JPH07163860A - ゼラチンゲルおよびその製造方法並びにその用途 - Google Patents
ゼラチンゲルおよびその製造方法並びにその用途Info
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- JPH07163860A JPH07163860A JP6159453A JP15945394A JPH07163860A JP H07163860 A JPH07163860 A JP H07163860A JP 6159453 A JP6159453 A JP 6159453A JP 15945394 A JP15945394 A JP 15945394A JP H07163860 A JPH07163860 A JP H07163860A
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Abstract
より架橋してなることを特徴とするゼラチンゲルおよび
その製造方法並びにその用途。 【効果】 簡単な操作でウイルスによる汚染の可能性が
なく、毒性の低い生体組織に対して接着性の高いゼラチ
ンゲルを得ることができる。また、本発明のゼラチンゲ
ルは生体組織と同様に柔軟であるので、生体接着剤、止
血材、閉鎖材、死腔充填材等として好適に用いることが
できる。
Description
ものであり、詳しくは生体接着剤あるいは止血材等の医
療用材料として好適なゼラチンゲルおよびその製造方法
並びにその用途に関するものである。
シアノアクリレート、あるいはイソ−ブチル−2−シア
ノアクリレート等のシアノアクリレート系化合物、可溶
性のフィブリノーゲンがトロンビンにより不溶性のフィ
ブリンとなる血液凝固系因子を利用したフィブリン糊、
あるいはゼラチンにホルムアルデヒドとレゾルシノール
を反応させるゼラチン系接着剤が臨床に使用されてい
る。
シアノアクリレート系化合物からなる接着剤では、反応
速度が速すぎるために接着操作が困難であるばかりでな
く、接着後の反応生成物が硬く、接着部位の生体組織の
柔軟性を損なうという問題や、さらに分解にともなって
生成されるホルムアルデヒドの毒性の問題等があった。
また、フィブリン糊は2液あるいは4液を混ぜて使用す
るために操作が煩雑であり、さらに、ヒト血液由来の材
料を使用していることから、HIVあるいはHBs等の
ウイルス汚染の可能性を否定できない等の問題があっ
た。
以下の冷所に放置するとゲル化することが知られてい
る。しかしながら、このようにして形成されたゼラチン
ゲルは37℃あるいはそれ以上の温度に加温されると液
状となり、それのみでは力学的強度も弱く、生体接着剤
として使用するには問題があった。そこで、ゼラチンを
ホルムアルデヒドやレゾルシノールで架橋することも試
みられているが、これらの架橋剤には毒性の問題があっ
た。そこでゼラチンに毒性の少ない架橋を施すことが要
求される。
スによる汚染の可能性もなく、生体に対する毒性が低
く、しかも硬化後に柔軟な接着層を形成することができ
る医療用材料として好適なゼラチンゲル、その製造方法
及びその用途を提供することを目的とするものである。
な課題を解決するために鋭意検討した結果、医薬および
食品添加物として広く使用されているゼラチンに、ポリ
アニオンと水溶性カルボジイミドとを混合することによ
って形成されたハイドロゲルが、水存在下で生体組織と
高い接着性を示すという事実を見い出し、さらに、この
ハイドロゲルは生体接着剤としてのみでなく、止血材、
閉鎖材、死腔充填材等として優れたものであることを見
出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、ゼラチ
ンとポリアニオンをカルボジイミドにより架橋してなる
ことを特徴とするゼラチンゲル、およびゼラチンとポリ
