JPH07157978A - 耐摩耗性向上処理剤 - Google Patents

耐摩耗性向上処理剤

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JPH07157978A
JPH07157978A JP5303925A JP30392593A JPH07157978A JP H07157978 A JPH07157978 A JP H07157978A JP 5303925 A JP5303925 A JP 5303925A JP 30392593 A JP30392593 A JP 30392593A JP H07157978 A JPH07157978 A JP H07157978A
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JP
Japan
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abrasion resistance
tetrafluoroethylene
agent
resistance
fiber
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Application number
JP5303925A
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English (en)
Inventor
Sadamitsu Murayama
定光 村山
Shoji Makino
昭二 牧野
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、処理時における発泡が少な
く、且つ、低摩擦の被膜を繊維表面に形成して繊維構造
物に高度の平滑性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性を付与せし
める処理剤を提供することある。 【構成】 ポリウレタン、酸化ポリエチレン、フッ素系
樹脂、エチレン尿素化合物及びオルガノポリシロキサン
を主たる成分とする耐摩耗性向上処理剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主として、繊維製品、例
えばロープ、コード、織物等の耐摩耗性、耐屈曲疲労性
向上に用いられる処理剤に関するものである。さらに詳
しくは、ベルト状構造、コード状構造、織布構造、ネッ
ト状構造及びロープ状構造に編組、又は製織加工された
繊維構造物、又はフェルト状(不織布)繊維構造物の耐
摩耗性、耐屈曲疲労性を向上させるめに用いられる処理
剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、ベルト、コード、ロープ、織布、
フェルト、ネット等の繊維構造物に使用される素材とし
ては、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、全芳香族ポ
リアミド(アラミド)、全芳香族ポリエステル、ガラ
ス、カーボンなどがある。これらの繊維は通常、単独、
かつ無処理で用いられる場合が多いが、用途によっては
耐摩耗性,耐屈曲疲労性が不充分なために、繊維素材が
本来有するすぐれた特性を充分に発現できない状況にあ
る。特に水が介在する用途においてこのような問題を生
じ易い。
【0003】従来、この耐摩耗性向上手段として、各種
処理剤による繊維表面被覆や含浸加工が多く用いられて
おり、かかる処理剤としては、ポリウレタン系、シリコ
ン系樹脂等が広く用いられている。たとえばポリウレタ
ン系樹脂を耐摩耗性向上剤として用いた技術としては、
「ポリウレタン、酸化ポリエチレンおよびエチレン尿素
化合物を主成分とする混合物で処理されてなる繊維ロー
プ」(特公昭62−60511号公報)、「ウレタンプ
レポリマーブロック化物を主成分とする樹脂を繊維ベル
ト類に付与し、加熱処理することにより耐摩耗性を改善
する方法」(特開昭60−173174号公報)、「シ
ラン系カップリング剤を主成分とする第1処理剤で処理
した後、ポリウレタン、酸化ポリエチレン、およびエチ
レン尿素化合物を主成分とする第2処理剤で処理する方
法」(特公平1−29909号公報)、「ポリウレタ
ン、酸化ポリエチレン、フッ素樹脂、エチレン尿素化合
物を主成分とする処理剤」(特開平03−249280
号公報)などがあげられる(以下、先行技術という)。
確かに上記先行技術に示された処理剤で表面被覆又は含
浸処理された繊維構造物は耐摩耗性、耐屈曲疲労性の改
善されることが認められている。しかしながら、上記の
先行技術に開示された処理剤を用いて実際に多量の糸を
処理する場合、処理剤中に泡が多量に発生して長時間消
