JPH0716512Y2 - 4輪駆動用駆動連結装置 - Google Patents

4輪駆動用駆動連結装置

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JPH0716512Y2
JPH0716512Y2 JP1987089329U JP8932987U JPH0716512Y2 JP H0716512 Y2 JPH0716512 Y2 JP H0716512Y2 JP 1987089329 U JP1987089329 U JP 1987089329U JP 8932987 U JP8932987 U JP 8932987U JP H0716512 Y2 JPH0716512 Y2 JP H0716512Y2
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shaft
drive
orifice
wheel drive
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は4輪駆動車の前輪駆動軸と後輪駆動軸との間に
介装される駆動連結装置に関し、更に詳述すれば、油圧
ポンプを用いてなる駆動連結装置に関する。
〔従来技術〕
エンジンの駆動力を前輪及び後輪に伝達して走行する4
輪駆動車は、エンジンの駆動力を、無駄なく確実に路面
に伝えることができるため、雪道等の摩擦係数の低い路
面又は砂利道等の荒れた路面での走行性に優れているだ
けでなく、通常の路面においても、2輪駆動車に比較し
て、加速性及び高速走行時の安定性に優れており、路面
の状況及び天候の変化に影響されることなく、あらゆる
走行状態において快適な走行を実現するものとして近年
特に脚光を浴びるようになってきた。
このような4輪駆動車の最も単純な構成は、前輪駆動軸
と後輪駆動軸とをドッグクラッチを用いてリジッドに結
合したものであるが、この構成においては、旋回走行時
における前輪と後輪との旋回半径の相違により、前輪駆
動軸と後輪駆動軸との間に回転速度差が生じた場合に、
これを吸収できず、特に旋回円の内側の後輪がすべりを
生じた状態で引き摺られる現象、所謂タイトコーナブレ
ーキング現象を生じ、操舵感覚の悪化を招来するだけで
なく、前輪駆動軸と後輪駆動軸とを連結するプロペラシ
ャフトに捩りを生じたり、タイヤの異常磨耗を招来する
虞がある。従ってこのような構成の4輪駆動車は、通常
走行時は前記ドッグクラッチを遮断して2輪駆動にて走
行し、雪道等の摩擦係数の低い路面又は砂利道等の悪路
での直進走行時にのみドッグクラッチを係合せしめて4
輪駆動にて走行する、所謂パートタイム4輪駆動車とし
ての用途に限られていた。
そこで、前輪駆動軸と後輪駆動軸との間に両者間の回転
速度差を吸収できる差動歯車,ビスカスカップリング等
の駆動連結装置を介装し、前述のタイトコーナブレーキ
ング現象の発生を防止できる構成とした、所謂フルタイ
ム4輪駆動車が開発されている。このような駆動連結装
置として、特開昭60-104426号及び特開昭61-249827号に
開示されているような油圧ポンプを用いてなるものがあ
る。
これは、前記両駆動軸のいずれか一方と共に回転するロ
ータを、該ロータと同軸上において、他方と共に回転す
るケーシング内に配して油圧ポンプを構成し、該ポンプ
の吐出油路に適宜の絞りを設けた構成を有し、前記両駆
動軸間に相対的な回転速度差が生じた場合に、油圧ポン
プ内部に、この回転速度差に応じた圧力を発生するよう
にしたものであり、この駆動連結装置においては、ロー
タとケーシングとは、両者間に介在する圧油との間に生
ずる摩擦力によって互いに結合され、この摩擦力は、前
記油圧ポンプにおける発生圧力の増減、即ち前記両駆動
軸間の回転速度差の増減に応じて増減するから、両駆動
軸は、両者間の相対的な回転速度差が大である場合に
は、強い結合力にてタイトに連結され、回転速度差が小
である場合には、弱い結合力にてルーズに連結されるこ
とになり、例えば、前輪又は後輪のいずれか一方が雪道
に埋没して空転し、前記両駆動軸間の回転速度差が大に
なった場合には、タイトな結合特性が得られ、他方の車
輪にエンジンの駆動力が確実に伝達される結果、前述の
空転状態から容易に脱出可能であると共に、旋回時等の