アニオンを含む水溶液に水溶性カルボジイミドを混合し
てゼラチンとポリアニオンとを架橋させることを特徴と
する上記ゼラチンゲルの製造方法、及びポリアニオンと
水溶性カルボジイミドを含む水溶液中で両者を反応さ
せ、次いでゼラチン水溶液を混合してゼラチンとポリア
ニオンとを架橋させることを特徴とするゼラチンゲルの
製造方法、並びに上記ゼラチンゲルからなる生体接着
剤、止血材、閉鎖材又は死腔充填材を要旨とするもので
ある。
れるコラーゲンから製造されたものであり、例えば、コ
ラーゲンを酸処理して得られた酸処理ゼラチン、コラー
ゲンをアルカリ処理して得られたアルカリ処理ゼラチ
ン、あるいはコラーゲンを酵素処理して得られた酵素処
理ゼラチンが挙げられる。また、その起源は特に限定さ
れるものではなく、ヒト、ウシ、ブタ等の骨あるいは皮
膚等のあらゆる由来のものが使用できる。このようなゼ
ラチンを水、生理食塩水、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液
等の緩衝液、あるいは、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、臭化カリウム等の塩、タンパク質、アミノ酸、糖、
脂質等を含んだ水溶液等の生体に対して毒性のない溶媒
に溶解して使用する。
溶で、かつ、官能基としてカルボキシル基をもつ高分子
であり、生体に対して強い毒性を示さないものであれ
ば、生体由来の天然高分子であっても、合成高分子であ
っても構わない。具体的には、ヒアルロン酸、アルギン
酸、アラビアゴム、ポリグルタミン酸、ポリアクリル
酸、ポリアスパラギン酸、ポリリンゴ酸、カルボキシメ
チルセルロース、カルボキシル化デンプン等が挙げられ
る。これらのポリアニオンの分子量は特に限定されるも
のではないが、ゼラチンゲルを形成した場合のゲルの接
着性あるいは要求される硬化後の硬さ等使用目的に応じ
て決定される。これらのポリアニオンを水、生理食塩
水、ほう酸緩衝液、リン酸緩衝液等の緩衝液、あるい
は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム等の
塩、タンパク質、アミノ酸、糖、脂質等を含んだ水溶液
等の生体に対して毒性のない溶媒に溶解して使用でき
る。また、ポリアニオン水溶液の濃度は、水溶液の粘
度、あるいはポリマー1分子あたりに含有されるカルボ
キシル基の数等により適宜決定される。
ては、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド・塩酸塩、1−シクロヘキシ
ル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイ
ミド・スルホン酸塩等が好ましく使用できる。
ま、あるいは水、生理食塩水、ホウ酸緩衝液、リン酸緩
衝液等の緩衝液、あるいは、塩化ナトリウム、塩化カリ
ウム、臭化カリウム等の塩、タンパク質、アミノ酸、
糖、脂質等を含んだ水溶液などの生体内に対して毒性の
ない溶媒に溶解して使用する。
ついて説明する。
ポリアニオンを含む水溶液に水溶性カルボジイミドを加
えて混合するか、あるいは、ポリアニオンを水溶性カル
ボジイミドと反応させた後、得られた水溶液とゼラチン
水溶液を混合することによって形成させる。
溶性カルボジイミドを加えてゲルを形成する方法として
は、0.1〜90重量%、好ましくは1〜70重量%の
ゼラチンと0.01〜50重量%のポリアニオンとを含
む混合水溶液100部に対し、0.001〜50重量%
の水溶性カルボジイミド水溶液1〜100部あるいはそ
れ以上、もしくは水溶性カルボジイミドを粉末のまま加
えればよい。
ボジイミドを適当な濃度で単に加えることにより、ポリ
アニオン分子中のカルボキシル基とゼラチン分子中のア
ミノ基あるいは水酸基との間でアミド結合あるいはエス
