JPH07163239A - 芝生定着用グリッパー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 生分解性ポリマーによる芝生定着用グリッパ
ーにより芝生を土壌に定着して、競技場等の芝生を養生
期間を置かず直ちに使用できるようにする。 【構成】 芝生定着用グリッパー１を、格子状に形成し
たベース２とベース面内の交差部３の上下に突設した所
要長さの多数の定着用針４，５とから構成する。そのベ
ース２と定着用針４，５とを生分解性ポリマーにより一
体成形する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、競技場や公園などの
芝生の造成または補修等に用いることができる芝生定着
用グリッパーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】競技場や公園などの芝生の造成または補
修等では、芝生を土壌の表面に載せ、適度に押圧して芝
生裏面を土壌になじませ、そのまま放置して根が土壌に
定着するまで養生を行っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このため造成または補
修を行ったばかりの芝生は使用することができず、定着
するまで休養を余儀なくされている。特に芝生グランド
では過激な運動によって芝生が痛み易く、連続して競技
の実施に使用できない問題を抱えている。

【０００４】この発明は上記課題を解決するために考え
られたものであって、その目的は、芝生の根が土壌に定
着するまで芝生を定着して置くことができ、また生分解
により自然に無くなって芝生自体による定着の後に障害
となるようなこともない新たな構成の芝生定着用グリッ
パーを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的によるこの発明
の特徴は、芝生定着用グリッパーを、格子状に形成した
ベースとベース面内の交差部の上下に突設した所要長さ
の多数の定着用針とから構成し、そのベースと定着用針
とを生分解性ポリマーにより一体成形したことにある。

【０００６】上記ベースの格子の形状は特定なものに制
限されず、三角形、四角形、六角形等の角形以外の円形
等でもよく、ベースの形態も芝生の切り出し形状に適応
するよう帯状或いはシート状に形成することができる。

【０００７】また定着用針の長さは、土壌側（下向きの
針）では土壌に対しての保持力の関係から１０cm〜２０
cmを要するが、芝生側（上向きの針）はそこに敷き設け
られる芝生の根の厚さによって異なるので、３cm〜２０
cmとのごとく範囲が広い。しかし短いものでは３cm〜４
cm，長いものは１０cm〜２０cmでよく、間隔は格子の目
の大きさにより定まるが、３cm〜１０cmの範囲が好まし
い。

【０００８】この発明に用いられる上記生分解性ポリマ
ーは特定のものに限定されず、成形が可能で定着用針が
土壌及び芝生に突き刺さる硬さとなる生分解性ポリマー
であれば、どのようなものでも採用することができる。

【０００９】また生分解性ポリマーに施肥、土壌消毒
剤、発根促進剤等を成形前に混入し、生分解性ポリマー
の分解に伴いそれら成分を溶出させて自然に施肥等を行
わせることも可能である。

【００１０】

【作 用】この発明の芝生定着用グリッパーは、そのま
まの状態で公園或いは芝生競技場等の土壌の表面に敷き
置き、適度な圧力を加えて軟らかく耕された土壌に下向
きの定着用針を突き刺したのち、その芝生定着用グリッ
パーの上に所要寸法に切り出された芝生を載せ、芝生を
土壌に押し付けるだけで、上向きの定着用針が芝生側に
突き刺さる。これにより芝生は横ずれが防止され、その
位置に定着するようになる。

【００１１】また定着後は時間の経過とともに地中のベ
ース及び定着用針が生分解して、芝生定着用グリッパー
による芝生定着の機能はなくなるが、その時期には芝生
は完全に土壌に根つき、芝生上の運動にも充分に耐える
ようになる。

【００１２】

【実施例】図中１は芝生定着用グリッパーで、四角形の
格子状に形成したベース２と、ベース面内の各交差部３
の上下に突設した所要長さの多数の定着用針４，５とを
生分解性ポリマー（例えば「Ｍａｔｅｒ−Ｂｉ」Ｎｏｖ
ａｍｏｎｔ社製，イタリア、「ＮＯＶＯＮ」Ｗａｒｎｔ
−Ｌａｍｂｅｒｔ社製，アメリカ）により一体成形した
ものからなる。

【００１３】上記生分解性ポリマーには、芝生に対する
施肥、土壌消毒剤、発根促進剤等を混入しておくことが
好ましく、それらが液状のものにあっては、生分解性ポ
リマーによるマイクロカプセルに入れて混入することが
できる。

【００１４】また上向き及び下向きの各定着用針４，５
の側部には、返し６，７が一定間隔ごとに多段に突設し
てあり、この返し６，７により抜け出し防止と根がらみ
促進とが生ずるようにしてある。

