JPH07165559A - 寒天オリゴ糖及び/又はそのエステル化物を含有する化 粧料 - Google Patents

寒天オリゴ糖及び/又はそのエステル化物を含有する化 粧料

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JPH07165559A JP6100535A JP10053594A JPH07165559A JP H07165559 A JPH07165559 A JP H07165559A JP 6100535 A JP6100535 A JP 6100535A JP 10053594 A JP10053594 A JP 10053594A JP H07165559 A JPH07165559 A JP H07165559A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】本発明は、皮膚に適用した時に、なめらかな感
触やしっとりとした保湿感を与え、しかも従来の保湿剤
や増粘剤で見られがちなべとつき感を与えない、さらっ
とした使用感、仕上がり感を満足しうる新規な寒天オリ
ゴ糖及びそのエステル化物を含有する化粧料を提供する
ことを目的とする。 【構成】テングサ、オゴノリ等のガラクタン(galactan)
を含む海藻から抽出された寒天(agar)を酵素あるいは酸
分解することによって得られた寒天由来のオリゴ糖及び
/又はそれらのエステル化物を含有する化粧料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、寒天由来の新規なオリゴ糖の化
粧料への応用に関する。更に詳しくは、D−ガラクトー
スと、3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースの重合物
である寒天の、酵素あるいは酸分解物及び/又はそれら
のエステル化物を含有する化粧料に関するものである。
【0002】
【産業上の利用分野】本発明で用いられる寒天オリゴ糖
及びそのエステル化物は、その構成する糖の特性及び重
合度、あるいは、そのオリゴ糖のアルキルエステル化誘
導(化学的修飾)により、疎水性、乃至はその傾向にあ
る性質を有するものである。化粧料など皮膚外用剤への
応用にあって、例えば、化粧料用保湿剤や増粘剤等とし
て広く一般に用いられているアルギン酸やその誘導体、
あるいはアラビアガム、カルボキシメチルセルロースと
いったものに比べ、皮膚に塗布した時のべとつき感がほ
とんど無く、しかも適度な保湿性を有し、極めて優れた
使用感を得ることができる。したがって、液状、ゲル
状、クリーム状、粉状、或は泡状など、その形態を問わ
ず、例えば、シャンプーやリンス、ヘアートニック、整
髪料などといった各種ヘアーケア製品、また、ローショ
ン、クリーム、乳液、ボディーソープなどをはじめとす
る皮膚用化粧料、あるいは入浴剤など浴用の化粧料とい
った各種製品に基剤やエマルジョン改良剤、増粘剤など
として配合し使用することにより、べとつき感を与える
ことなく、なめらかな使用感、しっとりとした保湿感を
得ることができる。また、本発明による寒天オリゴ糖及
びそのエステル化物は、一般細菌に利用されず、防腐対
策に苦慮する必要が少ないことが特徴である。
【0003】
【従来の技術】ガラクトオリゴ糖は腸内細菌で利用され
ず、例えば、乳糖由来のガラクトオリゴ糖は健康食品な
どに応用されてきたが、寒天オリゴ糖については、未だ
その利用は少なく、例えば、食品の老化防止方法(特開
昭62−210955)、食品の防腐方法(特開昭62
−210974)等で提唱されている利用法程度に過ぎ
ないでいた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これまで、化粧料用の
保湿剤や増粘剤等としては、例えば、アルギン酸やその
誘導体、あるいはアラビアガム、カルボキシメチルセル
ロース(CMC)等の多糖体が広く利用されてきたが、
これらは粘り・べとつき感などの問題が多く、さらっと
した使用感や仕上がり感が得られにくいという欠点があ
る。こうした事情から、本発明者らは、使用にあって、
実質的に保湿性を満足できうるものであって、しかもべ
とつき感を与えないような、従来に無い新しい化粧料用
素材の開発を目的となし鋭意研究を進めてきた。
【0005】
【課題を解決するための手段】標記課題を満足すべく素
材の開発にあたり、構成糖が、疎水性である3,6−ア
ンヒドロ−L−ガラクトースと、親水性であるD−ガラ
クトースからなり、それらが交互にβ−1,4結合とα
−1,3結合を繰り返す特異的構造をもつアガロース(a
garose)に着目し、これについて種々の検討を試みてき
た。アガロースは、化1のような構造を示すものであ
り、テングサやオゴノリなどから熱水抽出して得られる