テル結合が形成され、ゼラチンとポリアニオンの分子間
あるいは分子内で架橋が生じてゲル化する。
溶性カルボジイミドを加えたものは、そのまま放置して
もよいし、または攪拌してもよい。
溶性カルボジイミドを加えてゲル化する際に必要な時間
は特に限定されるものではない。ゼラチンとポリアニオ
ンを含む水溶液に水溶性カルボジイミドを加えてゲル化
する際の温度としては、特に限定されるものではない
が、0〜40℃が好ましい。
ドを含む水溶液中で両者を反応させ、次いでゼラチン水
溶液を混合してゲルを形成する方法としては、0.01
〜50重量%のポリアニオン水溶液100部に対し、
0.001〜50重量%の水溶性カルボジイミド水溶液
1〜100部あるいはそれ以上、もしくは水溶性カルボ
ジイミドを粉末のまま加えることにより、ポリアニオン
とカルボジイミドを反応させればよい。
ボキシル基が酸無水物結合に変換される。
る場合、ポリアニオンにカルボジイミドを加えたものを
そのまま放置してもよいし、または攪拌してもよい。ポ
リアニオンにカルボジイミドを反応させる際の反応時間
は特に限定されるものではないが、1分間〜3時間であ
ることが好ましい。ポリアニオンにカルボジイミドを反
応させる際の反応温度は特に限定されるものではない
が、0〜40℃が好ましい。
ボジイミドを反応させて得られた反応液を、0.1〜9
0重量%、好ましくは1〜70重量%のゼラチン水溶液
1〜1000部、好ましくは10〜1000部と混合す
ることによりゼラチンのゲルが形成される。
に変換されたポリアニオンとゼラチンを混合することに
より、ポリアニオン分子中の酸無水物結合がゼラチン分
子中のカルボキシル基、アミド基、あるいは水酸基等の
官能基と反応し、ゼラチン分子とポリアニオン分子間、
あるいは分子内にアミド結合あるいはエステル結合が形
成されることによってゲル化する。
たポリアニオンとゼラチンを混合してゲル化する際に必
要な時間は特に限定されるものではない。カルボキシル
基が酸無水物結合に変換されたポリアニオンとゼラチン
を混合する際の温度は特に限定されるものではないが、
0〜40℃が好ましい。
ンゲルは様々な医療用材料として用いることができ、例
えば、硬膜、腹膜、筋膜、胸膜の接着、骨あるいは軟骨
の接着、実質臓器切開部の接着、皮膚の接着、神経吻
合、微小血管吻合、腸管吻合、卵管吻合、植皮片あるい
は創傷被覆保護材の貼付等の組織の接着を目的とした生
体接着剤として用いることができる。
液のような水分存在下においてもゲルを形成し、生体組
織に対して高い接着性を示すので、実質臓器の微小血管
からの出血、縫合時の縫合糸穴からの出血等の止血を目
的とした止血材や、髄液、胆汁等の体液の漏出防止、鼓
膜欠損の閉鎖、代用血管の閉鎖、肺手術後の空気漏れ穴
の閉鎖、気管支の閉鎖、シャントチューブのシールを目
的とした生体又は医療材料の閉鎖材等として用いること
ができる。
び軟骨部創傷腔、抜歯後の歯槽腔などの死腔へ充填する
ことにより死腔充填材として用いることができる。
用いるには、ゼラチンゲルを患部に塗布、充填すればよ
い。
法としては、あらかじめ混合したゼラチン、ポリアニオ
ンおよび水溶性カルボジイミドを含む水溶液を患部に塗
布する方法、または別々に調製したゼラチン水溶液とカ
ルボジイミドと反応させたポリアニオンを含む水溶液、
あるいはゼラチンとポリアニオン混合水溶液と水溶性カ
ルボジイミド水溶液を患部に塗布する方法等の二面塗布
法、重層塗布法、または同時に上記2液を滴下する方
法、あるいはスプレー法等の混合塗布法等が挙げられ
る。
填する方法としては、あらかじめ混合したゼラチン、ポ
リアニオンおよび水溶性カルボジイミドを含む水溶液を
患部に充填する方法、または別々に調製したゼラチン水
溶液とカルボジイミドと反応させたポリアニオンを含む
水溶液、あるいはゼラチンとポリアニオン混合水溶液と
水溶性カルボジイミド水溶液を死腔等に充填する方法