【００１５】このような芝生定着用グリッパー１は、そ
のままの状態で公園或いは芝生競技場等の土壌８の表面
に敷き置いたのち、適度な圧力を加えて軟らかく耕され
た土壌８に下向きの定着用針５を突き刺して固定するこ
とができる。

【００１６】固定後に芝生定着用グリッパー１の上に、
マット或いはシート状に切り出した芝生９を載せて上か
ら土壌８に押し付けると、上向きの定着用針４が芝生９
の土の部分１０に突き刺さる。これにより芝生９は土壌
８に定着して横ずれが生じ難くなる。

【００１７】定着後は時間の経過とともにベース２及び
定着用針４，５が生分解してゆき、芝生９は生育して根
が定着用針４にからむようになり、さらには土壌８へと
伸びてゆく、生分解により定着用グリッパー１の強度が
劣化し、定着用針４，５による芝生９の定着はなくなっ
てゆくが、その時期には芝生は完全に土壌８に根つい
て、定着用グリッパー１がなくとも芝生上の激しい運動
にも充分に耐えるようになる。

【００１８】また芝生定着用グリッパー１の生分解に伴
い、そこに混入した施肥、土壌消毒剤、発根促進剤等が
徐々に溶出して、芝生９の施肥，土壌８の消毒等が自然
に行われるようになる。

【００１９】図３はロール状の芝生９を定着する場合の
状態を示すもので、このような場合には、芝生９が大き
いので帯状に成形した芝生定着用グリッパー１を芝生９
の両側の土壌８の上に敷き並べるだけで定着を行うこと
ができる。

【００２０】また図４は細かなシート状の芝生９の多数
枚を敷き並べてゆく場合であって、このときには芝生９
が大型のものに比べて動き易いので、シート状に形成し
た定着用グリッパー１を土壌８の表面に敷き並べて、芝
生全面を定着用針４，５により土壌８に定着する。

【００２１】

【発明の効果】この発明は上述のように、芝生定着用グ
リッパーを、格子状に形成したベースとベース面内の交
差部の上下に突設した所要長さの多数の定着用針とから
構成し、そのベースと定着用針とを生分解性ポリマーに
より一体成形してなることから下記効果を奏する。

【００２２】・ 芝生定着用グリッパーの使用により、
他の場所で育成した芝生を競技場や公園に搬入して直ち
に定着できるので、これまでのような芝生を養生するた
めの休養期間が不要となり、芝生が根つく前に競技場等
の使用が可能となる。

【００２３】・ また芝生の痛んだ部分を取り除いて芝
生定着用グリッパーを置き、その上に育成した新たな芝
生を載せて定着するだけでよいから補修も簡単に済み、
直ちに使用可能な状態となるので、芝生の補修を行いな
がら競技を実施することができる。

【００２４】・ 生分解性ポリマーによる芝生定着用グ
リッパーでは切断ができるので、補修個所に合わせて大
きさや形状を整える。このため補修個所に制限を受け
ず、またベースが格子状であるので通水性が確保でき、
土壌への根ののびの障害となることもないので、補修し
た芝生の育成も充分に行い得る。

【００２５】・ 土壌と芝生との間の芝生定着用グリッ
パーは、徐々に生分解してグリッパーとしての機能を失
ってゆくが、それにともない芝生の根がのびて定着する
ようになるので、後に定着が損なわれるようなこともな
く、また芝生定着用グリッパーの残存による障害もない
ので芝生の管理も容易となる。

【００２６】・ 生分解性ポリマーに施肥、土壌消毒
剤、発根促進剤等を混入し、これらを生分解性ポリマー
の分解に伴い溶出させて施肥，消毒等を自然に行わせる
こともできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明に係わる芝生定着用グリッパーの部
分斜視図である。

【図２】 芝生定着用グリッパーによる芝生定着状態を
示す縦断面図である。

【図３】 ロール状の芝生の施工状態を示す斜視図であ
る。

【図４】 シート状芝生の施工状態を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ 芝生定着用グリッパー ２ ベース ３ 交差部 ４ 上向きの定着用針 ５ 下向きの定着用針 ６ 返し ７ 返し ８ 土壌 ９ 芝生

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 格子状のベースと、ベース面内の交差部
   の上下に突設した所要長さの多数の定着用針とからな
   り、そのベースと定着用針とを生分解性ポリマーにより
   一体成形してなることを特徴とする芝生定着用グリッパ
   ー。