前記両駆動軸間の回転速度差が小さい場合には、ルーズ
な結合特性が得られ、この回転速度差が吸収可能であが
ら、前述のタイトコーナブレーキング現象の発生が確実
に防止できる等、4輪駆動用駆動連結装置として優れた
特性を備えたものである。
また、このような駆動連結装置は実開昭60-136225号公
報にも開示されている。この駆動連結装置は、駆動連結
装置の吐出口と吸込口とを連通する連通油路が設けら
れ、この連通油路に、車速の高低に応じてオリフィス径
を調整する流通制御機構を介装させている。
また別に、このような駆動連結装置は実開昭63-23127号
公報にも開示されている。この駆動連結装置は、複数の
ポンプ室ごとに油路が設けられ、複数の吐出口同士を第
1油路によって相互に連結し、逆止め弁によってまとめ
て油溜めに連通させている。また複数の吸込口同士を第
2油路によって相互に連結し、逆止め弁によってまとめ
て油溜めに連通させている。更に第1油路と第2油路と
を副通路で連通させ、副通路にオリフィス及びオリフィ
ス閉塞部材を配設している。
〔考案が解決しようとする問題点〕
ところで4輪駆動車においては、高速での直進走行時,
加速時又は雪道での発進時等の走行状態における安定し
た走行を実現するために、前輪駆動軸と後輪駆動軸との
間に微小な回転速度差が存在する場合に、前記両駆動軸
間にエンジンの駆動力が適宜に配分され、確実に伝達さ
れる特性を有することが望ましい。
しかしながら、油圧ポンプを用いてなる駆動連結装置に
おいては、前輪駆動軸と後輪駆動軸との間の結合力は、
前述した如く、油圧ポンプの発生圧力に依存する一方、
油圧ポンプの発生圧力は前記両駆動軸間の回転速度差に
依存するため、この回転速度差が微小である場合には、
エンジンの駆動力はその大部分が前記両駆動軸のいずれ
か一方に伝達され、他方への駆動力の伝達は極めて小さ
くなる。そのため高速での直進走行時において、急な横
風を受けた場合、又は進路変更を行った場合、殆ど2輪
駆動車に近い走行状態にあるために、4輪駆動車特有の
走行安定性が失われる難点がある。また雪道における発
進の際、瞬時に4輪に駆動力が伝達されないために発進
が不可能となる虞れさえある。
一方、実開昭60-136225号公報に示されている4輪駆動
用駆動連結装置では、その装置本体の外側に連通油路及
びリリーフ弁を設ける必要があり、駆動連結装置の構造
及び組立が複雑であって、製造コストが高くなるという
問題がある。
更に実開昭63-23127号公報に示された四輪駆動車用駆動
力伝達装置では、複数の吐出口同士、吸込口同士を第1
油路、第2油路で連結するため油路の構造が複雑になっ
て大型化し、製造が困難である。また第1油路、第2油
路は複数の吐出口、吸込口に作動油を供給するため大径
になり小型化が図れない。
更にオリフィス,オリフィス閉塞部材は、複数のポンプ
室で発生する油量を通流させる必要があるので、許容流
量が大きくなり大型化する。
更にまた、オリフィス閉塞部材は直進走行時の極く小さ
い回転数差が開放し、オリフィスの絞り開度も小さいの
で、回転速度差が大きくなった場合に備えて、別途リリ
ーフ弁を設ける必要があり、大型化し、コストが上昇す
る等の問題がある。
本考案は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、前輪
駆動軸と後輪駆動軸との間に微小な回転速度差が存在す
る場合に、両駆動軸にエンジンの駆動力を確実に伝達す
ることが可能であり、前述の走行状態における安定性に
優れ、構造が簡単であって製造コストを低減できる4輪
駆動用駆動連結装置を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本考案に係る4輪駆動用駆動連結装置は、第1回動軸と
連動回転するケーシング、及びこれの内部に回動自在に
収納されて第2回動軸と連動回転するロータを備えると
共に、両者間に形成される複数のポンプ室の両端に夫々
開口する複数の吸込吐出口と、作動油の油タンクとを連
通する複数の油路を備え、第1,第2回動軸の相対回転に
応じて前記ポンプ室内に発生する油圧を媒介として両回
動軸を連結する4輪駆動用駆動連結装置において、前記
複数の油路は、夫々一端が前記吸込吐出口に開口し、他