泡せず、処理液がゼリー状になって加工時における剤の
粘度と付着量のコントロールができないという問題、さ
らに、処理剤被膜の平滑性、特に水分介在下での平滑性
が不足して、加工時や、使用時に毛羽を発生し易いとい
う問題を有している。さらに最近の用途の拡大、多様化
に伴い、製品に対する要求性能は、ますます高度化、拡
大する傾向にあり、用途によっては充分対応することが
できなくなりつつある。例えばパラ系アラミド繊維は2
0グラム/デニール以上の高強度を有するため、最近、
この繊維を使用した種々の繊維構造物が開発され、ベル
ト、コード、ロープ等の用途分野で活用されつつある
が、繊維/繊維間、繊維/物体間などの摩擦により、フ
ィブリル化し易いため、処理剤による処理時や使用時に
このフィブリル化が主因となって毛羽を発生し、強度劣
化を生じて、繊維が本来有するすぐれた高強度特性を充
分に発現できないという欠点を有している。
【0004】この欠点を改善するために耐摩耗性の比較
的良好なナイロン系繊維等をベルト、コード、ロープ等
の表層部に用い、芯体部にアラミド繊維を用いた複合体
構造にするなどの工夫がなされ実用化されている。しか
しながら、これらの複合体構造の製品でも、まだまだ不
充分であり、特にアラミド繊維のフィブリル化を完全に
防止するには至っていない。また複合する繊維の伸度が
異なるために使用時に受ける応力を芯体のみで受けるこ
とになり、例えばロープ、コード類では外径の大きさ
(太さ)に対する製品強力の発現程度が小さくなるとい
う欠点を有する。また、製品が繰り返し屈曲使用される
過程で芯体繊維相互間の摩擦により、繊維が部分的にフ
ィブル化して、その結果、充分な製品強力を長期にわた
って維持できないという欠点も生じている。さらに最近
では、このパラ系アラミド繊維の高強力を生かして水産
資材分野へ展開すべく、種々の検討,開発がおこなわれ
ているが、特に高張力下で使用される場合、前述のフィ
ブリル化が水の介在により促進されて著しい強度劣化を
生じる。また、前述の如く処理工程での処理剤の発泡に
より、糸への付着量のコントロールができないばかりで
なく、平滑性不足から毛羽も発生し易いという問題を有
し、加えて処理されたアラミド繊維においても、形成さ
れた処理剤被膜が水の介在により、吸水、膨潤して被膜
強度が劣化し、被膜性能を充分に発現できず、従って本
来目的とするところの耐摩耗性,耐屈曲疲労性を充分に
向上させ得ず、水産資材分野における要求性能を充分に
満たすことができていない。
【0005】
【発明の目的】本発明は、従来技術におけるかかる問題
を解決するために鋭意研究した結果案出されたものであ
る。その目的は、処理剤の発泡を防止し、かつ処理剤被
膜の低摩擦力化を図って、処理された繊維構造物に高度
の平滑性,耐摩耗性,耐屈曲疲労性を付与せしめようと
するものである。 本発明者らはかかる目的を達成する
ために種々の検討を重ねた結果、ポリウレタン、酸化ポ
リエチレン、フッ素系樹脂、エチレン尿素化合物及びオ
ルガノポリシロキサンを配合することにより、すぐれた
耐摩耗性向上効果を得ることができることを見出し本発
明に至ったものである。
【0006】
【発明の構成】すなわち本発明は「(請求項1) ポリ
ウレタン(A)、酸化ポリエチレン(B)、フッ素系樹
脂(C)、エチレン尿素化合物(D)及びオルガノポリ
シロキサン(E)を主たる成分とする耐摩耗性向上処理
剤。(請求項2) ポリウレタン(A)がポリカーボネ
ートポリオールと脂肪族ポリイソシアネートとからな
り、酸化ポリエチレン(B)の分子量が1000〜70
00であり、さらにフッ素系樹脂(C)が4フッ化エチ
レン重合体、3フッ化塩化エチレン重合体、4フッ化エ
チレン・6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレ
ン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、4フ
ッ化エチレン・6フッ化プロピレン・パーフロロアルキ
ルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン重合体、
エチレン・4フッ化エチレン共重合体からなる群から選
ばれた1以上の重合体であり、さらにエチレン尿素化合
物(D)が下記一般式を満足する化合物であり、
【0007】
【化3】
【0008】さらにオルガノポリシロキサン(E)がジ
メチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メ
チルフェニルポリシロキサン及び下記一般式で示される
種々の変性ポリシロキサンなどからなる群から選ばれた
1以上の化合物である請求項1の耐摩耗性向上処理剤。
【0009】
【化4】
