JPH0716596B2 - 非水溶性物質の可溶化水溶液の製造方法 - Google Patents

非水溶性物質の可溶化水溶液の製造方法

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JPH0716596B2
JPH0716596B2 JP23452086A JP23452086A JPH0716596B2 JP H0716596 B2 JPH0716596 B2 JP H0716596B2 JP 23452086 A JP23452086 A JP 23452086A JP 23452086 A JP23452086 A JP 23452086A JP H0716596 B2 JPH0716596 B2 JP H0716596B2
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位代子 三木
一夫 中西
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株式会社ヤトロン
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、非水溶性物質、特に脂質を可溶化した水溶
液の製造方法に関するものである。
<従来の技術> 従来、モノ−、ジ−、トリ−グリセライド、コレステロ
ール、リン脂質等の脂質を主とする非水溶性物質を溶解
するには、有機溶媒を使用する方法、または界面活性剤
を使用して乳化液(エマルジョン)とする方法があっ
た。
しかし、有機溶媒は揮発性のため溶液の濃度が変化した
り、酵素等の蛋白質を変性させてしまう欠点が有り、ま
た乳化液は透明ではなく、保存中に乳化が壊れて分離し
たりする欠点があった。
以上の欠点を解消するものとして、先に「非水溶性物質
の可溶化水溶液の製造方法」(特公昭59−39168号(特
許第127160号))が公知である。この方法は、非水溶性
物質を非イオン界面活性剤の水溶液に加え、撹拌しなが
ら加熱し一旦非イオン界面活性剤の曇点より高い温度に
上げ、非水溶性物質を親油性の増した非イオン界面活性
剤に溶解させた後、更に撹拌しながら曇点以下に冷却
し、可溶化(透明)水溶液を得るものである。
<発明が解決しようとする問題点> しかしながら、この方法(前記特許第127160号)は、溶
液(混濁液)を非イオン界面活性剤の曇点以上の温度に
上げた後、曇点以下の温度に下げなければならず、実験
室的には簡単であっても、大量生産する場合には、その
ための設備を必要とし、また加熱・冷却等の操作手順も
面倒であった。
<問題点を解決するための手段> そこでこの発明は、ビルダーを添加して曇点を降下させ
ると共に、曇点以上の温度に保持した非イオン界面活性
剤の混濁液(水溶液)に非水溶性物質を溶解する(A)
工程、(A)工程終了後の混濁液(水溶液)を稀釈し
て、曇点を混濁液の液温以上に上昇させて非水溶性物質
の透明溶液を得る(B)工程、を順次経ることによっ
て、ビルダーを添加して前記混濁液の曇点を降下させ
て、混濁液を加熱する必要性をなくすると共に、混濁液
を稀釈することにより、ビルダーの濃度を低下させて、
混濁液を冷却しなくても、曇点を混濁液の液温以上に上
昇させて透明溶液を得ることができるようにした、非水
溶性物質の可溶化水溶液の製造方法を提供することを目
的として開発したものである。
この発明において、水に可溶化させる非水溶性物質は、
主として、モノ−グリセライド、ジ−グリセライド、ト
リ−グリセライド、コレステロール、遊離型コレステロ
ール、リン脂質等の脂質である。
この発明に使用する非イオン界面活性剤としては、主と
してポリオキシエチレン誘導体が使用される。そして、
ポリオキシエチレン誘導体としては、ポリオキシエチレ
ン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリ
オキシエチレンオクチルフェニルフェノール、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられ
る。
この発明に使用するビルダーとしては、リン酸水素ナト
リウム、ポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエ
ン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム(以上アル
カリ性)、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム(以上中
性)、硫酸水素ナトリウム(酸性)等の無機、または有
機のナトリウム塩が汎用されるが、必要に応じて他のア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が使用される場合
もある。
これらのビルダーの選択は、実際には最終的に作製しよ
うとする非水溶性物質の溶液のpHに合せて行なわれる。
例えばタングステン酸ナトリウムをビルダーとして使用
する場合には、このビルダーは、酸性側では濁りを生ず
るので、調整しようとする非水溶性物質の溶液がアルカ
リ性の場合に使用すると有利である(タングステン酸ナ
トリウムは、pH8.0では20%w/v溶解しても問題がな
い。)。
この発明においては、非イオン界面活性剤の水溶液、ま
たは混濁液の液温を加熱、または冷却操作によって上下
させることなく、非水溶性物質の透明溶液を得ることを
目的とするから、通常非イオン界面活性剤の水溶液(混
濁液)の曇点を常温以下に降下させる観点から、ビルダ
ーの濃度(添加量)を決定する。すなわち、この発明に
係る非水溶性物質の透明溶液を製造する際においては、
通常まず非イオン界面活性剤の水溶液を作成し、それに
選択したビルダーを少しずつ添加し、溶液が室温におい
て混濁する点を目安としてビルダーの添加量を決めれば
よい。この添加量は、各製造環境の室温により異なるも