端が前記油タンクに開口し、前記吸込吐出口と前記油タ
ンクとを各別に連通させるとともに、各油路ごとにオリ
フィスと、前記油圧の作用方向への移動自在に、該作用
方向と逆向きの付勢力を加えられて装着され、前記油圧
が所定値に達するまでの期間、前記オリフィスを閉塞す
るオリフィス閉塞部材とを具備することを特徴とする。
〔作用〕
本考案においては、複数の油圧ポンプ室ごとに連通する
複数の油路は、夫々一端が吸込吐出口に開口し、他端が
油タンクに開口し、吸込吐出口と油タンクとが各別に連
通する。油圧ポンプの吐出圧が所定値に達するまでの間
は、オリフィス閉塞部材によりオリフィスが閉塞された
状態にあり、油圧ポンプは締切運転され、前輪駆動軸と
後輪駆動軸との間の回転速度差に対する油圧ポンプの発
生圧力の増加率が大であり、微小な回転速度差に対して
比較的高い圧力が発生する一方、油圧ポンプの吐出圧が
所定値に達すると、該吐出圧に応じてオリフィス閉塞部
材が移動し、オリフィスが開口する結果、以後は該オリ
フィスの流路抵抗に抗するだけの圧力が油圧ポンプ内で
発生して前記増加率が小になる。
〔実施例〕
以下本考案をその実施例を示す図面に基づいて詳述す
る。第1図は本考案に係る4輪駆動用駆動連結装置(以
下本案装置という)を装備した車両の伝動系の構成を示
す模式的平面図である。
図において1は、車体の前部に横置きされたエンジンで
あり、該エンジン1にて発生された駆動力は、この一側
に連設した変速装置2を経て、該変速装置2から右方向
に延設された出力軸3に伝達され、該出力軸3の先端部
に嵌装したドライブギヤ4を回転させる。
また8は、前記出力軸3と平行をなして配設され、両端
部に一対の平歯車6,7を夫々嵌装してなる中間伝動軸で
あり、該伝動軸8の一方の平歯車6は、前記ドライブギ
ヤ4に噛合されたアイドルギヤ5に噛合されており、他
方の平歯車7は前輪9,9駆動用の差動歯車装置10のケー
シングの外周に形成された平歯車10a噛合されている。
而して前記ドライブギヤ4の回転は、アイドルギヤ5及
び平歯車6を介して中間伝動軸8に伝達され、更に平歯
車7及び平歯車10aを介して差動歯車装置10に伝達さ
れ、該装置10の動作により、前記エンジン1の駆動力
が、左右の前輪9,9に各別に伝達される。
一方前記平歯車10aは、車体の左右方向に延設された第
1回動軸11の一端部に嵌装した平歯車12に噛合させてあ
り、該回動軸11の他端部は、ベーンポンプ20(第2,3図
参照)を主たる構成要素としてなる駆動連結装置13の一
側に後述する如く装着してある。また駆動連結装置13の
他側には、前記第1回動軸11とその軸心を一致させ、一
端部に傘歯車15を嵌装してなる第2回動軸14の他端部
が、後述する如く装着してある。前記傘歯車15は、車体
の前後方向に延設されたプロペラシャフト16の前端部に
嵌装された傘歯車16aに噛合させてあり、該プロペラシ
ャフト16の後端部に嵌装された他の傘歯車16bは、後輪1
7,17駆動用の差動歯車装置18のケーシングの外周に形成
された傘歯車18aに噛合させてある。
而して、前記中間伝動軸8から平歯車10a及び平歯車12
を介して第1回動軸11に伝達される駆動力は、駆動連結
装置13を経て第2回動軸14に伝達され、更に傘歯車15,
傘歯車16a,プロペラシャフト16及び傘歯車16bを介して
差動歯車装置18に伝達され、該装置18の動作により左右
の後輪17,17に各別に伝達される。
第2図は本案装置たる駆動連結装置13の構造を示す一部
破断縦断面図、第3図は第2図のIII−III線による断面
図である。
駆動連結装置13の主たる構成要素であるベーンポンプ20
は、短寸円筒状をなすロータ21、該ロータ21の外径に略
等しい直径の円の周方向の等配をなす三個所に円弧状の
凹部を設け、第3図に示す如き断面形状をなす空洞部22
aをその軸心位置に形成してあり、ロータ21と略同一の
軸長方向寸法を有する偏肉環状のカムリング22、及び該
カムリング22の軸長方向両側夫々に配され、これを挾持
するように、相互に固定ボルト23,23…にて固定された
サイドプレート24,25とからなる。
ロータ21には、外周面から軸心に向かう方向への所定の
深さ寸法を有する複数の細幅の溝が、円周方向に等配を