等、または同時に上記2液を死腔等に滴下する方法、あ
るいはスプレー法等が挙げられる。
は、目的に応じてフィルム状、塊状等の形状にすること
が可能であり、患部において塗布、充填時の形状を保つ
こともできる。また、塗布量、充填量を変えることによ
り、ゼラチンゲルの厚み、大きさ等を自由に変えること
も可能である。
際し、使用する水溶性カルボジイミドは反応に伴い不活
性で水溶性の尿素誘導体に変化するので、得られたゼラ
チンゲルはきわめて毒性の低いものである。
する。
gおよびポリグルタミン酸ナトリウム塩(分子量83,
000)2.5gを蒸留水100mlに溶解した混合水
溶液(ゼラチン10重量%、ポリグルタミン酸2.5重
量%)1mlを直径16mmの試験管に採り、長さ10mm
の回転子を入れて、37℃のウォ−ターバス中でマグネ
チックスターラーにて一定速度で回転させた。その中へ
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド・塩酸塩9.6重量%水溶液0.1mlを滴
下し、ゼラチンがゲル化して回転子が止まるまでの時間
を測定した。
液の濃度を0.96重量%とした以外は、実施例1と同
様に操作した。
水溶液(pH4.7)0.5mlを直径16mmの試験管
に採り、長さ10mmの回転子を入れて、37℃のウォ−
ターバス中でマグネチックスターラーにて一定速度で回
転させた。その中へ1−エチル−3−(3−ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩2.7重量%水
溶液0.35mlを加えた。1分後、さらに20重量%
アルカリ処理牛骨ゼラチン(等電点5.0)水溶液0.
05mlを試験管内に滴下し、ゼラチンがゲル化して回
転子が止まるまでの時間を測定した。
外は、実施例1と同様に操作した。
外は、実施例2と同様に操作した。
gおよびポリグルタミン酸ナトリウム塩(分子量83,
000)2gを蒸留水100mlに溶解した混合水溶液
(ゼラチン10重量%、ポリグルタミン酸2重量%)
0.1mlを、BALB/Cマウスから採取した皮膚片
(1×2cm)上に塗布し、続いて、1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸
塩2.7重量%水溶液0.035mlを滴下した。次
に、この上からもう1枚のマウス皮膚片を重ね、接着部
分1cm2 あたりに50gの分銅を置いてゼラチン・ポ
リグルタミン酸ゲルによる皮下組織の接着を行った。1
0分間接着した後、引張り試験により皮膚の接着強度を
測定した。また、上記操作はいずれも室温で行った。
液の濃度を0.27重量%とした以外は、実施例1と同
様に操作した。
10重量%とした以外は、実施例5と同様に操作した。
重量%水溶液とポリアクリル酸(分子量3,200,0
00)3重量%水溶液(pH4.7)を当量混合した。
この混合水溶液0.1mlをBALB/Cマウスから採
取した皮膚片(1×2cm)上に塗布し、続いて、1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド・塩酸塩2.7重量%水溶液0.035mlを、
滴下した。次に、この上からもう1枚のマウス皮膚片を
重ね、接着部分1cm2 あたりに50gの分銅を置いて
ゼラチン・ポリグルタミン酸ゲルによる皮下組織の接着
を行った。10分間接着した後、引張り試験により皮膚
の接着強度を測定した。また、上記操作はいずれも室温
で行った。
水溶液(pH4.7)0.05mlに、1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩
酸塩2.7重量%水溶液0.035mlを加えた。1分
後、カルボジイミド処理したポリアクリル酸水溶液をB
ALB/Cマウスから採取した皮膚片(1×2cm)上
