプカー
    トリッジの外面との間を絞り、この絞り部を上記給送手
    段としたことを特徴とする請求項1に記載のダブルカー
    トリッジタイプのオイルポンプ。
  3. 【請求項3】上記ポンプボディの内周面と2つのポンプ
    カートリッジの外面との間の吸込側低圧室内に、スリー
    ブを配置してこの吸込側低圧室を内外に区画し、かつ、
    このスリーブのメインポンプカートリッジ寄りに貫通穴
    を形成してこのスリーブを上記給送手段としたことを特
    徴とする請求項1に記載のダブルカートリッジタイプの
    オイルポンプ。
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