なし、軸長方向の全長にわたって形成されており、夫々
の溝には、矩形板状をなすベーン21a,21a…が、各溝に
沿ってロータ21の半径方向に摺動自在に挿着されてい
る。そしてロータ21は、前記ベーン21a,21a…を挿着し
た状態で、前記サイドプレート24,25間に前記カムリン
グ22の空洞部22aにより形成される空間内に配されてお
り、その軸心位置には、主軸19の先端部がスプライン結
合され、該主軸19の回動に伴って回動するようになって
いる。また主軸19は、その基端部が、円筒状をなす主軸
ハウジング13aの内部において、ボルト19a,19a…にて、
前記第1回動軸11にこれと同軸をなして固着されている
と共に、玉軸受19bにて支承されており、該回動軸11の
回動に伴って回動するようになしてある。
また、前記サイドプレート24,25の内、主軸ハウジング1
3a側に位置する一方のサイドプレート25の前記ハウジン
グ13aに面する側の側面には、円筒形の一側に円板状を
なすフランジ26aを連設してなる支持部材26が、フラン
ジ26aを前記固定ボルト23,23…にて固定して装着され、
該支持部材26の他側は、前記主軸ハウジング13aにこれ
と軸心が一致するように、また該軸心廻りに回動自在と
なるよう嵌合されており、該支持部材26と前記主軸19と
の間には、両者が同軸上に位置するように針状ころ軸受
19cが介装されている。更に、他方のサイドプレート24
のカムリング22との接触面と逆側の側面には、前記第2
回動軸14が、これと同軸をなすようにボルト14a,14a…
にて固着されており、該サイドプレート24と前記主軸19
の先端部との間には、両者が同軸上に位置するように玉
軸受19dが介装されている。従って、固定ボルト23,23…
にて一体化され、油圧ポンプ20のケーシングを構成する
前記カムリング22及びサイドプレート24,25は、支持部
材26,針状ころ軸受19c及び玉軸受19dにより、主軸19に
嵌合された前記ロータ21と同軸をなした状態に保持され
つつ、前記第2回動軸14の回動に伴って、その軸心廻り
に回動するようになしてある。
またサイドプレート24,カムリング22,サイドプレート25
及び支持部材26の外側には、サイドプレート24の外周面
と支持部材26の外周面とにその一部を嵌合させて有底円
筒状をなす薄肉の囲繞部材28が装着されており、該囲繞
部材28と前記各部材との間に油タンクTが形成されてい
る。
さてカムリング22の空洞部22aにおける前記凹部と、ロ
ータ21の外周面との間には、これらとサイドプレート2
4,25とにて囲繞されて、第3図に示す如く、三日月形断
面をなす3つのポンプ室27,27,27が夫々形成されてお
り、各ポンプ室27には、三日月形の端部に位置して、前
記サイドプレート25側に開口する一対の吸込吐出口27a,
27bが形成されている。各ポンプ室27,27,27に形成され
た6個の吸込吐出口27a,27bは、サイドプレート25に装
着した各別の吸込吐出弁30を介して、一端を前記油タン
クTに開口して前記支持部材26に半径方向に形成された
各別の油路29の他端部に夫々連通されている。
第4図,第5図及び第6図は、前記吸込吐出弁30の動作
説明のための該弁30の装着位置近傍の拡大断面図であ
る。
吸込吐出弁30は、その軸長方向の中途部に内径を縮径し
て弁座31aを形成してあり、その内部に弁座31aの最小内
径よりも大径の球形の弁体31bを遊挿してなる円筒形の
弁体ケース31と、該弁体ケース31に軸長方向への摺動自
在に外嵌され、その軸長方向中途部の外周面に環状の溝
32aを形成してある円筒形のスリーブ32とから構成され
ている。そして該吸込吐出弁30は、一端を前記吸込吐出
口27a又は27bに連通させ、他端を前記油路29に連通させ
て、サイドプレート25に形成された円形断面を有する弁
装着孔25aの内部に前記スリーブ32を嵌合させて、前記
弁体31bが遊挿されている側を吸込吐出口27a又は27b側
として装着されている。このように装着されたスリーブ
32の吸込吐出口27a又は27b側と反対側の端部は、前記支
持部材26の一部に当接しており、スリーブ32はその軸長
方向の移動が拘束されている。一方、弁体ケース31の同
側端部と支持部材26との間には適宜の間隙が形成されて