に塗布し、続いて、20重量%アルカリ処理牛骨ゼラチ
ン(等電点5.0)水溶液0.05mlを重層塗布し
た。次に、この上からもう1枚のマウス皮膚片を重ね、
接着部分1cm2 あたりに50gの分銅を置いてゼラチ
ン・ポリアクリル酸ゲルによる皮下組織の接着を行っ
た。10分間接着した後、引張り試験により皮膚の接着
強度を測定した。また、上記操作はいずれも室温で行っ
た。
外は、実施例4と同様に操作した。
外は、実施例5と同様に操作した。
なかった以外は、実施例4と同様に操作した。
時間の測定結果を表1に、実施例4〜8および比較例3
〜5の皮膚接着強度の測定結果を表2に示した。
グルタミン酸を水溶性カルボジイミドで架橋したゼラチ
ンゲル(実施例4、5)は、ポリグルタミン酸を含まな
いゼラチンゲル(比較例3、4)、あるいは水溶性カル
ボジイミドを加えなかったゼラチン・ポリグルタミン酸
水溶液(比較例5)に比べて接着性に優れている。ま
た、実施例4と実施例6の結果より、ポリグルタミン酸
の濃度を高くすることにより、ゲル化に必要な水溶性カ
ルボジイミドの量を少なくしても強度が低下しないこと
が判った。
とポリアニオンの混合液を皮膚に塗布した後カルボジイ
ミドを加えた場合と、あらかじめカルボジイミドにて処
理したポリアニオン水溶液とゼラチン水溶液を順次皮膚
に重層塗布した場合において同等の接着強度が得られる
ことがわかった。
グルタミン酸を加えた水溶液(実施例1、2)のゲル化
時間は、ポリグルタミン酸を加えないゼラチン(比較例
1、2)のゲル化時間に比べて短かった。また、実施例
2と比較例2の結果より、ポリグルタミン酸を含まない
ゼラチン水溶液がゲル化しない量の水溶性カルボジイミ
ドを添加した場合でも、ポリグルタミン酸を加えたゼラ
チン水溶液はゲル化した。さらに、実施例3よりあらか
じめポリアニオンをカルボジイミドと反応させてからゼ
ラチンと混合してもゼラチン水溶液はゲル化した。
は、ゲル化に必要な水溶性カルボジイミドの量を少なく
しても接着強度の高いものである。
臓表面に切り込みを入れ皮膜をはがし、3mm角の出血
創を作製した。出血創部へ37℃に加温したアルカリ処
理牛骨ゼラチン(10重量%)、およびポリグルタミン
酸(10重量%)を含む水溶液0.1mlを滴下し、続
いて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド・塩酸塩2.7重量%水溶液0.0
35mlを加え、ゼラチンのゲル化の状態ならびに肝表
面からの出血の状態を経時的に観察した。
部に、フィブリン糊(ボルヒール、化学及び血清療法研
究所製)A液(フィブリノゲン糊)およびB液(トロン
ビン溶液)を各0.05mlづつ滴下し、ゼラチンのゲ
ル化の状態および肝表面の出血の状態を観察した。
ミン酸水溶液は、カルボジイミド添加後30秒程度でゲ
ル化が完了した。さらに、そのゲル化速度は、出血の程
度に影響されず、出血時においてもゲル化が形成され止
血効果を発現した。また、形成されたゲルは家兎肝臓の
出血創内部にまで侵入し、肝臓組織と強く接着してい
た。比較例6のフィブリン糊を使用した場合は、出血に
よりフィブリノゲン溶液のゲル化が抑制され、その止血
効果が低下した。また、形成されたゲルの肝臓組織への
接着性は低く、ゲルは容易に肝臓表面より剥離した。以
上の結果より、本発明のゼラチンゲルは、従来使用され
ている止血材よりも優れた止血効果を有することが明ら
かである。
を露出し、メスを用いて肺表面に、長さ5mm、深さ1
mmの創を作製した。創部へ37℃に加温したアルカリ
処理牛骨ゼラチン(10重量%)、およびポリグルタミ
ン酸(10重量%)を含む水溶液0.05mlを滴下
し、続いて1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド・塩酸塩2.7重量%水溶液0.