【0010】(請求項3) 各成分の重量比が (A)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.34〜0.70 (B)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.24〜0.60 (C)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.20 (D)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.15 (E)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.0003〜0.5 である請求項1又は請求項2の耐摩耗性向上処理剤。」
である。
【0011】ここにポリウレタンとはポリエーテルポリ
オールとポリイソシアネートとの反応あるいはポリカー
ボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応等に
より得られる高分子重合体であるが、耐水性、耐熱性等
の点からポリカーボネートポリオールとポリイソシアネ
ートとの反応により得られる高分子重合体が好ましい。
また、ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート、ナフチレンジイソシアネートなど
の脂肪族又は芳香族のポリイソシアネートをあげること
ができるが耐光性の点から脂肪族ポリイソシアネートが
好ましい。
【0012】酸化ポリエチレンはポリエチレンを酸化し
て低分子量化したものである。水酸基及び/又はカルボ
キシル末端基を有するものが好ましい。更に好ましくは
高密度ポリエチレンの酸化物であって分子量が1000
〜7000のものである。エチレン尿素化合物は次に示
す一般式で表わされる。
【0013】
【化5】
【0014】代表的化合物としてはオクタデシルイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ト
リレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ナフチレンジイソシアネート、トリフェニルメ
タントリイソシアネートなどの芳香族または脂肪族のイ
ソシアネートとエチレンイミンとの反応生成物があげら
れ、通常水分散液の形で使用される。
【0015】また、フッ素系樹脂とは4フッ化エチレン
重合体、3フッ化塩化エチレン重合体、4フッ化エチレ
ン・6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン・
パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、4フッ化
エチレン・6フッ化プロピレン・パーフロロアルキルビ
ニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン重合体、エチ
レン・4フッ化エチレン共重合体などである。
【0016】フッ素系樹脂は通常分散剤を用いて分散媒
中に微粒子状フッ素系樹脂を分散せしめた分散体あるい
は乳化剤を用いて水系媒体中に微粒子状フッ素系樹脂を
乳化せしめた水乳化体の形で使用する。オルガノポリシ
ロキサンは、通常25℃での粘度が5〜200000ポ
イズのシリコンオイルと称されるジメチルポリシロキサ
ン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシ
ロキサンなどのほか、下記一般式で示される種々の変性
ポリシロキサンである。
【0017】
【化6】
【0018】また、これらのオルガノポリシロキサンの
中で、変性により水分散性を付与されたものは、他の配
合剤が水系組成物である場合、そのまま使用できるが、
通常のシリコンオイルを使用するときには乳化剤等によ
りエマルジョン化したものを配合するのが望ましい。
【0019】処理法としてはスプレー法、コーティング
法など従来公知のいかなる方法を用いてもよいが、ポリ
ウレタン(A)、酸化ポリエチレン(B)、フッ素系樹
脂(C)、エチレン尿素化合物(D)及びオルガノポリ
シロキサン(E)のそれぞれの水分散液を混合した液に
糸状繊維、またはコード状,ロープ状、ベルト状、織布
状及びフェルト状構造の繊維構造物を浸漬、含浸させた
のち乾燥、熱処理させる処理方法が最も簡単である。