寒天(agar)の主成分である。入手が非常に容易で、しか
も安価に供給することができる多糖体である。
【化1】 このように、アガロースは相反する性質の2種の単糖
が、規則的に交互に配列したユニークな基本構造を有す
ることから、この特質をうまく利用すれば、課題の解決
策として意義ある結果が得られるものと考えられた。
【0006】そこで、本発明者らは寒天を用いて様々な
化学的誘導を試み、それらの理化学的性質の評価、皮膚
や毛髪への適用における官能評価、化粧料としての使用
性などを検討してきた結果、寒天分解酵素(β−アガラ
ーゼ)を作用させて得られた寒天オリゴ糖、そして種々
の無機酸や有機酸を作用させることによって得られた寒
天オリゴ糖、更にそれら寒天オリゴ糖がエステル化され
た化合物が、従来、保湿剤、増粘剤として用いられてき
た多糖体に比べ、肌への感触、及び使用感に優れ、かつ
皮膚や毛髪の柔軟性に必要な水分を適度に付与すること
ができることを見い出した。また、本発明による寒天オ
リゴ糖は、一般細菌には糖質として利用されず、その結
果として皮膚と毛髪を清潔に保つことができるととも
に、防腐性の苦慮といった点で極めて有利であることを
知り、本発明を完成するに至った。尚、本発明における
エステル化物とは、化粧品として許容される、例えば各
種脂肪酸及びアルキレンオキサイド(エチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイドなど)付加物、カルボキシメ
チル化物等を言う。以下に、実施例等を示し、本発明を
より詳しく説明する。
【0007】本発明で用いた寒天分解酵素(β−アガラ
ーゼ)は、岐阜県工業技術センター報告書No.24,(1
992)に発表された、岐阜県山岡町の岐阜県工業技術試験
所山岡町寒天分室付近の土壌から得られた新規な寒天分
解菌より得られたものを使用したが、これに何等特定さ
れるものではない。β−アガラーゼは、β−1,4結合
を特異的に切断し、ネオアガロビオースを構成単位とす
るオリゴ糖(寒天オリゴ糖)を産生する酵素である。ま
た、本発明で酸分解のために用いた酸は硫酸であるが、
その他塩酸、硝酸等の無機酸、あるいは酢酸、クエン
酸、乳酸等の有機酸等を用いることもできる。寒天の加
水分解反応については、特にこだわる事なく一般的に行
われるような方法を採用すればよい。すなわち主とし
て、ネオアガロビオース及びそれを構成単位とするオリ
ゴ糖を含む寒天分解物を得られればよい。その他分解反
応時間についても目的とするオリゴ糖の重合度に応じて
自由に選択すればよい。また、オリゴ糖のエステル化に
ついても、特にこだわる事なく、通常行われている糖類
のエステル化法を採用すればよい。
【0008】
【発明の構成】本発明は、テングサ、オゴノリ等のガラ
クタン(galactan)を含む海藻より抽出された寒天を酵素
あるいは酸分解することによって得られた、寒天由来の
オリゴ糖及び/又はそのエステル化物を含有する化粧料
をもってなる。ここでいう化粧料とは、皮膚の光沢、柔
軟性、潤滑性などを目的としたあらゆる皮膚化粧料及び
毛髪の軟化、光沢、潤滑、及び整髪効果を目的として適
用するすべての整髪料を含むものである。
【0009】
【実施例】酵素分解による寒天オリゴ糖の製造例 1kgの寒天末を1.5%濃度に調製し、沸騰水浴上で加熱
溶解した後、40℃まで冷却する。この寒天溶液に対し、
寒天1g当り粗酵素液2Uを加えて攪拌しながら40℃で15
時間酵素分解反応を行う。その後、再度100℃まで昇温
して酵素を失活させ寒天分解液を得る。これを凍結乾燥
して寒天オリゴ糖1kgを得る。図1は、その分子量推定
のために行ったHPLCによる流出曲線を示す。
【図1】
【0010】
【実施例】酸分解による寒天オリゴ糖の製造例 1kgの寒天末を10%濃度に調製する。ここに1N硫酸
の100mlを加えて攪拌しながら加熱溶解する。この後
100゜Cで2時間加熱し続け加水分解反応を行い寒天
分解液を得る。これを1N水酸化ナトリウムで中和し凍
結乾燥又はスプレードライして寒天オリゴ糖1kgを得
る。
【0011】
【実施例】寒天オリゴ糖エステル化物の製造例 前項実施例で得た寒天オリゴ糖1kgに、ジメチルホルム
アミド6L、ピリジン1.8L、ステアリン酸クロライド7k
gを加え、攪拌下、60℃で反応させた後、溶媒を除去す
る。次いで、残渣をメタノールで数回洗浄し乾燥してス
テアリル化寒天オリゴ糖約3kgを得る。
【0012】
【実施例】寒天オリゴ糖及びそのエステル化物の官能評
価 実施例で得られた寒天オリゴ糖及び/又はそのエステル
化物の評価にあたり、表1の通りの簡単な処方からなる
化粧料を製して、パネラー25名による使用試験を行っ
た。方法は、あらかじめ本発明による寒天オリゴ糖及び
/又はそのエステル化物と置き換え他の基剤を加えて製