0175mlを加えた。1分後、肺に30cmH2 Oの
圧をかけ、創からの空気の漏れの有無を観察した。
ィブリン糊(ボルヒール)A液(フィブリン溶液)およ
びB液(トロンビン溶液)それぞれ0.025mlづつ
滴下した。1分後、肺に30cmH2 Oの圧をかけ、創
からの空気の漏れの有無を観察した。
タミン酸水溶液は、カルボジイミド添加後、30秒程度
でゲル化した。1分後、肺に圧をかけたところ、空気漏
れは完全に止まっていた。ゼラチン・ポリグルタミン酸
架橋ゲルは肺の創周辺組織と強く接着しており、ゲルを
肺より剥離しようとすると、ゲルではなく肺自身が破れ
た。なお,肺よりの出血を伴う場合にもゼラチンゲルは
同様に空気漏れ防止には有効であった。これに対し、比
較例7のフィブリン糊の場合は、加圧によりフィブリン
ゲルが肺組織からフィルム状に剥離し、空気漏れを止め
ることができなかった。以上の結果より、本発明のゼラ
チンゲルは、組織の止血、あるいは肺から空気漏れの防
止において有効であることが明らかである。
洞部へ37℃に加温したアルカリ処理牛骨ゼラチン(1
3.5重量%)およびポリ−L−グルタミン酸(13.
5重量%)を含む水溶液0.05mlを注入し、続い
て、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド・塩酸塩3.7重量%水溶液0.017
5mlを注入し、皮下にてゲルを形成させた。縫合によ
り創を閉じたあと、4日目、7日目、14日目、28日
目にゲルを回収し、その乾燥重量を測定し、ゲルの残存
率を求めることにより、ゲルの分解性を調べた。同時
に、ゲル埋入部周囲の組織を採取して、組織学的観察を
行った。
腔に、フィブリン糊(ボルヒール)A液およびB液をそ
れぞれ0.034mlづつ注入して、皮下にてフィブリ
ンゲルを形成させた。縫合により創を閉じたあと、実施
例11と同様に経時的にフィブリンゲルを回収し、分解
性を調べるとともに、ゲル周囲の組織学的観察を行っ
た。
したゼラチンゲル及びフィブリン糊ゲルの残存率の結果
を表3に示した。
ンゲルはフィブリン糊ゲルよりも長期間、死腔の充填が
可能でり、また、ゲル埋入部周囲の組織学的観察の結
果、フィブリン糊と同様に炎症等の異常は全く認められ
なかった。これらの結果より、本発明のゼラチンゲルは
死腔充填材として適していることが明らかである。
による汚染の可能性がなく、毒性の低い生体組織に対し
て接着性の高いゼラチンゲルを得ることができる。ま
た、本発明のゼラチンゲルは生体組織と同様に柔軟であ
るので、生体接着剤、止血材、閉鎖材、死腔充填材等の
医療用材料として好適に用いることができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 ゼラチンとポリアニオンをカルボジイミ
ドにより架橋してなることを特徴とするゼラチンゲル。 - 【請求項2】 ゼラチンとポリアニオンを含む水溶液に
水溶性カルボジイミドを混合してゼラチンとポリアニオ
ンとを架橋させることを特徴とする請求項1記載のゼラ
チンゲルの製造方法。 - 【請求項3】 ポリアニオンと水溶性カルボジイミドを
含む水溶液中で両者を反応させ、次いでゼラチン水溶液
を混合してゼラチンとポリアニオンとを架橋させること
を特徴とする請求項1記載のゼラチンゲルの製造方法。 - 【請求項4】 請求項1記載のゼラチンゲルからなる生
体接着剤。 - 【請求項5】 請求項1記載のゼラチンゲルからなる止
血材。 - 【請求項6】 請求項1記載のゼラチンゲルからなる閉
鎖材。 - 【請求項7】 請求項1記載のゼラチンゲルからなる死
腔充填材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15945394A JP3569311B2 (ja) | 1993-10-22 | 1994-06-17 | ゼラチンゲルおよびその製造方法並びにその用途 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28752493 | 1993-10-22 | ||
JP5-287524 | 1993-10-22 | ||
JP15945394A JP3569311B2 (ja) | 1993-10-22 | 1994-06-17 | ゼラチンゲルおよびその製造方法並びにその用途 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH07163860A true JPH07163860A (ja) | 1995-06-27 |
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ID=26486255
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JP15945394A Expired - Lifetime JP3569311B2 (ja) | 1993-10-22 | 1994-06-17 | ゼラチンゲルおよびその製造方法並びにその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3569311B2 (ja) |
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