【0020】処理剤における各成分の重量比は、 重量比a (A)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.34〜0.70 重量比b (B)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.24〜0.60 重量比c (C)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.20 重量比d (D)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.15 重量比e (E)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.0003〜0. が好ましい。重量比aが0.34未満では被膜強度が充
分でなく、かつ、被膜と繊維との界面接着性も不充分と
なり好ましくない。また0.70を越えると被膜の表面
摩擦抵抗が大きくなり平滑性が不充分となる。重量比b
が0.24未満では被膜の表面摩擦抵抗の低下が不充分
で、目的とする平滑性が得られない。0.60を越える
と被膜強度が充分でなく被膜と繊維との界面接着性も低
下して好ましくない。重量比cが、0.03未満では被
膜の表面摩擦抵抗の低下が不充分となるばかりでなく、
水による被膜の吸水、膨潤を防止できず、水の介在下に
おける耐摩耗性、耐屈曲労性が充分に発現されない。
0.20を越えると被膜強度が不充分となり、かつ、被
膜と繊維との界面接着力も低下して好ましくない。
【0021】重量比dが0.03未満では被膜強度が不
充分となり、0.15を越えると被膜の可撓性が不足し
て繊維構造物の耐屈曲疲労性が低下する。重量比eが
0.0003未満では処理剤の発泡を充分に防ぐことが
できず、被膜の平滑性も不充分であり、繊維への剤付着
量コントロールや糸ガイド部等での毛羽の発生防止効
果、処理後の繊維構造物の撥水効果等も期待できなくな
る。0.5を越えると被膜強度が不充分となり、かつ、
被膜と繊維との界面接着力も低下するので好ましくな
い。0.001〜0.4の範囲内に配合した場合が、処
理剤の消泡、処理時の毛羽防止、処理品の表面摩擦抵
抗、耐摩耗性、耐屈曲疲労性などの諸特性に関して最良
の向上効果を示す最も好ましい比率である。すなわち、
繊維構造物の耐摩耗性、耐屈曲疲労性が大巾に向上し、
特に水が介在する場合における耐摩耗性、耐屈曲疲労性
の低下が少なく非常に良好である。
【0022】処理剤の固形分濃度は1〜25重量%が好
ましい、更に好ましくは、5〜20重量%である。乾燥
温度は100〜150℃、乾燥時間は0.5〜20分間
が好ましい。乾燥温度が100℃未満では処理剤による
被膜の形成が不充分となる。また、150℃を越えると
処理剤中の水分の蒸発が急速に生じるために良好な被膜
が形成されなくなる。
【0023】熱処理温度は160〜240℃、熱処理時
間は0.2〜10分間が好ましい。熱処理温度が160
℃未満では形成された被膜の架橋が不充分で良好な被膜
強度を発現し得なくなり、また240℃を越えると被膜
が劣化し、強度が低下する。
【0024】処理剤被膜の付着量(処理剤の固形分重
量)は0.6〜15重量%が好ましい。更に好ましくは
2〜10重量%である。0.6重量%未満では耐摩耗
性、耐屈曲疲労性の向上が不充分であり実用的効果が発
現せず、また、15重量%を越えると処理後の繊維又は
繊維構造物は著しく粗硬となり、耐屈曲疲労性が低下す
る。
【0025】本発明の処理剤は処理時における処理剤の
発泡も少なく、かつ処理工程での毛羽の発生も少ないば
かりでなく、この処理剤で処理された繊維構造物は、耐
摩耗性、耐屈曲疲労性に特にすぐれている。この処理剤
が耐摩耗性、耐屈曲疲労性にすぐれる理由は耐光性、耐
水性を兼備し繊維との接着性が良好なポリウレタンに低
摩擦係数の酸化ポリエチレン、フッ素系樹脂及びオルガ
ノポリシロキサンを併用することにより、柔軟で高度な
平滑性を有し、かつ吸水性が少なく耐水性を有する被膜
を繊維表面に形成させ、更にエチレン尿素化合物の併用
により、架橋反応を生じさせて被膜の凝集力を向上させ
ているためである。従って、この処理剤で処理された繊
維又は繊維構造物は摩擦係数も小さく、単繊維相互間の
摩擦及び繊維/物体間の摩擦を減少させる効果を有する
ので単繊維のフィブリル化を防止せしめる結果、耐摩耗
性、耐屈曲疲労性が向上する。
【0026】
【発明の効果】本発明は下記の効果を有する。 1)本発明の処理剤を用いて処理する場合、処理剤の発
泡が少ないため、粘度コントロール,繊維への付着量コ
ントロールが容易である。 2)本発明の処理剤は被膜が平滑性に富んでいるために
処理工程で毛羽発生を及び使用時における繊維のフィブ
リル化を防止して耐久性を向上させる。 3)本発明の処理剤で処理された繊維又は繊維構造物の
大気中、および水の介在下における耐摩耗性、耐屈曲疲
労性が極めてすぐれている。
【0027】以下、摩擦によりフィブリル化し易いパラ
系アラミド繊維からなるコード状繊維構造物を取りあ
げ、本発明処理剤の効果について、実施例により具体的
に説明する。なお、耐摩耗性、耐屈曲疲労性等の評価は