したそれぞれの同じ化粧料を、比較対象として準備し、
パネラーには一切内容を知らせることなく、2週間それ
ぞれを自由に比較しながら使用してもらいアンケートを
求めた。
【表1】 尚、アンケートの質問事項は次の通りである。 Q1. 化粧水、エモリエントクリーム、ヘアーリンスそ
れぞれについてお答え下さい。使用して頂いた各4本の
内、他のものに比べ、べとつき感が少なく感じたもの
(さっぱりとした感触感を感じたもの)を1種類選んで
下さい。 Q2. 化粧水、エモリエントクリーム、ヘアーリンスそ
れぞれについてお答え下さい。使用して頂いた各4本の
内、他のものに比べ、しっとりとした保湿感が得られた
と感じたものを1種類選んで下さい。 Q3. 化粧水、エモリエントクリーム、ヘアーリンスそ
れぞれについてお答え下さい。使用して頂いた各4本の
内、他のものに比べ、なめらかな感触であったものを1
種類選んで下さい。 Q4. 化粧水、エモリエントクリーム、ヘアーリンスそ
れぞれについてお答え下さい。使用して頂いた各4本の
内、総合的に判断して化粧品として最も使用感の良かっ
たものを1種類選んで下さい。 表2はその結果である。
【表2】
【0013】簡単な処方における化粧料で、本発明によ
る寒天オリゴ糖及びそのエステル化物は、良い結果が得
られた。そこで、一般に使用されているような各添加剤
などを用い、処方してみて、その使用感を試してみた。
【0014】
【実施例】柔軟化粧水 重量% 1.ソルビット 2 2.1,3−ブチレングリコール 2 3.ポリエチレングリコール1000 1 4.ポリオキシエチレンオレイルエーテル(25E.O.) 2 5.寒天オリゴ糖及び/又はそのエステル化物 0.5 6.エタノール 15 7.香料 適量 8.防腐剤 適量 9.pH調整剤 適量 10.精製水 100とする残余 得られた化粧水は、べとつかずさっぱりとした使用感が
得られた。
【0015】
【実施例】エモリエントクリーム 重量% 1.ミツロウ 2 2.ステアリルアルコール 5 3.ステアリン酸 8 4.スクワラン 10 5.自己乳化型プロピレングリコールモノステアレート 3 6.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 1 7.1,3−ブチレングリコール 8 8.寒天オリゴ糖及び/又はそのエステル化物 1 9.香料 適量 10.防腐剤 適量 11.精製水 100とする残余 得られたエモリエントクリームはのびがよく、さっぱり
とした使用感かつ滑らかな外観を有した物である。
【0016】
【実施例】ヘアクリーム 重量% 1.ステアリン酸 0.5 2.液状ラノリン 1 3.スクワラン 1 4.流動パラフィン 42 5.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 1.5 6.ポリオキシエチレンセチルエーテル(5E.O.) 2.5 7.モノステアリン酸ソルビタン 1.5 8.自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 0.5 9.パラオキシ安息香酸プロピル 適量 10.トリエタノールアミン 適量 11.エデト酸四ナトリウム 1 12.1,3−ブチレングリコール 適量 13.寒天オリゴ糖及び/又はそのエステル化物 1 14.香料 適量 15.精製水 100とする残余 得られたヘアクリームは油性感がなく、さっぱりとして
かつ適度の整髪効果と柔軟でしっかりとした艶が得られ
た。
【0017】
【実施例】セットローション 重量% 1.アクリル樹脂アルカノールアミン液 2 2.寒天オリゴ糖及び/又はそのエステル化物 1 3.エタノール 30 4.グリセリン 2 5.色素、香料 適量 6.パラオキシ安息香酸メチル 適量 7.精製水 100とする残余 得られたセットローションはなめらかな使用感で、スム
ーズなブラッシング感が得られた。
【0018】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られた寒天オリゴ糖(酵素分解)の
HPCH流出曲線を示す。 (分析条件) カラム Shodex Ionpak KS-802 カラム温度 60℃ 溶離液 H2O 流速 1mL/min ポンプ 島津製作所製 LC−4A 検出器 島津製作所製 示差屈折計RID−2A

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テングサ、オゴノリ等のガラクタン(gal
    actan)を含む海藻から抽出された寒天(agar)を酵素ある
    いは酸分解することによって得られる寒天由来のオリゴ
    糖及び/又はそれらのエステル化物を含有する化粧料
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