いると共に、弁体ケース31内部の前記弁座31aと支持部
材26との間には、これを吸込吐出口27a又は27bに向かう
方向に付勢する押しばね33が介装されており、弁体ケー
ス31は、押しばね33の前記付勢力に抗しつつ、前記間隙
の範囲内において軸長方向への移動可能となっている。
スリーブ32の前記端部及び弁体ケース31の同側端部に
は、該端部から軸長方向に適宜に長さにわたって、その
内部と外部とを連通する切欠部31c及び切欠部32cが夫々
形成してあり、吸込吐出弁30が前述の如く装着された状
態において、該切欠部31c,32cを介して弁体ケース31の
内部と前記油路29とが連通されるようになしてある。ス
リーブ32は、その外周に形成した前記環状溝32aの一部
も前記油路29に連通させており、また該スリーブ32に
は、その内部と環状溝32aとを連通する極小径のオリフ
ィス34が、吸込吐出口27a又は27b側の端部近傍の内周面
に一側開口部を有して形成してある。而して、該オリフ
ィス34は、スリーブ32内側のその開口部を前記弁体ケー
ス31により閉塞されており、該弁体ケース31が前記押し
ばね33の付勢力に抗して前述の如く移動した場合に、こ
の移動に応じて開口するようになっている。即ち前記弁
体ケース31は、オリフィス34の閉塞部材としての機能を
も有している。
さて以上の如く構成された本案装置の動作について説明
する。
前述した如く、ロータ21は第1回動軸11の回動に伴って
回動し、カムリング22はサイドプレート24,25及び支持
部材26と共に第2回動軸14の回動に伴って回動するか
ら、ロータ21とカムリング22との間には、第1回動軸11
と第2回動軸14との間に生じる回転速度差に応じた相対
回転が生じる。この相対回転の方向は、第1回動軸11の
回転速度と第2回動軸14の回転速度とのいずれが高いか
によって定まるものであり、以後、第1回動軸11の回転
速度が第2回動軸14の回転速度よりも高く、ロータ21と
カムリング22との間に、第3図に白抜矢符にて示す方向
の相対回転が生じている場合を正回転、またこれと逆の
方向の相対回転方向が生じている場合を逆回転という。
ロータ21が正回転(又は逆回転)すると、これに伴って
ベーンポンプ20の前記各ポンプ室27の内部においては、
回転方向下流側に位置する吸込吐出口27b(又は吸込吐
出口27a)における圧力が、上流側に位置する吸込吐出
口27a(又は吸込吐出口27b)における圧力よりも高くな
るような油圧が発生し、カムリング22の内周面には、こ
の発生圧力に応じた抵抗力が、これとロータ21との間の
相対回転を抑制する方向に作用する。この抵抗力によ
り、カムリング22に連結された第2回動軸14に、ロータ
21に連結された第1回動軸11の駆動力の一部が伝達され
るのである。以上の如く、第2回動軸14に伝達される駆
動力は、第1回動軸11と第2回動軸14との相対回転の方
向に拘わらず、前述の抵抗力の増減、即ちベーンポンプ
20の各ポンプ室27,27,27内における発生圧力の高低に応
じて増減する。
さて吸込吐出口27a,27bに夫々取付けた吸込吐出弁30
は、前述した如き構成となっており、該弁30内部の弁体
31bは、その両側に吸込吐出口27a又は27bの形成位置に
おけるベーンポンプ20内部の圧力と、油タンクTに連通
する油路29内の圧力とを夫々受圧する。従ってベーンポ
ンプ20が正回転している場合、その内部の圧力が油路29
内の圧力よりも低い吸込吐出口27aに取付けた吸込吐出
弁30においては、弁体31bは、油路29内の圧力によって
押圧され、弁座31aから遊離した状態にあり、油タンク
T内部の油が、第4図に矢符にて示す如く、油路29,切
欠部32c及び切欠部31cを通過して弁体ケース31の内部に
導入され、更に弁座31aと弁体31bとの間を通過してベー
ンポンプ20のポンプ室27内部に吸込まれる。即ち吸込吐
出口27a,27a…は吸込口として機能し、他方の吸込吐出
口27b,27b…は吐出口として機能しようとする。
ところが吸込吐出口27bにも前述の如く吸込吐出弁30が
装着してあり、該弁30の弁体31bは、ベーンポンプ20内
部の圧力によって押圧され、第5図に示す如く弁座31b
に密着して油の流路を閉塞するから、ベーンポンプ20内