下記方法に従って実施した。 <耐摩耗性評価方法S1>評価装置を図1に示す。図1
において、1は直径0.8mmの緊張したピアノ線、2
は荷重、3はコード状形態の評価用サンプルである。図
において、3の一端に0.2グラム/デニールの荷重を
取り付けた後、サンプルの他端を往復運動させ、コード
状サンプルがピアノ線1との摩擦により切断するまでの
往復回数で比較判定する。 <耐摩耗性評価方法S2>評価装置を図2に示す。図2
において1は自由に回転する外径20mmのロール、2
は同様に自由回転する外径10mmのロール、3はコー
ド状形態の評価用サンプル、4はコード状形態の評価用
サンプル3に水を介在させるためのパット、5は水であ
る。比較評価はコード状サンプル3を1.5回ねじり、
図2に示すように一部、水5に浸漬されたロール1にか
けた後、コード状サンプル3の一端に0.2グラム/デ
ニールの荷重を取付け、サンプルの他端を往復運動さ
せ、コード状サンプル同志がねじれた場所で相互に摩耗
し合って切断するまでの往復回数で比較判定する。 <耐屈曲疲労性評価方法>2対の自由に回転する外径3
0mmのロールによるS曲げ法により実施する。コード
状評価サンプルをこのロールにS字状にかけた後、引張
力が2.5グラム/デニールになるように設定し、コー
ド状サンプルを往復運動させて屈曲疲労させ、コード状
サンプルが切断するまでの往復回数で比較判定する。 <処理剤の攪拌による発泡性の評価方法>処理剤を秤量
して100ml取り、これを外径4.5cm250ml
用メスシリンダー中に入れた後、メスシリンダーの底面
から処理剤液面までの高さ(H1)を測定する。次に、
最大長さ約1.5cmの2枚羽根を有する攪拌機によ
り、2000rpmで約5分間、処理剤液を攪拌した
後、約60分間静置し、その後、処理剤の発泡部分も含
めた液面高さ(H2)を測定する。発泡性は下記の計算
式により発泡率(消泡性)を算出し、発泡性の判断の尺
度にした。
【0028】発泡率(%)=[攪拌後の発泡部も含めた
面の高さ(H2)/攪拌前の液面高さ(H1)]×10
0 なお、発泡のしにくさも含めた消泡性については、上記
の算出結果を参考にし、発泡率、100〜115%未満
は◎、115〜130%未満は○、130〜145%未
満は△、145%以上は×で表示した。 <処理工程での毛羽の発生量評価>試験用の処理機を用
いて、1kg巻×30本=30kgの処理を行い、紙管に
巻かれた処理後の糸について端面部分と表面部分の毛羽
発生状況を観察して区分し、毛羽発生なしは◎、毛羽発
生微量は○、毛羽発生少量は△、毛羽発生中量は×で表
示した。
【0029】
【実施例1】ポリカーボネートポリオールと脂肪族ポリ
イソシアネートとからなるポリウレタン(A)の水分散
液(有効成分35重量%)と分子量約4500の酸化ポ
リエチレン(B)の水分散液(有効成分25重量%)と
4フッ化エチレン重合体(C)の水分散液(有効成分6
0重量%)、ジフェニルメタンジイソシアネートとエチ
レンイミンとの反応生成物からなるエチレン尿素化合物
(D)の水分散液(有効成分25重量%)及びジメチル
シリコーン(E)を主成分とする水分散体(有効成分4
0重量%)を表1に示した有効成分比率(固形分比率:
重量%)になるように、各水分散液を配合して、処理剤
を配合、作成した。この処理剤の固形分濃度は15重量
%であった。
【0030】該処理剤に、実質的に油剤を付与していな
いパラ系アラミド長繊維糸(テクノーラ:帝人株式会社
製、1500デニール/1000フィラメント)を浸漬
して含浸処理し、ニップロールで軽く絞った後、120
℃で2分間乾燥し、更に180℃で1分間熱処理して繊
維表面に形成された処理剤被膜の架橋反応を行った。こ
のときの繊維に付着した処理剤の固形分付着量は5.2
重量%であった。なおこの処理剤液について測定した発
泡率(消泡性)の区分は表1に示す如く○印ランクであ
った。また、処理後の紙管に巻かれた糸について端面及
び表面の毛羽発生状況を観察判定した結果は表1に示す
通り○印ランクであった。得られた処理アラミド長繊維
糸を3本引き揃えて、Z方向に20回/10cmの撚数
になるように撚糸した後、さらに、この撚糸品を2本合
せてS方向に20回/10cmの撚数で合撚し、900
0デニールのコード状繊維構造物を得た。このコード状
繊維構造物について耐摩耗性S1とS2及び耐屈曲疲労
性を評価した。結果を表1に示す。
【0031】
【実施例2〜10】実施例2〜10は実施例1で用いた
(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の各水分散
液を表1に示した固形分比率(有効成分の重量%比率)
に配合した以外は実施例1と同様に行い、それらについ
て耐摩耗性AとB及び耐屈曲疲労性を比較評価した。結
果を表1示す。また、各実施例で使用した配合処理剤液