のである。
この発明に使用する非水溶性物質が溶解している非イオ
ン界面活性剤の混濁液を稀釈する液体には、通常水、ま
たは緩衝液が使用されるが、この場合にも、前記したビ
ルダーを選択する場合と同様に、最終的に作成しようと
する非水溶性物質の溶液のpHを考慮して選択すると有利
である。
なお、この発明は非水溶性物質を透明な水溶液とする
(水に溶解する)ことを目的とするから、通常前記した
溶液(混濁液)を絶えず強力に(激しく)混合・流動す
る必要があり、この手段として撹拌操作が行なわれるの
が一般である。
<実施例1> 蒸留水90mlに非イオン界面活性剤としてポリオキシエチ
レン高級アルコール(エマルゲン709,曇点約56℃,花王
アトラス社製)10gを溶解し、ビルダーとして硫酸ナト
リウム10gを加え室温(25℃)にて撹拌する。この液は
濁った状態となるが、そのままトリオレイン1gを添加し
て約3時間激しく撹拌する。液は濁った状態であるが、
かまわずこの液を、50mM,pH6.8ベス緩衝液で10倍稀釈す
ることにより透明な溶液が得られた。
このように調整したトリオレイン水溶液(目標値100mg/
dl)のトリオレイン含有量を、中性脂肪測定用試薬を使
用して常法により測定したところ、99.6mg/dlのトリオ
レイン水溶液として算出された。
また、この溶液について、λ=340nmの吸光度を蒸留水
に対して測定したところ、0.024であった。
更に、この溶液を、4℃、25℃、37℃の3区分の温度で
3月間保存してトリオレイン含有量を測定したところ、
いずれも全く変化がなく、またいずれも濁りを生じず、
極めて安定な水溶液であった。
<実施例2> 蒸留水90mlに非イオン界面活性剤としてポリオキシエチ
レン高級アルコール(エマルゲン507,曇点約50℃+花王
アトラス社製)4gを溶解し、ビルダーとして塩化ナトリ
ウム10gを加え室温(25℃)にて撹拌する。この液は濁
った状態となるが、そのままトリオレイン0.4gを添加し
て約3時間激しく撹拌する。液は濁った状態であるが、
かまわずこの液を蒸留水で4倍稀釈することにより透明
な溶液が得られた。
このように調整したトリオレイン水溶液(目標値100mg/
dl)のトリオレイン含有量を、実施例1と同様に中性脂
肪測定用試薬を使用して常法により測定したところ、9
8.1mg/dlのトリオレイン水溶液として算出された。
また、この溶液について、λ=340nmの吸光度を蒸留水
に対して測定したところ、0.021であった。
更に、この溶液を、4℃、25℃、37℃の3区分の温度で
3月間保存してトリオレイン含有量を測定したところ、
いずれも全く変化がなく、またいずれも濁りを生じず、
極めて安定な水溶液であった。
<実施例3> 蒸留水900mlに非イオン界面活性剤としてポリオキシエ
チレン高級アルコール(エマルゲン707,曇点約33℃,花
王アトラス社製)10gを溶解し、ビルダーとして塩化ナ
トリウム5gを加え室温(25℃)にて撹拌する。この液は
濁った状態となるが、そのままトリオレイン2gを添加し
て約2時間激しく撹拌する。液は濁った状態であるが、
かまわずこの液を、10mM,pH7.9トリス緩衝液で10倍稀釈
することにより透明な水溶液を得ることができた。
この溶液について、λ=340nmの吸光度を蒸留水に対し
て測定したところ、0.016であった。
これらの実施例1〜実施例3で得られた水溶液と、これ
らの実施例の配合からビルダーを除いた配合(実施例1
〜実施例3の従来法)で、撹拌と超音波により調製した
溶液の外観と、λ=340nmの吸光度は第1表の通りであ
った。
以上の表の数値は、本発明の実施例の溶液が、従来法に
よって調製された溶液と比較して如何に透明度が高いか
を示すものである。
<実施例4> 蒸留水90mlに非イオン界面活性剤としてポリオキシエチ
レン高級アルコール(エマルゲン709,曇点約56℃,花王
アトラス社製)10gを溶解し、ビルダーとして塩化ナト
リウム10gを加え室温(25℃)にて撹拌する。この液は
濁った状態となるが、そのままレシチン1gを添加して約
3時間激しく撹拌する。液は濁った状態であるが、かま
わずこの液を蒸留水で10倍稀釈することにより透明な溶
液が得られた。
また、この溶液を、4℃、25℃、37℃の3区分の温度で
3月間保存したが、いずれも濁りを生じず、極めて安定
な水溶液であった。
<発明の効果> 以上のようにこの発明に係る非水溶性物質の可溶化水溶
液の製造方法によれば、非イオン界面活性剤の溶液(混
濁液)の温度を上下させることなく非水溶性物質の安
定、かつ透明な水溶液を簡単に製造することができるの
で、加熱・冷却等の繁雑な設備や操作を省略することが
でき、特に大量の非水溶性物質の水溶液を製造するのに
効果が大きい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の(A)、(B)工程を順次経ることを
    特徴とする非水溶性物質の可溶化水溶液の製造方法。 (A)工程:ビルダーを添加して曇点を降下させると共
    に、曇点以上の温度に保持した非イオン界面活性剤の混
    濁液(水溶液)に非水溶性物質を溶解する工程 (B)(A)工程終了後の混濁液(水溶液)を稀釈して
    曇点を降下させて非水溶性物質の透明溶液を得る工程
  2. 【請求項2】非水溶性物質が、脂質である特許請求の範
    囲第1項記載の非水溶性物質の可溶化水溶液の製造方
    法。
  3. 【請求項3】非イオン界面活性剤がポリオキシエチレン
    誘導体である特許請求の範囲第1項記載の非水溶性物質
    の可溶化水溶液の製造方法。
  4. 【請求項4】ビルダーを選択するに際し、非水溶性物質
    の可溶化水溶液の最終的pHを考慮する特許請求の範囲第
    1項記載の非水溶性物質の可溶化水溶液の製造方法。
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