の油は油路29に流出することができず、ベーンポンプ20
は締切り状態にて運転されることになり、各ポンプ室2
7,27,27の内部には、ベーンポンプ20に固有の締切圧力
が発生する。
この締切圧力は、ベーンポンプ20の回転速度、即ち第1
回動軸11と第2回動軸14との間の回転速度差の2乗に略
比例し、この回転速度差の増大に応じて急激に増大す
る。従って、第1回動軸11と第2回動軸14との間にわず
かな回転速度差が生じた場合においても、第2回動軸14
に十分な駆動力が伝達されることになる。
一方、第1回動軸11と第2回動軸14との間の回転速度差
が更に増大し、吸込吐出口27bに装着した吸込吐出弁30
の弁体31bに作用するベーンポンプ20の締切圧力が、押
しばね33の付勢力を上回った場合には、オリフィス閉塞
部材たる弁体ケース31がスリーブ32の内面に摺接しつつ
その軸長方向に移動する。そして、第6図に示す如く、
弁体ケース31により閉塞されていたオリフィス34のスリ
ーブ32内面側の開口部が開放される結果、ベーンポンプ
20内の油は、矢符にて示すように、該オリフィス34を通
流し環状溝32aから油路29内に吐出される。従って、以
後ベーンポンプ20は、オリフィス34の流路抵抗に抗する
だけの圧力を発生することになり、この圧力は、前述の
締切圧力に比較して、第1回動軸11と第2回動軸14との
間の回転速度差の増大に対して緩やかな増大傾向を示す
から、第2回動軸14に伝達される駆動力は、前記回転速
度差に応じて緩やかに増大することになる。
第7図は、本案装置における第2回動軸14への伝達トル
ク特性を、油圧ポンプを用いてなる従来の駆動連結装置
の伝達トルク特性と比較して示すグラフであり、図中実
線は本案装置の伝達トルク特性を、また破線は従来装置
の伝達トルク特性を夫々示している。
本図に明らかな如く、従来装置においては、その伝達ト
ルク曲線の立上りが緩やかであり、第1回動軸11と第2
回動軸14との間に微小な回転速度差が生じている場合に
は、第2回動軸14に伝達されるトルクが微小であるのに
対し、本案装置においては、ベーンポンプ20の発生圧力
が所定値に達するまでの間、オリフィス閉塞部材たる前
記弁体ケース31の外周面により、オリフィス34のスリー
ブ32内側開口部が閉塞されており、ベーンポンプ20が締
切運転され、微小な回転速度差においても高い圧力を発
生するから、その伝達トルク曲線は急激な立上りを示し
ており、第1回動軸11と第2回動軸14との間の回転速度
差が微小である場合においても第2回動軸14に十分なト
ルクの伝達がなされる。更に、前記回転速度差が第7図
中にN1として示す所定値を越えた後は、オリフィス34の
スリーブ32内側開口部が徐々に開放される結果、本案装
置の伝達トルク特性は従来装置のそれに漸近し、前記開
口部が完全に開放された後は、両者は同様の特性を示し
ている。従って、本案装置においても従来装置と同様
に、第7図にN2として示す回転速度差において、第2回
動軸14への伝達トルクが第7図にT2として示す所定のト
ルクに制限されることが可能である。
この伝達トルクの制限値T2は、タイトコーナブレーキン
グ現象の回避のために設定される値であり、従来装置に
おいては、前記回転速度差N2における伝達トルクを前記
T2以下に制限するという条件のもとで、ベーンポンプ20
の吐出油路の抵抗を設定しているために、微小な回転速
度差における伝達トルクが低くなっていたのに対し、本
案装置においては、微小な回転速度差における伝達トル
クを十分に確保すると共に、前述のタイトコーナブレー
キング現象回避のための条件をも満足する特性が得られ
ている。
以上の説明においては、ベーンポンプ20が正回転する場
合について説明したが、ベーンポンプ20が逆回転する場
合においても、吸込吐出口27aに装着した吸込吐出弁30
が同様の動作を行うから、第7図に示すものと同様の伝
達トルク特性が得られる。
なお本実施例においては、吸込吐出口27a,27bの夫々に
装着した吸込吐出弁30の弁体ケース31よりオリフィス閉
塞部材を兼用させ、油路の構成を簡略化しているが、弁
体ケース31と別個にオリフィス閉塞部材を設けてもよい
ことは言うまでもない。
また本実施例においては、第1回動軸11と第2回動軸14