の消泡性(発泡率)についてそれぞれ測定した結果、及
び処理後の紙管に巻かれた糸についての毛羽発生状況の
観察結果を表1に示した。
【0032】
【実施例11、12】実施例1のジメチルシリコーンの
代りに自己乳化型のシリコーン(E)を主成分とする液
を用いて、表1に示した固形分比率(有効成比率:重量
%)に配合した以外は実施例1と同様に行い、それらに
ついて耐摩耗性S1とS2及び耐屈曲疲労性を比較評価
し、結果を表1に示した。また、処理剤の消泡性、処理
品の毛羽発生観察状況も表1に示した。
【0033】
【比較例1】比較のために、実施例1で用いたと同一の
アラミド長繊維糸を用いて、処理剤で含浸処理せずに、
実施例1と同様の方法で撚糸して9000デニールのコ
ード状繊維構造物を得、これについて比較評価した結果
を比較例1として表1に示した。
【0034】
【比較例2〜20】実施例1で用いた(A)、(B)、
(C)、(D)及び(E)の各水分散液を表1に示した
固形分比率になるように配合して処理剤を作成した以外
は実施例1と同様に行い、それらについて実施例1と同
様に比較評価して、その結果を表1に示した。また、処
理剤の消泡性及び処理糸の毛羽発生観察結果も表1に示
した。
【0035】
【比較例21】実施例1で用いた(A)、(B)、
(C)、(D)及び実施例11で用いた自己乳化型のシ
リコーン(E)を主成分とする液を用いて表1に示した
固形分比率(有効成分比率:重量%)になるように配合
した以外は、実施例1と同様に行って、その結果を表1
に示した。また処理剤の消泡性,処理糸の毛羽発生観察
状況も表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】耐摩耗性評価装置S1を示す側断面図。
【図2】耐摩耗性評価装置S2を示す側断面図。
【符号の説明】
1 直径0.8mmの断面円形のピアノ線 2 荷重 3 評価サンプル 4 外径20mmの自由回転ロール 5 外径10mmの自由回転ロール 6 評価サンプル 7 パット 8 水
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】(請求項3) 各成分の重量比が (A)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.34〜0.70 (B)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.24〜0.60 (C)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.20 (D)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.15 (E)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.0003〜0.1 である請求項1又は請求項2の耐摩耗性向上処理剤。」
である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】処理剤における各成分の重量比は、 重量比a (A)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.34〜0.70 重量比b (B)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.24〜0.60 重量比c (C)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.20 重量比d (D)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.15 重量比e (E)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.0003〜0.1 が好ましい。重量比aが0.34未満では被膜強度が充
分でなく、かつ、被膜と繊維との界面接着性も不充分と
なり好ましくない。また0.70を越えると被膜の表面
摩擦抵抗が大きくなり平滑性が不充分となる。重量比b
が0.24未満では被膜の表面摩擦抵抗の低下が不充分
で、目的とする平滑性が得られない。0.60を越える
と被膜強度が充分でなく被膜と繊維との界面接着性も低
下して好ましくない。重量比cが、0.03未満では被
膜の表面摩擦抵抗の低下が不充分となるばかりでなく、
水による被膜の吸水、膨潤を防止できず、水の介在下に
おける耐摩耗性、耐屈曲労性が充分に発現されない。
0.20を越えると被膜強度が不充分となり、かつ、被
膜と繊維との界面接着力も低下して好ましくない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】重量比dが0.03未満では被膜強度が不
充分となり、0.15を越えると被膜の可撓性が不足し
て繊維構造物の耐屈曲疲労性が低下する。重量比eが
0.0003未満では処理剤の発泡を充分に防ぐことが
できず、被膜の平滑性も不充分であり、繊維への剤付着
量コントロールや糸ガイド部等での毛羽の発生防止効
果、処理後の繊維構造物の撥水効果等も期待できなくな
る。0.1を越えると被膜強度が不充分となり、かつ、
被膜と繊維との界面接着力も低下するので好ましくな
い。0.001〜0.09の範囲内に配合した場合が、
処理剤の消泡、処理時の毛羽防止、処理品の表面摩擦抵
抗、耐摩耗性、耐屈曲疲労性などの諸特性に関して最良
の向上効果を示す最も好ましい比率である。すなわち、
繊維構造物の耐摩耗性、耐屈曲疲労性が大巾に向上し、
特に水が介在する場合における耐摩耗性、耐屈曲疲労性
の低下が少なく非常に良好である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 183/04 PMU D06M 15/21 15/643 15/647

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタン(A)、酸化ポリエチレン
    (B)、フッ素系樹脂(C)、エチレン尿素化合物
    (D)及びオルガノポリシロキサン(E)を主たる成分
    とする耐摩耗性向上処理剤。
  2. 【請求項2】 ポリウレタン(A)がポリカーボネート
    ポリオールと脂肪族ポリイソシアネートとからなり、酸
    化ポリエチレン(B)の分子量が1000〜7000で
    あり、さらにフッ素系樹脂(C)が4フッ化エチレン重
    合体、3フッ化塩化エチレン重合体、4フッ化エチレン
    ・6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン・パ
    ーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、4フッ化エ
    チレン・6フッ化プロピレン・パーフロロアルキルビニ
    ルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン重合体、エチレ
    ン・4フッ化エチレン共重合体からなる群から選ばれた
    1以上の重合体であり、さらにエチレン尿素化合物
    (D)が下記一般式を満足する化合物であり、 【化1】 さらにオルガノポリシロキサン(E)がジメチルポリシ
    ロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニル
    ポリシロキサン及び下記一般式で示される種々の変性ポ
    リシロキサンなどからなる群から選ばれた1以上の化合
    物である請求項1の耐摩耗性向上処理剤。 【化2】
  3. 【請求項3】 各成分の重量比が (A)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.34〜0.70 (B)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.24〜0.60 (C)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.20 (D)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.03〜0.15 (E)/〔(A)+(B)+(C)+(D)〕=0.0003〜0.5 である請求項1又は請求項2の耐摩耗性向上処理剤。
JP5303925A 1993-12-03 1993-12-03 耐摩耗性向上処理剤 Pending JPH07157978A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998005815A1 (en) * 1996-08-05 1998-02-12 Courtaulds Fibres (Holdings) Limited Fabric treatment
CN113402874A (zh) * 2021-05-17 2021-09-17 苏州频发机电科技有限公司 一种抗压承重能力强的聚氨酯高速轮胎

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WO1998005815A1 (en) * 1996-08-05 1998-02-12 Courtaulds Fibres (Holdings) Limited Fabric treatment
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