との間に介装される油圧ポンプとして、ベーンポンプ20
を用いたが、内接ギヤポンプ,トロコロイドポンプ等、
第1回動軸11と第2回動軸14との回転速度差に応じて発
生圧力が変化するものであれば、他の形式の油圧ポンプ
を用いることも可能である。
更に、本実施例においては、駆動連結装置13を第1回動
軸11と第2回動軸14との間に設けたが、プロペラシャフ
ト16を前後に分割し、これらの間に該駆動連結装置13を
設けることも可能である。
〔効果〕
以上詳述した如く本案装置においては、前輪駆動軸と後
輪駆動軸とを連結する油圧ポンプ内に一端を開口し、他
端を油圧ポンプ外に開口する吐出油路の途中に設けたオ
リフィスが、これよりも上流側の圧力が所定値に達する
までの間は、オリフィス閉塞部材により閉塞されてお
り、前記油圧ポンプは締切運転され、該ポンプの発生圧
力の増加率が大であるから、前輪駆動軸と後輪駆動軸と
の間の回転速度差が微小である場合においても、両駆動
軸にエンジンの駆動力が適宜に配分されて伝達され、高
速走行時,加速時又は雪道での発進時等の、前輪と後輪
との間に微小な回転速度差が生じる走行状態において安
定した走行が実現できると共に、オリフィス上流側の圧
力が所定値に達した後は、オリフィス閉塞部材が移動し
て該オリフィスが開口し、前輪駆動軸と後輪駆動軸とが
ルーズに結合されるから、タイトコーナブレーキング現
象の発生が確実に防止できる。また本案装置は従来の駆
動連結装置に比較して、油圧ポンプの油路の構成が簡略
化され、またオリフィス閉塞部材がリリーフ弁の機能を
するからリリーフ弁を外付けする必要もなく、大幅なコ
ンパクト化が図れるとともに組立作業も簡単になり製造
コストの低減が図れる等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
図面は本考案の一実施例を示すものであり、第1図は本
案装置を装備した車両の伝動系の模式的平面図、第2図
は本案装置の一部破断縦断面図、第3図は第2図のIII
−III線による断面図、第4図,第5図及び第6図は本
案装置の動作説明のための要部断面図、第7図は本案装
置による伝達トルク特性を示すグラフである。 1……エンジン、2……変速機、9……前輪、11……第
1回動軸、13……駆動連結装置、14……第2回動軸、17
……後輪、20……ベーンポンプ、21……ロータ、21a…
…ベーン、22……カムリング、27a,27b……吸込吐出
口、29……油路、30……吸込吐出弁、31……弁体ケース
(オリフィス閉塞部材)、31b……弁体、32……スリー
ブ、33……押しばね、34……オリフィス

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1回動軸と連動回転するケーシング、及
    びこれの内部に回動自在に収納されて第2回動軸と連動
    回転するロータを備えると共に、両者間に形成される複
    数のポンプ室の両端に夫々開口する複数の吸込吐出口
    と、作動油の油タンクとを連通する複数の油路を備え、
    第1,第2回動軸の相対回転に応じて前記ポンプ室内に発
    生する油圧を媒介として両回動軸を連結する4輪駆動用
    駆動連結装置において、 前記複数の油路は、夫々一端が前記吸込吐出口に開口
    し、他端が前記油タンクに開口し、前記吸込吐出口と前
    記油タンクとを各別に連通させるとともに、各油路ごと
    にオリフィスと、前記油圧の作用方向への移動自在に、
    該作用方向と逆向きの付勢力を加えられて装着され、前
    記油圧が所定値に達するまでの期間、前記オリフィスを
    閉塞するオリフィス閉塞部材とを具備することを特徴と
    する4輪駆動用駆動連結装置。
JP1987089329U 1987-06-09 1987-06-09 4輪駆動用駆動連結装置 Expired - Lifetime JPH0716512Y2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0511061Y2 (ja) * 1986-07-31 1993-03-18

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